地下鉄(恋風邪にのせて)

予知能力があるかもしれない、と思う時がたまにある。


無意識に働いている自分が頑張れるようにと8月から毎月、1つずつライブの予定を作っていた。それは無職だった5月や6月から応募して、一生懸命当てた選りすぐりの好きなアーティストたちのもの。


今日は9月のその日だった。


木曜日。

入社してはじめての5連勤最終日前日。

資格勉強もあるし、目を閉じてしまったらすぐに眠れそうなくらい疲れが溜まっている。


にも関わらず、音楽が鳴り出した途端わたしは腕を目一杯挙げて全力で踊っていた。


2時間はあっという間だった。

ステージを動き回るわたしの好きな人。声に包まれ、振動を全身で受け止める。何故だか彼がこちらを向くたびに目が合った気がする。その現象は、大仏のそれに似ている。


野外ライブもいいが、やっぱり音を閉じ込める箱はいい。こんな日はもうなんの音楽もいらない。

帰りの電車のアナウンスと振動が心地よく響く。同じ空気を吸っていた人、仕事帰りの人。

ライブから帰る時の地下鉄は、夢から現実へわたしを繋いでいるみたいだと思う。


そんな今日の1曲。

vaundyで『恋風邪にのせて』


ライブに行くと、遠くの席の人がいるはずのない知っている会いたいあの人に見えて気を取られてしまう時がありませんか。

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