元カノに会ったら、冒険者ギルドに登録させられた件

月杜円香

第1話  水のテオドール  

《テオドール視点》


『ねぇ~おいらの心臓探してよ~探してくれるって言ったじゃじゃないか~~』


『言ってない!!僕は、ラ・ムゥ・オアシスの族長のペットだったお前を自由にしてやっただけだ!!』


 ハァ~~ と思い切り僕は息をついた。

 ラ・ムゥ・オアシスを出てから、このチビ風竜は僕の後を追いかけて、そう言っている。


 僕は、主人公のテオドール・ロイルだ。

 生まれはここから、かなり東方の聖地、銀の森でじい様がロイル家の本家の人。

 僕も銀髪と銀の瞳を持っていたりする。

 この事が原因で、過去に彼女に振られること、1回!!

 これは、僕の心のトラウマにもなっており、僕が生まれ故郷を離れた一因にもなっている。


 ロイル家は、神の血を引く血統だと、尊ばれており僕が生まれた時には水の精霊の王子が、祝福に来たという……訳で、僕は水の魔法使いなのだ。


 西域に来たのも、砂漠地帯なら、食いっぱぐれがないと踏んだからだった。

 でも、直ぐに神殿から手を回された。

 勝手に、水喚びなんかしたら、直ぐに捜査隊を出して連れ戻すという。

 水の魔法使いによる、オアシスの水喚びは、神殿の大きな財源らしいとその時に初めて知った。


 どうしたもんかと考えて、小さなオアシスを見つけたので、そこへ水喚びをしていたら、小さな物体が落ちてきた。


「!?」


 淡い金色の羽と鱗を持つ、世界にも珍しい竜族だった。

 良く、こんな砂漠地帯をこんな子竜が飛んでいたものだな。


「おい、チビ竜!! 何処から来たんだ?」


 僕は、元気の出る薬効のある薬湯を竜の口に運ぶと聞いた。


『あ……おいら、砂漠で方向が分からなくなって、そこに砂嵐が来て~~』


 竜って、レトア語を喋るんだな。


『何処から来たんだ!?』


 僕の問いにチビ竜は、初めもぐもぐ言っていた。


「何処だ!? どこかから逃げて来たのか!?」


 俺の少し、強い口調にチビッ子竜はチビってしまい、泣きながら現状を訴えた。


 曰く、卵に時に冒険者たちの手で狩られてしまい、親と引き離されたこと。

 卵から孵って直ぐに、心臓を結晶化されて自分とは離されたこと。

 自身は、ラ・ムゥ、オアシスの族長のペットに治まっていることを。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る