蟋蟀と蜚蠊

筆ペン

第1話今から二人三脚

電話で父の文句ばかり。

定年まで勤め上げた父は家に居り、夫婦水入らずをとても苦痛のようです。


私達三兄妹を育て上げやっとここまで来た。

その道程は大変だったに違いない。

でも今は目先の日常の文句ばかり。


出会って結ばれて、苦楽を共にして、禿げて年老いたお互いは改めて見ると不快なんだって。


私は離婚して、再婚して子育て最中。

見えなかった親の辛さを感謝し始めて

長文メールに返信している。

だから笑いを堪えるのが必死だし、

哀れさも感じている。


親の背中を見て寂しかった子供時代を思い出して父を反面教師として育てているけども、

憎しみなんて少しもない。


見えなくなることが続くといつからか全てが嫌になっちゃうよね。


聴いてほしいだけ、わかってるけど口出しして嫌な気分にさせちゃうよね。

でも大好きだよ。好きや大切だよと伝える事の大切さを感じて、前の妻との子供を思い出す。

まだ歩くのだから。並行してもやもやしても歩くなら、昔を思い出そう。産んでくれて育ててくれてありがとう。

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