侑花とリシア0

 神坂侑花こうさか ゆか

 一七歳、独身(当たり前だ)。


 食う、寝る、遊ぶについて、一切の躊躇、妥協をしない、市内の私立高校に通う元気いっぱいな女子高生。

 唯一気にしているのは、同い年の女子の平均身長より低いこと。

 もとい。

 唯一ではなく、もう一つある。

 それは体格。

 よく言えばスレンダー。有り体に言えば、痩せ型だ。

 

 リシア。

 魔女。年齢不詳。多分女性。侑花の頭の中に棲む。アニメ好き。

 侑花の体を間借り・・・している以上、宿主には逆らえない……かと思いきや、侑花の隙をついて、自由奔放に好き勝手やっている。

 

 侑花がリシアの存在を自覚したのは、交友範囲に『頭の中に魔女がいる』なんていう人間がいなかったこと。

 両親がいつも不在で、話し相手が欲しかったこと。

 この二点だ。

 

「別に寂しいとか、そんなのじゃないのよ?」

 わかってますって、侑花様。

「何で敬語なの? 何で様付け?」

 まぁ細かいことは、あまり気にしない方が良いのだよ。きっと。

「怪しい」

 な、ななな何を仰っておられるのか!

「何で慌てるの? あんた、今度は何やった? 言え! 吐け! 素直に白状しなさい!」

 何もしてないのだよ〜〜!

「こういう時、絶対あんたが何かをやらかした後なのよ! いいから言え! 怒らないから!」

 いや、侑花は絶対怒る。

「ほほー。じゃ、やっぱり何かやらかしたのね?」

 ……う。


 *


 語るに落ちるとはこのことか。

 どことなく、しょんぼりした口調のリシアに、勝ち誇った表情をする侑花。

 お互いの顔を見ることは出来ないが、どうやら、楽しく(?)やっているのは確かなようだ。

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