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 浜辺に向かって、歩いている時、Bさんが


「俺 有沢一ありさわはじめ 大学2年 よろしくな いゃー 女の子かー」


「俺 赤嶺巧あかみねたくみ 二人共 自然研究同好会」


「なんなの その 自然研究同好会って」


「ウン 自然を愛する会 大自然の風景とか、田舎の山とか田園とか と、言ってもあんまり活動してないけど・・」


「ふーん 例えば この島の海辺の環境を守るとかも?」


「そーだね そんな力無いけど 力になれることがあれば」


「なんか 頼りないけど まぁ いいっかー 自然を壊す人より、いいよね」


「まぁな 君の名は?」と、はじめさんが聞いてきた。


「うふっ せ・と・な・い・か・い・す・き・お」


「えっ すきお?」


「アッハー いつも、男の子に間違われるからね 冗談よー さっきまで、あなた達が私の事を男の子と間違ってたお返し 藤原香波ふじわらかなみ 香る波 高校1年 でも、平家の一族じゃぁないからね」


「君は 笑うとやっぱり女の子なんだね 可愛いよ いゃー 最初 男の子の割には、細いしさー でも、日焼けもしているしなー 髪の毛も・・やっぱり、男なんかと思い違いしてしまった」


「わー 可愛い なんて言われたの初めて 嬉しいもんなんだね 島の中学には男子ばっかりでね 男の子と遊んでいたから 頭も男の子と一緒にして・・いつも、間違えられるんだ」


「いや よく見ると 可愛い顔してるよ 足も細くて 巧の好みなんだよな こんな娘」


「バカ なに言い出すんだよー いや そのー」と、巧さんは言葉を詰まらせていたが、私もこの人、好みかもと思っていた。


「そのビーチサンダルじゃぁ 滑るかもね 気つけてね」と、岩場に登る前に注意しておいた。私は、踵と足首までベルトのサンダルを履いていたのだ


 波を除けながら少しいくと小さな砂場があって、ここが私の秘密基地。ここから、辺りの岩場の隙間に打ち寄せる海藻とか、うまく行けば、カニなんかも掴まえられるのだ。


 それから、二人は珍しいのかしばらく岩の間を探索していた。たまに、岩のへこんだところに取り残された、小さな魚とか私も捕まえない小さなカニなんかもいるので、珍しがって二人は・・。


 私達は砂場に座って、話をしていたのだが


「ここね 夕陽がきれいなんだ あの島影に消えていくんだけどね 私がね、小学生の時・・ お父さんは漁師やっててね、その日、天気が悪くって、お母さんも一緒に出て行ったのよ そしたら、原因わからないんだけど、船が沈んだって連絡がきて 二人共・・ それから、おばぁちゃんとあの食堂やってるんだ お父さんがやり始めたんだけどね、そのお店を引き継いで。 でも、私は、ここに来て、夕陽見ながら、いつも泣いているんだ おばあちゃんの前じゃぁ泣けないもんね」


「そうかー 辛かったんだね でも 君は 素直で良い子だよ きっと これから、素敵な人生が待っているよ」巧さんの言葉は私に希望を与えてくれる。


「そーだといいなー あなた達が良い人なんで こんな話しちゃった 忘れて! ここ 良い場所でしょう? 香りのするいい波がくるんだぁー 私の特別な場所」


 その後、3人は砂浜が広がる浜辺に戻って、海に入った。海水を掛け合ったりして、お互いに沈め合ったり、私は、男の子と海で遊ぶのも慣れていたから、二人と身体が触れ合うのも平気だった。二人も、最初は遠慮していたけど、そのうち、私から抱き着いて行ったりしたもんだから・・。


 そして、いつの間にか、白い大きな犬が私達のまわりに・・


「バク」と、私がその犬とじゃれあっていると


「か な み ちゃん 大丈夫なんか その大きな犬」と、巧さんが


「うん なかよし だよー あそこの民宿の犬」


「そっ そー 懐いているんだ でも 大きくて こわいなー」と、はじめさんも、徐々に離れていっているような。でも、私はバクと海の中に入って、ふざけ合っていた。


 浜に上がってからも、バクは私の顔を舐めてきたり、じゃれていた。


「もうー バク おすわり」と、命令すると尾っぽを振ったまま、おとなしく私の横におすわりしていたのだ。


「香波ちゃん 珍しいね 今日は、彼氏を二人も連れているんかー バクはオスじゃけん 妬いとるんじゃー」と、民宿のおじさんが、バクを引き戻そうと寄ってきたのだ。


「ううん 厳さんちのお客さんじゃぁないの 私 サービスしてんだよー」


「犬にも 好かれるんだね 香波ちゃんは 気持ちが優しいってバクもわかっているんだね」と、巧さんが・・この人は私にとって、嫌なことは言わない。あなたが優しいからよー と、思っていた。


「明日の朝 5時前起きよ 迎えに行くから」と、私は二人に念押しして別れた。

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