第28話 実食

「さて朝倉、オークの肉が焼けた訳だが、早速食べるか」


「はいっす!」


「…………ふむ……うーん……なんというか……どうよ?」


「正直あんまり美味しくないっすね。調味料が足りないのは仕方ないんでそこはいいんすけど、肉の臭みが抜けてないです。これは血抜きが不十分どいうよりは、肉自体の臭みですね。脂身もオークのあの見た目に反して全然少なくて、肉全体がパサついてます。肉の味としては確かに豚肉に近いですけど、アタシ達が日常的に食べていた豚肉とは似て非なる物っすね」


「お、おう……すっげー語るじゃん……食べ物に関する情熱凄いなオイ」


「いやでも同じこと先輩も思ってますよね?」


「まぁ豚肉だけど美味くはない……」


「お肉が手に入ったと思ったらまた新しい問題が……」


「強いモンスターの肉とか美味いんかね?」


「うーん、なんか強いモンスターって事は筋肉ついてたり他のモンスター倒して長生きしてるって事っすよね。お肉が筋ばってるんじゃないっすか?」


「言われてみれば……じゃあ俺たちはどうやってうまい肉を手に入れればいいんだよ……市場とかで売ってりゃいいが」


「売ってなさそうっすね」


「そんな気はする。何かみんな狩猟生活寄りな感じあるわ」


「それでまかなえてりゃ良いのかもしんないっすけど」


「いやよくねーよ。肉も野菜も美味い物はほっとくだけでは出来ないからな」


「美味しいのに越したことはないっすね」


「どっかで美味しいモンスターを育ててる頭のおかしい人がいればいいんだが……」


「先輩がやればいいじゃないっすか。ちょうど頭がおかしい人ですし」


「えっもしかしていま俺悪口言われた?なんなの?」


「誉め言葉っすよ」


「誉めてねーよ」


「誰もやらないなら自分がやろうの精神で行きましょう先輩!」


「やだよ誰か代わりにやってて欲しいよ。なんでそんなポジティブなんだよ」


「美味しい肉が食べたいからっす!」


「いやそりゃ俺も食いたいが」


「やりましょう!」


「やだって……まぁ誰もやってなかったらなんか考えるか」


「たぶん誰もやってない気するんでほぼ決定っすよ」


「やめろって本当になるだろうがそういう事言うと」


「アタシたちって、今まで美味しいモノ食べてたんすね~」


「そうだなぁ。調味料以外に原材料にも課題があるのが発覚してしまったな……」


「まぁ何とかなりますってたぶん」


「そうかもな。だといいんだが。んじゃあそろそろ街に戻るか」


「了解っす」

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