サクラ、散ル。
乙太郎
拝啓、我ガ恩師
タカタカタカ。
ハイケイ、ーーー
「ん~~?」
親指でもって長押し。
コンニ、ーーー
「まぁ…」
拝啓、桜モ新緑ノ萌ユル暖カサニ包マレル
今日コノ頃、如何オ過ゴシデショウカ。
~君よ。秤を持ちなさい。
不肖ノ教エ子タル私ハ試験ニテ
落第ノ貼リ紙ヲ食ライテヨリ
アクル日ノ冷蔑ニ耐エ忍ブ
生活ヲ送ッテオリマス。
〜君よ。筆を持ちなさい。
同胞ノ士ハ日本男児カクアリナムトテ
郷ヲ立チ、今ヤ閑古鳥ノ鳴ク家々ニ
只一人暮レナズムノミ、ーーー
「あっ…」
ヴヴヴヴヴヴゥゥ…
滑空。あんなにも。
雲一つない青空を。
「……は。」
見上げたまま、壊れかけの木偶の坊。
頭蓋のテグス一本張って
地表に膝から崩れて落ちる。
「たっは…あはははっ…。」
だぁれもいない。
街のいづれを見やれども。
木箱、石箱、鉄箱、土箱。
シャッタ下ろしてどこにもいない。
「はは、は。い、生きおおせたぞ…」
漏れる。
湿り気吸い込んで漏滴。
思わず俯き。
でろでろでろでろ。
「生きてるっ!生きてるっ!
はっ。たはは。生きてる、生きてるぅ!」
飛んでいく。
飛んでいく。
悠々と、堂々と。
彼の蒼穹をのびのびと。
「あっは。たはははっ。
あははは。はははは…」
節操ない。
液やら音やら吐息やら。
でろでろでろでろ。
恐ラクコノ文読ム事能ワヌ我ガ恩師。
カノ日ノ本ハ。
師ノ杞憂サエ梅雨知ラズ
サクラ、散ル。 乙太郎 @otsutaro
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