第25話 戦闘
「そういえばよ、この辺で出てくるモンスターってどんな奴がいるんだろうな」
「そういえば、全然気にしてなかったっすね」
「ゴブリンと、なんかこの前の強いのと……あと何がいるんだ?」
「うーん……分かんないっす!」
そんな事を話していると、前方の茂みから音がした。モンスターか、人か、いずれにせよ何かがいるに違いなかった。
「あ、先輩、見て下さいあれ、豚さん顔の人っすよ」
「いや人じゃねーよ絶対、オークとかそういう感じのモンスターだろ」
「分かんないっすよ先輩、もしかしたらこの辺の友好的な種族かもしれないじゃないっすか」
「そのくだり、もう既にやったんだが?あのオーク、斧持ってるけどお前には友好的な話し合いする格好に見えんの?」
「おーい、そこの人、もし良かったらちょっとお話聞かせて欲しいんすけど、いいっすか?」
「聞いちゃいねーし」
オークは朝倉を視認すると、醜悪な笑みを顔に張り付けてこちらへとにじり寄ってきた。それはとても話し合いなどするような表情には見えず、友好的な態度だとは感じられなかった。オークは獣のような叫びを上げると、持っていた斧を振り上げて朝倉へと突進した。
「えいっ」
朝倉の気の抜けた掛け声とともに、オークの上半身は弾け飛んだ。朝倉がひのきの棒で殴りつけたからだった。傍らの木には、オークの血がべったりと付着し、辺りには肉片が散らばっていた。
「さて朝倉、またお前の地球式挨拶で友好種族を亡き者にしてしまったわけだが」
「アタシのせいじゃないですって絶対!なんすか地球式挨拶って!」
「朝倉式挨拶と言い換えてもいい」
「悪化してるじゃないっすか!」
「林業にいそしむ善良な木こりだったかもしれないのにな」
「アタシが伐採されそうになってたの見てたじゃないっすか!」
「まぁなんにせよお前が無事で良かったけどよ、危ないからほどほどになマジで」
「……ん?先輩もしかして心配してくれてたんすか?」
「……そうだけど?」
「んふふ、なんだ、そうならそうと言ってくださいよ~」
「は?心配してないが」
「いや今言ったじゃないっすかなに照れてるんすか」
「うぜ~~心配しなきゃよかったわ」
「いやいや、存分に心配してください。あ、先輩さっきの斧いります?」
「いる」
「はいどうぞ」
「重っ、やっぱいらない」
「撤回はやすぎっす」
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