家で弁当を食べる(Lovers)
どうしてもお腹が痛くて、しかもそれは学校に行きたくなかった中学生の時のような痛みだった。よく晴れた朝に、わたしは朝日から目を逸らして布団のなかで丸まっていた。
7時50分。
そろそろ家を出ないと遅刻だ。
頭ではわかっているのに、体は動かない。どんどん冴え渡る頭と視界がさらに腹痛を強める。
それでも無断欠勤はできない。
のそりと音がしそうなくらいゆっくり立ち上がり、上司に電話をする。ここまでで目一杯の勇気を出した。それなのに、自分の口は「午後からは行きます」と言っていた。
悲しいくらいいいお天気。
電話を切るとすぐに布団を干した。カバーは洗濯機に入れ、洗って干した。お日様の光を浴び、久しぶりに登校中の子どもの声にゆっくりと耳を傾ける。
無職の時は涙を流して望んだ仕事。今は涙を流して無職の頃を懐かしんでいる。
途方もなくどうしようもなくて、昨晩用意したお弁当を温めて家で食べる。
お弁当箱を洗って、乾いた布団カバーを取り込みゆっくりと家を出る。足取りは信じられないくらい重くて、まだ月曜日であることにうつむく。
頭の上ではこんなにも太陽が輝いているというのに。
そんな今日の1曲。
sumikaで『Lovers』
辛いのは自分だけではないはずなのに、いろいろ考えてしまいます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます