第二十話『いざ初戦!白銀VS来夏!』


「さて、遂にトーナメント開始か」


 さー、お披露目と行きましょうかねぇ!しろがねの公式初戦闘を見せつけてやるぜ!誰が見ても恥ずかしくない戦いをする!それが今日の目標!


「よっこらせっと」


「あっ校長だ、校長オッスオッス」


「チミ、ずいぶんなれなれしいのじゃねぇ?」


「あっすんません」


 相変わらず幼女だよなぁ。校長先生。でも一応成人済みだろうとは思うんだけど……。どうなんだろうね?そもそも人間らしくないと言うか……、いや、そう言う意味じゃなくて。


「まぁよい。それより今回の件じゃが」


「負けたら退学の奴ですか?」


「こちらも出来る限りの事はしたんじゃがな。頭の悪い奴らは、お主をここに置いておく利益よりも、ただ男だからと言う理由で退学にさせたいそうじゃ」


「そりゃ手厳しいですね」


 結構校長も譲歩に関して頑張ってくれてたんだなぁ。よーし!もう負けられねぇぜ!まぁ元から負ける気はないけどな!全員ぶっ飛ばして俺が勝つ!


「まぁ気にしないでください。負ける気、ありませんので!」


「そうか。なら行ってこい!最初の相手は来夏じゃが、まぁ特に苦戦もせんじゃろお主なら」


「結構ボロクソ言いますね……」


「専用機を使わんでトントンってレベルじゃからな!ワハハ」


 結構ひどい人だなぁ……。まぁいいや。よーし行くぞー!


『ド晴天の中、開催されますは全国各地から集められたBA装着者達の祭典!果たして学生世界一の称号を手にするのは一体誰になるのだーッ!?』


 おー、ずいぶん観客多いなぁ。こりゃ楽しくなりそうだな!さて初戦である来夏に関してだが、ぶっちゃけクソザコナメクジだろう。汎用機でも上澄みではあるが、それが強いと言う理由にはならないのだ。


『ちなみにですが、今回のルールはグリーン制を採用しています。期待と肉体に傷がつかず、HPを削りあって戦ってもらいます』


 そりゃそうよ。流石に生徒に殺し合いをさせるような奴だったら、俺が殴りに行ってる。とは言え初戦だけがグリーンルールだろうな、それ以降はイエロールールでトントンだ。


『さて!青コーナー、今年初めて観測された男性でありながらBAを装着する事が出来る少年、『鉱山白銀』選手!』


「帰れー!」「学校やめちまえー!」「俺を殴ってー!」


 何だこのブーイングの嵐!と言うか絵夢来てんじゃねぇのコレ?明らかに奴っぽい声だったぞ!第一そんなこと普通の奴が言うか!帰れお前は!


「まぁ知ってるよこんなの……」


『かなりのブーイングですが、めげない白銀選手!そして赤コーナー、ぶっちゃけお前の新聞買ってる奴いないんだよね。そんな『鳥仲来夏』選手!』


「えっ買ってないの!?嘘ぉ!?」


「帰れー!」「お前の新聞見にくいんだよ!」「服ダッサ」


 なんだ?どいつもこいつもブーイングしたいのか?見境ないな。と言うか服がダサいって……いや服ゴミじゃんお前!私服?それ私服?新聞を着てるんじゃなくて!?センスを疑うよ流石に!?


「だっさ……」


「あぁ?!この服がダサいって何の話!?」


「いやダサいでしょ。と言うかお前、前会ったでしょ。あのクソ面倒な先輩でしょ」


「んんんんんんん!!!!!!」


 ブチ切れてるなぁ。事実なのに。お前マジでしもむらの方がまだマシなレベルだぞ?あの一着千円の投げ売りTシャツの方が確実に格好いいぞ?


「まぁいいや!今日この場で退学してもらうよ!」


「やれるんならやってみな」


『さて、お互いのBAに関してですが、まず白銀選手はしろがねと呼ばれる奇妙な専用機BAを使うそうです。何の情報もありませんが、とにかく強いと言う事だけが分かっています』


 あっそう。……えっ何の情報もないの?!俺の機体!?マジかぁ……。まぁいいや、と言うか今回は使わないんで別に構わないんだけどな。で、対する来夏の方は……。


『来夏選手が使うBAはですね、汎用機の中でも速度が最も早い機体になります。更に改造を施しており、スピードだけならトップクラスと呼ばれていますね』


 そうなんだ。さて今回使う武器だが、特殊なライフル銃となっています。地面に固定して撃つタイプの奴。当たれば強いが、まぁ外せば二度は無いだろうなって奴。


「じゃ来いよ」


『おーっと?!白銀選手BAを装着しない!まさかの舐めプか?!』


「汎用機だからって舐めんじゃないよ!」


 おぉ、俺の周りを高速で飛び始めたな。確かにこりゃちょっと厳しいかもな。普通の奴だったならな。こういう奴は大体結局後ろから突っ込んでくるんだよなぁ。そう言う意味ではやっぱダストは集団戦の基本を分かってて戦ってきたんだなぁ。


「おらよ」


「げっ」


『おーっと!白銀選手、ライフル銃をぶっ放しました!頭部へ命中!これは痛い!来夏選手のHPが一気に削れて行きます!』


「けど一撃じゃないか」


「ぐぅぅ……。でもこれ以上はないよねぇ!」


 うーん、リロードするにも時間がかかるし……。こうなったら普通に殴るか!んで怯んだ隙にリロード!よしこれで行こう!真っ直ぐ突っ込んでくるからそれに対するカウンター的に……!


「ここだ!」


「あなぁっ!?」


 よーし顔面にクリーンヒット!BAを装着してたら今ので決着だったんだけどなぁ……。


『おーっとここで試合終了!来夏選手のHPがゼロになりました!』


「……ん?」


 えっ、アレ?どうなってんの?BA相手ならBAじゃないと攻撃に加算されないはずでは……?少なくとも素手じゃ大したダメージにはならないはずでは……?


『まぁ最終的にミリ残し的なHPでしたからね。素手で殴った際にHPが削れてもおかしくはないでしょう!という訳ですが、校長先生はどう思います?」


『そうじゃな。一応素手でもHPは減らせるんじゃよ?ただ微量すぎて誰もわからぬだけじゃが……』


『らしいです!私も詳しい事は知りませんが……。ともかく、第二回戦へとコマを進めたのは白銀選手!』


「だーっ負けた!」


「まぁいい戦いだったぞ」


「慰めは良いよ、どうせ負けたんだから。はーぁ。ちょっとは行けると思ってたんだけどなぁ」


「そうか。ところでもう第一回戦やってんのかなあっちは」


「やってるんじゃないの?知らんけど」


 じゃあちょっと見に行ってみますか。流石にこっちより早く終わってるって事はないだろ。でー相手はー……と。パールVS哉……かな?誰だっけこいつ?同級生で同じクラスだとは思うんだけど……?


「まぁいいか。とりあえず見に行ってだな……」


『あーっと!速攻撃破!パール選手、哉選手を瞬殺してのけた-ッ!』


「マジでぇ?!」


 一体どういう機体を使ってるんだパール!一応見たとはいえ戦闘するところを見たわけじゃない!何が……。


「……」


「な、なんだこの状況?」


 会場の半分以上がぶっ壊れてるってどういうことだ……?パールがやったのか?なんていう威力なんだよこれ……。


「おいパール!」


「……」


「聞こえているのか?!」


「……あぁ」


 何かがおかしい!黒いナノマシンって奴が作用してるのか?!いくらBAが強いからって、こうはならないだろ!


「お前は何を使ってる?!」


「……いえない」


「言え!」


「なら、私のとこまでくればいい。……それならわかるでしょ」


 ……成程なぁ!どうしても俺と戦いたいって訳だ!なら全力でぶっ殺してやるよ!


「泣くんじゃねぇぞパール」


「望むところ、むしろ泣かせてやる」


 さて、一回戦が終わったところでちょっと休憩して第二開戦が始まる訳だ。相手はなんかよく分からん奴だ。噂じゃ専用機を持っているとの事だが……。名前は、確か『さくらうらめ』だったかなぁ。


「まぁともかく、こっちはもう手加減をしてる余裕も無さそうだ」


 誰が来ようが何をしてこようが、この拳一つで全て叩き伏せるだけだ!待ってろパール、もし黒いナノマシンを使ってるなら直ぐに止めてやる!

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