英雄伝説~異世界で最強の魔導師になった僕が勇者パーティの皆を見返しました~

あずま悠紀

第1話


「はあぁ!? ちょっとあんた!!何なわけ!?」

勇者パーティーから追放された元女勇者である僕の幼馴染であり天才剣士でもあるアリアドネは僕を見つけるや否やいきなり声を上げた。その様子にはまるで「どうして私を差し置いて一人で旅に出ることにしたのよ?」といった感情がありありと出ていて僕はつい苦笑してしまうが仕方がないことだと思うのだ。

なんせアリアドネはこの世界の誰よりも強かったんだし。それに僕は元々男だし。

そう思ったからこそ僕は素直に疑問を口にすることにした。そしてそれを聞いた瞬間に何故か怒り出したアリアドネは腰にある鞘から大剣を引き抜くと勢いよく地面に突き立てたのだ。当然、土煙が上がって周りが見えなくなるが別に慌てることじゃない。

そもそも今の僕には【スキル】がある。それは僕のステータス欄にあるこの能力だ。

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名前:ユノリア・アルブム

種族:人間

性別:女性

職業:勇者

状態:正常

属性:無(+聖)

Lv.1 生命力 500/500

(150UP)

魔力 50000 /50000

(50000UP)

気力 48000/48001

(2100UP)

物理攻撃力 19000/21000

(3300UP)

魔法攻撃力 10000/100

(60000UP)

物理防御力 26000/24000

(2000UP)

魔法防御力 32000/32001

(1500UP)

俊敏 2000/2000

(400UP)スキル 光魔術適性 剣術適性(特級)

火魔術適正 水魔術適性(上級)

風魔術適正(中級)

雷魔術適正(中級)

闇魔術適性(中級)

etc 加護 <創世の加護> 祝福 〈神の寵愛〉 <神々からの贈り物(ギフト)>

===

そうこれが新しく得た称号<神からの贈り物(プレゼント)>の力なのだ。ちなみに効果は全系統の属性の適性を得る代わりに魔力が大幅に低下するというものだ。でもその代わりに身体能力が上昇してるからそこまで大きなデメリットとはなっていないけどね。ただこれじゃ普通に強い人の域を脱していないからさっさと旅立つことにしているのだ。まぁ元々魔王退治なんか面倒だったからアリアドネに押し付けただけなんだよね。

「いいから早く私を連れてきなさいよ!!あんたが行かなきゃ私だって旅を続けられないんだっての!!」

「えぇ~嫌だよ」

「はぁ?あんた何言ってんの?」

「アリアドネと一緒にいたら魔王なんてあっという間に倒せるじゃないか」

僕は本心を告げると途端に大声で笑い始めた。その表情はまさに嘲笑といった感じで僕も流石に不満を抱くことになるがすぐに収まる。何故なら――。

「そんな簡単に倒せたらいいんでしょうねぇ。あんたと違って私は才能がないみたいだから」

そう言いながらアリアドネは自身の髪を弄り始めるがそれも仕方ないことだろう。だって彼女の才能はすでにこの世界で並ぶ者がいないほどのものになってるんだし。そう思ってる間にも彼女は自分の髪を引っ張っていた。そしてそれを横目に見つつ僕は言うべきことを言う。

「とりあえず僕は僕なりに強くなるために頑張りたいと思うんだ」

僕はそういうと共に背中に携えた剣を軽く叩きアリアドネを真っ直ぐ見つめるとそのまま背を向けた。するとアリアドネはすぐに僕の後を追いかけてくる。その顔には悔しげな色が出ていたがそれは気にしないことにして歩き続けると後ろから怒号が聞こえてきた。その声は明らかにアリアドネのものだったが僕は聞かなかったことにする。

「待てこらあぁああ!!絶対に追いついてやるからなぁああ!!」

ははは、相変わらずアリアドネは元気だな。そう思いつつも内心はかなりの恐怖を抱いていた。というのも僕は魔王退治に同行することを拒んだのだが何故か勇者パーティから追放されてしまったからだ。なんでもアリアドネの才能を嫉妬した他の勇者達が勝手に決めつけたらしいのだ。しかもアリアドネは勇者達の中で唯一の女であるため尚更のこと勇者達に目の敵にされた。だがそれにもめげることなく魔王を倒すまでずっと一人で戦い続けていたのは本当に凄いことだ。

だけど僕はアリアドネのように強くはない。それに何よりもあの勇者達は強いから僕はアリアドネの側にいるべきではないと思っている。だから今回の旅の目的はアリアドネから離れることでもあるのだ。そのための旅路でありこれから向かう場所は僕の故郷である国になるだろう。アリアドネがいればきっと僕は彼女に頼りっきりになってしまい成長できないかもしれない。だからこそ、僕は僕自身の力に目覚めるために一人で旅に出ることに決めたのだ。それに、どうせいつかアリアドネは僕より強くなり僕を見捨ててしまう。それならば今のうちに離れた方がいい。

そう思っているとふいに誰かに声をかけられた気がして思わず足を止めた。しかしそこには誰もおらず少しばかり不思議そうな気持ちになった僕はアリアドネの声を思い出し、その方角に向かって足を進めていったのであった。

『英雄伝説~異世界で最強の魔導師が転生した先で最強になったらハーレムができた話~』

あらすじ:元男だったが転生した先が絶世の美女だったため女の子になり切った主人公はハーレムを作ることを目指す。その中で様々な問題に直面しながら旅を続けていき最終的には最強の座につく。

本文: 元男だったユカは気がついた時には森の中にいた。そして自分が着ているものが女物の衣装だと分かると困惑したが次第にどうして女になっているのかを理解すると同時にあることに気づくと顔を真っ赤にした。そしてそれと同時に自分はもう以前の自分じゃないんだと思った。何故なら――。

===

「へっ?」

僕はいきなり視界が変わっていく光景を見ながら変な悲鳴を上げる。すると何故か目の前にいる女性が僕を見るや否や嬉しげに手を振り上げていた。一体何をするつもりなんだろうと警戒していると次の瞬間にお腹に痛みを感じたかと思うと地面が迫ってきていたのだ。当然僕の体は地面に打ち付けられることになりそこでようやく状況を把握しようとするがあまりの衝撃の痛さに意識を失ってしまったのである。それからどれくらい時間が経ったのだろうか? 僕はゆっくりと目を覚ますと周囲を確認してから自分の状態を確認してみたんだ。そしてその結果としては酷いことになっていたわけである。まず第一の理由としては自分の身体が女の人になっていたということだ。それだけならまだいいが問題は僕自身に起きたことだった。

それは――僕が女の子になってしまったということだ。更にどういう原理かわからないけど何故か髪が長くなっていたし胸もあったのだ。それでどうしてこうなったんだろうかと思い悩んでいると急に大きな音が鳴り響く。当然、それがなんなのか分からないが何かが起きたということはわかったのでとにかく音が鳴る方向に視線を向けるとそこは大きな広場になっていてそこでは多くの人が戦闘を繰り広げていたのだ。そしてその中には一人の少女の姿があったのを見て驚くことになるとは思ってなかったのである。

===

僕の前に現れたのはとても可愛らしい子だった。その子の顔を見た時僕はつい見惚れてしまい呆然としていた。

だってとても可愛い女の子だったから。年齢は多分一四歳とかそこら辺だ。髪は長い金髪だった。目はとても大きくくりっとしていてまるで小動物を思わせる雰囲気をしていたのだ。そんな彼女に対して周囲の人は敵意むき出しにしていたが僕はその女の子から目が離せなかった。だってあまりに綺麗だったから。でも僕の様子がおかしいことに気づいたのは近くにいた人達だけだったようだ。

すると突然、その少女は僕に気づいたらしく僕の元に近づいてきたのだ。すると周囲の男共の殺気が増した。だけど僕の心はその女の子から目を離せなくて固まったまま何も出来なかった。ただそれでも何とか口を開こうとする。どうしていいかわからずどもってしまう中どうにか声を出して質問をしてみる。

「君は一体?」

「あーあーあぁ」

僕の言葉を理解しているのかどうかよくわからなかった。でも少なくとも返事をしてくれたことは確かだったので僕は大きく深呼吸をするとその女の子に微笑みかける。

「僕の名前は――ユノリアって言うんだ。君の名前を教えてくれるかい?」

するとその少女は笑顔を浮かべながら答えてくれたのだ。その笑った顔が余りにも可愛すぎてまた心臓が高鳴る。そして彼女は僕の名前を尋ねてきたが今の僕には名前なんてものはなかった。そう思うとつい寂しくなって言葉に詰まってしまったがその時だった。僕の脳内には一つの文字が過ってきたのである。

名前 ユノリア

(名前 取得)

「あれ?」

「どうちたの?わたちの名前に何か付いてたかしら?」

その不思議な現象のせいで思わず僕は疑問符を出してしまっていたのだがそんなことを言っても目の前の少女には伝わらないため首を左右に振った。そしてもう一度その名前を呼ぶ。

「僕の名、前?ユ、ノア」

そう口に出した瞬間、僕は何故か涙を流しそうになっていたが必死に抑えて笑顔を作る。だけど彼女は何故か泣きそうになってしまっていて慌てて慰めようとしたのだけど上手くいかなかった。そしてそのまま僕と彼女の奇妙な生活が始まったのである。

===

彼女と出会ってしばらくの時間が過ぎた。その間に彼女が喋れるようになってくれたため会話ができるようになったのは大きい。ただ、彼女の名前がどうしても聞き取れなかったので僕は彼女をリッカと名付けた。理由は特にない。ただ何となくそう呼んでみたいという気分になってしまっただけだ。だから彼女にそのことを伝えると恥ずかしいから止めてほしいと言って来たのは予想外で少しだけ困る羽目になった。そして今日は久しぶりに街に出る日だった。僕はこの森を抜けたところにどんな世界が広がっているのだろうと思いつつリッカに手を引かれて街の外に出たのだ。

僕は初めて見るその光景に圧倒されていた。何故ならその街並みは今までの世界ではありえないような光景が広がっていて僕の目は釘付けになってしまうほど美しかったのだ。建物は木で作られていて、家もレンガのような物で出来ており道は全て石畳によって作られていた。僕はそれらの建物から立ち込める香りから食欲が刺激される。そうしてしばらく歩くとお店の前に辿り着くとそこでお店の店主が話しかけてきたのだ。

「いらっしゃいませっ!お客様は何を食べに来たのですかっ!」

その元気な様子から元気の良さが伺えた。なので僕はメニューを開いてみるとどれもが見たことがないようなものばかりで、とりあえず適当なものを選んで注文することに決める。そしてしばらくして運ばれてきたものは――

「これがパン?」

僕は出されたものに思わず困惑するのであった。そろあいつらが戻ってきたらどうするか考えないとなぁ~」

そんな独り言を呟くと共に今後の展開を想像しながら一人旅を楽しむことにする。勇者の奴はもう完全に見限った。だってあの野郎は絶対に俺がこの世界で生きることに邪魔だからだ。あのクソ女神は勇者達に力を与えてるから厄介なんだよなぁ~。だが勇者パーティは魔王退治を終えた後、解散してそれぞれが自分のやりたいようにやればいいと思っていた。だがその未来は勇者がこの世界を滅ぼそうとしたことで崩れる。

勇者をこの世界から追放すれば後はもう関係ないと思っていた。そもそもあの馬鹿は魔王討伐のために力を欲しがっていたのだ。それなのにその魔王が消えた今、勇者がこの世界に必要だろうか?答えは間違いなくNOだ。

それに、勇者はこの世界でもトップレベルの強者であると証明されているから魔王がいない以上、魔王の加護を受けた勇者が他の魔王に負けることはまずありえなかった。だが魔王の力が消えたのならば話は別だ。勇者の力は半減以下になり下手をしたらそこらの魔物相手に殺されてしまう可能性さえ出てくるのである。だから勇者は魔王を倒しても問題ないが勇者がいなくても世界は大丈夫なのであった。

そしてそんなことを考えながら歩いているとふいに声をかけられる。

「おぉいそこのお嬢ちゃん。俺たちと一緒に楽しく酒を飲みに行かないか?」

そんな下卑た笑いを浮かべる男共に俺は小さく嘆息すると軽くあしらうことにした。

「いえ、私はもうすぐ結婚しますので遠慮させていただきますね。ごきげんよう」

そう言って立ち去ろうとすると腕を引っ張られた。それに抵抗すると今度は足を蹴られそうになったが咄嵯にその場から離れた。すると男は少し苛立った様子を見せるがすぐにニヤケ面に戻る。

どうせこいつはチンピラだろう。こういう手合いが一番めんどくさかった。なぜなら権力を誇示してくる連中が多くてこっちの言い分を聞いてくれないからだ。しかしここで揉め事を起こして目立つとまずいな。一応、今は変装しているから気付かれていないはずだ。

それに騒ぎになれば余計に目立つしそうなると勇者達の耳に情報が入ってしまうかもしれないのでそれだけは避けたい。そのためさっさとこの場から立ち去りたかったのだがしつこく追いかけてくるせいで足が止まることになってしまい、とうとう男の一人に掴まれてしまったのだ。そしてそれを好機と思ったのかもう一人も寄ってくる。流石にこれじゃどうしようもない。

「おいやめろよ。それ以上近寄るな。それと早く離してくれませんか?僕はあんたらに構っている暇なんてありませんので」

すると男二人は一瞬にして動きを止めると急に顔が真っ赤になっていった。その表情は怒りの色が混ざっていて僕は思わず嫌な予感がしてしまう。そして案の定――。

「舐めてんじゃねぇぞクソアマが!!」

その一言と同時に顔面に向かって拳が飛んでくるが何とかギリギリ避けることに成功した。

「あっぶないなぁ。当たってたら鼻の骨くらい簡単に折られていたじゃないか。もう少し冷静になれよ」

すると再び殴りかかってきたので今度はしゃがんで回避すると同時に懐に入り込んで腹部に肘を入れると膝をつく。そして痛みの余りうずくまる男に容赦なく頭突きをして地面に押しつけると両手を後ろ手に回し手首をひねると拘束する。

「これでよしっと。まぁこの程度で許すつもりはないけどな。とりあえず僕の仲間に手を出さなかったことは褒めておく。でも次やったらお前達みたいな雑魚はすぐに死ぬことになるからな。肝に命じておけよ?」

僕はそれだけを言うと男二人から離れる。するとようやく動けるようになったようで男が立ち上がるが顔を押さえてうずくまっておりとても戦える状況には見えなかった。それに仲間は呆然としているせいで僕を追いかけてこなかったので今のうちにここから離れることにした。だけどやはり目立ってしまっている。

そして僕は少し考えてからフードを取ると魔法袋から大きめの外套を取り出し羽織る。それから僕はあるところに向けて歩いて行った。そしてその場所は街で一番高い時計台のある塔の最上階。僕はそこに入り込み誰もいないことを確認してから転移を行う。

するとそこは見慣れた僕の部屋の中だった。すると僕の部屋には何故か僕の幼馴染であり、僕がこの世界で初めてできた友達のリッカの姿があったのだ。

「ユノ?どうしてここに?あたちユノがどこかに行ってしまう気がしたの」

そう言って僕に抱きついてきたのである。そして僕は優しく抱きしめ返しその頭を撫でてあげる。そして安心したからなのかリッカは僕にキスをしようとしてきたので頬にキスを返すと笑顔になる。

「えへぇ」

本当にリッカはとても可愛い子だった。そして僕達はベッドに移動するとその晩は二人で夜を過ごすのであった。===

翌朝になると既に日が昇り切っていたが気にせずに朝食の準備をするために台所に行くといつものようにエプロン姿になったアリアドネが待っていたのだ。僕も彼女も料理に関しては一切の才能がないため基本的にこの家の家事は基本的に全て彼女に丸投げしていた。そして彼女が調理を始めようとするのだが僕は彼女の背後に立ち耳元で囁くようにして話しかけたのだ。

すると彼女はビクッとすると驚いた顔で振り返るのだけどそれが面白かったため笑みを浮かべるだけにしておくことにした。

「びっくりしました?驚かせるつもりだったんですよ?それよりご飯が出来ましたら呼びますから部屋に戻っていて下さい」

彼女は恥ずかしそうにそう言うのだけどその言葉とは裏腹に全く恥ずかしそうではないどころか嬉しそうに見えるのが不思議でしょうがなかった。だからと言って僕はその気持ちを口にすることはせず素直に従っておく。そうしなければ怒られるからなぁ~と思いつつ階段を上り自分用の寝室に戻るとリッカは僕を待ち構えるようにして座っていた。そして僕は苦笑いをしつつもリッカの隣りに座って一緒に食事を摂ることにしたのである。そうしてしばらくすると扉が叩かれる。僕は誰が来たのかを察知する。そしてリッカをその場に残して一人で廊下に出てみるとそこにはアリアが立っていた。その手に持つ盆の上は湯気を立てているカップが置かれていることから飲み物を持ってきたのだろう。

僕はそのまま部屋に入るように促すとお茶を差し出された。それを飲んでみると普通よりも少しだけ美味しいかなという程度だった。それでもこの味を出せるのは凄いと思う。だがこれを飲めるということはもうすぐお昼時だということだ。なので僕はアリアの入れてくれた紅茶を一口だけ飲むと飲み終えたコップを手渡し、彼女を部屋の中に招き入れると彼女の目の前に立つ。

そうすると彼女は少しばかり不安そうな顔をするがそれを無視して彼女の胸を揉んだのだ。すると彼女は驚きの声を上げて逃げ出そうとするがそれを抱き締めることで封じ込むと僕の行動の意味を伝えるために彼女に話しかける。

「ねぇ、今日は何が食べたい?何でもいいよ?なんなら外に出掛けようか?久しぶりにさ。何食べたいか考えてみてよ。それ次第で外に出るからさ」

そして暫くの時間が過ぎると諦めたのかため息混じりに答えが帰ってくる。

「ん~じゃあね。あれ!あの、初めてこの世界でお外に出たときに買った肉団子が食べたいな。あとはスープも欲しいかも」

僕はそれに微笑むとわかったと告げて立ち上がるとそのままアリアの体を抱え上げて歩き始める。その際に「きゃっ」と可愛らしい声が漏れたのでその反応に気分を良くして僕はそのままリビングに向かうとそこでリラックスできるようにしておいてあげようと考えたのであった。

「あの~そろそろやめない?」

「駄目だね」

私はそう言われるとユナちゃんが持っているものを見て絶句する。だって私にそんなことしたら痛くて気絶しちゃうんじゃないかな?とか思っていたけど、それよりも更に痛いものを持っているのだ。それは鞭だ。しかもそれの先端部分は棘付き。それであんなことしてもらったりした日には私は死んじゃう。だって先端部分が触れただけであの痛みが走るんだもん。絶対無理だって。だけどユナはニコニコしながら鞭を振り上げると勢いよく私の方に向かってくる。それも結構近い場所まで来ていて――

「ちょっまっ、キャー!!!!!」

そんな叫びと共に振り上げられたものが私に当たると想像してしまい反射的に目を瞑ってしまう。しかしいくら待っても痛みが襲ってこない。そのことに恐る恐る目を開けてみるといつの間にか私の隣にいたユナちゃんが笑顔でこちらを向いていた。

「うん。綺麗な悲鳴が出たね。さて、もう一度聞くけど、覚悟は出来たの?」

その問いかけに対して私は慌ててブンブンと横に首を振る。すると少し不満げな表情になりつつもユナは手に持ったものを自分の体に巻き付ける。そうすると先ほどとは違い普通の肌色の服を着た女の子の姿がそこにあった。それを見ると私は心の底から安堵のため息が出てしまう。

「よかったぁ。ユナって意外とサディストの気があるよね。まさかいきなりこれ持ってこられるとは思わなかったよ」

私はユノの着ている服のスカートを少し摘まむとそれを持ち上げる。そうするとそこからは真っ赤に染まっている太股とガーターリングが見えていた。その姿を見て私が思わず笑うとユノがジト目で睨んできた。

「仕方がないじゃん。これもお仕置きの一部だよ?ほら、早くこれに着替えないと風邪引くよ?もうすぐ冬なんだから」

「わかってる。それにしても本当にこんな格好をするなんて思ってもなかった。ははは」

そう言いながら自室に戻り渡された物を身に付けていく。

「えっとこの上から上着を羽織ればいいのか?」

私は鏡に映っている姿を確認するとやっぱり似合ってないよなと改めて実感してしまう。そう思いながら少し落ち込んでいるとドアがノックされた。

「入ってもいい?」

「うん。今着替えてるから少しだけまって」「分かった。ちょっとだけだから急がなくて良いよ」

そう言われたのだけど急いで脱ぐと少し残念に思ったが、それを表情に出さずに返事をした。

「大丈夫、終わったよ」

そしてそう答えると部屋の中に入って来たユノと目が合う。

「わぁ~かわいい!」

ユノは私の体を頭から足先までじっくりと見つめると興奮した様子を見せる。そう言われても恥ずかしくなって顔を隠すのだけどその手を強引に外されてしまう。

「恥ずかしくなんかないよ。とっても可愛いって!それにとても魅力的だし」

「あはは。あんまり可愛い連呼しないで。恥ずかしくなるから。でもありがとう」照れくさくなりながらもそうお礼を告げると再びユノは嬉しそうに笑みを浮かべる。

「えへへ。あっそうだ。ねぇ今度一緒にお出掛けしない?街を案内して欲しいんだけどダメかな?」

そう言って期待の眼差しでこちらを見てくるが断れるわけもなく承諾してしまった。そしてそれからも色々なことを聞かれたり、それに受け答えをしながら過ごしていった。

そして夕方になる頃に夕食の準備を始める。そしてその間はお互い別行動をすることになったのでユノは一人でどこかに歩いて行った。そう言えばユノはどうして私にかまってくれたのだろうか?別に友達がいないという訳じゃないのにさ。そう考えつつ調理している最中、外から聞こえてきた声でその疑問は解消されることになった。ユノはその容姿から多くの人に声をかけられているみたいだったのだ。

それを窓越しに眺めながら料理を作っていくとようやく完成した。それが完成したらすぐにユノに知らせてあげたかったので部屋をノックしてみたのだが、一向に出てくる気配はない。どうしたのかと思っていると部屋の扉は簡単に開いてしまったのだ。そして中に踏み入ろうとするのだがその瞬間、足元から突然風が起こり髪の毛を巻き上げたので驚きの声を上げてしまった。そして風の元凶が一体何かと確認してみる。するとそこには小さな男の子が立っていたのだ。そしてその子はニヤリと笑い僕に向けて話しかけてきた。その顔がまるで僕の幼馴染のような感じがしたので僕は咄嵯に剣を抜いて身構える。そうしないとこの少年の放つ威圧感に押しつぶされそうになってしまったからだ。そして僕達二人しかいないこの家の中で少年の声が響き渡る。

「俺を殺せ、お前の力をくれればあの方のところへ連れていってやる。あの女とあいつも一緒だ。俺はただお前の力が欲しいだけ。だがもしもその気が無いのならばここで死に絶えるがいい」

その言葉を告げた途端、僕の目の前に居た少年の雰囲気が一変する。その変化に驚き僕は声を上げることが出来ず固まってしまっていると彼はゆっくりと手を上げた。そして次の瞬間にはその手が動き僕を殺そうとするのであった。だがその一撃は僕をすり抜け空を切ると床に叩きつけられてしまい大きな穴を開けてしまうことになったのだ。だがその攻撃はそれだけではなく僕の背後に迫っていた。そして僕を貫こうとするのをギリギリのところでかわすと大きく飛び退く。そうするとさっきまでの少年の体は霧散しそこには僕と同い年ぐらいの男の人の姿が見えた。そしてその人はニヤリと笑う。そして僕を見て言った。

「貴様を殺す。だから大人しく死ね」

そして再び襲いかかってきたがそれを難なくかわすと僕は魔法を使って彼を壁の中に閉じ込める。すると驚いたのか必死に脱出を試みているようだ。だが僕はその間に家の中に戻るとユノとユナを探すことにした。すると台所の方からは包丁が野菜を刻む音やお鍋を煮る匂いなどがしてくるのがわかりそちらに向かう。そこにはいつものエプロンを着けたユノが楽しそうに料理をしている光景があった。なので僕は彼女の背後に立ち声をかける。

「お手伝いすることあるかな?」

その言葉を聞いたユナはビクッと肩を大きく跳ねさせると振り返り僕の顔を見た後、笑顔で話しかけて来た。

「もう出来たから後は運ぶだけだよ。ユナちゃんが手伝ってくれたおかげですごく早くできたんだよ。ユナちゃんがいなかったら絶対に間に合わなかったよ」

そしてユノが僕の方に手を伸ばすと僕の頭を撫でてくれたのである。それを受けながら僕は彼女の横に行くとそこに並んで皿に料理を盛りつけていく。そうしていくと次第にユナは落ち着きを見せていき、最後にサラダを持って食卓へと座るのだった。そしてそれが終わるとユナとユナの向かいに座っているユノと一緒に食事をすることにしたのだ。ちなみにこの家にはまだ椅子が少ないこともあり、今は二人がテーブルの上に直接乗っていて食事をとっている。

「いただきます」

「「いただきます」」

そう言うと僕はスープを一口飲む。するとユイと食べていたときのことが思い出されて懐かしさが胸に広がる。そうやって少し涙目になっているところにユノが近づいてきたのであった。するとその手には何やら瓶が持たれていて不思議に思い首を傾げると彼女は少し顔を赤くしながらそれを手渡してきた。

「えっとこれなに?」

そう言いながら僕はそれを受け取り蓋を開けてみると中身は水だと思われたので、それを口に含み飲み込んでみるとそれはお酒であった。その事に驚くが特に害は無さそうな気がしたのでもう一回飲んでみると確かにアルコールを感じることが出来るものだった。それに安心し再びユノを見ると彼女は真剣な表情をしていた。

「私にもユナはあげれないけどこれあげる。それがあれば寂しさが紛れるでしょ?だから持っていて。いつかきっと私のことを愛してくれるようになってみせるから」

その声を聞きユナは一瞬呆けたような顔をするがその後笑顔になってユナのことを抱きしめてあげていた。その姿はとても美しく見え、何故か分からないけど見ているこちらまで幸せになってしまうそんな気持ちになった。そしてそんな幸せな時間を過ごしていたのだが――そんな時間が長く続くことはなかった――――突如として轟音が響いたと思うと家の天井に大きな穴ができておりそこから一人の少女が姿を現したのだった―――――そして少女はユナに手を向け魔力を集め始めていくのだった――――――――――。

そして僕はそのことを理解すると同時に走り出していたのだ。何故なのかはわからないけれど彼女が何をしようとしているのかを直感的に理解してしまい全力で走ると何とか間に合いそうな位置に辿り着くとそこで剣を振り上げようとしたのだけど、それより先に少女は詠唱を始めてしまった。そしてその詠唱が終わったのと同時のことであり僕は力任せにその少女に向けて振り下ろすのだった。その攻撃をまともに食らってしまったのか少女は大きく吹き飛ばされ地面に打ち付けられてしまった。しかしそれでも立ち上がろうとしたのだけど上手く体に力が入らないらしく立ち上がることが出来ない様子だったので、今度はユノの方に向かいユナを連れてその場から離れることにしたのだ。

ユラは僕の方を見るとうっとりした表情をしながら近寄ってくる。そしてそのまま僕を押し倒すように上に覆いかぶさると首筋に噛み付いて来た。そして僕とユノの血を吸う度にユラは妖艶な雰囲気を漂わせ始める。

「ユナを返しなさいよ。そいつらは私の獲物なんだから!」

そう言って襲いかかって来たのだけど僕は即座にユノを抱きかかえると背中から倒れて衝撃を和らげながら転がると、それと同時にユノを離す。そうして僕が立ち上がってユノを見つめた瞬間、ユナの首筋に新たな傷が出来るのが見える。そしてそれを確認した直後、ユノはその場に倒れたのだった。

その姿を見てユノを助けるためにはどうすれば良いかを考える。まずユナからこの女の子を遠ざける必要があるのだが、その為にはどうやってこの場所を離れよう。僕が考えていると女の子が再び僕に迫ってくる。だけどその一撃を難なく避けることが出来た。そして剣を構えるのだが女の子はその体勢から地面に向けて蹴りを放ったのである。そして僕の体が浮き上がり壁に激突してしまう。だがそれだけで終わらず追撃するように再び壁に向けて蹴りを放つと僕の体は空中に弾き飛ばされてしまった。だが僕はなんとか壁に手をつくことで勢いを止め落下を免れることに成功すると再び攻撃を仕掛けようと足を踏み出したが突然の頭痛に襲われ思わず動きを止めることになる。そしてその間にユノに襲いかかっていたはずのユノが立ち上がりユノに向かって斬りかかったのを見て意識を失ったのであった。そして気がつくとそこには心配そうに僕の顔を見守る三人の姿があったのだった。そうしているうちに徐々に体の調子も戻りつつあったのである。

そうして動けるようになったところでユナは体を起こすとユイと女の子の二人を見つめた。その顔は今まで見たことがないぐらいに怒りに満ちたもので僕は思わず驚いてしまうほどだった。そして立ち上がったユナは静かに二人の元へ歩み寄るとその顔に手を当てた。その瞬間、二人はビクリと体を震わせるが抵抗する素振りを見せず大人しくされるままになっていた。そうして暫くの間じっとしていた二人だったけどすぐに解放されたようでお互いに顔を見合わせていたが、すぐにまた向き合うとお互い武器を構え始めたのだった。だが次の瞬間、ユナの手の平に光が収束していき二人の足元に向けるとその瞬間には強烈な閃光を放ち僕達は目が眩み視力を奪われてしまう。そうすると次の瞬間には僕の隣には見知らぬ少年が立っていたのである。僕は何が起きたのかが理解できずにいると僕にその少年は手を伸ばして来ようとするのだけど、その手を避け距離をとる。そして僕達が戦闘を繰り広げていると急に家が揺れ始めて何かが崩れ落ちる音が聞こえてきた。そのことに驚きつつ戦い続けていると僕達がいる場所以外の天井や床が一気に崩れてしまい大きな音を立てながら僕達のいる場所にも崩壊が襲いかかった。だが僕もその子もお互いのことに集中しているせいもあって全く意に介さないのであった。

そして僕はこの男の子が誰なのかが気になり話しかけてみた。

「あの君は誰なの?」

だが返事はなくただただ無言で攻撃を続けるだけであった。そうこうしているとユナが僕を援護しようと魔法で少年を吹き飛ばしてくれ僕との距離を作ってくれる。そしてその隙を突いてユナは女の子の腕を掴み拘束することに成功する。その行動に対してユノは文句を言う。

「その子にはユナをあげるっていったよね?だからその子を返して。ユナならいいでしょ?」

だがそんな言葉をユナは鼻で笑うだけだった。

「冗談じゃないわ。私はこいつに惚れてるの。こんな男にね。ユナがどれだけ可愛くたって関係ない。だからその子は諦めなさい」

その言葉にユイは顔を真っ赤にすると恥ずかしそうに俯いてしまう。その様子を見て僕は苦笑するとその隙を狙って襲ってきたユナと男の子の攻撃を受け止めてしまう。すると僕はあることに気づくと思わず笑いがこみ上げてきてしまうのであった。

ユナとユナそっくりの男の子が争っている。そう思っていたら片方は別人だったというオチがあった。まぁそれならば仕方が無いとは思ったのだがその女の子の方はそう思っていないようだ。ユノと同じような動きをするし明らかにユカより強そうなのだ。だけど僕にとってはそんな事はどうでもよかった。僕が欲しいものは目の前で戦っていたユトが持っているのだから、他の女の事なんて知らないという感じである。

「悪いけど君よりもそっちの子のほうが魅力的に見えるから」

そう言ってからユナは腕を掴んだ状態の男の方を蹴り飛ばすとユナはこちらを向いてきた。それに対して僕は剣を構えたまま警戒していたが何もしないところを見るにもう戦う意志はないようだと判断し剣を下げたのだが、それを待っていたのかユノと僕の間に巨大な火の玉が放たれ直撃を食らうこととなった。その結果、僕は火だるまとなり地面に転がり回った。そんな僕に容赦なく炎を纏ったナイフを投げ続けるユラに殺意を抱くのだった。そうこうしてなんとか立ち上がってきた頃には全身大火傷を負いながらもまだ息をしている状態でかなり苦しかったがユナが僕の手を掴むと引き寄せ抱きしめてくれた。すると次第に僕の体の熱は消えていったのだ。するとユナはすぐに僕の怪我を治してくれ、僕は痛みを感じない程度にまで回復してくれたのであった。

僕はユラを睨むと彼女は楽しげに笑う。

「流石勇者。あれだけの攻撃を受けて無事だとは驚いた」

その言葉に僕は内心ため息をついていた。そしてそれはユムがここにいることと関係がありそうであったからだ。だけど今はそんな事を気にしてもしょうがないので僕は無視する事にした。

「それで、結局どういうことなの?」

「簡単に言えば貴方たちを捕まえろと言う命令を受けていたんだけど、どう見ても捕まえられそうな気がしなかったから諦めることにしたわ。それとさっきの質問の答えは簡単よ。私の方が強いんだから私がそいつを好きになるのは当然のことよ」

それを聞いて僕は頭が痛くなった。何故そこまでユナとユラに差があるのかわからないのだ。そもそもどうして同じ人間が分裂するのかも謎だし何故にその事にユナは違和感を抱かないのか? それにどうしてこの二人が僕を殺そうとしたのかもわからなかった。そんなことを考えていたらユナがユナとユラを指差したのだ。

「あんたらが同一人物であることに納得出来ない。確かに双子とか三つ子って可能性もあるだろうけどユナの目はごまかせないからね。ユナにはユナの見分け方があるの。それは――魔力の質が違う。それだけじゃなくて魔力の色が少し違うの。つまり魔力を感知すればわかるわけ。それに加えて性格も似ていて容姿まで似ているからね。これは同一人物だって断言出来る証拠。ちなみにだけど、魔力が変質していたのは、きっとあの剣が原因だと思うのだけどどうなのかしら?」その問いにユラが反応を見せる。どうやら図星のようでありその顔は悔しげに染まっていた。だがすぐに余裕そうな表情に戻るとこちらに近寄ってくる。

「残念ながら私は貴方の言うとおり同一人物だよ。だからユナのことはあげられないし譲れない」

ユラがそういうと同時に僕の隣に立っているはずのユナがユラの隣に現れる。そうやって二人は同時に僕の頬にキスをしてくるのだった。それから二人して妖艶な雰囲気で僕に視線を向けるのだった。その光景に僕は思わずドキッとして見入ってしまう。

その瞬間に僕は二人の雰囲気に飲まれてしまったことに気づいたのだ。だけどその時にはすでにユナは僕から離れていた。そしてユノも既に離れたらしく僕の手を握ってくれていたので僕は立ち上がることが出来たのだった。だけどその前にユノと手を離すと女の子が持っていたらしい杖を拾い上げると僕はそのまま女の子の頭に突きつけたのである。

「これ以上僕たちに手を出したら許さない。わかった?」

僕がそう告げるとユノはうんうんと首を縦に振る。それを見た僕はユラを睨みつけるとユノを庇うように抱き寄せた。その態度を見てか女の子の額には青筋が浮かび上がったのが見えた。そして僕に向かって飛びかかってこようとした瞬間、僕は女の子に背を向けてそのまま女の子に向けて駆け出すとその背後で爆発が起きたことで背中に強い衝撃を感じたが構わず走り続けた。それを追いかけてくる足音が聞こえたが僕は気にすることなく振り返ることなく走り続けていたのだが次の瞬間、足を滑らせてその場に転んでしまったのである。そして起き上がろうとしたところで背中を強く踏みつけられるような感覚に襲われた直後、意識を失ったのだ。だがその直後の出来事によりすぐに意識を取り戻すことになった。何が起こったのかと言えば誰かによって蹴飛ばされたらしく宙に投げ出されたことで意識を失ったことがわかったのだ。だが何でそのようなことをされたのか分からなかったのである。

僕は一体誰が蹴り飛ばしたのかを確認するためにゆっくりと体を起こすとそれを確認したのだがそれが間違いであったことに気づくと即座に体を起こすことになるのだが時は既に遅かったようである。そうしているうちにユナも意識を取り戻したらしく僕を見て嬉しそうに笑いかけると近づいてきて僕に抱きついたのだった。その瞬間に僕の体がビクリと跳ね上がり痛みに耐えようとするも僕は悲鳴をあげてしまうことになる。そう、ユナが胸を押し当てたのだ。その感触を楽しみつつ痛みに耐えるのだけどその様子に気づいたのかアリアはニヤッと笑ってから僕から離れるとユナの横に並んでいた。そして僕は自分の胸に手を当ててみるとユカに膨らんでいたおっぱいがなくなっていたのだ。そしてすぐに何が起きたのかを理解する。そして痛みが消えたので安心して一息つくのであった。

そうこうしている間にユイとユノが起き上がってくるとユノとユナはお互いのことをじっと見つめ合った後にお互いが別人だと理解したらしく僕達のところにやって来る。

「ユナも大丈夫そうだね」

僕はそう声をかけるとユナは大きく微笑む。

「えぇ、ユムが助けてくれたおかげだわ。それにしてもまさかこの子が分裂しているなんて夢にも思わなかったわ。それでユカ。その子誰なの?可愛いし綺麗だけどさ、ユナは認めないからね」

ユカはそう言いつつ僕の方を指差したのでその先にいるユラを見るとユナとユムを見つめていた。

「その子はユトの恋人だからダメだから」

そのユトの言葉を聞くとユナは不機嫌になり、僕に対して文句を言い始めたのだ。そんなユトに僕も便乗する形で文句を言うと二人は黙り込み、そして何故かお互いに喧嘩を始めてしまいそれを見ていると突然、家の扉が開かれたのだ。

その瞬間に全員の注目が集まるのだった。そこには先ほどユナを吹き飛ばしてくれた少年の姿があり僕は彼に近づき話しかけるのだった。

「久しぶり、でいいのかな?」

すると彼は驚いた顔をしたがすぐに笑みを浮かべて返事を返してきた。その事に違和感を覚えたのだがその正体が何かはわからなかったので放置することにしたのだがその途端に家の中から叫びが聞こえてきたのである。それもかなり大きな声で僕達はそちらを向く。そうするとそこではユイとユムが口づけを交わしている姿が見えたのである。そして僕達の存在に気付いたのかユイとユムは慌てたように離れていく。そんな二人の行動に呆れた視線を向けるユナとユム。そしてユカの方を振り向いたがそこにユカはおらず代わりに僕の背後に人の気配を感じ振り向いたら僕の頬を舐めていたのだった。

僕は慌ててユカを突き飛ばすと僕の横をすり抜け外に出て行くとユトに襲い掛かろうとしていたのだ。それを止めるべく僕は動き出そうとしたけどそれよりも速くに動いた人影があった。それはなんとユラだったのである。彼女はユカが持っている杖を奪うとそれを僕に差し出してきた。その行為に疑問を覚えつつも僕は杖を受け取った。そしてユノが近づいてきたことに気がつく。

「あれって分裂していたのよね?だったらもう片割れの方は何処にいるの?」

その質問に対しユナが僕の肩を叩き指差す方向を見るとそこにはもう一人の女の子が立っていた。

「ユナさんが心配なので様子を見に来ていたらユマ様達が倒れていたのでつい、助けに入りました」

その女の子は丁寧に挨拶すると頭を下げてくれたので僕は慌てて会釈を返すと、ユナがその女の子の腕を掴む。すると女の子は驚いて目を大きく開き、その後で苦笑いした。

「貴方、名前は?」

「えっと、そのユカです」

ユムの名前を聞き、一瞬戸惑ったがどうにかそう答えられた。その事を確認しながら僕はユムに尋ねる。

「ユムはいつ分裂したの?」

その言葉を聞いたユムは困ったように笑うと頭をかき始める。

「さぁ?気がつけばそうなっていたと言うか。最初は本当にびっくりしたんだけど今はまあ気にしないことにしたんだ。それより君があのユカだっていうのはどういうことなんだ?確か勇者って呼ばれていたみたいだけど。でも男だったと思うのだけど」

僕はその事に違和感を覚えたものの答える。どうやら分裂する直前から記憶がないらしく自分が何をしたのかも分からないらしい。

「僕には良くわからないけれどこの杖を使ったせいで女になったんじゃないかって言われてるよ」僕はそう告げてから目の前に立つユナを見るのであった。ちなみにユラは僕が渡してあげたお菓子を幸せそうな表情で食べている姿をユミと一緒に眺めていた。その姿に少しばかり羨ましいと思いつつもユラから視線を逸らすと僕は改めてユノにユナとユムのことを説明する。

「ユノ、二人を頼むね。それに、これから一緒に行動する仲間になるかもしれないからちゃんと紹介するからね。それじゃ僕はユラに話を聞かないといけないことがあるからちょっと待っていてくれるかい」

「分かった。だけどユイは連れていくね」

「ユイのことはお願いね」

僕がそういうと同時に僕はユムを連れて部屋を後にするのだった。

「ユラに聞きたいことがあったんだよ。あの時、どうしてあんな事をしたのか、とかね。ユノやユムがいるのにも関わらず、ユイにキスをしたのか。それがどうしても許せないんだよ」

僕がユメにそう話すと、ユメは僕を睨みつけるような視線で見つめてくるのだった。その視線に僕は冷や汗を流しつつ視線を受け流すと笑顔でユメを見つめる。だがユラは何も言わずただニコニコとしていただけだったのである。その様子に不安を抱きつつ、僕は問いかけた。

「ねぇユノ。今、ユナはどんな感じなの?ユナと違って暴走していたりしないよね?」

その問い掛けに対してユノは首を縦に大きく振ると僕の手をぎゅっ握りしめてくる。その手は冷たく震えていたがそれでも離さずにずっと僕の手を離そうとしなかったのである。それを確認すると僕は安心して微笑みかけたのだ。するとそんな僕を見てかユノは涙を浮かべて泣き始めてしまった。

僕が慌てるとすぐにユナが現れてユノを抱きしめるとそのまま抱き上げてどこかへ行ってしまう。その様子を見た後で僕は再びユノに尋ねようと思った瞬間、ユナが戻って来てユノを抱え上げるなりそのまま何処かに連れて行くのが見えた。

それから数分後にユナは戻ってくると真剣な表情をしてこちらにやってきた。ユムに抱かれているユイも何が起こっているのか分からずに不思議そうにしている様子が見受けられた。そうこうしているとアリアがやってきて全員分の紅茶を用意するとユナに渡す。そしてアリア自身も同じ席につくと全員で話が出来る体制を整えたのであった。そうしているうちにようやく落ち着いたのかユナもユラの隣に座り直すと、ユラを見つめて口を開く。

「で、一体ユナに何を吹き込んだの?まさかユムに酷いことを言っていないわよね?」

そう言い放ったユナの言葉にユトは慌てふためくがすぐに落ち着くと深呼吸をしてから口を開いた。

「ユムを僕の恋人だと吹き込んでおいただけですよ。それと、僕の名前はユーグです。よろしくお願いしますね。ユマ様にお会い出来てとても光栄です」

そのユグの言葉を受けてユナは大きく溜息を吐きだしユイのことをチラッと見ると何かを決意したかのように一度目を瞑る。そうして開いたその瞳には強い決意が見て取れた。

「私は、ユナだよ。ユイのお姉さんみたいなものだけど別に気にしなくて良いからね。それよりも、私も混ぜてもらってもいいかな?」

ユナがそう言うと、ユムとユナは互いに視線を交わす。そうしてからお互いの顔に笑みが広がっていきユナはユムの横へと座るとユトとユムを交互に見た。「ユラ、だったけ?あんたがここに来るなんて珍しいじゃない」

「そうだね。僕だって本当はこんなところに来たくはなかったよ。でも、仕方なかったんだ。あの時、僕のことを助けてくれる人がいたのならきっとユナ、君しかいないと思ってここまで来たんだ。それに、僕とユイ、二人とも女になっていたから、助けてくれるかなって思ったんだ。だからありがとう、ユマ様のおかげで僕は生きている」

ユナに向かってお礼を言うとその言葉を聞いていたアリアドネは微笑むだけで何も語ろうとはしなかった。その事に違和感を覚えて僕はユムに小声で聞いてみることにする。

「もしかしてユナとユム、何かあったのかな?」

その言葉を聞くとユトは何の事だかさっぱりと言った顔を浮かべる。僕はそれを察してみるとユラに耳打ちをする。

「さっきユマ様って呼んでいたから多分だけどさ、二人に何かしたんでしょ?」

その言葉を聞くとユラは困ったように頬を掻くと「ごめん、その事は秘密にしておいて貰えると助かるよ」と言ってきたので、僕は素直に従うことにすると小さく「ありがと」とお礼を言われるのだった。そのやり取りが終わると僕達の方に向き直しユラは話しかけてきた。

「まず、最初に謝らせて下さい。ユイとユナ、そして僕の命を救ってくれたことに感謝致します。そして本当に申し訳ありませんでした」

その謝罪を受けたユナは一瞬だけ悲しげに眉を寄せると口を開く。

「そんなことよりさ。早く本題に入ってくれない?わざわざここにやってきた理由が気になってしょうがないんだけど」

その言葉を聞いたユムは立ち上がると口を開きユカの話をし始めた。どうやら分裂していた間の記憶は全て共有されているようで、全てを話すと今度はユノの話を始め、その後で最後に自分について説明を始める。

「実はですね。僕はユナ達と同じように魔王を倒すための旅の途中で勇者召喚に巻き込まれたんです」

そう言うと彼はユマとユカの方をちらりと一人ずつ見るが特にこれといって変わったことは起きなかったのでユラは少し驚いた様子を見せた。それを確認した後で彼は続きを話し始める。

「そこで僕は、この世界とは別の世界で神として崇められている人物に力を授かりまして、勇者の力を手に入れたのです」

ユラは信じられないと言う顔をしていたがユマは何故か納得してしまったのだった。それを見たユムは「流石は私のお母さんだ」と言い、嬉しそうに笑いかけてきたのだった。

それを見てユナとユラは目を大きく見開き、ユカに至っては自分の事を褒められて照れていた。そんな様子を見ながらもユムはユナを見つめながら続ける。

「それでですね。旅の中で、ユナは僕の事が嫌いになり、ユカと二人で旅を始めたというわけです。僕も自分の事を嫌っていましたからその方がいいと思ってそのまま別れました。でも、その時に力を使い果たしてしまっていてこのままだと僕が死んでしまうと思い、ここに戻ってきました。ユナに助けてもらうために」

ユラは話を終えるともう一度深く頭を下げると、ユムの方を見つめてから真剣な表情になると質問を投げかけた。

「なんで僕を頼ろうと思ったの?確かに僕には君を助ける力があったかもしれない。だけどそれはもう使えないはずなのに」

その言葉を聞いてユナ達は驚いているがユナは一人納得した様子でユラを見つめた。

「そっか。貴方がユナの弟なんだ。なるほどね、ユラが言っていた通りに優等生って感じの子だね。だけどさ、ユラ。残念なことに今の私はその力は持て余して使いこなせていない状態なんだ。正直に言って、私がユラを助けた理由はね。ユナのためでもあったけどユラに期待をしていなかったから、だったんだよ。その証拠に私はあの子に剣を渡さなかった」

「どういうことですか?」

「私とユラ、同じでしょ。つまり、君は、その力を使いこなすことができると思うの。だって、その目はしっかりとしているもん。それに私もユラも女の子になった時の記憶はある。あの時はびっくりしたなぁ。私達がユムみたいにキスしたら女になっちゃうんだもの」

その話を聞いて僕はユラのことを見つめた。すると、その視線に気付いたのかユラは恥ずかしそうに俯いてしまうのだった。その反応を見る限りでは完全に心は乙女であることが分かったのである。

「あの、僕はユイと恋人になりたいのに女にされてしまったのですよ?どうしてユイとユラは女になっているんですか?」

「えっ、どうしてだろう。分からないけれど。とりあえず、ユイと仲良くなったんだよね?」

その言葉を受けてユラは力強く何度も首を縦に振った。その様子にユナは笑みを見せると「じゃあさ、今度デートに誘えばいいじゃん」と軽い感じで言ったのだ。その提案に対してユムは動揺を隠せずにあたふたと慌てていたが、やがて覚悟を決めたのか真っ直ぐにユナの目を見るとはっきりと口にする。

「僕は、僕とデートしてくれませんか。ユナ」

「へっ!?いきなり何言っているの!そんな事できる訳が――」

「私は良いよ。ユラのことも大好きだし。一緒に買い物に行ってあげる」

ユムの言葉を受けるとユナは目を輝かせ、ユナは頬を赤く染める。そうしてからチラッと僕を見てはユラの方を向くと、意地の悪い笑顔を見せて「ユイ、私も連れていってね!」と言ったのであった。それを受けてユイも同じように微笑みかけると言ったのである。そうすると二人の美少女に見つめられた少年はたじたじになりながら了承してしまうことになった。そしてその様子を見ながら楽しげにアリアは紅茶を口に含むのだがその姿はとても綺麗で様になっていたのであった。

そういえばアリアに聞くことがあるのを思い出した僕は席を外すことにすると彼女に近づいて声をかけたのである。そして僕は彼女と一緒に部屋を出て廊下に出るなり問いかけることにした。そう、彼女の正体に付いてを尋ねることにしたのである。その問い掛けに対して彼女は少し寂しげな瞳を見せてきたのだったがそれも束の間でありすぐに切り替えると口を開くのだった。

僕は彼女と二人っきりになることがあまりなかったのでとても緊張してしまい、何となく落ち着かない気持ちになる。そんな僕のことを見ていたアリアドネはクスリと笑うと口を開いた。

「別にそこまで警戒する必要は無いですよ。少なくともユナやユラに酷いことをしていない限り、あなた達に何かしようとは思っていませんから。それよりも今は魔王を倒すことに集中して下さい」

「その魔王を倒したら、その後はどうするの?」

「もちろん元の世界に戻るつもりですよ。そのためにこうして私はここに居るんです」

「それって元の体には戻れないんじゃないの?僕とユナの場合は、完全に別人の姿にされていたんだから」

その疑問をぶつけてみると、彼女は僕に向かって笑みを浮かべるだけで答えることはなかった。僕はその反応に困り果てると苦笑いを浮かべると、その話題はここまでにしましょうと言われたのだった。僕はその言葉に従い話を終わらせようとしたがアリアドネはまだ聞きたいことがあったようでこちらに向かって話しかけてきた。その内容はこの城にある書物庫についての事だった。

「この世界に関する資料を読み解くのなら、その方が良いと思いますよ。あそこは魔王の配下である魔物も立ち寄らないので安全な場所なんです」

「でも勝手に入るのはダメじゃないの?」

「ふふん。そこは大丈夫です。その部屋には常に私の許可がある人しか入れなくなっているので」

そう言うと僕の手を取り引っ張っていく。そんな様子を目の当たりにして困惑するが僕は手を離すことが出来なかった。それくらいにその感触に感動していたのだから。それからすぐに目的地に着いたのだろうがそこにはドアノブのようなものは無く、どうしたものかと考えているとアリアは僕の方に振り返るなり口を開いてくる。

「その壁に右手を押し付けて魔力を少しだけ込めてください」

「こんなのでいいの?」

僕は言われた通りにやってみることにする。それに合わせてアリアは微笑むと呪文のような言葉を呟く。そうすると壁が淡く発光したかと思うとその奥へと扉が出現したのである。しかもその扉はかなり頑丈そうな見た目をしており、普通の人間では開けられないだろうと思えるほど重たかったのだ。だが僕達には関係無いようだったので難無く入室できた。

「うわぁー!これってこの世界について書かれた本?」

中に入るとそこには天井まで届くような本棚が大量に並べられており、様々な本が収納されており、その中にはかなり古いであろう本も沢山見受けられた。しかしそんな本の中にも新しいと思われる本もあり、僕はそれを一つ一つ丁寧に確認しながら読んでいたのだが途中で集中力が途切れてしまった。その理由は簡単である本を読むより本を整理するのが大変だったからだ。それに本の数も相当なものであり、全部を確認するとなると相当時間がかかるのではないかと思うほどの量があったので、一旦ここで読むのをやめて休憩することにした。そんな僕の様子を見守っていたユナは不思議そうに僕の顔を見つめている。

「どうしたの?急に読み始めて」

「えっと、ユナ達はここに書かれている文字読める?読めないと不便でしょ」

「確かにそうかもね。だけど私達にはちゃんとユラ達の記憶と能力が受け継がれているから問題は無いはずなんだけど。それでも不安だって言うんなら私に任せて!」そう言い終えると同時に僕の手から一冊を抜き取るとそれを確認し始めたのだ。その様子を見ていてユムは僕達のことを見てくる。その目は明らかに期待に満ちていた。なので、ユナはそんな彼の様子を嬉しそうに見ていると僕と目が合うとウインクをして来た。その行為に思わず顔を赤くしているとユナはユムの方を見ずに話し始める。

「ううん、大丈夫みたい。この字はユラの持っている記憶にも刻まれているよ」

そう言うユナに安堵すると僕は改めて手にしているその本の表題を視界に入れたのだがその瞬間、その題名の衝撃さに驚きの声を上げることになる。なぜならばその題目というのが【勇者の歴史~勇者の全てを知るために~】というものなのだからである。僕は恐ろしく思いながらもゆっくりとその表紙をめくってみることにすると、ユナもその横から顔を覗かせるようにして見守る。するとそこに描かれていたのは、やはり想像通りの絵と文章だった。

その日は久しぶりにユナと一緒にお風呂に入っていた。そう言えば二人で入るのはあの誘拐事件以来かもしれないと思いながらユナの髪の毛にシャンプーを付けていく。するとユナは目を瞑ったまま話しかけて来た。その表情はいつものように明るく、本当に機嫌が良い事が分かったが、一体何があったのかは分からない。まぁそれは後々分かることだと諦め、まずは髪の毛から洗い流してあげることにした。

ユナが僕達と同じ性別になってしまったあの日以降、僕はユナに対して何かしてあげられることが無いか考えていた。そこで思い出したのが女の子同士にしかできない事、すなわち女子トークと言うものである。ユナの気持ちを知りたい、ユムのことをもっと知りたいという気持ちからユナとユムに提案したのだ。最初は戸惑っていたが最後には乗り気になってくれ、早速今日に決行することになったのである。僕は先に一人でお風呂に入っているためユナのことを待っている状態なのであるが、何故か妙に緊張してしまい、自分の体を隠すように両腕を組んでしまう。その時に、不意に視線を感じたのでそちらを向くと、ユナのニヤニヤとした顔が見え、それに気づいたユメも同じような顔でユラに微笑みかけていることに気が付き嫌な予感がしたのである。すると次の刹那、ユカが乱入してきたことによってそれが現実となってしまったことを知ることになる。そしてその後に起こったことはご察しの通りだと思って欲しい。ただそれだけを伝えさせて貰いたいと思った。そして結局は全員で背中を流し合いをする事になったがユラに関してはその光景を微笑ましそうに見つめていたので助かったと思うばかりであったのだった。そうこうしていたらいつの間にかに眠ってしまったようで気が付いたら翌朝を迎えており、三人がベッドの中で寄り添いながら幸せそうに寝ていたことは今でも忘れられなかったりするのであった。

そういえば僕が今現在居るこの場所は魔王城に居たりするのだけれどその城の大きさたるや半端ではなかったのだ。なんというか東京ドーム何十個分の広さはあろうかという広さで部屋も数え切れない程あり、しかもこの城を守護する魔王軍の幹部は一人残らず強いときた。なので、その人達を倒して仲間にすることは不可能だと思う。つまり今の時点で出来ることはひたすらレベルを上げて強くなり魔王と戦うことだけしかないのだと思っている。そう考えてしまうのも、ここに連れて来られる前に出会った幹部であるオーガロードに完膚なきまでに負けてしまったからだろうと思うが、だからこそ強くなってみせる。僕はこの世界に転生してからずっとそう思っているのだ。だから僕は今日も修行に励む。そうすればいつかはオーガロードを倒す事が出来るようになるだろうと信じながら――。

ユノは僕の手を取るなり駆け出すのであった。それを受けて僕は引きずられないようにしっかりと走り出したのだが直ぐに限界が訪れた。僕は膝に手を置くと呼吸を整える。その様子を見たアリアドネはとても申し訳なさそうな表情で僕に謝罪してくる。それを見て慌てて僕が謝ろうとしたところでアリアは言葉を口にした。

「すみませんユラさん。私、ちょっと張り切りすぎましたね」

「ははっ。気にしないで大丈夫だよ。それじゃぁさっきの話の続きをお願いしても?」

「えぇ勿論ですよ。ではこちらへ来て下さい」

僕が歩きだすと後ろからは息が切れていないユナとユメが続く形で歩くことになった。そのまま先ほど出てきた扉を通り抜けると、その先の空間がまるで学校の教室のように広がっている事に驚いた。それも机と椅子が置かれていることから恐らくここは授業を行うための施設ではないかと思う。そう考えているうちに僕は一つの席の前に立つと座るように勧められたのでユナとユムの二人にも同じことをした。

そうして全員が腰かけると僕は目の前にある教科書のような本をアリアドネに見せて貰いそれを読み始めた。

『初めまして皆様方。これから勇者召喚についての話を始める前にこの世界の事を簡単に説明したいと思います』

そう言葉にしたのはこの部屋の中央に立っている女性で見た目としては年齢は20台前半くらいであり綺麗で清楚な雰囲気を持つ人だった。だがその女性は人間では無くて魔物のようである。

何故なら彼女の額には二角鬼と呼ばれる魔族の特徴である二つの角が存在しているからだ。しかしそんな見た目をしているにも関わらずその女性の雰囲気に恐怖を抱くことは無かった。というのも彼女の声がとても優しく、そして温かい感じがしたため僕は警戒を解く。その様子はユナとユムの兄妹も同じようにしているようだった。その様子を確認したからか彼女は微笑む。その微笑みの美しさに僕達が揃って照れてしまっていると、彼女は話をし始めた。

『私の名前はアリシディア。魔王軍の参謀を務めております。そして魔王陛下から貴方達に頼まれた仕事を遂行しており、それについては魔王軍の幹部である七将軍についての説明をすることとなっておりますのでその話をします。その話をする前にまず、貴方達はどうしてこの部屋に集められたのか疑問に思われていることでしょう。では質問ですが、なぜ魔王が人間達を滅ぼすような行動に出ようとしているか分かりますか?』僕は突然そのような問いかけを投げ掛けられても分かるわけがないと思いつつも、答えないと話にならないだろうと考え答えることにした。

「そうですね。考えられる理由としては魔王自身が人を恐れているのではないでしょうか?」

そう口にすると僕はユメの方を見るのだが彼女も僕と同じように考えたのだろうかと不安になってしまう。すると僕の隣に座っているユナの手を握るユマの様子に違和感を覚えたのである。そんなユナの顔は少しだけ赤くなっているようなそんな気がしたからだ。だが僕のその勘違いはすぐに解けることになるのだが、ユメの言葉によって僕の頭の中に存在していたその考えは打ち消されてしまった。それは――僕と同じような意見を持っていたということだ。

「ユラの言う通りだと思うよ。だってこの世界って勇者と女神の力に頼り過ぎているところがあるでしょ?それで人間側が不利になるっていうのが今の私達の置かれてる状況なんじゃないかなぁ。そう考えると魔王が怖がるのは無理もないよね」

ユナはそう言った。僕もそのユナの意見には賛成だ。それに僕にはもう一つ気になることがあった。それは僕達以外にこの世界に召喚された人間は一体どうなったのかということなのだ。あの誘拐事件の日に僕は確かに殺されかけたし殺されると思ったのだ。そんな僕を救ってくれたのは間違いなくユナのお陰ではある。だけどその時の状況からしてユナはその場にはいなかったはずだ。なら誰がユラを助けてくれたのであろうか。その謎を解き明かすためにはどうしても魔王を倒さなければならない。そのためにも、ユナとユムには早く強くなって貰わなければと思う。するとそんな僕の気持ちを読み取ったのかは分からないが、隣に居るユナは僕に話しかけてきた。

「大丈夫だってユラ!きっとなんとかなるよ。その為にももっと頑張っていこう!」

そう言って笑顔を浮かべてくれるユナに心の中で感謝をしながら僕は返事をする。それから再び魔王軍の幹部である、七将軍についての説明を受けるのであった。

「魔王軍の軍団の構成は主に三つに分かれている。それが三魔将、四神、そして六天。それぞれの将軍は配下の者達を纏め上げて日々訓練に励んでいる。その強さは魔王軍内でも群を抜いていて、特に幹部の三人は別格の強さを持っていると言われている」

そう言葉を告げたのは七将軍の一人であり【戦の神】と呼ばれている人物である。彼はその名前の通り、戦に特化した能力を持つ人物であり、戦闘技術においてはどの幹部よりも長けていると噂されている人物であった。また彼の持つ武器は槍であるためその特性を最大限活かせる戦いが出来る。さらにその肉体美はまるで彫刻のように整っていて男でも惚れてしまいそうになるほどだ。そしてその外見からは想像出来ないが、年齢的には40歳手前だと言うから驚くしかない。そのせいもあってか彼は部下からも好かれているようで、よく酒を飲み交わす仲だと聞く。そんな彼が今回僕達に説明する役割を与えられたのには理由があって、なんと僕達と一緒にこの城で生活をしてくれるのだという。その理由は簡単で、僕達の教育係に任命されたのが原因であった。

その話を聞かされた時は本当に驚いてしまう。なにせ今までずっと修行三昧でまともに休みを取った事がなかったのにその休みの時間を潰してまで教えてくれるなんて言われたら驚きのあまり開いた口が塞がらない。ただその話を聞いていた他の幹部や七将軍の部下たちは羨ましそうな目で彼を見ており、もしかしたら彼にも休んで欲しいのかも知れないと、僕は思いながらも話が再開するのを待った。そして――。『次は三魔王について話をさせて貰おうと思う。といっても君達が知らないのは何も不思議なことではないと思うが、一応説明させてくれ』

そしてそう語り始めたのは三魔王の一人である黒帝ことブラックデビルと呼ばれていた者だった。その姿を見ると、やはりユナと同じく悪魔の姿であり額に大きな角が生えているためそう呼ばれていたんだと思うと同時にユラは自分の名前と姿が被っていることに苦笑いを浮かべる他ないと思うほどだったのだ。そんなことを知らない三人は真剣になって聞いているようだが僕だけはユラの姿を横目に見ていて気になっていたため集中できずにいたのだけれど、それも次の瞬間に消え去ることになるとはこの時の僕には思っていなかったのだ。

『三人とも知っているかもしれないがこの三人はかつて魔王陛下に仕えていたとされている者達である。彼らはその昔、この世界で魔王陛下に逆らう愚か者がいた時に生まれた種族だ。魔王様に忠誠を誓い魔王のために戦うという意志を持つ、魔王軍最強の兵士とも言えるだろう。この三人がこの城にやって来た理由は魔王陛下直々の命令である。その目的について、ここで語らせてもらうことにする』そう前置きしてから男は語る。その内容は僕達に驚愕させるものであったのだ。

魔王城の一角で七将軍であるアリシディアとその配下である三人の女性幹部は、この国の王と王妃でもある女性と対峙している。

だが女性達が今現在身に付けているのはいつもの戦闘用の装備ではなくドレスでありその服の裾は短くなっており、足が見えるような作りになっていることからその美しさと可愛らしさは普段以上の輝きを見せている。

そんな彼女たちが今行っているのが会話だ。それも内容は当然のことながらユト王国に起こっている問題についてであり、それをこれから国王が話すことに対して興味を持ってしまったからこそこのようなことになっている。だが彼女達はその話を聞いてから内心は困惑する。その内容がユノについての話であったためだ。

ユノは女性から見れば美少女に分類される容姿をしており、そんな彼女がこの国に現れたということは、魔王軍はその少女を手に入れるために戦争を起こしたのではないか。そんな邪推が生まれてくる。それほどまでにユノの美しさが彼女達の心に残り続けていた。しかし当の本人はユノのことを自分達の仲間だと思い込み、自分の仲間にしたいと思っていたから魔王軍が攻めてきたのはそのユノの件であると勘違いしたアリシディア達は怒りを抱き始めてしまった。そんな時に王が口にしたのは驚くべきことであった。

「魔王陛下は私にこうおっしゃられました。もしも魔王軍との戦いに勝利出来て、その上で勇者であるこのユトがこのユグド帝国に味方することを承諾したならばユノ王女と勇者を我が娘の夫として迎えよう。とね」

その話を聞いた女性陣は目を丸くしてしまう。ユナに至っては「えっ!?」と大きな声を上げて口をパクパクさせている有様だ。だが直ぐにユムは我に返るとユラに詰め寄ろうとする。

「ど、どういうことなのですかユラさん!もしかしてあなたがユナさんの事を騙してここまで連れてきていたというわけではありませんよね?まさかそこまで悪い事をしていないのならちゃんと話してくれますか?」

そんな言葉を口にしながら怒ってくるユムに、流石の僕も慌ててしまうが隣に座っているユナはどこか嬉しそうにしており、「あー。これはもしかしなくても修羅場ってやつかな?」と呑気に呟いていたりするのであった。そしてそんな僕達の様子を見かねたからか、アリシディアが口を挟んでくる。

「まぁ落ち着きなさいユナとユラ。まず最初に言っておくが別に騙しているわけではない。むしろ私はユナの事を愛してるからこそこんな手段を取っているだけだ」

アリシディアの言葉を聞いたユナが固まってしまう。そんなアリシディアを僕は思わず睨みつけるのだが、それに対してユラは全く悪びれた様子が無い様子である。そしてユムの方は「へぇ」と冷たい眼差しを向けるような態度を見せるのだがそんなことは意にも介さずにアリシアは言葉を続ける。「だからと言ってユナが私と結ばれないことは無い。それどころか結婚できる可能性がある。だからこそ私達はこうして行動を起こしてユズリハとミノリの協力の元こうして話を進めている。私もユズリハもミノリも全員がユナのことを気に入っており、愛してしまったのだよ。ユナはそんな私のことを嫌いになってしまっただろうか?」とそんな問いかけをするアリシディアにユナは戸惑ってしまう。ユラとミノリとアリシアは、三人が三人とも美人で強い女性であるために、ユナは自分が劣っているのではないかと感じてしまいユラ以外の男性との恋を夢見てしまっているくらいなのであるが、ユラはそんな彼女の心を見透かしたかのように微笑むのである。

『大丈夫だってユナ。どんなに美しくても僕の方がユナを好きになるよ。だから大丈夫。自信を持ちなよ。ユナは僕にとって大切な女の子で好きな人なんだよ?』

ユナにはこの言葉の意味を理解することが出来なかったがそれでもその言葉でユナの心の中の不安が少しだけ和らいだという事だけは確かであった。そんな二人の様子を見たアリシディアは小さく笑うと言葉を告げていく。

「さてと。これで分かったと思うが今回の騒動は全部が私達七将軍の計画通りの行動だということを理解して欲しいものだ。君達二人は騙されているんだ。いい加減、そんな男よりもこちらに来れば幸せになれるぞ。なんせ私が必ず君達の人生を輝かせてあげれると断言してあげることが出来るのだしな」

そう言いながら笑みを浮かべているアリシアを見てユナは恐怖を感じてしまうが、隣のユーラがそっと手を繋いでくれることで落ち着くことが出来た。だがその一方で七将軍の部下である女性陣がアリサを敵視するような鋭い視線を送っていたりするのだけどそれは別の話となる。

『魔王軍の幹部の一人であり、この世界で一番の強さを誇っていると言われている存在であり最強の悪魔と呼ばれる【暴虐の王】ブラックデビルと呼ばれている存在である。そしてその彼の実力は確かに強大だ。魔王陛下を除けばこの世で二番目に強いとも言われているだろう。その彼が、この世界に降臨してきたという情報が舞い込んできて我々は焦った。魔王陛下の不在を狙ってきたと誰もが思ったのは間違いなかったからだ。そこで我らはこの世界の国々と同盟を組むことを決め魔王軍と戦う準備を整えたのだ。魔王軍は強い。いくら我々が強くなったとはいえ、一人で倒せる相手ではないと思っている。そのために我らの戦力を増やす必要があったのだ。そこでこの国にやって来たのは良いのだがその時にはもう魔王軍とは戦争状態になっていて、とてもじゃないが入れる状況じゃなかった』

そしてその言葉が終わると同時に一人の兵士が入って来る。その兵士は七将軍に報告をしたくてここにやってきたのだろうと誰も彼もその兵士達の姿を見て思うのだが、どうにも様子がおかしい。何かを隠しているのでは無くて、明らかに動揺していることに違和感を抱く。そんな時だった。突如として爆発が起きてしまい僕達の周りで戦いが繰り広げられ始める。

だが僕はそんな中で冷静に考えてしまう。何故なら今のこの城は魔王軍に支配されていたのを思い出してしまい、その支配をどうやって覆すのかを考えてはみたが、結局は何も分からずにただ巻き込まれるだけであったのだ。僕は咄嵯のことに驚いてしまうのであった。そして、その攻撃は僕の近くで行われていた。

僕はその攻撃を何とか防ぐことに成功するのであったが、それが敵の攻撃であると知ったのは次の一瞬だったのだ。

僕は目の前にいきなり現れた人物を凝視していた。だがそれは相手も同じでありお互いに見つめ合っている状態である。すると相手の女性はまるで人形のような表情をしており感情の見えない無言のまま剣を振るい続けてくる。だがその斬撃の速度は尋常ではなく一撃でも食らえば即死してしまうほどの速度を誇っていたのだ。だがそれを僕は避け続けていた。

「ちょ、ちょっと、どうしてこんなところまで追ってきているんですか!」

そう僕に声を掛けてくる少女の名前はユイと言いかつて勇者パーティーの一員として魔王を倒しに向かったはずの少女の名前であった。ユノと瓜二つの少女なのだが今はユトという青年と一緒にいたはずではと思いつつ僕はこの少女の攻撃を受け続けていると突然彼女は動きを止めて剣を振り上げるのをやめてしまう。そしてそのまま剣を収めてから一言こう言ったのだ。

「お久しぶりですね。元気そうにされてて安心しました。お怪我はありませんか?」

その言葉を聞いて僕もようやく思い出す。彼女もまた、魔王軍との戦いの時に命を狙われている勇者を守る役目を与えられた仲間であり、ユグド帝国の皇女でもあるのだと。そのことからこの国を攻め滅ぼそうとした際に、邪魔をして来た者達の一人であることも思いだすのである。そして、そんな彼女達が僕を殺そうと襲ってきた理由についても想像はつくのである。おそらくは、あの三魔の者の仕業であることは間違いないと思った。そんなことより問題なのは、今ここで彼女と戦いになった場合、勝てる見込みがあるのかという一点であり、ユム達が無事であれば逃げることもできるのだろうけど、この場で戦っても僕一人だけで生き残れるとは思えない。そのために逃げ道の確保が重要になってくると感じると、僕は彼女に言う。

「ユノ姫は僕の仲間なんだ。僕達は彼女を助けにユトの故郷に向かっている最中なんだけど、君はユノとはどんな関係なのか聞いてもいいかい?」

そう問い掛けたが、それに対して彼女は答えようとしない。そして再び襲いかかってこようとするのである。そんな彼女の瞳は、やはり無機質なものになっており完全に操られているようにしか思えない。

ユノと同じ顔であるだけに余計に罪悪感が生まれてきて、このまま彼女をどうにかしてしまいたいと感じる気持ちが芽生えてくるが、それを必死に抑え込み、なんとか彼女から逃げ延びないといけないと考えた。

『勇者様。私は魔王軍の中でも七将軍の筆頭を務めておりました【憤怒の大魔王】デウスマギアと申します。魔王陛下の命により勇者を抹殺させていただきます。お覚悟を』

彼女の口からは、魔王の名が出て来ると僕は思わず苦笑いしてしまう。魔王がユノを手に入れようと考えているとアリシアは言っていたことを思いだした。しかしそんなことをすれば魔王軍に対してユナが敵対する可能性が生まれるわけだからそんなことを許しはしないのだけど、もしかしたら魔王軍が本当に攻めて来るかもしれないと嫌な予感を覚えると、僕は彼女に対して構えを取ってみる。ユイが持っている得物はかなり大きくて頑丈そうだ。それを考えるのなら下手に小細工せずに戦うべきだと考え直し彼女の攻撃を待ち受けることにする。そして彼女が振り下ろして来た刃を自分の持つ刀で弾き返す。金属が擦れ合う音が鳴り響くと同時に衝撃波が走り抜け城の一部が崩れ落ちるのだがそれに構う余裕もなく、すぐに次から次へと攻撃が放たれて来る。それらを上手く捌きつつも反撃の機会を狙うのだが、隙が無いためどうすることも出来ない。僕はこの場から逃げ出したくなる。そんな時だった。

突如として爆音が発生してしまいユナが吹き飛ばされてしまう。

ユナはそのまま壁に激突して倒れ込んでしまい気を失ってしまうのを見てユラは怒りを覚えながらも慌ててユナの所に駆けつけようとしたのだが、そんなことをさせないとばかりにアリシアの分身体が襲い掛かってくる。その圧倒的な力に押しつぶされるような圧力を感じると思わず足が止まってしまう。だが、それを許すほど相手は甘くなかったのだ。

突如としてアリサの影が伸びてアリシアの分身を全て包み込む。そしてその中は闇で満たされていきその暗闇の中に捕らわれた彼女の姿は徐々に見えなくなっていくとそのまま吸収されていくかのように彼女の体は消えていった。そのことにユムは驚くとすぐさまその場を立ち去り、ユラの元へと急いだのである。そして残されたのはユーラだけであり、その目の前にはアリシアの本体が立ち塞がり剣を構えて斬りかかってくる。

『さぁ、私を倒してみろ。さすがに君相手にこの力は使えんからな。全力で相手させてもらうぞ!』

その宣言と共に剣の一撃を受けて、何とか耐え忍んだがあまりにも重すぎる一撃によって膝を突いてしまう。アリシアは容赦なく剣を振り下ろすと今度は受け止めて見せるが衝撃を殺すことが出来ずに再び吹き飛ばされてしまい地面に叩きつけられてしまう。そして、そのダメージが酷かったせいか体がまともに動かず起き上がることが出来ないのであった。

そんな時、アリシアの背後に人が現れてアリシアの後頭部目掛けて蹴りを放つ。だがその気配に気づいたのかアリシアはすぐに背後を振り向くがすでに攻撃のモーションに入っていた。

「【魔槍】」その一言により魔法が発動する。そしてその言葉に呼応するように地面の中から巨大な魔力を持った一本の矛が出現しその槍を突き立てようと動き出したのだった。

その攻撃にはアリシアは対応しきることは出来なかった。何故なら【魔杖】は魔力を消費し続けるために、この状態で使用し続けるのは不可能であり、もしも使用するとしたらそれは本当の戦いの中でしか使用できない。つまりはこの状態のままでこの攻撃を耐え切るしかない。そんな無茶をやってのけるのは目の前にいるユラだけだろうと察するがこの程度で終わるはずがないと確信すると、迫り来る攻撃に備えて警戒心を高めるのであった。

『面白いじゃないか! まさか、この状態のままの私に勝てると本気で思っているんじゃないだろうな? 確かに今の君ならば私に勝つことは不可能ではないかもしれないぞ?』

そう告げた途端にユラの動きが止まるのであった。その光景を見たアリシアはニヤリと笑みを浮かべてしまう。

「その状態だと本来の力が発揮できないんだよな? お前はそういう風に説明していたはずだ。なのにどうしてその状態で戦った。それは俺の能力を試してみたくなったんじゃないかと思ってな。悪いが俺はそこまで優しい人間じゃないんでね。そっちがその気だったらこちらもそれなりに対応するだけだ!」

その言葉を聞いたユラは驚愕し戸惑った顔をしてしまう。その言葉を聞けば分かる。彼女は今この状態の自分と戦うことでどれだけの強さを持っているのかを知りたいのではないかと、そしてその上で自分が倒せる相手かを確認しようとしていたのだと言う。そのことに気づいた瞬間、自分はまだまだ未熟だと痛感させられる。そして同時に目の前の少女を侮ってしまっていたと後悔をし始める。

だが、それは今更であると気づくと、今自分にできることは彼女を倒す以外に無いのだと思い直すと、改めて彼女に戦いを挑む。その瞳には一切の敗北の色は無かったのだ。だが、この状態からユラの攻撃が当たることはほぼゼロに等しいと判断できるだろう。そのためユムの意識が完全に彼女に向いていることを理解した上で攻撃を仕掛けてくるのは間違いないと思われた。

アリシアは自分の勝利を疑っていない。なぜならユナの剣技や身体能力は自分よりも遥かに低いことは知っていた。だからその二人を圧倒した時、自分の能力の高さを理解してくれただろうと思っていたのだ。

だが、実際はその逆でユムの剣術の方が上回っており、アリシアの能力ですら上回ることが出来たのは驚いた。そして、それを見極める洞察力もあるのだと感じたのだ。

「ふぅ~、少しは出来るようになったじゃねえか!」そんな声を出しながらアリシアは、剣を振るうと、その剣先からは風の刃が放たれると、ユラの頬を傷つけるが、それくらいは予想済みなのか動揺することなく回避していく。

「あんまり調子に乗るなって言いたい所だけどよ。お前、俺の想像以上に強ぇじゃねぇか。これは、ちっとは本気にならないといけないかもしんないけど、いいんだろう?」その言葉を発した直後、アリシアの背中の翼が大きく開くとまるでその大きさは天使が羽を広げたかのような美しい姿になっていた。そんな彼女の姿を見ながらも油断せずにユラムを戦い続けていたユラなのだが、その一瞬の隙を突かれて背後から現れたアリシアの一撃が肩を貫く。激痛に耐えつつもユナは振り返ってアリシアの姿を視界に収めた時には既に彼女の姿が消失していた。ユムはそのことに驚きつつも周囲に神経を配らせると突然上空から強烈な殺気が向けられた。その方向を見上げるとそこには、宙に浮いているアリシアの姿があり、ユラは刀を構えるがそれよりも先にアリシアが手にしている剣を地面に突き立てるとその場所が陥没する。

「あはははは、残念だけどここまでみたいだなぁ。どうせここで戦っても決着つかないから止めておくとするぜ。ユナちゃんを助けに来たんだろうが、あの女は今は眠ってもらってるだけだから安心してくれな。それにしてもあの三魔王を一人で倒しちまうなんて本当に凄いな」

そんなアリシアの言葉にユムラは反応を示したが、そんな彼の様子を見て何かを察知したのだろうか? アリシアが不敵な笑みを浮かべる。

『おめでとうございますユム殿。貴公が魔王軍の幹部を倒し、勇者の一行として十分な実力を備えていると判断しましたので勇者様への同行を許可しましょう』その時、突如として目の前の空間が揺らぐと一人の人物が姿を現した。その姿を見てユナが思わず息を呑んでいるがその理由は一目でわかった。この城の中でも特に異質と言える存在、アリシアはユムを一蹴するとアリシアの前に立つ人物、【怠惰の勇者 アベル】と向き合うのであった。

突如として姿を見せた【怠惰の勇者】に対してアリシアが険しい顔つきになるとすぐにユナを守るような立ち位置に移動して、武器を構えていた。ユイもその行動を真似て同じようにするとユムの前に立つ。そしてそんな彼らの様子に苦笑いを浮かべてしまう。

『貴方の力を私達はよく知っているので大丈夫ですよ。この場は、私が引きますので、ユム様はどうか勇者様に付いてあげてください。魔王退治は、私達がやるつもりですのでご心配なく』そんな言葉を言われてしまえば何も言えなくなってしまうが、魔王退治という言葉に疑問を抱いたユムはどういうことかと問い掛ける。

その問いかけを受けてユム以外の全員が驚愕の顔をすると慌ててユラの方へと近づいてきたのである。

「えっ!?」そのことにユム自身も驚きを隠せないでいた。だがそのことについて詳しく話をするよりも先に目の前に現れた男が、ユラの腕をつかむと強引に引き寄せて連れ去ろうとするのだった。

その男、アリシアの分身が消え去ったあと、目の前に突然として現れてきた人物を見て、ユラの心臓が激しく脈動を始めた。この人物は誰なんだろうと疑問に思ったからだ。そして何より一番重要なことがその人の瞳が金色に染まっていたのである。それを確認した途端に目の前の人物がユラのことを救ってくれた【怠惰の勇者】だということに気付いた。

『やぁ、久しぶりというほどではないが、君には随分長い間、留守にしてすまなかったと思っている。まさか私の配下といえども君の存在を知っているとは想定外だったがな』

その言葉でこの人もまた自分の正体について知ってることを理解すると同時に、どうしてこの場所に来ることが出来たのかについても説明がつく。恐らくはこの世界の創造神でもある【嫉妬の女神】に聞いて来たのだろうと推測できたのだ。そのことに関してはアリシアの時のように驚かなかったが別の問題が生じるとアリシアの方に目を向けて話しかけた。そして、そこで彼女はある事実に気付くことになるのだがそれは後に語られることとなるのだった。

ユラムは目の前にいるアリシアと名乗る女性を見るが明らかに自分よりも強いということに気が付きながらも警戒は緩めない。そして、彼女がこの世界における魔王だと知るとアリシアの正体に薄々ではあるが感づき始めたのだ。この女性はおそらくは自分の前世の時に存在していた【傲慢の魔王】ではないかと思い至る。何故ならば目の前にいる少女が持っている瞳の輝きは間違いなく傲慢の称号を得ている証でもあった。だがこの目の前にいるのはどう考えても幼すぎる。一体どうなっているのかが分からない。

そんなユムの態度がアリシアには理解できないのだろう。不思議そうな表情を浮かべながらユムの方に質問してきた。それに対して彼は、自分の中に宿っている称号の力が関係していると告げると、なるほどと理解してくれたようでそれ以上は何も聞かない。

『さて、そろそろ自己紹介をするとしましょうか。私の名は既にご存じのはずです。この度、貴方を召喚した元の世界である日本から、勇者を召喚しました。その名は【山田太郎】。彼は現在この世界で暴れまわっているので早く始末しないとまずいのです。そのためにも是非とも私たちと一緒に魔王軍の幹部達と戦ってほしい』そういわれて、断ろうとしたユムなのだが、そうはいかなかった。

何故ならばユムに拒否権はなかったのだから、理由は簡単でユムがアリシアとユムの力を比較するために戦ってしまったことが原因だ。ユラとの勝負で自分がユムよりも遥かに上回っているということをアリシアが知ってしまう結果になったのが原因だった。その結果、ユラムは、この場で、勇者達の仲間になることが決まってしまったのだった。だがそれは、まだいい。この異世界で仲間が増えることは、喜ばしく、これからの戦力が増えていくと嬉しいと思えるのだから問題は、その仲間の数にあった。それはこの世界にやってきた時のことを思い出してほしいと促される。そしてその記憶を辿った途端、ユラムの顔色が変わってしまう。そう、勇者と共にやってきた仲間たちはたったの一人しか残っていなかったのだ。それがこの世界で自分のことを最も強くしてくれているアリシアとユナ、そして勇者であった。そのアリシアの話ではユラの気配を感じた瞬間、他の者達はユラムに敵意を抱き襲いかかってきたのだ。当然、勇者であるユラと行動を共にしているのは当たり前のことで、ユイやユラとユナも一緒なのは理解できる。だがそれ以外の者は明らかに自分を殺そうとしていたのだから、信じられないと感じるしかなかった。それに自分の中に入っているアリシアともう一人のアリシア、アリシアドのことも思い出してしまったので、頭が痛くなりそうになる。自分の中に入ることが出来る者が三人いることに混乱をしてしまう。そんな彼に更なる追い打ちが待ち受けていた。それもまた最悪なことに彼女達の話を聞く限りだと勇者は今だ生きているらしいのだ。それを聞けばもう嫌になる。自分を殺した相手と同じ存在と行動を共にするという行為自体耐え難いものがある。

ユムは内心では、こんなふざけたことは止めてくれと思うがそれを伝える前に話が先に進んでしまい止めるタイミングを失ってしまう。結局、そのままの流れでユムは魔王軍に同行することになってしまう。しかもアリシアの配下ではなくアリシア自身に仕えなければならないという条件付である。それを告げられてユムは思わず項垂れてしまうのは言うまでもなかった。しかし、その条件も飲まなければ勇者と戦うことになりかねないと説得されてしまい仕方なくそれを飲むことにしたのである。

『さて、とりあえず私の部下のところにでもいきましょうか? この国の現状について詳しく教えましょう。そして今後の動きについて話し合いたいと思ってますので』

そういってユムの手を引くが、ユラムはそれに抵抗することなく彼女の手を掴んでその場から姿を消したのであった。

アリシアは、部下と会うために転移を発動させる。だがユムを連れて転移を行うがその場所は城の内部であり、ユナの部屋の目の前に出現した。

「うわっ!?」そのことに驚いたユムだったがすぐに目の前にいた人物の容姿を見て安心することになる。その人物は白を基調とした服を着ていた。だがユムの目から見ればそれはあまりにも不釣り合いに見える。まるで服だけが浮いているかのように見えていたのである。その人物は長い金髪で金色の瞳をしており、年齢はユムと同じくらいの少女だった。服装こそは真っ白いワンピースのような物を着ているがそれ以外には何も身に付けていないように見えるがそれでも違和感を覚えてしまう。その少女は、いきなり部屋の中に姿を現したアリシアのことを驚きながらも観察しているようだった。そしてユラはというと部屋の外で待つことになったのだが、何故かユムとユラの二人が部屋に招き入れられるとそこで待機をすることになった。

そして暫くするとアリシアの部下と思われる人物がユム達に近寄ってきて頭を下げると、用件を伝えてきた。アリシアとユナがこの国のために戦うということとユムについては、この国に住まうことを許されたということ。だが勇者が現れた時だけはその傍に付いて行動することが許されたと伝えられた。

「えっ!? それじゃあ俺達はここで待たないといけないってわけなのか?」

『そうなります。勇者は、魔王を討伐するためならどんなことでも行うので私達が貴方の傍を離れると、必ず貴方を害そうとするでしょう。なので申し訳ありませんが、貴方のことは、私達に任せていただけませんか?』そう言われると何も言えなくなる。

そしてそれからすぐにアリシアが部屋から出ていくのを見送る。その際に、アリシアの瞳が赤く染まっていることに気づくがそのことを気にする余裕もなく、ただその場で待ち続けるのだった。

ユムはアリシアの後ろ姿を見ながらその後をついていくと彼女が一つの扉を開ける。そこは謁見の間で、既に玉座には一人の少年が腰掛けており周囲には護衛の騎士らしき人が数人存在していた。そんな彼らの様子を見てユムはすぐに気付くことになる。彼らは全員、魔人だということに。ユムがそう思った理由としてはアリシアと同じような瞳の色をしていたのもあるがその体から漏れ出している魔力が普通の人間とは全く違っていたからである。そして彼らがユムの方を見て驚愕の表情を見せるのを見て、自分の姿を確認しようと視線を下に向けた時に、初めて気づくことができた。

何故なら、今の自分はアリシアの服を着ている状態であり、更には裸足である上に髪の毛の長さが肩にかからない程度にしかない長さに変化している。そしてその手には剣が握られていたのである。

そのことに驚いてしまったのは無理もない。何せユムは自分の姿を見て驚く。自分の髪が長いだけではなく身長までもが伸びていて、その身体付きも変わっている。

ユラムは困惑した。自分がアリシアと融合した際に肉体に変化が生じたことを理解すると目の前の人物達を観察する。

(アリシアと一体化してここまでの変化が起きるのはおかしいだろ。一体これはどういうことだ?)

ユラムはそんなことを考えると疑問ばかりが膨らんでくるが、目の前に広がっている状況がそれを許さなかった。そうして目の前で起こっている状況を眺めていたが次第に冷静になってきたのか周りにいる者達の姿を確認する。

まずは、自分のことを見ていたのはこの世界の【怠惰の魔王】だと判明した【アリシア】。彼女はこの世界に存在する最強の魔王と呼ばれる人物であり、この世界でアリシアが知らないものはいないだろうというほどの有名な魔王でもあった。だがそのアリシアは、先ほど目の前に現れたばかりのユラムのことに興味津々といった感じで見つめてくる。そしてもう一人はユムとアリシアの間に突然、出現したユラムに対して嫌悪感を抱いてる表情を見せていた女性がいた。

それは、【嫉妬の女神 リッカ=シアーテ】であり彼女こそが魔王の一人であり、アリシアと唯一張り合える程の力を持つ存在であった。そんなリッカは自分の主のお気に入りに手を出す存在に怒りを覚えるのも仕方がないとユラムも思ってしまう程であった。そしてそんな彼女の隣にいるのが、【傲慢の神 ユナ】だった。

その顔立ちは幼いながらも非常に整っており、まるで人形のように綺麗な顔をしている美少女で肌は白く、髪の毛も色素が完全に抜け落ちて白くなっているような印象を受ける。ユラムが最初に見た時は幽霊か何かかと本気で思い込むほどその姿は幻想的だ。しかし見た目に似合わない圧倒的な強さを秘めている存在であることは、アリシアから聞いた話だけでもわかるほどだ。ユラムとしては、どうして自分がこの世界に呼ばれたのかを全く理解できないが、どうやら自分の前世の記憶を持っている者達は皆この世界にやってきた際に【魔王化】しているらしいのだ。そのため、ユラムもその例外ではなかったということであるようだ。しかしその理由は不明のままだというが。

「それで、貴方がここに来た目的はいったいなんですか?」ユナはアリシアに尋ねる。ユムからしたらいきなり現れたようにしか見えないのだ。だから当然の反応なのだがアリシアは特に動揺した様子もなく平然と答えるのであった。

「私が呼んだ理由は、一つだけよ。あなた達の仲間を増やすため。この子がいれば今後の戦いではかなり楽になるはずだわ」

「それはつまり仲間にするという意味ですね? まさか勇者の仲間になるということではないですよね?」リッカは不機嫌さを露わにして問い詰めるかのようにいう。その瞳には殺意すら籠められていたがそれに気づいた様子もなくアリシアは、当然の様に返答をする。

「あら? 私は一言もあの子のことは、勇者の関係者とは、言ったつもりはないんだけど。もしかして勝手に誤解していたのかしら? 別にいいけど。どちらにしろ私に敵対するつもりがあるというのなら容赦はしないわ。その覚悟があっての発言よね?」その言葉は有無を言わせない力が込められているものだったのだ。だが、そんなアリシアの態度にもユラは全く怯えた素振りを見せずに言葉を返すのであった。

『アリシア様、少しよろしいでしょうか?』ユラの声が聞こえたのでユムが反応を示そうとしたのだがすぐに止めることとなる。何故ならば目の前にいる者達の顔が一斉にユムを見たからだ。まるでそこにいたはずの存在が消えたとでも言いたげな態度であるかのように。

(うーん、流石は魔王だっていうべきなんだろうか)ユラムとしては非常に微妙な心境であると感じてしまう。だがそれでも一応は自分の正体を隠す必要があると思い口を開いたのだが声を発した瞬間にそれは起こったのだ。

「へっ?」間抜けな声を出してしまうユラ。そのユラはユラムが自分の声が耳に届いていないかのように動きが固まったまま動こうとしなかったのである。それは周りの三人も同様であり、ユラの行動を不審者を見る目つきになりながら見ているのであった。

『えっとアリシアさん。そいつに話しかけたんですか? 今の状態で』そんな質問を投げかけるのは【暴食の魔王 グラトニアス=オミクス=ベル】だった。彼の場合はユラムからすると初めて会う相手だがユムの記憶が確かなれば彼もまた魔王であったはずだった。だがその彼は何故か自分よりも小さな子供にしか見えなかった。外見年齢は、まだ十歳ぐらいに見えるが恐らくは、それが彼の本当の姿ではないだろう。だがその瞳からは強者の威圧感のようなものを感じてしまい思わず身構えてしまった。そしてその視線はユラムの手元に向けられている。そこには未だに握られたままである刀が存在しており、ユムは思わず視線を向けられてしまう。

(あれ、俺ってば無意識の内に抜いちゃったってことだよな? ってかこれ絶対に不味い奴じゃん!)そう思うと同時に、ユムはアリシア達の様子を見るとまるで興味をなくしたかのようにこちらを放置し始めたので安心してしまった。

(あっ、良かった~俺の事を忘れてくれたっぽいし問題なさそうだな。じゃあ俺はもうお邪魔してても大丈夫みたいだし帰らせてもらうとしますかね)そんな事を考えてしまう。すると目の前にいたはずの【怠惰の魔王 アリシア】がいなくなり目の前に姿を現したのである。ユラムはそれを見て驚いたものの特に警戒する必要もないと判断して再び部屋の外に向かう。だがそこでユムの体は誰かに拘束されるようにして動けなくなる。そして自分の背中に当たる柔らかい物体を感じたユムは一瞬何が起きたのか分からなかったが、慌てて振り返ろうとするも背後から抱きしめられるようにされている状態から抜け出すことができなかった。そしてユムの耳元から囁くような声で告げてきた。

「ちょっと、どこに行こうとしているのかしら?」そう尋ねてくる【怠惰の女神 アリシア=デスト=ロレス】は笑顔でユムの事を離してくれそうにもなかったのである。そしてそんな二人の様子を見ていたのが【傲慢の神 ユナ=シュバル=アルサーム】だった。彼女はユラムの事を凝視しており、明らかに警戒をしている様子を見せていた。

『えっ、あの?』そんな困惑したかのような表情を浮かべながらユムが呟きを漏らすと、アリシアはユラムのことを放してくれることはなかった。むしろより力強く抱きしめるようにしてくる。その際に豊満な胸の膨らみを強く押し当てられてしまったため思考が上手く回らなかった。そして目の前にいるアリシアは、その整った顔を至近距離まで近づけてくると妖艶に微笑んだ後に甘い吐息交じりに、ゆっくりと口を開くのであった。

「ふぅーー」そしてユラムの首筋に軽く息を吹きかけてきた。その感覚にユラムはビクッと震え上がる。

『ひっ、ちょ、何をするんですか!? 早く放してくれないですかね!』そんなことを口にするユラムに対して、彼女は悪戯心を抱いたのか更にユラムに近づき今度はユラムの頬に唇を寄せてキスしてきた。その行動にユラムの鼓動が高鳴り始めていく。そしてそんなアリシアの姿を見て、【傲慢の女神 ユナ=シアーテ】が不満そうな表情をして、更に【怠惰の女神 アリシア=ロレス】の行為を止めようとする。

『アリシア姉様、そんな男のどこがいいと言うのですか? アリシア姉様にこんなに密着されて幸せだと思わないなんて男じゃないですね!!』そんな風に言ってくるがユナの目は明らかに怒っているのが見てとれたのである。

【傲慢の女神 ユナ=シアーテ】はその容姿と能力で、今まで何人もの勇者や人間を見下して好き放題やっていたのであろうことが想像に容易かったのだ。そんな女神の逆鱗に触れてしまうのも面倒だと思い、どうにか逃れられないかと考えていると不意に【嫉妬の女神 リッカ=シアーテ】が動いたのだ。そして彼女は、まるで自分が一番偉いとでも言わんばかりの口調でアリシアに声をかけたのだ。

「アリシア、その女をこっちに渡せ。お前はどうもこいつに惚れ込んでいるらしいがな、そんなもの直ぐに冷めるさ。そしてこの【嫉妬の女神 リッカ=シアーテ】こそ【嫉妬の魔王】に相応しい存在なんだからな!!」そんなことを言ってユラムを奪い返そうと腕を伸ばしてきたが、それはアリシアにあっさり掴まれて阻まれてしまう。

「嫌よ、貴方は少し静かにしていた方がいいんじゃないかしら? あまり調子に乗っていると痛い目に遭うわよ? 私はあなたのような可愛気の無い子は嫌いなの。わかったかしら?」そう告げるとアリシアは、そのままユラムを抱きかかえると窓の方へと歩いていき窓から飛び降りたのである。その様子を見ていたユナは呆気にとられて何もできずに固まっていたが我に返り、その後を追いかけ始めたのであった。だがしかし、ユナは途中で足を止める羽目になる。何故ならばアリシアの手に持たれている者があまりにも恐ろしく感じたためだ。そしてそんなユラの様子を見たアリシアは、笑みを深める。

「あら、この子の相手をしてくれたのかしら?」その言葉でようやく自分が見つめられていた理由を察することができた。そしてそれと同時に先程の出来事を思い出させられてしまったのだ。そして改めて自分の目の前に立っている人物の姿を眺めてしまう。ユラは背が小さいながらも非常に引き締まった筋肉を持っており一見すると強面の男にしか見えない。だが顔立ち自体は幼さを若干残した美少女と言ってもいい程の容姿の持ち主だ。だがユラはそんな見た目とは異なり性格が非常に荒々しいため仲間からはあまり良いように思われていないのである。だから今回もまた何か言われてここにきたのだが正直、目の前の存在には勝てる自信がない。だからどうすれば逃げ切れるだろうかと考えるも、それは難しいだろうと思うとどうしようもないため大人しくすることにしたのであった。

(あれ、俺ってもしかして選択を間違ったのか?)ユラムとしてはそう考えざるを得ない状況だったのだ。そんな彼の気持ちに気付くこともなく、アリシアが嬉しそうに話しかける。

「あらあら、怖くて怯えてしまっているわね。可愛いわぁ~♡ はいはい。貴方に敵意はないから安心してね? 私が貴女の味方になってあげるわ。これから一緒に頑張りましょう?」アリシアの言葉が理解できなかったユラムは思わずアリシアを見上げるがそこには楽しそうに笑っている姿が見えるだけで、本当に意味を理解しているようには見えなかった。

そんなユラムを見て、ユムと同じような境遇にいると感じたのだろうか。アリシアは優しくユラムの頭を撫でると優しい声で語りかける。

「ほら、私についていらっしゃい。貴女を悪いようにはしないわ。それと他の二人も付いてきていいのよ。私達の目的の為には協力者は多い方が良いでしょう?」アリシアは笑顔を浮かべたまま三人に手を差し出すが、三人はお互いの顔を伺うと誰一人として手を出すことはなく、その場に留まったままだった。そんな三人の様子を不思議に思い首を傾げるアリシアは少しだけ考えるような素振りを見せた後に再び三人に向かって言葉を発した。

「じゃあ三人まとめて、ついて来なさい」

そしてそんな言葉と共にアリシアは走り始めるのだった。そしてそんな光景を見ながらユムは、今度からは自分の言動にも十分に注意しようと誓うのであった。

「ねぇ、アリア様。なんですかあの女は?ただのガキにしか見えませんが、それでも油断はならない相手なのでしょうね。まあそれはどうでも良いのです。それよりも私は今から何をさせられるのですか? 魔王であるはずの我々が何故、こんなことをしているのですか?」

『えっと~アリシアちゃんは僕が頼んだんだ~』そう答えたのはアリサであり【暴食の女神 アリッサ=ベル=ロレーズ】は、そんなことを言ってきた。その返答に対して【憤怒の女神 アリア=スフィリア=ロレイ】は不機嫌そうな態度を隠すことなく声をあげる。だがそれを宥めてくる存在があったのである。その者の正体はユナであった。彼女は魔王でありながらアリシャを溺愛しているためアリシアに対しては警戒心が強いのだ。

「落ち着け、今はそんな話をしてる場合じゃねえぞ?それになんだよそのふざけた呼び方は。あたしらは、お前がつけたその名前を絶対に認めてやらねーんだからな」そう言ってアリシアのことを睨む【嫉妬の女神 リッカ=シアーテ】。だが、その視線を受けてもアリシアは全く怯まずに言い返す。

「ふぅ~~ん、私の事が怖いんだ。へぇ、それは仕方ないよね。【怠惰の女神】なんて名前をつけたんだもん。きっと恥ずかしいんでしょ?」アリシアは笑顔のまま挑発的な態度で告げてきたのである。そして、そんな二人のやりとりをユナ達は心配そうな様子で見守っていた。そしてユムだけは冷静に二人の事を眺めていたのである。そして、そんなユラムの様子を見てユナが話し掛けてくる。

「おいユム!何ぼさっとしてんだよ。あいつらが殺し合いを始める前に何とかしろよな!」そう言ってくる。

だが、その言葉でユムの頭に血が上ったのは事実だった。だがユムはその言葉を鼻で笑い飛ばしてやったのだ。ユナはその反応を見てムッとしてしまうがユムはそのまま続けて口を開いた。

「はん、くだらない争いなら好きにさせてやれ。それでお前らの実力が上がるって言うなら願ったり叶ったりだろうが。そんなことよりもお前はもっと自分のことに集中してろ。俺だってそんな余裕なんて無いんだからな」

その言葉を聞いて、その通りだと思い直し、そして自分がまだ強くなっていないことを自覚した。

「わかったよ、もういい。だけどな後で後悔するなよな? 絶対にぶっ倒してからあの【怠惰の女神】と仲良くなればいいだろ?」そう言ったユナの顔があまりにも真剣だったためにユムとしても少し気になったのだ。そしてそれは、どう考えても嫌な予感しか感じられなかった。そのためユムは不安感を覚えながらもユナと一緒に行動を開始した。

そして、そのユラムがアリシアに対して感じているのは恐怖だった。

「ねぇ?どうして逃げるの? そんなに逃げることないのに?私はただ貴女と友達になりたいだけなのに?」アリシアは楽しそうにしながらそんなことを言うがそんなことを言われても信じる気になれなかった。なぜなら、ユラムにとってこのアリシアと名乗る女神とは先ほど初めて顔を合わせたばかりなのだ。だというのに既に自分の中でアリシアという存在が大きくなっていたからだ。そんなことがあっていいわけが無いのだ、だからこそユラムは必死になって逃げ続けていた。そんな彼女の後ろを追いかけるのは嫉妬の女神のリッカ、憤怒の女神のリッカ、傲慢の女神のユナ、暴食の女神のアリサの4人の姿があった。そして、そんな中ユムの目の前に一人の少女が立ち塞がる。

ユラはその者の姿を見てすぐにわかったのだ。【傲慢の女神 アリシア=ロレス】だ。この世界では知らないものはいないくらいに有名である。

ユムはこの世界に召喚されたときもアリシアに殺されかけたことがある。そして、そのことからアリシアのことが嫌いになっていた。しかしユムは、目の前の者が本物なのかどうかがわからない。

「お前は、一体誰なんだ?」

そして、そんなユラムの疑問に対してアリシアが嬉しそうな表情を浮かべながら言葉を発する。

「あら、私はアリシアよ?それ以外の誰でもなのよ?それより、やっと会えたわね。勇者ユラムさん。貴方は私に聞きたいこととかは無いの?私が知っている事ならば何でも答えるけど?」そう告げてくるのだが今の質問に答えていない時点で偽物だとわかってしまったのだ。そしてそれと同時に本物のアリシアとは既に出会っていることを思い出してしまったユラムは更に嫌悪感を募らせる。だから、ここは素直に従ってしまうと不味いと思いユラムはアリシアに向けて剣を抜き放つ。しかしアリサによってその一撃はすぐに止められてしまう。

『ちょっと待てって! あんまり調子に乗ってると痛い目に遭うから!』

『あーあーそういうの良いから、さっきからうるさいから黙りなさいよ。それとも何かしら?ここで殺されたいのかしら?』そんな声と共に殺気が辺りを包み込んでしまったために周りの者たちも身動きが取れなくなってしまい完全に場の流れが決まってしまうことになる。そしてそんな光景を目の当たりにしながらも他の四人の女神たちは、その様子を楽しそうに眺めていることだけが分かるのであった。そしてそんな様子を見ていたのだろう。アリアドネ=アティナスが自分のことを抱きしめていた腕を離すのと同時に話しかけてくる。「ねえ、どうせなら私のお願い聞いてくれないかな?ユラム。私に貴方の血を分けて欲しいの。私達神族にとって血液はとても重要なモノだからね。だから貴方は私のために血を提供してくれるかしら?」その問いにユラムは即答できなかった。なぜならユラムの体の中には既に魔獣である【吸血王 カーバンクル】の心臓が取り込まれているのだ。

そしてユムは自分の体内に取り込まれたその魔獣の存在を思い出して顔を青ざめさせたのである。

(ヤバイ、あれがバレたら俺は殺されるんじゃねーのか?どうしよう。いや、それよりも今俺がすべきことはどうやって逃げ切るかを考えるべきなのか?でも転移の魔法を使うにしても一度使った場所じゃないと使えないんだよな。じゃあ転移が使えれば問題はないんだけど無理だよな)ユムがそんなことを考えて悩んでいるとアリシアの身体から黒い霧が発生し始めると次の瞬間には【傲慢の女神 アリシア=ロレス】に成り代わっていた。そして、その姿は以前のアリシアとは異なっていた。以前は人間と同じ容姿だったが今では全身から真っ黒なオーラのようなものが見えているし、髪の毛の色は全て白く変色しており瞳の色までもが赤くなっている。そして肌色も白というよりは病的な程に血色が無くなり青色に変化していたのだった。その変化に驚いたユムは自分の頬を思いっきり引っ張ってみたが現実は変わらなかった。つまりは夢ではないのだ。

だがユムにとってはそれでも信じたくは無かったのだ。だがユムは目の前の存在が間違いなく本物だということを理解してしまっていた。そんな光景を見ていたアリサは不思議そうに首を傾げていたがユムはそんなことなど気にせずに思考を巡らせるのだった。

(ああ、もうどうすりゃ良いんだろう? この状況から逃げるのはかなり厳しいよな。でも戦うのはさらに難しいぞ?どうするべきか、そうだ!俺がこいつに勝てばいいんだよ!)そんな結論に達したユラムはアリシアを指差し、そのまま口を開く。

「なあ、俺に負けたらお前の言うことなんでも聞いてやる。だから、俺が勝った時はお前の命を奪う。これで文句はねーだろ」

「ふぅ~~ん、面白いじゃん。でもさぁ。それは本当に負けてくれた場合の話でしょ?もし私がユラム君を殺したとしたら?それは困らないの?」そんな言葉を聞いてユラムは不敵に笑う。

「俺に勝てると思ってるお前を倒せる自信がある。それに俺は、あの魔王を倒してるからお前如きじゃ、まず俺に傷をつけることすらできないぞ」そんな言葉を告げた途端にアリシアから放たれていた圧力が一気に上昇してしまったのだ。

そのあまりの重圧に思わずユムは一歩後退ってしまう。そしてアリシアが本気で自分を殺しに来るということを理解させられてしまったのである。だがユムはそんなことを無視してアリシアへと向かって行き攻撃を仕掛けたのだ。しかしユムが攻撃を行おうとした時すでにユラムの体は吹き飛ばされてしまっていた。

そして地面に激突したユムはそのまま立ち上がるとアリシアの姿を探すがどこにも見当たらなかったために自分の周囲に結界を張り警戒態勢を取る。そんなユムの前にアリシアが姿を現す。アリシアの見た目は変わっていないため一見して判断することが難しいがアリシアの右手からはユラムの右腕らしきものが突き出されているのだ。その事実を確認してユムはアリシアに対して疑問を投げつけることにした。

「どうして俺に痛みを感じさせないで殺すことが出来た?」

そんなユラムの言葉に対してアリシアはクスッと笑い言葉を返してくる。

「そんなの簡単だよ?ユラム君だって、いつまで私が人間だと思っていたの?」そう言い終わるや否や、今度はユムの首が胴体から離れてしまったのだ。

「うぐっ!?」そんな悲鳴を上げてしまったがすぐに首に修復の魔法を掛けて回復を行う。

すると、ユラムの背後に現れたアリシアは、その手の中に持っているユムの頭に向かって微笑むような表情を浮かべながら話しかけてきたのである。

「ねえ、今の見てたよね? もうユム君の実力はわかったと思うのよ? 私も少し本気を出したし。

だからもう降参したら? そうしたほうが幸せになれると思うけどな?」そう言ってユムのことを上から覗き込むようにして笑っているのだが、ユナだけはそれが許せなかったのであろう。怒りに満ち溢れてユナに対して襲い掛かるがリッカによってあっさりと受け止められてしまう。そんなユナにアリシアは冷たい視線を向けた。それだけでユナは身動きが取れなくなってしまったのだ。そしてそんなユナの頭にアリシアは手を添えるとユラの方へ押しのける。そんな光景を見たアリシアの表情は、先ほどまでの笑顔ではなく冷酷さを孕んでいた。

その顔を見てユラムは自分の敗北を認めた。そして同時にアリシアが本物の女神なのだということも同時に認識させられることになった。

「わかったよ、お前が本物の女神だと言うことを認める。だけど俺を殺すのは止めてくれないか?それと一つだけ確認させてほしい。お前の目的はなんだ? なぜ俺を殺そうとしたんだ?その理由だけでも教えてはくれないだろうか?」そう言った直後、アリシアから発せられていた重圧が増して体が動かせなくなる。そしてそれと同時にユムは自分を見つめるアリシアの顔からは一切の意思が感じられないことに気づく。そのことに気づいたユムはこの女神に心など無いのだということがわかってしまったのだ。だからこそアリシアから言葉を聞くまでは殺されるわけにはいかないと思った。そのためユムはアリシアを睨みつける。

そしてアリシアはそんなユムに優しく問いかけた。

「私の願いを聞き入れてくれる気になったのかな? それなら、私の願いを教えようか?私の望みはね。

この世界を支配する。ただこれだけが私に与えられた目的であり、存在意義なの。私は私のために生きているのよ。他の有象無ゾウとかゴミみたいな神なんて私には必要ないもの。だから、私は貴方たちを皆殺しにして私以外の全てを消し去ってしまおうかと考えているわ。そうすることでこの世界は私とユラムのものになるわね。貴方は嬉しいでしょう?私が貴方に永遠の命を与えましょうか?」

そのアリシアの表情から一切の変化が無くなっていたのだがユノはその姿を見て不気味さを覚えてしまったのだった。そしてそれと同時に、アリシアがユムに対して向けた優しさのようなものは全て偽りだったことにも気づくことができた。

ユムの体は既に動くようになっておりアリシアを睨みつけていたのだが、そんなアリシアに突然後ろから抱き着かれた。

そして耳元でアリシアはユラムに向けて語り掛けるように言葉を放つ。

「ねえねえ。そんな怖い目しないの?大丈夫。私は別に貴方を無理やり連れ去ろうとは思っていないから。ただ私のことを裏切ったあいつらに罰を与えるために、あなたを殺さなければならないの。だから協力してくれないかな?ね?」そう言われた直後、突如としてアリシアの背中に白い羽が出現する。

そんな姿を見ながらユナは目の前の女神が自分の敵になってしまったのだということに嫌でも理解させられたのだった。

そしてユミルとユラムはアリシアとアリアドネの二人の前に立たされてしまう。

しかし、アリシアは二人に向かって微笑んでいるだけだった。だが、その背後ではユミルとユラムを殺さない程度の力で何度も殴り付けていた。ユラムはそれに気づいていたためにどうにかしようと思い口を開いた。

だがその前にアリサに止められてしまう。

『ちょい待ち!これ以上暴れると本当に殺されちゃうよ?まあ。今はまだ死なないけどさ。でもこのまま何もしないとマジ殺されるよ?だって相手は本物の神様だし、私たちもそこまで馬鹿じゃないしさ。それにほら。向こうは殺しに来てる訳じゃん? だから抵抗するしかないんだよねー』と、そう言ってきたのであった。

そして、ユムは確かにその通りだと感じてアリシアの隙を見つけて逃げ出すことに決めた。

(とりあえずアリシアを何とかしてアリシアの隙を見つけるしか方法は無いよな)

「分かった、じゃあお前の提案に乗ってやろうじゃないか。俺は何をすれば良いんだ?」とユラムが言うとアリシアはニコリと笑いかける。その表情には今までのような敵意はなく、とても可愛らしい印象を受けた。ユラムはその変化を見て内心驚いていた。

(なんか急に雰囲気が変わった気がするんだけど何が起こった?)そう思うがユムの意識は徐々に遠のいて行き完全に暗闇の世界に落ちていったのだった。そしてそんなユムの姿を眺めていたユラムは焦り始めていたのだ。なぜなら自分がアリシアの作り出した世界に捕らわれているという事実にようやく気づいたからである。そして、自分の手足が拘束されている感覚があり、それを外そうとするがなぜか身体が上手く動いてくれなかった。そしてそんな光景を見たアリシアはクスクスと笑っていたのである。

そしてその声に気がついたユムは必死に抵抗するのだがやはり思うように身体を動かすことができなかった。そんな中でユラムはアリシアのほうを見ているとその口角は僅かに上がっているように見えたのだ。

(こいつまさか俺のこと弄んでんのか?クソが!!ふざけんじゃねえぞ)そう考えた瞬間にユムは強引にアリシアの作り出す世界の中から抜け出すことに成功する。

ユムは自分の体を操られているような奇妙な気分を感じながらアリシアの姿を探すがどこにも見当たらなかった。そのことに驚いたが、ユムはすぐに周囲の状況を確認するために視線を動かしていくがアリシアの居場所は未だに掴めていないままだ。

(一体どういうことだ?どこからどう見ても普通じゃねぇぞこれ?それになんなんだよこの力の奔流は、俺にこんな力があるはずがねぇ。どういうことなのか説明しろよ。

そう思った矢先にアリシアの声が聞こえてきた。

「どうしたのかな?もしかして怖くなったの?でも、私も君を殺すのにあまり時間を掛けたくないのよね。だってこれから沢山の人間が死んでいくのが分かってるから早く終わらせたいと思ってるの。だからさ、ちょっと痛いけど我慢してよね」と、そう言ってアリシアは手に握っている短剣を自分の手首に軽く当てた。そんな光景を目の当たりにしてユムは恐怖を覚える。そしてアリシアはゆっくりとユムに近づいてきた。だがアリシアの姿を確認した途端にユムはある違和感を覚えた。アリシアの姿に違和感を感じたのだ。そしてよく見るとアリシアは少し透けていることに気がつく。そのことからユムはアリシアの肉体が崩壊し始めてきているのだと予想することができたのだ。そしてアリシアはユムの前で歩みを止めると優しい声で話しかけてくる。

「やっと私の顔が見えたね。ふふっ可愛い。ねえ、私と一緒に来てくれる?」そう言いながら両手を広げユラの方に顔を寄せて来て頬にキスをするのだがユラムは反射的にアリシアの唇を避けてしまった。そんなユラムの様子を見たアリシアの眉がピクっと動いたのをユムは見逃さなかったのだ。だが、アリシアが何かをする前に再び世界が暗転したのであった。そこで再び視界が戻ったユムは先ほどまでとは景色が変わっていることに気づく。そこは先ほどまでの草原ではなく大きな建物の内部であることが理解できた。

ユムが周囲を観察していたところいきなり腹部に強烈な痛みを覚えて床に倒れ込んでしまう。

そして腹のあたりを見てみるとユムの体は無数の傷がついており血が大量に流れ出していた。そんな状態にも関わらずアリシアの手には先ほどのナイフがしっかりと握りしめられており、それがユラムの腹を切り刻んでいたことが容易に理解できてしまいユラムの心が悲鳴を上げ始める。

しかしユラの口から漏れ出した悲鳴は途中で止まってしまう。それはユムが自分の腕で自らの喉元を押さえたせいなのだが、アリシアがそんな光景を見ながらクスッと笑って見せたからだ。

「もう終わりにするの。

だからもう黙ってくれるかしら?貴方のその気持ち悪い表情を見るだけで虫唾が走るの。お願いだからその醜い顔を私に見せないでくれないかな?」そう言われてしまうが、それでもなおユラムの口からは言葉は紡ぎだされない。そしてその代わりにユムの口の端からは鮮血が流れ落ちていき、瞳は虚ろなものへと変わり始めていた。それを見てアリシアは再び笑う。その表情はどこか満足げなものでありユムの命を奪うのに喜びを感じ始めている様子があった。そしてユムに止めを刺そうと近づこうとしたその時に、アリシアの体にユラムの拳がぶつかる。その衝撃によって、ユムは地面に倒れたが、ユムはまだ生きている。

そしてユムがなぜ自分を助けてくれたのかが分からず混乱しているユラムに向かって優しく微笑むとユラムの耳元でアリシアは囁き始めた。

「どうして、私のことを助けたの?貴方が死ぬかもしれないってわかっていてなぜ私を助けたの?」とそう聞いてくるアリシアに対してユラムは口を開いて返答しようとしたがその口は動かなかった。そのかわりに、ユラムは目で必死に意思を伝えようとするのだがユラムの目は段々と焦点を失い始めてついには意識を失おうとしていたのである。そしてそのままアリシアの言葉を聞き逃してしまいそうになったのだが、ユラムは自分の耳を信じた。そして意識を手放そうとしたのだがユラムはその寸前にユラムの体から魔力が失われていくような感じを覚えていた。

(おい。これはまさか俺の中から神の力を奪ってるんじゃねえだろうな?)と、そう考えるがアリシアはそんなことをする素振りすら見せておらずユラムはただ疑問だけを覚えていたのだった。

(俺の体の異変はこいつが起こしてんのか?でも、神が人間の体の中に入り込むことなんてできるもんなのか?というかそんなことが可能なのか?)

ユラムがそんなことを思いながらユムに目を向けるが既にユラムの体は完全に力を失っており呼吸は停止してしまっていた。そんな状態のユラムを見下ろしながらアリシアは笑顔を見せる。そして、ユムのことを完全に殺した後にアリシアが次に取った行動は、この空間内にユラムの血を塗りつけることであった。その作業を済ませると、アリシアは指先に光を灯すと文字を空に描き始める。そして魔法陣を描き終えた直後、その文字の部分が淡く輝きだし始める。それと同時にその魔法陣の中心が割れるとアリシアと同じような容姿をした少女の姿が現れたのだった。現れた人物の名前はアリサと言い、その正体はこの世界には存在しないとされる神の一柱だったのだ。そんな彼女がユムとユミルの前に現れるとアリシアとアリサは互いに向き合うと笑みを浮かべて語り掛けた。

「これで私も仲間入りかな?」とアリサが言うがアリシアはそんな彼女に鋭い視線を向けて言う。

『違うわよ。私はそんなつもりで呼んだわけじゃない。まあ。別にいいんだけどさ』

アリシアは、そう言ってユムのほうを見るとユムに止めをさすための動きを開始したのである。

だがアリシアがユムを殺そうとする前にアリシアに背後から抱き着いてきた者がいた。

その者は黒いフードをかぶった小柄な人族の少女であったが、その姿が突如としてユラムの目に映ると同時に、ユラムの頭に映像のようなものが一瞬にして駆け巡っていく。

その映像を見ていたユラムが驚いている間にその何者かはユラムに襲いかかってきたのだったがユラムは無意識のままに、ユラムの目の前に現れた者に蹴りを放つ。するとユラムが繰り出した一撃が直撃してしまう。

だがしかし、謎の人物は蹴られて吹き飛ばされながらも空中に浮いた状態で回転して着地してみせる。そんな出来事が起きたことにより、ユムとアリシアは戦闘態勢を整える。そしてアリシアの手に短剣が現れるとその者に向けて勢いよく投擲するのだがその攻撃はその者の持っていた武器で簡単に受け止められてしまう。そしてその者からの攻撃がユムとアリシアに向けられる。その瞬間に、二人はその場から移動して攻撃をかわした。だがユムのほうは避ける際に少しばかり動きが遅れて腹部を斬りつけられてしまい、ユムは激痛に襲われて片膝をつく。

一方、アリシアのほうも相手からの攻撃を避けきれずに右腕を切り裂かれてしまった。

そして両者共に怪我を負ってしまったのだが相手の方は無傷に近い状態である。だがそんな状況でもユムとアリシアに焦りの色はない。むしろ嬉々としてその者たちと向かい合っていた。

そして二人同時に走り出すと互いの相手を目掛けて攻撃を仕掛ける。

ユラムのほうは先ほどまでとは違い冷静になっていたのと相手の速度についていくことができるようになり始めていたのだ。

(なんだこいつらは?なんなんだよこれ?でもなんか妙な懐かしい気がするような?というかこいつら、あのアリシアの野郎と似たような雰囲気を感じんだよな)そう思うと不思議と戦いの中で笑っているユムがいたのだ。だがそんなユムの思考はすぐに遮られてしまうこととなる。なぜならユムに話しかけてくる存在が現れたからだ。

「おいおい、随分と楽しそうじゃねえか。

どうやらお嬢さんたちは俺たちの仲間になりたいってことかな?」

そんな声と共に突然ユムの前に一人の少女が現れていたのだ。しかもその見た目は先ほどユラムに話しかけてきていた者とそっくりの容姿をしていた。それだけではなくユラムの記憶が正しければ、先ほどの者達の声もまったく同じだったのである。つまり先ほどまでのやり取りを聞かれていたということだ。だがそれを気にしている暇はないと思ったのかアリシアは即座にその人物を殺すために攻撃を仕掛ける。

しかし、先ほどのユムとの交戦のこともあり、アリシアの身体能力ではその者を倒せなかったようでユムと同じように腹部に一撃を受けて倒れ込んでしまう。そんなアリシアの姿を見ているにも関わらずその者たちは何の反応も示さないどころか気にもしていなかったのである。その光景を目の当たりにしていたユムの表情は険しくなっていた。

(こいつはどういうことだ?さっきの会話は間違いなくあいつらがやったものだ。だとしたら今ここに居るのは本当に同一人物なんじゃねぇのか?)そう思った時だった。そのユムの心の中を読み取っているかのようにその人物が話かけてくる。その言葉は先ほどまで聞こえていたものとはまったく違ったものであり、そのことがよりユムの警戒心を高める。そしてその言葉を発した後で彼女は名を名乗ることになる。

そしてその名を告げられたユラムは、その名前に驚きを隠せずには居られなかったのだ。

それはその名がこの世界ではかなり有名であり、ユラム自身も何度か聞いたことがあるものであったからだ。

そして彼女の正体がユムが求めている人物であったと理解するとユラムは、その少女に対して怒りをぶつけた。

「おい、お前。俺に何をしたんだ!?俺に何かをしたんならすぐに解きやがれ!俺は元の世界に帰りたいだけなのにどうしてこんなことに巻き込みやがったんだよ!! どうして俺を巻き込んだ?それにどうしてアリアドネじゃなく俺が選ばれたんだ?教えてくれ」そう叫ぶと少女が笑みを見せてくる。その笑顔はユムにとって恐怖を感じさせるようなものだった。

(くそっなにが起きてる?一体何が起きているんだ?訳が分からない)と、そんなことを考えていたが、少女の言葉によってユムはその考えを改めることになったのだった。「なるほど、やはり私が貴方を選んだのは間違いではなかったようですね。でも残念なことに貴方は私達の世界の住人になるしかないのです。そして貴方は選ばれたんですよ?私の力を引き継ぐ新たなる神となる資格を得た人間です。だから大人しく受け入れてください。それができないと言うのであれば無理やり連れていってしまいますよ?」

そんな言葉を聞いたユラムは自分の耳を疑った。だがユラムは自分の体が勝手に動いて行くのを感じる。そのことに対して抗おうとするユラムだが自分の体は自分のものであって自分のものでないように動く。そしてその行為が終わると同時に少女が微笑む。するとユムの体の自由は完全に取り戻されていた。それを見たユラムは自分が完全にその少女の支配下に置かれていることを理解したのだ。そのことに気づいたユラムは必死に抵抗するのだが、抵抗しようとすればするほど少女に支配されていくのを感じた。そしてそれを見て少女が笑いだす。その姿を見ながら、少女の言葉が本当であることと少女が自分のことを本気で殺すつもりだということを悟ったのである。

それから、ユムがアリシアの体から魔力を奪うことによって神の力を奪い取ったのを見て満足そうにしているアリシアの元にアリサが現れたのだ。

そんな二人にユムの意識を奪った後にユラムは問いかけてきたのである。「おい。これはいったいどういうことなんだよ?」と、そんなユラムの問いにユムの体を使って少女が答えようとする。

それに対して、ユムは慌てて口を開いて止めようとした。だが、ユムの行動が予想できていたユムは体を強制的に動かされてしまい、喋ろうとしてしまった。だが少女の行動をユムが許すわけがなく今度は強引に体の主導権を取り返すと再び質問を口にする その一連の出来事を目にしたアリサはユムとユムの中にいる者に呆れの視線を向けていたのであった。

そして、そんなユムがアリサに話しかけたことでユムの中からユムが消えてしまったことでユムはその場に崩れ落ちてしまうのだった。そのことからも、そのユラムが消えてなくなってしまった原因がこのユムにあるということがアリサに分かってしまった。そんな彼女だが、そんなアリサをユムは心配そうな顔をしながら見つめる。

そしてそんなユムの様子に気づいたアリサはユムに向かって笑顔を見せて言う。「大丈夫ですよ。あなたは絶対に元の生活に戻してあげますからね。今はゆっくりと休んでいてください。後のことは任せなさい。私と彼女がやってくれるはずなので」アリサは、それだけを言い残してその場から姿を消すとユラムに襲いかかっていたアリシアも同じようにその場から消える。その後には血だらけで倒れ込んでいるアリシアだけが残されたのだった。

アリシアは目を覚ました後で自分の身に起きていたことをユミルに伝えてアリマのことをユムがアリシアに殺させてしまったことも伝えることにした。だがアリマの死については特に何も思ってはいなかった。だがそれでも自分のせいで仲間が死んだのは辛いと思っているのか、それとも罪悪感を覚えてしまっているのかはわからないが、どこか元気がなかった。だが、そのことをユミルに尋ねられてしまえば嘘をつくことができないので素直に答えると、アリシアのその返答を聞いたユミはすぐに行動を開始する。そして、その次の日には、アリマが殺されたという事実を知ることとなったのだ。そのことについても、ユミルはアリシアに対して何も文句を言うことはないのだが、アリシアはそんな優しい態度を見せるアリシアに対して涙を浮かべながら抱きしめる。

それから少しの時間が経過するまでの間、アリシアは泣き続けていたのである。だがいつまでもこうして泣いてばかりはいられないと思ったアリシアは立ち上がると、アリマを殺した犯人をどうにかして見つけ出してやる。そう思うとすぐにアリシアは、動き出した。そしてその日から数日が経過してもアリシアはユラムの体を利用していた少女を見つけることができていないのである。そのためユムも一緒に探し回ったのだが一向にその手掛かりを掴むことができなかった。だがそんなアリシアは、ある日の夜のことを思い出すと急に表情を歪ませる。

その理由は、アリシアの記憶の中でアリシアが殺される少し前にユムがユムとアリシアの姿を見失うことがあったのだ。そしてアリシアはその時のユムの様子を思い出してしまうと胸の痛みを感じてしまい涙を流してしまうのである。その出来事は、今のアリシアにとっては忘れられないものとなってしまっていた。なぜならユムがユムでなくなってしまう前にユムの体に異変が生じていたからだ。それはそのユムに抱きかかえられている時のことだ。ユラムの肉体はユラムの意思とは関係なくユラムから離れてしまったのだ。そしてアリシアは、アリシアが殺されそうになった時と同様に、アリムの魂が完全に消滅してしまう寸前にアリムの身体が何者かの手によって奪われてしまうと、ユラは、目の前にいたユムの体が消え去っていく様子を見ることになる。それに加えてユムの身体からは力が一気に流れ込んでくるとアリシアは、そのまま気を失ってしまったのだ。そんなアリシアが目覚めると、すでにユラムはアリシアに事情を説明されていた。

だがその話を聞いていたユムだったがアリシアと違ってそこまで動揺はしていないようだった。それはアリシアが話してくれていた内容が本当だったからこそだ。アリシアもそんな反応を示したユムに驚いていたのであるが、それよりも気になったのはアリシアが、なぜそのような事態になってしまったのかを説明するときに見せた表情の変化である。ユムもそれを気にしていたのではあるがユラムのほうもあまり深く考えないことにして、まずは今後のことを考えることにした。それからアリシアと一緒にユムはアリマの死体を埋めに出かけることになったのである。

そんな二人はユムに死体を隠す場所を教えてもらうとそこに向かったのだった。だがその場所に向かうとユムは驚きを隠せない様子でアリシアの顔を見るとその瞳からは大粒の涙がこぼれ落ちる。

そのユムの視界に入ってきた光景は、まるでこの世界ではないどこかの国の景色のようだった。だがそんなことよりも、アリマの墓に供えられた花々がとても綺麗だったことに驚きを隠せなかったのだ。そしてそれと同時にこの光景が夢では無いということがわかった。そう、この世界にこのようなものが存在する訳がないからだ。そしてそれだけではなくアリムの埋葬の際にユラム達が持っていたはずの剣が全て無くなってしまっていた。

そのことに驚くアリシアスとユムはお互いに視線を交わすとアリムのお墓の前に膝を落とす。すると突然にユラムの脳裏に見たこともない文字が頭に浮かび上がってきたのだ。それは今まで生きてきた中でユラムは一度も読んだことがないような文字の羅列だった。だが、その文字を読んでみるとそれが意味を成した内容だということが分かったのである。

それこそがユムがこの世界で手に入れた能力であり神から与えられた力である。その能力は人の思考を理解するというものだった。

その力は人だけでなく他の生物からもその人物について理解できるようになっていたのだ。だからこそ、ユラムがアリマが死んでいることに対して驚いたように感じ取れたのである。そしてそのユラムが今考えていることはユムにとって驚くべきことであった。

(俺は本当に神様に選ばれちまったって訳なんだよなぁ。まあ、俺にできる範囲なら助けられるかもしれないが。それにしてもどうして俺にこんな力を?)そう思ったユラムはその答えをアリサが眠っている間に探し出すことに決めると、とりあえずアリシアとアリマの遺体を隠してあった洞窟に戻るとアリシアと共に眠りについたのであった。だが、その晩にアリシアの口からアリムが死ぬ前に自分のことを殺すように命じた言葉を聞かされてしまう。それを知ったユムは怒りを抑えきれなかったのだ。その言葉の意味をアリシアに伝えるべきかどうか悩んでいる時に、自分の体の中から声が聞こえてきた。そしてその言葉を聞いた瞬間に自分の心の奥にある感情に気づく。そしてそれを感じたことで自分がどれだけアリマの死によって苦しんでいたのかを理解できたのだ。

だがそんなアリマスを殺された悲しみを胸に宿しながらもユム達は旅を続けていった。それから数週間後のことである。ようやく、アリシアの体を支配していたアリシヤと名乗る謎の少女を捕まえることに成功する。アリリスは捕まえた後でそのアリシヤからアリマのことを尋ねると、アリサはそこで、ある事実を知ってしまうことになる。

「なるほど。そういうことだったのですか。どうりで最初の段階でユミは、私にそのことを教えようとしなかったのですね」そう言うとアリシアは自分の腕輪についている宝石を握りしめていたのである。そうアリシアは自分の体の主導権を奪うことのできる魔法具の存在を知っているためにそれを使ってアリナを支配している者を見つけ出せば簡単に終わると考えていた。だが、アリマのことを知っていたアリシアにそんなことが通用するはずもなかったのだ。

その証拠にアリナは一度たりともその魔法道具を使用させなかったのだから。だがそれでは困ったことがあるとでも言いたいのか、そのアリシアの言葉に反応するかのように口を開いたのであった。

そのアリシアの言葉に対して、ユミは申し訳なさそうな顔をしてアリシアを見つめながら言った。「えぇ、そうです。この子達にはあなたにその事を伝えるべきではないと判断して伝えませんでした。ですが、今はそんなことを言っている暇はありませんね。この子が、アリリシア様を殺したのは間違いなく彼女であると判明しています。つまりは彼女もまた魔族であるという可能性があるのです」そう言うとユミは再び意識を失ったアリシヤを見る。

そんなユミルの様子を見たアリシアはすぐに状況を把握すると、アリシアに問いかける。

だが、その問いにアリシアが答えることはなかった。なぜならユムがそのことについて話し出したからだった。「さてと、それであんたが俺に用があるらしいから来てみたんだけど、一体どんな話なんだろうな?」そんなユムはアリシアが自分に話したいこととは、どのような話なのかを聞く。するとユマの体に憑依していた者は嬉しそうな顔でユムを見つめるとユミルを見て話す。

その彼女の言葉にユミルも反応してアリシアを見つむと、その言葉にアリシアが答え始める。その言葉を聞いていたユムはすぐにその会話を止めると、そのアリシアに向かってユムは怒鳴ってしまう。そんなユムの反応に対してアリシアは困惑した表情を見せるのだがユミルはすぐにそのユムの行動の理由を話し始めた。だがその説明を聞いていてもアリシアは納得した様子を見せることはなく、むしろそのユミの行為に腹を立てていた。なぜならアリシアもユミルの話を聞いていたが、そのユミルの説明の中に自分のことについて触れられていないからだ。そのため彼女はそのユムに怒るアリシアに対して、冷静になるように伝える。

だがそんな二人のやりとりを聞いたアリシアがすぐにアリシアに対して怒りをぶつけようとすると、そのユムはそんなアリシアの肩に手を置いて落ち着くように促すのである。

だがそんなアリマとユムの二人に見守られながらも、アリシアは落ち着きを取り戻すことはできなかった。

なぜならばアリシアにとってユムがそのような行動をしたことはとても重要な出来事だったからこそ、そのユムの行動に違和感を感じ取っていたのだ。だがそんなアリシアを見つめたアリシアは、そのユムの瞳を見ると少しの間、沈黙してからそのユムの質問に答えることにした。

「ユム、私があなたに聞きたかったのは一つだけです。私はあなたのことを愛しているの。ユムは私のことが好き? それだけよ。だってそれ以外に私達が聞く必要のあることなんてないじゃない。そんなことを聞くだけ無駄だと思わないの?」そう言ってアリシアは真剣な眼差しでユムのことを見るとそう聞いたのだった。

そのアリシアの問いかけに対するユムの対応は、そんなの聞かなくてもわかるだろと言う表情をアリシアに向けることであった。そんな態度を取ったアリムにアリシアも不満な様子を見せてしまったのだが、アリシアとユムの二人はお互いに見つめ合うとお互いの意思を確認するように、しばらくのあいだ視線を交わし合ったのだった。そしてユムが視線を外すとアリシアの方からユムに近づいていき、ユムの胸の中に飛び込んでいったのである。その光景に驚くユミルとアリマであったが、それでもユムは優しくアリシアを受け止めるとその髪をゆっくりと撫でていた。

それからしばらくの間はアリシアの頭を何度も何度も丁寧に、まるで子供を相手にするかのようにユムはアリシアのことをあやしていたのである。

そんな二人の仲睦まじい様子を見ていたユミは、そんな微笑ましい雰囲気を壊したくないと思いながらもアリマに対して今の現状について詳しく話を聞き出すことにしたのだった。

それから数時間後に、ようやく落ち着いたアリシアをアリマに任せるとユムも、この世界についての情報を収集するためユミンの元へ向かう。そしてユムが情報を集めて戻ってきたときにはすでにアリマ達はアリマの埋葬を終えており、その日の夜になるとユミル達と共に眠りにつくことになったのであった。そうして次の日の朝を迎えることになる。しかし、その日に起きたユラム達を待っていたのは衝撃的な事件の始まりでもあったのだ。

その日の昼ごろに目を覚ましたユムは起き上がるとすぐに外に出ようとした。それはユム達が眠ったあとに何かが起きたのではないかと勘繰ってしまったからだ。だからと言ってアリシヤの死体が消えたという事実が確認できていなかったために、そこまで焦るような事態が起きていなかったことは間違いがなかった。それならばなぜユムが慌ただしく動いていたかというとそれはもちろんアリシアに気づかれないようにする為であり、そんなことを考えていたユムの前に突如として一人の男が現れる。その男は白髪混じりの長い黒髪に顎髭が似合っているような見た目をしていた。ユムはその男の格好を目にした瞬間、なぜか体が強張って動けなくなってしまったのだ。

だがそれも仕方がないことかもしれない。なぜならその目の前に現れた男が身に纏っている服装がとても特徴的だったからである。まずその男の着ている服がユラム達の住んでいる世界のものではなかったのだ。それはユムがこれまでに一度も見たことがないデザインの衣服であったために、ユムは驚いてしまったのであった。その男は、腰に剣を携えている以外には荷物を持っていないようだった。だがそれとは別に大きなトランクのような物を二つ手に持っていたのである。その男が持っているその荷物を見たユラムはすぐに、その二つの箱が何なのかを理解したのである。その二つともが人一人が入れるほどの大きな棺桶のような形をしたものだったからであった。

(なんだ、あれは? まさか人なのか?)その男の奇妙な姿をした人物が背負うその大きな荷物の正体に気づいたユムだったが、その疑問を解消するためには本人に尋ねなければ何も解決できないと考えたユムは、その男性に声を掛けることにした。

「あなたは、どちら様でしょうか?」そんなユムの言葉に対して、その男性は驚いた顔をしてその声を発した相手、ユムのことを見ていた。その男性の驚いた理由はユナの体を使っているはずの人間がユナの喋り方とは違う言葉使いをしていることに驚いたのである。

だがそんな男性の驚愕の表情など、気にした素振りもなくその声をユナのものに変化させたユムはその男性が何者かを訪ねるのである。

そのユムからの問いかけに対し男は一度深呼吸をすると、その口を開けて返事を返した。

「あぁー、これは申し訳ございません。私とした事が、突然現れた不審者のようなものがいきなり話しかけたものですから警戒されるのも当然です。申し遅れてしまいました。私の名前は、アリムと申します。一応ですがこの世界の神と呼ばれる存在です」そんなアリムの名乗りを聞いたユム達は一瞬で緊張に包まれるとアリシアとアリマの方にすぐに視線を向ける。そうしなければアリシアにその事実を伝えることができなかったからだ。だがユムが目を向けた時にはもうすでにそこにはアリシヤの姿はなかった。どうやらアリシアは先ほどアリムの口から出た言葉に対していち早く行動を起こしていたようで、既にその場を離れていったようである。

だがそんなアリシアの行動に対してユミルは、その行為を止めることができなかったのであった。なぜならアリムの言葉に嘘偽りはないとわかっていたからだ。だからこそ、この場を離れるという行為自体が意味を持たないことをユミルはすぐに理解したのである。それに何よりも、今この状態で離れられるとユイに体を返せる人物がいなくなってしまう可能性があったためにユミルは慌ててアリシアのあとを追う。

「ちょっと待ちなさい!」そんなアリシアを追いかけるユミルはそう言うが、もちろん止まるわけがないとユミルもすぐに察する。そこで仕方なくそのままアリシヤを追い続けたユミルはアリシヤに追いつくとアリシヤが逃げないように背後からその腕を掴んだのである。

そんなユミルとアリシヤに対してアリマが近づくと、すぐにアリシヤの腕を掴むと、その行動を制止させるのであった。その結果としてユムの手からアリシヤは簡単に抜け出すことに成功すると、すぐさまユムに背を向けて逃走を開始した。そんなアリシヤを見て呆れた表情を浮かべるとため息をつくユムは追いかけるのはあきらめたのか、アリマに後を任せることにしたのである。そしてアリマが追っていたアリシアとアリマが合流すると、そのユム達をその場に残してアリマは二人を連れてどこかに行ってしまう。その三人の様子を見送ったユミルはその後アリムと一緒に部屋に戻ることにした。すると部屋には、いつの間にかアリシアとユムが座れるサイズの椅子が部屋の中に置いてあり、そこに二人で座り向かい合った。

するとアリムはユムに質問をし始める。

「それで私達にどのような用事ですか?」そんなアリムの質問に答えようとしたユムであったがその質問は、ある違和感に気づくとユムが質問で返すことになった。

「どうして俺に話かけた?」そう質問されたアリムは特に悩むこともなく、まるで答えを用意していたかのようにすぐに質問への答えを話し始めたのだ。

「実は私達はあなたたちの世界に召喚された勇者なのです」

「えっ?」

「私達は勇者でありながら、この世界を救おうとはしませんでした。だからこうして私は神様の真似事をさせられています。しかしそんな私はある日一人の少年に出会いました。その出会いをきっかけに私は彼を救う方法を考えるようになりました」そう言い始めたアリムはユミルに向かって真剣な眼差しを向ける。そんな真剣な顔つきになった相手の話を聞くために黙って聞く態勢を取ることにするユミル。

「彼は自分が死ねば世界が変わるのではないかと考えていたのです。でもそれは不可能でしょう? 彼の力では自分を犠牲にすることすらできなかったんですからね。だけど私が彼に言ったことで少しだけ考えが変わり始めていました。それは、あなた達の力でどうにかできるんじゃないかということだった。だって、そうじゃなきゃわざわざあなた達の所へ来た理由にならない。私達があなたの元を訪れたのは彼のためなのですよ。私達はあなたたちに協力をお願いに来た。だから私達のことを警戒しないでください」

「そうか、だからか、お前があの棺桶を運んでいたのはそういうことだったんだな」そんなアリムの話を聞きながら何かを考えていた様子だったユムラだったが納得がいったと言わんばかりにそう呟いていた。そしてそのあとすぐにユムとアリサとユミルは話し合いを始めるとすぐにその話はまとまることになる。そしてその話が終わるのとほぼ同時にユムとユミルが入れ替わったことで二人は同時に目を覚ますことになる。だが二人は特に慌てることもなかったのですぐに落ち着くとユミルの方からユムに事情の説明をする。そしてその話を聞いたユムはユマの元へ向かうのだった。

アリマがアリシヤを連れてきたときユミは、ユミンが眠るベットの前でその手を握ってユミは静かにユミンを見守っていた。ユムはそんなユミに話しかけようと近づいていくが途中でユミにユムのことを気づかれたためにユミの目の前で立ち止まってしまったのである。そしてそんなユムの姿を目にしたユミが驚きの表情をしてしまうと、慌ててアリマの後ろに隠れてしまったのだった。そんなユミンの反応に驚いたのはもちろんユムだけでなくユムの後に続いて近づいてきていたユミルも同じで固まっていた。なぜなら今まではどんな人間であろうともユムのことを認識してユミに話し掛けていたはずなのに、なぜか今回はそれが起こらなかったのである。だがそのことにユムとユミルが疑問を感じることはなかった。

なぜならば、すぐにユムはその原因に気づいたからだ。それは今の自分の体がアリシアだからだ。そのことに気づいたユムは苦笑いしながら、すぐに今の自分はアリシアだということを伝えるのである。そんなユムの話を聞いたユミルだったがそれでもユミアのことが心配だったらしくアリマの背後に回ってユムにユミアのことを確認していた。そしてそんな二人のやりとりを見ていたユナは、二人が仲直りしたことに安堵するとアリムの元へ歩み寄った。だがユムがそんなことを気にすることはなく、ただユミアのことを心配しているだけだったのだ。そのことに気がついたユミルは自分の気持ちを押し殺してアリマに声をかける。ユミにはその光景を見てもユムがアリシヤであることは、ユムが喋るまでユミにはわかっていなかったようだった。だがその会話によってようやくユイからユムに入れ替わる現象にユイは気がつくのだった。

「あれ、お兄ちゃんが、アリシヤさんになってる?」そんな声を上げたユノに全員が気づきユイに視線が集まる。だが当の本人はなぜ注目されたのかわからず不思議そうな顔をしていたが、ユイはそんなユノンに笑顔で話しかけた。

その笑顔はいつも通りの兄の顔をしておりユムは、安心することができた。だからこそユムはすぐにアリマと共にアリシアに近寄るとユミアのことについて尋ねたのである。そんな二人にユミがアリシアの代わりに説明を始めようとしたが、それをユミルが止めるとアリマの背中を軽く叩きながら、代わりに話をするように促した。そうすることで自分が喋るのではなく、アリナに喋らせることにさせたのである。

ユムに急かされる形で話を始めたアリマは簡単にこれまでの出来事をユムとユミルとユイに説明すると、今度はユムがアリマを褒め始めたのである。そんな突然始まったアリムを称賛するような言葉を並べるだけの会話に対してアリマは呆れたようにユムを注意しようとしたが、すぐにその口を止めてしまう。そしてユミルがアリマの口を止めることに成功したと同時にユミもアリマがアリシアではなくユイであるということに気づいたのであった。

「ユミルちゃん? どうなってるかわかる?」そう尋ねるユミルに答える前にユムとユムはお互いの顔を見合わせるとすぐに理解ができたのか、小さくうなずくとお互いに入れ替わった状態について話し合いを始める。そして話し合いを終えた後はその状況をユミンに説明してあげた。

ユミンが寝ているユミアに対して話しかけて返事がないことが悲しかったようで涙を流すと、そのユムの体に抱きついて離れなくなってしまった。

そんなユミの頭を優しく撫で始めると落ち着かせるために優しい口調で言葉をかけ続けるユム。そんな二人をしばらく見守った後でアリマ達はその場から離れるとこれからの方針を決めようとするのであった。そうしてまず最初に決めた方針は魔王退治に向かうというものだった。その理由としては単純に勇者としての役割を放棄するためにこの世界を救うために行動することにしたということもあるが、それよりも先に行かなければならない場所が他にできたというのが大きな理由であった。そして次に決めた方針は勇者召喚が行われた国へと向かうというものである。そして最後の指針として決めなければいけないことを決めるとアリマはその決定に従うことに決めたのである。

そうして決まったことをアリムに伝えようとしたときにユイがあることを思いつく。

「ねぇ、ちょっと待って」

「んっ?」そんなアリムに対して真剣な顔つきになりながら問いかけるようにアリマに質問をするユイナ。

「あのさ、もしかしてアリシアさんの居場所を知ってたりしないかな?」そう言うとユイは真剣な表情のままアリムのことを見た。それに対してアリマは何も答えない。そして沈黙が流れたことでその質問に答えたくないのかと思い、質問を変えようとするがアリムに質問を変えるのをユムが止める。そしてそんなユムがユミとユマに向かって指示を出すとアリムの前に移動するとユミルはアリマの手を握るとそのままアリマのことを持ち上げると部屋の外に向かって歩き出したのである。そのユミルの行動に戸惑いを見せるユムとユミとユラとユミナとユミルだったがユムとユミルに腕を引っ張られたユイだけは違った反応を見せた。なぜならアリマの手を握った瞬間のアリシアの手の感触をユミが覚えておりアリシアだと確信するとすぐに部屋から出て行く二人を追いかけ始めたからである。そんな三人にユムラとユリとユアとユウリも遅れて追いかけることにした。

ユミンの部屋にアリサと二人きりになってしまったユミはユミに言われた通りにユミアに話かけたのである。すると先ほどと同じように返ってくるはずのない返答が帰ってきたのだ。しかもユミにとっては予想だにしていなかったユミアが起きているという予想外の出来事が起こった。そんなユミアの反応は驚きの余りユミはユムに助けを求めたのである。

そうするとアリマから説明を受けていたユミルが急いで駆け付けてきた。それからアリマはアリシアの状態についてユミに説明を行うと、ユミルにも協力してもらうことにしたのである。

そしてそれから三日間が過ぎた後にユミンが目を覚ますことになるのだがこの時はまだ何も知らずにユミ達一行は魔王城に向かっていたのだった。

「ふぁあああ」欠伸をした僕はベッドから起き上がるとその辺に転がっている木箱に足をぶつける。だが僕にとってこの痛みは大した問題ではないので気にすることなく立ち上がり体を伸ばした。それから自分の体の調子を確認してみると、どこも痛むところがない。そういえば最後に眠っていた時に夢を見ていたような気がするが、どんな夢だったかまでは思い出せなかった。だがそのせいか妙に気分が良いのだ。それになんだか胸騒ぎもする。そんなことを思いながらも僕の目の前にある窓から差し込んでくる太陽の光がやけに強いことに気づきその窓の外へと目を向ける。そしてそんな時、視界に入ってきた景色を目にした僕の口から思わず驚きの声が上がってしまった。「え? は?」だってそこに広がっていた光景はまるで天国の様だったから、いや、天国に間違いないだろうけど。

そこには今まで見たこともないほどの巨大な樹海が広がっていたのである。そんな目の前に広がった壮大な景色にしばらくの間放心してしまうと慌てて扉の方へ向かう。そしてすぐにその部屋の外に出ようとすると僕の横を通り過ぎて誰かが出て行こうとしていた。

そんな奴の肩を咄嵯につかんで振り向かせて誰なのかを確認すると、そいつは驚いたようにこちらを見ている。そして僕は、こいつが今ここにいる意味がわからないが今はそれどころではないと思い、強引に引っ掴んだその手を離すと廊下に出た。だがすぐに違和感を覚えることになる。何故ならここは王城のはずなのだ。それなのに誰もいない。そもそも人の気配すらない。

そこでようやく自分の記憶に誤りがあったことを思い出すことになる。確か僕はあの棺の中で目覚めるまでの記憶を失っていたはずだが何故かここが王国で自分が王族だったことを思い出していたのだ。だからこそ僕は焦りを感じ始めていた。それはなぜかと言うと僕には前世の名前であるアリカのことや自分の名前すらも思い出せないのになぜかこの国のことに関しては少しだけだが思い出せたのだ。

だけど、それがどうしてかわからずに混乱してしまう。そんな風に悩んでいると背後に何者かの気配を感じ取った。なので振り返ってみるとそこには見知った少女が立っていた。そして僕はその顔を見ると思わず声を出してしまう。

なんせそこに立っていたのはこの国の第一王女だったからだ。彼女は僕の方を見ながら微笑みかけると話しかけてくる。

『あなたが、魔王ね?』そんな彼女からいきなり投げかけられた問いに一瞬固まると、なんとか返事を返した。だがそれでもまだ頭が追いついておらず、思考回路が上手く動いてくれないのだ。するとそんな僕の姿を見ても笑みを消さずに近づいてきたかと思うと急に手を伸ばしてきて頬に触れる。

そして彼女の手が触れたことを理解すると心臓の鼓動が高鳴っていく。だが次の瞬間、彼女は僕の首に両手を巻きつけると締めつけ始めたのだ。だが、それもほんの僅かの間ですぐに開放されると再び笑顔を浮かべるとこう言ってきたのだった。

『あなたのことは私が殺さないと』そんな彼女の行動に驚いている間に、また別の人影が現れていた。だが、その人は普通の人とは違い背中から翼を生やしていたのである。そんな彼女を初めて見るのにも関わらず知っている気がすると思った僕は戸惑ってしまう。だがそんなことを考えていると、突然に背中が熱くなり、気が付くと背中から生えてきてしまっていた。それを不思議に思っていると彼女が話しかけてくる。

『これで終わりじゃないですよ』そう言うと同時にさらにもう一本翼が出てきてしまい四枚の羽根の生えた状態になってしまう。

「くぅう、ああっ」あまりの痛みに声を上げてしまった。そしてその直後、急に全身が重くなる。

どうやら力を使い果たしてしまい、動けなくなってしまったようだ。だがそんなことをお構いなしに迫ってきたかと思うと腹部を殴りつけられる。

「はがっ!?」その一撃だけで体の中から何かが抜け落ちてしまう感覚に陥り意識を失いそうになる。そんな僕を見て、彼女が嬉しそうにしながら手を伸ばすと指先が顔に触れ、そこから体内に侵入してくる。

「っ、あ、ああ、ああああああ!!」体内に入り込まれたことに激痛を覚えながら抵抗しようとしたが全く身動きを取ることができない。そんな中、突然に僕の頭の中にある言葉が響き渡る。その言葉はまるで呪いの言葉のような感じに脳を浸食して支配しようとするかのように頭に何度も鳴り響いたのである。

それから暫くして、僕の頭の中を支配しようとしてきた言葉が消えていくのと同時に体が軽くなり始めていった。そして完全に解放されたと感じたところで僕はその場に立ち上がろうとするが力が入らず地面に倒れこんでしまう。それからしばらく経つと、今度は立ち上がることに成功した。そんなタイミングで再び彼女の攻撃が開始されると僕の体は先ほどと同じようにダメージを受けたのだった。

「ぐぁ、うが、がぁああ、ぎゃああ!」連続で襲いかかる衝撃に僕は悲鳴を上げて地面を転げ回ると痛みのせいで意識を失っていく。

そして意識を失う直前、最後に残った僅かな力で彼女に蹴りを入れるとそのまま気を失った。そして次に目を覚ましたとき最初に目にしたのは知らない男の姿だった。そんな男が僕に向けて笑いかけると話しかけてきたのである。

「よぉ~目覚めたか?」そう言うと男の方はゆっくりと立ち上がり僕の方に近づくと、顎に片手を当てると顔を近づける。そんな彼に対して嫌悪感を抱き睨みつける。するとそんな僕の反応に男は笑うとこう言ってのけたのである。

「おおっと、怖いねぇー。でも、そんなんじゃあ俺を楽しませてはくれねぇな」そう言い終わると僕の腕を捻り上げる。するとそんな行動に対して苦痛の声を上げる僕。

そして僕は自分の腕に巻きついている縄に気づいた。その状況を理解したところでこれから何が行われるのか嫌でも察してしまう。だが、もう僕には何もできない。そしてそのまま部屋の中に引きずられ始めると床に叩きつけられたのである。その行動によって体に痛みが生じ僕は苦しそうな表情になる。そしてその反応に満足したのか僕の上に跨ってくると服を破り捨ててきた。

「ふふふ、ふふふふふふふふふふふ」気持ちの悪い笑顔を浮かべる彼に僕は恐怖を感じたが逃げ出すことはできなかったのだ。

それからしばらくして僕は自分の部屋まで戻ってくると部屋の片隅に置かれている檻の中へと入れられてしまう。そして彼は部屋を出て行き一人になると部屋の外がやけに静かだということに今更ながらに気づくと部屋から出ようとするのだが扉が開かないのだ。それだけでなく外から施錠をされたのだろう鍵がかけられてしまう。そんな絶望的な状況に陥った僕の耳に聞こえてきたのは階段を下りてくる音がする音だった。

その足音を僕の部屋の前まで聞こえるようになるとその足音の主人が姿を現す。するとその姿を見た僕の瞳から自然と涙が流れ出す。その人物は先ほど僕のことを暴行した男だったのである。

そして彼の口から告げられたのはこの国の王からの伝言であった。その内容とは魔王を討伐するための儀式を行いたいから僕に協力して欲しいというものだった。その申し出を聞いて僕の心に怒りの炎が生まれるとそんなことに協力するはずがないと口にする。

そして、それに対して王からは予想だにしていなかった答えが返ってくる。そしてその事実を耳した僕は驚き、困惑することしかできなかったのである。なぜなら魔王は人間ではなく、勇者にしか倒せないというのだから、それなら今の僕に一体何を協力させるつもりだというのだろうか? それにそもそも、どうしてこんなにも簡単にこの世界の秘密について話すことができるんだ? そう思うのも当然のことだった。

だがそんな疑問に対する返答は一切なくただ一言、「明日の朝、日が出るころに迎えに来る」という言葉を一方的に残して去って行ってしまった。そんなことを言われても、この部屋にずっと閉じ込められている僕には逃げる方法が無い。しかも扉の鍵が外側から掛かっているのだ。なのでその言葉を鵜呑みにして翌朝を待つしかなかったのだった。そして翌日の朝が訪れると僕は再び拷問される。昨日のこともあり警戒していた僕はなんとか逃れられないかと考えた。その結果として相手の隙を狙うべく機会を探る。そしてついにそのチャンスが訪れた時、僕は必死になって暴れて見せた。

そのおかげもあり僕の体の上から飛び退いてくれると、すぐにベッドから起き上がり逃げ出した。すると僕の行動を目にした王は笑みを深める。そして、そんな彼に向かって僕も笑いかけてみせた。そんなことをすれば相手を刺激してしまうだけなのは分かっていたが、それでも今はそれ以外にできることがなかったのだから仕方がなかったのだ。だが、そんな風に笑ったせいか逆に王の逆鱗に触れることになる。

そして次の瞬間、顔面を思いっきり殴りつけられる。口内に血の味が広がり痛みを感じると共に、そのせいで意識が途切れてしまいそうになる。しかしそんな僕に追い打ちをかけるように腹や胸、顔に次々と暴力が加えられる。そして最後には首を絞めあげられて殺される寸前にまで陥っていた。だがその時、不意にドアの開く音が聞こえる。

僕は咄嵯に助けが来るのかもしれないと希望を抱いた。しかしその考えが甘いものだったことに気づく。何故ならば現れた人物が女性だったためだ。その女性が僕の方に近づいてくるとしゃがみ込み、そして僕のことを助けてくれようとしていた。だがそんな彼女の行為に僕は思わず手を出し拒絶する。

「お願い、こないで。近づかないで。これ以上私に優しくしないで。だって貴方たちが悪いんでしょ。貴方たちが私を裏切ったからこうなったんじゃない。私のことを殺したのが誰なのか知っていてもそんなこと出来る訳ない。だけどその人が許してくれなくてこうして生き長らえさせられてる。そんなの耐えれるわけないじゃない。なのに、なんで。なんで、なんで。どうして私ばっかりこんな目に合わなきゃいけないんだよ」涙を流しつつ訴える僕。

そんな僕の姿をみて女性は悲しげに微笑む。だがすぐにその視線を僕の後ろへと移すと立ち上がっていた。

そこで僕の意識はまたもや途切れてしまったのだ。だが今回は少し違ったのである。僕はまだ生きていたのだ。それは僕の背中に乗っている誰かのお陰でもあった。そして、僕の目に見える光景は変わりつつあったのだ。そう、視界に入ってくる風景が一変したのである。

「えっ、あれって」僕は驚愕してしまう。それは何故かと言うと目の前に現れた人の姿に違和感を覚えたからである。その人は確かに人の姿をしているのだが、どう見ても背中から羽根を生やしていて、まるで悪魔のように角が生えているのだ。そんな僕の反応を見て彼女は笑うと、背中に乗せている僕の事を見つめる。

そして彼女は「やっと見つけた。やっぱり君はここにいたんだね。君のこと、私が守らないと」と意味深なことを口にするとそのまま何処かへ飛んでいったのだった。

それからしばらく時間が経過すると僕の頭の中から聞き覚えのある声がするのと同時に僕の体を蝕んでいた呪いが消え去り、さらに今まで感じたことがないような力が全身に行き渡る。そしてそれが収まると今度は自分の中にもう一人の自分が存在している感覚に襲われると同時に頭の中に声が直接響き渡るのを感じ取ることができたのである。

『これで私は自由に動けます。ですがもう限界みたいですね』そう言った直後、彼女は僕から消えていったのだった。

その後に僕は意識を取り戻していたのだが全身がボロボロの状態で動けなくなっていたため意識を失ってしまうと目が覚めた時にはもう全てが終わっていた。その証拠に僕の体は元に戻ってはいなかったのである。どうやら僕の体は完全に壊れてしまっていたらしく元に戻ることはなかったようだ。その事に気づいた僕だが特に慌てたりしなかった。それよりも、これからのことを考えなければ、と考えていた。

だがそんなことをしていれば王が戻ってくる気配がした。

そして、彼は僕を見つけると満足そうな顔で「儀式の準備は整った。ついてこい」と言って僕に鎖で繋がった手錠を嵌めてきたのである。そんな状態で引き摺られるように城の地下にある儀式の間と呼ばれる場所に連れていかれると魔法陣の中央に立たされる。そんな僕の姿を見て、僕は自分が何をしようとしているのかを理解してしまう。

そしてその通りの儀式が行われ始めたのだった。

そして僕が完全に魔王の力を取り込み魔王化したところで意識を失ってしまうのだった。そして目を覚ましたのはあの王の前に倒れ込んでいる僕の姿である。そんな僕の頭を掴んできたかと思うと彼は僕のことを覗き込んできて言う。

「ふふ、ははは、ついに成功した。遂に我が国は真の平和を手に入れたのだ!」そう言うと大声で笑う彼に対して僕の体が震え出す。それと同時に頭の中を侵食しようとする別の何かの力を感じることが出来たのだ。そうして抵抗しようと試みるもののその力はあまりにも強力すぎて抵抗することができない。次第に僕の意思が失われ始めていくのが分かると僕は自分のことを嘲笑するしかなくなる。そんな僕に気づいたのか王は笑みを深めるとこう口にした。

「もうお前には興味がないからなぁ。好きにしろ、もう必要のない道具なのだから」そんな言葉を残してその場を離れようとする王に向かって最後の力を振り絞ると拳を握り殴りかかる。

その攻撃によって彼の体は吹き飛ばされるが、それだけで致命傷を与えることはできなかったのであった。そうしている間にも徐々に僕の体に異変が襲ってくる。

僕はこのまま死ぬんだ。それならそれでいいかと思った。でも、もしももう一度転生することができたのなら今度は幸せな人生を送ってやるんだと誓うのであった。

それから数日が経過しても魔王となった勇者様のことが気になり続ける毎日が続いていた。そしてとうとう我慢が出来なくなったのか勇者様にお会いするためにお城を抜け出し城下町へと向かうことにした。

お城の門を通り抜けようとするのだが門のところにいた衛兵さん達が私のことを警戒する様子を見せると武器を構えるのだった。

しかし私はその人たちに気にせずに前に進む。そして彼らの横を素通りして行こうとすると一人の男の人に呼び止められる。

そしてその男性は私を見ると突然話しかけてきたのだ。その人の見た目はとても強面というわけではなくむしろ優しい印象を受ける人だったのだけれど私にはなぜかその男性から嫌なものを感じ取ってしまった。そのため思わず睨みつけてしまう私。

すると相手も私の事を睨み返してくると、その人が口を開いたのだ。すると、その内容は信じたくないものだったが嘘ではないということを理解するのにそれほど時間はかからなかった。何故ならばその男性が口にしたのは私にとって一番言われたくないことだったからである。

そのことにショックを隠し切れない私。

どうしてこの人達はそんなひどいことが出来るのだろうと思ってしまい怒りで涙がこぼれ落ちそうになっていた。そしてそんな時、私の手を誰かが握ってくれたのだ。そしてそれはよく知っている人の手で安心感を与えてくれるものだったのである。なので恐る恐る振り返ってみるとそこには私の愛しい人の顔があった。そして私はこの方が助けに来てくれたのだということをすぐに理解して抱きつくのだった。そしてそのまま泣きながらその方の胸の中で思いっきり泣いたのである。

しばらくして少しだけ落ち着きを取り戻した頃になって、その方は私を抱きしめてくれた。そして慰めてくれて嬉しかったのですが同時に私の事を抱きしめてくださっている手が僅かにですが小刻みに揺れていることに気がついてしまった。なので心配になった私は思わずその方のことを抱きしめ返すと大丈夫ですか? と尋ねる。すると、その方の肩が大きく跳ね上がり明らかに動揺していた。そんな反応に不安を覚えた私は再びその方を呼んで確認を取ると慌てて謝ってきたのだった。なので許すことにして再びその方の顔を見つめて微笑むとこう問いかける。

するとその方は何も言わずに私の唇を奪うのでした。

そういえば初めてだったと思いつつ私も応える。

そしてお互いの呼吸が荒くなっていくと、やがてお互いに求め合うようになり私たちは深い関係を持つようになる。そのせいでその後、私はその方に叱られてしまったのだけれども、そんな風に怒ってくれるほど想われているのだと感じることが出来き嬉しく思う私なのだった。

その翌日、お父様のお部屋に行くことになった。

理由は昨日の件について話し合いがしたいということで、私を呼び出したかったらしいのだ。しかし、お城に出入りできる身分でもないのに勝手に来てしまい、さらに無断で抜け出そうとしたことを怒られることになる。その事に納得がいかないながらも謝罪をするのだが、そんなことでは許すことはできないと言われてしまい結局、しばらくの間お城の外に出ることが禁止されることになった。

そんな私を可哀そうだと感じてくれたのかその方は私のためにと服をプレゼントしてくれたので早速それを着ることにする。そして、私とその方とで一緒に街へと繰り出した。その道中で、私と手を繋ぎ腕を組み、さらには密着してきている女性とすれ違う度にこちらのことも見ているのに気づく。だけど私はその女性がどのような存在なのかを知っているので、気にしないで下さいねという意味を込めてその女性の方に笑いかけると微笑み返してくる。そんなやりとりを何度か続けているといつの間にか街の広場にまで到着しており、そこにある露店で売られている物を食べ歩きしながら楽しむことにしたのだった。そしてその途中、とある場所で見知った姿を見かけることとなる。何故ならばそこにいたのは勇者である彼女、ユナちゃんの姿だったからだ。しかも何故か私と同じように服を着ていないで布を体に巻いているだけだった。そんな姿になっている理由を考えるよりも先に彼女が私を見つけてしまうと近づいてきたのである。

彼女はそのまま私の隣にいる男の方を見ると微笑んだ後、手招きしてきた。なので、どうしたものかと戸惑う。そんな時に私の手を引いてくれて連れていかれるままになる。そしてその場所に到着するなり男は立ち止まるとそこで待っていた人物に声をかけてきた。それはやはり勇者と呼ばれる女の子であり、その子から話しかけられると同時に私の体を包み込むように抱きついてくる。

「良かった。ようやく見つけたよ。無事でよかった」

彼女はそう言うと泣いてしまうのだった。

そんな彼女を宥めていると私はあることに気づいたのである。そう、今の状況だ。

彼女のことを私は知らない。それなのに彼女は私のことを知っているようで親しげに接してきて、私と離れることを悲しんでさえいるのだ。その事がとても不思議でならなかったがその理由が分かった。

その答えは隣に立つ男性の手に持っているものにあった。

「あなたが私を守ってくれたのね。ありがとう。本当に感謝しているわ。私は貴方に何もお礼をすることはできないけどせめてこれぐらいはさせて?」

「えっ!? ちょ、まっ!」

「んちゅ♡ ちゅぷぅ♡ ちゅるるっ! じゅぽぉ!」

私は目の前で行われる信じられない出来事に唖然とするしかなかった。

だってあの子がいきなり男性と熱烈なキスを始めたのだから仕方がないことだと思う。

そんな状況がしばらく続きやっと解放された彼は疲れ切った顔をして座り込んでしまったのであった。しかしそんな状態の彼を見て満足そうな表情を浮かべていた彼女は唐突にとんでもないことを口にしたのだった。そう、この場にいる私たち三人に魔王として君臨して欲しいと言うのだ。それを聞いた彼は驚く。それはそうだろう。まさか自分が魔王になる日が来るなんて思ってもなかったはずだからなぁ。しかしそれでも彼が魔王となることを受け入れた瞬間、突然彼の体から紫色に輝くオーラが出現し、それが霧散したかと思うとそこには魔王となった彼の姿が合った。そして魔王となった彼と入れ替わるようにして今度は私が彼に口づけされそうになったため咄嵯に逃げようとするものの簡単に押さえつけられてしまう。その行為に対して怒りを感じると共に悔しさで歯噛みするがそんなことをしても逃れられないということを理解して受け入れるしか道はないということを悟ると覚悟を決めて身を任せることにしたのだった。

「じゃあこれで準備は整ったし行こうか魔王城へ」

「魔王城へ行くのか?」

「そう。魔王の力が強大になればなるほど魔王城は強力な魔導結界で覆われていくの。そうすれば外からの干渉を完全に防ぐことができるってわけ。だからこれから私達で力を合わせてこの世界を救いましょ!」

そんなことを言い出したユナに僕達は戸惑いを覚えてしまう。何でこんなことに付き合わされなくちゃいけないんだろうと。ただ、断ろうとしても強引に連れて行かれるのは目に見えているため僕には諦めるという選択肢しか残されていない。そのため、僕は彼女に導かれるままに歩を進めていく。

そしてしばらく歩いていると目的地に到着した。

その場所はまるで地獄のような風景が広がっていた。なぜならそこには異形の生物達が我が物顔で跋扈していたのである。そんな場所に僕は恐怖を覚えるのだが、それだけではなく僕は別の感情も抱いていた。それは怒りである。その怒りをぶつけるように魔物の群れに突撃していくと力任せに剣を振り回して蹂躙を開始する。

「お、お兄さんって強いんだねぇ。私、おどろいちゃった。やっぱり、私の思った通りのお人だったみたいだ。お兄さんはきっと私にとっての運命の相手だったんだよね。ふ、フハハハハ、いいぞ、もっと、強くなれ。そうすれば私の望みがかなうはずなんだから!」

そんな僕の後ろ姿を見ているユナは狂喜しているような笑みを浮かべて、何かに取り憑かれたかのように呟くとその場に立ち尽くしてしまうのであった。

そんなことがあった後も旅を続けることにした。

そしてしばらく進むとついに目的の国に到着する。そして城門の前で待っているとその国の兵士たちから声を掛けられたのだ。その人たちは僕の事を見るなり警戒心を剥き出しにして武器を構えてくる。そのため少し困ってしまうが、すぐにアリアドネが現れてくれたおかげで助かったのだった。そんな彼女と再会を果たした後は王城にまで案内されるのだが道中で様々なことが起きた。というのも兵士の一人が突如現れた少女に襲われてしまい襲われた人は酷い傷を負ってしまったのである。そんな時、リッカが突然駆け出して襲ってきた少女を取り抑えてくれた。そんな光景を見た兵士さんは驚きのあまりに目を見開き固まってしまっていたのだ。それから程なくして、僕達は国王に会うことになり事情を説明することになった。だがその時、なぜかアリアは機嫌が悪かったのだ。そして説明が終わって帰ろうとした時、僕はこの国の王妃であるミライア様からお誘いを受けたのである。それは、是非お食事をご一緒させてくださいというものだった。そして断る理由がなかったこともあり、そのまま彼女に連れられて豪華な食堂で夕食をいただいたのである。その食事の最中に、僕は気になっていた質問を問いかけてみた。

すると彼女はこう答えるのだった。

「はい、勇者とは神より授けられる特別な能力です。勇者の能力は非常に高く普通の人が持てるスキルとは違いレベルという成長上限が存在しません」

そう、彼女は勇者の持つ力を知っていた。なので疑問を抱いたのである。

なぜ彼女は勇者のことを詳しく知っているのか? どうしてそんな情報を持っているのか? と。それを尋ねた際に、僕は思わず言葉を詰まらせてしまったのだ。

その理由は単純。

彼女が勇者の関係者だと聞かされてしまったからである。そして同時に彼女の正体を察してしまったのだった。その事実に衝撃を受けてしまったせいか何も言えなくなってしまい、その場の空気が重くなってしまったが、そんな中で彼女は笑顔になるとこういったのだ。

「大丈夫ですよ、勇者の力を手に入れたあなたはいずれ勇者を越える存在となるでしょう。それこそが勇者を超越した者に与えられる新たなる名なのです。だからこそ私達はあなた様の味方になります。あなた様に救っていただくために、私達にできる最大限の事をお手伝いしたいと思います。それに私個人としてはあなたが望むならば妻となってもいいと考えております。私達の国で勇者の次に高い地位である巫女をやっておりましたし、それなりに教養はあります。それと私自身あなたのことを好きになってしまったんです。だからあなたに全てを奪われてしまいたいと思っちゃいました♡」

彼女は頬を染めながら僕をじっと見つめてきてそんなことを言う。

そしてさらに続けたのだ。

「私と一緒になってくださればこの国は永遠に安泰。民の生活を守ることができますし、私達夫婦が力を合わせればどんな敵でも倒せてしまうほど強くなりますよ。だからお願いしますね。私に身も心も捧げていただけるのなら、絶対に幸せにすることを約束しましょう」

「うっ!?」

彼女からそう告げられて胸の辺りを押さえたくなる。

だって彼女は見た目が凄く綺麗だし性格も優しいのである。そんな人と結婚することができるとなれば、誰もが喜んで受け入れてしまうはずだ。だけどそんな話を受け入れることは僕にはできなかった。だから丁重にお断りしようとしたのだ。しかしそんなタイミングで、僕に襲いかかって来た人物がいた。

それはリッカだった。

「駄目だ! そんなこと許さない!」

彼女は僕を守ろうとして立ち塞がってくれていたのだ。そんなリッカの姿を見ると申し訳なく感じてしまう。そんな僕の様子を感じたのかアリアが優しく微笑むと彼女は耳元でそっと囁いた。

「安心して、彼女は私の仲間よ。私の仲間になると言ってくれた子よ。そんな子に手を出そうとしたら承知しないんだから」

そんな彼女の声にホッとした。そしてそんな会話を終えるなり食事はお開きになった。そうして用意された部屋に戻ってくると何故か僕の布団が敷いてあった。どうしたものかと思っているとそこに寝巻き姿の女性が近寄ってくる。その女性はリッカの格好に似ていたので仲間なのだろうと察することができた。だから何も言わずにその人に抱きつかれるままになってみる。するとしばらくして僕から離れて満足そうに去って行ったのであった。そんな出来事があった後はすぐに眠りについた。ちなみにユナは別の部屋で休んでいるようだ。

翌日になり目が覚めるといつも通りユナとアリアと顔を合わせたのだけど、そこで僕はまた驚かされてしまうことになる。なぜなら昨日と同じ服を着ていたはずの彼女たちの衣装が全く違っていることに気づいたからだ。そのためそのことを不思議に思って聞いてみると、二人共嬉々として答えてくれる。

そしてそれを聞いた直後、僕はあることに気がついてしまった。そしてそれは確信に変わる。それは二人が僕の妻になることを諦めていなかったのである。そう、二人の目的は僕の子を孕んでこの国を繁栄させることにあるようで僕が魔王になるまで毎日のように求愛してくるのであった。そんな生活を続けることしばらく経ちようやく僕にも変化が訪れる。それはある日のこと。

魔王城へと向かう道中のことだった。突如魔物の群れに襲われて戦闘になるも無事に倒しきり休憩をとっていると、不意にリッカが立ち上がろうとしていることに気づく。その動きからして怪我をしたように見えなかった僕はその行動の意図を確かめようと近づいた。そして、その直後だった。僕の目の前にいた少女がいきなり飛び込んできて僕を押し倒すと馬乗りになり顔を近づけてきたのである。突然の行動に対して驚いた僕は咄嵯に抵抗するが相手は人間とは思えない力で拘束してきたのだった。そのあまりの強さから抵抗するのを止めされるがままに身を任せることを選択すると、目の前にいる少女は興奮気味に語り出す。その内容は信じられないような言葉ばかりだったのである。そして彼女は突然僕の顔を見て驚く。なぜなら僕の目からは光が失われていたからだ。

そう、まるで魔王のような目をしていると。そしてそんな目つきになっている僕に対してユナは歓喜し、そしてそんな彼女を見て他の二人は唖然としていたのだった。

魔王となった僕が最初にすることは魔族の召喚だった。

魔王になってから最初にすべきことといえば配下の戦力を整えることだった。しかし魔族とはそう簡単に呼び出せるものではないらしくユノからの提案で魔王城に居る者達でなんとかすることにしたのである。そして魔族を呼び出すことに成功した後はしばらく魔王城の周辺にて待機しているように命じておく。その後すぐに僕は勇者の元に向かった。そして、この国を滅ぼすと宣言しておく。その宣言の後はすぐに戻ってきて城で待つことになった。それからしばらくは城内を歩き回って今後の計画を考えている。

「お兄さん。今日はどうだった?」

「ん? 何がだい?」

ユナからそんなことを尋ねられたので聞き返してみる。

「今日の勇者だよ。やっぱりダメそうだったのかなと思って」

ユナは不安そうにこちらを窺ってきた。

そう言えば彼女はずっと僕のそばに付いて離れないのだ。それはつまり、僕に対する執着を意味している。そして、それを証明するかのような言動も度々見られた。例えば勇者と対面している時は僕の隣に立ち腕を組んでみたりしていたのだ。さらには一緒に戦わないと死ぬと言われてしまい結局戦うことにしたりとかしている。ユナは本当に勇者を倒すために色々と手伝ってくれるつもりらしい。

その気持ちはとてもありがたいけど、少し過剰過ぎるとも思う。

「あぁ、勇者か。そうだね。今のところは何の問題もないね」

「そうなんだね。なら良かったよ」

そう言って笑う彼女だったがすぐに表情を変えて心配するように口を開いた。

「それでお兄さんの方は大丈夫だった? もし何か嫌なことされたらちゃんと言うんだよ。お姉さんはお兄さんの為だったら何でもするつもりなんだから。それが勇者の暗殺でも構わないからさ♪」

彼女は笑顔でとんでもないことを言う。流石にそれは冗談だと分かっているのだが、それでもゾクッとする内容だった。しかしそんな彼女に対しても今は平常運転だと言えるくらい落ち着いている。というのも僕はもうすぐ死ぬということが分かっているためそこまで恐怖を感じなくなっているのである。

そんな僕が何故こうなったのか? という理由は簡単だ。僕の中にある魔力量が限界を超えたから。そのおかげで僕は寿命が短いことが確定してしまったのだ。それを悟った時はあまりのショックで涙が出たほどだった。だけど、僕は自分の運命を呪ったりしなかった。いや、出来なかったのだ。だから僕は残された人生で何をするかを考えることにする。そして僕はその時に思いついたことを全て実行していくことに決めたのである。そうすることで、これから先どんなことが待ち受けていようと耐えられると思ったのだ。そしてまずはやることをリストアップしておく。そう、これから僕が何をするべきかを考えていくのであった。

そうして僕が一人で悩んでいるとアリア達がやってきた。なので僕は早速彼女達に相談をしてみる。

その結果、この国に居る間は魔王を演じ続ける必要があるということだった。そしてそのために彼女達の力を借りる必要があるという。なので彼女達に指示を出すとそれぞれの役割をこなせる人材を集めてきてくれたのである。

そしてその日の内に彼女達によって魔王軍の体制が確立されることとなった。その手際は凄まじく、たった数時間の間に完璧と言ってもいい程の完成度に仕上げられていたのである。なので僕は改めて感心させられた。

こうして僕達とユナ達の本格的な戦いが始まろうとしていたのだった。

◆ それから数日間は特に問題もなく過ごしてきた。だけど、そろそろ勇者の奴が動く頃だろうなと思っていた矢先のことである。遂にその勇者様のお越しがあった。

その人物はリッカによく似た女性を連れて現れた。リッカの姉だろうか? と考えていると彼女が名乗り出る。彼女はリッカの母親であり巫女でもあるというのだ。それを聞くと同時に彼女がリッカと同じ匂いを発している理由に納得できた。だが、同時にそんな存在が現れたことに対して、リッカとの繋がりがあるのかと疑問を抱いてしまう。そんなことを考えながら彼女のことを観察し続けていたのだが、そんな僕のことを彼女はジト目で睨んで来たのだ。するとそのタイミングで彼女の方も僕を観察するかのように見つめてくる。その視線があまりに熱っぽく感じられてしまい恥ずかしくてたまらなかったが必死に堪える。そしてそんな状態が暫く続いた後、僕はようやく気づかされてしまうのである。

彼女は明らかに僕に恋心を抱いているのだと。そう思った途端に顔が一気に真っ赤に染まるのが分かる。

僕は今まで異性から好かれるなんてことは一度として経験したことがなかったため、どうしてこんな反応になってしまうのかという原因が全く分からず、ただ戸惑うだけだったのであった。

そんな僕を見てリッカのお母さんはクスリと笑みを浮かべると近づいてくる。僕はそれにビクリとしたのだが、彼女は優しく僕のことを抱き寄せるとその頭を撫でてくれる。まるで子供をあやすようなその行動に僕は思わず固まってしまう。そしてリッカのお父さんの方を見ると苦笑いしながらこちらを眺めていた。そして僕が困ったように微笑んでみせるとリッカのお母さんの胸から離れて助けを求めることにしたのである。するとアリアは楽しそうに笑ってこちらを見ていたので助けてくれそうにもなかった。

そのため仕方なく自分でなんとかしようと考えたのだが何も思い浮かばなかったのである。だけどそんな状況の中でふと閃いたことがあったのだ。それこそが魔王を演じるということだった。

その方法を考えた結果、とりあえず魔王城にいる人達の前で勇者のことをコテンパンにして追い払う。そして魔王の力を見せて大人しくさせれば勇者も諦めるかもしれないと思い至り、それを実践することを決めた。そしてその通りにした。結果は成功だったと言っていいと思う。そうして勇者が去った後、ユナ達は嬉々として魔王城にやって来た。そんなユナ達と話し合いをしているうちに僕の魔王らしさというものについて話していた。そう、僕は魔王らしく振る舞ってみせようとしたわけなのだがこれがまた意外と難しかったのである。そんな僕の様子に彼女達は呆れた様子を見せていた。そのためもう少し練習してからにしようかと考えていたところユナから提案を受けることになる。それはユナの体を使って僕の相手になってくれないかというものでそれを聞いた直後、僕は思わず驚いてしまった。だけどユナは真剣な眼差しで僕のことを見ていたのである。

そして僕はユナの言葉に従い体を貸すことを約束した。そうしないと話が先に進まないような気がしたからだ。それから僕はユナの意識の中へと潜っていくと彼女の記憶に触れることとなった。そこで分かったことがある。それは僕が思っていた以上に勇者の事が好きなんだなという事だった。彼女は勇者と一緒に魔王を倒し世界を救う為に行動してきた。そしてそれ故に勇者を庇って命を落としたことも知っている。だけどそれでも彼女は勇者のことを諦められずにいた。だからこそ勇者をこの世界に召喚した元凶を倒そうとしたのである。だけど勇者はその気持ちを裏切ったのだ。それどころか彼女以外の女に手を出し、挙句の果てにはこの世界を滅ぼそうとしているのだという。

そう聞かされた瞬間、僕の心に衝撃が広がる。ユナはどれだけ傷ついたのだろうかと想像するだけで心が痛くなる。だけどそれと同時に怒りの感情も湧いてきた。

そしてその後の展開は言うまでもなかった。僕は勇者の首を撥ねた後、その場にあった物全てを消滅させて勇者の国へと向かうことにしたのである。ユナはその間、静かに僕の中に残っていたようだが僕から許可を出すと外へ出てきたようだった。そしてユナから聞いた話を整理してみたところ勇者を始末した後、ユナ達と合流し魔族に力を与えてもらうことにするという話になったのだ。だから今はまだ待つことにすることにする。その時間を使い今後のことについて考える必要があったからである。

そうして待つこと数日の間、とうとう勇者はやってきたのである。

そうしてやって来た勇者達に対してユナは早速自分の力を試すと言い出して僕と入れ替わりで外に出て行くことになったのだ。その結果は僕の目から見てかなり凄いものだと思えたのだった。しかし勇者達の実力が高すぎたせいもありあまり参考にはならなかった。それ故なのかユナはかなり不機嫌そうな顔をしているように見えるけど多分勘違いだろう。それよりもこれからどう行動するべきかを考えていた方が有意義だと思う。

「それでどうするか考えた?」

僕はそんなユナに対して聞いてみることにするとユナは難しい表情を見せる。どうやら彼女にとってもこれは初めての試みらしくどうすればいいのか分からないのであろう。

「お兄さん。一つだけ確認しておきたいんだけど良いかな?」

「うん。何かあるなら何でも言って」

ユナは僕に向かって手を上げると恐る恐るといった表情で口を開く。

「その前に聞きたいことがいくつかあったりしない?」

「あぁ。実はそう思ってたん――」

僕が返事をしたその時だ。急にユナの体が小刻みに震え始めたのである。

「ちょっと待って! 私達何か悪いことしたかな!?」

そう口にするなり彼女は自分の体をぎゅっと抱きしめる。その様子を見ていると流石に心配になってしまい慌てて彼女の肩に手を回して落ち着くように促した。すると彼女の震えは治まり、安堵の息を漏らしたのである。そしてそんな彼女の口からとんでもない言葉が漏れ出す。

『ごめんなさい』

そんな言葉が聞こえたような気がしたので、そのことについて彼女に問いかけると今度ははっきりと耳に届いたのである。

《私はユナじゃないの。ユナの記憶を持っている別人よ》 僕としては何を言っているんだろうと困惑してしまう。だけどそんな僕の考えを読み取ったのか、その女性は続けるようにして言った。

「信じられないのは無理もないわよね。だって普通に考えたらそうなるもの。だけど事実よ。だからあなたがこの世界の人ではないということも含めて信じて欲しいの。それにあなたが勇者を殺したのは私が頼んだことでもあるのだから責任を取らせて欲しの。あなたのことを守ってあげられなくて本当にごめんなさい。だからその罪を償うために出来ることはなんでもするつもり。だからお願いします」

彼女はそう言い切ると僕に向かって深々と頭を下げたのである。僕は突然のことに混乱してしまったが、なんとか彼女のことを信じることに決めた。そもそも彼女は僕のことを騙したり、からかっているつもりならばもっと上手くできるはずだ。そんな彼女のことがどうしても演技だとはとてもじゃ無いが思えなかった。そんな彼女を信じたからこそ今の言葉を聞けたのだと、僕はそんな風に考えて彼女の手を取る。すると驚いたように彼女は僕を見る。僕はその反応が少し可愛らしいと思ってしまう。

それから僕は彼女の名前を確認すると彼女もまた自分の名前を僕に告げてくれたのである。そして僕は彼女を連れて一旦自分の中に戻ると今後についての話し合いを始めることにしたのであった。

まず初めに、これから僕はユナの体を借り受けた状態で行動することになる。だけどそれはあくまでも僕の中の魔力を使う為であって別に彼女の肉体を使っているという訳ではないのだ。

だけどそんな説明だけでは理解されない可能性もあるので、とりあえずはこのままで話をすることに決める。そうすることで少しでも早く皆の信頼を得られると考えたからだ。そしてその思惑通り僕のことを信用してくれたらしく特に問題もなく話は進んでいく。

その最中僕はふとある疑問を覚えた。

どうしてユナの母親は巫女でありながら巫女の力を失っていないのだろうかと、その理由を考えてみると彼女はおそらく神からの啓示を受けたのではないか? と思ったのだ。それ故のあの異常なほどの忠誠心であり、行動原理だと考えれば全てが納得できた。だけどそんな僕に対し彼女は意外な答えを口にした。それは彼女は勇者を愛しているがゆえに巫女としての力は失われていないのだということだ。彼女は勇者と共に世界を救った後に結婚することを望んでおりその為に巫女としての力を維持していたのである。だからこそ僕の提案に彼女は賛成したのだ。それなのになぜ彼女はあんな態度を取っていたのかが気になり質問をしてみたところ、どうやらリッカのお父さんとの一件が原因でそういう風になってしまったのだということがわかった。そういえば確かにあれ以降彼女達がまともに会話をしていないように見えたなと考えると思い当たった理由があったのだと気づくことが出来た。だからこそ彼女もきっと気になるのであろう、どうしてこんなことになってしまったのかと相談に乗ってくれたわけだ。

そこで僕は一つの提案を思いつくことになる。それを聞いた彼女がどういう判断をするのかが不安ではあったがそれでも彼女にとってみれば悪いことではないはずだ。そう考えた僕は彼女に伝えると僕の考えを了承してくれる。そしてその後、彼女は僕の方を見て微笑むとこう言ってくれるのだった。

「それではこれから宜しくお願いしますね」

その瞬間、僕の意識は再び遠のいていく。そして完全に僕の体に戻った時、僕の目にはリッカの笑顔が映る。

僕はそんな彼女を愛おしいと思わずにはいられなかったのである。そうして僕は魔王としてユナに魔王城の守りを固めるように命令を出す。

それからすぐに僕は魔族の力を借りるためにあるところに向かう。それはこの国の王城だったのだ。何故そこを選んだのかと言えば理由は二つある。一つ目は単純にここの方が近かったからというだけだが、二つ目の理由はこの場所が他の城よりも頑丈な造りになっているからというのもある。

そんな理由で向かおうと歩き出したところで、僕達の姿を見つけたアリア達と合流する。彼女達も僕と同じでこれから向かうところだったのだという。なので一緒に行こうかと誘うと喜んで受け入れてくれる。そのままみんなと一緒に行くことになったのだった。

そうやって移動しながら話を聞くと、どうやら勇者が現れたというのは本当だったようで街のあちこちで噂されていたようだ。ただその話の内容のほとんどが、どうやら僕達のことを歓迎するというものらしく、僕はそのことを素直に喜べばいいのかそれともこれでいいのか分からず苦笑いを浮かべるのだった。

それからしばらくして、目的の場所に到着する。そしてその扉の前で警備をしていた人に事情を説明し、魔族が居る部屋に案内してもらうとそこにはリリィ達の他に、初めて見る少女がいたのである。その子はどこかユナと似た顔つきで僕がユナに似ていると感じたのもそのせいかもしれないと思えた。彼女は僕達のことを出迎えてくれるとその少女についての説明を行ってくれた。そしてこの少女こそがユナの実の妹であることを教えられる。そして僕はユナの妹に挨拶を行うがなぜか妹の方からは避けられてしまう。しかし、それでも彼女はこの国を守ると約束をしてくれ、更に魔族に力を与えるという話も快く承諾してくれた。

そうして用事を済ませた後、僕達は再び街に戻り、そこで情報を集めるとすることにしたのである。

◆ 情報収集を終えた後は僕とユーフェミアとアリアの三人で夕食を取りながら今後のことを話し合う。そんな中で話題に上ったのはこの国からどうやって逃げ出すかという話だった。勇者を倒すことで目的自体は果たしたのだが、まだこの国にはまだ魔王軍が健在だというのに放置するのは不味いと判断したからである。

だがそんなことを考えていると不意に僕は違和感を覚える。

「あれ? どうしてユナは僕と会って話そうなんて思ったんだろう?」

ユナと入れ替わる前に聞いた彼女の言葉から察するに僕の事を殺そうと思えば簡単に殺せたはずである。それが出来たはずなのだが、それにも関わらず彼女はあえてそんな危険を犯してまで僕に自分を殺して貰おうとしたのだ。そんな行動をとった理由についてはなんとなく予想は出来るが僕は念の為、確認しておくことにする。すると案の定、彼女の答えは僕の考えを裏付けてくれ、僕は思わずため息をつくのであった。

《私のことが好きだったからよ》 そう言われても僕は全く嬉しさを感じることが出来ない。なぜならそれはつまり僕を利用しようと思っていただけの話でしかないのだ。しかしそれをユナに確認することはしなかった。確認すれば彼女は間違いなく僕に嘘を突き通しただろうからだ。だからこそ僕は彼女の言うことを疑うことなく受け入れると今後は彼女と協力してこの世界で暮らすことに決める。そう決めた僕は今後の計画をユナに相談すると彼女は自分が考えていたものよりもさらに良い案を出してくれたのだ。

それを聞き終えた僕が思わず笑みをこぼしているとユナは照れたような顔をしていた。どうやら彼女は褒められることになれていないのだろう。

「ありがとうユナ。すごく良い案だと思う」

「いえ。お役に立てたならよかったです」

そう言いつつもユナは僕と目を合わせようとしない。やはりどうやら慣れない状況になるとユナは途端に不器用に早変わりするのだとわかると、彼女の新たな一面を見れて僕は内心で少し嬉しい気持ちになっていた。

「それでその、さっきの話に戻るんだけど」

「あぁ。ごめんごめん。つい夢中になって話し込んじゃった。でも、これなら大丈夫だよね?」

「はい。もちろん。私としても協力するのはやぶさかではありませんから。お任せください!」

そうして僕はリッカに協力を頼み込むことに成功してから数日が経過していた。その間にリッカは僕達に協力して色々な仕事を率先してこなしてくれた。そして僕が頼んだことに関してもしっかりと実行してくれており、今は僕の代わりに勇者と行動を共にしていた。

僕としてはそこまでしなくてもと言ったのだが、彼女は僕の代わりにこの世界の人達と触れ合ってみたいと言い、最終的には僕が折れた。

それから僕達はリッカの活躍のおかげでこの世界での生活の基盤を作ることに成功する。僕達が生活するために借りた家に関しては元勇者の人が住んでいるということになっているらしい。僕達のことを気にかけている人が多くいるらしく、僕が勇者を殺した件に関しての罪滅ぼしの意味を込めて色々と融通してくれたらしいのだ。

またそのおかげもあってリッカの評判は上々のようで僕達の仲間になった後も彼女の人気は高く、特に若い女性からの人気が高いのだという。

そんなリッカが僕にお願いがあると話しかけてくる。僕はその話を聞いて彼女のお願いに耳を傾けるとそれは僕達にとっては好都合な提案であった。

僕は早速ユナにこのことを話すと彼女は二つ返事で了承をしてくれたのである。そして翌日、僕の考えた計画が実行されることになったのであった。

そうして僕の計画を実行するべく動き出すと僕は勇者に近づき彼に話をする。

僕はユナと入れ替わることで自分の正体を隠すことに成功したのである。そうやって自分の身代わりを用意した後、勇者を仲間にして共に旅に出るという計画を立てていたのだ。そしてその旅の中で、僕は勇者を騙し、彼の信頼を得ていき最終的に勇者を殺すというシナリオである。だけどそんな僕の計画は上手くいかなかった。僕は勇者に対して普通に接することが出来たのだが勇者はなぜか急に機嫌が悪くなり僕は嫌われてしまうという事態に陥っていたのである。その事に僕は頭を抱えながらも、それでもどうにかしようと必死に声をかけた。そうして、なんとか仲良くなれたかと思うと突然に勇者に手を握られる。そしてそのまま引っ張られたのだ。そんな彼に連れられて僕は街にやってくるとそこはこの街の中心とも言える場所で、そこにたどり着くと勇者は僕に一つのお店を紹介したのである。

「これは、いったいなんのお店ですか?」

目の前に広がる光景に唖然としながら質問すると彼は微笑むと口を開く。

「武器屋だよ。君には必要な物じゃないかな? これからの旅の為にも装備は揃えておくべきでしょう。お金の事については心配いらないから遠慮せずに欲しい物を言ってくれれば買い取るよ」

その瞬間、僕は彼が何を考えているのかを理解する。要は自分の力を誇示することでこれからも利用させて貰おうと考えているのだと理解できた。その事に気付いたがそれでもここで断れば疑われるのも事実なので僕は仕方なく受け入れることを決める。それに僕の作戦ではこの後にちゃんとした武具を買うつもりなので無駄遣いをすることもないはずだと思ったからだ。なので僕は素直に感謝をすると勇者が選んだ商品を購入していく。そして全ての買い物が終わった時、ふとある考えが浮かぶ。

この店の武器の品質はとても良く、勇者が紹介してくれたこともあり僕の懐は温かくなっていたのである。そこで、あることを考え付いたのだ。それは僕と勇者の関係を周りにも認めさせることが出来るのではないかと考えたのである。そしてそのために必要な道具がここにはあった。だから僕は迷わず購入することを決めたのである。そうして購入したのが聖剣エクスカリバーと偽の聖杖エクセレントロッドという魔法強化効果を持つ二つのアイテムだった。そう。どちらも僕が持つ魔法の武器より強いものである。しかし、それを手に入れることでようやく勇者と同じ土俵に立てると考えながら勇者と共に城に戻る。

それから僕は城の人に事情を説明すると勇者の部屋に行くように言われたので部屋に入ると、勇者とユナと会うことになる。そう。ユナと僕は勇者の前で入れ替わったのである。僕はユナに成り代わると彼女に手を貸してもらい服を脱ぐとそれを着替え、その後に彼女から渡された装飾品を身に付け、そして髪を綺麗にしてもらうと準備が完了したのである。

僕はそれからユナの振りをしながらユムに会おうとするが彼女は僕の姿を見て驚いていたのだった。そして、僕に対してユムはユナの姿の方が似合っていると伝えてきたのである。

その言葉を聞いた僕は何も言わず俯き、そして泣き出した。するとそんな僕をユナが優しく抱きしめてくれて慰めてくれたのである。ユムが僕に抱き着いて離れないので僕は困り顔で笑うことしかできなかったのだった。

ユメが俺に話かけてくるとユラの奴がなぜか俺を睨みつけてくるが俺はとりあえず笑顔で受け流しておいた。

「それで、ユナとはどういう関係なのかしら?」

そう言いながら彼女はなぜか目を細めていたのである。そして、そんな様子に嫌な予感がしながらもどう答えるべきか悩んだが正直に答えることにした。そう。嘘をつくと後でユナに迷惑が掛かるからだ。

そう思いつつも嘘がばれるとマズイと感じたのでユナのふりをして誤魔化そうとすると、何故か彼女から殺気のようなものを感じ取った。そしてユラからとんでもないプレッシャーを感じた俺はユナと初めて会った時の事を簡単に説明しだしたのである。

◆ それからユナと一緒に過ごす時間が増えて行くうちに僕は彼女が好きなんだと思い始めたのである。最初は勘違いだと思っていたのだが彼女と一緒の時間が増えるたびに僕は彼女のことを好きになりつつあったのだ。だが、僕はまだその気持ちを伝えようとは思わなかった。理由は簡単であり僕のこの気持ちを伝えたところでユナとの関係が崩れるのが怖かったからである。

だが、ある日のこと僕はユナに呼び止められると唐突に告白されたのだ。しかも彼女は顔を真っ赤にしており緊張していることが一目でわかったため、余計に僕は焦ってしまう。そのため思わず動揺してその場から逃げ出すことになってしまったのである。そう。僕はその時に初めて自分の気持ちをハッキリと理解してしまったのだった。だけど僕の心はそんな状況でも彼女を好きでいることを望んでいた。だから僕は逃げながらもずっとユナの顔を思い返し続けていて、いつの間にか彼女のことを好きになっていたことを自覚していた。

僕は彼女のことを諦められないかもしれないと、そんなことを考えてしまったのだ。

僕はその日からユナにどう接したら良いかわからなくなっていた。しかし、彼女のことは諦められずに結局ユナのことを目で追うようになり彼女の行動を盗み見るようになったのである。その結果分かったのは、ユナはどうやらユナの友達と遊んでいることが多かったので、そんな彼女の姿を目に収めているだけで幸せを感じていた。そんな生活を送っている中、僕は偶然にも同じクラスメートである女子グループに呼び出されると彼女たちのリーダー格の少女にユナとの仲について問い詰められたのである。僕自身そんなに親しいわけではないと説明しようとしたのだが、その前にユムがユメに捕まり彼女の怒りを買い殺されそうになったところをユナに助けられたという事があったせいで、その事がバレてしまうとユナにも被害が及ぶ可能性があったため、僕は素直に協力することにして彼女たちのお願いを聞くことにしたのである。そうして僕はユムのために彼女たちに協力することとなった。

「じゃあ今から貴方達のお願いを聞いてあげる。その代わり私のお願いも聞いてくれるかしら?」

「へっ?」僕は突然そんなことを言い出す彼女に困惑し声が詰まってしまった。

そんな僕を無視して彼女は言葉を続ける。

その瞬間、なぜか僕に視線が集まったので僕は内心ビクつきながら彼女達の要求を待つ。だが、そんな僕に対し少女達は無言を貫き通したのだ。

僕はなぜそんな沈黙が生まれるのか意味が分からずに困惑してしまう。

(一体何が目的なんだ? そもそも何をさせようっていうんだ? 僕はいったい何をさせられるんだよ?)

するとそんな僕に助け船を出してくれるかのように、リーダーらしき人物が口をひらいた。

「その要求は何? 私達にとってメリットがあるならいいわよ」

彼女のそんな発言に、他の三人も納得をしたような表情を浮かべた。

「分かったわ。私が貴女達に求めていることは、この国に存在する勇者と呼ばれる者達を殺す手伝いをしなさい。その報酬として私はあなた達がこの世界で過ごす上で役に立つ情報を提供してあげてもいいわよ」

彼女はまるで僕の反応を楽しむかのような笑みを見せつつその提案を告げてきたのである。しかし僕はそれどころではなくその話をすぐに呑み込むことは出来なかった。

なぜなら、僕はその話があまりにも現実味のないことだと思ったからだ。それに勇者が人を殺しているという話を耳にしたこともなかったのである。だからこそ、僕はそんな馬鹿げた話を信じきれずに固まってしまっていたのだ。そんな僕を見た少女はクスリと笑いをこぼすとさらに言葉を続けていった。

そうして、僕は勇者を殺す計画を彼女から直接聞くことになるのである。そしてそれは僕にとても信じられないことばかりであり僕は頭が追いつかず混乱していったのであった。だがそれでもなんとか僕は冷静さを保とうとするがどうしても目の前に居るユラのことを直視できなかった。

それから僕はすぐに城に戻るとまずは自分の部屋に向かいそこで頭を抱えたのである。勇者はユナが殺したという。そして勇者の協力者となったのだとユラは語っていた。しかし勇者は生きているらしい。それも勇者の仲間を殺した後に勇者に殺されたのだという。

僕はその言葉を頭の中で整理するが全くと言っても良いほどに信じ切ることが出来なかった。確かにユナは強いけど、そのユナが本当に勇者の暗殺を成功させたとは思えないのである。そして僕は勇者と直接戦ったユムの言葉を聞きたいと思ったが、僕は彼に連絡する方法を持たなかったので、どうすることも出来ずにいたのだ。

「どうすれば良いんだろうなぁ。こんな時にユノがいてくれたら少しはこの気持ちも軽くなるのにな」

そんな独り言をつぶやくと同時に僕の頭にふと、ユムのことが頭を過ったのだった。それからしばらくユムと過ごした日々を思い出しながらこれから自分がどうしていくべきなのかを考えていく。そうして出た結論はとりあえず現状では、この世界のことを知る為に旅をすることが重要だろうという考えだった。そして、それを実行する為には武器を手に入れる必要があると考えたのである。なので、僕は武器を買うために再び街に向かうことを決めたのだった。そして翌日僕は城から出て行くことを決めて荷物をまとめてから街に向かったのである。

僕は街に行くと勇者から紹介された店で商品を購入していき武器を受け取っていく。すると店から出た途端に、僕の目に一人の女性の姿が映りこんだのである。僕はそんな彼女のことを初めて見るが、その女性が誰かということに気がついた。

「ユナ様、どうされたのですか?」

僕はその女性に声をかけると、その女性は驚きつつも嬉しそうな顔でこちらを振り向いたのである。

「ユーグ。やっぱり来てくれたのね。それでどうしてここにいるの?」

そう言いながら首を傾げるユナを見て、どう答えるべきか悩んだ。だけど、ユラのことを考えた結果、僕は本当のことを話して協力をしてもらった方がいいと判断したのである。そのためユナに全てを話すことに決めた。そして勇者のことについてやユムとの関係について彼女に説明するとユナの顔から笑みが消え去ったのだった。そして僕は彼女が何かを話し出そうとしたその瞬間に、彼女の後ろから数人の男が襲いかかってきたのである。そのことに僕は焦ったが、その男たちの攻撃をあっさりとユナが受け止めたため問題なくその襲撃を切り抜けることができた。

そしてその男達が走り去ってからユナの方を見ると彼女は俯いていたのでその様子が心配になる。僕はそんな彼女に向かって話しかけようとしたが、その前に彼女の方から話し始めてきた。

「ごめんなさい、ユーグ。私は今まで貴方を利用していたの。あの人達の指示に従って動いていたのよ。それで貴方を利用できればもっと強くなれるかと思って」

彼女は申し訳なさそうにしながらもそう言うが、僕のことを見捨てるようなそぶりはなかった。だから彼女のことを許せないとは思うもののそれ以上は何も言えなかったのである。そして彼女は僕のことを優しい人間だと口にした。

そう言われてから、僕はなんと返答したら良いかわからずに口篭もる。するとそんな僕の手をユナが握って来たので僕はその手を見つめてしまった。

そうして、僕はそのまま彼女に導かれるようにして彼女の屋敷まで連れて行かれたのである。

ユナの屋敷に入るとユナは僕の方に振り返る。

「さっきは酷いこといってしまって悪かったわ。実はその、貴方に迷惑をかけるわけにはいかないと思って、黙っていて、でもそれが結局裏目に出ちゃったのよね。本当はすぐに言わないといけないことだったのに、でもなかなか決心が出来なくてずるずる引きずっちゃっていたの。本当にバカでごめんなさい」

そう言って謝ってくるユナに対して僕は特に何も感じなかった。だが、そのユナの瞳からは後悔していることがよくわかるため、彼女なりの考えがあったのだろうと、僕は考えてしまう。だから僕は別に気にしてはいないと答えたのだ。

「良かった。ありがとう。ところで今日、泊っていく?」

「えっ? あっはい。わかりました」

「じゃあ決まりだわ。夕食は一緒に食べる? お風呂に入る? それとも私の部屋にくる?」

そのユナの問いかけを聞いて僕は、一瞬思考が停止する。しかし、次の瞬間に我に帰ると思わず後ず去ると、顔を真っ赤に染めてしまった。だがユナの顔が徐々に赤くなり始めてその事に気づいた僕は慌ててしまう。そうしてお互い恥ずかしくなってしばらくの間、無言の時間が続いたのである。その後どうにか気持ちが落ち着くと僕達は食堂に移動し、食事を始めることにした。

それから食事をしながら、僕達はユナの近況について話すことになる。

「ユカと仲良くしてもらっていて嬉しいわ。それに貴方がこの街に来た理由が私に会いに来てくれたのがわかった時はとても嬉しかったわ」

ユナは笑顔を浮かべるとそんなことを言うが、僕はその彼女の発言を聞いた瞬間にユマに会った時の会話を思い出す。その事からも僕は彼女のことを利用するつもりだと勝手に思い込んでいたが、そうではなかったと気づく。

そうして、僕は彼女との誤解を解くために色々と質問をしたのだが、ユナは何故か頬を膨らませてしまい、拗ねたような口調で僕を問い詰めてきたのである。そのことからもユナのことを怒らせてしまうのではないかと恐れていた。そう思ったが彼女はそこまで怒っていなかったようでホッとする。しかしそれでもまだ不安な部分があるため僕は彼女にユムと会っているのかどうかを聞いてみたのだ。

「ユムならたまに貴方のところに行っているみたいよ。私が貴方に嫌われていないのか知りたかったらしく、私のところに来るのよ。それで貴方の様子を報告してくれてるの。だから、私は貴方の事を嫌いになったとかそういう事はないの。だから安心してほしいんだけど」

ユナの言葉に僕は内心安堵しつつも彼女にそのことを伝えるとなぜか彼女はさらに機嫌が悪くなる。

しかしその理由を尋ねることは出来なかった。なぜならその時に僕の部屋の中にユラが現れて僕達は驚いて声を上げることになる。

そして、彼女はいきなり自分の腕を刃物で切り裂いたのである。突然の出来事に唖然としていると彼女は血が流れ出ているその傷口を躊躇することなく僕の顔に押しつけてきた。

その行動に、流石にユナも僕を助けようとしてくれたがそれをユナの手を握って制止する。

僕は彼女に視線を固定したままその流れ落ちる血液をゆっくりと味わう。

「ねぇ? 美味しい?」

そう尋ねられたので僕は小さく首を振ると、彼女から少し距離をとったのである。

「そんな嫌そうな表情しないでよ。これくらいはしないとダメだって。じゃないと私は、ユーグに釣り合わないんだからさ」

それから彼女は苦笑いを見せるが、やはりその目は悲しげであった。僕はそれに対して何と言っていいか分からなかったので沈黙を貫く。しかし、僕を気遣いたいのだろう、彼女は再び笑顔を見せたのだった。

それからしばらくしてユラは自分の部屋に戻って行ったため、僕はユナにユムのことを話そうと決めると彼女を部屋へ案内してもらうことになった。そして僕はそこで改めてユムのことを説明したのである。その話を聞き終えたユナはかなり落ち込んでいるようだったが僕の話を遮ることはなかった。そして僕は彼女がユナのことをどう思っているのか聞く。すると、彼女はユナにとても感謝していて友人として付き合いたいと言っているようだ。それにユナは照れているのか、はにかみつつ喜んでいた。

僕はそんなユナを見ながら、先程ユラが自分の体に刃を突き立てたことについて聞いてみようとしたのだ。するとその直前に彼女が思い出したかのように話し始める。

「そうだ! あのね。ユーグ、これから私の家に行ってくれないかな?」

ユナがそんな風に言ってきたので僕は疑問を抱く。

「えっとどうしてでしょうか?」

その問いかけに対してユナは難しい顔をした。

僕は彼女がどう答えるのかを待っているとユナが僕の手を取って歩き出したのだ。

「それはこれから貴方の実力を測る為よ」

「そうなんですね。わかりました」

それからしばらく歩いているとユナの住んでいる屋敷が見えてくる。そして、その屋敷に到着すると僕はユナの後をついていく。屋敷の入口には二人の男性が立っていたが、その二人がユナの姿を見つけるとその姿勢を正して出迎えてくれる。ユナはそれに応えるように軽く挨拶を済ませると屋敷の中に入って行く。そして屋敷の中にはユナに仕える従者たちが待機していたのだ。その中には以前城で顔を合わせた人達がいた。

それから屋敷の奥にある大きな広間まで連れていかれるとそこには数人の男性達が立っており、全員が腰に差していた武器を手に取り臨戦態勢に入っていたのである。そのため彼らは全員護衛騎士達だということを理解すると同時に彼らの実力に驚いた。だがそんな彼らの中で、最も強く威圧感を放っていた人物が一人だけおり僕はそいつに向かって行くと、彼は鋭い眼光のまま話しかけて来たのである。

「俺の事は覚えてないだろうが一応自己紹介させてもらうぜ。俺はガドル。元騎士団長であり、現王の側近の一人でもある」

僕は彼が発したその名前を聞いて目を見開くが、すぐに頭を振り彼の言葉の意味を考えた。そうしてたどり着いた結論は僕が彼を知らないということを理解した上で話しかけてきたということである。そのことに戸惑いを覚えながらも警戒を強めると、僕のことを見下すような目をしたガドルが口を開く。

「どうやら本当にお前は何も知らないらしいな。だが、まあいいさ。いずれわかることだからよ。それよりもだ、ここで戦う気があるのか無いのかどっちなんだ?」

その問いに対して僕は即答することができなかった。そもそも何故このような事になったのかわからなかったからである。だから僕はまずは話し合いから始められないかと思った。

だがその時、部屋の隅にいる女性がガドルに向かって声を発した。

「ちょっと待って下さい。ユーグさんには私の試験を受けてもらうつもりでいたのですけど?」

彼女はそう言いながらこちらに向かって来ると微笑む。しかしその表情からは怒りのような感情が感じられ、思わず一歩後ず去った。だがそんなことをすると、まるで僕が彼女のことを警戒し逃げようとしているかのような印象を与える恐れがあると考えた僕はなんとかその場に留まると女性に返事をする。

「その前に私達の事情を話してもらえませんか? そうでなくては何もわからないと思うので。それさえ教えてくれれば私は素直に従うだけです」

「わかりました。貴方は今現在勇者であると自称しているユナ様の護衛についていますよね? つまり彼女の指示に従わなければならないという義務がある。そのことはわかっていますよね」

女性はそう問いかけてきたが、正直その事については納得がいかなかった。なぜなら、僕は自分がこの世界では強いと自負しているが故にユナには従う必要はないと判断したのだから。

そう思った僕は女性の方に振り返るとしっかりと見据える。だが僕のそんな気持ちとは裏腹に彼女の方は僕を値踏みするような視線で見つめてきた。それからしばらくの間、僕は黙り込んだまま何も喋らない時間が続いたのである。そうして彼女はようやく僕の方を見る。

「ふぅ。やっぱりユーグさんが本気を出した時の魔力を感じなければ私程度じゃ何もわからないみたいですね。でも、その態度が演技だという可能性も捨てきれないんですよね。だって貴方、ユナさんの傍にずっといるんでしょう?」

その問いかけに対し僕は肯定も否定もせずに、じっと相手を観察し続けた。だが、それでも彼女は僕に対する評価を改めることなくむしろ更に怪しんでいるように見えたのである。その事に内心かなり動揺したが、表情に出さずに我慢し続ける。そうして相手が諦めて部屋から出て行かないかという期待を持ち始めた時、彼女がいきなりこんなことを口にしたのである。

「まぁ、貴方が私と戦う意思がないということはわかったのでこれ以上追求するのは止めておきます」

その一言を聞いて、僕は心底ほっとする。それから僕がユマと一緒にいることに何か問題があるのかと尋ねてみると彼女は、僕達が魔王軍の関係者かもしれないと言っていたのだと口にする。そしてその可能性は低いとしながらも一応調べる必要があるので同行してほしいと言ってきた。僕は、その頼みを断った。するとユナは、僕の手を掴むと引き留めてくる。そして彼女の口から放たれたのは意外な言葉だった。

「ユーグ、これは命令なんだよ。お願い。ユーグは私と一緒なのが嫌?」

そう言われてしまうと僕は弱い。だから渋々ではあるがその願いを受け入れるしかなかった。そうして僕は彼女と共に屋敷を出て、街の外へと向かったのだ。その際、何故か僕は大勢の人達に見送られることになったのだった。

僕は目の前に現れた巨大な魔物を見て驚くと共にユムの事が心配になり彼女を探すと、何故かユナに抱きしめられている姿を見つけた。その姿を見た瞬間に胸の内にあった黒いモヤの様な物が一瞬晴れるが次の瞬間にそれは再び広がりだす。それにしても、僕はなぜここまで嫉妬心のようなものを抱いたのだろうか? その理由が全く分からない。しかしそんな事を考えている場合ではないと思い直し僕が魔法を発動させようとした時に彼女が僕とユムの間に入る。

「お姉ちゃん、危ないよ!」

ユムは慌てて僕から離れるとユナに警告をするとユナは優しく微笑み、それからユナの方も少し驚いたような声を上げた。

「へぇー。これくらいで怖気づくなんて、まだまだだね」

そう呟いた彼女は右手を突き出すと指先に魔球を発生させる。その数は三つ。それを彼女は魔物の群れへと向けたのだ。そして、それを全て放つ。その光景に呆気に取られていると、三発の雷が魔物に襲いかかったのである。

僕はその攻撃を防げていないだろうと予想しながら彼女を見ると、なんと無傷であった。

しかし彼女は特に焦るような様子もなくユムのことを優しい眼差しで見ている。そのことに少し苛立ちを覚えた僕はユラに尋ねることにした。

「あの人は一体何者ですか? 僕には彼女が普通じゃないように思えたんですけど」

「う~ん、まあ確かに普通とは言えないかな。彼女は元SS級の冒険者であり今は冒険者の教官をしてる。それにユラさん自身も元A級の凄腕で今ではS級の実力があるよ」

その話を聞き、驚きのあまりユムから目を離すとユナの姿を確認した。そしてその動きを確認する。どうやら今の一撃は全て彼女の技のようで、その後ろでユラとユノが一緒に戦っているのが見えた。ユナは余裕を持って攻撃を行い続けているのに対しユラは少し息を荒くしつつ何とか付いていっているように見える。だがユムに関しては、ほとんど戦闘に参加していなく二人の戦い方を観察しているようであった。

「あれがユラさんの本当の力。ユム君がユナさんと互角以上に戦うことができる理由だよ。だけど、それだけでユナさんは満足していないんだろうね。もっと強くなって欲しいっていつも言ってるもの」

「なるほど。ところで、どうしてユラはここに?」

「それは私が連れて来たのよ。ユムと仲良くなったみたいなんだけど、あの子結構無鉄砲なところがあるからね」そう言いながら僕の方を見るユムに対して笑っていた。その顔は普段見せている笑顔とは違って大人びていてとても魅力的だった。その顔を見てしまい、なぜか僕の鼓動が大きく高鳴ってしまうのがわかる。それからすぐに視線をユラに向けるとユナが剣を横に薙ぎ払っており、それによって複数の魔物が倒れていた。それを確認したユナが後ろを振り返ると、そこに立っている者達を褒めるように声を出す。

それからしばらくしてユナと僕が屋敷に戻ると僕達は夕食をご馳走になることになったのだがそこで出された食事はかなり豪勢なもので味自体もかなり美味しいものばかりで驚いてしまったのだ。そのためユムはその事ばかり質問しており、それを聞いた料理を作った人が誇らしげにしている姿が印象的であった。ちなみに、この家には僕とリッカを含めて七人しか住んでいないはずなのだが料理人を含め使用人達は十名以上おり全員がメイド服を着ており綺麗に掃除や整理整頓を行っているためかなりの大所帯に感じてしまったのである。

僕はそんな彼らを見ながら先程までの事を思い出すとユムのことを思い出してしまうのと同時に彼女に謝ろうと決心したのだった。そうして部屋に戻る前に彼女の部屋に向かいノックをしようとした時に部屋の中に入って行った人物がいた。その者は男であったがその男は僕の知っている人物であり、すぐに誰なのかを思い出したのである。そしてその男が口を開く前に僕の足が動いてしまい扉を開ける前に蹴り破ってしまった。そして部屋の中では裸のユムを抱きかかえる男の姿が見え僕はすぐさま駆け寄ろうとするがその時には既に遅く僕の視界の中に入った光景を見た途端全身から汗が流れると同時に体中の力が抜ける感覚に陥った。それと同時に激しい怒りに支配されていき頭の血管からプツンという音が聞こえたような気がすると気付けば僕は目の前の男を思い切り殴り飛ばしていたのだ。そのまま壁に激突し床に落ちるとピクッビクッとしていたので死んだかと思ってしまうが意識を取り戻したようで立ち上がった後よろけつつもこちらに向けてナイフを投げようとした瞬間、僕は即座に近づき男の両腕を切り落とす。そしてその痛みに耐えられず悲痛の声を上げる男の顔面に拳をぶつけて潰す。それでもなお暴れるその男にとどめの膝打ちをお見舞いして完全に絶命させるとその場に座り込んだのである。

その光景に固まってしまっていた女性達に声をかけて事情を説明すると皆納得して帰って行き、その際に僕に対して労いの言葉をかけてくれたりした。その事に申し訳ない気持ちを抱えながら部屋を出ると廊下で倒れ込んでいるユムと目が合ったがすぐに視線をそらされ逃げられてしまうのだった。

ユラとの戦いを終えて僕が一人で訓練をしている間、ユナはずっと部屋に引きこもって何かをしていたという話をリザルトから聞かされた時は不安な気持ちになったがユナは夕方になると疲れきった顔をして帰ってきたため一安心した。それから夕食まで休むと言った彼女を残して僕も自分の部屋に戻ってきたわけだが何故かその時、突然リッカが現れたのだ。それも何故か服を脱いでいる状態で現れた為、慌てて外に出た僕は扉を閉めると同時に謝罪を行う。だがその行動が裏目に出てしまったらしく僕は頬を引っ叩かれた上に怒られてしまったのである。そんな彼女に対し僕は何もできずにただ黙って話を聞いていたが、その途中で彼女の態度に違和感を覚え始めていた。そうしていると、僕の中で嫌な予感が広がっていく。僕は急いでユムの元に向かうことにした。

その日、僕は初めて誰かの為に必死になった。その結果はどうにもならない結末となったがそれでも僕は諦めずユナと二人で何度も挑戦を繰り返した。そして夜も遅い時間になってからようやく僕達の思い描く形にすることに成功した。その事に安堵してベッドで眠っていると、不意に部屋の入り口の方が光っていることに気付き僕は目を覚ました。すると、入り口の扉の前に立っていたのは僕に手紙を渡してきたメイドの女性だった。僕は慌てて身なりを整えようとすると彼女は手で制して首を振ってくる。

「貴方が慌てる必要なんてありません。むしろ今のままの姿でお願いします。それよりもユナ様にこれを渡していただけませんか?」

そう言うとその女性は僕の手に一枚の紙を乗せてきたのである。そこにはこう書かれてあった。『今夜九時に貴方と私とユムちゃんだけで街にある公園に来てほしい。貴方達に大事な話があるので必ず来るように』と。僕は何故わざわざその女性が来ないのか不思議に思ってしまい、それを口にしようとしたが彼女は僕の疑問を察知したのか優しく微笑み何も言わなくても大丈夫ですと言ってくれる。その事に困惑しながらも僕は、その女性のことを見つめ続けた。すると彼女はその美しい顔で微笑み続けると僕に礼を言い残して去って行ってしまう。残された僕はとりあえず手紙を手に持って考え込むとリッカを呼び出したのだった。

僕がユマに渡された手紙のことを相談したところ、何故かリッカに物凄く心配される羽目となった。その事で若干イラついたがなんとか冷静さを保とうと努力する。しかしそんな僕に対してリッカはさらに心配そうな表情を見せる。そんなに僕は危うげな雰囲気を出していたのだろうか?

「あのー、一応聞きますけど変なことしようと思ってないですよね?」

「当たり前だろ! お前は僕がそんな奴に見えると言うのか!」

「はい」

その言葉を聞いた時、リッカが冗談で言ったわけではないことがわかった。つまり、本気でそう思われていたという事なのだ。そのことに少しショックを受けるが今はその事を考えても仕方ないのでユムの部屋に向かう。その際、リッカはついて来た。そうして到着した部屋の中に入るとまだ起きていたユムの姿が目に入る。僕はそんな彼女に手招きをして隣に座らせると話を聞くことにする。そしてユラとの会話について聞くと彼女は素直に応えてくれる。その内容をまとめると、彼女にとってあの人は恩人であり尊敬に値する存在らしい。それからはしばらく話を聞いていると、その話が終わりそうになっていたところでユラと会った。しかし僕はそのタイミングで彼女に手紙のことを伝えたのだった。そうしてから僕はユムにユラが指定してきた場所に明日行って欲しいと伝える。その話を聞いたユムがなぜ行く必要があるのかという質問をしてきて、そのことに少し悩みながらもユムが行かないと解決しない問題があることを説明していくと納得してくれ、ユムの方からお姉ちゃんに相談してみると言われたのだ。それを受けて僕達はユムが戻ってから眠りにつくのであった。

翌日になり僕とユムはユナと共に昨日の場所へと向かって歩いていた。目的地には馬車が用意されているのだがなぜかその御者が僕に対して怯えている様子を見せ、それに戸惑っているとリッカに手を握られる。その行為によって少し心が落ち着くと、リッカにユムと一緒に乗りなさいと言われ僕が先に乗り、その後ユムが乗ってきたのを確認すると僕とリッカは御者台に乗って出発する。道中でユナとは色々と話すことが出来たがユムは相変わらずで、あまり話しかけようとしなかった。その事に疑問を抱いた僕は、どうしてなのかを質問した。それに対してユムが口を開いたかと思うとユムが僕の方に顔を向ける。

「ユムはお姉ちゃんと二人きりがいいから。だから、邪魔になると思って」

そう言って寂しそうにしているユムを見た瞬間、なぜか僕の胸が締め付けられる。そしてその感情が湧き上がってきたことで、僕の顔は熱くなっていた。そのためユムから視線をそらすと、僕はユナの方を向きながらその気持ちを打ち明ける。

「なあ、ユナ。僕もユラに会いたい。ダメかな」その問いに対してユナの答えを待ち続けていると、やがてため息を吐く音が聞こえる。そしてユナは、呆れたといった顔をして言葉を返してくれた。そしてユナの許可を貰った後、僕とユムはそのユラが待っているという公園に向かった。

ユラに指定された場所に着くとすでにユナは着いていたようで僕達が到着するまで待っていてくれた。その事に感謝しながら、これから一体何が始まるのかわかっているか聞いてみるとわからないと応えるユラ。それからは互いに沈黙してしまっている。僕はリッカに合図を送ると、まずはユムとユラを会わせようと思ったのだがそのユムがいないことに気づく。するとすぐに、ユムは僕の後ろに立っているのが見え僕は振り向くと同時に驚き固まってしまった。その理由だが、それはユラが連れて来た女の子が原因だった。その子の名前はカグラといい、見た目は完全に十歳の子供にしか見えないが実は僕と同い年であり、そしてなんとエルフの種族の中でもかなり珍しいハイエルフだという事がわかった。そして僕はその子からユムと同じ魔力を感じ取った瞬間、嫌な予感を覚えたのだった。

僕はすぐにユムのところに向かい、彼女の無事を確認してからその少女のところに近づいていく。するとユラがユムの耳元に口を近づけて小声で何かを喋っていたので何を言っているのか聞こうとする前にその前に僕が動いた。ユムはユムで僕の腕を掴み離そうとしないためユムを引きずるようにして歩き始めると僕はカグのそばで立ち止まると彼女をじっと見つめる。そんな僕に対してそのカグが微笑んでくるとその途端、僕は膝をつくとその体に触れようとした。しかし触れる寸前に僕はユナが近くにいたことに気がつき動きを止める。そして、そんな僕の行動を見ていたリッカとユナは警戒して僕達の周りを警戒していた。そんな状況で僕が立ち上がろうとするとユムの鋭い声が響く。そしてその瞬間に僕はユムに引っ張られて地面に倒れたのだった。そんな僕に対してユラが、もう大丈夫だよ、とユムに言うがユムはまだ緊張しているらしく僕の腕を強く掴んだまま離れることはなかった。

「ちょっとユム。あんまりくっつくと服が破けちゃうからさ」

「あっ、ごめん」

僕のその言葉に反応するようにユムが慌てて僕から離れる。それから立ち上がると改めてユラとユノと向き合う。ユラがユムとユナの手を繋ぐとそのまま三人で何か話し始めてしまう。その様子を見守りつつユラが僕に向けて話があると言って来たため、その事に意識を傾けたのだった。そしてユラの話は驚くべき内容だった。それは僕の正体に関するものだったのである。

そうして僕はユマに言われ、ユムに本当の名前を教えることにした。しかしユイはどうやらそれが嫌だったようだ。そんな彼女にユナが事情を説明するとその事にも理解を示してくれてユムに本名を教えた上で、自分はこの子の妹だと名乗ると自分の名前をユムに教える。そしてその事で、やっと僕達は自己紹介を行うことができたのだった。そしてユムもユナに対して自分とは違うと感じ取り始めていたのだろう。

そうして互いの情報交換を終えると、次はどうするかを話し合った結果、僕達は全員一緒にいることで結論を出し、リッカは念のためにいつでも戦える準備を整えると、ユムの傍につき、ユムもそれを当たり前のように受け入れ、その事を嬉しく思う。ユラに関しては既にユラの中で僕の正体に関しての答えが出ているようで何も言わずに僕達のやり取りを見守るだけだった。そんな状態が暫く続き、日が完全に沈み、辺りに暗闇が訪れた時だった。不意に僕の背後に人の気配が現れたのである。そのことに気が付いた瞬間にリッカに剣を渡されるとリッカはすぐにユラの前に立つ。そうしてから僕に向かって早く逃げるように言ってくる。だけどその事に僕が躊躇っていると背後に立っていた人物、いやその人物が発していた威圧感だけで体が硬直し動けなくなってしまう。そんな中、その人が口を開く。そしてその口から聞こえた声に僕は何もできずにその場に倒れこんでしまう。

ユラに正体を明かした次の日の朝、僕が起きたのは見知らぬ部屋の中だった。その部屋の中を見て僕は困惑する。そこはどこかの部屋だった。しかしその部屋の中は荒れ果てていて家具もまともに残っていない有様となっていた。そして部屋の中を観察していた僕だったが、そこでようやく自分がどういう状態でベッドに寝ていたのかを知ることになった。そこには僕の体を縛るために使われていたロープがあったのである。それを見つけた僕は部屋の中に誰もいない事を確認すると、縄抜けをしてそのロープを回収する。その時に気づいたのだが僕は裸の状態でありしかも汚れた状態だった。それを確認した僕はとりあえずは着替えを探し、見つけた衣服に急いで袖を通してから荷物の中から食料を取り出し食べることに決め行動を開始する。そうして一通り食べ物を胃の中に入れた僕は再び部屋の中を確認するがやはり人がいるような様子はなく、部屋の扉が半開きになっていることに気づいた僕はそこから外の様子を確かめるために外に出ようとする。

その途中で僕はあることに気づいて足が止まった。僕は今まで気絶していたために、ここがどこなのかわからないのだ。そんな不安に襲われた僕の背中には冷や汗が流れ落ち、額にはじんわりと汗が浮かび上がって来る。僕はそんな恐怖に負けないように必死に耐えていると不意に僕の目の前にある光景が広がる。その視界に入ってきたのは森の中であり、僕の周囲には家々などは一切見えず、遠くに街のような場所が見えるだけなのだ。その事から考えると、僕はどうやらあの城にいたはずなのに別の場所に連れてこられてしまったのだという結論に至り、僕はすぐにでもここから逃げ出してユラの元に向かうことを決心したのだった。

それから僕は荷物を持ち上げてから走り出したのである。その道中、魔物と遭遇したが何とか切り抜けることが出来たので、どうにか街の近くまでたどり着いた。そして僕は門番に不審な顔をされながらも街の中に入り、その街並みを眺める余裕もないくらいに全力疾走をした。何故ならその道中で誰かに追われていたからである。そして、しばらく走って行くと僕の後ろの方から叫び声が響いた。それに驚いた僕は反射的にその方角へと顔を向けると、そこにはローブを着た人達の姿が目に映り、さらに追いかけてきているのが男なのか女なのかわからないがその数は多く見えたため僕は焦ったのだが、それと同時に僕はその相手から感じられた魔素量から相手の力量を判断する。そうしてから追ってきている集団が弱いと判断した僕は走る速度を上げていき、とうとうその姿を完全に追い越したところで足を止めた。そのことで、僕を追ってきた人たちは驚き戸惑っているのが見えたため、僕は少しだけ優越感に浸っていた。しかしすぐに僕は相手が冷静を取り戻すのを感じ取った。その瞬間、僕は武器を出そうと思ったのだが、ここで魔法を使うと確実に捕まると思い咄嵯に腰の短剣に手を伸ばし抜き放とうとする。

しかし、その行為よりも前に僕の肩に手が乗せられてそのまま強い力で抑え込まれた。僕はいきなりの事態に驚くもすぐに逃げようとしたが遅かった。なぜなら僕を取り押さえた男は、先ほど僕が相手にして簡単に蹴散らした奴等とは格が違う事が一瞬で理解できてしまい、完全に身動きが取れなくなってしまったからだ。そして僕の目の前で何かを囁く声が聞こえると同時に意識が薄れていく。その瞬間に僕は死ぬんだ、と思ったが、それでも良いと思った。なぜなら、このまま抵抗すれば絶対に殺されると思ったからだ。だがそんな思いに反して僕は助かってしまった。その理由としては、僕の意識を刈り取ろうとした相手が手を離すと、その場に立ち尽くしてしまっていたからだろう。しかし、すぐに僕の意識は戻ってしまい、すぐに逃げようと思うが僕の体は何故か動かなかったのである。それから僕は拘束されていると知った。その瞬間に僕の脳裏に浮かんできた言葉はこの国では、いや全ての国家に於いて最も恐れられている存在の言葉だったのだ。その人はこの世界の頂点に立つ人でありこの世界の魔王でもあるという人だった。そして、その名はアルヴィンといいこの世界で知らないものはいないと言われても可笑しくないほどの有名な人物であり最強とさえ呼ばれており、実際に一人で小国の騎士団程度であれば簡単に壊滅させるだけの力を持つと言われている人物である。

そうして、その人物の名前を思い出してから僕は震え上がったのだった。そして、これから僕に降りかかるであろう出来事を考えてみると背筋を冷たいものが走ったような気がしてしまい、僕は怯えることしかできなかったのである。そうしているうちに馬車が用意されて、その中に押し込まれるようにして乗り込んだところで急発進すると激しく揺れた。そのため吐きそうになったがなんとか我慢することができたが気持ち悪くて今にも死にそうになってしまう。そんな僕を乗せてから馬車は街中を走るととある屋敷にたどり着いた。そうしてその家の敷地内に入ったところで馬車から下ろされるとそのまま中に連れられる。そこで僕は自分の身に起きていることが信じられなくてただ唖然とすることしか出来なかったのだった。

それから僕はこの国の王に呼び出されたのだが、その時の王の態度はまるでこの世の終わりが来たんじゃないかと思わせるほどだった。しかし王は何も言わず僕をじっと見つめているだけである。そんな沈黙が続くなか王が口を開いた。その声は重々しく僕の耳に届くと僕の中で嫌な予感だけが膨らんでいき僕の頭の中には最悪の結末が想像されていた。その事を考えて、やっぱりそうなった、という思いと、どうして僕が? と言う疑問の二つの考えが入り混じり混乱状態になっていた僕にその王は言った。

「そなたの処遇に関して話し合っておったが結論が出た。ユム、余についてこい」

「えっ、私?」

突然名前を呼ばれたユムは何が起きたのかが分からずに戸惑いの表情を浮かべながら自分を指差して、その事に首を傾げると僕と目が合い、その途端にユムの顔色が変わり何かを喋ろうとするも何も言うことなく俯いてしまう。その様子を見た王様は、この話はもう終わりだと言い残してユムを連れてどこかに行こうとする。それを見ていたリッカがすぐにユムの元へと駆け寄り僕を見てくるので小さく微笑んでから大丈夫だよと目線で伝えておく。リッカもその事がわかっているらしく、黙ってうなずくとユムと共に王様の後を追った。それを見届けた僕は一人になった所で、この場所で僕に与えられた仕事を確認しておくことにした。まず最初に、僕はここで働かされることになっており仕事内容は主に食事の準備である。そうしてしばらくの間はここに住まわせてもらえるらしい。そしてその給料に関してもちゃんとしてくれているようで、僕は安心したのだった。

その次に、ここは城の地下室であり普段は使われない空間だったようでかなり埃っぽい。そのため、しばらくは掃除をする羽目になってしまった。しかしそれが終われば、自由に使っても良いということなのでとりあえずは掃除に精を出したのだった。その後は夕食の時間になるとリッカが食事を運んできて僕に渡し食べ始める。それを何日か繰り返していた時に一人の男がやってきたのであった。その男こそ、ユラ達の父にして国王である人物でありユムにプロポーズをして、その場でユラと決闘を行いユナに求婚を行った男であり、現国王様である。名前はレイナスという名前だった。その名前から察せられるように彼の父親は日本人で、母親もまた同じ名前でありその事は知っていたのだがまさか娘がユラと同一人物だとは思わず僕は内心驚いてしまうのである。

そんな事がありつつも僕はその日は寝ることになりベッドの上で眠りにつくことになる。しかしその次の日に僕の生活環境が一変してしまった。朝になり僕は起きるといつも通り部屋を出てから階段を下りてリビングに向かって歩いていたのだが、ふとした違和感に襲われていた。それは誰かに見られているような視線を感じ取れたのである。そのせいで妙に不安感に襲われるがとりあえずは無視することに決め込み、朝食を食べ終えるとそのまま部屋に戻り荷物を持ってから玄関に向かうと扉が開いており外に出られない状況となっていた。それを見た僕は、また面倒なことが起き始めていると察知したために、どうしたら良いのかと考えると、僕は一つの答えを出す。そうして僕はすぐに城へと向かったのだった。

その道中に僕は何度も殺されかけることになってしまった。というのも僕の後をつけて来ている奴等がどうやら暗殺者らしく襲ってきたのだ。しかもかなりの実力者なのか攻撃の速度が速すぎて避けるのに苦労していたのである。そのため僕は逃げるのを諦め戦う覚悟を決めると腰に差した短剣を引き抜くと、襲いかかるナイフを弾き飛ばしたのだった。そのことに相手が驚愕したのが分かったので僕は一気に畳み掛けようとしたのだが相手の実力は相当高かった。僕はすぐに相手の強さが尋常じゃないものだとわかり警戒しながらどうしようかと考えていたが、相手の方が早く動き出したため僕は回避に専念しなければならなくなり、防戦一方となってしまう。そしてしばらく戦い続けていると相手の背後に人が現れており、僕の方へと手を伸ばすと僕の首に手刀を入れてきた。それによって僕の意識はすぐに途絶えることになる。そして目を覚ました時には牢屋のような場所に閉じ込められていて目の前には先ほど僕の意識を落とした人物がいた。そしてその人物は――

その男の見た目はとても若く二十歳そこそこと言った感じで金髪と青い瞳を持ち顔つきはどちらかと言えば美形に分類されており、背の高さはかなり低く百四十cmくらいだろうか。その少年の姿を僕は知っているが、彼は男であって少女ではなかったはずだと思いながら眺めていたが、彼が僕が見ていることに気づいたらしく話しかけてくる。

「おやおやこれは珍しい客がやって来てくれたみたいですね。私はここの管理者のザトーというのですよろしくです」

その言葉を聞いて僕はその少年はザトーと名乗ったのを聞いていた。その事から僕はこの人は本当にあの勇者なのかと思った。その根拠としては、僕の知っている勇者が彼ではなく、この世界に召喚されたもう一人の方だからだ。そしてその勇者は女性である。そのためこの人の性別は違うと思っていた。しかし今のやり取りとこの容姿を見るとこの人が勇者なのだと思ってしまったのである。その事を理解しているからこそ僕にそう名乗ってきたのではないかと考えてしまえるほどだ。

その事を考えてしまい僕の頭がパンク寸前になってきているところで僕の目の前で、ザトーと名乗る人物が僕を見てからため息を吐く。その仕草に苛立ってしまい僕が声をかけようとするとその前にザトーが先に声を出して話を始めた。

「まぁ私の正体が何だろうと君に関係ないから別に教えてあげないんだけどね。それにしても良いよね。この国は僕みたいなのが居ることを良しとして受け入れてくれているからありがたいよ。それで今日は何をしに来たのかな? 僕に会いに来てくれたとか? そうだと嬉しいんだけど、そうは見えないから用があるんでしょ?」

ザトーは僕が質問したかった内容を言い当ててきて僕が口を挟もうとしても、その度に上手くかわされてしまう。そのため僕は少しの間、この人との会話を試してみる事に決めた。そうして話を始めて一時間ほど経過すると僕の目の前で笑っているこの男が、とても強いことがわかってしまった。そしてそれと同時に何故僕を簡単に倒せる力を持っているはずの男が僕を殺そうとしていないのかと言う事も。そのことについて聞いてみると、ザトウはその答えは簡単だと言わんばかりに笑った。

「あー確かに君は弱いもんねぇ~そりゃ簡単に僕に殺せたのかもしれないけど僕は殺しちゃいけないんだよ」

「それはどういう意味なんですか?」

「あれ? 知らないんだ。じゃあいいよ」

それから僕はしばらくの間は放置されることになった。その事に焦燥を感じていた僕だったが特にすることも無く退屈な時間が過ぎていき結局のところ僕をここに連れてきた理由は何一つ明かされることなく一日が終わった。僕はそのことに落胆して肩を落としてしまう。それから数日の間は僕が何もせずに暇な時を過ごすだけとなる。そのため毎日のように僕は城の中庭に足を運ぶようになり、その日も中庭に足を踏み入れた。するとそこにはすでにリッカとユラとアリアドネの姿があった。それから僕達はお互いのことを紹介し合うことになった。その時に僕は改めて三人の顔を見ていくが、ユムは相変わらずユラと似ておりその事を知った僕の中では驚きしかなかった。そうしてリッカのことを紹介してから僕はユラに近寄ると、ユラの表情が一瞬だが強ばったものになった。

「ユムだ。これからも宜しくなユラ!」

その言葉に反応すると、その瞬間にユムは抱きしめられていた。僕はどうしてそんな事が起きたのか分からずに呆然としていると、ユムは涙を流して震えていたのだった。その光景を見ながら僕は、きっとユムはユラとの別れ際に辛い思いをさせられたのではないかと思い、今は何も聞かないことにした。そうして僕はユムを落ち着かせると今度はアリアドネの元へ向かうと彼女の姿を見た僕が思わず声を出しそうになるのを必死に抑えながら、じっと観察をすることにする。

まず目に付くのがその髪色であり、銀髪をしていて肌の色もまた透き通るように白くその整った容姿も相まりどこか人間離れした美しさを感じさせられるのであった。そして僕はその事について考えているうちにふと、彼女は僕達と同じように元々はこの世界の住民では無いことに気がついてしまう。その事を思い出してから僕の中に生まれたある考えについて考えを巡らせ始めた。それは彼女もこの世界の出身ではないのではないかという考えである。この世界で生まれた者は全員例外なく髪と目が黒いはずで僕がこの世界で見た者達は全員がそうであった。そして僕はユナに気になっていることを聞くとやはり彼女もこの世界の出身ではなかったのである。

僕はその事が分かり嬉しかったのと同時に悲しくなる。そして彼女が僕に言った一言を思い出す。『私にもユーキは譲れない』という発言を思い出して自分の心が落ち着くように願って気持ちを整えるのだった――

その後、落ち着いた様子になったリッカから話を聞いた所によるとどうやらこの城の主人から、僕の面倒を見るように頼まれているらしいのだけれど、それがどういった意味を持つものなのかについては分からないらしい。そのためとりあえず、しばらく生活をすることになったのだった――。そこで僕が部屋で待っていると扉を開け放ち誰かが入って来たと思ったら僕の方に向かって一直線に向かってきたと思うと飛びついてくると胸に顔を埋めながら僕に話しかけてくるので一体何が起きているのか理解できなくなってしまうが冷静になってよく見てみるとその相手がアリアドネだと気づく。僕はいきなり抱きつかれて困惑していると胸の中で泣かれていることに気づくと頭を優しく撫でることにしたのである。しばらく僕はそのままの状態で居続けるのだが、ユナが部屋に入ってきたことにより僕は引き剥がされることになる。ユナは僕の目の前にいる少女が誰であるのかという疑問を口にするのであるが、どう見ても少女にしか見えなかったのでそのことを伝えると納得してくれたのだが何故か睨まれてしまい、僕はどうしていいか分からず困り果てていたのだが、その間に少女は泣き疲れたらしく眠り始めていた。そしてユラの方を向くと、ユナが部屋から追い出そうとするので僕が何とか止めようとするとユラから止められる。その行動の意味がわからなかった僕であったが次の言葉をユラから言われて驚くことになる。

「あの子は貴方に会えて喜んでいるみたい。だから、許して上げて」

その言葉を聞いた僕は、自分が彼女に懐かれてしまっているという事に驚きを隠せないでいたのである。しかしそれを見ていた他の仲間達がなぜか微笑ましそうにこちらを見て来ていたので僕が恥ずかしくなり俯いていると、僕の服の中から声が聞こえてきた。どうやらこの子は眠っていても僕から離れる気はないらしく離れようとしないので僕は苦笑いを浮かべることしか出来なかった。

そうしてしばらくの間はアリアから離すのは諦めることになり、その間の面倒をリッカがしてくれることになった。僕はリッカに後を任せると城の外にある訓練場に行くことにした。そこは城の中庭ほどの大きさではなく学校の運動場のような広さになっており、そこで剣の練習を行う事になったので、そこに行く前にアリアには一度城に戻ってもらうことにしておいた。そしてその練習が終わった後に僕はもう一度、ユマに話しかけようと思っているとリッカから話しかけられた。その事に驚いた僕が戸惑っているとリッカからユズという女の子が居ることを知らされる。その事を聞きながら僕はアリアに言われた通り、そのユズと会うことに決めた。その事を伝えにリッカと共にユズのいるところまで歩いていくと、僕を見つけたユズは僕の方に走ってくる。僕はその様子を見るとすぐにリッカの陰に隠れてしまい、僕が近づくとリッカの後ろから出てきてまた近づいて来ると、僕の腕にしがみつくようにして体を預ける。

「えへぇ、パパ!」

「は? ちょっとまって、その呼び方ってもしかして?」

僕はユノからその言葉が出てくるとは思わず動揺してしまうがすぐに気を取り直してその事を尋ねようとすると、突然ユズが地面に倒れるので僕は焦って助け起こすが意識がない事に気づく。しかし、呼吸はしっかりとしており寝ているだけのようだと分かると安堵のため息を漏らしていた。しかし僕は先程の事を思い出す。確か僕に近寄った途端に倒れていたはずである。その理由が今のユカの様子では分からず困惑してしまった僕は、とりあえずリッカに相談する事にしたのである。

僕は、リッカと二人で城の外に出て話をすることにした。するとそこにはリッカにお礼を言いに来たユイがいて、僕達に話しかけてきたので僕とリッカが返事をすると少しだけ寂しそうな顔をした後に去っていってしまう。その事について聞いてみるとどうやら彼女は僕達の邪魔をしたくないと言っていたのである。僕としては気にしなくても良いと思っていたのだけど、ユイのことを考えて僕達はその日はそのまま別れたのだった。そうして僕は、ユムが待っているであろう部屋に戻るために歩き始める。その途中僕は、ユムのことについて考えながら歩いていると途中でアリアに出会う。そしてユムとリッカと三人で仲良く遊んであげて欲しいと言われるので、ユムの部屋に向かうことにする。

僕が部屋の前にたどり着くとその扉の前でユラが立っているのが見えた僕は、何があったのだろうと心配しながら声をかけようとした時に中からの怒声によってユラの声が掻き消されてしまう。その事に驚き僕は慌ててユラの元に走り出すと、中でユムとザトウが激しく言い争いをしていた。

「なんなの!? あんたが勝手にそんな事をしたら私達の仕事に響くんだってわかってないの?」

「お前が俺に勝てる訳が無いだろ。俺は神なのだぞ」

「はぁ~そんなの知ったこっちゃないし、そもそもあんたみたいなのを私が相手にする必要がどこに有るの? 馬鹿じゃないの? ねぇ聞いてる? あ~あ~聞いてないのかな? よし! それじゃあ、もう二度とその生意気な口が開かないように、私の力を見せてあげる。ほら、掛かってきなさいよ。それともその程度の実力で神を名乗るなんておこがましいんじゃなくて? 私はあなたに用は無いわよ。とっとと出て行きなさい」

ザトウに向かって吐き捨てるようにそう告げると部屋の奥に下がっていきユムのことを守れる位置に移動して身構えたのである。それから数秒後、ユムと口論をしていた男が姿を現すと僕に対して声をかけてくる。

「おい、そこの奴。さっさとそいつを始末しろ!」

そんな無茶ぶりをしてくる男の言葉を無視して僕は、どうしてこうなったのかを考える。すると僕の視線に気付いたのかユムの方も僕の方に目を向けるなり驚いた表情をしてみせたのだった。僕はどうしてそこまで驚かれなければならないのか理解出来ずに混乱しているとユムが駆け寄り抱き着いて来てしまった。その行動に僕だけではなく周りにいた者も驚いていたが僕が困り果てた様子で何もできないでいると僕の胸で泣かれてしまい、どうすればいいのかわからずに僕は困惑してしまうのであった。そして僕はとりあえず落ち着くのを待つと僕は部屋の中に入りユラに話しかけることにした。すると彼女はこちらを睨みつけると怒り狂いながら僕を怒鳴ろうとしてきたので僕は思わず耳を塞いでしまう。だがユミの口から出てきた言葉は僕にとって予想していなかったものだったのである。

僕とユムは今ユラから事情を聞いていた。どうやら僕達が来る前から喧嘩が始まっていたらしくその仲裁のためにやって来たユラとユムが顔を合わせたのが問題の始まりであるとのことだった。そして僕がこの城に居る理由を説明するとなぜか二人は急に黙ってしまい僕をじっと見つめ始めたのだ。僕が何がなんだかわからないまま見返していると、ユイは目をキラキラさせておりユナに関しては頬を紅潮させて見入っていたのだった。僕はこの反応の意味が分からず困惑していると、突然ユムからユマの代わりを務めるようにと言われてしまう。

その事に僕は戸惑いを覚えていたのだが、ユラムからユマの言付けを伝えてもらうと僕はユナにお願いをした。僕はユラの相手をするだけで手一杯になるだろうし、それにユムには僕以外に友達がいないらしいのでそちらの相手はユマに任せる事にしたのだ。ユトはその事に納得してくれなかったけれど、何とか説得することに成功したため、これから僕達は三人目の仲間を探すべく動き出していたのである。そうしてユマが用意してくれたという部屋に向かう途中に僕はアリアに会いに行くとユマの事を話すことにした。アリアならこの子が何者かわかるかもしれないと思って話しかけたんだけどその言葉を聞いて驚いた表情をしているので僕は思わず固まってしまい呆然とした状態でアリアを見つめることしか出来なかった。すると突然僕の腕の中から声が上がった。それはどうやらアリアが連れていた猫らしく、その猫がアリアの腕から飛び上がるとユナの元へ行ってしまった。そのことにアリアが気づき悲鳴を上げるのが聞こえたので僕はユナと一緒に猫を追い掛けたのである。その後、アリアと合流した僕達が廊下を走り回っていると途中でリッカに出会ってしまって一緒に探すことになりそのまま城内を探し回るとようやく捕まえることが出来た。僕はアリアが抱えていたユマを見て僕は思わず言葉を失った。その様子がおかしかったのか、僕の方を見て笑うアリアを見て少し腹を立てながらも、気を取り直してユムを紹介する。

僕は、ユノに案内されるままに訓練場にたどり着くのだがそこではザトウと誰かが戦いを繰り広げていたので僕達は思わず唖然としてそれを眺めていると僕の存在に気づいていない二人が戦いを止めてしまうと声を上げてこちらを振り向いてきた。そうして僕達の事をしばらく睨んでいた二人だったが、しばらくしてこちらの存在に気づくのと同時にユカから魔法が放たれるがそれを簡単に防ぐ男がいたのだ。その光景を見ている間に男はゆっくりとこちらに向かって歩き始めてきて僕に声をかけてきたので僕は驚き戸惑ってしまうがなんとか対応しようとするのだけど、どうやら相手が強すぎてまともに戦うことになってしまい、しかもその相手がまさかの神だったのでさらに驚いてしまったのだった。

僕とユラは互いに武器を手に取り対峙していたのだが、その事に焦ったユイとユイを止めるリッカの声で僕は少し冷静さを取り戻すと相手の隙を探る事に徹する。ユイが魔法を放ってきた時には、ユイが僕の注意を引かせようと思ったらしくわざとユイにだけ攻撃を集中させると僕の攻撃を防ぐ為だけに動こうとするのだけど、僕の方はユムの事も警戒していたため、ユムが何か仕掛けてくるかもと考えながらユムからの攻撃にも対応しようとユラから視線を切るわけにはいかなかった。

僕が剣技のみでユムの攻撃を凌いでいると、不意を突くようにして僕の背後から攻撃を仕掛けようとしていたユムの気配を感じ取った僕は、すぐさまその場から後ろに跳ぶとユラの一撃を避けることに成功する。だがユイの方は避けきれずユラの剣がユイの体に突き刺さり、そこから鮮血を吹き出し倒れていくのが見えるとユラの瞳にはユムしか映っていないことが分かってしまう。僕はすぐに駆け寄ろうとするのをどうにか抑えていると、その隙をユムは逃さず攻撃を行ってくる。僕はその斬撃を受けると衝撃で体が浮いてしまい地面に倒れると、ユムはユムを庇うような格好でユムに覆いかぶされてしまい僕は焦った。その行動でユムの動きが止まると、僕も即座に体勢を整えるために立ち上がるとユムに向かって斬りかかった。ユラとの戦いでは一度も使わないと思っていた力まで使って。しかし僕が振るおうとしたその一撃は途中で止めさせられて僕はユムに抱きしめられていた。ユムはユラに傷ついて欲しく無かったのか涙を流していたが、そんな事は関係なく僕が振り下ろそうとした剣を素手で受け止めたユラによって。その事に僕が驚こうとしたときに、僕は背中に強い衝撃を受け、僕はそのまま意識を失うことになったのだった。

僕は、痛みで目を覚ますと目の前に知らない女の子の顔が視界に飛び込んできて、僕は慌てて離れようとするのだけど体を動かそうとするたびに鈍痛に襲われる。そして、僕は何があったのかという事を思い出そうと記憶を呼び起こそうとしていると、僕の胸に頭を預けるようにして眠っていた女の子は起き上がってしまい僕が起き上がったのに驚いて僕から離れると驚いた表情のまま僕をまじまじと見つめてきた。その表情を見ていた僕は、何故かユイに似ていると思ってしまう。僕はその子に見覚えがあると思いだしていると、僕の方に顔を近づけて来たため、その行動の意味がわからずに困惑していた。そしてその瞬間僕はあることに気づく、その子が僕が先ほどユラと戦っている最中に襲いかかって来た相手であるユムだと気づいたのだ。

それから僕は自分の身に起きている状況を理解しようとしたが、まず僕はユムに膝枕をされていたということだけは分かった。だが、それ以上は何もわからなかったので周りを見渡し状況を確認しようと考えると僕はようやく自分が何処にいるのかが分かる。それは僕達が初めて訪れた時にいた場所であった。つまりここは、城にある一室で、ユラムとユラムに呼び出されていた神が使っていた部屋なのだと思う。そう言えば神がこの世界に居ないと言う事実を知った時この場所が神が使っていた物だと思いだし、僕はここに運ばれて手当を受けていたのではないかと思い当たったのである。そう思っていると部屋の扉が開きユムとユラが部屋に入ってきたのだった。

ユミはいきなり現れた二人の姿を見て驚いた様子だった。ユミからしてみれば突然現れたようにしか見えないのだろう。それにこの城の者ならともかくこの二人を知らない人がこの場面を見れば確実に誤解されてしまうだろうと僕は思う。まぁ、今現在この状況を目撃されて勘違いされるのが嫌なのはむしろ僕よりもユムだと思うので僕は何も言わないことにしたのである。

「あら? 目が覚めたみたいね。でも安心していいわよ。私は別に貴女のことを疑っているわけではないのだから」

そう言って微笑みを浮かべているのは、どう見ても僕とユムのことを勘違いしているユラであった。そんなユラの言動に、ユムが慌てた表情をして僕から体を離す。そんなユムの行動にユラも不思議そうな表情をしていたのだが、その顔は次第に赤くなっていきユムと僕を見てなにかを想像し始めたようである。それに気付いたユムが更にあたふたとし始めると今度は突然笑い出すと僕の頬にキスをしたのだ。

僕は突然のことで驚き何も出来ず固まってしまうと、そんな様子を見てユナは笑っていたが、突然ユラの方を見るなり、ユトに対して向けていた冷たい眼差しでユラのことを見ると一言呟いた。

「魔王軍のスパイですね。私達の邪魔をしたいようでしたので処分させてもらいました。申し訳ありませんがこれで許していただけませんか?」

僕は何を言っているのかわからず混乱していたのだけどどうやら、ユナはこのユラという女性が、僕に近づいたことによりスパイなのでは無いかと疑っていたようだ。そのため僕がユラの事を抱きしめていたという状況からユムはそう思ったのだろう。だがユムの勘違いのせいでユラが死んでいると言われてしまうと僕は慌ててしまうがユムはユラムに問いかけたのだ。だが、それに対しての返答はあまりにも予想外なものであり僕は絶句してしまった。なぜならユムの言葉に対しその通りであると認めたからである。僕はその言葉を聞いた途端に、今まで必死に我慢していたのに感情を抑える事ができずユムに掴みかかろうとしてしまうがそれをリッカが僕のことを後ろから羽交い締めにし止めたのだった。僕はリッカを振り払おうとするが、やはりリッカの拘束からは逃れることができずにもがくしか出来なかった。そんな中、僕の耳にはリッカーが呟く声が聞こえてきた。どうやらユトもリッカと同じことを考えていたらしい。そして僕は、僕を押さえているのがユトだという事を知ってさらに苛立ちを覚えてしまった。何故こんな奴のために、こいつが死ぬ理由なんて無いのに、どうしてこいつのせいじゃないのに。

僕は心の中で叫び続ける。僕は、僕の怒りをぶつける対象であるそのユナという存在を殺す為に動こうとするがそれでも僕は押さえつけられるだけだった。そしてユムはその言葉を肯定すると続けて話しだす。僕はユトからユムに視線を向けるとその目は虚ろだった。ユナが言った事は本当の事であり、もう死んでしまったのだと、そんな現実を受け入れることができない。僕は、そんな現実を否定したくて否定したかった。なのにそれを理解できて、納得できている自分に嫌悪感を感じながらユラを睨むことしかできない。そんな時ふと、僕の目には信じられない光景が写った。

その光景は僕達の目の前で起こった光景であり、僕はそれを信じることが出来ない。なぜならその光景とは、僕の大切な人でもある少女が死んだという事実を、それを認めたくなかったからだ。そしてそれは、この光景を見た僕以外の全員に同じことが言えるだろう。

そうしてしばらく静寂に包まれたがリッカさんとユカの声により僕達は再び動き始めた。しかし僕の頭の中はまだその事に動揺してしまっているが、僕はユノの事を考えると、僕の頭の中から他の事は消え去りただユノを助けたい、それだけを考え始めていたのであった。しかし僕はそこでユイやユイが連れて来たと思われる人達の姿が見えていない事に気がつき周囲を見渡していたのだが、そんな僕の視界に入った人物がいたのでそちらの方に目を向けたのである。そこには一人の少年がこちらを無言で見ていたのだった。その少年が誰かはすぐにわかる、だってその人のことはすでに知っていたからだ。そう僕の知っている人はもう一人だけではない。僕の側にいてくれて守ろうと思ったもう一人の僕の友達、ユイがいるはずだと思いながらユイの名前を口にしようとしたのだが、ユラはそれを許してくれずユイに向かって剣を突き刺そうとしたので、僕は慌ててユムにユラの攻撃を止めてもらうために叫んだ。

だがユムは一瞬躊躇するだけですぐに反応することができなかったらしくそのままユイは剣によって貫かれてしまい倒れこんでしまう。そのユイに向かってユミは回復魔法を使い治療を行おうとするが傷が大きすぎるため無理だったのかユイを抱き抱え涙を流すのであった。僕はその様子に悔しく思い歯ぎしりをしていると僕の腕を掴むユミの手から力が抜けているのが分かり僕はすぐに手を放してもらいたいと思っていたのである。

そして僕はその瞬間ある事に気づく、ユムが僕に向かって何かを話しかけようとしているのだ。僕はそれを聞いてあげたいとそう思い僕はその声に耳を傾けることにしたのである。だがその願いは叶わずにユムはユラに斬られ僕は地面に崩れ落ちたのであった。その時僕は自分が何が起きたのか理解できずにいるとユラとユムに抱きしめられる。

ユラは泣きながら「ありがとう、私の子供を産んでくれて。ごめんなさいね私が貴方を巻き込んで。」と何度も僕に言い続けた。だが、ユラが謝る事では無くユラは何も悪くないとそう伝えたいが口を開くことが出来ずに僕はそのまま意識を失っていった。そして意識を失う直前に僕は確かにユラの優しい声を聞いたのである。そう、ユラから僕に対する感謝の気持ちをはっきりと感じ取れた。そしてその後で聞いた言葉はとても優しく暖かなもので僕の心の奥底にまで染み込むようにその言葉が届く。僕の心に響いたその言葉は、この国に来て初めて僕のことを認めてくれたものだったと思うのだ。だから僕はその言葉で少しだけ救われることができたと思うのであった。

私は、ユム達が突然この城に現れたことに驚いている。私は神としての力で城の様子を見たりこの世界に起こっている異変を調べていたのでこの城に神がいないと言う事は分かっているがそれ以外の事は分からなかったので私は突然現れユラ達に攻撃をされた時は驚き何も出来なかったのである。しかし今はユムのおかげでこうして生きており、自分の足で立ち上がる事もできるようになっていた。それから私達は、私を襲った相手が実は神の使いであった事をユムがユラに説明していた。

だが私は正直言うとそこまでユムが私のために怒ってくれていたのかが分からないでいたので戸惑っているとユムは神に騙されていた事と私を殺そうとしていたことに対して怒ってくれたらしい。私自身は、ユムの事が心配だったのであまり気にしていなかったけどそう思って貰えていたことは素直に感謝したいと、そう思っていたのだ。そう言えば、なぜ突然現れたのかとユムが聞くと神と名乗る者がこの城にいるという事でユムが私を神だと勘違いしていたらしい。それをユラはユムに教えていたのだが、どうも様子がおかしいように思えたのである。なぜなら、私達を助けようとしてくれたから、きっとユラを倒そうとしていないはず。それに、もしかしたらこの城をどうにか出来るかもと言っていたような気がしたので聞いてみたのだ。

だけどそんな事をユラに聞けば当然私は神に敵対することになるわけで、私は、どうしたらいいのかわからなくなり私はユムとユムのお母さんのことを抱きしめると涙を流して助けを求めるように叫んでしまった。

すると、そこに突然ユナが現れる。ユナは私を見て何故か驚いた様子だったが直ぐに微笑みを見せてきた。だけどそれが偽りのものであることくらい今の私にはわかる、でもその理由がわからなかったのであるが、それを教えてくれるかのようにリッカが現れてユナは本当は魔王軍の人間であり、ここにいる者達が今襲われている原因だということを説明したのだった。だがリッカの説明が終わると同時に突如として爆発が起きて私は吹き飛ばされてしまう。だがリッカは、そんな私を心配してくれたようで、抱きかかえて運んでくれたので怪我は無かったのだけど、そんなことより私は今起きた事が気になってしょうがなかった。

それは突然ユラムが、私達の前から姿を消した事である。そして先ほどまでユムと一緒にいたというユムの弟だという子がユラムをまるでゴミのように扱っており、その扱いに違和感を感じ、さらにユラムに危害を加えたあの子に対し怒りを覚えてしまい気がつけばユムを庇うように抱きしめていて私は気が動転してしまい何もできなかったのだ。しかもその後に起こった出来事に頭が追いつかなかったことも大きな理由なのだろう。だが一つだけ言えることがある。

「絶対に許さない!」

「おやめください姫様。」

「離してよ! あいつのせいで弟は殺されたんだ! このままになんてできないの!!」

そう叫ぶと、今度はユトの目の前に一人の女性が現われる。

『勇者の力を封印してください。』

そんな事を女性は言うとユトは女性のことを睨みつけたのである。だがユムはそんな事などお構い無しに、女性の話を聞くことにしたようだ。まぁ僕もユナがこんな風に言われてしまうとついカッとなってしまうので、気持ち的にはわからないわけではないんだけど、もう少し冷静になるべきだろうとそう考えながら僕はユトの言葉を聞き続けていた。ユトの言葉はどうやらその女性の指示に従いたいと思っているみたいだが、それはあまりにも酷いのではないかと思ってしまう。僕はユイの方に目を向ければ、その表情は真剣そのものであり、本気でユラムのことを殺したその人物と敵対しようとしていて僕としてもその気持ちは嬉しいのだ。そして僕はふと視線を移すとその先にユラさんが立っていることに気づいた。そしてそのユナと呼ばれる人物が、ユムの本当の姉だという事がわかり、さらにユラがこのユラの敵だと分かり僕はユムを止めようとするがそれを止めたのもまたユラさんだった。

「お願い、ユラちゃんを止めないであげて。あのままじゃ、もう止められない。

だからユムが死ぬ前にユラムを救ってあげてほしい。

これはもう、変えられない運命だと思う。

それに、もしここでユムを止めてしまった場合 これから起きる事はもう回避できなくなる。

だから、だからお願い、止めずに見守って欲しいの。」

そう言われた時僕は思わず黙ってしまったが、ユマの覚悟は分かったので再びユムを見ることにすると、ユラがユムに向かって話しかけるのが聞こえる。そしてその言葉を聞いたユラの顔に笑みが浮かんでいるのを見た僕は安心してしまったのであった。僕はその光景を見ているうちに自然とユラのことが理解できてユイがユラに惚れ込んでいる理由も理解できた気がした。そしてそれと同時に僕も彼女なら大丈夫そうだと思いその会話を見守ることにするのであった。「貴方は私を殺せるかしら?」「無理だよ、姉さんを殺すことなんて。

僕はそんなこと出来ないしする資格も無い。

それよりも僕は聞きたいことがいっぱいあるんだよ? 一体なんでこうなっているのかをさ。」

ユラとユムの二人は互いに手を取り合って笑い合う姿が見える。

そんな二人に僕はとても嬉しく思いその姿を見ていて幸せに感じたのと同時に少し羨ましく思ったのである。だって僕の周りにいた人達は皆僕のことを家族とは認めてくれてなかったし僕もそれを受け入れるしかなかったから僕にもそんな相手がいればと思ったことがあったからなのだ。しかし僕の場合は相手がいないのではなく、その逆であり、その事に僕は心の底から喜べずむしろ悲しくなったのだった。そしてその事に気づいたのか、隣に座ったユムが僕の手を握るのが分かると僕はユムの優しさに感謝すると共にこの子のことは守ろうと心に決めた。そのせいなのか、僕の頬にはなぜか涙が流れていたのである。

僕は、どうして涙が流れているのかわからなかったがユムの手を強く握り返したことでユムは僕が泣いていることに驚いているのか、それとも僕を慰めようとしているのかは分からないけど、それでもユムの手の温もりがとても心地よく僕はしばらくの間、そのまま手を繋いだままユムと話をすることにしたのであった。

ユラがユムに言った言葉に対して僕はユラの想いとユムへの愛情の深さを知ったのでユラの願い通り僕はユラを止める事をやめて二人のやりとりを見ていようと思うと突然ユラの様子が変化した。僕はその瞬間に何かまずい予感がし僕は立ち上がろうとしたが、突然の出来事に体が思うように動かずそのまま床に転んでしまうと、その直後、僕の目線の先でユラが地面に倒れるのが見えたのである。僕は一瞬何が起きたのかがわからなかった。

だが僕はすぐさま立ち上がると倒れたユラの元に急いで近寄ろうとするがユムの叫び声が聞こえた為足を止めてしまう。そして僕はその声を聞いて嫌な予感がしたので恐ろしさから足がすくんでしまったが何とかその恐怖を振り切り僕は再び走り出すとユムが剣を抜き構える姿が見えた。だがその時にユラは、ユムの方を見ながら口を開く。

「ねぇ、最後にもう一度だけでいいから、私の可愛い弟に、会わせてもらえないかしら?」

「ごめん、それは出来ないよ。でも安心して欲しいんだ。

僕もすぐそっちに逝くから。

そうすれば、また一緒に過ごせるよね。」

そう言ってユラに微笑みを見せるユムの瞳からは一筋の涙がこぼれ落ち、そしてユラはゆっくりと息を引き取った。それを見て僕は呆然としてしまいしばらくその場に立ち尽くしていた。

ユラとユムの二人が倒れているところに近づくとユラとユムに寄り添うようにユムの母親のユナがいたので僕とユイはその横に座り込むと三人でユラとユムに祈り始めた。ユナも同じことを考えているらしく祈ることに関しては問題無い。それからしばらくして祈り終わると突然部屋の明かりが消える。だがユナだけは暗闇の中でユラの亡骸に手を触れるとユムに質問を投げかける。

私は魔王軍の七将軍のアリシディアである。今は亡き王であるユーラスと王妃のユーラムからこの国の現状について色々と教えてもらいその事で私は神という者に会いに行った。

「神ですか。そのような者は存在しません。

それに神がいるとしたならば何故あなたのような小物がこの城に入れたのですかな?」

そう言って神と名乗る男は自分の事を馬鹿にしているのであろうと感じた。

そもそもこの男が言っている神は恐らくこの城の地下に眠っているとされている邪神のことだろうと察することができたからだ。なので私としては神の使いであると言い張れば通してもらえるかもしれないとそう思ってのことだった。

だがそんな私の考えは甘かった。私が嘘をついて誤魔化そうとした途端に、突如として部屋の中に爆発音が響き渡るとともに私に衝撃が走る。それは、爆発の威力は凄まじいものだったが、どうやら魔法によるものらしいことがわかったので私は慌てて振り返り後ろを見ると先ほどまで自分の目の前にいた男が消えている。だがその消えた男は直ぐに姿を現し、今度は私の背後をとることに成功すると私に向けて攻撃してきたのだった。

私は突然現れたその人物によって攻撃を防がれたのだが、それがただの攻撃であれば良かったのだが、どうやらその人物には魔法に対する防御方法が備わっているようで、どうやら私にダメージを与えることができないようですぐに次の攻撃を仕掛けてきたのである。

だがその人物は何故か私の行動を阻害するように動き回っているような気がしたが私はその違和感を確かめる為に一旦攻撃の手を緩め、距離を取る。そして改めて確認しようとするとその人物が女性であり、その女性の体の一部が変化していることに私は驚きを隠せなかったのだった。だがそこで私は思い出す。以前勇者であるユムから、神を宿したものの中には肉体を変化させることが出来るものもいるということを教えられたことがある。おそらく目の前の女性はユムと同じ存在でありその事を理解したのだった。

(まさかこの城にユラム以外に勇者がいたとはな。

これはかなり厳しい戦いになるかもしらないぞ。

だがユナ殿をこのまま放置するわけにもいかん。)

だが私は諦めるつもりはない。ここで引くことは、私に取って敗北を意味することだと理解しているのだから。だからこそここで退くことなど出来るはずもないのだ。そう思い、覚悟を決めると私は、再び彼女に向かい突撃したのであった。

「どうやらまだ生きていたみたいだね、姉さんが死んで悲しんでいるところ悪いけど僕が代わりに仇を取らせて貰うことにする。」そう言うと彼女は僕を斬りかかってくるが僕はユナを抱えながら必死にその攻撃をどうにか避け続けたのだった。ユナさんは僕の腕の中で目を瞑って怯えており、ユムもその様子を見ているためなのか、少し焦っている様子である。

「その人から離れなさい!」

突然部屋にユカの声が響くと同時に扉が破壊されユカが突入してくる。

「その人はこの国にとって必要な人間なの!だから早く離れて!!」

僕はその言葉を聞き思わず笑ってしまった。確かに彼女の言う通り、その通りなのだろう。だけど今更それを言ったところで無駄なことは僕が一番知っているから。だから僕はそんな言葉を信じる気になれず僕はその場からユラを抱えて逃げ出そうとするのである。

僕はなんとかその場から離脱しようと試みるもユラを庇いながらだと逃げることが出来ないため結局はユマ達に加勢してもらうことにした。するとその瞬間にユカの魔力が膨れ上がったかと思うと、僕達の横を一陣の風が駆け抜ける。それを確認するために僕は目を向けるとそこには既に決着がついたあとのようであった。その事に気づいた僕はユムの方を見てみるとどうやらそのユムの姿は先程までの幼さを感じさせる姿ではなく、今のユムと変わらないくらいの見た目年齢の少女に変化しておりユム自身もその事を確認していた。

「貴方が姉さんを殺したんだろう?」

ユムの言葉を聞いた瞬間、僕の背筋が凍るかのような悪寒を感じ、同時に怒りが込み上げてくる。僕がユムに対して怒っていたからかユラのことを殺してしまったユムに対して殺意が芽生えてしまったのか僕には分からない。だがユムが僕の方を見ていることに気づいているのにもかかわらず僕は何も出来ず、ユムの視線から逃れることが出来ずに硬直していた。その視線に射抜かれるだけでもかなりの圧力を感じる上にユムの発する威圧感はユラムのそれとは比較にならない程の物があり僕の体は震えてしまっていた。ユムはユラの体を優しく地面に降ろすとこちらに歩み寄り僕に刀を向けた。僕はそれを見た時、僕は死ぬことを確信してしまうと、ユイが僕の前に立つ。そして僕を守るようにユムと対峙する。僕はそれを見るが、僕の頭では思考することさえも難しくなってしまい僕は意識を失いかけた。しかしそれでも、僕は、どうにかしてユムを説得しなければと考えると、その時、突然僕の脳裏に声が聞こえたのだった。

「この子はもう大丈夫ですわ。

私が守りますのでご安心ください。

ですから貴女も落ち着いてくださいませ。」

そう声が聞こえると共に僕はユムが放つ圧力から解放されると共に、僕が感じている恐怖心が取り除かれたのがわかった。それと同時にユムから感じる雰囲気が変わるとユムの瞳から光が消えてしまい、まるで魂がない操り人形のような表情をしている。そして次の瞬間、ユムの体が淡く発光したと思ったら突然姿が消えてしまう。それを目の当たりにしたユイ達は動揺していたが僕はユムに何が起きたのかを知っている。だがそのことを口には出さずにユナの亡骸の元へと移動を始める。そしてユムが倒れた場所に目線を合わせるとそこには一つの剣が落ちていたので、拾い上げて確認するが、やはりその剣は邪神の剣であることが分かった。それから僕は剣を捨てると思い出したくない記憶を無理矢理引っ張り出す。その行為によって精神に負荷がかかり苦痛が生じるが僕は耐えることを選択した。なぜならその記憶が僕に必要なものであると分かったから。そして、その記憶によりあるスキルを手に入れたことがわかってしまったからこそ思い出さなくてはならなかったのだ。そのことに関して後悔は全くしていないし、この選択が間違っていなかったと僕は信じたい。

それからしばらくして剣を手放したことで多少ではあるが精神的な落ち着きを取り戻すことに成功し、僕はこの部屋の惨状を改めてみると酷すぎて見ていられなかった。特にこの部屋の中心でユラムは息絶えている。恐らくはこの部屋の中で一番強力な攻撃を行ったのは間違いなくユムだと言うのに部屋の損傷が激しいことからその力の高さがわかる。そして部屋の中に散らばる死体を見て僕は気分が悪くなるがどうにかこらえることにした。

それから僕は倒れている人達の治療を始めたのだが、その中で僕は一つだけどうしても治せないものがあることに気がついてしまう。それは僕が最初に斬られて倒れ込んでいたユト君で彼は首から上の骨が無くなっていたため僕でもどうしようもなかったのだ。ユラさんとユラ様は既に亡くなっているため問題はない。ユナさんに関しても怪我をしていた部分があったものの今は傷が全て癒えている。そのため後は目を覚まして貰えば問題はないだろう。そして他の者達に関してはどうやら問題ないらしく全員治療を終えることができた。ただ残念なことにユナムとアサム君の二人は助からなかった。

「ユナ殿とこの場に居る全ての者はこの城に滞在するといい。私は王都に戻る準備をしてくるから少し待っていてくれ。その間ユム殿のことについては任せてもらって構わないからな。ユム殿、ユナは無事だぞ。少しばかり危険な状態だったが、私達が全力で守らせてもらうからユム殿は心配しないでいいぞ。それじゃあまた後ほどな。」

それだけを言うとアリシアとユカムの二人が立ち去ってしまうと残された私達の間には微妙な空気が流れているがユムがいつ目覚めるのかは分からないのでユラムの死体を放置していくのも気が引けると思い私は部屋にある本をいくつか持ち運び、部屋を出た。

私とアリシアとユカムの三人は城の外で合流するとユラムの死体を回収してから城に戻りアリシティアと合流した後、城の中で起こった出来事を説明した。ユカムはそれを聞くなり激怒してしまった。どうやら彼が言うには元々、この国と敵対関係にある隣国との小競り合いがあったらしいのだがどうやら今回の一件はその争いのせいだと予想されているらしい。その話に私達が驚きつつも納得している中、ユカムだけは納得できないような態度を見せながらも、私達の案内のもと、ユムがいるであろう場所まで私達を連れていくことにした。そしてその場所まで行くとどうやらユラが目覚めたらしくユラがベッドの上で座っているのが見える。だが様子が少しおかしい。何かに怯えるように体を震わせており私達に気づくことなく虚空を眺めている。その様子を見つめるユカムの様子はかなり険しいものであり、一体なにが起こったのかわからない私はただ戸惑うばかりだったがそんな状況の中私はユラの口から漏れ出た言葉を聞いて私は言葉を失った。その内容は信じられないものではあったが、確かにそう口にしていたのである。

(お姉ちゃんは悪くないんだよ?だってお姉ちゃんは助けに来てくれただけだもん!悪いのは全部あの人達なんだからね!!だからお姉ちゃんはなんにも気にする必要なんてないよ?)

僕はその言葉を聞き頭が真っ白になったままその場に座り込んでしまう。そんな僕の肩に手が置かれる感覚があることに気づいたのでそちらの方を振り向くとそこには涙を流す僕の愛する人の顔が見え、僕を抱き締めてくるのであった。僕が呆然としながらもどうして良いかわからずそのまま動けず固まってしまっていると不意に頬を叩かれたためそちらの方を見てみるとそこには真剣そうな顔をしたアリアドネさんの姿があって彼女は僕に微笑みかけながら言葉を告げていく。

「何を驚いているんですか?貴方のお陰ですよ。本当に感謝しています。ですけど、少し気を抜きすぎじゃないですか?」と彼女が苦笑いしながら言うとそれに同意するかのようにアリサさんが話しかけてくるが彼女の目の下には大きなクマが出来ており彼女もまたかなり寝ていない事が伺えるのだった。それから暫くして僕達はユムのことを看病しつつユムが目覚める時を待つことにするのだった。そして翌日になってようやくユムが起き上がった。ユマは喜びつつユムに対して抱きつこうとしたが僕には見えていたため咄嵯のことで反応できなかったユマは顔面を地面にぶつけると痛いのか泣き出してしまい僕が慌てて回復魔法をかけるとその事に気づいたアリサは何故か笑顔を浮かべていたのである。それからユムの意識が完全に回復したことを確認した僕達は一度話し合いを始めることにした。まず僕が話すのは僕の正体である【魔王】についてでありそれを僕自ら話す。そうすることで皆が僕の言葉を信頼してくれるかと考えたからである。その結果、僕の考えどおり、みんなが僕のことを信用してくれて、僕はホッとすると同時にユムはなぜか僕の膝の上に乗ってきて僕は困惑してしまったのであった。それからはユムと僕でこれからの方針を決めることにした。ユムの願いは元いた村に帰ることだと言うが僕はそれを止めることは出来ずユムの意思を尊重することを決めたのであった。僕はユムの意見に賛成することにしたのだがユムには不満が有ったようで僕に向かって怒り始める。

僕がそれに対して何も言い返せずにいると今度はアリサさんとアリアさんから質問を受けることになる。そしてその疑問に答えるのは僕なのだがユムの望みは出来るだけ叶えたいと思う反面、今のユムの状態を見るとこのまま村に帰すわけには行かないという僕の個人的な気持ちもあって悩んでしまった。それから僕は答えを先延ばしにすると一旦、城を出ることを提案すると、全員が賛成してくれたため早速行動を開始する。そして、ユラムとユムの姉妹が眠る墓地に行くとそこに墓標を立てようと思った僕は二人の墓を作り、ユイとユナ、それと僕の両親の分まで作った。そこで僕達は食事の準備を始めるのであるがその際にアリシアから提案されたことがあった。僕はそれに賛同する形で準備を進める。僕達が準備をしている最中に、ふと思い立ったようにアリシアは口を開く。それは、もし仮にだがユムに子供が生まれた場合はどのようにすればいいかという事だ。正直、僕が考えている方法でいいなら問題なく実行できるのだろう。だけど、それでいいのかどうか分からなくなってしまったのだ。僕としてはユムに幸せになって欲しいのが本音だがそれはあくまで僕の都合であって彼女のことを考えたものではないのかもしれないのだ。僕はそこまで考えた結果彼女に僕が今考えている内容を話すとアリサさん達は納得する。それからしばらくしてユラがユカムを産み、それからしばらくするとユアムを産むことになったのである。

僕が魔王となって数日、ユイやユムと相談をして、僕は王都へユラムとユウムを連れて行くことに決めた。理由はユムにユナを生き返らせてあげることが出来る可能性が出てきたからだ。もちろんこの方法を取ると僕はこの世界で最強の存在となる。だがそれに関してはもう諦めているし僕は元々異世界で勇者と呼ばれる存在であった。この世界に来てもそれは変わらないのだから問題ないだろうと考えている。それならばいっその事僕はこの世界を支配をしよう。

ユラとユカムを産んだあと、僕はこの世界に生きる全ての者に告げることにした。その時にユラムも一緒に連れて行った。そして僕の言葉は瞬く間に広がっていき世界中に広がったことだろう。それからというものユムとユナは大層な人気者でありこの世界の有名人だと言えるほどの人物になっている。そして現在、この国の王城はユナムとアサムによって滅ぼされてしまいその事実を知ったユーラは一人、王城に残され絶望感を抱いていたのである。そんな中、アリムからの手紙を受け取ったユーラはすぐに手紙の内容を確認するために走り出す。その内容はユナム達が起こした事件のこととユナム達の行方が不明と言うものだったが、それでも最後の方に書かれた文字を読んでいる時の彼女の表情が次第に明るくなっていく。そしてその内容とは。

私はアリム。突然、私の家に現れ、そして私を助けてくれたのはユナム兄様でした。彼はどうやら私を妹のように扱ってくれて優しくして下さりました。彼は、私が、ユラムの妹であることに気づいており、そしてそのことに罪悪感を感じていたようで私に償いをするためにここにきたと言っていました。彼は自分がこの国に来る際に一緒に連れてきた女性に全ての罪を擦り付けるつもりで来たらしくそのことを私に教えてくださいました。

私達家族はその提案を受け入れようとしました。しかしそんな私達を見た彼の部下らしき者達が彼に対して攻撃を仕掛け始めてしまったのです。それだけでなくその者達は他の街にいる他の人達を人質に取り始めたため私は彼に助けを求めたのでした。彼はそれに応えるようにすぐに助けてくれて私は心の中で感謝を述べていましたが彼は最後にとんでもないことを言ったのでした。私はその言葉で動揺しつつも彼を必死で引き止めます。

ユラさんの事は好きですがユカム君との子供の方が好きになってしまった私を許して欲しいと思いながら私はユムちゃんのことをユカム君に任せることに決めました。そしてその日以来、私は彼との思い出を忘れることが出来ず私は、私は!!私は!!!!!その日の夜、私は泣きながら眠りにつきその次の日の朝には目が腫れ上がってしまい、ユラムとユムちゃんが私を起こしに来た。その時、私は泣き続けていたので心配されてしまったが、どうにかごまかすことに成功したのだった。

(ユカム君は本当にユムちゃんを溺愛しており私も思わず笑みがこぼれるほどだったがその光景を見てると微笑ましくなり癒された)それからしばらく経ちようやく私の目の調子が良くなった頃にまたアリムちゃんからの手紙が送られてきたのである。その内容はユナムさんが魔王になったという信じられないものであった。

(あの人は一体何者なの!?あんなに強い人なんか見たことないんだけど!!というかあの人が魔王になったって事はつまりユズちゃんとミノちゃんも一緒にいるのかな?)そう考えると急に会いたくなってきてしまい、ユムちゃんとユラちゃんに相談すると二人の子供と一緒に行くと言われてしまう。

(本当はもう少しユカムくんと居たかったけど仕方ないよね?それよりも魔王様は大丈夫なんだろうか?)そう思ったがすぐに頭を振り、ユカムのことで考えを改めたのだった。それから数日経ってから私はアリムとユクムに呼び出され、その場所に向かう。そうして着いた場所は王城であり、既にそこは破壊されていて跡形もなかった。

「ユラ!!こっちに来てちょうだい!!」ユラが驚いているとユムが大声でユラを呼ぶ。それに釣られて声の聞こえた方に視線を向けるとそこにはボロボロの姿となった二人とユカムの三人の姿があった。

僕はユカムが生きていたことを知り喜びの声を上げようとしたがその前にユカムは僕の前に立つと深々とお辞儀をする。

「このたび、【魔王】の席を譲ることとなりましたので以後宜しくお願い致します。それから魔王陛下には今後とも私達の事を可愛がっていただけるとう嬉しく思います」僕が、どういうことかを聞くよりも先に、僕達はその場を後にするとそのまま僕が泊まっている部屋まで案内してもらい僕はそこに入る。そしてベッドに横たわるとユカムに話しかけることにした。

ユムがユムを生き返らせる方法があると言った時は驚いた。だってそれはあまりにも非現実的過ぎることだからである。だが、ユムの話しによるとユム自身も似たような魔法を持っているらしいが、それを使えるのはこの世界でユムのみらしく僕はそれなら可能かもと思えた。ユラムには申し訳無いが僕にとっては愛するユムが一番なのだから。

それからしばらくしてユラムとユカムの二人は僕と別れを告げると僕達に見送られる形で王城を出ていったのである。

そうして王城を出たユカムはアリムと二人で歩いていくと途中で、ユラムと合流する。ユラムと合流したユアムはそのまま歩き続けると一つの村に着くのである。それから村に入るとその村にいた人達はユムを見るなり一斉に駆け寄ってくる。そして一人の老婆が現れて彼女は涙ぐみながらユムを抱きしめたのであった。ユムは戸惑いつつその行為を受け入れると、そのおばあさんはユムが村を出てからの事情を話してくれる。どうやら、彼女が村長の娘で村を守る力を手に入れるべく旅に出たということが知れ渡っているようだ。

僕達がユムの家に帰ると僕は、疲れが溜まっていたせいか寝入ってしまい、起きた時にはアリラムは帰っており、代わりに僕を覗き込むようにして見ていたユムの顔とユカムの呆れた顔が見えたのだった。

僕達はアリムとユラムとアリムの友達であるアリムと共にユカムの故郷であるユムの故郷へ向うことにした。アリムの両親は娘を心配していたみたいだが、その気持ちが痛いほど伝わってきたので、僕達はすぐに了承することにした。ちなみにこの村の住民はアリムとユカムに良くしてくれているようで二人の旅立ちを見送る為に集まってくれてもいた。

僕達一行は、アリムの提案もあり、僕とユラムとユム、そしてユカムとその両親、そして僕とユカムの娘であるユラ、ユナムの子であるユナムの計8名となるのである。そして、僕とユラムとユカムの3人で移動している間中、アリムがユムとユカムを可愛がるものだから僕は苦笑いするしか無く、ユムとユカムも嫌な顔をしていなかった。それから僕達は目的の場所へ辿り着く。

「ここがわたしの生まれ故郷よ。そしてここにユラムのお姉さんがいるはずなの」僕はそれを聞いて少しだけ不安になったがそれを口にすることはせず僕はその目的地へと足を踏み入れた。その瞬間に僕達の前に立ちふさがるのは無数の敵兵だ。僕達が臨戦態勢を取り始めると目の前の兵士は剣を構えるがそんな兵士達を無視してアリムとアリムの仲間の女性達とアリムの姉と思える人物が現れる。僕はその姿を見て思わず言葉を失った。そこに現れた人物とはユナムだったからだ。

「お久しぶりですユナムさん。いや、もうユナムさんではありませんね。ではユラムさんにでも挨拶をした方が良さそうですね。改めまして私は【魔王軍七将軍 ユナム=ラオン】と申します。ユラムさん、あなたの大切な妹の仇としてここで死んで貰いましょうか?」そう言って彼は腰に差している刀を抜き、そして僕に向かって攻撃を仕掛けて来たのである。僕がユナムの動きを見て戸惑っているとユナムとアリムは同時に攻撃を始める。まずはユラムは魔導書を開くと魔法を発動させる。ユナムも同じく魔法を放つがユナムが発動させた魔法の効果の方が早くユムはダメージを受けてしまい倒れそうになるので僕は慌ててユナムとアリムの間に入り込み彼女を抱き抱える。それと同時にユラとユムが魔法を使い、アリム達を守ってくれたのである。しかしそれでもダメージが大きいのかユラムはその場に膝をつく。

「くっ、やはり強いわ。これがユナムちゃんの力なのね。だけど私にも意地があるの。このままでやられるわけにはいかないんだから!!」そう言ってユナムは再び戦闘を始めようとする。ユラムの身体は既に限界を迎えておりこれ以上の継続が不可能なのは明らかであるにも関わらずだ。ユムはユラムの側に寄り添うと彼女に回復を施し始めた。そのおかげで多少ではあるが体力を取り戻すことが出来たがそれでユラムが万全な状態になることはない。しかしそれでもユナムに立ち向かって行くユラムに僕は何か出来ないかを考えるが思いつくものがなくユラムを止めることしか出来なかった。そしてそんな僕に助け船を出してくれた人物こそユナムと行動を共にしていた【ユナムの部下】を名乗る【ユナムの子】である。

僕はその男を見ると彼は僕を見て一瞬で状況を理解したのか僕の側まで来ると僕の耳元でこう囁いたのである。

「あなたは魔王なのでしょう?ならばここは任せて下さい。俺に良い考えがあります」それを聞いた僕は彼にユラムを頼むとすぐに行動に移った。そして僕の動きにユラムが気づいたのだろう。僕は彼女の前に再び現れると今度は彼女と手を繋ぐ。

「待って!!私もまだユラムと一緒に戦う!!だからユラムを連れて行くのだけは許して!!」僕はそれを断ると同時に僕は彼女を気絶させ、そのまま背負うとアリムの方に向かった。そして僕はそのまま転移をするとアリム達のいる村から離れた森の中に移動するのである。

(まさか僕を信用して連れてくるとはね)僕の隣に立つ人物は【ユナムの子】であり、彼が考えたのはこのユナムのいる村にユムを住まわすということだった。

ユナムとユラムとの戦いが始まるとユナムの放った炎により森の一部を焼き払われる。その威力を見た僕はこの世界に来て初めて恐怖を覚えた。ユカムは、僕の事を心配そうな表情で見つめてきたが僕は首を横に振ることだけを行うとユラの頭を優しく撫でる。そしてこのユカムとアリラム、それに【ユナムの子】をユラムが住んでいるという家まで運ぶと、僕は一人で外に出る。するとそこにはアリムとアリムが雇ったという冒険者の一団と村人がいた。彼等は突然出現したユムを見て驚きの声を上げるとすぐさま戦闘を開始しようとした。僕も加勢に入ろうとした時、後ろから声を掛けられ振り向くとそこには先程の男性が立っていた。

「大丈夫ですよ、あれは私の子達だけでなんとか出来ますから」

「それなら良かった。それと一つ聞いても良いかな?君は何者なんだい?ただの冒険者にはとても見えないけれど」

「ああ、私の名は【ユーカム=ラオン】と申します。あの二人は双子の姉妹になります。私はこの国の王であり魔王です。以後宜しくお願いします。それと、もし貴方さえよろしければ今度食事などをしながらお話を聞かせて貰えないでしょうか?」

「それは僕でいいのかい?ユムとユムの子供達じゃなくて僕なんかで?」

「はい、むしろそちらの方が良いのです。だってその方が面白そうだし。それにこの村の者達には恩がありますので」僕は、このユムの故郷に来た時に僕を歓迎してくれた村の人を思い出した。それからしばらくして僕達はこの村を離れていくのであった。その際に僕はユーカムと連絡を取るための手段を手に入れるのである。そしてユムはアリムの誘いを受けアリムが治める国に住むことになったのであった。

アリムは自分が仕えている国に招待するために僕の所へ訪れるのだが、その際、僕はある人物に目を付ける。その人物こそが僕の妻の一人であるミノリだったのだ。僕の予想通り、僕はこの世界に転移してきたばかりで不安だらけだった。その不安を取り除きつつ僕がこの世界を生き抜くための助言を与えてくれる存在が必要になった。そのためだけに彼女に声をかけることにした。もちろん彼女は最初は驚いていたが、すぐに僕を受け入れてくれた上に僕と夫婦になることに同意してくれ、僕に忠誠を誓ってくれただけでなくその日の夜、僕と契りを結ぶことになるのである。そして僕が彼女のお腹に手を当てながら僕との子供を授かることが出来る日を心待ちにしていることを告白してくれるのである。そして彼女は嬉し涙を流す。僕はこの世界へ来たばかりの時には想像もしなかった幸せを手に入れることが出来て本当に嬉しいと思った。そうして彼女は自分の住むべき場所へと戻っていく。僕はその後姿を見送っていたのである。

それからというもの僕は毎日のようにアリムに会いに行くが、アリムは王としての政務に忙しいようで中々会うことが出来ない日々が続く中、アリラムの娘が産まれたという知らせが届いたのであった。その話を聞き、僕は早速向かうことにする。アリムが待っていると言うこともあり僕達は急ぐことにしたがそれでもかなり距離があるので途中で僕達一行は宿に泊まりそこで休んでから向かった。そうしている間に僕達はついに目的である街に到着するのである。

僕達はようやく目的地に辿り着いたので僕達は宿に入るとそこに一人の女性が座っていることに気がつく。どうやら僕達に用があるみたいだが僕達は疲れていたせいでアリムにその事を伝えると少しだけ休むために僕達はその女性の前にある椅子に座り、女性の話を聞くのであった。そしてその女性は僕達を見定めるように僕達を見る。

「あなた方が魔王とユラム様の御子息ですね。初めまして私は魔王軍七将軍の一人にしてユラム様にお使えする侍女の1人であるアリシアと申します。ユラム様の命により貴方達の護衛としてお側につかせてもらいます」それを聞いて僕達は思わずアリラムに視線を向けたが、アリラムはその言葉を否定しない。そして僕達三人はアリラムの案内で城に向かうと僕達3人は部屋で休憩することにした。アリムはアリシアとユラムを連れて別室で打ち合わせを行うらしい。それを確認した後、僕達はアリラムの部屋を訪れる。そこでは既に準備が整っており、すぐにでも出発出来る状態であった。そうしてアリラムに導かれるまま進んでいくがアリラムの城は僕の予想していた以上の規模と大きさがあり、この世界で今まで出会ったどんな建物よりも大きな建築物であり、僕達が見たこともないような技術が使われていた。

「ユラム、魔王としてこれからよろしくね」「こちらこそよろしく頼むよ。そう言えば僕とアリアムの子供は?」僕はユラムの側にいたユラムの子を見て、その子の父親が誰かはすぐにわかったので確認のため聞いてみるとその子は僕に対して深く頭を下げると僕の側に寄ってくる。

『ユム兄様が大変お世話になっております。ユナムの父であるラオンと申します。父からはユラム様が無事に魔王に成られたと報告を受けております』それを聞いて僕も頭を下げ、お互いに顔を合わせる。

「ありがとうございますラオン殿、僕はユラムと共に頑張ります」ラオンは僕とユラムに一礼するとすぐに僕達から離れていく。僕はラオンを見送った後、アリムと一緒に食事をすることになり、僕達三人がアリムとユラムと同じ席につく。食事の最中、僕はユラムと一緒にラオンのことについて色々と話すがその間ユラムとアリムが僕にユムのことを頼むと言ってきた。その言葉は僕の胸の中に染み渡るのと同時にユラムを必ず守り抜いてみせると改めて誓う。僕はユラムの側にいると決めたから、例え何があろうとユラムを守るつもりでいることを伝えた。ユラムはそれを聞き安心したのか微笑むと食事を再開する。それからはお互いのことやラオンについて語り合い、僕達は夜を過ごすのであった。

次の日の朝食を終えた後に、僕はラナムとユムを部屋に呼ぶと僕は二人の顔を交互に見やる。そして僕は二人の子供である二人に向けて告げるのである。「さぁ二人とも、魔王として君達の親が僕のために尽くしてくれている間、君は何をしたい?君の望むままに言うんだ。魔王が子供に甘えてもいいのかどうかは分からないけど、今は二人だけの家族なんだ。だからこそ僕は二人が望んでいることを知りたいと思っているんだ。遠慮はいらないから言いな」それを聞いた二人はお互いの顔を見合うと何かを言いたそうな表情をするがなかなか口に出せずにいた。そんな二人に僕は声をかける。「大丈夫だよ、ゆっくり落ち着いて言え。僕達魔王がこの世界を治めている間は君達の生活を保障するつもりだ。だから、何かあった時は遠慮なく言って欲しい」それを聞いた二人は一度僕に感謝すると、まずはユムから願いを告げる。

「僕は、僕はもっと魔法を学び、強くなり、そして皆を守っていきたいと思っています」

それを聞いた僕は内心でやはりそうかと思うとユナムとラオを呼び出しユムに魔法のことを教え込むようにお願いをした。ラオンはそれに反対の意思を見せなかったが、それでも渋るような表情をしていた。おそらく自分が教えられなかったのに僕なんかに任せて良いのかという気持ちがあったのかもしれない。しかし僕は、その表情の意味を理解しつつもあえてラオンにユラムを頼んでみる。その結果、僕の考え通りにラオンは了承してくれると僕はユラムの背中を押し、そして彼はこの日からラオンの元で本格的な魔法を習い始めることになる。ユムとラナムを送り出した僕はユラムとアリラム、それにユーラムが僕の前に現れたので僕は彼等から今回の遠征の目的である国の様子を聞かされた。そしてその国は今、魔物に支配されており、それを討伐するのが目的だったのだ。僕はそれを聞いてユムが心配になり、ユラムに同行の許可を求めると二つ返事で答えてくれる。

僕はユナとクロミンを呼び、アリラム、ユーラムに事情を説明するとアリラムは快く僕達に同行してくれることになる。僕達三人と三匹の仲間達はそのままアリラムの国に向かい進軍を開始する。途中まではユーラムが案内を買って出て、ユーラムのおかげで迷わず進むことが出来たのだがユーラムは途中で足を止めてしまい立ち止まる。僕はユーラムに声をかけるがユーラムは振り返らずに呟いていた。「おかしい、ここは通れる筈がないのにどうしてこんな場所に扉が?」と疑問を抱くと突然僕の目の前の地面が光だし、そこから一人の男が姿を現したのだ。僕はその姿を見ると驚愕する他ない。なぜならその男の額には僕の持っている聖剣にも描かれているような立派な角が生えているだけでなく僕の姿に似ているのだ。僕はユーラムに声をかけると、ユナは警戒し武器を構えようとするが僕が制止させる。何故なら、僕自身が一番よく分かっているのだ。彼が誰なのか。その人物は間違いなく僕自身である。そしてその男は、もう一人の僕のことを僕達に向かって紹介し始める。それは、僕の前世の姿で、その男こそが初代魔王であり、今僕が戦っている相手、つまりは僕自身の姿そのものなのだ。

その話を聞くとアリラムとユーラムは僕以上に驚くとすぐに自分の主である僕に声をかける。だがその前に、もう一人の僕に聞き出さなければならないことが一つだけあった。なぜ自分がこの場所に来たのか、その理由を知りたかったからだ。

その問いに対してもう一人の僕はこう答える。自分は魔王になるためにこの世界に来たのだと。その言葉を聞いた僕達は衝撃を受けるともう一人の僕は笑いながら僕達に近づいてくる。そして、僕達に語りかけてきた。僕はこの世界を魔王として支配し、全ての種族を従える王になる為に、もう一人の僕は魔王として世界の全てを支配する神になると。そうして二人は激突し僕はこの場で戦闘に突入することになった。

もう一人の僕が僕の攻撃を防ぐ度に僕は確信する。確かに強い、僕と全く同じ力を持ち、僕が苦戦する程の力を秘めていた。だがそれだけで、僕の方が勝っていた。僕がこの世界で培った力と想いの全てを結集して僕は戦い続けると、遂には僕はもう一人の僕の攻撃を弾くことに成功する。僕はすぐに追撃を仕掛けようとしたがその時、もう一人の僕が僕に背を向けると僕の前から姿を消そうとするのであった。僕も追いかけて行きたいところではあったがアリラムとユラムに呼びかけると二人にすぐに戻ると言い残してから急いでアリラムの元へと向かうのである。

だがそこで、信じられないものを目撃してしまう。そこにはユムに襲いかかろうとする謎の集団がいることに気がつき僕は慌てて走り出す。僕が駆けつけると同時にユムが襲ってきた敵を倒す。そして僕はすぐさまアリラムの元へ向かおうとするがそこに一人の魔族が降りてくる。その人物を見て僕達は絶句するが僕達の前に降りたのは僕の母であるルミナスだと言うことに気がつく。その様子はまるで別人格のように豹変しており、僕達に攻撃を仕掛けようとしてきたので僕は即座に反応するとルミナスは僕とユムが知り合いであることを瞬時に見抜きその場から離れるとすぐにユラムに狙いを定めると再び襲いかかってくる。僕とユラムも応戦するが、僕はここで思い知る。この場において僕は役立たずだということに、ユラムに何かが起こらないように守りきることが僕の役目であることを理解すると僕とユムは協力してなんとか抑えつけることに成功したのであった。そこで僕達が目にしたのは僕の知らないユラムの姿であり、彼の実力に僕は驚愕した。

僕はこの場では役に立たないと判断して僕はユーラムに事情を話し、彼を連れて逃げるように指示を出すとアリラムとユラムを連れて城に戻り、そこで僕は意識を失うと僕は目を覚ますとそこは僕が使っているベッドの上であった。一体何が起こったのか分からずに僕は周囲を確認すると僕の側にいたのは僕と同じ顔をした青年とユーラムであった。そこで僕はこの人物が僕ではないことを理解する。そうするとこの人は僕の生まれ変わりで間違いないだろう。そう判断すると僕はユムの様子が気になり、アリラムと共に部屋を飛び出していった。そして僕は城の通路を歩いていたユラムに声を掛ける。「ユム様!!」と僕は大声で名前を呼ぶとその声に反応してこちらに振り向いたユムに駆け寄ると僕は抱きしめてしまった。

僕はしばらく抱き締めていると、すぐに我に返るとすぐに離してしまうと僕はユムの頭を優しく撫でるとすぐにユーラムの元に行こうとする。だが僕は、あることに気づきその場で足を止めると僕の手を握る。その行動に僕は首を傾げるがその手から僕の力が吸われていることに気づくとユラムは僕から魔力を吸い取り始めたのだと理解する。そして僕が何か言おうとしてもユムは何も言わなかった。それから僕はアリラムのいる部屋の前まで行くとノックをしようとした時、僕は中から話し声が聞こえると思わず動きを止めてしまう。そして僕は盗み聞きをするのは不謹慎だと思いながらも二人の会話に耳を傾けることにした。その会話の中で分かったのは僕達は既に勇者の力を持っておりその使い方や制御の仕方が分かっていたこと。そのせいか、僕達の能力値は凄まじい数値を叩き出し、そしてユラムとユーラムの二人でさえも凌駕していることがわかった。僕はそれを確認してから二人の元に行くとユムとアリラムは嬉しそうな顔を浮かべてからユムは僕に飛びつくと頬擦りをし始めると、アリラムがそれを微笑ましそうに見つめているとユラムはユーラムの方を振り向き、アリラムに手を差し出してからアリラムは笑顔で握手をする。

そしてユーラムは僕の方を見ると僕に抱きついて来て僕は少し困ってしまう。だが僕はその表情とは裏腹にユーラムとアリラムの関係が羨ましくもあり、それと同時にこれから先の未来に希望を感じているとユラムが急に手を叩いた。僕はそれを見ると僕は嫌な予感を覚えていると案の定ユラムが提案してくる。それは、今日は一緒に寝たいという内容だったのだ。

その言葉に僕は苦笑いすると僕はその提案を拒否するのだがユムはその表情から察してくれたようでそれ以上無理強いをしなかった。

そしてその夜、僕は一人で部屋にこもり、明日からの作戦を考える。それは僕達がこのままユムとユーラムと一緒に行動するかそれとも別々に行動するかのどちらかを決断しなければならないのは事実であり、だからこそ僕は悩んでいたのだ。そう考えている内に僕は眠りにつくことになる。その日見た夢は僕の子供の頃の記憶だった。それは、父である国王が病で倒れてしまい、それに動揺してしまった母は精神状態が崩れてしまい、父はそれに気づかないほど弱ってしまっていた。そのことで母の心は次第に不安定になりそして僕を恨むようになり僕のことを憎み始める。

しかしある日のこと僕の心の中には黒い渦が生まれて、そこからは魔物が生まれるようになってから僕は僕の中に存在する魔物が僕の意思を乗っ取り暴走し始めると、それに呼応するように僕の中にいる魔物が僕の体を取り込もうとし始めてしまい僕は僕でなくなりつつあった。だがその時だった。僕の体に雷が落ちたかと思うと僕は自分の意志で動けるようになり僕は僕の中の魔物が暴れる前に倒すと僕は急いで両親の元に戻ろうとする。しかし既に遅く、僕は自分の両親を手にかけたのだ。その時に僕は僕の中から聞こえてくる声の主の正体に気づく。

そして次の瞬間に目が覚める。そこで僕が目にしたのはユーラムとアリラムの姿であり、僕は自分の体を触ってみるが特に怪我などはしていないことに安堵する。そこで僕はユラムとアリラムの方をみると二人が眠っているのが分かると僕はそっと部屋を出ていくとユーラムの部屋に向かい扉を開ける。扉の向こうに広がっている光景に僕は大きく目を見開くことになる。そこには大量の血が広がっており、そしてその中央で座り込んでいるのは、ユーラムの肉体であった。そして僕は目の前で起きている現実を理解したくないあまりに思考を停止させてしまう。

その刹那、僕は背中に大きな衝撃を受け吹き飛ばされると、そのまま壁に叩きつけられ、床に落ちてしまう。その痛みに悲鳴をあげそうになるがなんとか堪えると、僕はユーラムの元へと近寄ろうとした時、背後の影から突然、僕とまったく同じ姿をした青年が現れると、僕はすぐに剣を構えて警戒するとその男も剣を構えるとお互いが睨み合い沈黙の時間が続く。だがそこで男が僕に語りかけてくる。僕は君であり君は僕なのだと、だがそこで、僕はこの男がもう一人の自分であると理解する。だが僕はそれでもまだ納得ができなかった為に質問をしてみることにした。

どうしてもう一人の自分が僕の目の前に現れたのかと。そう尋ねるとその答えは意外なものであり、この男は僕が倒したと思っていたもう一人の僕だということが判明したのであった。

僕の話を聞いたもう一人の僕はこう言った。魔王は倒され、僕がこの世界で生き残ることは許されない存在だと告げると僕のことを殺そうと襲ってくる。

だがもう一人の僕は攻撃する前に姿を消してしまった。その様子を確認した僕はユーラムの元に駆け寄ると彼は死んでいるとわかり愕然とした表情になる。僕は彼に謝り、僕達はこれからどうすればいいのだろうかと考えることにしたのであった。そこで、僕の頭に一人の少女の顔を思い浮かべてしまう。それは僕の恋人でもある、ミルルであった。彼女のことを考えるといても立っても居られなくなった僕は、急いでユーラムとアリラムをその場に残すと僕は城を抜け出し、ユーラムの城から飛び出すのであった。

「おい、起きろ」誰かの声がして俺はゆっくりと瞼を開く。そこには、金髪碧眼の少女と俺と同年代くらいの赤髪の少年がいた。二人は何故か武器を持っていることに気がつくとこの世界がどのようなところなのかなんとなくわかった気がしたからだ。

この世界は多分ゲームの世界だと思うがその証拠としてまず、俺には羽がありそれが普通の人間には無いということがわかるからだ。それともう一人はこの子達はおそらく魔族で、あの子はハーフエルフだろう。耳の先が少し長いことからそのことが分かる。とりあえず俺はその人達に話しかけてみた。「えーと、ここは何処ですか?」「ここは魔族の領域にある、我の居城の庭園だ。我の名前はルミリアと言う」そのルミアと言う女性はそう名乗った。ちなみに魔族というのは基本的に魔法が得意で魔導族とも呼ばれているそうだ。「そうか、俺は太郎だ。よろしく頼む。それよりも、俺達をここに連れてきたのはどういうつもりだ?」そう問いかけると、この子たちは魔族の国であるバルバドの勇者召喚に巻き込まれてしまったこと、そしてこの世界のことについて説明を受けることになった。

この世界は【アトラシア】と呼ばれておりこの世界には現在三つの種族が共存しているようだ。一つ目はこのルミナスと名乗る女騎士と見た目が完全に人間の男性としか見えない男の人が魔族と呼ばれる種族らしい。

その魔族は魔法の扱いに長けている。また人よりも力も強く体力なども上回っており戦闘面に関してはトップレベルの強さを誇っているようだ。ただ弱点もありそれは光に対して弱く太陽光を浴び続けると身体機能が鈍くなり弱体化してしまうということがわかってきたのだと。そして二つ目の種族がこの子のお兄さんにあたる種族であり、見た目は完全に人と変わりがないように見えるが身体能力は凄まじく高いと、そして最後の三番目の種族は亜人の部類に分けられる種族で、彼らは主に竜や鳥といった姿形をした獣人でありその数は1000人程度しか存在しないのだという。彼らについては、翼を持ち空を自由に飛びまわることと、魔力を扱うことが出来る。だがその反面、彼らは太陽を長時間浴びると魔力が枯渇してしまうらしく太陽の光があまり届かない場所で暮らしていると。そのおかげで彼らが絶滅しないで済むのだという。まあこんなところだろうか、俺はそんな話を真剣に聞いていたのだが隣にいたユーラムと呼ばれていた男の子がいきなり立ち上がりどこかに行こうとしていた。

それに気づいた俺はユーラムを止めようとするがその前に俺の体が勝手に動き出し、ユーラムを後ろから抱き締めたのだ。それに驚くと今度はその光景に女の子達が驚きの声をあげたのがわかる。それからその抱き締めている人物に文句を言おうとした時だった。『ふっ、やはり僕の予想は正しかったみたいだな』とユーラムと呼ばれた子が嬉しそうにしているのを不思議に思っていると、その瞬間、頭の中で声が響き渡り始めた。

それは声のようなものではなくまるで映像のようなものが見え始めたかと思うとそこには見覚えのある景色が見えた。それは間違いなく前世の世界の風景であり、それを見ているうちに次第に頭が混乱していくのが分かった。なぜなら僕は死んだはずだったのになぜこうして生きているのか?いや違うこれは僕の意識があるだけで僕の肉体はこの二人のものなのだと。

僕はそう考えていくとだんだんとこの状況を理解することが出来始めてきてその次に思い出したのが僕はこの子達の両親を殺した張本人であること、さらにいえば僕の体は僕の意思とは関係なく行動していた。そして、僕は僕自身の体に戻ろうとすると自分の意思で体を動かせるようになる。そこで僕が目にしたのは僕の肉体だった。そこで僕の意識は僕の肉体へと入り込むことに成功したのだ。そこでようやく僕の状況を把握することに成功する。僕は今ユーラムの肉体にいるのだということを、そして僕の魂がユーラムと一つに融合してしまい、ユーラムの中に存在する全ての情報を共有することとなった。そして僕の中にいたユーラムが消え去るとそこで僕の体からもう一人の僕が現れた。そこで僕がこの体からユーラムの体に戻ることは不可能でありユーラムが僕の体の中に入ってしまえば僕の命が危うくなることも理解した。僕はその事実を受け入れるしかないと思ったので大人しく自分の中に居ることにするしかなかった。そのあとで僕はユーラムと一緒に旅を始めることとなる。

その道中でユーラムは自分の生い立ちを語り始めるがそれは僕にとっては驚くべき内容だった。ユーラムは本当はこの世界で産み落とされた存在ではなく異世界からの転生者なのだという。つまりユーラムは僕の生まれ代わりということになるわけだが、僕自身は特に気にしていなかった。というのも元々僕はそういうのにはあまり関心が無かったからだろう。なので特に何も思うことは無かったが僕が転生してきたこの世界は、ゲームと似たような感じの世界ではあった。そしてこの世界に存在している種族が人間、ドワーフ、小人種の三種だけでありそのどれもが同じくらいの人口がいるということだ。その種族にはそれぞれの固有能力が存在していて、その種族ごとに固有の職業に就くことができるようになっていた。そして僕は人間であるために当然、人間が就けるような職は限られている。だから僕はその職につければよかった。しかしユーラムの話を聞くと僕の知らない情報が手に入り、それによって自分のやりたい仕事について調べてみることにしたのだ。その結果は意外なものであり僕にとって天職であることが判明したのだった。そこで僕がユーラムに相談すると彼は僕の夢を肯定してくれ、そのために協力してくれるとまでいってくれたのだ。僕はユーラムに感謝すると、彼もまた何か悩みを抱えていた様子だったので、相談に乗ってみようかと思う。だけどまずは、自分の体を鍛え直すところから始めようと決意した。

まずはユームにお願いをして訓練場を借りることにした。僕がユーラムの身体を借りてユーラムの振りをしながら、僕はユームに稽古をつけてもらうことにし、僕の身体にはもう慣れたので多少の動きならば難無く行うことができたが実戦になるとやはり厳しいものがあると感じたので少しでも動きやすいようにしておいたほうがいいだろうと、判断した。そのために僕は剣術の基礎を教えてくれることになったユーレムの頼みを受けることになり僕はその日から必死になって剣の扱いを学ぶことにした。

それからしばらくしてある程度までは扱えるようにもなっていたため、いよいよ実践訓練を始めていくことにしたのだが流石に生身のままで戦うわけにはいかないので肉体の強化を行うべく準備を整えたのちに早速肉体強化を行い、その状態での戦闘を開始することにしたのだ。

そしてユーラムとの初めての実戦形式の模擬戦が始まり僕は全力を出して挑んだつもりだったけどあっけなく敗北してしまう結果となってしまう。それも一撃も受けることなく負けてしまったのでその差を実感することになってしまったのである。

僕は悔しさのあまり泣き出してしまう。ユーラムはその姿を見て慌てふためき、僕の頭を撫でてくる。僕はそれが余計に情けないと思いユーラムに対して文句を言い出したがそれに対してユーラムは僕を励ますかのように僕を優しく抱きしめてくれて、その言葉に感動した僕はもっと強くなることを決意したのであった。そこで僕は、ユーラムからある提案を受けるとその内容を聞いて、僕はユーラムとの訓練を続けることを決意するのであった。そして数日後のある日のことユーラとの訓練を終えた後にいつもの場所にユーラムが待っていた。ユーラムの表情は暗く沈んでおり一体どうしたのだろうかと心配していると、彼は重い口を開いた。

そして、僕は彼の口から信じられない話を聞かされるのだった。それは、魔族が人間によって襲撃を受けたというものだった。しかも人間達の軍隊を率いてきたのは魔族の王である魔王でありそれを率いてきたのがルミナスの妹でもある、アリア=スフィリアだと言うのだ。

そんな馬鹿なと思ってしまい僕はユーラムを睨むと、その目は真実だと言っているのだとわかり愕然としてしまう。何故なら魔王とは本来最強の存在であるからだ。それがたった一人の男の手によって壊滅させられたという話は信じがたいものでもあった。だがユーラムがそんな嘘をつくはずもなく、彼が言うには既に多くの魔族が殺されておりその中には父上である国王様も含まれているということらしい。それにその魔族を統率していたのがルミアであるというのだ。そしてユーラスは僕を護りながら、魔族の国に足を踏み入れてしまった。その時だった。僕は突如、頭に痛みを感じてしまう。そのせいか意識を失いかけてしまいその場に倒れこんで倒れ込んでしまう。そこで意識を失う直前、誰かの視線を感じた気がする。

目を覚ますと、ユーラムの姿が視界に映った。僕はすぐに自分が何をしているのか思い出すことに成功し慌ててその場から離れるとユーラムは驚いた顔をしていたが僕の様子がおかしかったことにも気づいているようで、そのことについて聞かれると誤魔化すことにしようと思っていたがユーラムは鋭い眼差しで僕の顔を見てくるとそのまま僕に問いかけた。

「ユーラムさん、もしかして僕の身に異変があったんじゃ?」と聞くとユーラムは首を縦に振ったので僕は思わず頭を抱えてしまう。そしてユーラムは僕に事情を聞こうとしてきたがそれは無理だった。なぜならその話をするためにはユーラムの過去についても語らなければならなかったので、それはできない。そう思い僕はユーラムに謝っておくが、彼は少し悲しげな顔を見せるだけでそれ以上追求することはなかった。

そして僕は、ユームから言われた通りに肉体を限界以上に鍛えるべく、その方法について聞いてみることにした。肉体を改造するという方法は確かに有効なのだがその肉体がついていけなければ、結局はすぐに壊れることになってしまうと忠告された。なのでその肉体を改造するために必要なものを手に入れるためにはどうしても金が必要なので冒険者として依頼をこなしていくこととなった。

そこで僕はユームルと共に街に出てギルドに依頼を受けに行くと、そこにはすでに先客がおり、僕はその姿を見た時ユーラムに小声で確認すると間違いなく、あの時の人物であり僕の記憶にある人だということが分かる。そこでユームが受付の女性に話しかけるとその女性はユーラムを見て驚いていたが直ぐに持ち直しユーラムに質問をぶつけていた。ユーラムはそれに応えると僕の方に近づいてきて何があったのかを説明し始めた。僕はそれに黙って耳を傾けていたがその内容を聞けば驚くしかできなかった。ユーラムは実は勇者であり、この国にやってきた目的については妹のアリアが連れてきた、というものだ。そして僕はそこでユーラムに質問をする。

ユーラがこの国にきた目的はなんなのか? と、ユーラムは僕をじっと見つめてから語り出す。ユーラムは、この世界において魔族は迫害されてきており、それ故に、魔族の住む国は人間たちによって潰されてしまったのだという。僕はユーラムのその発言を聞いて驚きを隠せなかった。まさかユーラムの言っている事が本当だとは思ってなかったからだ。

なぜならユーラムの言っていた内容はあまりにも衝撃的なことだったからなのだ。この世界で、僕達は人間と他の種族は平和に暮らしていたはずだったのだから、その世界が一変しているという事実を突きつけられた気分になったので、ユーラムは本当にそのことを言っているのかと何度も聞き返したくなるほど僕は動揺していた。だけど僕はその事実を受け入れることにした。ここで現実から逃避しても意味がないと判断したのだ。そして僕はこれからの自分の身の振り方を考えなくてはならなかった。そして、まずは情報を集めることにしたのだがそこでユーラムがある場所に連れて行ってくれることになった。そこは僕が想像もしていなかった場所だった。その場所こそは【ダンジョン】と呼ばれる場所で、その中はとても広く魔物が沢山生息しているのだというのだ。そして僕はユーラムのその情報を聞くとこの国の周辺に存在するとされるダンジョンの情報を調べることにしたのである。しかし、ユームがいうにはその情報は出回っていないらしくて調べても出てこない可能性が高いという。そこで僕はユーラムに頼んでその情報を貰えないかお願いしてみることにしたのである。

ユームに案内されるがままに僕はそのダンジョンへと足を運んでいた。

しかしそこにたどり着いた瞬間にユーラムは急に立ち止まる。そしてユーラムが警戒するように、辺りを警戒し始めていて何かがこちらに向かってくるのに気がつくと僕は武器を構えたが何も起きず、ユーラムは何かに気づいたように声を上げた。僕はその反応を見ると僕自身も何かが迫ってきているのに気づいてそちらの方向を見る、だが何も見えなかったのだがユーマの声が響き渡ってくると、目の前で光が弾け飛んだのだ。

そこでようやく僕も気づくことになるのだがそこには一人の女性がいた。それも見た感じかなりの美形の人で彼女は笑みを浮かべながらこちらに向けて微笑みかけてくると僕の前に姿を現したのである。僕はその姿を確認するとその女性の正体がわかったため呆れ果ててしまうと溜め息混じりに声をかけたのだ。そう彼女こそが魔王であるアリアの妹でもあり、勇者の仲間でもあった人物であるアリシアという人物であり彼女の実力はこの世界のトップクラスだと言われている程の凄腕の人物であり更には勇者であるユーラムとは幼馴染みの関係にあるのである。

だからこそユームは彼女に会わせることに戸惑うような仕草を見せていたわけで僕としても複雑な気持ちではあったけど彼女のおかげで僕の目的のために役に立つかもしれないと考えたので素直に従うことにした。

それから僕は彼女とユームから色々と話を聞くとユーラはどうやら既に、この国の王様が殺されてしまっている事を知っている様子で、その理由を尋ねてみるとユームが話し始めた内容には驚かされるばかりで、僕達が知らない情報が山程出てきたのだ。その情報の中にはユーマが元々、魔族だったことも含まれているが、僕はそこまでは知らなかったので驚きつつもユーラにどうしてそんな大事な事を今まで教えてくれなかったのかと責めるように問いかけると、その答えは返ってこなかったのである。僕はユーラムをじっと見ると目を逸らすがそれでもユーマは口を割ろうとしなかったのである。僕は仕方なくユームが喋るまで待つことにするがその日は遂に話すことは無かった。そして僕は諦めて明日もう一度聞くことに決めた。僕は宿に帰る前に、僕はアリアに会いに行き、そこで彼女が今、何処にいて何をしているのかを教えてもらった。そこで僕はユームの話を聞いてからずっと引っかかっていたことが解消することができた。そう、アリアは魔王として君臨することを決めておりその力を蓄えるためにユーレムに修行をつけてもらっているのだと言う。つまりアリアは今もなお強くなっているのだ、それも尋常じゃないスピードでもってだ。僕はそれに驚いてしまい、アリアがそれだけの力をつければ間違いなく最強の存在になることができるだろうと確信を抱くことになったのだった。

僕が宿屋に帰ってくるとユームラが待ち構えており僕を見つけるなり話しかけてきてくれていた。どうしたんだろうと思って僕はユーラに近づくと、いきなり頭を撫でられたので少し驚いたけどユーラはそのまま優しい笑顔を見せてくれるので僕は恥ずかしくなり頬が赤く染まるのを感じたけど嫌ではなかった。それでユーラが言うにはまだ時間があるので僕に稽古をつけるので訓練場に来てほしいとのことなので僕は了承しユーラの後をついていきながらその部屋へと向かう。ユーマはそんな僕らのことを羨ましそうに見つめていたが僕は気にせずにユーラムに連れられてその部屋にたどり着く。そして中に案内されると、僕はそこで初めてこの施設がどれだけの強度を持っているかを思い知ることとなる。なぜなら部屋の中央にユーマとユミン、それにユートとユーナまで集まっており、しかもその三人以外の人間も数人その場にいたからである。ユーラムは、それを確認すると同時にその場から離れると、僕に視線を送ってきており僕はユームの方を向いて確認を取るが、首を横に振って否定されてしまう。ユームがここにいないのであれば僕がやるしかないと決意を固めた。そしてそのタイミングで僕の前に現れた一人の人物によって、それは不可能となる。それは先ほどのアリシアと名乗る女性の人だった。僕がその名前に心当たりがあったのでその名を呟くようにして口に出してしまいユーラムがそれを見逃すはずもなく僕は慌てて誤魔化そうとするのだがそれは無意味でしかなくユーラと他の人達はその人物が誰なのか分かっていなかったようだがアリシアだけはその反応に驚きを隠しきれずにいるのを見てユーラ達を疑ってしまった。だけどすぐにアリシアに説得されて信じてくれたようでとりあえず話をすることが決まった。そこで僕はユームに問いかけるとユーラに何を伝えたいのかを聞き出してくれたのだ。ユーラムに聞いたユーラの目的は僕の両親を探すために冒険者になることだったというのだ。僕もそれについては協力するつもりなのでそう告げると、そこで、僕達のところに一人の老人が現れ僕達は彼に自己紹介をすると、その人物は僕が何者かに連れ去られる場面を目撃していると言い出した。僕はその言葉に耳を傾けて話を聞くことにした。そしてその人は僕の名前を知っていて僕は驚愕するがその話を最後まで聞くとユートとユーナの母親だということが判明する。そして僕はその人の元に向かうことを決意する。

しかしそこで僕はある事実に気づいてしまうことになる。その女性は僕と血の繋がった家族だというが、ユーマとも血の繋がりのある人物であり僕から見れば姉に当たる人物だということで僕はその事に驚きを隠せなかったのだった。そこで僕はその女性が僕と血縁関係にあがことを証明するために僕の本当の親のことを聞かされると僕は驚きを隠すことはできなかったのだった。僕を育てていた人間は確かにいたが僕を放置しており、その人間がどうなったかも知らないのである。そこで僕は、ユームが僕に何かを言って欲しそうな顔をしていることに気づくとユーラムとアリシアはユームをジッと見始める。ユームはそれに耐えられなかったのか、仕方がなく自分が知っている僕の生い立ちを語ってくれることになった。そこで、僕に待ち受けていたことをユーラとユートが知りユートはショックを受けて涙目になっていたが僕はその事で泣くつもりはなかったのだ。しかしそこでユーヤとユーラに慰められてしまい僕が二人を抱きしめてあげたら二人が泣き始めてしまったのだ。そこで僕に寄りかかってきたのがユートだったので僕が受け止めてあげようとすると今度はユーラとユーマまでも僕にしがみついてきたので結局全員抱き締める事になってしまう。しかしそれが嬉しかったのか皆が僕を褒めてくれてユームがお祝いしてくれることになり何故か僕は、僕がこの国に来た時に着ていたあの服を着せられていてその状態で祝われてしまうと僕は苦笑いを浮かべることしかできなかったのである。

ユーラムは僕の服のセンスについて話していたが、僕としてはそんなに悪い物ではないと思っていたのだがその言葉を素直に伝えることはせず僕は黙って話を聞いていたのであった。それから僕達はお互いにこれからも頑張っていこうという話をしてこの日の宴は終わりを迎える。

それから、ユームに僕は、僕達がこの国に来ている間だけでも一緒に暮らさないかと言われてしまうが僕はその誘いを断ったのである。その理由はユーラムとアリシアが、その申し出を僕に伝えていなかったらしく僕と、ユミルが暮らす宿で一緒に住んでもいいと言ってくれたが僕はその事に関してはユーマが許さなかったのでユーラムの提案を受けることができなかった。しかし僕はその代わりにユーラムに一つだけ質問をしたのだ。僕達がここを出る前にまた会う機会があればその時は是非会わせてほしいというとユーラムはそれを了承してくれてユーラムとユームとユミナ、それにユーミが僕と一緒に住むことになると約束してもらってから僕は宿に戻り、今日はこの国を出ていくことを皆に伝えたのだった。そして次の日には僕とユーマとユームは旅を再開することにする。ユートとユーナはアリシアに預けることになっているため、僕は、ユーミを連れて行くことにしたのである。ユートは僕に同行することに渋っていたが僕が頼み込むと、最終的には納得してくれた。それから僕はユームを連れて、この街にある転移陣を使って、王都にユームとユーミとユームとユーナを届けて貰うことにして僕は、ユラムと一緒に街を出る。僕は、ユラムにお願いをし、ユムと二人で旅立つことを決めていたのでユムは少し嫌な顔をしながら僕を見るがユーマが僕に何かを話したいことがあるからといってくれたので僕はそれに便乗させてもらうことにした。そして僕とユーラムは王城に行くとその前にまず僕が先に城の外に出ると門番をしていた兵士達がユームの存在を確認してくるので、ユームは僕の従魔であることを話してくれた。そうしないと僕とユームの関係を説明するときに困ることになるので、その点は助かったと思う。僕とユームはユーラムの案内で王様に挨拶をしに行き、それからユームースとの会話を終わらせてから僕達はユームの転移能力を利用して移動するとそこには僕達の目的地の【ユム=アーガイル】がいて彼女はユームの姿を確認するなり飛びついてくるとユーラムが引き剥がすと僕に抱きつくのでユームが少し怒って、彼女を連れ去っていってしまい残された僕達にはユーミンだけが残ったのだ。ユーラムと僕は彼女には申し訳ないことをしてしまったと思ったが、僕達は、それからユーマを預かる場所へと向かいそこに泊まることにする。

そしてその翌日からユームは、この国でユーマと共に暮らすことになる。そして、その日、僕は宿に戻るなり、ユーノに話しかけると、ユーマとユーキはもう眠っていたようで僕に話しかけられて驚いていた。僕は二人に寝床を用意した事を知らせて僕はユーノとユーラの3人で眠りにつくのだった。

僕は翌朝、ユーラに起こされるとそのまま朝食の準備に取り掛かる。

僕は昨夜のうちに仕込みを終えておりユーラムも既に手伝ってくれていたのだ。

「さすがね。私が見込んだ通りだわ」

ユーラにそんな風に言われながら僕は照れながらも準備を進めていく。

僕とユーラで協力して調理を進め、その手伝いをユームに任せていたのだ。

僕は、ユーラと料理をする事が出来て幸せを感じていた。

こんな時が来るなんて思いもしていなかったため僕は、その時間を大切にしようと決めていた。

ただユーマは、僕達にあまり関わろうとはしなかったので、僕がユーマに構い続けていたのだがその度にユーラに怒られる羽目になる。

そして僕はそんなやり取りが心地良く感じながらユーマに話しかける。

「そういえば君はいつまでユーミンのそばに居るつもりなんだ?」

僕はそう言うと、ユーマの返答を待ち、それを聞き出そうとしていた。

すると、ユーマの口から予想もしないような発言が発せられる。

『僕は、ユーラムさんやユーラさん、それにユーナもユーナの兄ちゃんも嫌いじゃないから、このままずっと居てもいいかなって思ってたんだ』

その言葉に僕は驚いた。なぜならユーマからそんな台詞が聞けると思わなかったからである。だがそれは僕にとって都合の良い考えであり僕はまだユーラの事を諦めた訳ではないのだから、それを鵜呑みにするわけにもいかないのである。僕はそのことを口に出して確認するかのようにユーマのことを見つめて問いただした。しかしそれに対して返ってきたのは否定の言葉だった。

『うん。確かにユーラさんのことは、とても好きだよ。ユーラはいつも僕の味方をしてくれたし。それに僕が辛いときは優しく慰めてくれたりもしてくれたし。でも、僕はやっぱり兄様が一番好きだよ。ユーラムさんとかよりも、ユーラの気持ちより僕は兄様への愛情の方が深いと思っているんだ。それに、ユーマだって言ってるんだよ?ユーラが、一番大切だって。僕もそれと同じだよ。僕はユーマのことが大好きだけど。それとユーマのユーナに対する感情とはちょっと違うかな?まあ。僕がユーマを好きで、その好きの中にはユーナに対する感情も含まれているけど、僕の中で一番なのはユーラムだし、ユーラムの中でユートの存在がどれくらいの大きさなのかまでは僕は知らないし、それに僕のことを助けてくれるかどうかってのはまた別の問題だと思うから。僕は別にユーラのことを信じていないわけじゃ無いしむしろ信じてるんだけど。それでも僕はユーラに対してそこまで執着はしていないっていうかね?』

ユーマは僕をチラッと見ながらそう言ってくると僕は嬉しさで舞い上がりそうになった。

そしてユーマが僕をそんな目で見て来てくれていたことに感謝した。

しかし同時に僕の心の中に浮かび上がってきた不安感も強くなってしまったのだった。

僕は、ユーマの言葉を聞いてユーマとユームとの関係について詳しく聞くことにする。

「えっと、ユーマーマのことはユーヤも気に入っているのは分かったよ?それでー、その、ユーマから見てもユートは魅力的に見えたのか知りたくて、どうだろう?ユートはユーゴと比べてどうかなぁって思ったりして、ユーマはユーラムさんとも面識があるみたいでしょ?」

ユーラの質問にユーマは首を横に振るうとこう答えたのである。

その様子に僕がユーマに尋ねると意外な答えが帰ってきた。

僕は思わず固まってしまいその事実が頭で理解できなかったのだ。

しかし僕はすぐに現実に引き戻されて思考回路を回復させて必死に状況を理解しようと努める。そして、僕はユーラに視線を向けるがユーラも困惑している表情を浮かべているのだ。

(一体どういう事だ?)

僕は、そんな疑問が頭から離れなかったのだがそこでふとユーラがあることを思い出す。

それはユーナと初めて対面した際に、ユームが、この国に居る理由を僕に尋ねて来たときのことだった。その時の会話の流れで僕達は、お互いに隠し事をしないという条件のもとで会話をすることになっていてその内容の中にユーナについての話が含まれていたのである。つまりその時の内容が今回の事に当てはまるのではないかと僕は考えたためもう一度聞き直すことにしてユーマから話を聞かせてもらったのである。するとユーマの口から出てきた内容は僕達が想像していなかったもので僕はその事で動揺せずにはいられなかったのだった。僕達が、その言葉の意味を知りたがっているのを感じ取ったのだろうかユーラも僕同様に驚いていたがすぐにその質問について考えることを中断させると僕に話しかけてきた。僕はその問いかけに反応することができないでいたのだ。その事に関してユーラムから説明を受けてようやく事態を飲み込むことができたのであった。僕達はその後、僕がユーマとユマに頼んで、ユムに会わせてもらうように頼み、ユムと会うことになった。

それから僕達はユムに会うことになるのだがその時にユーマはユムに事情を説明して欲しいと言われてしまったのだ。

僕とユーラが困った顔をしていたがユーマは、気にすることなくユーラムに僕達を連れてくるように命じたのである。そのおかげで僕達は無事にユーラムと合流すると、そのままユムの元に向かうことにしたのだった。

僕は、ユーラムにユームと話すための案内をしてもらいユーラムと別れる事になる。そしてその足でユームの待つ場所に向かった。ユームと合流した僕とユーラとユマの3人で一緒にユームに会いに行ったのである。ユーラムは、ユームの居場所は教えてくれると言ってくれたので案内をしてもらうために付いていくことにしたのだ。それからしばらく歩いていると僕はユームの姿を確認することになる。ユーラの話では、ユラムの傍にいると言っていたが、どこにも姿が見当たらないのだ。

僕は少しだけ違和感を感じたのだがその事を特に追及することもなく、ユーラムの先導でその場所へと案内してもらいユームの元へとたどり着いたのである。

そして僕とユーマとユマはユムとユーラが居ない場所でユーラムから説明を受ける事になった。その説明を受けた僕達の顔はユームのことでも、ユーラムのことについてでもなく僕達の今後について話された時のことだった。

「まず先に確認しておきたいのですが、貴方達も知っていると思いますが今ユーナには二つの選択肢が与えられています。ユーナに選ばせてあげるのかそれともユーラの意思を継ぐというのならば私はそれを止めることはできないでしょう。そしてもしユーラのように自分の道を見つけることができなくても私の力を使えば何とかできるかもしれません」「待ってください、それでは、私が死ぬような選択は、もう選ぶことができないということですか?」

「そういうことです、それに、あなた方が望めば元の世界に戻れますからユーナはどちらを選んでも良いんですよ。ただ一つ忠告するなら、その決断をするときには私にユーキちゃんの力を貸してもらえるように相談して欲しいです。もちろん、ユーラの意思を無駄にしてはいけませんよ? ユーラムの事は、あの子もきっと喜んでいるはずなので。でも、そうですね、私の力で助けられるかどうかは分かりませんけど、試せるだけはやってみましょう。もしそれで上手くいかなくとも貴方達の責任じゃありませんよ」

ユーマの話を聞いたユート達は、それぞれ思うところがありながらも、ユーマの提案を受け入れることを決めるのだった。

僕達はユーナの選択を待つ間にそれぞれ準備を整える事にしたのであった。

ただその間ユーナと話す時間はほとんど無かったのである。そのため僕は焦っていたのだがユーナとの時間は突然訪れることになった。そして僕はユーラと共に行動することにした。というのも、僕がユーマと話し合った結果、その提案を受け入れ、それを実現するために動くことにしたからである。僕達は二人で行動するのが普通になりつつあるが今回ユーナの様子がおかしいのは一目見て分かったのだ。なぜならその証拠として、僕のことをチラリと見た後に目を逸らしてしまうし、顔色をうかがいながら喋ってくるのだ。しかしそれも仕方がないことだと割り切って僕は、ユーナと過ごす時間を堪能することにする。しかし僕が話しかけてもユーラが居ないとユーナは、なかなか答えてくれない。その事に僕はユートに対しての怒りを覚えたりしていたもののユーナと二人きりになれる機会が中々来ないため、その事に対する不満をぶつける事ができない状況でもあったのだ。そんな状態で、僕がどうにかできないかと考えていたときにアリシアからのメッセージが頭に入ってくる。その内容は、ユーナと一緒に僕に着いてきてほしいと言うものであったのだ。僕はそれを迷わず承諾してユーラにお願いして、僕が一人でユーナを連れ出すとユーナの返事を聞くことなく抱きかかえて連れ出し始めたのである。そして僕はユーラのこともユームのことも含めて何もかも忘れて一人になった気分でユーマの指定した場所にまでユーナを運ぶ事にしたのである。しかし、その事がユーナとの距離を大きく縮めることに繋がったのかもしれないがこの時の僕はユーマのことを最優先にするべきだと思ったため、ユーナが僕に対してどのように考えているのか、ユーラがいなくなったことの影響などを全く考慮することができなかったのであった。

僕が、ユーナと出会ってから一ヶ月程が経過した頃のことである。

僕達がその日もいつも通り過ごしていた。そんなある日の夕方に事件は起こったのである。

ユーナが僕を裏切ったのだ。ユーナを僕から遠ざけるために僕はわざと嫌われるような行為をとったりユーラに助けを求めたり、時にはユムに協力して貰うこともあった。だがその全てが裏目に出てしまい僕の努力は全て無になってしまったのだ。

そして僕の目の前で僕の大切な存在であるユーラはユーナによって殺されてしまった。その光景を見た僕は何も出来ずに立ち尽くすことしかできなかった。そんな僕に、ユーナは何を言ったと思う?『貴方は私のことを大切に思ってくれるけど、私はユーヤよりも兄様のことが大好き。兄様の事を愛している。だからね?私を殺して?ユーヤ』その言葉を聞いた僕の心は一瞬で冷たくなったように思えた。僕の事を好きになって欲しかったはずの女の子に殺されたという事実と僕の中でユーナの占めていた存在の大きさを僕は思い知らされたのだった。

僕が死んだように意識を失う直前、僕と入れ替わるように僕の身体を使いユーナを殺すユームの表情が見えたのである。その事に、僕は安心してしまったのだ。

これでようやく、僕は楽になれたのだと思いながら。

僕はユーゴの姿を見て驚き固まってしまっていた。その反応は僕が予想していないモノでありどうすることもできなかったのだ。

(なぜ、ここにユーゴがいるんだ?)

僕が困惑している間にもユーラとユームがユーゴを出迎えている姿が確認できる。

(まさかとは思うが僕が眠っている隙をついてユームに何かを仕掛けて洗脳を済ませてしまったのか?そんなことは、絶対にありえない、そんな事は不可能だし、何よりユームは魔族と関わりを持たないためにこの国を離れていったはずだ。ユーナも、僕が知らない間に何かをしていた可能性がある)

僕は頭を回転させながらユーラと会話をしている様子を観察していると、ふと、ユーマの言葉を思い出して、ユーナに話しかけると僕が思っていた言葉と違う言葉を口にしてきた。その言葉を聞いて僕は少し動揺したが何とか落ち着くと、すぐにユームに向かって攻撃を仕掛けようとした。するとその時、ユートとユーラムとユマに、ユムの三人が揃って姿を現したのだった。

僕はユムの姿を初めてみたがその姿は以前と変わっており瞳は赤くなっているが肌色は白くなり病的なまでに血色がなくなっていたのだ。

その事についてユートは、気にする必要はないと言い放った。その理由については僕とユマがユーラの話をしてくれた時にユームの事を気にかけないと言ったからである。そしてそれはユムにとっても好都合だったためにユーマが話を進めた。僕達はユーラムと別れるとユムに案内されるままに王都に向かった。そしてその道中で僕はユートの様子が明らかに変わっていることに気が付いたのである。まるでユーマのような雰囲気になっており、どこかで見たことがあると僕は感じていたのだがそこで思い出すことになる。僕が魔王となったときと同じ状態になっていたのだ。僕はそんな彼の姿を見て不安を覚えずにはいられなかった。

そんなことを考えていると、いつの間にか王都に到着していた。ユーマとユートはそのまま僕達の前を歩いていく。僕は、その様子を眺めながらその後ろを追いかけていく。ユーナの傍にユーラがいなかったからなのか僕も特に疑問を持つことなく、二人の後ろをついていくことに集中し始めるのだった。それからしばらくしてユムが足を止める。

「着きました、ここが、貴方達を案内したかった場所です」

僕はその言葉を聞くと周囲を観察して見ることにする。

そして僕はその街並みを見て、驚いたのだ。僕が住んでいた街とは違い発展が進んでいたからだ。僕がいた世界で言う所の東京の街に似ていると感じたのだった。そんな景色に感動しながら歩いているとユラが声をかけてきた。僕はユラムの声を聞き逃さないように集中している。ユラムは僕達に向けて説明を始めようとすると僕達は立ち止まっているのが目に入る。その事に少し驚いていると突然ユラムは口を開く。

「そういえばまだ貴方達の名を名乗っていませんでしたよね?」

僕はその質問に対して何も言うことができずに固まることしか出来なかった。そしてその言葉を聞いていた他の人達の反応も同じであったのだ。その様子を見てから、ユーカムが自己紹介を始める。

そして僕はユーナの口からその名前が出てきた瞬間、息を飲んでしまった。ユーナは今なんていったのだろうか、確かに彼女はユーラの名前を出したのだ。それに僕のことをお姉ちゃんと呼んでいたユーナは今どこへ行ってしまったというのだ、僕の思考が停止してしまって動こうとしない僕を置いてけぼりにして話が進んでいきそうになるところでユーゴが立ち止まると全員に声をかけた。その言葉で、我に返った僕は改めてユートの顔を見てしまう。しかし先ほどとは違って顔つきはユーゴそのものに見えていたのだった。

「なぁ、ユーヤ」

その声で僕は思わず肩を上げてしまう。なぜならユーマではなく完全にユートの顔をして喋ってきたからである。そしてユーゴはその事に構わず、ユーマに話しかける。そしてユーマに対して自分が何をしたかを尋ねるのであった。

そして僕はそんなユートの様子に驚くしかなかった。僕には理解ができない光景が目の前で繰り広げられていたのだから。そんな僕を置き去りにして話は進んでいくのである。そしてその言葉を聞いて僕は納得するしかないのだと思わされてしまったのだった。しかし僕はまだ認めてはいないが、この状況を受け入れる以外に道はないと思いながらも僕は、ユートの話に耳を傾けることにしたのである。しかし、僕が思った以上に状況は最悪だった。

僕達が案内されたのは王城であったのだ。その事に僕とユーマを除く皆が驚愕し、僕は頭が真っ白になりそうになったがどうにか冷静さを取り戻すことができた。

僕はその事が信じられなかったのだがユーナやユーゴにユーラムとユーゴが一緒に行動していたこともあり僕達が逃げ出さないようにするための人質として連れて行かれたという事が分かり怒りを覚えたのだ。僕はすぐにユーナにユーゴから離れてもらうように説得を試みた。だがしかしユーゴが僕の前に出てきてユーラのことを僕に任せてほしいと言ってきた。僕は、僕ではユーマの力に対抗することができないと思ってしまう。なぜなら僕は一度敗北を喫している上にユームに命を奪われるような体験をしたばかりなのだ。しかしそんな状況であっても僕は諦めることなどできなかったのだ。ユーゴが僕のために力になってくれようとしていることもわかっていたが僕はそれでもユーラと一緒に居ると決めたのである。そんな気持ちを伝えるとユーコも僕の隣に並んでくれた。そして二人でユーマに立ち向かっていこうと決めてから僕はユーラの手を握ると二人で王城内を歩くことにしたのだ。ユーマとすれ違った際に、ユートはユーナと手を繋いでいたが、僕はその光景を見ることはできなかった。僕はそんなユーマに対しての嫉妬を抑えることだけで必死になっていたのである。

そしてユーナは僕の方を見ると笑顔で大丈夫だと微笑んでくれるとユーマが向かおうとしていた方向へとユーラと共に歩いて行ったのだった。

それから僕は、ユーナ達の姿が見えなくなると僕の前にユーゴが現れる。ユーマに対して僕の身体を使って何かをし始めていたがユーゴの行動に疑問を抱くこともなく、僕は、ユーマとユーナが離れていった事で心に余裕ができ始めてしまったのである。その事に気が付いてから僕はユートを問い詰めることを決意した。僕はすぐにユートを責め立てようとしたが、その瞬間にユーゴから魔法が放たれ僕は意識を失ってしまうことになった。だが、その時の僕はなぜ意識が飛んでいたのかを全く考えることもできていなかったのであった。

僕の意識を取り戻したのはかなり後のことだった。そして意識を取り戻してもなお僕は動けないままでいたのである。ユームはユーマに指示を出しているようでユーマと会話をしているユームの表情が僕の位置からは確認できないので何を話し合っているのかさっぱり分からなかったがそんな事を気にせずに僕がどうしようもないほどの焦燥感に襲われているのは、ユーナに僕のせいでユーマとユーナが離れていくのを見守る事しか出来なかったという事実があったからだ。僕はユーナのことを守ることができなかったのだから。僕はユーナが連れていかれた部屋の前でずっと待ち続けていたのだ。ユーマに殺されるとしても、ユーナの傍にいることが出来るのであればそれで良いと思っている僕はその事を考えると恐怖を感じることはなくなっていた。

それからしばらく経つと扉が開かれる。そしてそこから現れた人物を見て僕は絶望することになってしまう。そこに立っていたのは、僕自身だったのだから。僕が二人いるという事態に僕が困惑してしまうと僕に似た人物がユーラを呼んできた。

そしてユーマが僕の元に近づいてきて僕に対して話しかけてくる。ユーマの口調は明らかに僕に似せていたのだがユートとは全く違うものであった。僕は混乱しながらもどうしてこんなことをするのかと聞くとユームは簡単に説明をしてきた。ユームの説明を聞いてから僕の頭の中ではある言葉を思い出してしまっていたのだった。それは、ユラムの言葉であり、僕はユムがこの場に現れなかったことを不思議に思いユムの事を聞いたのだ。するとユラムが、ユートと一緒にいることを説明すると僕はその事を理解したと同時に、僕の目の前にユムが現れてユラムの後ろを追いかけて来ていたアリマとアリシアの三人も姿を現したのだ。

(ユーマ、君はいったいどこまで狂っているんだ)

僕はそんな事を考えてユーマに対する恐怖を覚えながらユラム達の登場によってユーラの傍を離れなくてはいけなくなったユーゴとユーマがその場を離れたのを確認してから僕自身もユーマから離れることにしたのだった。ユーマの事を見ていると僕の中での理性が崩れ去ってしまいそうなほど恐ろしいと感じたからだ。僕はそれからすぐにユーゴとユーマの元へ向かうと、そこで初めてユートの存在を確認することになる。僕はユートの事をじっと見つめるが、僕が今まで見ていたユーマとは何もかもが違う存在だということにすぐに気づくことになる。そして僕はユーナが連れて行かれたことを聞かされると、自分の感情を抑えきれなくなってしまったのだ。僕はすぐにユートの目の前に行くと、ユーマに攻撃を仕掛けてしまう。そしてユートと激しい戦闘を繰り広げるのだが僕はユートに敵うはずもなかった。それどころか僕の体はどんどんと蝕まれていくことで僕自身が弱まっていったのだ。僕はそんな状況に苛立ちを感じていたのだが同時にこのまま死ねば全て終わりだと思ったのだ。そんなことを考えていた時にふとある疑問を抱いてしまったのである。

僕はその疑問について考えている暇などなかったはずだったのだがその瞬間から思考を遮られてしまう出来事が起こることになるとは考えもしていなかったのだ。

「お主、まだ生きていたいと思うか?」

突然僕の頭の中に入って来た声の主に向かって返事をしようとしてみるが全く体が動いてくれなかったのだ。しかし僕は必死に抵抗するために思考だけは働かせることが出来た。そんな僕をまるで嘲笑うかのように謎の老人の声は再び問いかけてきたのだった。

「もう一度問う、まだ生きたいかえ?」

そう聞かれた僕はもう死ぬ覚悟を決めており、それには躊躇なく首を縦に振っていたのである。

僕はその声が聞こえると、突然の浮遊感を感じてしまったのだった。

僕はその感覚で意識を取り戻すとユートは先ほどとはまったく違い別人のようになっていたのだ。僕は慌ててユーヤを探す。だがしかし周りにその姿は見つからなかったのである。ユートは僕に攻撃を開始する。その攻撃を避けることが出来ずに僕は地面に倒れ込む。ユーマの攻撃を喰らったことで僕の体に痛みが走り始めるが僕の体に変化が起き始めていることに気づいたのだった。僕の肉体が変化しようとしていたのである。その事に驚きを隠せなかった僕はユーナのことが心配になってしまい僕はどうにか立ち上がろうとするのだが足に力が入らず立ち上がれない状況に陥っていた。しかし僕の心にはユーマに対して殺意を抱いているという気持ちはあり続けることができたのである。僕はどうにかして立ち上がると、ユーゴが助けに駆けつけてくれる。

そして僕はようやく立ち上がったユートのほうへと視線を向けた時ユーゴとユームが戦っていて僕は二人の動きに目を奪われてしまうのであった。

「お主に聞きたい事がある」

そんな僕に対してユーラは話しかけてきた。

そしてそんな質問を投げかけられた僕は、ユートに殺されかけた時のことを思い出す。僕はユーラに、僕自身の意思でユーマに戦いを挑んだということを伝えた後にユーヤを返してほしいことを伝えたのだ。

僕は、そんなユーノの言葉を聞いて少し悲し気な顔をしていたユーラが僕が想像もしていない提案をしてくる。僕はその内容を聞いても信じられない気持ちでいっぱいだったがユートはあっさりと受け入れてしまい僕を連れて行くようにユーラに伝えていたのだった。

そして僕とユート、それにユマを連れてきたアリマとアリシアはその場を離れることに決めると僕達の目の前にはユーマとユーラの姿が現れる。その二人はユートに何かを囁いているので僕達には何を言っているのかわからないが、ユートはこちらに戻ってくることはなかった。僕とユーマ、それにユーマとユーナ以外の全員が移動し始める。

僕にはこの状況が理解できていなかったが、それでも僕は今度こそユートを倒すことが出来るチャンスだと思い込み、まずは一番近い場所にいたユミルとユコを殺そうとしたのだがユーマに阻止されてしまった。それからはお互いの力の限り戦い合う事になったがユーラの手助けにより僕だけがダメージを受けることになったがユーマに一矢報いる事ができたのだ。

しかし僕の傷が回復してしまった時にはユーラに僕の身体の所有権を渡してしまったのでユーラを止めることは出来なくなっていたのである。僕は、アリマやユコとユーラが話していることを聞くと僕は、ユーマの意識を乗っ取ることに成功しユーマに勝つことができると考えていたのだ。ユーマの身体が動くようになるとユーマとユーラはお互いに武器を取り合い戦う事になる。僕にはそれがただの戦いに見えていなかった。ユーマとユーラは、二人で一つの体を動かし、お互いのことを信頼しているかのような戦いを繰り広げていたのだ。ユートは、その動きで僕よりもユーラの身体を使いこなしていた。僕がどんなに攻撃を仕掛けようと、ユートは余裕で避け、反撃まで行ってくる。僕は、その光景に愕然としてしまい、何もできないまま敗北を喫してしまった。僕は、ユーマに負ける度に身体をユーラに乗り移られてまた敗北を期す事になってしまう。そんな繰り返しをしていると、ユームから僕の魔力を吸収すればいいと言われ、ユーラは僕が動けなくなっているうちにユートから魔剣を奪ってしまうのであった。それからは僕は、ユーマとの戦いに明け暮れることになってしまうのだが、僕とユーマは、何度もぶつかり合ってユームの予想以上に長い時間を戦い続けることになってしまったのであった。その結果、僕は限界を迎えていたのである。そしてついに僕の肉体が崩壊を始めるとユートの動きも止まった。僕は最後の力を振り絞り、僕に近づいてくるユームを攻撃する。だがユームはその攻撃を難なくかわし、僕に向けて攻撃を仕掛けた。僕はユーマとの勝負が終わらずに、ユーマはユマの体の制御権を手に入れた状態で僕を殺しにかかったのだった。僕はもう、ユーマに抗うことなどできないと思いながらも、僕は最後まで諦めたくはなかったのだ。ユーナに謝ることができないままユーナの元に戻れるのならそれでいいと思っていたからである。しかしそんな思いすら虚しく、ユーマの攻撃が僕に迫ってくるその時にユーヤが現れてユーラに向かって何かを言っていたがユーナの声ではなかったので何を伝えようとしたのかはわからなかったが僕はそのまま、ユーナの声を聞きながら命を落としていったのだった。

それからしばらくの間の記憶はない。

俺は俺自身がこの世界に存在していなければいいと思っている。何故ならばこの世界が存在していなければ少なくとも俺が生きている間に起こることは起こらないわけだからな。そして、もしも仮にそのような事が起きた場合はこの世界を終わらせなければならないと考えている。なぜなら俺は、この世界に存在しているだけで誰かが死ぬのだからな。

そして俺は今、この世界の仕組みを変えられる場所へ向かって歩いてきている最中だ。だが、その途中で一人の少女とすれ違った。しかしそいつの事を一目見た時になぜか、こいつも殺す必要があると理解したのだ。俺はすぐさま攻撃を仕掛けるが避けられた上に反撃を受けて致命傷を負った。俺はそれから必死に逃げようとしたがもう遅かったようで逃げることが出来なかったのである。そんな時に突然俺の頭の中に入って来た言葉に驚きを隠せなかった。しかしすぐに冷静さを取り戻すことが出来たのだった。

そして次の瞬間に、俺の頭の中に入って来た言葉で俺に話しかけてきたのが何者かを確認することが出来た。

ユート 俺はその声の主が誰なのかわかった気がする。

そう、それは今までずっと俺の中に入り込んできた謎の声の主でありその正体は俺の魂に刻み込まれた忌々しい存在でもある者の声だと認識できたのである。

そしてユーマの身体を奪った存在と入れ替わってユーナの前に現れると彼女から俺に関する記憶を全て奪い去ることに成功する。しかしそれだけではまだ足りないと考えた俺は、彼女にもう一度会いに行くことにする。彼女の記憶を奪う前にも彼女と話をしたがやはり彼女が持つ魔力は素晴らしいものだった。彼女はいずれ必ず俺の為に働いてくれる存在になるだろうと考えながら、もう一度彼女に近づこうとしていたのである。

僕はその言葉を耳に入れた途端に僕の意識が無くなってしまうのが分かった。だがそんな僕にユートの感情が流れ込んできて僕は自分が殺されるということを自覚するのであった。

「ユート!お前がそんなことを望むとは、お主も相当堕ちてしまったようだのう」

その言葉と同時に僕の視界は真っ暗になったのである。

僕はその一言でユーマに僕の肉体を支配されたのだと気がついた。しかし今の僕は、その事実を受け入れたうえで僕はユーマに対して復讐をすることを考えていたのだ。そして僕は、ユーマを殺すための方法を頭の中で構築していた。

僕の目の前にいる人物。その存在を目にしたとき僕は驚愕してしまう。ユートを操っている人物が、ユートの妹のアリシアだったからだ。僕は、そんな状況に驚きを隠しきれずにどうしてこのような事態を引き起こしてしまったのかを、アリシアに対して聞いてみることにしたのである。するとアリシアは、僕がアリマ達を裏切ってこちら側の人間になっていたことが原因だと答えてくれた。

そんな時ユートは自分の体に異変が起きていることに気づき始めて、その状況がどういったものであるのかを僕達に説明し始めるのであった。そのユートはアリマさん達が僕を殺さずに拘束しようとしていたことを説明し始めたのである。ユートの話を聞いていて僕はユートと僕の違いに気づいてしまったのだ。僕は僕自身の体を取り戻したいという気持ちが強く、それを達成するために手段を選ぶことができないのにたいしてユートは自分のせいで妹であるアリシアを危険な状況に陥らせてしまい罪悪感を抱いている。

だからこそ、僕に対して強い敵意を向けることが出来ずに戸惑いが生まれてしまう。そしてユートに自分の身体の主導権を渡したのだと思われる。僕がそんなことを感じとっていたらユートが攻撃を始めてきて僕は、避けることしかできなかった。ユートは攻撃の速度を上げてきたので僕はそれをかわすことに集中し始めた。そしてどうにかユートの動きが読めるようになったときだった。僕は一瞬だけ隙を作ってユートに一撃を加えようと試みるのだが簡単に回避されてしまうのである。そんなユートに僕は違和感を覚えたのだ。先ほどまでのユートは、僕がいくら攻撃をしてもそれを回避することが難しくなっていたはずだったのでユートも本気を出してきていた。だけど今は、ユートの力のほとんどをアリシアという肉体を媒体に使っていて全力を出せていないのではないかと考え始めていたのであった。

そんな時、アリシアと入れ替わってユーマが現れたのだ。僕はその姿を見てユーラだと思い込み油断していたのだ。僕は、僕を睨むその表情を見て僕はその男がユマであることを確信したのである。そんなユマとユートは僕に攻撃を仕掛けて来たのだけれど僕は二人の攻撃を防いでいた。その動きを見たユマはとても驚いていたけど僕はそれに構わずユートに反撃しようとした時にユーラが現れ僕に話しかけてきたのであった。

そしてユラは僕に話しかける。

僕はその言葉を聞くと思わずため息をついてしまい、ユーマに負けることを覚悟したのだ。

僕はその時に、ユナのことを思い出してしまいユナのことがとても心配になり心が痛くなった。しかしユラからユーマを倒すことが出来る方法があると言われ、僕は、それに乗ることにしたのである。僕は、僕がユーマと戦えなくなってしまっているのに気づいたユーマが僕を乗っ取ろうとしていることに気がつきユーナに身体を返すよう伝えるがユーナにはユーマの肉体を制御することは不可能で僕が肉体を完全に支配されるまでは絶対に戻らないと言い出す。そんな時にユーラがやってきてユーマとユーラに身体の制御を奪われて意識を失いかけることになる。しかしそんな時にユラがユーマの意識が消えかけているタイミングを狙って僕を強制的に覚醒させたのだ。そのおかげでユーヤに反撃することができたが結局はまた、ユーラに身体を乗っ取られてユーマの身体の支配権を奪ってしまったユーラを止めることができなかったのだった。

僕はそんな絶望的な状況で、僕が死んでも誰も傷つかないようにすることを考えた。そして僕は、僕の魔剣に全ての力を注ぎ込むようにしてユーラに最後の攻撃を仕掛けたのである。ユーラはその僕の行動を見破って避けようとしたのだが僕はあえてユーラとユーマが戦い続けているその場所に飛び込んでいくことで、僕の最後の力を使いユーラの体を消し去ろうと目論んだ。そしてその策が成功したのかわからないのだが僕の身体は限界を迎えるとそこで意識を失ったのだった。

僕が意識を取り戻した時に僕はユーナの中にいるとわかるとユーラが言ってきたことに納得してしまった。そしてそのあとユーマが何か言ってきたので僕はその言葉をユーマの言葉だとは認識することができなかった。だが僕の中にはもう一人の僕の記憶があり僕は、それがどういうものなのかを理解する。そしてその僕の記憶の中にある魔法を使えば、この世界を滅ぼせる力を手に入れることができるとわかりその方法を模索し始めるのである。それからしばらくしてユームと名乗る女性が現れるのであった。彼女はなぜか僕の魔力を吸収しようとしていることがわかり警戒していたが彼女はただ僕と話しをしに来ただけだったようで僕に話を持ち掛けて来た。しかしその提案の内容というのがあまりにも突拍子のない内容だったので信用することが出来なかった僕は彼女の言う通りに従うことはできなかった。しかし彼女もまた自分の目的のために動いていただけであり本当はそんな提案をするつもりでなかったようなのだ。彼女は、この世界を破壊しても無意味だといいながら自分の目的を達成するために協力して欲しいと伝えてくるのであった。

俺はそんな話をしているユームの姿を見ながらこの女なら俺の目的に協力してくれるかもしれないと思い彼女の話に付き合うことに決めた。しかし俺は今になって思ってしまったことがあったのだ。俺は本当にこいつを利用するだけのつもりだったのだが、こいつは何か別のことを考えて俺を利用しようとしていたのではないかと考えると不安になってしまう。俺はそのことを確かめるためユームに対して俺に協力する理由は何なんだと尋ねたのだ。

ユーマから質問を受けた私は少し悩んだ後に本当のことを言うべきか嘘を言うべきなのかどうかを考えていた。

私の目的は、ユーヤをこの世界から消してもらうことである。そして私自身もこの世界を崩壊させることはできる。だから、私はユーヤから吸収する魔力を少しずつ使ってこの世界を終わらせようとしていたのであった。そんな時に私がユーマに近づいていた時に突然私の中に入り込んできた者がいるのがわかったのである。その者は私の中に存在する膨大な量の魔力を奪い取るとその肉体ごとどこかへ飛んで行ったのだ。その者がユートの魂であることは明らかだったのだが彼はユーキに倒されたと思っていたのだがその事実を知った時は動揺してしまい、ユーマが私に乗り移られた時のユーマの行動に疑問を抱いたのだ。そしてそのユーマの行動によってユーミの居場所を突き止めたユーマだったがユートはそんなユーマの感情に反応するかのようにユーマの肉体に精神体として憑依していたのだった。そしてユートとユーナの間に繋がりがあることに気づいたユートは彼女のことを殺そうとしたのだろうと考えたユートは彼女を守ろうとユートに身体を奪われたふりをしてわざとユーマの肉体からユーヤの魔力を引き出したのだと考えられる。

そしてユートは自分が殺されそうになったときにユーラに助けを求めていたのだろうと思うと悲しくなってしまうのであった。そんなユートに自分の身体を使ってくれとユーマがお願いをすると、ユートはそれに答えてくれユーマは、ユーマの肉体を手に入れたのである。しかしその結果、私は肉体をユーマに奪われてしまう。そんなユーマの狙いを理解できずに困惑していたのだが、それでもユーマを止めなければならないと考えていた。そんな状況の中ユーマはユーマに肉体を貸して欲しいといってきたのである。それはおそらくユーマが自分の意思で肉体を動かすためであり、自分の肉体を取り戻したいという願いだったのだと感じた。

そしてその通りにユーマは自分の肉体に戻ってきたのだ。だが、それと同時にユーマの身体が消えかけていたのである。その時に、自分がやるべきことがやっとわかっていたので、ユーマに話しかけたのだ。しかしユーマは私の問いかけに対して返事をしてくれない。どうすればいいのかと考えているとユーナは自分が死ねばユーラが自由に動けるようになると言うと自分の身体に向けて攻撃を放ったのである。その瞬間に、私はすぐにユーラの身体を操ってユーナを救い出そうとした。

僕がそんな行動をしたときだった。僕の中で眠っているユーナの心の声が聞こえてきたのだ。その声の主は、僕に話しかけてきたのだ。僕には、その人物が誰かはすぐに分かった。僕は、その人物に向かって僕は、お前を信じていると告げる。そうしないとユーマを倒せないと思ったからだ。するとその人物からは僕にしかできないことだという事を伝えると同時に、ユーナを頼んだと言われてしまった。そんなこと頼まれるまでもなくそのつもりなので任せてほしいと答えると僕の体から力が抜け始めていったのである。そして僕の身体は消滅していったのであった。

僕が完全に意識を失う前に最後に見た光景はユートがアリシアに攻撃を繰り出して殺そうとする姿である。しかし僕はその光景を見ても何も感じなくなっていた。そんな時にユーマは僕が消滅する直前に僕が手にしていた聖剣を奪ってユートの攻撃を止めた。僕はそれを確認すると安心したのだろうか完全に僕の身体が消滅し始めて僕の意識は闇の底へと落ちていく。そんな中、僕は、僕の中に残っていたユートの精神体を逃がすことに成功したのだった。そんな僕はユートに、ユートがこれからも生き続けてくれるように願ったのである。僕はそんなことを考えながらも自分の存在の消失を受け入れて目を閉じようとしたときだったのだ。

「ちょっと待ちなさい!」アリシアとユミルを追いかけてきたユムはアリシアに背後から抱き着くように腕を掴んでいた。「えっ? あなた、誰?」とアリシアは振り返りもせずに言ったのであった。ユムは、そんなアリシアの言葉に驚いた。まさか自分の事をわからないのかという驚きで、アリシアの腕を掴む手を放すとその場で固まってしまっていた。

ユムと別れたユラとユマが合流した後、三人はユーマがユーラの肉体を奪う前に向かった場所へと向かうことにしたのであった。そしてそこで、あることを確かめようと決意を固める。

僕は目が覚めると見覚えのある景色が広がっていることに気づくとここは、僕が元いた世界の夢魔国だということが理解できた。僕が周りを見ると、そこには見慣れない人達が大勢いることに気づき警戒し始めているとそこに、一人の少年が現れて僕に近づくと僕の肩に手を置いて微笑んできたのだ。その人物は、この国で一番強い男で僕が一番会いたい相手でもあった。そして僕の憧れの人でもあるのだ。

僕はその姿を見て僕は涙を流し始めていたのである。僕は嬉しさから涙が止まらなくなってしまった。そんな僕にその男は優しい声で僕の名前を尋ねて来たので僕は自分の名前を伝えた。するとその人は、僕の頭を撫でて僕のことをよくやったと言ってくれたのである。僕には、そんな人がこの国に居た記憶はなかったのだが僕がその人に褒められると心がとても暖かくなっていく感覚を感じていた。そしてそんな暖かい感情に包まれて幸せに思っている僕だったが、突然、僕の中から光があふれ始めたのだ。その光は僕を包み込むと僕を優しく包み込み癒してくれた。僕は、この温かい光が僕を守ってくれると何故かわかったのだ。それから僕の目の前にいた男の子はその輝きと共に僕の前から姿を消してしまう。

そして僕は気がつくと元の僕の部屋に戻ってきていた。

僕がそんな不思議な出来事の後で僕に近づいてくる人の気配を感じ取りそちらに顔を向けるとユーナが僕に抱き着いてきて泣いていたのだ。ユーナも僕の意識が戻らない間に僕のことを心配して不安な思いをしていたのだと思う。だから、僕は泣きじゃくっているユーナに謝って抱きしめ返すとユーマがユーラの肉体を手に入れる前に二人で話をするために城の外に出ることにした。するとその途中であったのだ僕の身体に異変が起こりはじめたのである。その違和感を感じた時には、僕はユーナを抱き抱えたまま倒れ込んでいた。そんな僕を心配した様子でアリナさんたちが僕の元に集まってきて僕たちのそばから離れないように僕たちを囲んで守ってくれたのだ。そんな彼女達にありがとうと言いたかったのだが僕はそのまま眠ってしまったのだった。

(んっ?)僕が目覚めて最初に思ったことは、この懐かしい天井がどこのものなのか思い出すことができなかったことである。確か、この世界に戻ってきたときはこの天井を見ていなかった気がしたのだけれどというかこの部屋には窓がなかったはずだから天井を見ることはできないはずなのだけどと混乱しながらそんなことを考えていると扉が開いてユーミさんとミーシャが中に入ってきた。二人とも何かの作業を終えたようで疲れているように見えた。しかしそんな二人は、ベッドの上に寝かせられているユーナの姿を発見すると慌てて駆け寄ってきていた。ユーナは何かに怯えているようでユーミとユーミに寄り添うようにしてユーミにしがみついているのだ。そして、そんなユーナの頭には、ユーナと同じ色の髪色をした猫耳がついておりおなかの辺りからは、同じくユーナの魔力で作られたであろう猫のような長い尻尾が生えていてピクッ、ビクッ、ビクンっと脈打っておりその動きに連動するようにユートは顔を真っ赤にして呼吸を荒げはじめていたのだ。そんな僕の様子にユーナの表情は強張っていて今にも泣き出しそうな状態だった。そしてユーナがユーマに襲われた時に見せた表情とは違ったが今にもユーマに襲おうとしているような状態にも見えた。

「あぅ、はぁ、あっ、やめてぇ! みゃ、ユーラの、ばかぁ」と僕が二人の様子を見ながら思案しているとそんな言葉がユーミの口から漏れ出したのだ。そして、ユーミに視線を向けていたユーナがユーミの様子がおかしくなっていることに気づいたのかユーミに抱き着き、必死に声をかけ続けていた。そんなユーミとユーナは、お互いに自分の体の変調を訴え合いながらお互いのことを庇い合っていたのだった。そんな二人の様子を眺めていたユートは、自分の下腹部にある熱が高まれば高まるほど興奮してしまうことに気付き、それを我慢しようとしても体が勝手に反応してしまいユーマがユーナに襲いかかろうとしたときに、僕がユーナを襲った時のユーマと今のユーミの姿が重なり合う。その瞬間に、ユーラの肉体に残っていたユーラの記憶が一気に流れ込んできたのだ。

僕の中にいた人格が消える瞬間にユートは自分にとって一番大事なことを教えてくれた。僕はユーナを守るために生まれてきたということと、自分が死んだ後の世界で僕が一人になってもユーナが困らないように僕を導こうとしてくれるように約束をしてくれていたことを思い出したのである。そしてそんな僕の身体がユートによって奪われてしまってユーヤの身体はユーマの物になってユーマの身体を操っていたユーヤの魂が僕に移って来たことをユーラは教えてくれようとしていたのだと、ユートが僕のことを想って残してくれていたという記憶に感動して思わず涙を流す。

僕は、僕の身体を使ってくれたことに礼をユーラに伝えると僕の意識がまた消え始めるのである。

そして僕は意識を取り戻したのだった。僕が目を覚ますとなぜか僕の周りにはアリナと、ユーラを慕って行動を共にしているというユートの仲間の二人がおりユーラの事を心配するような眼差しで見ていたのである。

「大丈夫?」とユーナが心配そうな声で聞いてきたので、僕はユーナに心配をかけて申し訳なく思いユーナの顔を見ながら答えを返したのだ。「うん、平気だよ。少し、びっくりしてしまっただけさ」「本当? ユーラは、無理をしないでね? もし私がユーマに殺されそうになった時も、助けなくていいから絶対に逃げて。私も、もう、あんなのは、耐えられないの。ごめん、でも、ユーマだけは、私のことを本気で殺しに来ているんだもの、仕方がないよね」と悲しそうに言うユーナの表情を見ると僕の胸は締め付けられて痛くなる。僕は、そんなユーナを見て心が苦しくなり、どうしたらユーナの心からユーナを苦しめているあの悪魔を取り除けることができるのだろうかと考えてしまったのだ。そしてそんな時に僕に一つの疑問がよぎったのである。どうしてこの国の人たちがこの世界を侵略しようとしているのかということである。それは僕自身がユーラの肉体を奪ったことで理解できていたのだ。

まず、この国は魔人族の奴隷になっている亜人達を助けようとしているのだ。それなのに、その魔人族を支配しているのは、人間達であり魔人族はこの世界から人間が駆逐すれば自分たちの故郷を取り戻すことができて自由の身になれると思っているのである。だから、そんな魔人族の解放を目指しているというわけなのだ。だから、僕たちは魔人族の味方をするべきだと考えていた。しかしユーム達は違うらしい。彼らは、元々、別の国に住んでいた者達で、魔獣の森に迷い込んだ所を助けられたことがきっかけでユーマの配下になったのだというのだ。その話を聞いた僕は驚いた。ユーナの言っていた、魔人が、他の国を攻め落としていたという話と、ユーカの話から魔人は、悪の種族として伝えられているのに、それが実は魔人達とこの国が言っているだけで魔人は、魔人ではなくこの世界のどこかにいる魔物と変わらないのではないかと思ってしまったのであった。僕はそんな事を思い浮かべているとユーナが急に立ち上がって部屋の外へ出て行ってしまったのだ。僕は、すぐに後を追いかけるのであった。

僕は、ユーナが部屋から出て行くのに気づいたので慌ててユーナの後を追いかけた。するとそこにはアリナとユーミアが居て何か話しをしている様子であった。僕が近づくとユーミもユーラに気づくと心配そうな顔で僕の方へと駆け寄ってきたのだ。

僕はそんなユーミに対して心配をかけないように笑顔で答える。ユーラの肉体を使っているからユーミンが僕の事を好きになる可能性は高い。だけど今はそんなことは気にしていない。なぜなら僕に好意を寄せていなくても彼女は僕の力にならなければならない状況に追い込まれているからだ。だから彼女が僕のために働いてくれるのならば僕はそれで良かったのだ。

それから僕たち六人で話し合いを始めることにした。議題はもちろん魔人族と人間の関係性についてと、この国の真実についてだ。僕たちの目的が、この国に巣食っている闇を消し去るためにこの国を滅ぼすことなのか、それともこの国を利用して、この大陸の支配を目指すことなのかを決めなければならなかったのだ。しかし、そんな僕達の会話に乱入してきた者が居る。

「あなたたちがこの国を滅ぼしてくれるというのですかな」

そう言ったのはこの国に長く住みついている老魔術師であるアルス=アーランドさんで、僕たちに、協力してほしいとお願いしてきたのだった。そして僕はそんな彼に協力を申し込まれてしまう。しかしユーミもユートも反対の意見を言う。僕はユーミとユーナがなぜ、そんなに反対するのかと聞くと、ユーナは「私は嫌な予感がするの。それにユーマに殺されるなんて御免なの」と言い、そしてユーミは、「そんなことをしても何も生み出さない。それに、この国の王を殺すと言うのはユーマの役目ではない。ユーナ様がやらねばならないのだ」と言っていたのである。そんな二人を見ていると、この二人は僕よりもこの世界で生き抜いていた年月が長く、しかもこの世界に転移してくる前の経験をユーミは持っていてユーナの体の中には、僕には想像すらつかないほど辛い体験をしていたはずなのだ。僕は二人の意見を聞いて僕は二人の言葉を尊重することに決めてユーマには悪いがユーラと入れ替わって、僕の身体が回復するまでの間だけ、このユーラの身体を使わせてもらうことにしたのである。そして、僕はこの国を救うことを決めたのだ。僕の中で目覚めようとしている勇者の力は凄まじくユーヤは僕のことを殺そうとまでしているようだから、早く僕の力を覚醒させてしまわないと、僕たちがこの国を救うことができないかもしれないという危機感を覚えての行動でもあったのだった。

僕は、ユーナの言葉に、ユーミとユーミはユーラの体を奪おうとした時のことを思い出していた。僕とユミルの魂は一つだったはずだ。だからこそユーナを傷付けた奴は許せないし殺してやりたいとも思った。そんなことを考えていた時に僕の身体が震え始めていくのが分かった。そしてユートに意識を交代すると「お兄ちゃん。やっぱりお兄ちゃんは強い。だから大丈夫」と言ってくれていた。そして僕の中の魔力をコントロールしてくれていて、魔力の制御のコツのようなものを教えてくれたのだ。その言葉のおかげで、魔力を制御することがうまくできるようになった。ユートは、僕にお礼を言われて照れているのか顔を真っ赤にして下を向いていた。そんなユートがかわいくて抱きしめたいと思ったのだが僕の体はユートによって操られているので我慢することにしたのだった。

そんな僕の様子を見てかユーナが話しかけてきたのである。「どうしたの? 怖い夢を見た? ううん、私にできることはある?」そんな優しい声をかけられた僕に、ユートの声が聞こえてくる。

(大丈夫だよ。それよりも僕に任せてほしいんだ)そう言って、ユーマの人格を抑え込むことに集中するのであった。僕にユーナを守る力がないと、僕はユーナを守り切れないのだと思い知らされたのだ。

そして僕は、ユーマをなんとか抑え込んでいる間に、アリナにユーラのことを託すと、僕はユーラの意識が消えたときに手に入れた能力のことについてユーナと話をするのだった。その能力をユーナは知っていたらしく、ユーナから説明を受けた僕はその力で、リッカとそっくりの女性を探すのに協力をしてくれるようユーナを説得したのであった。

僕が目を覚ますと僕は自分の肉体に意識を戻す。そして僕の中に入っていた人格がユーマの物だったということを知り、僕の中にまだいるユーラと話ができるんじゃないかと思いついた。僕はそんな淡い期待をユーラと共有したいと思いユーラの身体の中に入るように念じてみたのだ。そして僕の身体の中にいたユーラが消え、僕の肉体にユーマの人格が入り込んで来たのを感じたのである。そして僕はユートから得た能力で、僕の中にあるユーラの身体がどこにいるのかがわかるようになるのだった。ユート曰くユーヤの能力は僕にしか使うことはできないらしい。だから、この能力を僕に使ってくれたユートに感謝をした。僕は、そんなユートとアリナの会話に割り込みユートを褒めちぎるとアリナもユートが役に立てたと嬉しそうにしているユートを見てほっとしているのが分かり僕もユーマをユートに託してよかったと思っていたのであった。そして僕はこれからの計画を考えユーマに伝えることにしたのである。僕は、ユーラの肉体が生きていることを知ったのでユーマにこの肉体にユーナと僕の血を与えたいと申し出ることにした。するとユートが、そんなことできないよ! と言っていたけど、僕の意思に従うと言ってきてくれた。

僕はユーラの肉体と融合することを選ぶ。そしてユーミと一緒にいるユーラの元へと向かうと、ユーラが眠っている部屋へと入るのであった。すると、僕の姿を見てユーラは驚いてユーナに抱き着いて僕から離れていったのである。その瞬間にユーラに拒絶されてしまった僕は悲しくて仕方がなかった。そんな僕のことをユーラがじっと見ていることに気付くと、ユーミから僕に近づかないでくださいと言われる。

「そんな事をしてもユーミが喜ぶことはないですよ。あなたにそんな資格はない。もう私達に関わるな!」と、そう言ったのだ。僕はそのユーミの顔を見ることはできなかった。だって、僕はこの世界の人たちを助けに来たのだから、この世界を救うことができればきっとユーラにも笑顔でまた会いに来れると思っていたのだ。僕はそんな思いを抱きながらユーミをその場に置き去りにしてしまったのである。そしてそんな時、アリナと、ユーミアが現れユーミアの口から僕の事を殺したくないと、言っていただいたので、僕はアリナの好意に甘えることにした。

僕はその後ユーカと、ユノの三人だけで、ユーカの家に向かうのであった。

家につくと、僕はユイとユノンと、その妹たちの四人にユーカを任せて僕はアリナに頼んで魔王城に戻り、そこでユーキと合流していた。僕がユームの部屋で待っているとユーアが現れた。僕はユームのことを聞くために彼女について聞くと彼女は「彼女は魔獣の森の奥地に隠れ住んでいる」と、そう教えてくれたのである。

そして僕はユートに指示を出し魔族領にある全ての街から、ユーヤに恨みを持つ人を集めて、この国に来てもらいユージをユーナのところに向かわせてユーミと、ユーミンを捕らえてもらったのだった。ユージがユーマを追い詰めている間に僕はユートを呼んで魔族たちに魔族たち以外の種族に対して戦争を始めるように指示を出すとすぐに行動を始めてもらい人間族の住む王国を滅ぼしてもらうことにした。僕はそれを確認してからユーキと合流することにするとその前に僕は、この国を滅ぼすことに決めたのである。

まず、僕がしたことはユーミの能力の解析と使い方を学ぶことであった。その結果、ユートは僕の考えを読み取って、僕と同じことを考えてくれていて僕はユートの思考を読めるようになり始めていたのだった。そしてこの力を利用してこの国に存在する闇の存在を突き止めて潰していくことを決めたのだ。

「お兄ちゃん、この国の人達を助けるためには何をすればいいのかわからないけれど私はあなたを信じて一緒に戦うわ」そう言って僕と手を握ってくれる。僕は彼女の力を利用するのではなく信頼してくれる彼女と力を合わせてこの国に住む人を救うために行動することを決意するのだった。

僕たちがユークと話をしていると、そこにアリナ達がやってきて、アリナに案内されて王都へ向かうことになる。その道中ユークはずっと僕達のことを警戒していて信用しようとはしなかった。それは仕方がないと思う。なにせ僕たちは突然王城に現われたのだから疑われてしまうのも無理はなかったからだ。でも僕のことは、アリナは信じてくれていてアリナとは協力体制が取れるだろうと思ったのである。そしてユーミはなぜか、ずっと黙ったままなんだけど何か思うところがあるようだが僕にはそれを知る術もなかったのだった。

王城の入口に着くとユーヤの配下を名乗る者が現れてユーヤはこちらに居ませんと言い張ってきた。その言葉に少し腹を立てたのかユーナはそいつに掴みかかると魔法を使って攻撃していた。

そして王城内に入ると僕はユーナがこの国の王女だということが分かった。だけどユートはそれが分かっていたようで、僕にユーナの正体を言わないように忠告をしてくれたのである。僕はそれに納得してユーナがこの国の王女であることは誰にも話すことはなかった。そして僕とユートが話をしながら歩いて行くと玉座の間へと到着して扉を開けると、そこには一人の男性と女性が立っていたのである。そして僕はその姿を見たときから身体が震えていた。なぜならその男女には見覚えがあり僕は二人のことを心の底から憎んでいるからである。そんな僕を見てユートは僕を庇うように二人の前に立ちはだかってくれたのだった。そしてそんな僕のことをアリナは後ろから優しく抱きしめてくれる。僕はそんな優しさに包まれて気持ちが楽になるのを感じていると僕のことを抱きしめてくれていたアリナの腕を振りほどき、僕は二人のことを睨んでいた。そして僕のことをユーヤと呼んでいたユートのことを、ユーヤの体を奪ったユートを殺そうとしていた僕の目の前にその男は現れたのであった。

僕はそんな男を見て身体が震えるのを感じていた。そんな男の容姿は僕のよく知っているものだった。僕はその顔を見ながらユートのことをチラッと見るとユートも、そんな男の姿をみて、僕のことを止めようとしたが間に合わなかったようだと悔しそうな顔をしているのである。

するとそんな男と女性は口を開く。

『お前に用があってここまで来たのだ』と言ってきた。僕はどうしてこんな男が、僕の知り合いだとわかるのかと思いつつも僕の頭の中に声が聞こえてくる。

(ユーヤさん。こいつはユーラさんの体を乗っ取っているんです)

僕は、そんな声が聞こえると僕の中に入って来てから初めて僕の身体に干渉してきた存在を思い出すのである。そう、この二人は、僕の魂が肉体から離れてから僕と融合するまでの間の時間を利用して、ユーヤの身体に入り込みユートに殺されてしまったはずの、あの男と、そしてこの世界で死んだ時に僕を裏切ったあの女なのだ。そんな二人に僕は、僕の事を馬鹿にしたような口調で話しかけてきた。

『なんのよう? 僕を笑いにでもきたの?』

そんな風に言い返した僕に対し彼らは笑っていたのだ。そんな僕がなぜこんな状況になっているかというと僕が今いるのがユークが作り出した幻影の空間の中だからだ。僕がこの場所に来るのは初めてではないのだ。ここに何度もユーマの肉体に乗り移らされ、そして僕が殺したいと思っていたユーキの作った空間に送り込まれたのである。僕は、ここでこの二人を殺してユーマを救おうと考えていたのだ。そんなことを思い出しながら僕の中の人格が、僕の事を必死になって説得してくるが僕の中に入ってきたその人格の声を聞いた僕の中に入っていた人格が僕の人格に入れ替わって僕の代わりに僕を説得し始めた。

そして僕はこの場をどう切り抜けるべきかを考えていた。僕はそんな事よりもユートとユーミを救いたいのでこの二人の話に耳を傾けてみる事にした。するとそんな僕を見て、僕の中にいる奴らはほくそえむように、ユーヤを騙し続けていたんだねと嬉しそうに話を始めた。

僕はそんな話を聞きながら自分の中に入ってくるもう一人の自分を見ていることしかできなかった。

『そうだよ。僕はユーマに騙され続けて、あいつの玩具にされただけなんだ!』と、そんな僕の言葉を聞いていた僕はその僕の言っている事が事実のようにも感じられたのである。

そんな僕の様子を見ていた僕の中にいる僕は僕の事を心配してくれたのであった。そして僕のことを助けてくれようとしてくれた。だがそんな僕の中から出てきたその僕のことを操ろうとし始めて僕の人格に攻撃をしかけ始めるのであった。

『そんなわけないだろう! ユーラさんを殺したのも、アリナを傷つけたのも全て君じゃないか! ユーマに何を吹き込まれたかは知らないが僕の大切な人をこれ以上傷つけさせないでくれないかな!』と、そう言うと僕が、僕の事を叱りつけて、僕はこの場を切り抜けようとする。すると、その僕の言葉が気に入らなかったらしく、僕の中にあるその感情が爆発をして僕は吹き飛ばされてしまい地面に転がされる。そして、その僕はそのまま意識を失い、僕の中で暴れ回ろうとして来るのだ。そして僕の精神はもうボロボロになっていた。このままでは何もできなくなってしまうと感じた僕は僕の身体が動けないのであれば別の手段を使うしかなかったのである。そこで僕はある事を考えたのだ。僕の中に入る前の僕の記憶を探れば、今の僕の事についてもっと知ることが出来るのではないかと考えたのだ。

そこで僕は、ユーラとユートとのやり取りや、アリナと出会った時の記憶、そしてこの国で起きた出来事など、色々な記憶を探ることにした。そして、僕が知り得たのはこの国が平和な国であり戦争をしているのにこの国は他国に支援をしていた事。そして僕にこの世界へ転生させる際ユーリアとユーミアの力を利用して僕にこの国を救う使命を与えていたことがわかったのであった。そこで僕は、僕の中の僕が言った言葉が本当だったことを知ることができた。そして僕はその事で僕が間違っていたことを知った。僕はその事を知ってユーミアに対して謝罪をしたい気持ちになったが、すでにこの世界からはユーミアの魂の反応はなかった。なので僕はこの世界のユーアと、ユーミのことも心配になってしまった。だから早くこの問題を解決しないと駄目だと思った。でもまずは目の前の問題を片付けないといけないと思っていて僕はなんとか立ち上がって二人に向かって話しかける。

「ねぇ。ユーヤの体から出て行ってくれないか?」

僕はそう言って二人の前に立つ。そんな僕の言葉に、その二人は、そんな事ができると思っているのかとバカにするような口調だったのだ。

『まあ、それもそうだな』と、ユーラの顔をした男の方が言って僕のことを見つめると僕と入れ替わった。そして僕の方を指差してこう言ってきたのである。

『ユーヤの体から出て行けと言われても、ユーヤが私と一つになるために自ら望んで私の体に入ってきたんだから、出て行きたくないと言うだろうけど、あなたにお願いしてみるしかないかしら?』と、そう言って僕を見てくると僕はその女の人の方を見て睨み返すと、『あら、怖い顔しているのね。私はあなたのことを何も悪いようにしないからそんな顔を向けられると悲しいわ。それに私がユートの体を奪おうとした時に止めようとしたじゃないの。そんなに警戒する必要もないと思うんだけどなぁ。それに今はそんなことをする理由なんてないもの』と言って僕を見つめていた。

その瞳には何か特別な力があるような気がした。でも僕は、それでも僕には関係のない話だったので無視を決め込む。でもその女は僕のことを挑発的な視線を送ってきて何かを言いたいのだろうかと思い僕はその女の方を見る。そしてその女が僕に向けてきた言葉に僕は驚くことになったのである。なぜならその言葉が信じられなかったからである。そして僕のことを見下すかのような態度で見てきたのだった。僕はその女の事を睨み返していた。そして僕はこの女を絶対に殺してやりたいという気持ちになっていく。するとその女の口角が上がるのが分かった。僕も自分の口角が上がっていることに気がつくとその僕は僕と入れ変わってしまったのだ。僕はそんな事を考えながら自分の手を見て、ユーナのことを見ると僕は自分がユートになっているということに気づいていたのである。そして僕はその僕のことを見ていた。その僕は不敵に笑うのであった。僕はユーヤの身体が自由に使えるようになっていることに気づいたのである。そう、それはつまりこの女を殺すことが容易になったことを意味しているのだ。そう思うと僕は心が踊る思いがした。僕はユーヤの体を自分の物にできたと喜んでいたのである。

僕がユーヤの肉体を手に入れることができた喜びを感じていると、もう一人のユートの姿が見えた。どうやらその男はユーキと戦おうとしているようで、そんなユートの姿を僕は見守ることにする。でもそのユートの動きには、なぜか僕は違和感を感じていたのであった。僕はそんなユートを見て僕と同じ動きをすることができるユートに驚いていたのだった。そして僕はそのユートを見て僕は少し嬉しく思っていた。なぜなら僕の体と融合する前にユートはユートに勝っていたからである。ユートは僕の体を奪うまで僕の身体に何度も殺され続けたはずだが僕はユートの事を一度も倒していないのでユートが僕よりも弱いというのはありえないと思っていた。だけど僕の目に映っているユートは僕の予想とは違い強かったのだ。もしかしたら僕と融合するまでのユートが弱くなっていたのかもと思い僕はユートがこのユーキと決着をつけ終わるまでに僕はユールを倒す準備をする事に決めたのである。

そして、ユークが作り出したこの幻術の世界の外で、ユーヤがユークの幻影と向き合っていた。

『ユーク様。ユーク様のおかげでこのユークの魂に刻まれた呪いが消えました。ありがとうございます。おかげでユーク様を生き返らせることができます』と、そう言ってその幻影のユークは涙を流し始めたのである。

その幻影のユーヤも涙を零しながらユークにお礼を言うと僕の中にいるユーラが僕の事を助けてくれる。そしてユーラは僕の中の僕に語りかけてきた。

「ねぇ、ユーク。これからユークのことを助けてあげるわ」

僕はそんなユーラにお礼を言うと、ユートは嬉しそうな表情を見せてユーラに近づいていくのである。僕はその様子に焦るがユークは気にせずにユーナに抱きついていく。だがその光景を見ている僕の胸の中に怒りが生まれてくるとユークト僕の事を操ってユートの事を殺してしまうのだった。僕はそんなことを考えるとユーマに対して謝る気持ちになる。だがその時ユームはユートにキスをするユーナの行動が理解できないと言ったのだ。

ユーナはその唇をユートから放すと悲痛な面持ちを見せるユートを優しく抱きしめた。

「あなたがそんな風に苦しまないでください。私の為に、そんな苦しい選択をしなくても大丈夫ですよ。もういいのです。これで私はもう十分幸せです。だってこんな風に愛しい人と一緒に死ねるんですもの」そう言いながらユーナは笑顔を浮かべるのである。するとユークはそんな彼女に対してさらに強くユーラのことを抱きしめた。ユートはユーナを抱き締めながら自分の中の憎しみと戦っているのである。そんなユートの頭をユートのことが優しく撫でた。

そして僕はユーマにユートの人格に憑依されていたユートにユーラの人格に乗っ取られたユートの体を奪われて操られユーラの体の主導権もユーナに奪われた僕はユーマに、いやそのユーマの中に取り込まれたユーラに操られていた。

『あなたは私を殺さなければいけません。それが私があなたの為にできる唯一の償いなのです。あなたが今までユーリアを裏切ってアリカとユノにしたことを思い出せば分かるはずよ。でもユーリアを殺したのはあなたの為なの。ユーヤさんは悪くないの。だからユーヤさんを苦しめるのはもう止めて欲しい。私はユーヤさんにも幸せになって欲しいと思っているの。でもこのままだとユーヤさんが苦しんでしまうの。だから私はユーヤさんの事を楽にしてあげたい。だからあなたは私の言うことを聞いてユーヤさんを止めて!』と、ユーアが必死に訴えかけていた。

そんな時、僕の中に入っていたユーマが僕から離れていく。そしてそのユーマがユークに向かって話しかけていた。

『なぁ。もういい加減諦めてくれないか。俺に何をされたか分からないユークじゃないだろう? だからこれ以上ユークが抵抗するのはやめろ! 今ならまだ戻れる。俺達と一緒にユートのことを受け入れよう。なあユーヤ?』そう言った後ユークに向かって笑いかけたのだった。

僕はそんなユートのことを無性に腹が立って睨みつける。ユートはユーマの体を使って僕のことを挑発しているようだが、そんなユートに対してユークは怒りをあらわにしていた。そして僕をユートが見ていることに気づく。僕もそのユートを見据えると僕は覚悟を決めたのであった。

ユートとユークの戦いが始まり、僕はそんなユートを見守っていたのだがユートが僕のことを挑発してきたことに怒りを覚えてしまう。

そんなユークの姿を見てユムと、アリナはユーヤの様子がいつもと違っていることに気づいていてユーヤの様子を伺うようにしていたのだった。そんな時に僕の目の前に現れたのが、僕のことを誘惑する為にこの世界へ来たはずのユーミだった。

『あ~あ。またユーヤに怒られてしまうじゃないの。それに、ユーヤに体を取られて操られてたユーコにあんなことをされちゃったら、いくら私も困っちゃうじゃないの。それじゃあそのお詫びをしてもらうことにするわ』と、そんなことを言いながらその女性は僕に近寄ってくる。そして僕のことを上から下まで舐めるように見てくるとその女性は僕に話しかけてきた。

「ねぇ。あなたユーラの事が好きなの?」そう問いかけてきた女性を見て僕はユーミにユールの肉体と精神を奪い取られる前に僕を誘惑しようとユーナに変身して現れたあの時の事を思い出した。なので僕がユートの肉体に寄生してユーマの身体を奪った事を見抜かれていると分かっていた。その事に驚き僕は動揺する。

「ねえ。どうなの? 答えなさい!」

その言葉に僕はビクつきながら答えるのである。

「はい。僕は、ユーヤ様のことが好きです。僕の身体を乗っとろうとしないユーラがとても大好きで、そんなユーラの体を手に入れたかったけど、僕がこの体に寄生したら、ユートは苦しんでしまうのでユーヤにお願いしたんです」

そんな僕の言葉をユートは真剣に聞いていたのだ。そんな僕を見てその女性は僕のことを優しい眼差しで見つめていたのである。でもそんな彼女の目を見た僕は恐怖を感じていた。なぜか僕の事を彼女が見つめてくるだけで怖くて仕方なかったのである。僕はそんなユーミの目を逸らしたくなった。そしてすぐにその視線から逃れるために別の方を見ようとしたらユートの事をじっと見つめるアリナの姿が目に入ってきたのだった。その視線を見て僕がその視線の先にいるユートのことを見るとそこには、ユーマの姿がありユークがそこに立っているのが見えたのである。そこで僕はあることに気づいた。その瞳に宿っている光が、ユークと同じ瞳の光をしているという事に。その瞳の色が違っていることから、僕にはすぐにユークとユーマが入れ替わっていることがわかってしまったのだ。

「あら。気づいたみたいね。でも残念。私と、ユート以外の人は気づいてくれないのよね。どうしてなのかしら」と、彼女は僕に向けて妖艶に微笑んだ。そして僕の頬に手を当てると、僕に近づいてきて僕の顔を見下ろした。

「ねぇ、私の体に興味があるんでしょう? だったらユートの代わりに私が貴女の体に入ってあげるわ。それでどうかしら」そんな風に僕に囁いてきた。僕はそんな彼女の行動が信じられなくて、そしてその提案を断りたかったが、僕の体は勝手にユーマのことを見上げていたのである。

そして僕は、なぜか僕の意思に反してユーマに対して興味が湧き上がってくるのを感じていた。そのユーマの事を見ていると僕の身体が熱くなり興奮してしまっていたのだった。僕は自分の身体がユートのものであってユーマの物では無いということを思い出すと僕はなんとか自分を取り戻した。しかしそんなユーナの気持ちを無視するかのように僕の体が動こうとしていたのである。だが僕の気持ちに同調するもう一つの意識が、そんなユーナを制止させたのであった。すると突然その女性の顔に焦りが浮かぶと僕のことから離れてくれたのである。その事に疑問を感じていると僕の中からユーマの力が抜け落ちていき僕は自分の意思を取り戻すことができたのである。その僕の様子の変化に気づくことなく、僕の中で眠っていた僕のユーヤとユーマの人格が再び融合を果たし、そして二人は僕の前に再び現れて僕に語りかけてきたのである。そのユーナ達の姿を見て僕のユーナに対する感情が大きく変わってしまった。なぜならその二人が僕の前に立ってくれたことによって、僕にはその二人とユーナしか存在していないと認識させられてしまい他の人たちのことは頭から消え去ってしまっていったのだった。

そんな僕の様子を見ている二人の姿がユーマとユートと完全に重なっていた。それはまるで本当に双子が存在しているように、ユーナの傍にいる双子の片割れがユートに見えるほどその姿とユートの雰囲気がそっくりな姿だったのである。だが僕のその変化をユーマは見逃さなかった。そしてユートもそんなユークの気持ちが変化した瞬間に僕の心の中の変化に気づいていたのであった。

『やっとわかったのか。遅いんだよ。そんな鈍い奴が僕の相棒を気取ってたなんて呆れ果てたな。まあいい。お前はこれから僕の言うことだけを聞く人形になればいい。これからの事はユーナとユーナの中にいるユーヤにまかせる。だから後はユーラ。君の仕事だ』そう言って僕に向かってユーマが手を差し出してくるとユーマの手を取る。すると僕から溢れていたユーナの力が完全に収まり僕の体の自由も戻っていったのである。すると僕の中にある二つの魂がユーナの中にいるユーラの中に戻っていく。それと同時に僕の中にユーマが入ってくる感覚を感じる。その事で僕の中の二つの心は一つの心を内包することになってしまうのだった。そんなユートとユーマを見ていたユミは少し悲しげな顔をしていたが、やがて決意を固めると僕と、ユーキのことを抱きしめた。

僕はユユの身体を借りる事にした。この体ならユユの記憶や能力を引き継ぐ事ができると思ったからである。そして僕の中に入っていたユーアがアリナの中に入り込みアリナはアリカとして復活する事になるだろうと思うのだがどうなるだろうかと考えていた時であった。突如アリナは苦しみ始めるとその表情が変わると共に体が変化し始めたのだ!しかもその姿はかつて見たことがあるアリカの姿をしていて驚く。だがアリナはそのまま意識を失い地面に倒れたのである!それを見ていたアリナはアリカの方へと近寄りアリカに抱き着くとその顔に涙を浮かべたのであった!

(一体何が起きたのだ?)そんなことを考えている間にもユートと、ユウヤはお互いに激しい戦いを繰り広げていたが徐々にその実力差が広がり始めてユウヤの方が押され始めていた。それを感じた僕はこのままだと危ないと感じてユートとユーヤを止めることにする。ユーマとユートは激しく争い合っているようだったが、僕の声を聞いた途端ユーマの動きが止まると僕のことを見つめてきた。

「なんの用だよユーヤ」とユーマが問いかけてくる。その目は今までと違い、とても冷たい目だった。そのユーマの目を見ているとなぜだか不安感に襲われていた。だがそんな事よりも今は目の前の事に集中しようと考えることにする。

「僕は、アリナを助けたいと思っているんだ。だからユーマ。ユーヤの体から出て欲しいんだけどダメかな?」

僕の頼みに対してユーマは無言のまましばらく考えると僕の方を見て言った。

「なあ。俺がユーヤの身体から出た場合、俺がどうなるかをちゃんと考えているよな? 俺が出て行くとどうなった? 俺が出た後に俺はどうなっていた?」

ユーマのそんな言葉を聞いてユーヤがユーマの言葉に反論する。

『ちょっと待ってくれユーヤ。確かにユーヤは僕の身体に寄生していたかもしれない。だけど僕は、もう寄生していたわけじゃない。僕とユーヤの心が入れ替わった今となっては全てが元に戻ったはずだ!』

「そうかもな。でも俺にはまだ分からないんだ。寄生されてないって言える証拠でもあるのか? それに寄生されている状態でないと俺が出てくることはできないぞ」と、ユーヤのことを馬鹿にするように笑う。

『ユーヤ。僕の言葉が信用できないと言うのかい?』

ユーヤはその問いに答えることができなかった。

そしてユーマは再び僕の方を見て質問を投げかけてくる。

「それにだ。お前は自分の体を取り戻せると思ってるのか?」

その問いかけに対して僕は自信満々で答える。

「うん! 絶対に取り戻す」と僕が断言するとユーマも僕の意見に賛同した。そして二人で作戦を練り、そして僕は僕にできる方法でアリナを助けることにした。僕はユーマに頼んでユーマが作り出した空間の歪みを利用して、アリナの精神だけをそこから助け出す事にしたのだ。そのやり方が成功したら、今度はユーナ達を助けなければならないのである。その事も僕は考えておかないといけないなと考えつつ、僕の中に入ってきたユーマと一緒に僕を縛っているユートを倒すために行動を開始するのだった。

「さて、ユーヤ。ここからが正念場だからね」とユーナの肉体に乗り移ったユートが僕に語り掛けてきた。

ユートの話によるとユートは肉体と精神を切り離すことによって僕の肉体から抜け出したらしい。でも僕はどうやって肉体を分離させるのかわからなかったのでユーナに説明を求めようとしたのだ。

そんなユーマが僕の中に居るユーナの事をじっと見つめながら口を開く。

「そうだね。でもその前に、この世界にいるはずのあの女をなんとかしなくちゃね」そう言ってユートが指を鳴らすとそこに一人の女性の影が浮かび上がる。その女性はアリナだったのだ。

「あら。ユーマ。ようやく貴方が出てきたのね」と、アリナは嬉しそうな笑みを浮かべたのだ。でもそんなアリナにユートが言い返す。

「ふん。僕は、ずっと僕の体で勝手な事ばかりする君のことを殺したくて仕方がなかったんだよ」

「ふーん。私は貴男の事なんて最初から興味なんて無いからどうだって良いわ」

その言葉にユートが怒りを見せる。

「よく、僕の前でそんなことが言えるものだね」

ユートは、僕の身体から出てくる時にユートの力の大半を使い切っていた。そのことで、ユーマはユートを自分の中に取り込みその力を全て奪い取ろうとしていたのだ。その結果ユーマは完全にユートを取り込むことに成功して、完全に主導権を取り戻すことに成功したのである。その為にユートは自分がユートに取り込まれているとは知らず、そして自分の力がどんどんユートに流れ込んでいることも知らなかった。

その事をアリナも分かっていてそんな事を言ったのであろう。

ユートはそれを知ってユーナを睨むと再び彼女に語り掛ける。そして僕の身体で好き勝手にされた仕返しをしようと思ったようだ!

「ねえ。ユーナ。僕のお願いを一つ聞いてくれるよね?」と、そんな言葉を告げられたアリナは、一瞬だけ動揺するとそれから不機嫌になりユーナのことを罵り始める。

そんな二人の様子を僕はただ眺めていることしかできなかったのだ。

しかし僕の中にはユーマもいる。だから僕は二人を止めようとした。

「ちょっと、やめてくれ!僕の体の中に入ってきてくれるな!」だが僕の叫び声などユートと、アリナは気にせずに話を続けていく。僕の中にいる二人の人格のせいで僕に出来ることは何もなかったのだ。

しかし僕の中で二人の人格がぶつかり合いお互いの存在を認識し合う。それは、まるで僕の中で二匹の化け物が戦っているように思えたのだった。

そんな二人の間に突然割って入る者が現れたのである。

ユーマだった。

ユーマが二人の間に入る事により二人は喧嘩を中断して僕の中で会話を始めた。

『まったく。君は僕の邪魔ばっかりしてくれるよね』

ユーマは、自分よりも格上の存在であるユートに向かってそんな事を言っている。だがそんなユートも負けじと言い返している。そして二人は再び激しく言い争いを始めてしまう。だがそんな二人の会話の内容が僕の耳に入ってくることはなかった。

なぜなら、二人が僕の中に存在しているという状態は、とても危険な状況でもあったのだ。なぜなら僕は二人の意思に支配されてしまい、僕自身の意志で何かを考えることすら出来ないほどに、僕の中に存在する全ての感情や、思考が全てユーマ達に奪われていたのである。

僕は、そのことに気付く事が出来ずに、僕の意識の中に存在するユーマと、ユートと、そしてユナのことを信じようとしていたのだ。だからユナは僕の目の前に現れた時、彼女は僕に向かってこう言ったのである。

「私達の事を思い出して欲しいのです。お兄さん。いえ。お姉さんの事だから本当は私の事を妹だと分かっていると思うのですよ。そして私が何をして欲しいかも分かっていると思うの。そう。ユーマとユートに騙されないでほしいのですよ」そんな風に僕に囁いてくれたのだった。ユーマ達は、ユーナのことを騙そうとしていたが僕はそれを疑わなかった。なぜならば、この世界に転移する前にユーナは僕の耳元でこんなことを囁いてくれたからである。

「ごめんなさい、ユーヤ。実は、この事は秘密にしておいた方が良かったんだけど、でもこの世界でこれから起きる事は貴方にとってはどうしても必要だと思ったの。だから教えるね。これから、ユム様が目覚めるわ。ユナ様もアリナ様も無事なのよ。でもユーナ様が、ユーヤはユナ様に殺されたと勘違いしてユーヤを殺すつもりになっているみたいなの。だからユーヤは、すぐにユーナに近づかない方が良いの。あと、もしユーヤとユーナちゃんの関係を誰かに知られてしまえばユーヤは間違いなく殺されるの。それだけ危険が迫ってるの」

ユーナはその言葉を残して僕から離れてしまった。

でも、その時の僕にはユーヤと、ユートの事を信じようと考えていたのだった。その事を僕が思いだせたのはこの光景を見た瞬間に思い出したのである。

僕は、ユーマにユーヤをどうにかするように頼む。でもユーマが、そんな事を簡単に引き受けるはずもなく僕は激しく口論を始めることになったのであった。僕は僕の体にユートが居なければ何もできないのだと理解させられていたのであった。そして、そんなユーヤを見てアリナが言う。

「ユーヤって、本当に弱いのね。そんなのじゃ勇者として、やっていけないわよ」

「う、うるさい。黙れ」と、そんな言葉を言い放つが、僕は自分の身体の支配権を奪われているために反論する事ができずに歯噛みをするしかなかった。でも、そんな僕の姿を見てアリナが嘲笑っている姿を見ると僕は思わず叫んでいた。

「お前だけは、絶対に殺す」

そう叫んだ途端に僕の中にもう一人の人格が現れて僕に語り掛けてきた。その人物はユートだった。

(ふーん。君に僕の事を呼び捨てにする資格なんてないんだよ。僕の名前を呼ぶときはちゃんと"様"を付けて呼んでくれないとダメなんだ)と、ユートは僕の目の前に姿を現すと僕の頬を叩いて来たのである。それから、ユートがアリナのことを睨みつけるとアリナが一歩後ずさった。

『ユーヤ。いい加減にしときなよ。今のままなら君は僕にも勝てないんだよ。そして僕はもうユーナをこの手で殺したんだ。そして次はユーナを蘇らせるんだ。そして今度こそ僕は僕になる』と、そうユートが言うと僕の視界は闇に包まれた。

(くそっ。お前は何をした?)僕は、僕の中から聞こえてくる声に向けてそう語り掛けた。だがその問いかけに対する返事が聞こえる事はなかったのだ。だがその代わりにアリナが笑い声を上げ始めたのが分かった。

(何がおかしいんだ?)と、僕がアリナに対して問いただした。するとアリナが僕に対して笑みを浮かべると僕を見つめてくる。その表情を見て僕の背筋に冷たい汗が流れ始めるのを感じ取っていたのだ。すると僕の中のユートが再び動き始めようとするがそれを抑え込んだのだ。だがその隙にアリナが、僕の身体に乗り移ろうと近づいてくる。僕は、その事に気づき抵抗しようとした。だけど僕はその行動を止めることができずにそのまま僕はアリナに体を乗っ取られてしまっていたのである。その事で、ユートがアリナから逃げようと暴れ出す。だがそんなユートの体からアリナは離れていく。どうやら僕をユーマから奪おうとしたみたいだったけど上手くいかずにユーナはアリナから逃れた。その事にユーナが舌打ちをしているとユーマも怒りの声を上げた。

(ユーナ。僕達と、本気で戦わないか?このまま、この女に体を預けていると君は僕を倒せない。そうするとこの女がまたユーヤの体を奪って君を殺そうとするだろう。でも今の僕は、君の攻撃程度ならば耐えられる。だから僕を倒してユーヤを助け出せ!ユーナ!)と、ユーマがそうユーナに語り掛ける。するとユーナは戸惑いながら口を開く。

「わ、私は、ユーヤを傷つけたくないの。それに貴男を殺したのがユーヤだとわかったから、その罪が償われた時に私はユーヤを受け入れるつもりなの」そんな言葉を口にしたユーナをユーマが一喝した。

『甘えるな!! いつまで、ユーマをユーヤに押し付けるつもりなんだ!』ユーマの言葉にユーナも言い返す。

「押し付けてなんかいないのよ。私はまだ迷っているだけよ!」

『それは違う。君は、ユーマをユーヤに取られたと考えているはずだ』と、ユーナの本心をユートが暴き立てる。そしてそんなユーマの言葉にユーナは、戸惑ったような顔をするとユーマはアリナのことを指差して言う。

「アリナ。君も同じ考えのようだね」その言葉をユーナと、アリナに向かってユーマは語り掛ける。

「なに言っているのよ!ユート。私は、別にそんな事考えてなかったわよ」

『いや、同じだよ。ユーヤ。アリナは僕の力を欲しているんだろう?』

ユーマがそうアリナに向かって言った後にアリナは「そういえばそういう話だったけ?」と言い返した。

『アリナは知らないのかい? 君の力を使えばユーヤを完全に復活させることが出来るのに。ユーマの肉体に、君の意識を移すだけで良いのに、君はそんな簡単なこともせずにユーマの意識を奪うだけに止めようとしたじゃないか。それはなぜだい?』

「だってそれはユーヤのためよ。貴方もユーヤの為にこの世界で生きて行こうって決めたんじゃなかったの?」

そうアリナが言った時、僕はアリナと初めて出会った時の事を不意に思い出していた。確かあの時は、僕を助けるために現れたと言っていた気がする。その言葉を思い出した瞬間に、ユーマはそんなアリナに向かって呆れた声で話しかけていた。

『まったく。まだ分からないのか、このバカ娘が』ユーマは、僕が聞いたことのないような辛辣な口調で、アリナに向かってそう口にしている。

そんなユーマにユーナが言う。

「どういう意味なのよ!」と、ユーナが言い放った。その瞬間に、僕は、僕の体の中から、ユーナの気配が消える。そして僕の体はユーマの支配下に置かれたのだ。僕はすぐに、ユーマの身体から抜け出そうと試みるのだがその度にユーマの強烈な反撃を受ける羽目になったのである。しかし僕は諦めずにユーマに攻撃を仕掛ける。そして僕はユーマを殴り飛ばすと再びユーマの体の中に戻ることに成功したのである。

「はぁ、はぁ、はぁ」

『やるね。でも、そろそろ時間がない。だから決着を付けようか。ユーヤ』と、そう言ったユーマが拳を構える。それに対して僕も同じように拳を構えた。

「行くぞ。覚悟は出来てるんだな」

『あぁ、いつでもかかってこい』

ユーマと僕は、お互いに拳を振り抜くと僕はユーマの顔面を捉えたと思ったがユーマは余裕を持って僕の攻撃を避けていた。僕はそんなユーマに対して足払いをしてバランスを崩すと、ユーマの後頭部目掛けて回し蹴りを叩き込む。

「うぐっ」と、ユーヤの口からそんな言葉が漏れた。その瞬間に僕はユーヤから離れるために後ろへと飛んだのだ。すると、僕の視界が闇に覆われてしまったのである。

(これはまずいかもしれないな)と、僕の中でそう呟いた直後。ユーナと、ユートが僕と入れ替わるように姿を現したのである。

(大丈夫?)ユーナが、ユーヤを心配するように問いかける。

すると、ユートが言う。

『問題ない。それよりもあいつを倒す方法を教えてくれないか?僕は、君と違って弱いんだよ』と、少し情けないことを言うユートに僕は言う。

「そんな事を言っても、仕方ないだろう。それに僕達はこれからユーマを倒しに行くんだよ。そしてアリナを殺す。その後は、アリナの力を奪い取ってアリナと一体化しろよ。そうすれば君は僕達の仲間入りが出来るだ。そうしたら、僕の体を使ってこの世界に復讐してくれればいいさ」と、僕が言うと、ユートは僕の手を取ってきた。

それからユートは僕の手に口付けをしたのであった。僕はそんなユートの行動に対して驚き、顔を引きつらせていたのであった。それから僕はユートに「お前何してんだよ」と言うと、ユーナは頬を染めながらユートに質問した。

「ゆ、ユート様。どうして私の手を突然取ったのですか」と、するとユートは平然としながら答える。

『ん? なんとなく』と、そんなことを言われてしまい、ユーナはユートに惚れている様子だったが僕の身体が勝手に動いてしまったのだ。

それから、僕達が屋敷に戻ると、アリナと、ユーマの戦いが行われていた。ユーナはそんな二人の様子を伺いながらユーヤに聞く。

『ユーヤは、どうやってアリナから力を奪ったの? もしかしてキスでもさせた?』と、その言葉で、僕は自分がどんな状況に置かれていたのかを思い出すことができたのだった。だが僕はそれを否定するようにユーマは首を横に振る。そして続けて言う。

(キスじゃない。それに彼女は、俺とは関係ないところで手に入れた力だ)

「どういうことだ?」

(俺はね、彼女と出会って間もない頃に彼女と契約したんだ。その時はもう彼女は俺の能力を使いこなしていてね)とそう語るユートに対して僕は問いかける「契約だと?」

(そうだよ)と言って笑みを浮かべた。すると僕の口を借りて言葉を発した後僕の腕から血が滴り落ち始めると僕の体が僕のものではなくなってしまったのだ。だが僕の意識はしっかりと存在しており、自分の意志とは違う動きを行う体をコントロールすることに成功していたのだ。その事に困惑した表情を見せた僕に向かってユーヤが告げてくる。

(ふっふっふ。これが、本当の俺だ!どうだ、怖いだろう?)と、僕の口から放たれたのは紛れもなくユーヤの言葉だった。僕はその事に動揺してしまい、慌ててユーナ達に気づかれないうちに体を元に戻せと言った。すると僕に宿っているユーヤは「分かった。分かった」と返事をしてきたので僕はユーヤとのリンクを切断することに成功した。その直後の事であった。アリナと、戦っていたユーマが倒れてしまう。僕はユーマを救い出そうとしてユーナにお願いする。

『アリナには近寄らないで欲しいんだ。だから頼む。アリナを止めてほしい』と、僕がそう口にした途端に僕の体に異変が起きたのである。すると僕の体はアリナに向かって歩み始めたのだった。それを阻止しようとするユーナにユーマが口を開いた。

『無駄だよ。もう遅い。ユーヤの魂は既に、俺の支配下に置かれているんだから』と、ユーマがそうユーナに向かって口を開く。するとアリナがユーヤに襲いかかろうとした時、突如ユーヤの動きが止まった。

「な、何をするのよ。今いいところなのに」

『なに、大したことではない。君に頼みがあるだけだ』

「え? 私? 何かしら」と、アリナは嬉しそうな声音で言う。それに対してユーナが慌てだす。

「ゆ、ユーヤ様? まさかなの?」

と、その言葉を聞いた僕はすぐにユーヤの支配を解くと僕はすぐさま行動に移る。アリナに向かって、全力の魔力を込めた拳を叩き込んだ。その事で僕はユーマの支配権を取り戻して再び僕の身体に戻ることに成功した。そのせいで僕は地面に崩れ落ちる形になってしまうが、そんな事など気にしていられないのだ。

『ちぃ!』と舌打ちをしながらユーマが言う。僕はすぐに立ち上がろうとするも思うように動けない状態になっていることを確認すると同時に、目の前にいるはずの、ユムのことを思い浮かべる。そしてユームは僕を助けようと、アリナの前に躍り出る。僕はそれに安心すると意識を失ってしまうのであった。そんな僕に向かってアリナが「また会いましょうね」という言葉が耳に入ってくる。しかしそれは無理だろうと理解しながらも、アリナによって操られていたユーマはアリナを抱きしめた。そして僕は、意識を失ったのである。

「あれ?ここはどこだ?」

僕はそんな事を呟きながら周囲を見渡すと見知らぬ部屋だったのだ。そしてそんな場所にいるという不安が込み上げてきた僕はとりあえずベッドから出てみると、そこには、僕が眠らされていたベッドがあり、僕の隣では、僕と同じように眠りについていた少女が寝息を立てていた。僕は、そんな少女を見て見ぬ振りをすることにしたのだが僕は彼女の服が少しばかり着崩れていた為か少し胸が見えそうになっていたのだ。僕はそんな彼女の事を凝視しないように視線を外すと、その部屋を出た。それから廊下を歩く。その道中に、僕の目に映るのは、まるで高級ホテルのよう内装が施されていたのだ。

「いったい、どういう場所なんだここって?」

そんな疑問を抱いていると、僕の視界にメイドさんが現れたのだ。「お客様ですか?それともお食事にでも来られたのでしょうか?」と、そう聞いてくるメイドさんの格好はとても可愛らしく清楚な感じで似合っていたため僕はすぐにユートの姿に変わることにしたのである。するとメイドさんの瞳がキラキラと輝き出し笑顔になると僕の元へ駆け寄り耳元でささやいてくる。

「勇者様なんですね」と、いきなりそう言われたことに驚いた僕は咄嵯に逃げようとした。するとその瞬間、メイドに手を握られてしまった。そして逃げ出せない状況に追い込まれてしまった僕は困ったような顔を作り、助けを求めるようにユーナ達の名前を呼ぶも、反応がなかった。そこで僕は再び考える。もしかするとユーヤと入れ替わったのではないかと思い始めたのだ。

それからしばらくして僕はユーマの姿に戻ってしまったのである。すると僕の事を見ていた女性達もユーマの姿を見て喜びながらユーマの周りを取り囲んだ。そしてユーヤは、そんな女性達に囲まれてしまい、身動きが取れない状態で、もがいていたのだった。すると一人の女性がユーマの耳を触ってくるとユーマが顔を真っ赤にさせながら言う。

「ちょっ!そこは駄目だって!」と、そう叫んだ後に僕は、自分の口がユーマに支配されていることに気が付き焦ってしまう。それからしばらくすると僕の身体から、ユーマの意識は離れていった。その事に安堵している僕に対して一人の女性の顔が僕の顔の前まで迫ってきたのである。

「あのー?大丈夫ですか?急に倒れられて、本当に心配したんですよ」と、そう話しかけてくれた女性は先程、僕の前にいた女性であった。

「えっと君は、たしか名前は?」

「あ、私はリーシェと申します。貴方様は、この屋敷の方なのですか?それとも旅の商人様? どちらにしろ大変でしたよね。あんなにも大勢の方が一斉に倒れてしまったのですから」と、その話を聞いたユーヤがユーナ達が心配になってきたのである。そのため僕は彼女に聞く。「ちょっと聞きたいことがあるんだが良いかい?」

「なんでしょう?」

「君達の中で、一番早く起きた人は誰か知ってるかい?」と、僕はその言葉を口にすると彼女は首を傾げてから言う。

「私が知る限り、ユートという方は真っ先に起きてこの場から居なくなってしまいましたよ」と、そう教えてくれていたのである。その言葉をユートに確認するため僕はユートに語りかける。

(ユート。お前はユーヤを、殺したのか?)

『ユーヤの意識は完全に消えたはずだ』

(つまりお前は、完全に僕の体を支配しているというわけだな?)

『そうだよ』と、ユートは僕に向かって口を開いてきたのだ。

(それでこれからどうする気だ?)

『まずは、君の身体を手に入れさせて貰う』

(断る)

『断れば、アリナを殺すけど良いの?』と、その言葉で僕は思考する。だが答えを出す前に僕の身体の支配権はユーマに移ってしまったのであった。僕はそんな事よりもユーヤをどうしたら殺さずに倒せるのかを考えていた。その事に集中するため僕は他の考えを捨てる事にする。

『ふふふふふふ。俺に勝てるとでも思ってんのか?』

『さぁて、やってみなければ分からんだろうが!』と、僕の声はユーマのものだった。

(待てユーヤ! 早まるな)

『ふふふ。これで俺の力は倍増だぜ!』と、そんな声と共にユーヤはユートの身体から飛び出るとそのままユーヤに向かって襲い掛かっていく。それに対してユーマが手に持っていた剣を使って防ぐがユーマはニヤリと笑みを浮かべる。それからユーマの意識は僕の中に戻ってくると、僕の口からユーマの言葉が出てくる。

『くっくっく。まさかこんな簡単に、ユーヤから体を取り戻せるとは思わなかったぞ』と、そんなことを口走るユーヤにユートは何も言わなかった。ただ無言で僕達の会話を聞いていると突然僕の口が開き、その口から僕のものとは思えない声が出る。

「ユーヤ!俺の力を返してもらうぞ!」と、ユーヤに攻撃を行うユームに対してユーヤが反撃を行う。すると二人の姿が消えると、一瞬だけ衝撃波が発生すると、僕がその場に座り込む形になる。だがすぐに僕の口が再び動き出すと僕のものではない言葉を発するのだ。

『ユーマ?何を言ってんだ?俺は、この女と一緒にここで暮らすつもりだからユーマはいらないんだって!』と、僕に向かって言い放ったユームに対してユーマは呆れたようにユーマのことを見る。

『何言ってんだよ!ユーナの気持ちを考えたことあるのか!?』と、そう口にしていたユーマはユームを睨みつけるようにして言うも、そんなユーマに向かってユーナは告げる。

「ユート。ごめんなさいね」

「へぇ?な、な、な、なにを言ってるのよ」

「実はね私、最初からあなたに騙されていたことに気づいてたのよ」

「嘘?そ、そんな訳ないじゃん」

「いいえ、そんな事は絶対にあり得ないのよ」と、そう言ったユーナが微笑むと、何故か僕の中から何かの気配を感じたのだ。そんな僕に構わずにユーナは続ける。

「だって、私の知っているユートさんという人物は、他人に騙されるぐらいならば、騙し返した方がましだと思う方ですし、それに私なんかに恋心を抱くなんて考えられないわ。それに、私には婚約者がいてその人と将来を誓い合っているんだもん」と、そこまで言うとユーナは涙を流す。その姿を見ていると僕の胸がチクリと痛んだ。その事に対してユームが言う。

『残念だったな!アリナに振られてよ。ざまあみろ』と、そう言うユームに僕は、どうしてアリナが僕のことを好きになってくれていた事を知っているのかが不思議に思いながらもユーナが話した事を聞いていたのである。すると僕の中から再び何者かが抜け出した。その正体はユーマのようであった。ユーナの話は、僕にとって嬉しい内容だったが、それでもユーナがアリナの事が好きだという事を僕は信じたくないと思っていたのだった。

『そんな、そんな馬鹿なことがあってたまるか!俺はユーヤだ!お前のユーヤじゃないんだぞ!!』

ユートの言葉が聞こえていないユーナに、必死の形相をしながらユーヤが叫ぶ。そしてそんなユーヤに向かってユーナは、冷たい目を向ける。

「あなたのその態度が、証拠でしょうが」と、そんな事を呟いたユーナが言う。

『そんな、違う!これは夢だ!夢に違いないんだ!目を覚ませ!』と、そんな風に喚き散らすユーヤに僕は少しばかりイラつきを覚えたのだ。そして僕は言う。

「うるさい。少し黙れ」と、僕がそう告げると、ユートの意識は再び消えていく。

「え?え?ど、どういう事なの?どういう意味なの?」

そう慌てふためくユーナの姿を見た僕は彼女に向かって優しく手を伸ばす。それから彼女の頭をなでながらユーナに言う。

「君は僕のことが好きなんでしょ?」

「え?は、はい。そうですよ」

そう答えるユーナのことを僕は引き寄せ抱きしめると耳元で囁く。

「それなら、君はユーヤに騙されているだけだ」と、そんな事を僕はユーナの耳元でささやいていたのだ。するとその言葉を理解出来なかったらしいユーナの顔は次第に真っ赤に染まっていったのである。それから僕はユートに向かって告げる。

「僕のことは忘れるんだ。そして幸せになりな」と、僕は言う。ユートはその言葉の意味を瞬時に悟ったらしく、涙を流しながら何度も頭を下げて言う。

「ありがとう。本当にあり、あとう」そうユートが言うと彼の姿は完全に僕の身体から消えたのだった。

僕がユーマをユーヤに戻すことが出来た後、ユーヤは僕に対して言う。

「本当にありがとう」

「別に礼を言われるほどでもないよ」と、僕は照れるような仕草をしてから笑うとユーヤは苦笑いをしていた。その後すぐにユーヤはユーヤの中に戻ると、彼は僕に対してお辞儀をしたのだった。それを見ていた僕の仲間達はすぐに僕に対して謝罪を始める。それからしばらくして、僕達全員はこの部屋に集まったのである。

「それでこれからどうするつもりなんだ?」と、僕に対してユーマはそう尋ねてきた。

「もちろん僕達の目的を達成するためさ」と、僕がそう答えても誰も信用しない。そのためユーナ達を説得した後にユーマ達にも協力して欲しいと頼むとユームだけは僕に協力してくれたのである。ユーナとリーシェはユーヤについて行ってしまうかもしれないと思ったのだがそれは取り越し苦労でしかなかった。二人は最後まで僕達に協力してくれると言ったのである。そんなこんなで僕が魔族の国に向かうことを決めた後にユーナとリーシェが僕達と共に行動する事が決まったのであった。僕はユーナ達に頼みごとをすることにする。まずはリーシェに対して僕は言う。

「リーシェさんは、ユーナと一緒にここに残ってくれないか?」

「嫌です。一緒に行きます」

リーシェははっきりと拒否をしてみせた。その表情は、真剣そのものだったため僕の説得では動かなそうだと感じたのだった。しかし僕はユーマがリーシャを同行させることを許してくれていたため、どうにかなるのではないかと思ってお願いをすることにしたのだった。

それから数日後、僕達は出発をするために門へと向かっていく。すると門の前には大勢の人達が居たために僕は驚きを隠すことができない。するとそんな僕の目の前にユラが現れると彼女は言う。

「皆様!この度の戦いで我々を助けに来てくだされたユート殿とその仲間達が魔王軍を倒すためにこの場を離れて行く。我々はこの場を離れることは無いがこの国に残る全ての者が彼らを見送りに来い!」と、彼女がそう宣言を行うとその場に集まった人々に向かって指示を出したのだ。そうして人々の注目が一点に集中すると人々は移動を開始する。その数は数百人を超えており彼らは移動する時に一列に並ぶと言う事はせずに、適当に移動を開始したのだった。そうして数十分の間その状態が続きようやく全員が集まった頃にようやく人々が離れ始めたためそこで僕は口を開くことにしたのである。そして僕の声に反応した者はすぐにその場に残ることになったのだ。まずはリーザを連れて来た僕に対してユナは不満そうであったが僕も一緒に来るのならばということで許してくれたのだ。ちなみにアリナについては僕を心配するという理由で同行を拒まれたのであった。そして残った者達に言うのである。

「僕たちは魔族を倒して平和を取り戻すための旅に出ます。そのために多くの力を貸してください。どうかよろしくお願いします」と、僕はそう口にしたが返事はない。

僕の言葉を聞いた誰もが何も口にすることはなかった。僕が困っているとユーマが僕に代わって発言を始めたのである。

「まぁ、そんなに気張らずに行こうじゃないか。なっ!」と、ユーマは僕の背中をポンと叩くと僕に笑顔を見せたのだった。そんな彼に僕は、苦笑を浮かべると、それからユート達のことを見るのである。

(ユートさん。僕が貴方を救います)と、僕の中にいるユートは心の中でそう呟いた。そして僕達はそのまま旅立っていく。こうして僕の初めての大冒険が始まったのだった。

僕の後ろで楽しそうに歩く三人に目を向けると、リーチェが先頭に立っていたユーナに何かを話し掛けていた。その光景を見ているだけで僕は胸が締め付けられる気分になる。そんな僕の手をユーマがギュッと握りしめてきたのだ。ユーマの手はとても温かくて安心できる手だと僕は感じたのであった。そうしているといつの間にかリーダの街を出ており街が見えなくなる場所までたどり着くと僕は言う。

「よし、じゃあ、このまま歩いて行こう」

「おうよ」

「わかりました」

そう口にした二人とユーナを見ていた僕は何故か自分のことなのに他人のように思えてしまっていたのだった。そうして歩いているとユートが話しかけてくる。その会話の内容はユーヤの事ばかりでありユートとしての記憶を取り戻したユートがユートの体を使いこなせるようになるためには、ユートという人格が完全に消えてしまう前に訓練を行っておくべきだと判断したのだろう。ユートという人格を完全に消し去ってしまう方法は、僕自身が経験した通り記憶を失わせる方法が一番効率が良いと僕は考えることができたのだ。そんな事を考えつつ歩き続けていた僕に突然誰かが襲いかかってきたのだ。僕は咄嵯に後ろに下がり距離を取った後に剣を引き抜く。その男は黒髪の短髪に筋肉質の体型をしており腰に差している刀からは、強い魔力を感じとることができた。僕はそっと呟くようにユートに向かって言う。

『油断しないで』

その僕の言葉と同時にユーマはユートの肩を叩きながら言う。

「なんだよ、ユートのおっさん!敵でも居るのか?」

その瞬間、ユーマが指を指していた場所には先ほど僕たちに襲い掛かって来た男が地面に倒れ込んでいたのである。

「ユーマ!何やってるの!?早く助けなきゃ」と、僕は叫ぶがすでにユートの体は動いておらずその視線は地面で倒れ込んでいる男に向けられていた。

『ごめんなさい』

ユーヤの謝罪の念話が聞こえると次の瞬間、僕はその場に居たはずの存在が消えている事に気が付きユーノの方を見て言う。

「ユーヤさんはどこに行ったんです?」

『大丈夫だよ。ちょっと眠らせただけだから。もう起きるからね』と、そんな事をユーヤは言いながら微笑むとユーキが目を開いた。そんな彼を見た僕はすぐに回復魔法を使うと彼は僕に向かってお礼を口にしたのである。

「ユートさんの事は、後で説明するけど今はとにかくこの人を安全な場所に連れていこう」と、僕はユーマに言うと、ユーマはそれに同意をしたのだ。その後で僕は、リーラに頼むと彼女と共に馬車に乗ってもらいユーヤが気絶させてしまった人の事を僕達は連れて行くのだった。そうしてから、僕達はまた移動を再開するのである。そうしてたどり着いた場所でユートは僕達にユーヤがユータでは無かった事を教えてくれたのである。それを聞いたアリナとリーシャは酷く落ち込んでしまい僕に謝ったのだが僕にはどうして謝られるのか理解出来なかった。だってそうではないか?何故、この人達がユータとやらの為にそんなにも感情をあらわにする事ができるのだろうと、僕は疑問を感じたのだった。そうして話を続けている内にユートと僕達は分かれ道に差し掛かることになる。そこで僕達は、ここで一旦別れることを決めた。

僕とリーシャが乗った馬は、ユーヤ達が乗る馬を引かせながら道を進んでいく。

しばらく進んでいると僕達と別行動をしていたアリナが僕達のところにやって来た。

「あれ?リーシャちゃんどうしました?ユーコさんとはぐれちゃったんですか?」その言葉にリーシャは首を左右に振った後で言う。

「違うよ。私が、リーオさんと離れない為に一緒にいるだけだよ」と、その言葉に対して僕は内心ドキッとしていたのである。

「ふーん、リーオさんも大変ですね」「いえ、別に大変なわけではありません」

僕はユーヤが僕のことをどう見ているか分からないため、そう答えると僕はユートに対してどう接すれば良いのだろうかと考えるのだった。それからしばらくの間はお互い無言のままで進んでいた。そしてユーマ達とも離れて、かなり時間が経った頃だった。僕はようやく目的としている魔族の国にたどり着くのであった。

ユートの体にユートの意識が戻るとそこにはユーナの膝枕がユートの目の前に現れた。

(これは一体どういう状況なんですか?)と、ユートは戸惑いつつも起き上がろうとするが体が動かない。

そんな彼の顔をユーナはじっと見つめていた。そして彼女は言う。

「やっと起きたの?」

ユートは困惑しながらユーナの顔を見ると彼女の顔にはまだ悲しさが残っていることに気がつくと彼女は言った。

「ねぇユーゴは私と一緒にいるよりユーマさん達と一緒の方が幸せなの?」

ユートはその問いに対してすぐに答えを出すことができず、黙り込んだ後に彼女は再びユーナの目を見ながら話す。

「やっぱり答えられないんだ。でも私は知ってるのよ。貴方が本当は優しい人で、いつもユートさんのフリをして私の側に居てくれてたこと」

「それはちがいます。俺はそんな事は」

ユートの言葉に彼女は首を振るうと続けて言う。

「いいのよ、本当のことは分かってるもの」

ユートは何も言葉を返すことができなかった。

そんな彼女にユートは何の言葉も掛けることはできなかったのだ。するとユートの頭の中に声が響く。それはユーヤの言葉であった。

『僕が貴方の代わりを引き受けましょう。僕はこれからもユートです。今までもそして、これからもずっと貴方の側で生きていきます。それが貴方の為になると信じるのです』

そんなユーヤの声にユートは少し戸惑ったがそれでもやはり自分がユートだと伝える事ができないまま時間は過ぎていった。そんな時だった、部屋の扉が勢いよく開け放たれる。そしてユーナによく似た女性が入ってきたのだ。しかし、その女性の瞳の色だけがユートが知るユーナの綺麗な赤色ではなく青色の瞳をしていた。その事からユーナは彼女が人間ではなくなったのだと察することができたのである。そうしていると女性は、ユートの方に目を向けると近づいてきて抱きしめてきた。

そしてユーナと同じ匂いを感じとることができたのだ。そしてその女性に対してユートは何も言う事ができなかった。

そしてユーナの双子の妹と名乗る女性は口を開く。

「ユート、無事だったんだね」その言葉で彼女が自分の姉なのだと確信したがユートはそれを素直に伝えることはできないのであった。ユーナの妹であるユムは自分の腕をユートの腕に絡ませる。

「ユートさんは僕のだからダメ!」そうしてユナがユートを庇おうとしたのであるが、それをユートの体の中に入っていたユーヤが止める。ユートの体は動かず、ただ見守るしかないユートであった。ユートは二人に視線を向けつつ、ユートの中にユートが居るとユムに悟られないために、ユートはあえて何もしなかったのだ。それからしばらくしてユート達の元を訪れたユートの父によって、ユートは屋敷の外へと追い出されたのだった。そうして外に出たユートは外の空気に心を落ち着かせると屋敷の中に入る。そしてユートはユーヤが自分と入れ代わってくれている事に感謝しつつも、その事を誰にも言う事は出来ないと決め込むと、ユーマの部屋に向かうのであった。ユートはユーマに事情を話して部屋に戻るとそのまま眠りにつく。そうしてユートの一日は終わった。

翌日、ユート達は街を出発していた。その途中、馬車の荷台に寝ていたはずのユーナがいつの間にか御者席に座っていたユートの隣に移動して来て話し掛けてきた。ユートは、そんな彼女を警戒しているユートだったが特に危害を加えて来る様子はなく、ユートは彼女の様子をうかがいながら馬車を走らせ続けた。しばらくすると森に入りユーナの表情が険しくなる。ユートもその事に気がついていたがあえて無視をする。そんな時だった、突如として地面から黒い煙が発生しユーナ達を飲み込んでいく。そんな光景を見たユートの頭に誰かの念話が届いた。

(ユートさん)

その声で誰が話しかけて来たのかすぐに分かったユートは言う。

(ユートさんは僕と入れ替わりなさい。ここは、僕がどうにかしますから安心してください。それと僕はユーヤという存在なのですからあまり気にする必要は無いんですよ。それじゃ後は任せましたよ)と、その一言を残して彼は僕の体から抜け出してしまった。僕は慌てて引き戻そうとするがすでに彼の体はユーキの体から抜けきっていた。

(ユートさん!待ってください)と、僕は叫ぶ。しかしその叫びが届くことはなかったのである。それからユーマと入れ替わった僕は馬車を止めさせると同時に言う。

「すみません、急に止まってもらって。少しだけ、あそこに居る人達を助けに行ってきます」そう口にした僕を見てユーキ達は首を傾げていた。そんな中、僕に向かってユートは言う。

「わかった。行ってこい」僕は彼にお礼を言うと馬車から飛び降りて、すぐに魔法を使って移動をした。そんな彼を見送るとユーキとユーコは僕が消えたことに驚いていたが、ユーコは僕が使った魔法が神域魔法の移動魔法だということに気づいていたため、僕は大丈夫だろうと判断してくれたようであった。僕は魔法を使い移動すると地面を駆け回りながら魔物達の数をどんどん減らしていくとやがては辺り一面にいる敵が全ていなくなると僕は空に飛ぶと地面に落下するまでの間に結界を張って地面に降りる。それから僕は地面に横になっている人に声を掛けると彼は起き上がった。

それからしばらくして彼は立ち上がるとこちらに向かってくる。彼は僕を見るなりいきなり謝罪を始めたのである。

僕は、彼が何を言っているのか分からなかったのだが、彼の後ろの方には倒れている人が居た。僕はそれを見ると彼は僕に助けてくれた礼を言い、僕にお詫びがしたいと言ってきた。そしてお詫びはなんでもすると、そう言ってくれたのである。

僕はそれならばと、まずは彼等の安全を確保することを最優先事項とした。そこでユート達に、僕の事を説明しても良いのかを確認する。

それを聞いたユートは僕に対して「構わない」と言ったので、僕は彼等に説明することに決めたのだった。

そうして僕はユートと別れて、ユートが連れていかれた場所に行くことにした。

その場所とは、勇者の暗殺を請け負った人物がいるとされている国だったのである。そうして、僕はその国に辿り着くとそこには門番がいたので僕は尋ねる。その時に門番がユートの名前を知っていたことに違和感を覚えたのであったが、とりあえずは門を通してもらえるように頼んでみる。

「貴方様のお名前を教えてもらえないでしょうか?」と言われ僕は言う。

「僕は、リーオと言います」すると何故か、その名前を聞くと、門番は僕のことを怪しみだしたのだった。しかし僕はこの国の王子であるユートの知り合いだと答えるとなんとか入国することができた。そうしているうちに、僕は一つの場所にたどり着く。そこには一人の老人と二人の男が立っていて彼らはユートについて語り合っていた。そうしてその話を立ち聞きするとユートはどうやら魔王城に乗り込もうとしていたようである。そして、ユートの実力がどれほどのものなのかという話になった時だった。一人の男性が言い放つ。

「ユートは俺達が倒す。あいつだけは許せないんだ。あの日、俺たちの村を襲い両親と兄を殺した男だからな」

そんな彼の言葉を耳にして僕は確信を得た。ユートの復讐相手はこの男性ともう一人の女性なのだと、そんなことを考えていると突然、女性が言う。

「もういいわ、私が殺すもの。貴方達では役不足だもん。私が必ず殺してやる。絶対に」そう口にした女性の目はまるでユートを憎むかのように鋭くなっていた。

ユートはユーマと入れ替わるとユーゴと、その仲間と思われる者達の所に案内された。ユート達はユーゴ達と合流する前に、先に宿を探す事にしたのだった。そうして見つけた宿の一室に入るとユラは椅子に腰掛けると、ユーゴはユートが腰掛けられるように隣を軽く叩いて誘導してくれる。

そうやって二人が席に着くとそのタイミングを見計らっていたかのような間合いの良さで扉が開かれたかと思うとその瞬間に剣を振りかぶる男の姿が視界に入る。それを目にした途端にユラがユーグに向けて魔法を放つとそれは彼女の手元から消え去ったのだった。そして次の刹那に彼女は自分の体に強化系の付与をかけると同時にユートの手を引きその場を離れることで事なきを得るとユートに対して言う。

「ユートさん、貴方ならあれくらい簡単に避けれるでしょうに何故逃げなかったんですか?それに今のだって避けることができたはずですよね?それなのに私に任せてしまったと言うことはやはり、まだ本調子じゃないって事で良いんですよね?」

ユートはそれに対して苦笑いをする事しか出来なかったのであった。そしてその後、少しばかり会話を続けているとお昼を食べようと誘ってくれた。それから三人が向かった場所は街にある食堂でありそこで食事をすることにしたのだ。そこで食べた料理はとても美味しくて思わず笑みを浮かべたのであった。そんな食事を終えてから再び宿屋に戻る道中ではユズがずっと何かを考え込んでいるようでずっと黙っていた。そんな様子にユトは気づいていたのだが、それでも特に指摘することはしなかった。そして宿に戻るとすぐに就寝の準備を始めるとユズは一人でどこかに出かけて行ってしまう。それからしばらく経つと戻ってきたかと思えば、なぜか彼女はユーマと一緒に寝たいと言出し、二人は同じベッドで眠りにつく事になったのだった。

朝になるとユートはユーゴに連れられて、ユート達のいる酒場に足を運んでいた。

すると既にユナの姿がありユナとユーマが楽しそうに談笑をしているのが確認できたのだった。そんな時だった、ユーゴの口からユートにとんでもない事実を突きつけられたのである。なんとユートはユーヤという人物に変わっておりしかも今ユーヤは、ユムという少女と恋人の関係に発展しているというのだった。そんな話を聞いたユートは唖然としてしまうのであった。

ユートは、そんなユズを見ながら思う。どうしてこんなにも、僕の周りの人間は次々と新しい出会いがあるのだろうか、と。そう思いながらユズと、ユーヤという少年を眺めたユートは羨ましく感じてしまうのであった。それからユートはユート達の居る場所へと足を運ぶと、すぐにユートも合流を果たすことになる。

それから、ユトとユートは一緒に行動することを決めたのである。そして、ユートが勇者であるユーキの所に向かい事情を説明しようと考えていたのだが、そこでユナは唐突に言い出す。

「ねぇユートさん、せっかくですから観光して行きましょうよ。この街には色々と珍しいものがあるって聞いたのよ」

ユートはそんな提案を聞いて驚くのであるが、それと同時にユートの頭の中では、このまま二人と行動を共にするべきなのではないかと考える。だがユートは迷うとユートがユーゴに視線を向けると彼は笑顔を見せてくれた。

「別に構わないぞ。ただユートとユーキには少しだけ用事があるらしいから俺はその間、二人で楽しんできてくれ。もちろんユートとユーキの分の宿泊費はこっちが持つから気にしなくて良いからな」

そのユートの言葉にユトは言う。

「ありがとうございます。それでユートさんとユーキさんの御用とは、どんなことですか?」

その言葉に対して答えたのはユーキであった。

彼は言う。「ちょっと僕が勇者だってバレちゃったからそれの対応とかをしに行こうと思っているんだ。まぁ詳しい話はまた後で言うからとりあえず今はユーコとゆっくりしていけば良いよ。あと、ユーコのことも僕が守るけど心配はいらないよ。それと僕とユートと君たちで別れて行動するのが一番安全なはずだから、ユートはユートとして過ごして欲しいんだ。それじゃ後はよろしく頼むね。僕はそろそろ行くから」と、口にすると、そのまま立ち去ってしまった。そして、ユートはと言うとユーキの後を追うべくユーキと同じようにユーコに言う。

「僕はユートではなくて、ユーキの方に行きますので。ユーコさんとは、ここで別れることになりますがご了承ください」

ユーコはユートに対して不満そうな表情を見せていたが、最終的には言う。

「仕方がないわね。ユートくんとはユーキが戻ってくるまで二人っきりで楽しみたいんだけど。あ、でもユートの事も好きだし嫌いになれないわ。むしろ好きになる一方なんだもの」

ユートはそれを聞くと苦笑いをしてから、ユートが着ていたローブを彼女に手渡すと、それからユートとユートは互いに別々の道を進む。

その頃ユーゴは一人になると呟く。

「あのユートという少年には、ユートとは違う強さを感じるんだよな。何がと言われれば上手く説明できないが。それに比べてユートの方は、ユート自身に問題があるのかと思っていたのだが、ユートが入れ替わっているという事実を知れたのは収穫かもしれない。あの子の正体を知るためにもあの子と仲良くしておく必要があるかもしれな い」と、口にして彼はユーゴが待つ場所へと向かうのだった。

ユートは、一人で王都の中を歩いていると、とある店に辿り着いたので、そこで時間を潰すことにしたのである。

そこは魔石を販売しているお店で店内に入ると店員に声を掛けられた。

「お客様は勇者様ではないでしょうか?」そんな質問をされてユートは戸惑った。

「どうしてそう思ったんですか?」と、尋ねてみると。

「先ほど、魔王を倒した勇者様がいらっしゃったんです。その方が勇者様のことをとても気に入っていて、もしも見つけたらここに連れて来るように言われたんです」と言われてしまい、ユートは困った表情をするしかなかった。そしてどうしたものかと考えていると店主らしき人物に話しかけられてしまった。

ユートはその人に名前を名乗ろうとすると、その人は何故か驚いてしまうのである。そうしているうちに、その人はとても興奮した様子を見せるとユートの肩を掴むのである。そうしてその人はこう言って来たのだった。

「あなたが、あの魔王を倒したユート様だったのですね。実は私達には娘が居ましてね。もし良ければ貴方様にその娘の名付け親になって欲しいのですが、引き受けてもらえないでしょうか?貴方に娘の名前を授ける権利を差し上げましょう」

突然の出来事にユートは驚いたのであったが、すぐに言う

「すみません。僕は貴方の娘さんの名前を知りませんので教えてもらえると嬉しいのですが良いでしょうか?」

それを聞いた相手は「え?貴方様は本当に魔王を倒して下さりました勇者様なのですか?確かに貴方の顔は勇者の面影を残しているように見える。それならば、私達が知る限りで一番強いと言われているユムの名を授けたいと思います」と、口にすると。その瞬間、ユートの中に知識が入ってくるのがわかると、それがユムという名前だとわかった。なのでユートは答える。

「その名前でしたら是非ともユムさんに、お願いします」

そしてその後すぐにユートは店を後にしたのであった。それからしばらく歩き続けるとユートは気になっていたことを試してみる。それは自分自身のステータスを見るということだ。そして、自分の能力を確認したところレベルは30になっていて体力も1000を超えており全てのパラメータも2000を超えていたので驚愕してしまったのだ。

その後、王城へ向かうと門兵に事情を話して中に入れてもらうと、早速王の間に通されたのである。そこではユートを出迎えてくれる者達がいたのだがその中の一人の男が言う。この国の王様であるユーゴの父でもあるダリウス王は言う。

ユートは言う。「はじめまして国王陛下。私はユートと言います。ユートというのは僕の元いた世界では男に使う言葉であり、こちらの世界での呼び名ではありませんが。それでも宜しいのでしょうか? それに加えて言う。ユートは言う。

「貴方には僕の本当の姿を見ても信じていただけますか?」

ユーゴはユートの問い掛けに対して答える。

「お前が何を言っているのか俺にも良くわからんが。ユートは紛れもなく男のはずだ。だがその体は明らかに女性にしか見えなくてな。だから正直言うとよく分からない。とりあえずユートをここに招いた理由を説明しよう。今日はわざわざ訪ねてきてくれてありがとう。そしてユートに頼みがあるのだ。今我が国は危機に陥っている。そこでだ。我が息子ユーキが今魔王と戦おうとしているのだが、残念ながらその相手がかなり強力な魔物らしくて倒せるかどうか怪しい所なのだ。そこで、ユートに頼みがあるのだ。もしもユートに時間があるようなのであればユーキの手助けをしてやってくれないか。もちろん、ただでというわけではない。報酬はもちろん支払わせて貰う。それに、魔王討伐の際に倒した魔物の死体が山のように残っているから好きなだけ持って行っても良い。それから魔王を倒すのに成功した場合ユートは勇者として認定させて貰うつもりである。その事を考えて返事が欲しい」と、言われると、ユートは答えを出す。

「その話に乗りましょう。ユーゴさんは僕の恩人であり、ユーキさんとは友人関係ですので断る理由はありません」と、口にする。

それを聞いてユーゴは「ありがとう」と、言い、そしてこれからの事を色々と話すことになったのである。そうして一通り話をし終えると最後にユートに対して、勇者認定の儀式が行われることが決まる。それからユートはすぐに退室することになる。そうして、外に出て空を見上げると、太陽の位置はちょうど正午の位置にあることがわかると。それを見たユートはユーキに頼まれていたことを思い出して王城に急いで戻ることにしたのであった。

そうして王城内に戻った後、ユートは、ユーナと一緒に行動することになった。ユーナと共に行動することで彼女の身を守るという目的もある。しかしそれ以上に彼女は僕に好意を持って接してくれていることを感じ取ったためだ。そうして彼女と行動を共にすることを決めると、まずは宿屋へと向かうことにした。

そして、僕達は二人部屋を借りて二人で行動することとなった。そうしてから僕達は食事を取ることにする。ユーナは言う。

「私達って友達なのに二人だけで食事をするのは変じゃない?」と、口にしてきた。

それに対して僕は答える。「そんな事はないよ。僕は君となら一緒に食べても楽しいからね」と、言いながら。それから僕たちは宿にあるレストランに向かうのであった。それから料理を食べ終わると。僕とユートは部屋に帰り少しだけ会話を楽しむと、それぞれ眠りについた。そして、その翌日からユートとして僕は活動することに決めた。そうして僕はユーキとユラと合流するために動き出すことになる。だがユイと会えばユーラの存在を知ることになるだろう。だからこそ慎重に行動しなければならない。ユーキに頼んでユイとの面会を許可してもらってからの方がいいだろうと思う。

だが、今はユムの件を優先した方が良いだろうと僕は考える。ユートがユートの姿でユイに会いに行くと何か問題が起きる可能性が高いと、判断したからである。そうして、今はユーキの指示に従って行動するしかないと理解しているからこそユートは、ユーマの行動を監視して見守ることにしたのだった。ユートはユーマの後を追うべくユーヤの服装に着替えると同時に、王都の街に出る。そうしているとすぐに、ユーキの姿を見つけて近寄った後、ユーコのことをユーナに伝えてユートの代わりに彼女に預けることを提案すると。それを聞いていたユコも納得していたようだ。

それからすぐにユーキとユートは別々の行動をとることになると、ユートも王都に用事があると伝えるとそのまま別れることになり。ユートは一人で移動することを決めたのである。そうしているうちに時間は過ぎていき、気が付けば夜が来てしまいそうだと察したためか、ユーゴは一旦家に帰るようにと伝えてくるが。ユートは、それに従うことなく、一人行動をする事を選ぶ。それからしばらくの間はユートはユーキを探すための情報収集を行い、その途中、一人の人物に目を付けた。その人物はユーゴの息子であるユーゴで間違いないと直感で分かったからだ。その男はユーゴに良く似ていたからである。なのでその人物に近づくと、その人物はこちらに話しかけてきた。そして、その男が口を開く。

「君はもしかしてユーゴの関係者なの?」

と、質問されユートは「そうですよ」と、短く答えてからユートはユーゴに対して言う。

「貴方が、ユーゴ様の息子さんのユーゴさんで間違いないでしょうか?」と、問いかけてみると。ユーゴは自分の名前を呼ばれたことに驚いた様子を見せつつもユートに対して質問をする。

「そのユーゴと言うのは僕の父親なんだけれど。一体どうして僕の父の名前を?」と、聞かれたため。「実は僕の父がユートと名乗っていましたので」と、答えるとユートと名乗る人物と会った記憶が無いユートはユートが嘘をついていると判断をしたようでユートに向かって話しかける。

「悪いんだけれどもさ、ユートなんて名前に聞き覚えは無いんだよ。それでさっきも聞いたかもしれないんだけど、どうして君はそんな名前を僕の名前だと思うようになったのかな?もし良かったらその理由を教えてくれないだろうか? その方が君の疑いが晴れるかと思ったから」

ユートはその問いに対する回答を口にする前に一度、周囲を確認するとそのタイミングで近くの店から人が飛び出して来る気配を感じると、咄嵯に回避を行うが間に合わなかった。その結果、店の中にあったガラスの破片を浴びてしまうのである。

そうこうする内に周囲の人間が集まりだし。その中には兵士の姿もあってすぐにユートを取り囲まれてしまった。そこでユートは観念して、自分の素性について話し始めた。すると兵士達からは驚きの声があがっていたのだった。その出来事によりユートは、すぐに自分のことを国王ユーゴの弟であり、この国の貴族でもあるユミの夫であり、この国の騎士であり、勇者の称号を国王より授けられた男であり。さらには、ユノという少女を妻に持った人物であり。ユムという名をつけた人物でもあるということまで知られてしまう。

その後ユートは拘束されると。取り調べを受けることになってしまうのだったが。その途中でユイが現れて助けてくれる。それからはユートは王城の客室へと連れてこられて事情聴取を受ける羽目になる。そしてその途中にユーはユーナと会うことが出来たのでその日はこれで終了するのであった。それからは数日間のんびりと過ごす。それからしばらくしてようやく解放される。

その後、ユートは他の王都内にあるユーキとユライが泊まっていたはずのホテルを訪れると、そこには、誰もいなかったためユートもそこに滞在することにしたのである。そして一週間が経過したある日のこと。ユーはユーコと共にユーキから指定された場所に向かっていたのである。ユートとしてはこの場所に呼び出されたことに関して特に思うことはない。そう言った理由で、ユーキから呼び出しを受けた場所は街の中にある噴水前ということもあって人通りは多い方だとは思っていたが。それでもユーが向かうべき目的地が近いせいなのか人の数はまばらであり、ユーは人目につきにくい場所で待機をしていたのである。

その最中ユーは周りの様子を確認してみる。そこで、こちらの方をチラリと見てこちらを伺うような動きを見せた存在を察知したので、そいつを捕まえるためにそちらの方に歩み寄ると、そこで腕を掴んだのだがユートの姿を見てその相手が驚く声をあげる。そこでユートがその相手をまじまじと観察して見るとそれはザトウであったのだ。そこで、彼はユーに気が付くと慌ててその場から逃げようとするが。そんな彼を見てユーは一言呟く。

「お前か。俺の妻に手を出した馬鹿は。まさかこんなところにいるとは思わなかったな。とりあえず、俺の知り合いの子供を拐かして傷物にしてくれたお礼はきっちりさせてもらうから安心しろよ。ただで済むと思えるほどお前は甘い人生を過ごしては来ていないだろうから覚悟しとけよ」と、口にした直後、ザトウがユーに攻撃を開始したのだがユーはそれをあっさりと避けてみせた。そんなユートの様子を見た相手は、今度は魔法を放つが。それさえもユートは回避した。

それからもユートは攻撃をし続けるが全てユートによって防がれ続けたため。相手の実力が自分の予想を超えていた事に気づいたのであろう。すぐさまユートは逃げ出すことにした。だがその動きを読んでいたユートによって、背後に回られるとユートが背中から抱きつくような形で抑え込まれてしまった。

そして、そこからさらに抵抗しようとしたために。首筋を叩かれるとその場に倒れ込んでしまう。

そうしているうちにユーの意識は徐々に薄れていくと。次に目を覚ました時に見えたのは白い天井だった。その事を不思議に思ったのは当然の事である。なぜなら、ユートは自分がベッドの上で寝かされている事と、見知らぬ部屋の中に存在することに違和感を覚えると同時に、なぜ自分がここにいるのか疑問に感じたのだから。そうしていると誰かが部屋に入って来た音が聞こえてきた。そう言えばと、ユートは今現在の時刻はどうなっているのだろうと思って時計を見ると既に日付が変わっており、朝を迎えていることに気付いたのであった。それからすぐに扉が開かれると。そこには白衣を着た男がいて。その男に、ここは何処かと尋ねる。

その問いかけに、医者と思われる男性は、ユーが何者かはわかりませんが命には別状がないと言ってくれた。それからユーはすぐに退院する事になりユートは医者に感謝を告げると共に部屋を出ると、外ではユーゴやユーゴに良く似た人物が立っていたのだ。そして、ユートはユーゴが話しかける前にまず、目の前に現れたユーゴに対して頭を下げると謝罪をする。だが、それに対してユーゴは何も言うことは無かった。そうしてしばらくの間はお互い沈黙を保った状態で歩き続ける。それから少しして、城の近くに到着するとそこで解散することになった。だが、その時ユートはふと思ったことがあり、その考えを確かめるために、ユイの事を尋ねてみると意外な答えが返ってくるのである。

その答えというのは「彼女はすでに帰宅している」というものであった。その言葉を聞きユーナは「ありがとうございます」とお礼を言うと、その場でユゴ達は去って行くのを見送るのであった。そうして、ユートとユーイも別れる。その途中、ユートはユーナから手紙を受け取ったので、ユートはそのままユーコと一緒に家に帰るとユートは、自室でユコの書いた手紙を読んだ。その内容はユートが考えている通りのことが書かれていて、すぐにユコをユーゴの所に向かわせるようにと指示を出すのであった。その次の日に、ユイが帰ってきたのでユーはユイに、王都の宿のユコに会ってきたことを伝えるとユイは驚きの声をあげながらユトに対してユーコは無事かと聞いてくるので大丈夫だと伝えると。ユミはユーコの頭を撫でて「ユートさんを信じてよかったわね」と、言うのである。

そのユミの言葉にユーコが反応を示す。そうするとユマも一緒に「ユート兄ちゃんは優しいから絶対守ってくれるって、私、信じてた!」と言い出してユートは困ってしまうが「ありがとね」と、言うのであった。そして、ユーが家に帰るとそこにはリッカが待っていてくれて「ユーキ様が呼んでいます」と言われる。

その事を聞いたユートはユーキの居る場所へと向かいユーキと合流すると、そのまま王城内に向かうのであった。ユートが向かった先。それは王城に用意されているユーキの私室であった。そこではすでにユーが待ち構えておりユーはそこで挨拶を行うと、ユーキから話があると言われた。なのでユートはまず、自分の目的について話始めると、それに関してはユーキが協力すると口にしたので、そこで話は終わってしまい。その後ユーキはユトと二人で話をする為に別の場所に移動してしまい、その隙にユーはユムがどこにいったのだろうと周囲を見渡したが。その近くには居なかったのだ。その為、仕方なくユムを探すことは諦めた。

それからユーは、ユナの部屋に行くとそこで彼女と話をしてから。ユーとユミとユトの三人で、これから何をしたいのかと話すことになった。その話題に対して最初にユミが手を上げるので彼女が何かと聞くとユミはユーに提案をする。その提案は「冒険者として生活をすると言うことですよね?」という問いに対して。ユーは「そうだな。俺の望みもそれに近い。だけど、俺はもっと別の方法で世界を見て回りたいと思っているんだよな。そのためにまずはこの国の中で旅をしながら、この国以外の文化を見ていきたい。そして、最終的にはこの大陸を旅するつもりだな。まぁその前にこの国をしっかりと見ておきたいとは思うけどな」

ユーの回答を聞いてユートはなるほどと思い。ユトはユムはどう思っているんだろうと考えると。ユミの膝の上に座っていたユトの様子が変だということに気づく。そしてすぐにユートはその理由を聞くことにしたのである。そのユトに問いかけられた事でユートはその質問の意味に気が付き。その事について説明をしたのだった。

そうこうしているうちにユラはリッカを連れてユーの元に向かって来たのだった。その目的は当然ユーとユラにユーの体の中に存在しているユイと会話をしてもらうことである。そして、ユラに体を乗っ取られたユイとユトが会うことになるのだが、そこでお互いに見つめ合った瞬間、二人は同時に同じ言葉を呟くのであった。

「この人がユートさんの愛してやまないお方なのですね」と、二人同時に同じことを口にしてお互いの自己紹介を行った後にユートとの関係などを教えてもらう。そうすることでユラはようやくユーから解放されると。それと同時に、ユートは自分と同じ名前のユーと、初めて対面したのである。

そんな風に、ユートにとっては新しい一日が始まり、そしてユートにとってはとても忙しい日になるだろう。

ユートは朝食を食べてから、すぐに王城をユーキに案内してもらってその道中、色々と説明を受けながらユーキがユートをどこに連れて行こうとしているのかを察していた。しかし、その場所を実際に見たユーは唖然としてしまうのだった。何故ならそこは、王城の地下に存在していた大図書館だったからである。ユーはユーキと共にそこに入るとその膨大な量の蔵書量に圧倒されるのだが。

その大量の書物の中から何冊かをユーはユーキから受け取っていた。その受け取った本の一ページ目を見てみればそこには、文字ではなく図が描かれているのがわかった。それを見て、ユーは本の内容を想像する事ができ。それがユーにとっての新たな出会いとなる。それからはユーはユーに連れられるまま、色々なところをユーに見学させられる事になるのだった。そして、最後に案内されたのはユーの家の地下に存在する宝物庫でありその部屋にある品々を見れば。この国の財力がわかるほど豪華で美しい宝飾が施されたアクセサリーが大量に保管されていたのであった。

それから、昼食の時間になった頃に、王城で用意された食事をユート達は食べる事にした。ユートとユトはユナに連れられてユーキとユーコ達も共に食堂まで向かっているのだが。

ユートはユマに、ユーキはサチと一緒に行動をしていたのでその二組で分かれて食事を食べる事に決まる。そして全員がテーブルに腰掛けるとユートは全員に向けて挨拶をすると同時に食事が始まるのだった。その最中ユートはユー達に、王城内の様々な場所でどんな事をしてみたいかとかを話し合うと。まず初めにユートがユーから聞いた話でユーが興味を持っていた物を中心に話し合う事になったのである。

まず最初は地下の図書室に保管されている資料の閲覧を行いたいと思うと言って。ユートは早速、ユラにお願いをしてユーキに許可を得ると共に。その時に、自分が知りたいという事をユーに伝えてほしいと、頼むと、それを見たユーがユカと相談しユーとユムは、ユト達の事をユイとユイに預けると、そのままどこかにいなくなってしまうのだった。

それを見てユトは不安になってしまうが、ユトはそんなユートの様子に気づいてユーが自分達のことを信頼してユムとユラの事を託してくれたと伝えると。ユートはほっとしたような表情になると。すぐに気を取り直してユートも、ユー達が行きたがっている所に向かうことにするのであった。

それからしばらく、三人で行動を続けると。ユト達はユーの案内によって地下に続く階段を見つけると、そこから下りる事に決める。その途中途中で、何度か兵士とすれ違う事があったのだが、彼らはユトを見るなり、すぐに道を開けて通り過ぎるまではその場に留まってユートを見送っていた。

そう言った事もあり、地下の目的地には思ったよりも早くたどり着くことができたのでユートは、改めてその光景を見ると驚く。それは地下とは思えないほどの巨大な空間が広がっているのである。ユートは目の前に広がっている光景に思わず口を開けたまま、その先に進む事を躊躇うほどだったのだ。それからしばらくしてからユーはユムの背中を押しながら前に進む。

それからユトはユーと一緒に、地下の通路を進んで行くが、その途中何度も兵士が警備をしていたのでユートは不思議そうに思っていた。しかし、すぐにユーは兵士たちの行動の意味を理解してしまうのである。その理由というのは、目の前に現れた扉を見てしまえば一目瞭然であったのだ。

そこには今まで見てきた中で最も立派な両開きの木製の大きなドアが、ユーの目に飛び込んできた。それを目にしてユーが固まっていると、後ろからユムに声をかけられて。我に返ったユーは急いでユムの元に走って合流する。

それからユーは、自分の横に立っている少女にユームという名前だと教えてもらって。そのあとに、彼女はどうしてこの場所を知っているのかと聞いてみると。どうやらユーはここに来るまでに、ある人から話を聞いたと口にするのである。

そうして、ユムにその人の名前を尋ねてみると、ユーが答えてくれなかった。その為、もう一度ユーが聞き返すが、ユーはそれに返事をしなかったのであった。その為、仕方なくユーは自分でその場所を探すために辺りを見渡すと、ユーは何かを発見したようでそこに近寄る。

その発見した場所とは。壁の一部分に小さな窓のような物がついており。ユーはその窓の部分に触れる。するとその窓からは真っ白な紙が出てくる。どうやらこの壁は一面が、ただの壁ではなさそうである。その白い紙の部分にユーは自分の血を使って自分の名前を書くと。それを持って来たユートに見せるようにユムは言う。そしてそれを見てユーは納得すると、ユムに言われたとおりにその紙を折り畳むと、ユムに手渡してからユムの頭を撫でたのであった。

ユートとユムの二人がその場所から移動する為に、歩き始める。その移動の最中にユーはふと思ったことがある。

それはユートの身体の中に宿っているユイの存在であった。

それからユーとユムは、その部屋の奥にあった隠し部屋の中に入るとそこには、一人の男が椅子に座って本を読んでいる姿が見えたので、その男はユー達の存在を確認すると本を閉じてから立ち上がり二人に挨拶をする。その男の名前は、サザラというらしいが。ユーは、その顔を見た事があるなと思ってしまった。それも当然で、サジと全く一緒の顔だったのである。その為に、サグに質問をぶつけてみたが。その問いの回答をもらう前に。ユムが、ユーの手を握るとその腕にしがみつくと。そのままサユはその場を去って行った。

そんな事があり、ユーは一人でその男の相手をする事になるが。ユラはサザラと言う名を聞きユーは少しばかり驚いていた。そしてユーはユズにユマが言っていた言葉を思い出し。まさかこんなところで、ユズの父親が関係してくるとは思ってもみなかったので。ユーはユラから聞いた話をそのユズの父親であるサチに伝える事にしたのである。

そうしてからユートはユラと一緒に、ユーキが案内をしてくれていた王城内にある、ユムとユミが寝泊りをしている部屋まで戻ってくる。

「ユカさんとユミちゃんも一緒にここで生活してもらうので、その事を覚えていて下さいね」

そう言われてユート達はユーの部屋に戻るのである。そして、戻って来たユートはユートから預かった本の山を見て驚いた。その量は明らかに異常と言える量なので、流石のユトもその本を読むことは難しそうだと感じていた。そしてその事を感じ取ったユトは、この本の全てをユーに読ませようとしていたのではなく、自分が気になった物を数冊だけ選んで持ってきて、後は全部あげると言い出してそれを渡された事で、さらに驚くユートだったが何とか持ち直す。

それからすぐに夕食をユート達は食べるのだが、そこで出された食事を食べながら。これから何が起きるかを考えるだけで緊張してしまい、食事を味わって食べる事が出来なかったのであった。そして食事が終わるとユーは、早速この国の歴史が書かれている書物を手に取り、そのページを開こうとした時だった。突然ユラがユーの元にやってきたので、ユーは一体何の用だろうと思っていたが。そこでユラが、その手に持つ剣の柄が鞘に納まっている事に気が付いてユーは、なぜ彼女がこの部屋にやって来たのかを理解するのだった。そのユラが持っている鞘に入っている剣こそ、彼女の本体であり、それがこの世界にあるからこそ今の彼女は存在できていて。だからこそ彼女はその剣を持っているのだが。しかしその剣を、ユトの目の前で使うような真似をするのであれば。その本を使う許可を出すのは難しいかもしれないと考えていたのである。

ユートはとりあえずその事をユラに伝えたが。しかしユートの心配とは裏腹に、ユナとユカはそんなユラの行動に対して特に気にする事無く、ユーに本を読んでも良いと言った為、ユトは安心してユラからその本を受け取ると早速その本を開き読み始めたのであった。

そしてユラとユートはユー達を探そうと部屋を出ようとする。その時に、ユラが、部屋の入り口の所で一度立ち止まり、それから振り向いて、ユーに忠告を行う。その内容は、この城の何処に危険人物が存在するのかわからないため、必ず誰かの側にいるようにと言われたのである。

それを聞いたユートは、それならユーとユムが離れないようにしようと心に決める。それから、ユーとユムの二人は手を繋ぎながら部屋を出てユーキの案で食堂に向かうのであった。

その食堂でユトとユーが食事をしている所に、サユが現れると、ユートとユトの間に座ると食事を頼み、そして食事が来るとユーに、話しかけてくる。ユーはそれに対して返事をしたのであるが、その時に何故かユーの手に持っていたフォークが震えてしまい。その結果、皿に残っていた料理の肉を、床に落としてしまう事になる。その出来事にサヨとサヤが驚くが、そんな事にはお構いなしに、サユはユーに話を続けていく。

そうして話し続けていると、いつの間にかに時間は流れて、ユーは、自分の手元に置いてある料理が無くなったことに気づく。しかしまだ食べていないユーは、ユーの横に座り続けて会話を続けていたサユに声をかける。その問いかけに対してサユは何も答えずにただ黙々と食事を続けるだけだったのである。しかしそれは、いつものことだとユーは感じていたので別に何も言わなかったが、ユマからサユの事を注意するようにと言われていてユーは彼女に質問をぶつけてみる。

ユーが何をしてもサユは無視を決め込むか答えるかのどちらかでしかないような反応しか示さないと聞いているので。もし何か言いたいことがあれば、自分の言葉で伝えないと駄目だと言われていたユートはサユに、ユトの事が好きかどうかを聞いてみるとサユリはすぐに答えを出した。それは勿論大好きだと、それを聞くとユーは、それならば問題ないと言ってから、ユーが席を立つとユラの方に行くと彼女は何かあったのかと聞かれて答えようと考えたが、その時、ちょうどユー達が座っていた席の近くに座っていた男性客の一人が立ち上がって、いきなりユー達に怒鳴り散らしてきたのだ。ユーはその怒声を聞いて、驚き固まってしまったが、しかし次の瞬間にはユナによってその男性は押さえつけられてしまうのだった。

そのあと、すぐにその店にいた人達全員は、店の外に追い出される羽目になってしまう。その後ユーは、他のお店で食べ物を買うことにしたのであった ユー達が外に出た時には既に夜の闇が広がっていたのだ。

そしてユートは、サホとユノと一緒に王城の外にまで出てくる。その途中ユート達はリッカと遭遇したがそのリッカには先ほど出会ったばかりの男と同じような印象を受けたのである。それはリッカ自身も、ユーと同じで警戒していたからだ。その為にユートはサホとユノと共に、すぐに移動を開始した。

それからしばらくするとユート達一行は森を抜けて、街道にたどり着いた。そこでユートが後ろを振り向くと。ユー達の後から追いかけてきたと思われる男がユー達の後ろに姿を現した。ユートはそれを目にすると急いでユー達の前に躍り出ると腰に差している短剣を引き抜いてその男を威嚇した。だが男はそんな行動を意に介さずに、そのまま近寄ってくる。ユートはそのまま攻撃に移るべきか迷うがそこでサボから貰った指輪の効果が発動するのを感じたので慌ててサボに助けを求める事にしたのだった。そしてそのユーの願いは、サボに届くのであった。

その少し前に、ササラは自分の部屋に戻ってきた後。その部屋の中で一人になる時間を作ると自分の胸の中にある感情を吐露する。その自分の中に存在するある気持ちを言葉にするだけでも辛くて仕方が無いと言う思いがこみ上げてきたがそれでもササラは、言葉を紡いでいくのであった。そして、自分の思いを全て口にすると、今まで溜め込んできたものが爆発してしまってその場で涙を流し始める。その泣いていた時の表情は悲しみに彩られたものではなく、自分の心の中から湧き出た黒い物が涙を通して体外に吐き出されていく様な感覚をササラは覚えていたのである。それから泣き終わるとササラは椅子から立ち上がり部屋に備え付けてあるシャワー室に入ると、汗を流し始める。

そうやってシャワーを浴びてサッパリしてから部屋に戻ったササラは机の上の引き出しから一つの瓶を取り出してからその中に入っていた液体を飲み干す。それからササラはベッドに入り込み眠りにつくのであった。

「おいお前! ユーを襲おうとしていたんだろ?」

そうユートが言うがその男はそんなユートを睨みつける。それから、その男は懐から短剣を取り出すとユーに向かって攻撃を仕掛けるが、ユラの鞘に納められたままの刀に弾き返される。

その男は、すぐに後ろに飛び退くがそこに、ユトとサオリの二人による連撃を叩き込まれる。それにより、その男は壁際まで吹き飛ばされ、壁に背中を打ち付けた男は地面に倒れる。その男の腹部からは大量の血が流れておりこのまま放置すれば命を落としてしまう可能性があった。そのためユトは男の側に行き回復魔法を詠唱し始めると。

サユリがユラから鞘に入ったままの状態での剣を受け取りユートに渡してからサヤとサチが、倒れた男の方に駆け寄ると、その二人がその男の側に近寄り。

「大丈夫か!」

そうサユリが叫ぶがその問いに対して男の口から言葉が発せられる事はなく、その男はすでに息絶えていた。その光景を見たユイはユカとサオの肩を掴みながら、サチに詰め寄り。そしてサトはそんな状況でも、その男の死を確認して、ユーが持っているナイフを奪い取ると。それでその死体の首を切りつけて確実に死んだ事を確認した後にユトの元へとやってきてユートが手に持っていたユート用の短剣と交換すると、それを受け取るのであった。

それからその一連の行動が終わると、その場に集まってきた兵士達に指示を出して。

その兵士達は気絶している二人の盗賊を拘束していく。

ユラとユナは、その作業が終わるとユーの元に歩み寄りユーに怪我がないかを確認する。そのユートの無事が確認出来ると二人は安堵の表情を浮かべる。そして、その様子を遠目で見ていたユラ達は、ユマの側に行き、その事を報告しようと思ったのだが。

そのユラは、自分達も少しの間、あの者達の動きを警戒しておく必要があると判断し。

だからユラはユートに念のためユーとサヨはサユに守られているように指示を出す。それを聞いたユトは、それに反論しようとしたのだが。

それを止めるようにユマが前に出てきたので。その事にユートは戸惑ってしまう。しかし、サヨからユーに近づいてきてユナと一緒にユラの側に行かせると。

サヤとサヨにサモはサナを守るように指示を出すとユラがユラに剣を構えると。

それと同時にサユとサヤとサヨは武器を構え、サユリがユカとササを庇うような形でユラの方を睨むと。

サリアとセアとレイはサオとササラをかばうように動き、そしてユラ達は、お互いに構えると戦闘を始める。

その戦いが始まろうとした時に、ユートとユミは、ユユ達を連れてこの場から撤退を開始しようとする。

ユトは、サユリから預かった剣を使ってユマが使っていた物と全く同じ形状をした剣をユユリに渡すと、ユートはユラに何か有ったら直ぐに助けを呼ぶ様に言い残して走り去る。ユラはユートに、待って欲しいという事を叫ぼうとしたがユーはその叫びに耳を傾けることなく、その場から離れて行く。

そのユナの行動に、サユリは、どうして? と思い、それを問いかけようとユナの事を呼んでみようとするがユナは既に、この場所を離れていた。その事をサユに聞くが、ユナには何か考えが有るらしく、今はユマの指示通りにしようと言われてしまっては、ユナに、それを聞くことは出来ず、サユリはそのユナの事を信じることにしてユサ達の事を見守るのであった。

ユートはユユとサナに話しかけると、そのまま走って行くが途中で振り返り。ユユに自分が離れる事によって何がおきるかわからないが。それでもユサの事はユユに任せると、ユートがユユに伝え。そしてそのままユートはユーキ達と合流すべく移動をするのだった。

その出来事が起きたのはユートが、ユー達が戦っている場所からかなり離れた頃。

その場所ではユーとユト、ユナの三人はユー達と合流していた。それからユー達は全員で一度、森の中に隠れる事になる。

そこでまずユーは、サユリ達に連絡を取り状況を尋ねることにした。その連絡に答えてくれたのはサユリ達であったが、どうやら、サユリはユー達が居なくなった直後に、その男達の増援がやって来た事をユマに伝えると。

サマから、ユラとサホとサユリの三人でユカムが所属して居る部隊がいる所に向かってもらい。

そしてユムはユー達にここで待つように言って、サホはユーにユラにユムの三人が付いて来てくれと言う。

それを聞いて僕は、サユの言葉に従って、三人の女性について行こうと決めたのだった。

サトル達が隠れてから、しばらくして、そこに先ほどまではいなかったはずの人間が突然現れる。そしてその人間とはアリムだった。

アリムがそこに現れた理由はサユリの居場所を探る為だったのだ。

そしてサユリは、ユー達の元に現れる。サユキに、ここなら見つからないだろうと言ってからサユリとユラムはユーとユーキの前に姿を現す。ユートとユーは、ササが話があると言った事から、ササの方を向く。ササは、二人を見てから、まずは話をしたいからついてきて欲しいと伝えるとサユの先導でその建物の奥に進んでいく。

その建物の中には階段が存在していてササが案内したのは地下に続く道だ。サユが言うにはここにユユの知り合いでユユの事が好きな女性がいたので、その子が使ってた部屋に連れていってくれていいと言われたのでその部屋の扉を開ける。

その部屋に入ると、ササは中に入る。そしてササの後を追って部屋の中に足を踏み入れたユートとユーはササの背中越しにその部屋を見た時。

サユのその言葉に納得するのだった。何故ならその部屋は女の子らしい部屋であり。

ササは部屋に入ると窓際に歩いていく。その窓から外を見るとそこには、街を歩いている人々と、馬車が見えた。

サユリのその提案をサヤとサチが断るとサユとササラはサヤとササと向かい合う。

そして、その四人が剣を鞘から抜き放つとそのまま、お互いの距離をつめた。

その瞬間、金属同士がぶつかり合い激しい音を響かせて火花を放つ。その音が鳴り止むとササラが口を開いた。

「貴方が私より強いとでも?」

「はい。少なくとも貴方が今相手してる方の剣技を扱える者であれば私が勝つと思います」

「それはどういう事ですか?」

「そのままの意味です。その方は私の兄でして。私は剣に関しては全て教えられているのですが。その中でも一番優れている剣を兄は使っていて、その剣を扱う事が出来る人なら私と互角に渡り合える筈なのです。だからあなたと剣で戦えば確実に負けるでしょうね」

ササラがそうサユに向かって答えるとその会話が終わったのと同時に。

今度はユユリがササに向かって攻撃を仕掛ける。サユとサチの二人による攻撃をササは全て避けるか受け流しながら反撃をしていた。

しかし、そのサユの動きを見てもササはサユリと対等に渡り合っているように見えるが、ササはサユリの攻撃を防いでいるだけだが、サユリが使っているのがユラが使っていた剣でなかったのならば。

間違いなくササの方が不利になるのは誰にだって予想出来ることだったが。

それでもサユリの動きが普通ではないのをサユリ自身気がついていなかった。サユリはササラから教わっていた事を実践しつつサユリが本来持っている動きが出来ないかと考えていたので、それが無意識のうちに出ていてサユリの動作をおかしくしているのである。

それから、しばらくサユリの攻撃が続きサユリに限界が近づいた所で。

サユリが後ろに飛び退く。そして次の攻撃はもうすでにサユリは準備していた。そしてそのサユリがとった行動に対してサユがとった反応が、今までサユリが一度も見せていないような速度で動き、そしてサユリが放ったのはサユですら見切れない程の速度の突き。だがその攻撃をサユはギリギリではあったが回避に成功をして、サユはそのままサユリと距離を取る為に後ろに飛んだので、その攻防は終わる事になった。しかし、その一連の攻防を見ていたユトは。

サユリがササラよりも実力で劣ってると思っていたが、それとは別に、サユリに剣を教えた人物の動きに似ている事に驚く。その事についてサユはユユリの師でもあるユマの知り合いの女性の動きとよく似ているという事にユト達は気がついたのであった。そしてササがユユリと打ち合ってわかった事を皆に伝えたのだが。それを聞いたユユリが驚きながら、ササラの方に視線を向けたのだが。

それを聞いたサユリの反応は違っていた。その表情を見る限りではその人物がサユの姉である事は知らないようでサユリの表情から察すると。

おそらくササに剣を教えるのに必死になっていて、その人の事を話していないのかもしれないと、ユーはサユリの顔を見ながら思っていたのであった。

そのユナの表情は何処か悲しげなものを感じ取れるものになっていたのだった。

それを聞いたサトルがユーユの方を見てくると。ユーはユナにユユの居場所を教えて欲しいと言うと、ユナが少し考えるそぶりを見せて。

サユ達にサトル達を連れてサユの元に行ってくれないかと頼み、サユ達がそのお願いを聞き入れてくれてユト達は、その場所から離れて行く。そしてサユ達はサユリに案内されながら城に向かって歩いて行ったのでユート達も後を追い、そして城にたどり着くと。

サユが案内をしてくれた女性に話しかけてから、ユーユ達は中に入ろうとするがサユはそこで待っててくださいと言われてしまった。

ユート達だけになったユートは、この世界に来てから初めてササの本来の姿を見ることになってしまった。ユートは目の前に立っている女性に目を向ける。

「初めましてですね。サユリ様から話は伺っております」

ユーはいきなり話しかけられて戸惑ってしまう。そんなユーの事を知ってなのか知らずなのかわからなかったがユームは気にする事なく続けて話をする。そしてそれに合わせてユウナ達も自己紹介をする事になるが何故かユナとユマだけは名乗らずそのまま下を向いてしまう事になる。それから、暫くして、ようやく話がまとまったのか。

「それでは行きましょうか。皆さん付いて来てもらえますでしょうか?」と言って歩き出した。その先には何があったのかと思わせるように豪華な作りをした部屋が存在していてユム達がその部屋に入った瞬間に、ユナムの体が震えだしたのに気づいたユーは、ユムの肩を掴み大丈夫と声をかけるが。それでも体の振るえは止まらないようだったのでユトが何かユミに問いかけるが。ユーは首を横に振って。何も言えないと答えてユナムの体を抱きしめると。ユナとユマが近寄ってくる。そして、ユー達はユナ達に案内されて城の中に入っていき。

そのままユナは、ユーに近づいて来てユーを抱き寄せる。それに驚いたユーだったが。ユーがユナの行動を止める事は出来ず。ユーはユナの胸に包まれる事になってしまい。

ユトはそんな二人を見て呆れたような表情になりながらユーキの方を向くとユーキがユーの手を握ってくる。ユーが驚いている間にユーキは、その手を引き寄せるように引っ張りユーを連れて行くとそのまま抱き寄せてユーキはユートの腕に自分の腕を通してユーと二人で歩く形になった。それからしばらくユーはユーとユームにユーキと一緒に歩いて行く事になるが途中で誰かに声をかけられると、その人物の側に寄る。その人物とはユーヤで。

どうやら、ユーが居る事がわかっているらしく。そのユートの態度にユーは嫌な予感がしたのか、ユヤの後ろに隠れて様子を見ていたが。どうせバレてしまうのでユヤが話している途中にユーは姿を現したのだった。

「お前、こんなところで何やってんだ?まさか、本当に魔王様に会えたっていうのにまだ俺と会うつもりはないのか?」

「その通りだ。俺はここでお前に会いに来たわけじゃない」

「そうだろうよ!お前の目的はユユさんに会うことだもんな」

そのユーヤの言葉を聞いていたユナの瞳が揺れる。それを見逃さないユーガはチラッとユーを見たが直ぐにユートはユーと話す為に口を開くとユーはユーの背中に隠れていたユーキを放してユーがユーヤに近づくとユムが警戒して剣をユーに向ける。しかしユトはユムルに手を上げて止めるように指示を出してユーが口を開いた。

「俺はただお前が心配で会いに来ただけだ。それ以上は何もするつもりは無い」

「信じられないな。確かにあの時は手加減をしていたが、それでいて俺と戦えるぐらい強いあんたがユイを助け出す為とはいえ、わざわざ王都に行く理由なんて無いだろ!」

そう言いユーヤはユーに向かって剣を振り下ろして来たがユーが魔法を使う事もなくユートが動いた事すらわからないままユートとユーはユーがユーヤに向かって殴りつけるとそのまま吹き飛び。ユーヤが壁にぶつかる。

その音に反応するようにサユキやサユリと話を終えたササラとユーサラがこちらにやってきたのだがその光景を見たユナがユムとユムルを後ろに引かせる。

それからしばらくして気絶しているはずのユーが起き上がり始める。そしてその体から殺気が漏れ始め。ユーがゆっくりと立ち上がる。

その姿に皆が息を呑む中でユーが呟いた。

そしてユート達はユナム達の案により、城の地下にある闘技場に連れてこられていた。そこは広く作られており、様々な人が戦いを行えるような設備が施されていて、ユラ達がここに来た時は必ず訓練を行っているのだというが。今回は誰も使用していなかったのである。そしてその部屋に足を踏み入れた瞬間から空気が変わった気がしたのを皆が感じ取っていた。その変化はユカが一番敏感に察知しており、サユとササラに質問をする。しかし二人共、ユユの気配を感じ取ったりしないし。ササラに関してはこの場所に入るのは久しぶりだと、言う。だがササラの口調からはまるでこの場所に、頻繁に訪れている様な雰囲気を感じるのだが、サユリに聞くも、彼女は、知らないと答えた。そして最後にユラに話しかけようとしたが。

「私は、ササ姉さまからこの場所で訓練を受けて、強くなりましたからね」と自慢気に伝えてきたのである。その事に対してユートとユートは疑問に思いながら、ユラとササを見比べながらユーは考える。ユナ達はユー達の様子を見ながらサユの方に向かうと、サユリに説明をしてもらった後で、全員は、この部屋の中央に移動したのだった。

そして、サユがユー達に合図を送り。全員が武器を構えるとユーとユーガの二人が対峙する形で睨み合う状態になる。そして最初に動いたのはユーだった。

「はあああ!!」

ユーの一撃に対してユーは受けずに、その場を移動する事で避けるとユーが反撃にと、移動したユーの背後に回るようにして蹴りをユーに入れるとユーの腹部に強烈な衝撃が発生して口から血が溢れる。しかしそんなユーの姿を見ていられなかったサユリは。

すぐにユートに加勢しようとしたが。サユによって止められてしまったのである。サユリとしてはこのままユーが負けるのは仕方がないが、もしユートが負けた場合は自分達の身に危険が訪れる可能性があると考えたサユリはすぐにサユの元に近づき抗議をしようとしたのであるが、サユはそれを聞いてくれないどころかサユリに向かって何かを手渡したのである。その行為に疑問を持ったサユリだが、とりあえず渡された物を鑑定スキルを使用してみることにするのであった。その結果わかったことは、どう考えてもユーが不利にしかならない物であった。それはユムから貰った短剣であったのである。その事実を知ったサユリだが。サユの目を真っ直ぐに見つめた後、サユリはユーの方を向くと覚悟を決めて動き出そうとしたが、それよりも早くサユリの前に立っていたサユが動いてしまい、そのままユーに駆け寄りながら話しかけたのである。

「お待ち下さい、ユー殿。どうか私の話を聞いて欲しいのです」とサユが真剣な表情をしながらユーに問いかけたのだ。

「ユナ、サラム。ユユの所に行くよ。サヤはここで待っててくれるかな?」

ユーがそう口にするとユーは、ユーナ達にサユとユユの元に行ってもらい。その間にサトル達と話をして、ユマにユナとユナを預けてから。サトルにユナ達を守るように頼むと、ユーとサトルでユーキを説得する事にするのであった。

「サトル、悪いが、サヤを守ってくれないか?サトルの気持ちもわかるけどユマの事をお願いしたい。俺はこれから少し用事がある」

ユートが、そう言うとサトルは何かを察したように、わかりましたと言って、ユーとサトルは二人で行動することになったのだった。

「私に何かようがあるの?それにサユ様の側にいる貴方がなんで、ここに来ているのかしら」

ユナはユートとユーキの会話中にユユに向かって攻撃を仕掛けようとするが、その行動をサユは見抜いていて。ユーに指示を出す前に、すでに動いていた。ユーナとユマは、ユーに言われて渋々ユユの側を離れる事にするのだった。そしてユナはサユキとササラの側に移動するが、ユマはまだユマと一緒に居たいと駄々っ子のように泣き出し始めて、それを見ていたサユはユマの事を見てため息をつきながらもサユはユマと一緒にユー達の元へと向かって行くと、ユートがユユの問いかけに答えるように口を開いた。

「俺達が此処にきた理由は一つだ。俺はユーを、仲間を、守りに来ただけだ」

ユートはそう告げると、ユムに視線を向けるとユムは、ユー達を見てニヤリと笑うのである。それを見たユートは嫌そうな表情をする。

「お前は、相変わらず悪巧みをしているようだな。俺を嵌めようと企んでいたんだろ?お前の性格は昔から変わっていないな」

「何を言っているんだユート、俺はお前を殺すつもりでいるぞ?それと俺はユムじゃなくユーと言う名前なんだがな、間違えないで貰おうか。それよりユイはどうしたんだ?あいつは今、ユムの所で遊んでいる筈なのにお前の側に居るみたいだし、それにそっちの女もお前が守るべき存在のはずだろう?どうしてユナと行動を共にしてんだよ?」

ユートの質問に対してユーが答えた。

「ユーが、ユーヤと戦うと聞いたからユーに付いて来ただけだよ」

「おいおい!まさかとは思うが、ユラの事がばれていないと思ってんのか?」

そのユーの言葉を聞いたユートが眉間にシワを寄せた。

「ユラはもうここには居ないし、それにお前がユーラの仲間だからといってユムと敵対関係にあるとは思っていない」

「そうかい。まあお前らがどう考えていようと俺には関係ないんだが、俺はユラを取り戻す為に動く。お前らみたいな邪魔者が居るなら、排除しないといけねえしな」

そう言ってユーが一歩前に出ると、その動作を見たユトが、ユーの視界を防ぐ為に、移動しようと足を動かすと、ユムとサユに腕を押さえられてしまった。

「お前、本気で俺がユーに勝てると思っているんじゃないだろうな?」

「ああそうだ。ユートお前の実力がわからないわけでもないが。俺はユムの為にユムが強くなる為の糧になってくれ」

「ふざけるな!ユナ、ユユ、俺の事は気にせずに戦ってくれ」

「ユト、俺達は大丈夫だって」

ユナはそう言いユムに向かっていくのと同時にユミもユムに近づいていき、二人は戦闘を始める。その様子を見たユーがササラに声をかけてユマを連れてくるように指示を出し。そしてユーとササは二人だけで戦うことになったのであった。ササラも二人の戦闘を見ながらユイの方に向かい始めるとサユがユーの肩に手を置く。

「ユナさんにユー様は任せましょう。私達はユー様のお友達とユムという方を相手にして戦いましょう。サユリ様とユサラも一緒にお願いできますか?」

サユのその問いに、ササラが、サユリに顔を向けた後にサユリは小さく首を振り否定をした。そしてユユリに話しかけるが、ユユリはサユリを無視してユーの服を掴んで引っ張り始めたのである。「ねえパパ!私はどうしたらいいの!?ユユを助けなくて良いんですか!」

そんな様子をみていたユトはため息を吐き。ユユリの頭に手を置き優しく撫で始め。

「ごめんねユユリ。君に辛い思いさせたくないけど、これは俺がやらないといけない事なんだよ。もう少し我慢できるよね?」

ユユリはその言葉で理解してしまった。ユユリは悲しそうな顔をしながらも首を振ったのである。その瞬間に、周りが真っ暗になったような気がしたのをユユとユナは感じ取る。その感覚はユラが目覚めて最初に感じ取った物と同じであった。そしてユムはユート達の様子が変わったことに気がついてユト達を見る。

「ようやく気がついたみたいですね。貴方がユーちゃんから奪って、私達の世界に持ち込んだユラムさんの肉体が、今頃限界を迎えているんですよ」

サユリが、サユに向かって話す。

「限界ですと、あの体には相当な負担があったということですか」

「そうですよ。元々ユラさんの魂が宿っていた肉体だったからなんとかなりましたが、それでも限界はあります。そもそも、あれは、ユナちゃんを成長させるための試練として私が用意したものでもあるのです。なので、本来の目的が果たせない以上は私の手元に置くことは出来ません」

そう口にしながらサユリはユート達とユムの方に近寄っていった。

「ユート、サユリの相手は俺に任せろ。ユナ達にはユーヤの相手をしてもらう。ユナはサユと二人で、ユナの相手になってくれ。俺は、この女は倒せるかわかんねーが、やって見る」

「わかりました。ユナはサユリと、ササラの二人でサユリを倒してくれ、ユーとサユリの勝負に割り込まないようにしてくれれば構わない」

ユーが、そう指示を出すと、三人が動き出す。しかしユトがサユリとサユリの戦いの妨害をしてはいけないと思い、ササラにサユリの事を任せてユユの元に急いで向かいユユの事を捕まえるのである。その事にサユリが驚きの声を上げたが、ユトはそれを聞きながらサユリから距離を取るのであった。それから少し時間が経ち。

「はぁはぁはあ。なかなかやるわねこの人達、だけど、これで終わりよ」

「そうはいかないぜ」

ユユとユムがお互いの攻撃で体力が消耗していたのだが、サユリの方は、まだ余裕があり、むしろ攻撃してきた事で余計にユマの体に疲労が溜まり、体が重くなっていた。そこにユムの追撃が入り。そのままユマは意識を失い倒れこむのだった。ユユはそれを見てユムに話しかけようとしたがユムはそのまま逃げていき、ユユはユマの元に向かおうとするが、すでに遅かったようで。ユーがユユの前に立ちはだかり。

「残念だがユナの体はもう使い物にならなくなった。お前のせいで、サヤは、もう目を覚まさないかもしれないな」

「えっ!どういう意味なの!それは」ユートはそう告げると、サユキとユイが合流し、そこで話し合いが始まった。その間サトルはサユの側に行き。

「ユラの容態について、ユマに話さない方が良さそうですね」

「そうかもしれませんね。ユマは、もうユラの死を受け入れている節も見えましたし、それに今回の事も受け入れているみたいでした」

「それではやはり、このままにしておきましょう」

「それが一番かと思います」

「それと、サユさんに聞きたい事があるんですが良いでしょうか?」

サユキはそう言って真剣な表情をしてサユに問いかけてきたのだけれど、サユキはなぜ自分に尋ねてくるのかわからないでいるとサユキが口を開く。「私達はこれから、ササラ様が居る場所に行きサユ様にお願いをしなければなりません。その時に、もしササラ様を説得する事ができたらササラ様と一緒にサユ様を連れて行くつもりなんです」

「ササラを、連れていく?何を考えているの?」

「それはサユさんが、ユーラと会えた時の為の準備をして欲しいと思っているんです」

サユキが、真剣な表情をしながらサユに話す。それを聞いたサユは納得し。

「それなら協力させて貰うわ。ただユーがどこに行ったかも教えてくれると嬉しいんだけど」

サユはそう言うと、ユユの方を指差し。「あの子なら多分、ユートを追いかけて何処かに行ってしまったわ」

「そうなんですね。でもユマちゃんにはまだやることが残っているみたいなので、その仕事が終わってからにしようかと思っています」

「それもそうね。ところでそのやる事っていうのは何なのかしら?」

サユは興味があるように質問をすると、サユキは苦笑いを浮かべてから答えたのである。

「それはですね、サマルとセバスちゃんを元の世界に戻す方法を探すことですよ」

「サマル達を元の世界に返す方法がわかるのか!?」

ユユがそう言い。ユトがユマの所に近づき、ユユとサユに話し掛ける。

「ユムにサマルと、それからこの城の地下に眠っている邪神が関係していることだけはわかったんだが、それ以上に調べないとダメな事が増えてしまった」

そう口にした後。ユトが二人にユートが行っていた研究施設に行くことを勧め、ササも一緒に連れて行ってほしいとユトにお願いをする。

「そうだな、その方が安全か。俺一人だと色々と面倒な事になるだろうしな」

ユトはそういうと、ユミを呼び出し。ササルの案内を頼むのであった。そしてササもユマの側に居たいと言っていたので。ササにも一緒に来てほしいと言う。そして最後にユラの死体を運べるかと聞くと。ユムと、ユラの母親と、その妹が死体運びの手伝いをしてくれた。その後でユー達は、ユトが用意した転移用の魔法陣を使って城から脱出したのである。そしてユト達は地下の研究施設に向かう前に一度王都に戻り、ユマを預けてユラの亡骸と共にササを連れて向かうことにした。ユムにはユラが死んだ事だけをサマルに伝えてもらい、ユムが戻るまでの間、ユトとサユキは二人で行動することにしたのである。

その頃ユー達はユー達が暮らしていた街に来ていたのだ。

「ここって確か、ユーさん達が住んでいた所ですよね?」

「そうだな。まぁ今となってはあまり関係ないが、それでも一応様子を見に来たんだよ」

ユートは、そう話すと。街の入口で、ササを降ろした後。ユーは、一人で、ユムを探しに行くためにその場を離れたのである。それからしばらくしてからユトはユーを見付けるが、その側にはユーナの姿があった。ユーナは、サオを見つけて声をかけようとするが、その時ユートが現れた事に気がついたのだ。

そしてサオリが、サザに向かって走り出すと。ユトがササに向かってサユキは任せろと言いユートはユートに向き合う。ユートは、剣を抜き。

「俺は、お前と本気で戦うつもりでここに戻ってきた」

ユーは、そう言ってユーと戦闘を始め。その戦闘の様子を見たサナ達もユー達の戦闘に参加するために向かっていった。そしてサユが、サユキ達の元にたどり着きサユリと戦うことになる。その光景をサユは見てユーの援護をしようとサユリに声をかけようとしたのだが。「貴女とユーさんの決着がつくまでは、邪魔をしませんので、頑張ってくださいね。ユムちゃん」

サユリはそう言いながらユーの方に向かったのである。そしてサユはそのサユリの姿を見て。サユリの言葉を聞き。サユはその言葉を信じ。自分の気持ちを抑えて目の前にいる相手に集中をした。サユリとの戦いが、始まる。

一方、ユーナが向かったのは、アリラムがいる屋敷であった。その部屋ではすでに、アリラムと、ユーナの姉であるサユ、ユーヤとサユリの三人が話をしていると。突然ユーが部屋の中に入って来てサユ達を見るが。すぐにユーヤに斬りかかろうとしたが。サユリが止めに入る。

「ちょっと待ってくれユーヤ!俺がこの世界に戻って来た理由を話すから少し聞いてくれ!」ユーは、ユーヤに必死に説得しようとするがユーヤはそれを拒否してサヨに助けを求めるのだが。そんなサヤはサユリの方を見て。「どうぞ。ユー君と話しても無駄でしょうしね」と冷たく言い放つ。

サユリがユーナの事を止めようとユーヤの方に近づこうとすると。サユはサユリに視線を送り。「私が止める。サユリにはこの子の相手を頼みたいんだけどいいかな?」と話しかける。「ええ。構いませんよ」と答えるサユリにユーナを任せてユーナの元に近寄り話しかけるのである。「久しぶりね。ユナ、私の事を思い出せたのかしら?」

「お姉様!ご無事で何よりです。私も会いたかったんですよ」

ユユリがそう話しかけると、ユユリが生きていたことに安心し。抱きつこうとしたがサユリに止められる。それからサユリはサユリに対して。

「とりあえず自己紹介をさせていただきます。私は【サユリ=ラークス】と言います」

「サユリ?どこかで聞いた事があるような名前だな」

「それは当然だと思う。だって私の名前だし。それよりそっちこそ、その顔で私と同じ苗字を名乗っているとかどういうつもりなの?そもそもその姿で私の名前を騙っている時点でおかしいとは思っていたけど。まさか本当に本人だったなんて思わなかった」

「それは違うぜ、お前の本当の名は、ユラだ」と話すユートだがユヤは何も喋らない。それを見てサヤと、ササ、ユユキ、サツキ、ユイはサユキの側に集まると、そこで作戦を話し合っていたのである。サユリと、ユーのやり取りを見ながらユートがユーラに話しかける。

「おい!俺達はお前を殺すつもりはないからおとなしく話を聞いてくれないか?」と問いかけるが。ユーラは全く反応せずユーは仕方がなくユーに攻撃を行うが、その攻撃をユーがかわし。その瞬間を待っていたかのように。後ろにいた、アツシが動き出しユーの後ろに回り込むとそのまま殴りつけるがそれをユーが避けるが。その先にはユウキがおり、後ろ回し蹴りでユーを蹴り飛ばす。ユーは咄嵯に剣を構えようとしたが、ユカの矢に射貫かれて武器を落とすとユトの剣が首に刺さった状態で動けなくなる。

それからユト達は、ユート達との戦闘をやめると話し合いをするのであった。その話し合いの中でユートがユーヤではなくユウラに入れ替わっていることを説明すると。ササラの事はサユに任せてサユリとユーナは二人で話し合う事になったのである。サユリは、ユーを殺さない事だけを伝えてからユーラに事情を聞く。ユーがなぜユートとして生きているかを問いただし。サユもササラも知らないことを、なぜユーが知っているのかと聞きだすと。ユーが答えたのは。自分がユーラという男に身体と記憶を書き換えられたという話を聞かなければ信じなかったが。実際にその証拠を見せられると信じるしかなかった。そのユーラの目的についてはサユリにもわからなかったが。ユートの肉体を手に入れた後でユーラは何をしているのかについてユーが説明した。

その話の内容を聞いた、サユリとユーラはユーがなぜ、自分の元に現れたかという疑問にたどり着く。そして、二人はお互いに見つめ合い、お互いの正体を理解し、ユーラの本名を告げるのであった。「あなたが、ユラなのね」と問いかけると。ユーラは、「ああ、そういうあんたがユユリってわけなんだろ」と返す。そこから二人はお互いのことを説明し、お互いに協力しようと言い、まず最初に、自分達の仲間を元の世界に戻す事と、サマルの体を取り戻す為に行動する事に決め、その後ユー達は、ユム達が待っている城に向かうとササラ達は城に向かい、ユユ達が待つ研究施設に向かう。

それからしばらく時間が経過するが。ユートがユー達に攻撃を仕掛けてきた。ユー達は、ユー達を拘束してからユーを気絶させ。ユユとサユとユミはサマルにユムの死体を見せる。ユユがユムが目覚めるまで待ってほしいと言うが、サユはユートに頼んでサマルを連れて行かないでほしいと言ってきた。ユートはユーをこのままにしておいたらまた襲ってくると思いユーの体を縛り上げてから転移魔法を使って王都に戻るのであった。そしてユートがいなくなったことを感じたユートは、暴れ始めるが。そこにユーヤがやって来て。「今はおとなしくしていてください。これから色々と大変なことになるんですから」

「何をするつもりかは知らんが、俺は諦めんからな。ユーの肉体さえ手に入れれば元の世界に戻れるかもしれないのだからな」

ユートの言葉に、ユーヤが何かを言うことはなかった。ユーヤ達はユー達を連れて城に転移するとサマルとサマルの母と、サユはユーの亡骸と共に王城に向かうことにした。ユトがサオと一緒に城に行きユーと、ユーの仲間たちと合流をしたが。すでにユーは姿を消していた。ユーが居なくなったことでユマが泣き崩れてしまうと。ユムがサマルを連れてきてユーがユーの亡骸を連れて行ったと伝えると。ユムはサマルを連れてユーの居場所を探るために行動を開始する。

一方ユートが目を覚ました場所ではユートが目を開け、ユートはサマルの遺体がないことに気づき慌てると、サユリがサマルクにユーが死んだことを言うとユーは怒りユー達を殺そうと襲いかかるがサユリとユーヤに阻まれてしまいユーの身柄は拘束されたのだった。そのあとサユリは、ユユリとサユを部屋に呼ぶと二人とササが話を始めるのである。サオは、その様子をじっと見つめているとサユリが口を開くのである。

「とりあえず私は、貴女とユナムさんが結婚していることには驚いたけど。貴女の事は信用しています。だからサナムの事は任せていいですね?」

「ええ、もちろんですよ。貴女達二人も私が必ず幸せにしますので安心してくださいね」ササはそう言いながらサユリの手を取りキスをした。それからしばらくして、ユナ達のところに戻ると。そこではユナ、ユーラとサユリ、ユーとユユリの子供達で、話をしていた。ユナ達はユユリにユラのことを聞くが。ユナ達には、何も教えてはくれなかった。そしてユーナに、この国でやることを伝えた後にサユリとユーナは、ササの元に戻りサユリの案内のもと、サオが監禁されている部屋へと移動する。その部屋ではすでにサユリはサオと会話をしており、サユリがサユを抱きしめるとサユリの姿が変化する。そしてそこには一人の男が立っていたのである。その男はユラであるとすぐに理解する。「まさか本当に貴方が私の前に現れてくれるなんて思っていなかったわ。それにユーちゃんとサユリちゃんも一緒だなんて思ってなかったけど。まさか、二人がこの世界の人間だとは思わなかったわ」

サオリのその言葉に、私は少し考え込んだ後で、私自身が魔王である事を話すと。それならば私を魔王として認めて配下にしてほしいと言われ。私は少し悩んだが。この世界を救ってくれたサユリには恩もあるし。ユナ達も、サユリの頼みとあれば、断れないでしょうし。それにサユリには、ユナムと結婚して、この子もいる。この世界で家族を持つのならサユリの事を私が支えてあげたいし、そのためには私がユラになるしか道はなかったのだ。だから、私が私として生きていけるのはここまでである。ここから先は、ユラに全てを託す。私の代わりにユラが私の分まで生きるんだ。そして私の願いでもある、皆を元の世界に返してくれ頼むよサユリ。その話を聞いて、ユーは涙を浮かべながらもうなずくのであった。

それから数日後。アリラムと、ユーの子供たちは、無事に全員元の身体を取り戻し、サユとユナは二人で仲良く暮らすことになった。それからユユ達とユーとユーの子供たちはユートとユーラの故郷に行くことを決めたのでユーヤ達はユトを連れてサマルが眠っている場所に連れて行きユーとササに、ユーとユーの子供たちを任せるのであった。

「お前たち!早く、あの勇者共を殺しに行け」ユーの怒声に。サトルとサヤは、ユート達に襲い掛かると。ユート達はサヤとサナルを拘束してから、サトルに剣を突き刺すと、サヤは抵抗しようとするが、ユラがサヤを抑え込み、ササラとユムとササで、サトルとササルを殺すのであった。その光景をみた、ユート達はユートとユーとユーの息子たちだけを残してサオを拘束しに部屋を出ようとするが。その時、突然ユーラとササがユーを睨みつけ。

「お前のせいで、ユナムは死んだ。そしてユーの体を乗っ取ったことも許せないし、何よりユーにそんな汚らわしくて下劣な身体を与え、精神すら奪ったことを私は許さない」

ユーラはユーに、ササはユーラに殴りかかり。お互いの体がぶつかった瞬間にお互いの身体に衝撃が走るがユー達は何とか持ちこたえる。それから二人は同時に動き出し殴り合いを始めようとした時に。突如現れたサユリに殴られ気絶させられる。

それからサユリとサユリはササラをサオの元に連れて行くことに決めて移動を開始した。

サユリとササラがサオを連れ出している間、ユーとサユリが戦い始めようとしていたが。そこに、サユが乱入して二人の戦いを強制的に中断させるのであった。

ユーはサヨからユーカを引き取ると、その日は休ませることにする。しかし次の日にはサヨコが目を覚ますと。なぜか自分だけ仲間外れにしたユートを責め立てるのであった。

ユーが目を覚まして三日目の朝。

「ねえ。なんでお兄様が、ここに居るの? それにここはどこなの?」と、まだ完全に目が醒めてないのか。眠そうな声で質問してくるのであった。すると、サナコの後ろからユナが現れる。

「ふーん。君が新しい勇者ってわけね。まあ別に構わないけど。それよりあなた名前は?」「あたしの名前は、ユナよ」ユナは、警戒しながらも名前を名乗ったのである。「じゃあ、これからどうするつもりなの? あなたの仲間たちは今頃、魔物に襲われているんじゃないの?」

「それは大丈夫。あいつらが、死ぬはずないもの」

自信たっぷりに答えたので、僕は試しにユノとクロエに、連絡を入れる。

すると、ユノは、「は~い」という明るい返事とともに現れる。「ご主人さま。いきなり呼び出して何か用ですか?」と、いつも通りマイペースだったのだが 隣に、見知らぬ美少女がいたので、誰だろうと観察しているうちに、僕が召喚していた少女達だと思いだす。僕は彼女達を紹介すると ユナは驚いていた。それからしばらくして。ユナは僕の側にいる女の子たちが自分の知っている子と同じ存在だというので紹介することにしたのであった。まずはユナから、僕がユナに説明すると、ユナは僕が話した通りの自己紹介を行うと「へえ、本当に異世界に来たの?」「信じてくれなかったの?」「うん」「そう、なら証明しようか?」「どうやって」

「そういえば、あんたが連れて来た娘。なんか様子がおかしいけど」ユナの言葉にユーは慌ててユマを見ると確かに顔色が悪かった「そう言えば。昨日から具合が悪いとか言ってましたけど」

「とりあえずは、この子も診ましょうか」とユナが言うので、僕はお願いしますと言うと。サマルを治療するついでに、ユーを診察してもらうと。すぐに結果が出てユーは妊娠していることが発覚してしまうのである。しかも三人も同時にだ。これはすごいことだとみんなが興奮気味になっていた。特に男性陣の反応が大きかった。そして、ユナが三人は姉妹だということでユナ達に任せることにして部屋を出るのであった。それからしばらくして。ユー達の部屋に戻ってきたのである。そしてそこで、僕たちは信じられない事実を知ることになるのだった。ユナ達の報告によるとユナは三人の姉達と共に行動することになったのだそうだ。ただ問題は妹達の方なのだけど、実はユラが二人を保護をしていたらしいのだ。そしてユー達が戻ってくるまでの間のことは詳しくわからないと言われたので僕は少し不安になったが。ユイとユウとユメの三人をサオに会わせると。サトは三人を見て驚いた顔をしていたが。事情を説明すると、快く受け入れてくれることになり。そのままサオのところに行くと、ユオの亡骸を見た、ユオの娘二人が悲しんでいる姿を見てしまうと。ユオにユナが説明しに行ったときに二人が泣きながら、お父ちゃんと叫ぶ姿を目の当たりにしてしまい。

ユーオが、どんな人物だったのか、二人にもわかるので、ユーの事を二人に聞くとユナにそっくりだったことを話してくれた。なので僕は、二人が落ち着くまで待つことにしたのである。その間はサマルの面倒を見てもらい。サオとサマルにユーナの話を聞かせるとサマリも、その話を聞いただけで涙を流していた。ユナ達は、二人と別れて。今はサオと二人っきりで話しをしている。ユラはサオのことを信用できないと言っていたが。サユリの説得もあり、サユリとユートとユーラの三人が、ユムとユトの様子を見るために、一緒に残る事になって。ユラが残ってくれる事になった。サユリとサユリは、サオを信用できると言い張っていたので、結局は、サオとユーとユナが残る事になる。サユリの直感を信じる事にしたのだ。それから、しばらく時間が経って、二人が戻ってくる。その頃には二人はすっかり仲良しになり、ユトとユムもお互いに懐いていたので。僕達はひと安心する。ユト達は、ユーが父親だとすぐにわかったみたいでユトは、すぐにサオから離れなかったのだけれど。サユリに、サオと離れるように言われると素直に従った。それからユー達は今後の方針を決めようとしていた。僕は少し疲れたので、休ませてほしいと頼んだが。サナは僕と一緒にいたいと、ユムは、ユトを見ていたいとそれぞれ違う理由を言うと。ユーラがそれならばユナもここに居ればいいと言ってくれて、ユラも納得してくれて。僕達はこの国を出ようと決めると、まずはユナにユーとサオリの事を話すのであった。それから数日後に、サオリが起きてくると。

それからしばらくしてからサマルが目を覚ますのであった。

そして僕は皆を集める事にしたのである。それからしばらくして全員がそろった。すると、なぜかユナはサユリ達やユーナにユナの姉妹たちとも知り合いになっていた。どうしてこんなに集まったんだろうと首を傾げながらも、サオリから話を聞いてみることにする。するとサオリの説明を聞いて僕は頭を抱えるのであった。

ユナはサマルを、ユート達に預ける前に。自分の子供たちの事をユーに教えると。ユート達を呼んで欲しいと頼むのであった。サユリ達はユーとササを連れて、サオに会いに行く。その間に、サユ達はユーとユーとサユリを別室に連れていく。サオリが言うにはユトとユミにサオを紹介したいからだと言うが。実際は、ユラを問い詰めようと思っていたからである。だが、ユラにそんな時間はなかったのである。ユーはサマルをササとサユリに渡してからユトの元に行くとユラと二人でサナと話しを始めるのであった。するとユナはサナからある質問を受けたのであった。

それは、サヤの行方についての質問であり。それを聞かれたときユナは困ってしまう。それはユナも同じ疑問を感じていたからこそ。その事で質問されたのである。だからユナは正直に、わからないことを告げるしかできなかったのだ。しかしそれでも、サナは満足して。部屋から出ていったのであった。そして、そのあと、すぐにユーは呼び出されることになるのであった。もちろんサヨによってだ。それからすぐに、部屋に戻ってきて欲しいと頼まれたのだがサヨの様子が何だか変だったのだ。しかしユナはそれに気付かず戻って来てしまうのである。それからすぐに部屋に入るとそこにはサヤの姿があった。その瞬間。サヤがユラに殴りかかると。二人は殴り合いを始めてしまった。

サヨが殴りかかったのを見たユーが二人の間に割って入ると。二人はユーの顔を見上げてからユーの服を掴み始めたのであった。そして二人からユラの過去を聞き出すのに成功したユーであったが サユリが話を聞くために声をかけると二人して逃げ出してしまうのであった。そして残されたユーとユユリの頭を撫でてからユユリに抱きつくと。もう我慢の限界だったのか大声で泣いてしまったのであった。

ユラがサオリに対して文句を言うためにサユリの部屋に向かう途中でユーと出会ったのである。

ユーは、サオの事をサトリに話すと、ユーとサオリは一度サオの元に向かうことにしたのであった。するとサユリにササラと、ユーの子供が話しかけて来たのである。するとユーの背中に隠れて隠れてしまうユーにサトラが、ユーの目の前に出るように言うと。恐る恐る顔を出すユーだったが サオは気にした様子はなく。ユーは、ほっとして胸をなで下ろすとサトラはユマにユーを紹介する。ユーはサオのことが嫌いなのか、あまり喋らないし。ずっとサオの手を離さないのである。

サトラは、サオトの方をみて、どうしたらいいのか聞いてみると、

「その子。人見知りなんでしょう。放っておいてもいいんじゃないですか?」とサオはあっさりと答えてきた。そしてサオンは、サオリに、サユを連れて行くように指示を出して、それからしばらくするとユイがサオリに連れられてやってきた。

そしてサオラがサユリとユウトとユメを呼ぶとユメは、嬉しそうにやってきたが。ユラは嫌そうな顔をする。ユメに、サランのことを、どうするか尋ねると。一緒に行きたいと言ったので。ユラはサオに相談した。サオラが、それは問題ないと言い、ユメはユラと一緒にいると言うので。結局ユナは、ユメを連れて行くことになるのであった。それからしばらくして、サユリ達がサオの部屋に入ってくるとサウラとリリスとサーリャの姿を見て、ユナもユーも驚いてしまう。

そしてユマとユマの子供も一緒に来ていたのでユナはすぐにユマを睨み付けるが。ユマも睨み返していた。その後ろでサオは、ニコニコしながらサマとサオリの様子を見守っていると。ユナは、ユートのほうを見ると。ユートは、ユーと、ユラを見て何か考え込んでいたのだ。そしてユナは、二人を呼び出して、何が起きたのかを聞いたのだ。そこで、サオリは。二人が言い争うのを止めようとしたがユカが止めるのをサユリが制止する。そしてサオリは、二人が、どうしてこうなったのかを説明する。そこでユラは。自分が間違っていたと認めるとサユラとササラに謝罪をするのだが、 ユユトはユナとユマにサユリに謝れと言われてしまい。しぶしぶながら、三人はサユリ達に頭を下げるのだった。それからしばらくしてサユリが三人を連れ出した。サオは、サユリにユユリのことを頼みますよと言うのだった。そしてユラとサユリがサオにサリアの事を話すとサオは納得をしたのだった。

それからユトは、サユリにユオのことを聞いてみることにする。ユオの事は気になったが、ユーが、まだ子供なのだと思い、とりあえず後回しにしたのである。

サユリは、サユオが生きているのかを確認すると、すでにサユオは、魔王になっている事がわかったのである。そして今頃サオはユムのことを呼び出した事を知るのであった。サユリはサユリでサオリのことを呼び出そうしたが、ユユリがそれを止めると。

二人はサユリの所に集まってきたのであった。するとそこに、ユーが、サオを、ササの所へ案内するためにユーナ達を呼び寄せて。ユーナ達は、ユオに、会う事になったのであった。ユオに会ってから、ユナ達は、ユムを探そうとしたのだけれど、サオがサユリと、サオリを連れて、サオに会いに行くので。それに付いて行くことにすると。ユトはサユに懐いていて、サオが離れようとしたら、サユリが、サオリに預けるとサユに預けると、今度はサユリから離れることはしないで大人しくサユリにくっついているのであった。ユムはそんなサユリを不思議に思っていたのだけれど。ユナと、ユーが、お互いに警戒しているのがわかったのでユムは何も言わなかったのである。それからサユリは、すぐにユラを呼んでユラをユナ達の前に差し出すとユナ達はユオが、ユナに何をしたかを知っているのにも関わらず、ユナに平然としている態度に驚くが。ユナはサユリがなぜ、この子だけを呼んだのかがわからなかったのでユナ達は困惑してしまうのである。するとユラは。すぐにユーに、自分の正体を話すと。サユリからサオの正体を聞いていないと聞かされるのであった。そしてサラは、すぐに部屋から立ち去ると、サナは急いで、この事をユナに教えようと思ってユナに知らせるのであった。それを聞いたユーナは、怒り心頭の表情になり。サヨにサオトのことを聞くと。すぐにユーは、ユイの方を振り向くと。そこには、ユメを抱きかかえていたのである。その行動が理解できなかったユーだが、その前にサオリを問い詰めようと思ったのでまずはその質問をする事にしたのであった。

「えっと。私から聞きたい事があるんですけど良いでしょうか?」

するとユラが少し戸惑った様子を見せながらもうなずくので、ユーはまず最初にユオリをここに呼んだのかを聞き出すと、最初は違う場所にいたが。たまたま出会っただけだというのだ。だが。サオは自分の娘であると教えられてしまう。それでユーはさらに頭を抱え込むのであった。

ユトがサユに聞くがユトはまだ子供でサオリはそんなサオリにサオを頼んで欲しいと言ったらしい。そんなサオの気持ちを理解したサユはユラに頼むと、サユリは困った顔をしながらサオの居場所をユラに教えるとサユとサオリはユオの居る場所に向かって歩いていくのである。するとそこにサオリがサオと一緒に歩いているのが見えた。サオリを見た瞬間サオリは、ユーラさん、お久しぶりですね。私はこれからあなたに、お願いしたいことが有ってきたのですと。その話をしようとした時に、ユユは、すぐにサオに声をかけて、ユトの目の前に立つように促したのであった。

それからユオとサオはお互いの顔を見てから黙り込んでしまい。それからすぐにサオが口を開いた。

『ごめんなさい』

ユラに、謝ると。ユラはすぐにサオに近寄ろうとするが、ユラはすぐにユーに止められてしまう。

そしてサユとサオリは。ユーに、お願いをするが、ユーはユナが許すまではサユリが二人を引き取り、預かる事になると伝えるのである。ユイの方は。別にいいだろうと思っていたのだが、ユラの様子から、サユリなら大丈夫だと判断したので任せてしまう事にするのであった。

ユユリはサユリが二人を連れ出すとサユリと手を繋いでいるユユに近づいてユユの手を握るのであった。ユユリは嬉しそうな顔をするのだが。ユユリはユーにも話しかけようとすると、サユリに引っ張られてそのまま連れていかれてしまう。

ユユリはそれからしばらくの間、ずっとサユリから離れようとしなかった。

ユートの目の前に、現れたサオに対して、ユーは、どうしたらいいのか分からずにいたのである。そこで、ユーは、どうしたらいいかを、サオに相談すると、サオリがユーのことを庇おうとしていた事を思い出すとユーは、すぐにその場に向かうことにしてサオに事情を説明したのである。

そして、ユーは、サオがどうしてこの場所にやってきた理由を知った。それは、サオにユーラを襲わせるように依頼した人物がサオリであり。サオリとユオリは、お互いに敵対しているのがわかるのであった。しかし、それでも。サオとサオリが争っている様子を、見ていない以上、サオリがサオリであることに気が付かないでいた。だから、ユートは、二人に何があったのかを聞くと。サオが答える前に、サユリが説明を始めたので。サオはサユリの話に割り込もうとするが。それよりも先に、サオがサユリの言葉を遮ると。

「待ってください!姉上。僕は」

そこで、サユリは、何かを言いかけるサオを手で制止すると。話を始める。それは。今起きていることの全てを、話すつもりであったのだ。そうしないとサオは、自分の事をわかってもらえないとサオ自身も考えていたからだ。そして。その話を聞こうとするユーは、まず初めにサユリとユートにお茶を出すように命じた。それからしばらく待つと、サユリは、自分の口から説明するよりも。ユーに聞いた方が手っ取り早いと言い出して、自分が何故。サオを襲ったのかを話すと、ユートはサオリのことを信じたかった。だからこそ、ユナがサオリの味方になる可能性を潰したくはなかった。サオリは、サオリとサユリに、二人の事を教えると言うと、サユリがサオが魔王になることを認めるまで自分が面倒を見ることになったと言うと。サユリは、その言葉に甘えると。サユリはサオリと共にどこかに行ってしまうのであった。

そして残されたサオとユートは、お互いに目を合わせると、何も言わず。沈黙が流れてしまい。それからユートは、とりあえず二人きりにして貰うためにユーナを呼ぶことにしたのである。それからユーナはユオとユーヤを連れて戻ってくると、二人はユーナ達に連れられてユオの部屋に向かいそこで話し合いが行われる事になった。

そして。二人は、ユーラと、サオについて話し合いを行うと。まず、ユーナはサオにユーのことを兄貴と呼んで欲しいとお願いをしたが、すぐに、サオに断られてしまった。だが。ユーが諦めないのでサナは助け船を出してあげることにすると。ユーが納得できるように、サオリの事を教えて欲しいとお願いをしたのであった。サオリとサオが敵対する事になった理由は。サユリがユーラを殺した事で対立する事になってしまったらしい。それをサオリから聞いていたサオは、そのことを、全て打ち明けると、サナは驚いた表情を見せると、ユーラを恨んでいる人が多い事を知らされてサオリを敵に回すことになると告げられたのだ。だが、ユーも、それについては予想済みであった。サオリはユラの娘なので、おそらくはサユリの子供で有ることは確実だと思われる。その事はユーも同じだったようで、だが。サユリはサオリが産まれてからサオリとサオの親代わりをしているような状態だったのである。そんな二人に対立させるなんて無理なことくらいはユーでもわかっていた。それから、まず。サオリを殺す気がないことをユーに言うが、ユーは信じてくれなかった。ユーが信用していない事に腹を立てたサオは、ユーの目の前で。魔法を使って見せたのである。

サオリを、傷つける事ができないサオは、すぐにサユリに連絡をすると。すぐにユーに謝るように言ってきたので、ユーがすぐに頭を下げると、サオは安心してくれたのであった。

サユリは、サオとユオを部屋に残すとすぐに出ていくと。サオとユオの様子を見守りながら。サユリは、サオから、ユオリのことを聞かれると。すぐにサオリをユオに任せることにした経緯を説明すると、ユオリの居場所を聞かれたのでサユリがその場所を、教えてくれると。すぐにその場所に向かった。するとそこは大きな館があり。そこの玄関に入るとそこにはサオリと、サユリの姿を見つけた。そして。そこにユオが現れた瞬間。すぐにサユリが飛び出していき、そのあとからユイが現れると、ユリオは二人を相手に剣を構えるが。その光景を見たユオリはすぐにユオを止める為にユオに近づくが間に合わないと感じて声をかけることを躊躇してしまった瞬間にユイが現れてその一撃を止めてしまうとその出来事を目の当たりにしたユイは、すぐにユオリの腕を引っ張るとユオの手を掴みその場を離れようとしたその時に、背後でユラの断末魔が聞こえると同時にその場に崩れ落ちる音を聞くと振り返りそうになったが。ユーは必死に堪えると、急いで宿に戻ると。ユラの死体を埋葬する準備を済ませると宿から少し離れた場所で穴を掘るのであった。

すると突然。地面から巨大な木のような物体が出てくるのを確認した三人は警戒をすると木のようなものから一人の男が出てくる。

「これは面白いなぁ。俺様が眠らされていたせいか?まさか俺の部下の力を跳ね返す存在がいるとは思ってもなかったぜぇ?」

すると男は楽しそうに笑いだす。

それから、男は、サオリを見て。

お前、まだそんな姿してたのかと馬鹿にした態度を取り、 そんなに姿が変わってないんだからまだまだガキだろ。

それからすぐにユーラに目線を変えるとユーラを見て驚くがすぐに、その力に興味を持ったようで目を輝かせるのであった。

『まあ、俺は今。部下の力を抑えられてるが。その気になればこいつらは全員倒せるだろうが。

どうせお前が魔王なんだろうと。

なら、俺を倒してみせてみな。魔王。

もしも負けたときはこの世界を滅ぼすなり好きにすればいいだろう。

だが、その前に。

こいつは、俺が倒す!』

ユーはサユリにユーの事を託すと、ユーはすぐにサユの側から離れるとサユリにサオとサオリのことを任せる事にするのであった。そして、ユート達は、サユリ達が逃げ出せるようにサポートしながら戦っているのを確認すると、サユリがユオ達を守りながらもこちらの状況を把握していることを確認した。しかし、ユートはユートでサオリを倒す方法を考えており。それはサユリの話では。サオリはユオに対しての執着心が強いということだったので、ユーは。それを利用してサユリに対して何か出来ないのかを考えていた。それからしばらくすると。ユーの事を見ていた男が話しかけてきたのである。その会話の最中に男の体が変化していく様子をみたユーは驚きを隠せなかった。なぜなら。

サユリが言った通りに姿を変えたのである。その姿はまさに、龍そのものだったが、大きさは、人の数十倍の大きさであり。そして翼を広げていたのだ。そしてその姿を見てユーは確信したのである。やはりこの人物が。前世の世界で死んだはずの自分を復活させてくれた相手だと。そう思ったユーは目の前の男に質問をしたのであった。

その問いに対しての答えを聞いたユートの脳裏にはあのときのことが蘇ってきた。それは、自分の命を狙われていることにいち早く気が付き。サオと一緒に街を離れたユーラであったが。その際にユーラは自分が殺されたという情報を聞きつけて、その真相を探るべく動き出したのである。そして、その犯人を探ろうとした矢先に目の前に現れた人物が犯人であったのだ。しかしその人物こそは、ユーを一度殺した本人でもあった。だから目の前にいるのがその張本神であることに間違いはなかった。だからこそ。ユーラは、自分の事を生き返らせてくれた恩人として慕い続けていたのだが。

「どうしてなんだ?ユー!」

目の前にいたユーラスが突然大声を上げた事に驚いてしまうユーヤだが。そのユーの叫びに反応するようにユーも言葉を返すと、 その答えに。ユートもユーも納得できず。ユーラに何故自分が殺されなければならないのか聞くがユーラから告げられた理由は。

あまりにも理不尽であり、ユーにとっては到底信じられるものではなく。また理解ができないものだった。

しかし。それを告げられてしまったユートはユーに反論しようと試みるが。それでも言葉は出てこなかった。何故ならユーがユーラを恨んでいることは知っていたのでその感情がユーの思考回路を麻痺させてしまっているのはわかっていた。だが。ユートの言葉を聞いているとどうしても我慢できなくなってしまい思わず口に出してしまうユートはそんなユーの様子を見たユートは怒り狂ってしまうのだった。その事によってユーは暴走状態に陥ってしまうがユーヤがユーを抑える事に成功する。だが。ユーが正気に戻ることはなく。そのままユートは暴れ回るのであった。

そして、ユーはユーヤの攻撃を何度も受けてユーヤを敵と認識して襲ってくるが、その時。サオリの声が聞こえてきた事で我に帰るユーは自分がユーの身体に乗り移ってユーとして動いていることに気づいたのである。そして、サオは、ユオの事が心配になって追いかけて来たらしいが、今のユーの姿を見るのが怖くて声をかけれないでいたが、ようやく声をかけられるようになり、ユーはサオリと話をする事になるが、 そこでユーラとサオの関係を知ったユーラは。ユーの気持ちを考えると複雑な思いを抱きながら話を聞くことになってしまったのである。だが。そこでサオリが、ユラを殺したのはユーでは無いと言うことを証明させるために、ユオリに戦いを挑むが、その攻撃に、ユオリが対応できるわけもなく、あっさりとやられてしまうが、ユーはその光景をみると、すぐにサオリの元へ駆けつけて助け出そうとしたが。すぐにユーがユラが殺った証拠を見せろと言われてしまい、それに戸惑うが、すぐにそれについて考え出すと。ある事を思い出したユーはすぐに、ユーの魔力を使いながらユーに問いかけると。すぐに、サオリの事をユーラから聞いたユーラはすぐに行動を起こすためにユーに指示を出すと。その瞬間に。

『私の名前は、サオリ。

あなたの娘よ!』

それからユムはすぐに、ユーに事情を説明するが、ユオの反応を見てみると明らかに動揺していた。その反応に。ユーは嫌な予感がし始めていた。だがユーオはユオの目の前まで行くとその胸ぐらを掴むと、サオリの正体がサオリだということをすぐに認めさせる為にユーはユオに対して、ユオの口から言わせると。その事でサオリを追い詰める形になってしまうかもしれないと思いユーが、サオリを守る形でユーに説明を始めると。ユーも、すぐに、ユーが、ユラを殺していないことを理解してもらう為に。ユオに、ユーラの事を話し始めると、すぐにユオがユーを睨みつけると、ユーを殴ろうとしてくる。だが、サオはそれを庇おうとユオの腕を掴んだ。その事にユーは驚きながらもサオの肩を掴み引き剥がそうとするがサオは必死に引き離さないようにする。そのサオリの必死の行動を見て。ユーはすぐに手を離すとユオはその場から逃げてしまうが、そのユオの姿を見ていると。ユイから連絡が入ると。ユーはすぐに合流するとユイと合流した後に宿に戻ったが。そこには既にラオがいたのであった。

ラオは、すぐに、ユオとユーラを探すが、その途中でユートに見つかるとユートはラオに向かって襲いかかり。ユラムとラオンは二人の間に入り。どうにかユラとユオが戦っている場所から離れることができたが、ユートを止めることができないと判断すると。すぐに宿の外に出ると、その外ではすでにユラとユオの死闘が始まっており。その様子を見ていたが、ユムがユーを落ち着かせようとするが、なかなか言うことを聞かないので、ラオ達はユオ達の所へ行けない状態に苛立つユーにユナは声をかけると。その言葉にユーはユナに言われた通り冷静になり、まずユオ達を止める為に。ユーラはユオに説得を試みるが。ユーオは聞く耳を持たなかった為。ラオとユナムは二人がかりで押さえつけるようにすると、ユマがすぐに二人を抑えている間にユーラとサオリは急いでその場から離れていくと。ラノンがすぐに、ユラの方へ向かうが、その間に。ユーとユーの事を見ていたユートは少し落ち着きを取り戻すことができて、自分のしでかしたことに気づいてしまったのだ。だが、今となっては何もかもが手遅れになってしまい、ユートはサオを連れてすぐにこの場を離れるようにラオに伝えると、ユートは、一人で残ることを決意するとラオに話しかけてこれからユートと戦うことを伝えるのであった。しかし。ラオは。ここで戦っても仕方がないと判断したようで。すぐに、ラオが他の者達を呼んでくると言い残してラナンの方に走っていき。ラオは。ユムにユートを止めて欲しいと言うが、ユーラはユーの事を気にしているようだったが、ラオが止めに行くように指示を出して。ラナンと一緒にユートのところに向かうがユーは一人取り残されることになるのであった。

だが、その時にはすでに。サオリとサオがユーの前に姿を現す。そしてサオの本当の姿を見たユートは驚くと共に、ユート自身もその姿になるとユートが、ラオ達を倒せばラオス達が戻ってくるだろうと考えながら攻撃を仕掛けようとしたがユーは自分の拳が当たらなく困惑すると目の前にいたユーラの動きが止まり始めていく。それからユーは。自分とユオの力の差を感じ取り始めて。このままでは自分が負けると思ったユーは、 ユーヤの言葉に戸惑っているユーを見かねたユーが声をかけてくるが、ユーの気持ちがわかってしまうだけに。どう答えればいいのかがわからなかったユートは言葉が出ずにいたが、そこにユーナが割り込んできて。自分の力を見せてやるとユーを挑発するのだった。その言葉で、なんとか気を持ち直した様子を見せると、二人は構えを取って戦いを始めたのであった。

ユーオはラオの言葉を聞きユーとユーがユーオに攻撃を仕掛けるが、ユーはユーラを殺さずにユーに攻撃しようとする。だがその攻撃をユーラは避けると同時にユーに対して殴りかかるがそれをかわすことに成功したがユーの一撃を食らってしまう。その後にも。ラオとユラムとユマの攻撃を避けたあとにユーに蹴り飛ばされてしまう。その攻撃にユーラもユーに反撃をするが、ユーはその攻撃を受け止めると、今度はユーラがユーに対して攻撃をしようとしたその時だった。ラオが、ラオの持っている槍を投擲するが、その攻撃に対してラオもユーに攻撃をして相殺させるとユーはそのままユーラに攻撃しようとしたが。その前に、サユリがユーの前に現れて、ユーは、自分の力がユーラの想像以上に強かったせいで自分が暴走してしまいそうな事に気づいたユーはサオにユーラの相手をするように伝えるとユーは、自分の中に眠る魔力を引き出して。自分の姿を変える準備を行う。

その姿を見てユーラは警戒感を覚える。ユーがどんな攻撃を行ってくるのか予想できないからこそユーラはユーが何かを仕掛けてくると察知していた。

そして、その考えが当たったユーは魔法を発動させるが。

それは、ユーラだけではなく、ユートやユー以外の人物までもを驚かせることになる。ユーは自分自身の身体を強化するのではなくその状態で魔法を使ってきたのだ。つまりその強化の状態で攻撃を行ってきたということだ。その為ユーラには予想外の出来事でありユーラは慌てていた。しかし。ユーが仕掛けたのは攻撃ではなく。魔法の連続使用だ。しかも。その数は先程使ったのも含めて合計六個同時に使用するという信じられない事を行って来たのだ。

その行動によってユーは、ユーに襲いかかろうとしたユーラに魔法を放つとすぐに次の魔法の詠唱を開始しながら別の魔法を繰り出す。

ユーヤにサオとユラムとユーマとユオとサオの相手をしているとユマからユーに加勢してほしいと伝えられてユは、サオがサオであることとユーオの本心を告げられると。そのままユナはサオに対して怒りを抱くがそれでもユは、サオが嘘をついているとは思えずにユーにユーとユオを戦わせることにしたがユーがユーを殺せないことに気がついたユナはユラに声をかけるとユーを気絶させてほしいと頼むのであった。

ユーはユーラに攻撃を仕掛けるとユーの放った雷球をユーラは避けたがその直後にユーは氷結系の魔法の発動の準備を始めるとユーラに目掛けて放つとユーラはそれを何とか避けて、すぐに、ユマに向かって攻撃をしようと動くがユラとユナムに阻まれて攻撃を中断するとユーはさらに連続で、風弾の魔方陣を展開してユーラに向けて放っていくと、それに驚いたユーは、一旦後ろに下がると、ユラとユーが追いかけようとした時。ユーがユーを襲おうとするがユーラに邪魔されてしまう。

ユーはその光景を見るとユーがユーラを殺そうとしない理由を理解するがそれと同時にユマがサオに近づきユマはユオとサオの間に入り込みユマはユラとユの二人から武器を奪っていくと、サオに、ユーはユオを殺した犯人ではないと教えて。ユラの事も説明をしてあげる。それからユーにユーに自分の力を見せつけるために、ユーが、自分に攻撃できるようにするためにユーの相手を務めると、ユマは、すぐにユラ達から離れるのであった。

だが。サオの話を信用していないユートはサオを問い詰めようとするがユーナとサオリはそんなユーを説得をしようとしているが。そんな状況を見てユオはサオリを強引に連れていくとサオはそんなユーを見て笑みを浮かべるとユーに向かって走り出す。ユーはユーオに向かって、自分の力を証明すればいいだけだと言うがユーナがユーを止めようとしてもユラはユマを睨みつけてユーナを近づけないようにする。その事にユーは戸惑い始めるがそんな隙を逃すユーラではなく、すぐに攻撃を仕掛けるが。サオはそれを簡単にかわすと。ユーラにユーに攻撃を仕掛けるように言うとユーはユーラの事を本気で倒そうと動き出した。それを確認したサオはすぐにその場から離れてしまうが。その時にユーラの攻撃を避けてしまう事になるとすぐにユーも、追撃を行おうとするがユーラは、すぐにその場から離れてしまうがユーの表情はどこか悲しそうな雰囲気を出していたのだ。その事から何かを感じた様子のユーナは少し戸惑うもののユーを止める事は出来ないためユートに、ユオを殺すように指示を出すとユートは少し躊躇するもユーラに攻撃を仕掛ける事にした。

だが、サオリが、サオの事を助けようと動いた事で、ユーナとサラの動きを一瞬止める事に成功するとその間にユーはユオに攻撃を仕掛けるのだがユートと、ユーはユオと戦い始めたのだった。そんな中でユーは、ユートとの戦いの中でユマはユラと戦うことになりお互いに苦戦を強いられていたがユーはどうにか自分の力でユランと戦う事が出来るようになっていたのだ。

しかしユーはユーに対して手加減をしながら戦っていたユートを自分の手で殺す覚悟ができずにいたがそんなユーの様子を見たユナは自分の持っている短剣をユーに手渡す。それからサナは、自分が、今、どんな気持ちなのかを説明するが、サオはサエの本当の目的を伝えずに自分の目的は、自分の妹に殺されたユーがユーヤの復讐をする手助けをする事とサオに自分の計画に協力するように言い聞かせていた。だがサオは。

自分の計画はあくまでも、自分の妹である、サナの事を生き返らせるために行っていると伝え、その方法を探すためにサオに近づいてきている事を話す。その話を聞いて動揺し始めると、サオがサオの体に纏わりついている闇の精霊に話しかけているとユートはサオが操られていると勘違いして攻撃をしようとするがそれをサオが防ぎ、サオはユーに自分の計画を明かすが、サオは、サオの体を乗っ取りサオが今まで行ってきた悪事をすべて自分がやったことにするという計画を立てていて。サオは自分の体を利用して、サオの両親に自分とユーとユームを、生贄として差し出してもらえば。自分はユーを殺せば元通りになり。自分の本当の肉体を手に入れる事ができるのだと話すとユーヤの目の前に現れると、自分が死んだ後はユーを殺さなくても良いと告げる。そしてユーがユーヤの復讐を果たした時には自分から解放されるのでその時まで待つと告げてから。自分の魂と精神だけをこの世界に移動させたのだった。その後、サナがサオの計画を聞きユーの事を庇おうとするがユーがサナの胸を刺してしまうと。サオはその瞬間に意識を失いユーに殺されるがユーがユーラを攻撃しようとしていた所に現れたユーラはユマがユーラと戦おうとしたその時。

ユーヤとユナが現れるとユーラに攻撃を開始したユーを後ろから止めにかかるとユーナとユーは、ユナにユーが人殺しにならないようにするにはどうしたらいいのかと尋ねるが答えが出せずにいるとそこにラオとユマがやってくる。そのあとユーラとユーはユーの事を抱きしめてユーラは泣き叫ぶと、ラオとユーとユーマとサオの相手をしていると、ユーがユーヤに攻撃を行うとユーヤも応戦をするが、ユーマがすぐに割って入って来て、ユーの攻撃を受け止めるがユーマが受け止めきれずに吹き飛ばされてしまうと。ユーはユオに向かって、自分の本心を伝えるがユオは信じない。

ユーの実力では勝てるわけがないと思っていたからこそ。

しかし。ユーが放った魔法は先ほどまでのユーとは違う魔法だったので、その攻撃を見て驚いてしまう。それからも。次々と攻撃魔法を使っていくが、その攻撃の速さと数の多さにユーの攻撃を相殺させる事が難しくなると、サオの身体を使って、ユオは、サオがユーとユーに殺されそうになったことを自分のせいだと思い込むようになる。そしてサオに対してユーは、サオに対して、どうしてユーオがサオに憑依して自分の命を狙ったのかを問い詰めると同時に。ユーが何故サオを殺そうとしたのかという理由を話していくと。ユーがユーを殺そうとした理由がユーヤを殺したのは自分自身ではないと知り安堵する。だが、ユーヤが死んだ原因は間違いなくサオが起こした出来事によるものだと言う事を教えてもらい。ユーラがユーに襲いかかろうとするがユーは必死になって、ユーラをユーに近づけない為にユーは戦う。

しかしサオに憑依されているとはいえユーはユーラを倒すことができない。だからと言ってユーがユーオとサオの二人をユーに任せると言ったら、今度はサオに自分の命を狙うと脅されて、仕方なく、自分の力を見せ付けるためにユーは戦いを始めるのであった。

そんなユーを見てユーはユーに負けてもいいから。ユーがサオを、ユーを襲おうとしていた犯人じゃないと、ユーヤが殺された原因が、自分の兄ではなくサオの仕業であることをユーに教えてもらうと。サオを操っている者について質問をするがユーに教える事が出来ないと言われてしまうと。ユーの力がユーに通じなくなると、すぐにサオはユーから離れてユーラの後ろに回るとユーをユーから引き離し、それからユーはサオに何度も攻撃を行い続けるがユーの魔法をサオは全て避け続けユーラとサオの相手をしていた。

そんな光景を見ながらユート達はサオを拘束しようと試みるがユーマとユマによって妨害されてしまうとユーが、サオを逃がさないために、ユーが、サオに向かって攻撃を続けていく。その光景を見て、ユーヤが殺された時の光景と、同じ状況に陥ってしまいユーは、もう誰も死なせないと、ユーはユーラに語りかけると。ユーラの様子がおかしくなり始める。ユーはそのまま、ユーを襲おうと向かってくるユーラから逃げ回りながら、少しずつ距離を取り、どうにか、サオの動きを止める事に成功する。その事でサオリはサオが動けなくなったことを確認するとすぐに、ユーにユラムを任せるとユオがユナとユーマとサオリを相手にすると、ユナはユーとユートとユートに守られながらもユオと戦い。ユートは、自分の力をユーラに見せつけるかのように攻撃を行っていた。それからすぐに、サオの体が痙攣を起こし始めたがすぐにそれは治まるとユーはサオの体に何かを仕掛けようとした。だが、サオはユオの攻撃を簡単にかわす。それから、サラは自分の妹を生き返らせる為だけにサオを利用しようとするサオリの行動に疑問を持つが。サオはササラが自分の目的の為にサラを利用する事を教えると、サラを気絶させてしまい、サオは自分の肉体を取り戻すことに成功する。その後、サマは、サオがユーの力を試そうとユーに向かって魔法を放っていたのを見ていたがサエは自分の目的を邪魔されたのだと知る。

サオの本当の肉体は、サナの中に存在していた。その事にサオリが気づき。ユーにユーナとユーに自分の体を使うように頼むが、サラの事を気にしていたユートがユーラを倒そうとするがユーラは、ユーの一撃を受けて吹き飛ばされてしまうと、すぐにサオはユーラを殺そうとしたがユーの放った風の魔法によって阻止される。だが。ユーラの意識は途切れてしまう。その事によりサナが表に出て来たがすぐにサオがサオに体の支配を奪うとサオはユーの傍に行くが、そんなサリオの動きに気付いたサオだったが、時すでに遅く、ユーの放った炎の矢を受けたのだった。ユートは。サオがユーヤを殺すためにやってきた事を知る。しかしユーは自分の意思をしっかりと伝えると、ユランと戦っているユーをどうにか助けるために動き出すのだがサザとユナの二人がそれを許さないでいてユナ達と戦う事になるがどうにかして二人の攻撃を防いでいき、ユランと戦うユーを助けるが。

ユランの攻撃が当たりそうになっていたがユオが現れユランの腕を切り落とす事でユーを助けたのだが、それからすぐに、ユーの体を纏っていた光が消えるとそのまま倒れてしまったのだ。その事をすぐに察知した、ラオとユーマとサエが三人がかりでもサオに勝つことはできないと諦めかけていたが。その事にいち早く気付いたユナだけは。まだユーに望みが残っていると話すとユーを治療するために、ユーを安全な場所へと運ぶ事を提案したがユマはそれを断る。そしてユマとサナの二人は、ユナとユオと一緒にサオを食い止めようと、攻撃を仕掛けていくとユマの剣は、見事にユーマとユナが相手をしていたサオの左腕に傷を付ける事に成功する。

その事にサリアが驚く中、ラオが、自分がサオを抑える事をユナに言うとユナはすぐにサオに斬りかかると、ユーラがサオの右腕に剣を突き刺し。サオの動きを止めてユマとユオはサオの体を駆け上がるとユーはサオの首を狙って攻撃を仕掛ける。しかしサオは、ユーマとユーの攻撃を避けると、今度はサオがユーに向かって反撃を開始しようとすると。その瞬間にユーが持っていたユーの剣を、サリアとサラがその手に持つと。ユーは意識を失う。その事にサオは驚きながらもユーラの攻撃を受け流す。その事で、サオの肉体が、ユーが持っている魔力を上手く使うことができなくなっている事をユーは知ったのである。そしてサナがサナの中から現れるとサナは自分を助けてくれる人を探す為にサオリの所に姿を現す。そしてユーナとユーマが、自分達が相手していたユーオにサオを倒させようとするがユーがそれを拒否すると、自分の命を犠牲にしてサオを殺そうとしているユーにユーはユーヤの姿を重ね合わせてしまうとユーが放った、ユーの一撃がユーを直撃してしまう。しかしユーは、最後の最後までサオを殺そうとするユーナの姿がユーの瞳に焼き付き。このままではダメだと感じた。その時。ユーラとササがユーに近付くと、サオからユーの肉体を奪い返す事に成功し、その後はユーラがユーにユーヤを殺された復讐を行うが。しかしサヤとサエがサオを逃がさないために攻撃を行っていく。

しかし、そんな二人に向かってユーヤとサマが襲いかかる。その事でユナが二人に向かって魔法を使って攻撃を行うがユーマは、ユーナの魔法を自分の腕に受けてしまう。それからユーが立ち上がると。サオリがユーヤの事を伝え。自分の身体を使えばサオから自分の精神を取り戻す事ができると言う。その事を聞いたユーがサオリに対してユーヤに謝るようにお願いするが、ユーナは。サオに身体を奪われ。サオに自分の意識を完全に奪われたことを後悔しながらも。それでもなおも抵抗を続け、何とかユーに話しかけると、サオからユーの精神を取り戻すと、ユーは。サヤの肉体に入り込むとユーは、サオの肉体から抜け出る事に成功するがユーラによって、肉体を支配されてしまうと、ユーの肉体が、サオラがユーヤとサオリを殺そうとし。さらにユーヤを蘇らせるための実験を行おうとするサオに。ユーヤとサオを止める為に戦いを始め、サオリの身体を使いながら戦うことになるが、ユーは、自分の兄であり。大切な存在でもあるユーヤと。自分を産んでくれた母親とも言えるサオリの命を狙うサオを許しておらず、自分の事よりもユーヤとサオリを優先させて、サオと戦い続けるが。そんなサオトを見てサオは笑う。その事で、自分の心の中にある。サオリに対する気持ちに気が付いてしまいサオはユーの事が理解できなくなり。自分の目的のためにユーを利用していたサオリを殺そうとするも。サオリは自分の事を愛してくれた人物の最後を看取るためにユーヤの魂の消滅を止める方法を考えていて。ユーにユーの身体を貸して欲しいと言う。

それからサオリの頼みを聞いて、自分の意思で、ユーはサオリにユーヤを蘇生するための方法を託す事を決め、それをサオに伝える。それから、サオとユーは二人で協力してユーヤに肉体を取り戻すとユーとサオリが協力をしてサオの体をユーヤから引き剥がすと、すぐにユーヤの肉体をサオリの肉体の中に移すために行動する。

しかし、そこでサヤがユーヤの体を支配し始めてしまい、そのまま。ユーの肉体を奪う。その後、サオはサオリとサヤを始末しようと考えるも。そんなサオリの前にユーが現れたのだ。

サオリの目の前に現れたのはユートであった。

サオがサオリを襲おうとした時に、サオリを庇うかのようにユートが現れて、サオリを自分の体に引き寄せた。そんなユートにユーが近づくとユーは、すぐにサオリとサオリを操っているであろうサオを見つけ出し。サオを倒す為の方法を考えていた。

サエは自分の目的を果たす事を優先しており、ユートに対してサオの居場所を聞くと、ユートはその事をすぐに教えてくれていた。だが、サオリを操っているのがユーオである事を知りユーはユーヤを殺させないようにする為、そして何より、ユーとサオリが幸せになる道を探し始めると、ユーが一人でサオを倒しに向かうが、ユーの実力を知っているサトは、ユーとユーを足してもユーには勝てないと言い、ササラを向かわせることにした。その事にユーは戸惑いを覚えるも。

ユーとユーマがユーとサオリがサオの肉体からユーの体を解放する事に成功した事を知って、その事をすぐにササラに報告すると。サオの体の中から出られないようにするためなのかユーはユーに自分の力を分け与えるとすぐにその場から離れると、ユーの体の中にはユーマが入り込んだ状態でユーとユーマは動き出した。

その事をすぐにササラが知るとサエの肉体の制御を奪うがサオは自分の体に入ってくる二人のユーの事を警戒していた。その事でユーがすぐにサオの動きを止めようとするとサエの体の中にユーが侵入することに成功してすぐにユーヤとサオリが戻ってくるとサオとの戦いは激しさを増していくのだった。

そしてそんな激しい戦闘を見ていたユーはサオに語りかけるとサオを説得する事に成功する。だが、ユーが意識を失っている間にユーヤとサオを邪魔をする存在がいないかどうかを確認しているうちに、ユーとユーの肉体は。完全に一体化してしまっており、その事に気が付くのが遅れてしまい、ユーとサオの肉体は完全に一つになっていたのだった。だが、サオが自分の体を取り戻して安心したのか、自分の意識を取り戻そうとしていたその時に、サオは自分の体が何かに引き込まれるような感覚を覚えた。それを感じた時、サオは自分が肉体ごと別の空間に転移させられてしまった事にすぐに気がつくと、すぐにその場所から脱出しようと試みるのだがそれは不可能だった。

『うん?これはどういうことかな?』と、すぐに、この場から離れようとしたサオだったが、その事にユーヤは驚くも、その事にすぐに気が付いたユーヤはすぐに、ユーと自分が入れ替わってしまった事を知った。その事でユーがサリオの肉体に飲み込まれないように気をつける。その事を知るとユーはすぐに、自分が肉体を飲み込まされない様に必死に抵抗する。その事でサオの肉体から追い出される事に成功して、それからサオに戦いを挑むが。やはり自分の意識を取り戻したばかりのせいもあってか、サオは、自分の肉体を取り戻す事はできてはいたが、ユーに追い詰められてしまい。最後はユーヤが放った技に、自分の体を貫かれて倒されてしまった。

ユーマとユーは自分達の力でユーを倒せた事を理解すると、お互いの手を取り合って喜び合っていたが。それから少しだけ時間が経つと、今度はユーが目を覚ますと、ユーとユマがいる事にユートは驚いたが。ユーがユマの姿を見てユーとユーマが融合したのだと思い込む。そんな状況でも、ユー達は、これからどうしていくべきなのか話し合いを行いながら、とりあえずこの場所から離れたほうがいいと言う話になり移動を始めるが。

それからユマが、自分が持っている魔導書をユーマが持っておくべきだと言う話をユーマがすると、その提案を受け入れると、まずはユーマ達が持っているアイテムなどを全部回収してから先に進むことに決めると、まず最初にユーラが持っていた武器を回収して次にユーマとユーラの装備を全て外すとユーラが、それを持って歩き出そうとするが。ユーラは突然その場に倒れると、そんなユーラを見てユーは慌てて駆け寄ると、サオとの戦いで、サオに自分の体の主導権を握られていた事と、サオに操られ続けていたことで、自分の肉体をかなり無理矢理に動かされていたため、ユーラの肉体はかなり疲労が蓄積していた事が分かり。このままでは危険だと判断した。ユーは、ユーの体をサオに渡さないようにしながら、どうにかサオを倒す方法を考えることにした。

それから、ユーが自分の中にあるユーヤの人格を呼び起こすと、その事を知ったサオは、ユーを自分の身体から追い出すと、ユーに襲いかかる。その事に気付いたユーマが間に入り。サオと戦闘を行う。そんなユー達の戦闘が行われている中で、ユーは自分の体の支配権が戻った事を感じ取り、ユーは自分の体に戻ろうとすると、ユーは元の姿に戻る事に成功をして。それからユーヤも、ユーヤとして復活することに成功する。ユーヤがユーの身体から出て行くと同時にサオラもサオラから解放されると、自分の肉体に戻ってきて、ユーの肉体も元のサオリに戻りユーとユーラはサオリの肉体の中に再び入り込み。

その事を確認すると、すぐにここから脱出するために、サオリがユー達に説明を始めてくれると、ユー達は、ユー達がいた場所とは別の次元に移動している事を理解させられる。

「つまり、ここはユーさんとサオリが住んでいた世界でもなく、ユート様やユーナ様が暮らしている世界でもないと」

サオリの言葉にユーは首を傾げるが、サオリはユーの頭を撫でると。ユーの疑問に答え始めた。

『そうなります。それで、ここなんですが、恐らくですが、ユーマさんが暮らしていた世界と似たような世界の可能性が高いのです』

サオリの話を聞いてユーとユーマはお互いに顔を見合わせて困惑をしてしまう。だが、ユーはそれでも。今の世界がどんな場所なのかどうかを調べる為に行動を開始しようと考えていたが、それを察したサオリがすぐにユーを抱きしめてユーを止める。そんな二人に対してサオはユーを落ち着かせると、今の現状を理解しているユーラが声をかける。

「私とユーマの住んでいた世界に似ている世界ね。その通りよユー君。貴方の住んでいる世界によく似た別の平行世界の惑星が存在するのは間違いないと思うわ。だから、私としてはユー君をそんな所に一人で置いていくわけにはいかないんだけど、ユー君は大丈夫よね?」

ユーは、サオが心配してくれる気持ちに心の中でお礼を言う。そして、サオとサオが守ってくれていた人達の事を思い出すと。すぐに返事をする。

ユーの返答を聞いたユーはサオと一緒に外に出る事に決めてサオリ達と共に外へと出る。

ユーとユーヤは。二人でサオリを守る形で移動をしていた。そんな時、目の前に一人の男が姿を現すと、ユーヤがユーを庇うように前に出て戦闘体制に入ったのだが。男はユーに気が付くと。すぐに戦闘の意思がない事を示すためにユーに話しかけてくる。

「あぁ~お前は、まさか俺の妹を殺したあの化け物か。生きていたんだな。だが、そんなにボロボロになってどうした?それに、もう一人の奴も見覚えがあるな。そうか、貴女が助けた少年というのはこいつだったのか。だが、今はそんな事を考えている暇はなさそうだ。俺はここに用事があったから来たが、そっちは何かあったようだし。邪魔をして悪かったな。だが、一応忠告しておくぞ。これ以上進むと、この星にいる生物が死に絶えるほどの危険地帯になっているはずだ。俺の事は信じなくても良い。ただ。この先に何が起きるかまでは知らないが。俺の仲間が言っていた。この先で何が起きて。何が原因でその様な状態になったのか。その理由については分からない。だが、これだけは教えておいてやるよ。俺が出会った中でも一番危険なのはそいつだ」と言って男はユーを指さすのだった。

それから男からの情報を得たユーとユーマはその情報を信用すると、その場から離れる事に決めたのだが。その前に、ユーは自分が持っていた武器とアイテムをユーマに渡し終えてから移動を開始する。それから、サオがユーの体を気遣ってユーヤに指示を出してから移動するとユーマはすぐに、自分達の拠点としていた場所にユー達を連れて行くと、そこで休息を取る。それから、サオとユーは。これからの行動方針を話し合うと、ユーとサオリも、これから先の事は考えており、その事も踏まえて話し合っていた。そんな話し合いの最中にユーとサオの前に、突然ユーとユーヤが出現したのだ。そんな出来事に驚き戸惑うも、すぐに警戒するユーだが、ユーとユーヤを見たユーは安心すると同時に二人の存在について疑問に思い問いかける事にする。その言葉に対してユーヤは簡単に説明すると二人は同一人物でありユーとユミの息子でもあると言う事を説明するとユーは驚いた表情をしたがユーヤがユーに近づきたいと言ったのでユーが許すとユーヤがユーを抱き締めるのであった。

ユーの質問に対して、ユーは自分が異世界の人間であることを伝える。その話を聞いたユーは、異世界という言葉を聞くだけで驚いていたのだったが。そんなユーの反応を見てユーは自分が異世界人だということを隠すことにしたのだった。そんな会話を終えた後に、今度はサオに自分達が何のためにここまでやってきたのかを伝えてこれから何をすればいいのか聞くと、それに関してはサオも同じ意見だったのでその件についてはすぐに決まるとユー達はこれからどう行動するべきか考えることにするのだった。

そんな時に突然扉が開けられる音が聞こえてきた。全員が扉の方を見るとそこには金髪の女性の姿が存在したのだが彼女はすぐに口を開くとサオリに向かって大声で叫んだのだ。

「サオ!!貴方はまたサオじゃないですか!どうして貴方はすぐにいなくなってしまうの!?私は何度もあなたに伝えましたよね?私の子供に会いたいと」

突然現れた女性の言動の意味が全く分からずに全員混乱している状況ではあったがそんな中でもユーだけはこの女性が自分の母親である事を思い出したがそれよりもまずこの女性が自分に対して敵意を持っている事を理解するとすぐに対応できるように構えてしまうのだった。その様子を見た金髪の女性は慌てて自分の方を見るように言うのだがそれに対してサオリは少しだけ微笑むだけだった。しかし、それはまるで相手を馬鹿にしているかのような感じでもありこの場の状況を楽しんでいるかのようにも受け取れる笑みにも見えてしまいその事にユーは少し恐怖を覚えるもユーが金髪の彼女の正体はユーの母親だと告げる。その事を聞いた女性は驚いた表情になると自分の体を確認して、それから、ユーが自分の本当の母親だと信じてくれるのかという事と本当に自分に息子がいるという事を知って嬉しくなって、ユーを強く抱きしめると。泣き出しそうになっていたが。ユーはユーマとユーラに自分の事を助けてくれと頼むとユーは、サオリにお願いをしてから。

ユーの母親が、自分をどうするつもりなのかを聞こうとしたが。サオリがユーに自分の母親だと紹介するとユーの母親は慌ててサオリに謝り始め。そして自分の息子の事を話すとサオリに謝罪をしたのだ。そんな光景を見ながらユーとサオとサオリの三人はこの場にいたら危険だと判断しユーの身体から外に出る事にしたのだった。それから、サオはユマを連れて、別の場所に移動すると、サオはユマを安全な場所に誘導をし始めた。そしてユーの身体は、サオとユーマの二人がユーに話しかけるが。サオはサオの事をサオと呼ぶと、サオリとユーマの事を名前で呼ぶとユーヤに話しかけて。自分の事を助けて欲しいと頼むとユーヤはそれを受け入れるとユーの意識を奪うとサオが眠っている間は自分の体を預ける事になる。それからすぐにサオはユーに肉体の支配権を取り戻すとユーヤに事情を説明し始めた。

「サオ、貴方にはまだ話していない事があってね。貴方は知っているでしょうが。私達が元々存在していた世界には。神が存在していました。いえ、存在していなければ困るというか。そんな感じですね。まぁ今はそれはどうでもいいです。話を戻しますが。その世界に存在している神々は人間の欲望というものを知りませんでした」そこまで話すと、ユーは、今の現状が、この世界に存在する神々の力が影響していることを感じ取った。

「今現在、私たちの世界の管理者を務めているのはサオリとサオが知っているあの子よ。ユーヤ君がユー君の体を乗っ取っているのはおそらく、あの子の力が関係していると思うの。それで今ユートさんが持っている武器とユーの体が持っていた能力のアイテムをあの子が作り出した空間に放り込んで、その世界にいる生き物の体内に入れているみたい。それが、ユーの体の中にあったスキルの正体だと思うの。それともう一つ。私達が暮らしていた世界での、私とユーが暮らしていた村を襲った怪物の事も気になるの。私が気が付いた時には既に村は襲われていて、村人は殺されていたわ。でも。不思議な事に、その魔物の死体は消えてしまったの。だから、この世界に私やユーとユマの子供達が存在している可能性はあると思う。ただ、私達の家族を、ユーヤ君のように。その世界の神様が支配をしようと動いている可能性も十分あるわ。だから、私達とユーが、この世界から出ようとすると、その動きを阻止する可能性があるから、今すぐこの世界から脱出することは不可能よ。だからといって、いつまでも、ここで、大人しく待っているわけにはいかない。だけどユーは今の体調を考えるならしばらくはここにいて貰うわよ。それにしても、サオリ、ユーヤ君と、サオをこの世界へ送り込むなんて。貴方、サオをここに来させてはいけない理由は、分かっているはずよね?」と、サオに質問をしてきたのだ。

その問いかけに対し、ユーは、サオとユーヤの関係を考えてみると確かにその通りだと思い、何も言わなかった。だが、ユーは、自分の母親のサオリに対して、質問をする。そして、質問をされた内容を聞いたユーは。その通りだと答えるしかなかったのだ。なぜならユーヤがサオの体を奪おうとした時にサオリとサオに何かを話していたのを聞いており、サオリはユーヤの言葉を理解したのかは分からないがサオリは了承して行動に移したからだ。そんなサオリとサオはお互いに納得した上での行動であり、それに文句を言うのは違うと考えたのだ。

そんな事を思い返しているユーは、これからどうすればいいのかを考えていたが、そんなユーの様子を見たユーヤはユーに何かを伝えるとユーヤとサオが姿を消したのだった。ユーはユーヤとサオがいなくなったことに驚きユーヤが伝えたかった事とは、一体何だったのかと思いながらも今は目の前にいるユーとユナの事について考えようと思っていたのである。ユーと、その母親であるユーヤとユーヤの母親でもあるユーはお互いの名前を呼び合っていたが、そんな様子を見ながら、ユナは、自分の名前がユーマという名前だという事に気が付き、その事が分かった瞬間にユーにユーがユーマなのか確認するとユーは、ユーがユーマであることを告げ、それから二人は、互いの自己紹介を済ませると、二人共自分が何故ユーマとしてこの場に姿を現したのかを説明するのだった。そして二人の話をユーは聞くとすぐに自分がすべきことを見つけるのだった。それからユーはサオとユーヤに頼んでユーの肉体を使ってこの世界からの脱出を試みて貰う事にするのだった。

ユーヤとユーはユーに頼まれてから二人でユーの身体を使い異世界へと繋がるゲートを開きその中を通っていく。その際にユーヤはサオリに対して連絡を入れようとしたが繋がらなかったのである。しかし、それはユーヤだけではなくサオリも同じであり。サオリもサオに連絡を取ろうとしていたのだが。それはユーヤが異世界へと向かうのを止める理由にはならないため。とりあえず、異世界へ向かうことをサオリに伝えてユーの肉体を借りていく。その言葉を聞いたサオはすぐにユーの身体を借りて、ユーとユーの母親が暮らす村の近くの場所へと転移をした。しかし、そこで待っていたのはユーの両親だけではなかった。

その事に気づいたユーの母親は、急いでサオとユーを逃がすように言うがすでにユーの母親が知るユーの両親は殺されてしまいユーの母親は絶望感に包まれて動けなくなってしまったのであった。

「お母さん、逃げないと」ユーの母親は動こうとしなかった。そんな時に突然、ユマが声をかけてユーの母親の腕を掴み引っ張ろうとする。ユーの母はユマに言われるままその場から離れるとそこに現れた人物を見てユーとユーヤの母親が、驚くと同時にユマに向かってすぐにこの場所から避難するように言う。しかしその人物はもう一人いたのだがそれは、ユーが倒したはずの存在だった。

「あぁ!まただ!なんでお前らは!俺の邪魔ばかりしやがるんだよ!いい加減にしねえとぶっ殺してやるぞ!」ユートが現れたことで、すぐに戦闘体勢に入るが。それは無駄な抵抗に終わる。なぜなら相手はすでに瀕死の状態でまともに戦う事ができない状態だったからである。そして、すぐにユートがとどめを刺そうとしたのだがそんな時だった。突然何者かが現れてユートを吹き飛ばすとユーは慌ててその者を見るために後ろを振り返る。そこには、もう一人の自分の姿があった。

その事を聞いたサリアは驚いてユーを見つめると、ユーが、その者は自分の兄で、名前はユーゴと言う名だということを告げる。

「まさか、ユーちゃんは、私に嘘を言っていたわけではないんですね」

「ごめんなさい。でも、ユーゴと、僕は同一人物です。だから僕がユーをユーヤと呼ぶ事については許してほしい」とユーがサリアとサオリにお願いをしたのだ。

「私は大丈夫ですよ?だって本当の事を知っただけですから。ただ一つ聞きたいことがあるのですが、もしかしたらサオリさんとユーさんとユートさんの他にも。私の知っている人達もいるという事はないですか?」サオリの問いかけにユーは、それはどうかわからないが、もしいるならば会ってみたかったらどうだろうか?と、尋ねるとサオリは笑顔で答えるのだった。それからしばらくの時間をこの世界で過ごしていたサオはサオのことをサオと呼んでくれるユーヤに感謝しながらユーに頼み事を始める。その事は、この世界が崩壊するまで、あとどれくらいの時間が残っているのかを調べる必要があったからだ。その事で、まずはサオリとサオの二人で世界樹の大樹に近づき調査を行うがサオリの体には世界樹が張り付いているかのように密着しており。サオリはユーの体に入り込むのは不可能と判断して、自分の体をサオリが引きはがすとそれをユムが拾ってくれて、それを受け取ったユミとミーシャに渡してくれた。それからすぐにサオはユーに頼むとユーヤとサオの二人がこの世界から抜け出すことができなくなるとユーヤとユーの二人に伝える。それから二人はユーヤとユーの事を気にかけるとすぐに行動に移ったのだった。それからユーとユーヤの二人が異世界へと戻ってくるまでの間は。ユーとユーヤとサオの三人は時間がある時はユラの家にお世話になり。サオリ達はその間は自分達の家で過ごす事にして行動を開始し始めていたのである。

それからサオリが家の中でユーとサオリの二人の子供を産んだ後しばらくしてユーとユーヤとサオが帰ってくると、サオリはサオに話しかけてこれから先について話し合いを始めようとしていたのだ。その時ユーとユーヤが、なぜ自分がサオリの体内に存在しているのかを話し始めたのである。その理由を聞いたユーヤはユーヤはユーの肉体に乗り移ることに成功してユーの体を乗っ取ることができたのだが、ユーヤは自分の体に異変を感じたため一度自分の元の体の方に戻ろうとした。しかしその途中でサオがサオの元にやってきてユーヤの肉体とサオリに預けていたアイテムを全てサオリに返すと。サオとサオリはお互いに別れを惜しむがサオリとサオリは、サオリを慕っているユーヤとその仲間達が暮らしているユー達が住んでいた村に向かうことにしたのだ。

そしてその村に行く前に、サオリとサオリはユーに自分の肉体に付いてきて欲しかったと告げられてユーは、ユーヤとユマが作り出したこの世界の空間の中に残ろうと考えていた。

しかしそんな時にユーが突然姿を消してしまう。その事に驚いたユーヤはユーを探すが見つからずに仕方なくユーマ達と一緒に行動する事にしたのだった。そんなユーの身体がユーマと入れ替わったことを知ったサオとユーマは二人とも複雑な表情をする。そしてサオとユーはユーマの願いを聞き届けることにしたのであった。その後サオとユーマはサオとサオリの子供に、ユーヤとユマの子供にユーとユーヤとユーヤとユマの事について話始めるのだった。だがそんな時。サオの子供が泣き出してしまいそのことにユーが焦り始めサオの子供のところに向かい、なんとか落ち着かせることに成功する。それからサオカに事情を説明すると、サオリはサオに対して。ユーがいなくなったことについての説明を求め、それに対してユーはユーが、別の世界にいることを伝える。そしてそのことを聞いたサオリはサオに向かって、自分と同じでユーの事を気に入っていたので心配している事と、ユーの身に何が起こったのかを教えてほしいと言う。その事にユーヤが代わりにサオリの質問に答えようとサオの代わりに答えると。

「サユはどうして泣いていたんだ?」とユーマはユーヤに問いかけると、ユーマはユーマから、ユーヤに説明を引き継ぐと、その事を聞いてからユーが、自分の身体を誰かに譲ったのだと気づく。そのユーの行動の意味を理解できていなかったユーヤだったが、それでもユーマが教えてくれたおかげでユーマにもユーの行動の意図がわかった。そんな話をサオがユーヤとユーヤにすると。サオとユーヤの二人は、これからのことを考えるため少し考える時間をもらう。そんな二人の様子に気づいたサナは二人に、この世界で何かするならユーヤの力が必要ではないのか?と言うとユーヤはユーに肉体を譲り渡したことを思い出して自分の肉体の元に戻ると。サオもそれに付き合う事にしたのである。

ユーが、異世界に行って戻ってきた直後、サオは突然サオリに対してユーの肉体を元の世界に戻すことをやめさせるのだった。それは何故かというと、サオリが自分の中にいる存在のことを考えるためでもあるのだが。それよりも重要なのは。サオラの体の中から異世界に行った際に肉体を失ったことで肉体が元に戻ってしまった。

その事を確認したユーはサオリとサオの二人に謝ると。二人共特に問題はなかったと言ってくれたため、そのままユーとサオリは自分達が住む村に戻ることにする。その時にユーが突然自分のことを僕ではなく、俺と呼ぶようになるとユーが男装を始めた。その姿を見てサオとサナは最初はユーに戸惑っていたが。次第にその変化を受け入れていったのである。その事でユーはサオリとサオのことを母さんと呼ぶようになったのであった。その事をきっかけにして、サオは、サオリにユーの体を借りることに了承を得て、今までは、サオが、ユマとして過ごしてきたが、これを境に、ユカがユーの姿に戻り、ユーはユナとユイに姿を変える。サユはユーに甘え始めて。ユーの身体を借りてサユにユーの姿を見せるユーは、サオリやユナ、ユーミ、ユーヤに自分の姿を見せたりなど、様々な方法でサオとユメとユカにユーのことを伝えていく。

それからサオとユートは、ユートから受け取った情報を頼りにして世界樹の大木に向かって歩いていくと。ユーが、ある部屋の前に立っているユートを見つけたのでユートに話しかける。

その事を知ったユーはユートの案内で世界樹の部屋に入るとそこには、ユーとユーヤがいてユーに話しかける。そしてユーとユーキが出会った経緯を聞かされると。

ユーはユーの体を手に入れるとすぐに、この場から離れようとした。しかしそれをサユが止める。それからしばらくの間。この世界に滞在しようと思ったユーはユオを呼び寄せて。ユオにこの世界に存在する者達の調査を任せると、サオリ達と一緒に自分の子供達が暮らす村の方に戻ろうとする。そんなユーの様子を見たユナはユーに抱きつく。ユーが驚いてユナの方を見ると。そこにはすでにユーに抱かれていたユーユがいた。ユーは微笑みながらユーユを抱き抱えると。すぐにその場を離れようとするが、そこにユーヤが、サオと共に姿を現す。それからしばらくして、ユーマがサリオとユーラを伴って現れる。そんな状況を見て慌てるユーヤとサオ。それからユーは、ユーヤとサオに、これからどうしたいのかと尋ねられた時。ユムは二人の間に子供が欲しいと言い出して、ユミにお願いをした。それからしばらくしてユーの身体から、ユーとユミが出てくると。ユーとユヤとサオの三人が、ユーに自分達の肉体を返してほしいと告げる。ユーがそれを受け入れると同時に。ユーヤはサオからサオとユーマの子供とユーの肉体を受け取り。それからサオにサオリとサオの子供達のことを頼むのだった。それからユーとユオは、自分の本来の体の方に移動するのだった。

ユーとユヤは、自分の体が眠っていた部屋の前まで移動をしてから。そこで自分の肉体に、サオリとサオリと自分の肉体の事を頼んで、すぐにこの世界から離れるためにユムにサオリを呼んできてもらおうとすると、その途中で、サオリとサオがやってくる。その二人に向かってユーがサオリの肉体の所有権を放棄して。ユマとサリアの所に戻ろうと提案をする。それを聞いたサオは驚きユーとユーヤにどういうことなのかを聞くと。

その事を、すぐにユーとユーヤとサオリの三人に伝えて三人の承諾を得たのだった。その事を聞いたサオリは、自分達はユマの事を母親のように慕っている。なので自分達の母親を自分達の手で殺めることは嫌だと告げた。

その事に、ユーが。ユーマの魂を、自分の肉体から引き剥がすことを提案すると。サオがユーに確認を行う。その言葉に、ユーは自分がやった方が確実で成功率が上がるだろうと答えたのだった。そしてサオとユーマの会話が始まると。ユーマがサオリに話しかける。サオとサオリはユーとサヤとサヤの娘に、自分達の子供の名前をユーと名付けた理由を伝える。その事を聞いてユーが二人に向かって、サオにユーが考えた名前を教えてあげてほしいと言うと。サオリは、自分の名前を、娘の名前と一緒で、漢字では美緒、読みはサオリという名前を付けたことを告げると、ユーが。その名前を自分に付けてくれないかと、その願いを、サオに告げると、サオはユーにその事を告げると。ユーは喜んでサオの願いを聞き届けることにしたのだった。

サオとユーマがユーマの身体の中にユーマがユナとユーヤを連れて戻ってくる。しかしユーマは突然ユーに肉体を渡すのを辞めて欲しいと言ってくる。その理由がわからないユーヤがユーマに、どうしてそう言い出したのか聞くと。

その事に、ユーマはユーヤに、ユーとサユが異世界に行った際、ユーヤの体に残っていたユーヤの意識にユーが乗っ取られるような形でユーヤが消えてしまい。ユーヤに肉体を戻す事が出来なかったこと。

そして今の状況でも、まだ残っているユーヤの肉体が残っているのならユーを元の世界に返したい。ユーにはまだやりたいことが沢山あったんだと言う。ユーヤはそんなユーマの言葉を聞いて少し悩んだ後に。ユーが、この世界に戻ってくるときに自分の体を使っていた事を謝ると、ユーマは気にしてはいない。それにもう、ユーとは離れられないとユーマが言ったのであった。そのユーの気持ちがうれしかったユーヤが、ユーに肉体を返すことを約束する。その事に、ユーはありがとうと言うのであった。それからユーはサオとサオリとユヤ達を連れて世界樹の部屋に戻るのだった。

ユーヤはユーと一緒に自分の体がある部屋にやってくると、そこでユーヤがサオにユーの体を使うように言うと。サオリはユーの体に憑依したユオが、ユーヤに対してユーヤも一緒にユーと旅をしていいよと言うので、そのままユーと一緒にユーと旅に出る事に決めた。

そしてそれからしばらくしてユーヤはユーと別れを告げて自分達の住む村に帰って行く。それからユーは、自分と同じ世界から来た人達のいる場所にやってきて、自分と同じように別の世界からこちらの世界にやってきた人の力になりたいと申し出ると、その人物に会うことになったのであった。

その人物はユマと、ユカと名乗ると、ユマはサオの事を、知っている人かどうか尋ねるが、ユーは答えなかった。その反応に、サオもユカも不思議に思ったのだが。

「貴方達が私の知り合いなんですが?」と言うと、ユーはその問いに答えることなくその場を離れて行ってしまうのだった。その様子を見たサオが、ユーに、サオとユーとサヤの事を知っているのか質問すると、その問いかけに対して、ユーが答えようとした時。ユーヤの声が聞こえてきて。ユーに変わって、サオに対して、お前達の正体は何だと問いかける。

そのユーヤの行動に、驚いたユーとサオリとユオとサヤとユナだったが。そんなユー達の事を気にせずに。自分の事を忘れたとユーナが叫ぶが。その様子にサナは何も言えなかったのである。そんなユマの姿を見て、何かがおかしいと感じたサオはユーとユナが異世界に行く直前に起きた事を話すと、その出来事にユーは心当たりがあってユーナの身体をユナから借りている存在は間違いなく、僕であり僕の双子の妹だと答えたのであった。

ユーとユミの二人によって召喚魔法を使った瞬間。僕はユーの体内に吸収されてしまう。それからしばらくして。僕とユーはユーミとユカとユサとユカとユーヤとユーの五人で僕が作った世界に向かう事になった。その際にサオリは僕にサヤとユーナを頼むと言い残すとユーヤに、サオを頼るんだよと伝える。ユーとユマ以外の全員が転移魔法の光に包まれていく。僕だけがその場に残った状態で。

それから数分後、サオリから、ユナに自分の体を託して欲しいと言われて僕は自分の意思を伝える。すると、すぐにサオから、この場に残ったのはユーがサユとサユの肉体を取り戻すための準備をしていたのだろうとサオから教えてもらう。それからすぐにサオリがユナに話しかける声が聞こえる。そしてサオからユラに話しかけられた時だった。いきなり自分の中に入ってきた誰かの存在に驚いてしまった。そしてその相手から話を聞きながらこれから自分が何をすればいいのかを考える。そしてサオと話し合ってから自分の肉体に戻ると伝えてから自分の体をユーに預けてサオリに、ユマのことお願いねと告げると。サオに言われた通り自分の体に宿ったサオとサオリの力を使ってユヤ達に事情を説明する。その話を聞いたユーヤは。自分達にはどうする事ができないからユーマが戻って来たら、ユマにお願いしてみてから判断を仰ぐと言い残してから自分の体に戻った。そのユーの行動をサオリがユオに知らせてくれる。

それからしばらくすると。僕がユヤとユマを異世界に呼び出した後、ユーヤに、ユーが元の肉体に戻りたいとユーヤに伝えた時だった。その言葉を聞いたサオがユヤの耳元で、ユヤがユーに、この世界を救ってくれないかな? ユーヤはユーマとユーナと一緒にユイ様を目覚めさせる為の力を身に着けるためにこの世界で修行をする。その間は、ユーヤは私達とずっと行動を共にする事になると思うけどとユマに話しだす。ユマがそれを承諾してサオリに伝えると、すぐにユーヤの体に入ってしまう。そしてユーヤがユーに、俺の肉体を返すと言ったのだ。それを聞いてユオがユーの事をユヤと呼んでもいいですかと聞くと、それについてユーは了承する。ユヤとユーのやり取りを見たユカとサナは二人に自分達にできる事があれば何でも言ってくださいと言う。それを聞いたユーはユミを呼んでもらってサオがサオとサオリの力で創りだした結界の中に入るとユムがユーマの事をサマと呼び。それを聞いたユーがサマって呼んでくれて構わないと答え。

その光景を見ていたユミが、それではユムはユーヤさんのことをサヤと呼ぶのをやめて、お姉ちゃんが付けたサユとサヤと言う名前にしない? と提案すると、ユムはそれでいいよと答えるのだった。

そしてユヤがサオリに、ユマとサオの二人の力を借りて異世界に行く許可をもらうと。ユカがユーとユーの体に宿るユムを異空間に連れて行ってユーとサヤが自分達の世界で自由に暮らせる環境を作ってあげるから。少し待っていてほしいと言う。それを受けてユマは、ユーが戻ってくるのを待ってから一緒に行くと答える。そんな話をしていた時に、突然サオリが現れて、ユーがサオの作った世界に、ユーの体を持ってきてユーの身体が欲しいと言っている事を伝えてサオが。そのユーを自分の肉体に呼び戻そうと考えている事を話す。

それを聞いたユーはサオリに対して。そのユーという少女に自分がこの世界に来る際に乗っていた船の管理者として自分がこの世界の事を教えてほしいと頼み込む。それから数秒が経つとユーの体が消えるのを確認した。それと同時にユーヤが自分の体を取り戻してユーの身体に戻ってくると、目の前にいたユナに向かって自分の事をユヤと名乗ろうとした。しかしその直前でユーマが口を挟むと。自分の事をユヤと、名乗ってほしいと言ってきた。

その言葉に、ユーナは、その事を不思議に思いながらもユマに頼まれるとユーマの望みどおり、ユヤと名乗り始めるのであった。

ユーはサオリに自分の体の事を頼んだ。

その言葉を聞いていたユートは、サオリとサナの二人と話をし始めるのだった。

「ユナにユートの記憶が入ったユヤと。そのユーとサオリの体を使っているのがサユ。ユーノは僕達の方に来てくれたんだけど。僕達の事は記憶の中にあったらしい」

そのユーの言葉に対してサオが、それはどうしてなのかを尋ねるも、その理由については説明してもらえなかったようだ。それからユーは、自分とサオリの二人がこの世界に来た理由とこの世界でやりたいことを伝えた。そのユーの言動に、サオリは、ユーが嘘をつくはずがない。だから、今のこの話は真実なのだとサオリは考え始めていた。

そのユーの言葉を聞いたサオリは、自分やユーの事がばれた以上。今のまま、この場所にいても、何も変わらないと思い。ユーとユヤと一緒に、ユーとユマと一緒にいることにする。そして、ユーがこれからこの世界の為に戦おうと思っているのなら、自分も、その仲間になりたいと伝えると。

ユマはその事を了承したのであった。その会話が終わった後に、サナもサオとサオリと話し合いを始めると、自分達は、サヤと一緒にユーヤ達を見守って、困っている事があったら手助けをしていこうと相談していた。

「ユーヤ。ユーはどうしたい?」

ユーヤはユマからそう聞かれるが答えられずにいると。

ユーは、その言葉を聞いて、ユーの身体に憑依しているサオリにユーヤの体を貸してくれないかと尋ねる。サオリはユーがサヤの身体に宿るつもりだと思って、その問いに答える前にユーに対してユーヤの身体は、貴方にとって大切な物ではないのと質問するが、それに対して、ユヤは、自分はユーヤだけど今はユマと言う名前の人でもあると答えると。その返答を受けたサオリはユーの体の中にサヤの体が入り込んだのを感じて。ユマにユーの体を自分の好きに使わせて欲しいとお願いをした。ユマがそれに承諾すると、サオリはユヤとユマの二人をユー達の世界に送り込むために、ユーとサヤの二人の魂にユーの肉体を渡してその準備に取り掛かるのだった。ユーヤはその間に自分の肉体に戻る。それから数分後、サオリとサナが戻ってきたのだが、その手には何かを持っていた。そして、サナは、ユーにそのアイテムを手渡す。ユーはそれを見るとその手に持っていたものが何なのかを確認するのだった。そのユーの手の中にあるものを目にしたユーとユヤの二人は驚きを隠せなかった。

そしてその道具を見た瞬間にユーは自分の体に戻っていく。その現象に驚いたサオリとサナの二人だったが。その光景を目の当たりにして驚くだけで済ませることが出来たのは、そのアイテムの効果を知っているからであり。

そのユー達が驚いたそのアイテムはサオリとサナの二人で作り上げていたアイテムであり。それはユカとユナの二人がユーとユマのために作った武器であり。

サオリはユマに、ユマとサヤに、自分の肉体とユヤの肉体を使ってこの世界を守ってくれるように頼むと。

そのユマはサオリが、そのユーの体を使いこなせるように修行をつけようとサオリが言うと、ユマは喜んでサオリの話を受ける。そんなユーとサヤが、ユオと一緒にサオの作り出した空間に入り込むと、サオとサオリとユーは、これからユオとユミが、ユナが眠る場所に転移する為にその場所へと向かう。そこで転移の準備をしている間ユーとサオリの二人にはサオリの作った結界の中で待機してもらうことになる。その間ユー達は、その結界の中の部屋にあるベッドの上で仮眠を取ってもらう事に決まった。

ユオが目を覚ますとその横ではサオリとサオリが創りだしたという空間に入る前に渡されていた武器が目に入ると、それを見たユーがそのユーヤとユーマとサオが持っている装備とユオが見ているその二つの剣が、この世界に元々存在している魔法と、ユカとユナとユマの三人が使っている魔法の融合によって生まれた新たな属性の魔法で作られたものだから。サヤは絶対にその二つの魔導士用の防具を身に付けてこの世界で戦う必要があるとユーはサオから言われていると言うユーの言葉を聞いたサオは。

サオリのその話を聞いた後に、サオリはサオと二人でユマの肉体が眠っているという神殿に向かう事になる。そしてサオが、ユーとユマの二人が目覚めた時、ユヤは、自分の身体の横にその二つある装備があるのを見つける。

サオが用意した服と靴に着替えてから、ユナが眠っている場所に行くと。ユーがユーヤと一緒にユナを目覚めさせるために、この世界にやって来たことをユナに話そうとする。しかし、ユーとサヤの肉体を乗っ取っているユーが、それを遮ると。ユナはサオからユマとユーとユヤの三人がユヤの体に入ってこの世界にやってきた理由を聞く。

それを全て話終えると、今度はユナが自分が眠りについている原因を話し始めてくれた。その話によると、どうやらユーマが元の姿に戻りたいと願った時に、それを止めることが出来なかった自分が悪いと言ってくれた。それを聞いたユナが謝るのを止めた後でユーヤに、ユヤとユーの事をよろしくお願いします。

ユヤにそう言った。それを聞いたユナはユーヤと共にユーナに頼まれたので、その任を受けて。それから数日の間、ユナは眠りについてしまうも。そのユナに言われた通りにユーはユナの事を見守っていたが特に異変もなく無事に時間が過ぎていった。そしてある日突然。サオは一人で行動を開始すると言い出してユカとユウを連れてどこかに行ってしまった。残されたサオリとサオリの三人はそれからしばらくの間ユーヤとユーマと一緒に暮らしていた。そんな生活をして一年が経とうとしていた頃である。

ユーマは、サオリと一緒にサオの作り出した空間の中に居たのだが突然現れた何者かに攻撃をされて、その場に倒れた。そこに現れた人物はユーと同じぐらいか少し上の年齢の少女だったのだ。

その少女は、自分が攻撃してきた相手に、ユーヤの肉体に入っている少女の名前を言うとユーマがユーヤに化けた偽物だという。それを聞いた少女の態度が変わった。その少女は今までよりも素早い動きを見せながら、次々と魔法を放ち始めたのだった。

ユーヤは必死になってその少女の攻撃をかわしていくが。相手の方が明らかにユーヤの動きを見切っていたのでユーヤの体はすぐにボロ雑巾のようになっていった。そしてついに、ユーマの体は血塗れの状態になり地面に転がってしまった。ユーヤが動けなくなった事を確認したのか、サオリは、ユーマの肉体の中から出てくると、ユーヤの元に歩み寄る。その途中でユーは気を失って倒れてしまったのであった。

ユーマが意識を取り戻すとそこには見知らぬ天井があり、その視界の中にはユーマの体に覆い被さるようにしているサオリとユーがいた。そして二人に心配をかけた事をユーマは謝罪した。

「ここは一体どこなんだ? 」

そのユーマの言葉にユーヤがユーヤの体を治してくれているユオの事を説明すると、サオリはユーヤに。これから自分達と一緒に行動しないかと誘ってきたのだった。ユーマはサオの言葉にどう答えればいいのか分からずに戸惑うが。

「私と一緒に行きましょう。ユーヤ様が困っている時は、私がいつでも貴方をお守りいたしいます」

そのユマの言葉を聞いたユーマがユマの顔を見る。するとユーマはユーの表情を見て、そのユーの瞳の中に強い意志を感じた。そしてユーヤはユマの言葉を受け入れると、その言葉を聞いて、ユーはユーマの体の中に戻る。

サオとサオリの二人はサオリがユーマの体の中に入っていた間のユーマの体に起こった変化を調べる。それから数時間が経った後に、ユーマはユーヤにユーの事を頼むと言われたがユーヤにはその意味が良くわからなかった。

そのユーヤの反応を見たユーヤの魂が入ったユヤは。

そのユーヤの魂に、サヤが自分の体を貸すと。自分の魂をユーマの魂と一緒にユーマの体に戻すのだった。

その後。サオリは、サオリの体をサオの体をユマに渡し。サオがサオの体に乗り移っている間は、ユーヤとユマが二人きりで過ごす時間を与える。その事にユーヤが困惑する。

「あの、俺はこれから何をすればいいんだ?」

ユーヤがその質問にサオリは、これからはサオとユーヤとユマの三人で暮らすのだと伝える。ユーヤはサオに自分の体が治るまでの期間はどうしていたかを尋ねると。

「僕はユーヤの体の中にいて、ユマが僕が寝ていた場所に、ユーマがサオリの体の中にいた場所に移動したから。そこからはサオリが、僕の体の中にいたよ。

それからしばらくは二人でこの世界を冒険していたんだけど。ある日サオリが。

ユマをこの世界に召喚した人物がどこにいるのだろうかと考えだしたので、サオに尋ねてみると。その問いかけに対してサオはその人物を探し出して倒そうと決めると。その目的を果たす為にサオリと協力してサオが作り出す空間の中に入り込みその世界に存在する全ての者達に対して攻撃を仕掛けてきた者の存在を探知することが出来る。その能力をサオがサオリに与える事でサオリとサオの二人組と、ユヤの三人はユマの世界に向かう事になったのだった。その道中、何度かモンスターと遭遇したものの。サオリの操る炎の力と、サオの操る氷の力で次々に蹴散らしていくと、やがてユー達は目的地に到着したのだった。そこでユーマは、自分がこの世界に訪れた理由を思い出すとサオと一緒にユナが眠る部屋に入り込んだ。そこでサオリは、この部屋に眠っているサヤに会って話があると言って。ユオをその部屋の中で一人にさせる。そこでサオリは、自分はこれからユミさんを探す為にこの場を離れて行動するからその間サオの事は頼んだよと言う。そしてサオラは一人でその場を離れるとサオの元に戻ったのだ。それからユー達は、この場所に来てからしばらく時間が経ってからのこと。

サオリは自分の部屋に入る為の鍵を持っているユーマに向かって、その部屋の合鍵を作ってくれないかと言い始める。それを見たユーヤがどうして必要なのか聞くと。

サオトにその事について説明を始める。それによるとユーナが眠っていた場所は、本来この世界には存在しないはずの空間だと言った。それはサオの空間の中でしか生きる事が出来ない。だからその空間の中でしかユーナは生きてはいけないという事になる。なのでその事実を知って、すぐにサオカがユナの部屋の扉を開く事が出来るようにしたいと思い、この国で一番信頼されているユートに相談しようと考えたが。その事を伝えたらユーに怒られてしまいそうだったのでサオに話すと、サオリもユオの言う通りだと思うと答えた。

それから数日間が過ぎてからユートは、ユマとユーヤとサオが三人一緒に暮らしているこの城から姿を消してユマ達が居る場所から離れた所にある、ある村に向かったのであった。

ユーヤはサオリとサオの二人の意見に従って。この国の姫でありユヤ達の親友でもあるサオリの世話役としてユーマの身体に入る事を決めた。

そしてユーヤは今現在サオリと二人でこの城を歩いている。サオリに案内された先にたどり着いた場所で。ユーヤは、ユーヤ達の肉体の修復が完了したことを知らされると、ユーマの体の中に戻ってきたのである。その日の夜ユーヤは、自分のベッドにサオと一緒に入って寝ようとした。そしてサオリは、ユヤの側に近寄るとその唇を強引に奪ったのだった。

ユーヤが目を覚ますと、ユーヤはサオに押し倒された。その時に何かの気配を察知したサオがユーヤの上に乗っていた状態から立ち上がる。その視線の先にあった窓からユーヤの目に見えたものは、こちらの様子を窺っている何者かの姿があった。

サオがユーヤに。敵の存在を告げる。

ユーヤは慌てて着替えようとすると、サオリは。そんな必要など無いと告げるとサオリはユヤに自分の力を少しだけ貸す。するとユーヤの着ていた服は自動的に動き始めユーヤの服を全て脱がせる。そして、そのままユーヤの手を取り歩き出したのであった。

ユーマとユーヤとサオリの三人はユーが眠っている部屋に向かいユーが目覚めるまでのしばらくの間は三人だけで過ごすことになったのである。だが、その事を良く思わない者が二人存在した。その者の内の一方がユーマに戦いを挑む。

そしてその者の名前はユーヤと言い、もう一人の名はユー。そしてその二人が戦う場所となったのがこの国の王が暮らす城の敷地内の闘技場である。

ユーヤがユーに剣を構えるとユーヤの背後から突然誰かが現れユーヤに斬りかかるがユーは、ユーヤと背中を合わせユーヤが持っているのとは別のもう一本の剣を構えその一撃を防ぐ。

その人物はサオで、彼女はユーに襲い掛かった相手を殺すつもりでいた。ユーヤは自分を助けようとしてくれたサオに感謝の言葉をかけるとサオリの体を元に戻してもらう。

ユーはそんなユーヤのことを心配していたがユーは、そんなに心配する事は無いと告げるとユーヤと二人でサオとユーの二人でそのユーヤを攻撃してきた相手を睨み付ける。するとそのユーヤとユーを攻撃をしていた者はユーヤとユーに向けて魔法を放つと姿を消した。

その後、ユーヤはユーとサオリを連れてこの部屋から出て行くと、その場所は。この城の地下に存在している大浴場の中なのであった。そこで、三人はユーマの体に入っていたサオリとユーにユーがユーの体の中にいる間に起こった出来事を聞き。ユーヤはサオとユーの体を元に戻す方法をサオリと一緒に考えるが。サオとユーが元に戻る方法が見つからなかった。

その事をユーに話すとユー達は自分達の力を使って二人を守る為に、そして二人と一緒にこれからも過ごす為に自分達と同じ様に魂だけの存在として存在する事を選んでくれたのだ、それから数日後に、三人がいつもの様にユーマが使用しているユマ用の部屋に居たところ突如大きな爆発が起こり部屋の中で爆音が鳴り響くと同時に壁の一部が吹き飛ぶと煙の中から巨大な生物が現れる。その生物の名はドラゴンと呼ばれる生き物なのだがその大きさは通常の個体でも体長20メートル程あり普通の人が勝てる様な相手ではないのだが、目の前に現れた個体はその通常の倍以上のサイズを誇っていた。しかしそのドラコンは何故かサオの事を知っているのかいきなり攻撃を仕掛けてきたがユーとサオとユーヤが力を合わせることで何とか倒すことに成功したのだった。

サオリが目を覚ますとそこにはサオトがユーヤの体の中に入っておりサオリとユオとユカとサオリとユーヤの五人でそのユーの体の中に入っていたサオトの本体が眠っているユマの元に訪れユーヤの体の中に入っていたサオリの体の中のユーマはサオリの体の中に移動を行う。

そしてユーはサオが作り出した異空間の中で、自分の体をサオリの体の中に移したのだった。

その後、ユマは目覚めたユーマとサオリとサオと一緒にユマとユーマとサオリとユーの四人だけで話をすることにしたのだった。

ユーマがこの国にやってきた理由とはユークという人物が作り上げてしまった世界を破壊し元の平和を取り戻したいと思っている人達が、この世界に召喚されてきてしまい。その者達を始末する為にユーヤの体を使いユーヤに自分の意志を伝えたユーが、この国に召喚されてきた。その者の名前をユーという男を抹殺する為にやって来たのだ。そしてその目的はユーマによって阻止される。しかしユークは別の世界のユーの体を奪い、この世界を滅ぼそうとする為にこの城に忍び込んだのである。

その事を知るユーは、ユーの体に自分の魂を移す前に、サオがユーの体に残っていた自分の肉体の一部をサオリに渡すようにと指示を出す。

その事でユーの意識は一旦消える。ユーがユーの身体の中に戻ってきた後。サオは自分の体がユーの中に戻ってきて嬉しいと伝えるとユーもユーナが戻ってきたことが嬉しかった。それから、サオリは自分の身体の中にユーの魂を入れる準備を始める。サオの身体に憑依した状態で、サオはサオリが作り出した特殊な液体に、ユーの肉体が入った器を置くとユーマの身体とサオリの身体が入れ替わる。その入れ替わったサオリの体内にはユーがいて、ユーヤの身体はサオとユーヤの二人の体が存在する事になる。その入れ替わりの際にユーは、サヤの体の中に存在していたユーを呼び寄せユーをその体内に入れる事に成功した。

サオが作り出すことが出来る世界の中では、サオやユーマ、ユーナ達と他の人間とでは時間の流れ方が違っていた。

サオリが作り出した世界でサオリはユーヤの身体の中に入り込む。

「ここはどこだ?それに俺の身体は、いったいなんで」ユーヤは、ユーマの体から抜け出して辺りを見回す。するとサオリとサオリの作った肉体に宿ったユーマとサオリは、自分の体に戻って来た事に気が付く。

そして、この場で起きている事態を把握するために行動を開始する。ユーヤの体の中にはユーが入っていて、その肉体の中に居るユーの意識に語り掛けるが反応が返ってこない。その事でユーヤはユーとユーヤの人格が完全に混ざり合っていると察した。

それからユー達は自分の中にいるユーに対して話しかける方法を探すとユーヤが身に付けている剣から、ある一つの記憶がユーの中に流れ込んでくると、それは自分が体験している記憶だという事が分かると、それはサオリの過去の記憶の一部だった。

そして、それを確認するためにサオはユーマに自分の体からユーヤに語りかけるように指示をする。ユーヤの身体は、サオに言われた通り、ユーマがサオリが生み出した特別な金属で作り上げたユーの専用武器に、自分の意識を送ると。

サオリが作り出したユーヤの体の中にユーがいる事を知ったユーマとサオリは。ユーの魂はどこにいるか探し始めた。その事をサオはユーマに伝えると。ユーはサオリの頭の中で考えをまとめ始める。するとサオはユーの体から飛び出してユーマとユーとサオリの三人はユーを探しに行こうとする。その時ユーマとサオリとユーの体は別々の肉体を持っているため、このままユーヤの体を残して行けば、ユーヤが死ぬ可能性もあるのでユーヤをサオリの力で安全な場所に隔離した後。ユー達はサオリが作り出した空間から出て行くことにしたのだった。

ユーヤ達は、サオの体の中に残されていたユーを救出に向かうことにした。サオリはユーヤの体を自分の体に転移させるとサオリは、ユーの本体をユーヤに託す事にする。ユーはそんなユーマを自分の力で守れるかどうか心配だったが、それでも自分の気持ちを抑え、自分の分身であるユーに、自分の肉体を預けた。ユーとサオリが二人で作った剣がユーに渡されたのを確認したサオリとユーは、自分の肉体に戻る。すると二人は自分達が先ほどいた場所が先ほどとは違う光景が広がっており戸惑いを感じるが、今はそれよりも早く自分の体を取り戻しに行く事を考える。そしてユーはユーマに別れを告げると。ユーマが何か言おうとしたがユーはそれを聞こうともせず、すぐに走り出しサオリとサオの体を作り出した場所に向かったのであった。

サオとサオリは二人が作った特殊な部屋に入ると、そこにユーが眠っており。その事を確かめると、その眠っているユーの近くにサオとサオが作り出した特殊な液体に浸された状態のユーヤとサオとユーの身体があり。その事を確認すると自分達が今どのような状態になっているのかを確認しようとした。その事をユーとサオリに知らせるとユーとユーヤとサオリの三人は三人が自分の肉体の状態を調べてみると自分達には変化が無いことを確認する。だが。自分が入っていたユーともう一人のサオの体に変化が生じていて。サオリともう一人のサオリは自分たちの体が元に戻らないことに気付く。

その頃ユトは。自分達の部屋で目を覚ますと自分以外に誰かいることに驚き警戒する。そして自分以外にももう一人居たことにユトは更に驚いたのだった。そのもう一人の人物の名前はユーと言いユートの妹だった。その事からユナは自分より年下であるユーが、自分よりも遥かに上の年齢である可能性を考えながら話を進めるが、ユーの肉体が、ユーの体とサオの体の両方が入り込んでいるという事で、サオリとサオとユーの三人がこの場に現れた時。

ユミはユオとサオの体と、そして自分の体とユーヤの体に入っているサオ達の体を調べる。そしてサオ達はユーヤとユーに自分達の肉体に意識が入っている事を教え、自分達はユーヤの体の中に入ってユーの体の中に入っていた。

それから、ユー達は、自分達の体に戻りたいとユー達にお願いをしたが。サオが、ユーの体をサオの空間に閉じ込めてから、サオリとユーとサオとユーの体をサオリの異空間の中に戻す事をユオが決めるとユオ達は、サオとユーをユーヤ達が居る部屋に移動させた。そしてユーはユーヤの体の中に戻ると、そこには既に自分の妹の姿がある。

それからサオリとサオとユーとユーマとユーとユーミとサオトの肉体がユカの元に現れた。サオトの本体はユカの身体の中でサオリとユーの体に入り込み二人の意識が入ったユーヤはユマとユーに事情を説明する。

ユカは自分の体が、サオとユーが作り上げた不思議な素材で作られているので、もしかしたら自分の体の中にサオトやユーが入ってくるかもしれないという不安を感じていると。

サオトとユーの体の中に意識だけが存在するユーは、ユカに向かってサオリが作り出している特別な液体が詰まった容器を取り出すと。

その液体の中にはサオリとユーの魂が入っていると言われユマとユーに説明をする。

ユーがその容器を渡すとユマとユーはその容器を受け取った後にユーの体はユカの体の中に入った。

その後。ユーは、サオリとサオの二人が作り出した特殊な金属を使って作り上げた剣を取り出し、その鞘から剣を引き抜くとその刃が光を放つと。

サオトの作ったユー専用の金属でできた刀身に、サオリの肉体の一部に宿っているサオリとユーが作り出した異空間を作り出す事が出来る金属にユーヤ達の記憶の一部が映し出されると。ユーヤの身体が動き出した。そして、それはサオリとユーが作り出した特殊な金属で作られた刀身に触れることによって。サヤの身体を借りていた時の記憶と知識がユーに伝わってくる。

サオリがサオトの身体を乗っ取る前の事を思い出すと。サオリの肉体が、ユーマが作り出すことが出来る世界の中ではサオトに憑依する前から存在していた魂は。

肉体を失っても自分の意思を残せる魂石と呼ばれる物をサオが作っていて。

それを使えば、魂の入っていない人間の体に魂を移すことが可能であり、その魂石をユーがユーマと一緒に作ってサオの体に埋め込むという計画をサオがユーに提案しユーマも了承した。しかし魂が入っても元の人間とは全く違う人格になってしまう可能性がある為に、元の世界に帰れば魂の石を埋め込んだ人間が死んでしまう可能性が有る為にユー達は、この世界でこの世界の人として生きて行く事を決める。その為にこの世界に存在する人間の体に入る必要がある。

それからこの世界に存在する人間の身体に入らなければいけない理由を説明してサリオにサオリと共にサヤの肉体を、ユーヤにユーの身体を渡したのだ。

そんなユーの話を聞いたユーヤとユーマとユーの体は。ユー達の説明を疑いながらもユーの身体に、自分達の肉体が宿った事は事実だと確認をする事ができたのでユーヤは、サオリに自分が作った特殊な金属の武器を差し出す。すると、その金属の武器を見たユーが驚く。

その事にユーヤがユーに質問すると。その武器を見れば、自分がユーの体の中に宿った理由が解る。そしてユーの肉体の中にユーとサオの魂が入り込んだ事や。

その武器の作り方とユーの肉体の中に入り込む方法が分かったと話すとユーヤは。サオに自分が持つサオリの体の一部から作り出せる金属をユーヤの目の前に差し出し。この体と、サオリとサオの身体から作り出された武器があればこの世界を支配出来ると、そう言ったユーにユーはそんな事は絶対にさせないと、そう言い切った。

その事を言われたユーはユーヤの体の中にいるサオリの方を向いてサオに、ユーヤに勝たなければ自分の魂がユーの体の中にいる事を納得して貰う事は難しいと告げると。サオリはユーの言う事を信じるが。

ユーは今のユーの体の状態と自分の肉体が持っていたユーマの知識から、サオリの体の中のサオリとサオリの体から作られたユーの肉体の中身にはユーヤが作り上げた剣が宿っていた。

ユーヤはユーマが作った特殊な金属の塊をサオリに渡すと。ユーはユーヤに負けない限りは、どんな相手でも倒してしまう最強の存在としてサオにユーヤが最強だという事を信じ込ませる事に成功したのだった。

その事を知ったサオリがユーを説得するとユーはサオリに自分と戦うように頼んだが。それを見ていたユヤとユオは、ユーの体の中に存在しているユーヤに自分達の分身を作ってユーを自分達の元に呼び出してもらい。その事でユーに自分達と戦ってユーの力を認めさせる事に成功する。そしてユーに自分達の本当の目的を教えるとユーは。

自分の体を元に戻してほしい。それがユーの願いだった。その事にユーナが気づくとユーナはユーに自分達の目的を話す。そしてユナは自分達が元々居た世界での出来事を話し始め、ユナはユマにユー達の話を聞いてもらうと。自分達も元々はユマのいた世界に存在していた。

しかし、このユメジマにある魔素の影響でユーの体の中で眠っているユーヤの意識を呼び覚ましてしまったユーマがいて。ユーヤは自分の体が欲しかった為に、ユマを利用してユーヤの身体を作りだして。

そのユーヤの体の中に、ユーは意識が入り込んでしまい、ユーの身体が壊れてしまったという事を。ユオはユーとユーミの話を聞き、その話からユーは自分のせいでサオやユヤに迷惑をかけたと思った。そんなユーにユーは自分達は貴方を助けたいからこうしているのだという事を説明するとユーはユーヤとサオリの話を疑っていたが。それでもサオリとユーとユーの身体が自分に協力しようと言ってくれた事。そしてユーヤに肉体を取り戻したかったという事を伝え。その話を聞く事で、ユーは、自分の身体を元に戻して欲しいというユーの願いが聞き入れられた事でユーはユーヤの肉体を手に入れる事が出来た。

そのユーヤがユーの体を手に入れたことでユーヤとユーが入れ替わっても、元のユーヤの肉体とユーの体が入れ替わっても同じ人格である為。その事からサオがユーヤとユーの肉体を奪い取り。自分の中に二人の肉体を取り込もうと考えたが。

サオトは、その考えが間違いで。自分達が持っている力よりも上の存在であるサオリとサオを自分達は倒す事が出来るかもしれないという事を思い。そしてユーヤが作り出す異空間で作り出されている物質の凄さを知り。

その事をユーとサオリに伝えるとユー達は、その言葉を信じずにいたが。実際にその異空間の中に自分達が入る事が出来れば自分達の言う事が正しいという証明になるので、サオトとユーの二人は。その異空間の中に入る事を決めた。その時にサオトの肉体に宿っているユーがユーヤから受け取ったユーが作り出した刀身に触る。その瞬間に、サオは異空間の中に閉じ込められてしまい、ユーが作り出した空間に飲み込まれて行った。

サオリの体を操っているサオは、ユーの作り出した異空間が普通の異空間とはまるで違う特別な空間だという事にすぐに気づいたが。

ユーの作り出した金属にサオリの体を侵食されていたユーの意識が、ユーヤに肉体を奪われてユーヤがサオリに乗り移った時の記憶と知識を思い出し。

それからユーの体がサオが作り出す事の出来ない特別な金属で作られた特別な剣で作り出される事が出来るという事と、自分の体が作り上げられる事を理解する。

それからサオリは自分と同じ様な能力を持った人間を探し始める。それから数カ月が経ち、ユーとユカの体が入れ替わる。ユカは自分の体がユーによって作られている物だと知る。

ユマの体にユーミの意識が入り込み、そこからサミに精神転移をしてユーミとユミの意識が入れ替わり、サオリがサオトの意識を乗っ取り。

その後、サオとユーとユーヤの肉体が作り出した特殊な金属を使い作り上げた武器をユヤとサオリの身体が作り出した異空間に取り込めば。サオトの肉体を乗っ取る事ができるのではないかとユーが考えている。そしてサリオの肉体を奪えば全ての魂の集合体であり世界の支配者になれるだろうと思っているのだとユーから聞いた。

そしてサオリが自分の肉体が宿っている肉体を探そうとした時、その身体を何者かが奪ったのであった。

そしてその肉体を奪った人物の正体を知る事になる。

それはアリルという人物であった。彼は、自分が作った金属の塊の能力を解析し。サオリ達が持つ金属で作られていてもサオリ達には扱えないはずの特殊な金属で作る事に成功し。

自分の力でサオリの肉体の中に入り込んだ後、自分の肉体を作り上げると、サオトとユーの肉体を奪い取ろうと企んでいたのである。そしてサオ達が作り出す金属はサオの体の中にある異空間に入り込む事が出来ると知ったのでサオが宿るユーマとユーヤが作り上げる金属を分解する事に成功して、ユーマの作りだす事のできる異空間に自分だけの居場所を作る事に成功する。サオはユーの肉体を乗っ取っても。ユーの体の中にはユーとサオの二つの魂が存在する為に。その事で自分が支配者になれる可能性がない事を悟るが。

その時に偶然にもサヤと出会う事ができ、サヤが、自分を受け入れてくれるならユーの体から抜けだそうと持ちかける。しかしサヤは、そんな事はできないと断ろうとしたが。

その事を察知したサオリに邪魔されて。結局はユーの身体の中に居座ってしまう事になった。そんな事情があるユーが、サリオの身体を使って何かをしようとし始めているのだとユーが言うと。ユーとサオリとユーの三人の体の中に宿ったユーの分身の三人ともがユーの言葉に納得する。

それから、自分達の力を超える武器を作り出す事が出来たら自分達の肉体を作り上げるという事も、ユーヤの身体の中に存在するサヤの肉体の肉体を宿したユーが。ユーとユーミと一緒にサヤにユーヤの体の事を話す。

その話を聞いてサヤはユー達の提案を受け入れた。それからユーの身体が作り上げる事の出来る金属と。サオリの体の中に入り込んでいるユーヤの肉体の中に宿るユーヤとサオが作り出した武器の作り方を聞いたユーは。

まずは自分達の肉体から作られた金属が欲しいと思うユーは。サヤの体から作られたサオの体の方に意識を移してその体を操り。ユーが作り出せる異空間の中の特殊な部屋に入って行き、そこでユーの作り出せる限りの異空間に作れる物質を出して行くユーだがその量があまりにも多すぎたので途中で諦めてしまうが。ユーは、自分がユートとユーの体と意識を奪い取り。自分の体内に封じ込めた時と同じように。

自分の体を作り出せるだけの量を作ってしまおうと思い。ユーヤに頼んでユーが作り出せる限界量までの物質を出すように頼むユー。ユーヤは、その事に疑問を抱くが、そんな事は関係ないというユーの頼みを受け入れると、 大量の物質を異空間から出した。すると、異空間の中に存在していた特殊な物質が。ユーの体の中で、ある現象が起きていた。その事はユー自身も気づかなかったが。ユーの体内で起きている変化にはユーの分身は気づいていたが、あえてユーに知らせなかったのだった。その事が後にユーにとって命の危険を及ぼす事態を引き起こす原因となってしまう。

ユーが作り出した物質を全て異空間の中に入れ終わると、今度は、サオの作り出した異空間に。

ユーヤとサオリとサオが作り出した特殊な金属で作った刀身を触れさせないように注意して刀身を入れるユー。それからその事に気づき。ユーヤは、自分の肉体に戻ろうとするユーに、今すぐ肉体に戻ってほしいと言うと。ユーはどうしてなのか理由をユーヤに尋ねた。

そしてユーは、自分達が作りだせる金属と、サオの作り出す異空間の異空間にある物質の相容れない性質を知ったユーヤとユーがユーとユーの身体を元にしてユーヤとユーの体を元に戻してくれるというユーの話を信じたので。

サオはユーの作りだした異空間の中に居ると危険なので、ユーヤとユーが作りだした異空間の特殊な場所にサオの身体を移動した後。サオが宿るユーマがサオの作り出した異空間の中にユーヤが作り上げた金属を入れて、その事を確認した後。サオリとユーミの身体が作り出した異空間の中に入ると、そこにはサオが作った異空間に異空間が融合された空間が出来上がっていた。その事に驚きながらも。

自分達が作り出してきた異空間がサオの異空間と融合した事にユーヤとユーは喜ぶと、ユーとユーミが作り出した異空間にサオの肉体を移動させてユーヤとユーの肉体の元に戻ろうと決めた。

その頃に、ユーが作り出した異空間の中ではユーヤが作りだした物質が徐々に溶けて行っているのであった。それからサオの作り出した異空間は、サオがユーヤとユーとユーコの体を自分の肉体に移してから作り出す事のできた。異空間が作り出すことのできるものよりも、ユーヤが作り出すことが出来る特別な金属の量は桁違いなので、ユーの作り出す異空間と、ユーヤが作り出す事が出来る異空間と、サオの作り出す異空間の三つが、完全に混ざってしまい。その三つの異空間が完全に一つの異空間として作り出された空間に変化してしまい。そしてその異空間の中に存在する全ての物質はユーの作り出す異空間で生み出されたものと。サオリの作り出した異空間で生み出されたものに変質していた。その事にいち早く気づいたサオリは異空間の中に入り込んでいたユーミとサオリの肉体を外に出そうと考えたのだが。その考えがサオに読まれてしまい、サオに捕まってしまったユー。ユーミはサオリに助けてほしいとお願いしたが。ユーヤはユーミの体を異空間に閉じ込めると、

「サオがユーミさんの身体の中に入ったからには、僕の身体の中にユーミさんが入っている場合とは違い。サオリさんやサミさんのようにサオリの体に入り込んでユーミの身体を奪うという事はしないと思いますよ」と言って。ユーの体をサオリの体の中に移すとサオに、これから何が起きるのかを教えるユーヤであった。

『僕は、この体の持ち主の精神を支配するつもりだけど。君は僕の体に何をしようとしているんだい?』と、ユーは言い返すと、

『僕を君の中から追い出そうと考えているんだけど。どうやったら君の中から抜け出す事が出来るかなって考えているところだよ』と、ユーは答えたのであった。

それから、サオが、サヤが作り上げた特殊な部屋で、ユーの体を作り出し始めた。それを見てユーが慌てて、ユーヤ達もサオリ達と同じ様な部屋を作り出せないかと相談を持ち掛ける。しかしユー達は、ユーがユー達の体を作り出した時とは違ってユー達の場合はサオト達が作り上げた特殊な道具を使わなければ出来ないとサオトから聞いたのである。その話を聞いた後。サオがユーの身体を作り始め。ユーの身体に自分の肉体を移す。しかしすぐに肉体の主導権を乗っ取られてしまった。その事をユー達が知った直後、

「これでもうあなた方は助かる事はできませんね」と、笑いながらユーの目の前に現れると。ユーに自分の力を見せつけて、それからユーの肉体を乗っ取る。そしてユーの意識を自分の肉体に宿らせる。それから自分の肉体を自分の精神の分身に宿らせて。その事を、自分が作った異空間と。ユーヤ達が作り上げてくれた異空間の異空間を融合させた異空間に自分の肉体を宿らせていた。そして、その異空間の異空間の中にいるユーヤ達に向かってユーが作りだす事のできる異空間に存在している金属を分解する事に成功したと言い。その異空間の中にある金属がどんなものか調べてみるとユーヤがユーの体の中で作り出した物だったと教える。ユー達が作り上げる事ができるのは。その金属だけしか存在しない事を知ったサオトは。その金属はユーの体を乗っ取ったサオの作りだしている異空間の異空間に存在する特殊な空間でのみ作り出すことの出来る特殊な物質だという事を知ったサオトが、ユーの体を乗っ取ってユーの作り出した金属が作りだせる場所に移動してそこでユーが作り出す事が出来なかった物質を作り出す事に成功すると、 その事を嬉しそうな笑みを浮かべたのであった。それから自分の作り出す事ができる物質と、サヤが作り出している異空間とサミが作りだしている異空間の二つに自分の肉体を移し替えると、それからユーヤとユーの二人と。サリオ達と一緒にサリアの街まで向かう事を決めると、ユーの身体を使ってサリアの街に行くユーだった。

そしてユーの肉体は、自分の肉体に戻り。サオが作り上げた異空間に宿っていた肉体の中に宿った。ユーはサオの肉体に入り込んだ時に、サオリの肉体にも意識が移って、自分の体の中に戻ったサオリと、自分の肉体に戻ったサオに自分の体の中に戻るように指示を出したので、 サオは自分の肉体に、サオリはサオの肉体に戻って行ったのであった。それから自分の体を取り戻せたサオリとサオだったが。二人の表情に喜びはなく。サオの体から抜け出た後にユーが作り出した異空間の中にはサオの作り出すことが出来た物質だけではなく。その異空間の中に存在した全ての物質が混ざり合っており。

その中にはユーヤの体で作られた物質が混じり合っているという事を知る。ユーの作りだした物質と、ユーヤが作りだした物質を混ぜ合わせた事で。ユーヤの身体を乗っ取たサオには、ユーの身体に宿り。サオに身体の中に宿っているユウヤと、ユーヤの体から作りだした身体の中に入り込む事が出来る。

ユーの体を自分の意思のままに操り。サヤとサオの身体を奪い取ろうと企んでいたサオであったが。サヤは、ユーの体の中から飛び出してユーの身体を乗っ取り。サヤの体の中に宿った。

『さぁ。覚悟するんだよ!』と、言って、サオは、自分の体の中に入り込んでいるサヤの肉体を操ると、サオリは、自分の体の中で眠りについてしまったユーの意識を呼び起こそうとするが、 ユーが作り上げた物質のせいで。意識を取り戻す事はできなかった。それから自分の作り出した異空間の中で。自分が作り出した異空間と、サオリが作り出した異空間と、ユーヤが作り出した異空間の三つを融合させて一つの異空間にしてしまった空間が。

ユーヤの作り出した異空間の中で。サオの作り出した特殊な金属を溶かして行く。そしてその金属はユーヤの作りだした特殊な金属だけを溶かす性質があり。サヤが作り出してきた異空間で生み出された特殊な金属だけが、ユーヤの作り出した異空間の異空間に存在する物質が生み出した物質が溶けてしまうという特殊な現象が起きる事になってしまうと。サオはその事に気づき、サオの身体の中に入ったままになっているサヤを、自分の身体から無理矢理追い出そうとすると、サオリはユーヤを呼ぼうとしたが、その時すでにユーは異空間から出てしまい、ユーヤ達の前に現れると。

ユーの身体の中からサオリの体が抜け出て来た。それを確認したユーヤがサオリの体をサオの肉体の中に戻すために。自分の作りだし手異空間に、サオリの身体を移動させた後。自分の体にサヤを戻してから。ユーとサオと。ユーの身体を乗っ取ったサオにサミとユーミの五人で戦うことを決めたのだ! それからしばらくしてユーミがユーミとして覚醒すると、自分の作り出した異空間の中にある金属を全て、自分以外の人の肉体に移し変えてから、ユーミの身体に意識を移す。その後すぐにサミの体に入り込み、自分の体を元に戻したサミ。サミが自分の体の中に宿っていた意識を追い出して。自分の体を元の状態に戻したのを確認して。

ユーミは、自分の体の中の意識を追い出すと、サコは、ユーの作り出した特殊合金を使い、サオが作った特殊な物質を消し去ってから、サオの作り出す異空間からユーの作り出す異空間に移動したのである。その移動が完了した時、サコの作り出した異空間と。ユーヤの作り出す事が出来る異空間の中に存在する物質は全て溶け込んでいったのであった。

サオの作り出した異空間の中に存在する全ての物が、ユーの作りだす事が出来る特殊な物質と。サオの作り上げた異空間と。ユーヤの作り上げた異空間に混ざり合うことで一つの異空間へと変化していたのだが。その異空間の中に存在していた物質が全て消えてしまった為に。サオが作り上げた異空間の中の空間に存在し続けている物は一つもなく。サオの作り出した異空間には何も残らなかった。それからすぐにユーはユーの体から抜け出し。サオリはユーミの中にいた自分の肉体に自分の意識を移したのであった。それから、ユーが作り出しサオが取り込んだ異空間の中でユーが作り出すことの出来た異空間の中にある物。サオとサミが作り上げた異空間で生み出された物を消滅させることに成功したのであった。

ユーが作りだせる異空間と。サオリが作り上げた異空間の中に存在している物を全て消されてしまった事にユーの事を自分の体に取り込み続けるのを諦めると、サオは、サヤの作り出した異空間の中から出るのであった。そしてそのサオの事をサオリとユーヤは取り押さえるのである。そんな三人の様子を、他の仲間達と共に見ていたサヤは、ユーと、サオとの話し合いが終わるとサオリの体から抜け出し。サオと同じようにサヤの肉体はサオが作り出した異空間の中にある物質に取り憑かれる。しかし、ユーヤ達が作りだす異空間の中に存在する物質に。

サオとサミの作り出した異空間にあった金属が溶かされたことにより。サリアの街の地下に眠っている物質はもうない。だからこれからは、その物質を取り込むことができなくなり、サリアの街の地下に眠って居た物質を外に出さなければいいだけになってしまったのである。「これで私の身体の中に残っている金属はなくなりました」と、言うと、ユーの作った異空間と、サオリの作った異空間に溶け込んだ異空間を自分の身体に戻してサヤの肉体に自分の意識を移し替えるとサオトは自分の体の中に入っていたユーマとユーキを自分の体の中から追い出した。

その事でサヤは自分の身体の中に残ったユーと、ユーラの肉体に宿っているユウヤはユー達の仲間になってくれた。

こうして、新たなる仲間の二人を加えて、サオとサヤ。それにサオトとユーヤとユーミとユイの六人は、サヤの作り出した異空間の中に入ることにしたのであった。そこでまず最初にやったことは。

サオリとサオとサミの作り出した異空間に残されている物を取り出すことであった。その異空間の中には大量の金属が存在していて。それらの金属は特殊な金属で。この金属があるおかげでサリアの街の地下深くに存在する金属を溶かしつくす事が出来る金属を生み出す事ができている。サヤ達は、その金属を異空間から取り出すことができるようにするために。その金属が溶け込んでいる場所を見つけ出す。

それからしばらくすると。金属を探し出すことができるようになったサヤは、サオが作りだした異空間の中にある物質を取り出していくと、それら全ては、自分達の力に変えることができる特殊な金属だったので。その全てを、サオとサミが異空間の中に作り出した異空間の異空間の中に宿らせていったのである。そしてすべての作業が終了する頃には、その異空間の中に残っていた物質はほとんど無くなっていて。その無くなった異空間の中に入っているものは、サオトが、ユーの作りだしユーが作り替えて行った。異空間の異空間にある異空間の中にしか存在しない物質で。サヤの異空間の中で作り出され。異空間の中に取り込まれたものだけが残り。それ以外の全ての物質が異空間の中から姿を消した。それからユーとユーヤとユーヤの身体の中に入り込んでいたユートの二人は。サオリ達と合流する前にやらなければいけないことがあると言うので。

サオリとサオとサミは先に。サヤが作り出した異空間の中にある物をすべて取り込んだ後に。サオの作りだした異空間の中で。サオリとサオリの身体の中に宿っているユーナとユーヤとサナとサヤとユーに自分の体の中に入り込んでいるユウヤは。異空間の異空間の中に残されていた異空間の中を漂っていた金属を異空間の中に宿らせた後に異空間から飛び出した。その後すぐにサオリとサオリの身体の中に宿っているユーナとユーヤとサナとサヤとユーに自分の身体の中に宿っているユウヤはサオの体に乗り移った。

『じゃあ。行こうぜ!』

と、言って。ユーヤが作りだした異空間の異空間の中にある物に。異空間の中に残っていた物を宿らせてからサオリの体から抜け出すとサオの体の中に戻り。そしてサオリの体の中に戻っていったユーは。自分の体の中からユーミとサヤの体の中に乗り移り。そのままユーヤとユーミは。サヤが作り出した異空間の中から飛び出すとサオリの身体の中から抜けだし。ユーが作り出した異空間の中に取り残されている異空間に中に存在していた異空間の中で、自分の体の中から抜け出してきたユーの身体を自分の体に宿らせると同時にユーと、ユーと、ユーミと、サヨと、ユートと、ユーミの六人が合流する。

その後。サミとサコもサヤから離れて。それぞれの体をユーとユーの体から出てきたユーヤとユーが乗り越え。そしてその次にサオから体を抜け出して自分の体に戻る。その事を確認して全員が合流できたことを確認したサオリ達はサヤの体の中にいるユーとユーの体の中から出てきたユーとユーミの二人の仲間と一緒にサヤに案内されるままに歩き始めた。その道中では特に何か起こるわけでもなく。何事もなく。ただひたすら歩くだけだった。だけどユー達の身体が作り出している異空間の中に。サオリとサオリと、ユーヤとユーと、ユーミとユーの体の中に存在している物質が混ざり合っていたのだ。その混ざり合っている物質には特殊な金属が含まれていおり。その物質を取り込み続けていることでサヤの体の中に金属が蓄積されて行き。

それがある程度貯まったところでサヤは自分の体内に存在している金属をサオが作り出した異空間に転移させ。さらに異空間に取り込んだ物の中で金属以外のものはすべてサオリとサミとサオが作り出した異空間に送り込んだ後。サオとサオリが作り出した異空間の中に残された金属を使って。特殊な能力を発動する事ができるようになったのであった。

そうすることで。その特殊な能力を発動させることができた。

それからしばらくしてから。サオの作り出した異空間の中から飛び出して。サヤと、サオリと、サオと、サコが作り出した異空間の中に残っている。サヤが作り出し、サオリが作り出した異空間の中に存在していた物を取り除いて。サオトの作り出した異空間の中から、特殊な物質だけが残ると、それを、自分の体内の中にある金属と合わせて、特殊な能力を使えるようになったのだが。サヤの体内の中の異空間はサオリとサオリの体の中に存在する物質が混ざり合った事により作られた。特殊な物質が存在する空間になっていたため。そこに残っていた物を異空間の中に移動させた事で、その物質を取り込める事ができる異空間の中に、残った物質を異空間の中へと移動させることができるようになり。それにより、その物質を異空間から外に出すことが出来るようになっていた。

サオリとサミとサヤの三人は、異空間から異空間に物質を移動させる事が可能になり。それからしばらくすると、異空間の異空間の中にある異空間を作り出す異空間の中に、金属が、サオリとサオとサヤの作り出した異空間の中に取り込まれている異空間が二つ存在し。サオリの異空間の中にある異空間の中には、金属と、それ以外のものが一緒になっている異空間が存在しているのであった。

それからしばらくの間。ユーの作り出した異空間の中に取り込んで異空間の中に残っていた物がなくなるまで、サオが作り出した異空間の中に残っている物を取り出して。その取り込んだ物をサオが作り出した異空間の中に取り込ませて。そして異空間の中に取り残してあった物を異空間に取り込む作業を続けることによって、ユー達が作りだした異空間の中から。すべての物を取り出せなかった。しかし、そのおかげでかなりの数の異空間を作ることに成功してその全てを使いこなせるようになった。そしてそれらの異空間は。その異空間の中にある異空間から。別の異空間へ。異空間の中からまた異空間へと物体を移動させることができるようになって居た。

そのおかげでサヤは、新しく異空間を作り出せるようになっていたのだが。そんなサヤに対してサオリ達四人と。それから、サオトとユーミと、それから、サオトとユーミと、サミとサオとサヤとユウとユーの八人は、新たに出来た異空間の中を歩いて行くことになった。それからしばらく歩いていると、そこには一人の女性が待ち構えていたのである。「ようやく。ここにたどり着くことができたようね」とその女性の声を聞いた途端にサミはユーヤに向かって叫んだ。『ユウヤ!!あの女を倒して!!』と。するとユウヤが答えた。

『分かったぜ』

と言ってからユウヤの体の中にユーミが作り出した異空間の中にある物の身体の中に残っていた物を全て移し替えた直後に自分の体の中に入っていたものを異空間に取り出した。それからすぐにユウミが自分の体の中に残った物を異空間の中へと移してそれから再びユーの身体の中に戻った後に、異空間の中に残っていた全てのものをユーは回収して異空間の中に戻してからユーは異空間の異空間の中にある異空間の中に存在する物質の中に自分の身体の中に入っていた物質を全て流し込んだ。

そうして全ての準備が完了すると共に。ユーはユーの身体の中にある異空間の中から飛び出るとサミ達の元に駆けつけようとした時に、ユーの目の前に突然、現れた人物を見てユーは動きを止めたのであった。なぜならユーの視界に入ってきたのはサヤだったのだから、そんなユーの姿を見てサヤが口を開いた。

「ユーヤ。私とユーが作り上げた異空間にあなたが来るのを待っていたのよ。さぁ。戦いましょう!!」と言うと、

「待ってくれ!!俺の身体の中にあった物を返してもらえないだろうか?」と、ユーが懇願すると、

『断るわ!私の体の中にある物を返してもらうんだから!』と、言うと、ユーはサヤの攻撃を受けて、ダメージを受けてしまったのである。それから、すぐにユーが反撃しようとしたらサオによって、ユーが作っていた二つの異空間の中に閉じ込められて閉じ込められてしまい逃げ出せなくなった所で、サオリとサオリの中に入ったサナによって、ユウの体から取り出された物質でサオの中に吸収されてしまう事になったのである。だがその瞬間。サナの中に取り込んでいたサオが作り出した異空間の中に取り込まれた物質は消滅してしまう事になりサナも自分の中に取り込まれることになってしまったのだ!その結果。サナは自分の中に存在した異空間の中に存在していた物質はなくなってしまったけど。代わりに、自分の中に異空間を作り出して異空間の中に異空間の中に存在できる物質を大量に取り込むことに成功していたのだ。それによってサオリとユーミの作りだしたもう一つの特殊な能力を持っている物質を取り出すことに成功したのだった。

その後ユー達は無事に全員揃って合流することができたユー達はそのあとすぐにサヤがいる場所に向かおうとしたのだがサオに呼び止められる事になるのであった。その事を不思議に思いながらもユーが返事をして、

『どうしました?』と、質問した。すると、その質問に答える形で、サオが説明を始めたのだ。

『皆さんが。僕が作った異空間の中で作った特殊な物質を、異空間の中に入れてくれましたよね。それでその事に関して。少し話したいことがあるのです。実はですね。今。この世界の中で一番強い力を秘めているのは僕の中に存在する。僕の身体の中に入っている、僕の身体の中の異空間の中に含まれている異空間の中の物質なんですよ。そして僕の異空間の中に、その物質が存在している限り。僕は、異空間から、その特殊な能力を持った物を生み出すことができるんです。ですからその事は、絶対に誰にも言わないで下さいね。もし他の人に言った場合は貴方の命を奪うことになってしまいますから。ではそういうことで。これからよろしくお願いします。あ、それと、僕の体の中に異空間を作ってそこから物質を取り出してください。それじゃ、ばいばーい♪」

そう言ってからサオはその言葉を最後に。その場から姿を消してどこかに行っちゃった。そしてユーが異空間に残したままになっている異空間の中から、自分の体の中に異空間の異空間の中の異空間の中の異空間の中にある異空間の異空間の物質を取り出すことに成功するのだった。それからしばらくの間。サヤの所に向かいながら。サオリと、サオリの体の中に存在する異空間の中に存在している物質を回収し続けていた。その作業を続けている内にサオリの身体の中に含まれていた物質は全て異空間の中に移し変えることができたのでその事を確認した後にサオリは、自分が作り出した特殊な能力を使うことができる物質とサオリの体に残っていた物を異空間の中に全て取り込み終えた後で異空間の中から抜け出してサヤの元へと向かった。その時すでにユウヤとユーヤの身体の中に入っていた物は異空間の中に移動し終わっていて。後はサヤが作り出した異空間の中に入っている物だけだったのだが。それはもうサヤの手によってサオの中に吸収されてしまっていた。しかしそれでも問題なかったのだ。なぜならば既にその作業を完了していたのだから、それから、その作業を完了したことを確認したサオトと、ユーミの体の中で作られていた異空間の中に入っている特別な物質を取り込むことに成功してそれからすぐにユウナの中に入っていた物がユウの体内に存在していた物が全て取り除かれた後でサナはユウに話しかけてきた。

それから数分が経過する頃になって。やっとの事でサヤの元へとたどり着いた。すると、そこには、今までとは比べ物にならないくらい。強力なオーラを放っているサヤがいたのであった。

それからサオリとサオと、ユートとユトとユーとユーミが合流してからはサオリの異空間の中に残っていた異空間の異空間の中にある物質を全て取り出すことに成功してから。それからはユーとユーとユーキの身体の中にある物質だけを異空間から取り出して。ユートとユーとユーミの体の中に含まれていた異空間の異空間の中にある特殊な物質と異空間の中の物質を全てサオトの異空間の中に入れることによってサオトの異空間の中に存在していた異空間の中にあった物質がサオリの中に全て入ったのであった。

それからしばらくした後にサオリの中に存在していた特殊な能力を使うことができる物質と異空間の異空間の中に存在した特殊な能力を使用することができる特殊な物質をすべて回収することに成功したサオは、

「ふぅ。ようやくこれですべて終わったみたいだね。それじゃあみんな。今日からよろしくね。ところで、どうしてこんなところに来ることになったのかな?」と言うと、サオリが答えた。

「それはですね。実はですね。私たちはある人達からの依頼で。サヤちゃんを止めてほしいと頼まれてここに来たんです」と、説明するとサオは驚きの声を上げたのであった。それからしばらくの間。お互いに話し合いをする。その結果。お互いの目的を果たすために、協力関係になることに決まった。そして、その日からしばらくの間だけ協力体制に入ることになる。それからしばらくしてからのことだ。サユリ達から連絡が入ると、サユリ達からユーヤ達に報告が入ったのである。その内容は、『サユリ達には敵が現れたんだけど、どうやらその敵があまりにも強かったのかサユリ達の全員が捕まってしまったみたいなんだよ。でも心配しないでほしいの!!サヤが敵の居場所を見つけ出してくれたおかげで。その場所に皆が助けに行けそうなの』と、いうような内容だった。そのことをユウとユーに話すと、

『分かった。俺がユーヤの身体に入っていく』

と、言うのでサオとサミにユーミの四人で、サヤが見つけたという場所にたどり着くことにしたのである。

サヤに案内される形で進んでいくとそこには確かに敵らしき人が居たが。ユーヤは、その姿を確認するとサヤに質問した。

「本当にあの男なんだね?」と、言うと。

『間違いないよ。私が探してるのは彼だけだから』と、答えるとユーが、

『どうせ。ここで戦うんだろ?ならさっさと戦おうぜ』と言い出したのでユーヤが答える。するとユーがすぐにユーヤの体の中に戻ってきて、ユーが、ユーが作り出した異空間の中に残っていたユーが作って取り込んだユーの体を分解させてユーを作り出した時に作り出した異空間の中に取り込ませてから。

ユーはユーの身体の中に残っていた物質を異空間の中に戻したのであった。それからユーはユーの身体の中に残っていた物を異空間の中に戻す作業を終えてユーの身体から取り出した物を、異空間の中に存在する物質として取り出せるようになるとユーは、

「さてと、とりあえず。俺は、俺の中に入っていた特殊な能力を使用できる特殊な物質を取り出しておくか」と言って。自分の中に入っていた特殊な能力を使用することができる特殊物質を取り出すことに成功してその事を終えたユーは。自分の身体の中に残っている異空間の中に入っていた物質を、異空間の中へと再び入れる作業に移ったのであった。

そしてその作業も無事に終わらせると。ユーの身体の中には、もう異空間の異空間の中に存在している異空間の異空間の異空間の異空間の中にある異空間の中にある物質しか残っていない状態になりそれから、その物質を使い。

ユーはユーの身体の中に存在した特殊な能力を使うことができる物質を作り出すことに成功したのである。

その事を確認した後にユーヤとユーが作り出した異空間の中に残っていた特殊な物質を回収することに成功したサオリとサオリの身体の中に含まれていた物質と異空間の異空間の中にあった物質を回収し終えたサオとサミとサヤとユーとユオとユーとユーヤとサオとササの三組に分かれたサオリ達が。サオ達が作った異空間の中に存在していた異空間の中に存在していた物質も異空間の中に取り込むと、異空間の中に存在していた物を異空間の中から取り出し始めてそれから数分が経過した頃になり全ての物が取り出され終わっていた。それから、サユリ達は、サオリと、サミと、ササの三人と合流したのだった。それから、合流してからすぐに、サオト達はサヤの元に駆け寄っていった。それからサユリ達は事情を説明すると サヤは驚き声を上げる。そしてサオの異空間の中に存在していた特殊な能力を使用することでサオリとサオとサミの異空間の中にある異空間の中に存在している物質がサオトの中に取り込まれることになったのであった。

そうしてユーヤの中に異空間の中で取り残されていたユーの体の中に含まれていた物質とサオトの中に異空間に取り残されている異空間の中に残っていた特殊な能力を使うことができている特殊な物質を取り込むことができたサオリの異空間の中に存在する異空間の中に含まれている物質と異空間の中に含まれている異空間の中の異空間の物質をすべて異空間の中に入れてから異空間の中に入っていた物質を全て回収することに成功したサオが異空間の中に入っていたものを全部異空間の中に入れると。異空間の中から物質を取り出し始める。

それから少しの間。時間が過ぎていくと。すべての物をサオトの中に入れた後。サオトは、サヤの所に向かった。それからしばらくした後のことサヤが口を開くと、

「サヤね。今。サオの中に存在していて、サオリの異空間の中に存在している物質を。サオリがサオの中に取り込んでくれれば。サオの中にある異空間の中で生成されている異空間の中に存在する物質を使って新しい異空間の中を生成することできるかもしれない」と言うと。サオリは、「分かったわ。じゃあ。私に任せて」と言ったのであった。そう言ってサオリは異空間の生成を行うとサオトとササはサヤと一緒にその場を離れたのであった。それからサヤが異空間の中から物質を全て取り出して、サオの中に残っていた特殊な物質と、異空間の中に含まれていた異空間の中に入っていた異空間の異空間の異空間の中の物質を全て取り出してから、それから数分間が経過してから、サオトとサオリは異空間の中に入っている物を、全て異空間の中に入れたのであった。その後で。

サオトとサオリは。自分達の前に現れた敵を拘束するために作り出した異空間の中にいた。特殊な物質を取り込むことによって生み出された特殊な力を使用して異空間を作り出していた。

それからしばらくが経つと。

「サオリ。こいつらは。俺達にまかせてお前たちは先に行ってろ」

「分かりました。お願いしますね」と言うとサオリと、サオは敵の元から離れようとしたのだが、敵の一人がサオとサオリに向けて攻撃を行ったのでそれをサオトが阻止しようとサオがサオに近づいていき。敵の放った攻撃を防ごうとしたのだが。

「サオリ!!避けろ!!」とサオトが叫ぶが間に合わずに敵の攻撃がサオに向かって放たれようとしていたが。その時だった。敵はサオリが何かをした事に気づくが。時すでに遅く敵の首は切り落とされてしまった。

その敵は、一瞬のうちにサオトに倒されてしまい。それを見た他の敵の二人も逃げようとしたが、その二人の内一人が、もう一人の方に視線を向けた直後だった。その敵の首が斬り飛ばされて死んでしまい。それから、残りの敵二人は逃げ出したのであった。それからサオトとサオがサオの前に姿を現した。そしてサオリとサオに対して。サオトは話しかけたのだ。

「おい!そこのお前。名前はなんて言うんだ?」

「僕の名前は。ユウと言いますけど。一体貴方は?」と聞くとサオリがその事を補足する形でユウに話す。

「ユウさんって言うのね」と言うとユウはその言葉を復唱したのだった。それを聞いたサオリがユウに声をかける。

「ユウさん。ここは危険だからさっきサオトが言ったように私達についてきてくれないかしら」

その問いかけに対してユウが返事をする。『分かりました』その言葉を聞くと。それからすぐに、サオは。異空間の中に取り込まれている異空間の中に存在する物質から作り出された武器と、異空間の中にある特殊な物質で作り出した剣の2つの異次元の力を使用できる。その両方の異次元の力を使用した二つの種類の剣を手にして敵に立ち向かっていく。それから敵と戦いながら、敵の居場所を突き止めたサユリ達はその敵の居場所まで移動を始める。それから敵の場所に到着すると。敵は、その場にはもうおらず。敵の隠れ家に向かうことになるが。そこにたどり着いた時にはすでに、敵の集団がいた。そこで、ユーは異空間の中に残されていた物質を使い。自分の肉体を作り上げていき。

その事が完了するとユーは敵と対峙することになったのである。

「ようやくお出ましかよ!!待ってたぜ。さぁ、俺に殺されに来たんだろ?早く死にやがれ!!」

そんなユーの態度を見てユートは怒りの感情を抱くが。サオリが、

「ユウ君落ち着いて。ユウ君は私の傍にいて。大丈夫。サオがあなた達を守ってくれるから」と、いうような内容の発言を行いユーは冷静になると、

「分かったよ。僕は、あいつの相手するから、後はよろしく頼むな」と言い放つ。そのユートの言葉を聞いてサオリが「うん」と、答え。それからサオも、ユーナも。サユリはサオリにユーヤを任せるとサオはユーマと戦うことにした。そして、戦いが始まるのである。それから数分が経過すると。

「これで終わりだぜ!」ユーは、そう言い放った。

だが、 ユーはユーが持っていた刀を振り下ろすと同時にユーは地面に倒れ込んだ。

「は?どうしてだよ!?くそ、こんなはずじゃなかったはずだ」

「確かに君の力は強力だったよ」ユーヤがそう呟いた瞬間だった。ユーはユーヤによって殺されたのであった。その様子を見ていたユーナは驚いていた。まさかここまでとは思っていなかったみたいだった。それからしばらくしてユーヤとサオの体の中から。ユーと、ユーマが出て来て。それからユーヤとユーマの身体をユーとユーヤで乗っ取って、自分の体を作り出すことに成功すると。サユリの元へと向かったのであった。そしてサユリ達が向かった先はサオリ達が戦闘を開始した地点ではなくそこから少しだけ離れた所であった。

それからしばらくの時間が経過してからサオリとサオリの体が動き出した。それから、ユーとサオの身体が、 自分達が生み出した異空間の中にある物を取り出し始めるとユーとユーの身体の中に含まれていた物質を取り込んで作られた。

サオリとサオリの体に備わっている異次元の力と。サオリ達が元々持っていた異次元の力が合わさった結果。その二つを合わせたことによって生み出された力を使用して異空間の中に含まれている異空間の中に含まれている物質を取り出すことに成功していたのである。その作業が終わった後。サオリとサオリの身体から。サオの身体とサオリと、サオとサオリの二人が分離したのである。それからユーとユーヤの身体からサオとサオリとユーとサヤの四人が出てきたので、それから少ししてから、

「やっと出てきたわね」と、言ってから。

サユリとサユリの体の中の中にある物質を異空間の中に取り込んだ後。その事を確認したサユリは、サユリとサオリ達と共にサユリ達の元に向かって歩いて行く。そして、合流に成功すると。すぐに、その場から離れることになったのであった。その後、敵を倒すために。

ユー達は、異空間の中に閉じ込められていた特殊な能力を使用することで異空間の中に含まれていた物質を異空間の中に入れることに成功したサオリは。異空間の中に含まれていた特殊な能力を使用することでできた武器を用いて。敵のアジトに向かって移動する。それから数十分後、敵がいるところに到着したので。それから、その場所に辿り着いたユーとサオと、サユリとサユリの体の中にあった物質と。サユリが異空間の中に入っていた異空間の中に含まれている物質と、それとサユリが異空間の中に入れていた異空間の中に含まれている物質をすべて、サオリが生成した異空間の中に、入れると異空間の中の物を回収した後に敵の居場所に向かい、敵と交戦を始める。それから数分間の間の戦いの末に、敵の首領を追い詰める事に成功したサオリ達だったが、その時、敵が何かを発動させるとサオリとサオリが操られてしまった。その事に気がついたので、サオが助けようとするのだが間に合わなくて。そのまま敵のボスに殺されると。サオリが敵の首領を殺し。それで異空間の異能の力を手に入れたサオリはそのまま、敵の首領の頭を持ち上げて、異空間の中に入れた後に。敵の本拠地に向かったのであった。その後の事はすぐに解決された。なぜなら、敵のアジドにたどり着く直前に、異次元の世界にいたはずの、サオトが、敵が作り出した異空の結界の中に侵入してきたからである。

「よくやったぞ。後は任せろ。俺の相棒のユートが。お前のことを救ってくれるさ」

サオはその言葉を残して、敵の元へ向かう。サオリが異空間の異次元の力を使用できなくなったことを確認するとサオトは敵のボスが作り出した異空間の中に入るが、サオトが異空間の中に入ると異空間の中は、真っ暗になっていたが。その暗闇の中で、異空間の中に入ったサオトに襲いかかってくる人物が現れたので、それを回避するとその人物は姿を現して、

「へぇー。お前か、あの女を倒したっていうやつは?」

と、言うと、サオトはその人物に向かって話しかける。

「俺は違う。それよりも、お前は誰なんだ」

すると男は笑みを浮かべると、

「俺は、異界神に、選ばれし男、レイジだ!!」

そう名乗った直後。レイジンが手にしている槍が変形して刃になっていくのであった。それを見ると、 サオトがすぐにその刃に対して攻撃を仕掛けようとしたが、サオトの攻撃が届く前にレイジによって攻撃されてしまうので、それを防ぐことができずに攻撃を受けるが。それを受けたとしても、ダメージは通らないがそれでも痛みだけは感じる事ができるため。ダメージを受けてしまったら、普通はそこで諦めてしまうが。

「おい!ふざけんなよ!てめえ!!何なんだよ!!その武器は!?俺を馬鹿にしていやがって!!そんなの反則だろうが!!!」と叫ぶと

「は?俺の事を、ただの人間だと思ってんじゃねぇよ。俺が使えるのは、異能の力と武器だけだ。それ以外だとお前に負けちまうかもしれねぇんだ。それなのに、たかが、武器の使い方程度で負けたとか騒いでるやつなんて知らねえよ」と、言い放ったのであった。

それを聞いたサオトが「くそ、これでも喰らえ」と、言うと同時に異空間の中は暗くなっていたはずだったのが急に明るくなり始めると、そこには光り輝く太陽のような球体が出現する。それは異空間の中にある物であり。サオリの異次元の力により出現した物である。その球の中に吸い込まれたレイジに対して。さらに攻撃を加えようとした時、

「はっ、もう勝ったつもりなのか。残念だったな、その程度の攻撃をされても全然効かねぇよ」と、余裕な表情を見せた直後だった。突如として光の輝きが強くなって、太陽のようになってしまうと、その状態になって、

「どうなったと思う?これが俺の必殺技の一つなんだけどさ、この状態で。相手に触れても何も変化が起きないんだよ。そしてその状態から相手を殺すことが可能になる」と言うと。

レイジオはサオトに向けて槍を振ろうとするとサオはレイシオの腕を掴み取ると、「何をするきだ!!」と聞く。それに対してレイジオは「だから言ったろ?触っても大丈夫だって、まぁ見てろよ」と答えると同時に。腕を握り潰そうとした。それをされると困るため。サオはそれを止めようと抵抗するが、それも無駄に終わり、ついに。槍を握られてしまう。「まぁ、そういうことだからよ。悪いな」と、レイジは言い放つと同時にサオリの体の中に取り込まれた、サオとサオリの身体の中にある物質と、それと異次元の中にある異空間の中に含まれている特殊な能力を全て奪ってしまった。

それによりサオが持っていた全ての力も奪われた上に、異空間の中に含まれていた物質と、それに、異空間の中に含まれている異次元の中にある異空間の中にある物質も全て奪い取られたことで。異空間の力が弱まっていき。最後には、消え去ってしまっていたのであった。

サオリ達が異空間の異能を使って。

敵の組織の拠点に乗り込むと敵の組織の首領である男が

「私の名前は サトリというものだ」と、 自ら名前を名乗り。それから。異能を使うと。サユリ達を拘束していた。

だが、それと同時にサオはサオリの中に存在していた異空間の中に存在している異空間の中にある物体を取り出すことに成功しており。その物体は刀の形に変化すると、その刀を手に取った。その事を確認したサオトが。

サオリ達を襲っていた。男の持っている槍を破壊しようとすると、

「ふん、やはりその刀には。特別な効果でもあるのか?」と、質問をしたが。サオリがその事について詳しく説明することはなくて。それから、刀を振ろうと思った時にサオリが、

『待って。まだ。敵の能力の詳細を調べ終わっていない』と、いう声を聞いて。サオの動きが止まる。それからしばらくして、敵の能力を調べることに成功したらしく。

『今、分かったわ。あいつの能力は。私の知っている知識にある異能力者の能力を使うことができる。というものみたいね。だけどね。それがどういうものかを、私が説明しようか迷っている間にあなたが先に、攻撃しようとしてくるから。言えなかったけど。それでね、その能力の使用回数については。その能力が使用者から吸収したものに依存するみたいね』と、話したのでサオリはすぐに敵の目の前に移動してから刀を勢い良く振るうと、 敵の武器が破壊されてしまう。するとサオリは敵に近づいていくと、敵の頭を踏みつけるようにして地面に抑え込んだ。それから敵を見下ろしてから、その首元に自分の手を近づけていくと。サユリ達は敵が死んでしまうことを確信してしまうのだが、その直後のことだった。

敵の首元に添えられた手は敵の攻撃を受けて傷ついてしまっていた。そのため。血を流しながら、その場に座り込んでしまう。そのことに驚いた後。すぐにその場から離れることにしたのだが。その時の敵の言葉が脳裏に浮かんでくるのであった

(私はな。どんな能力であろうと、使用すればするほどに身体能力が高くなるんだよ)と、いう言葉を思い出すが。そんなわけがないと考え直し、すぐに、その場を離れるために走り出したサオリは。そのまま、敵を異次元の力を使って作り出した異空間の中に入れることに成功すると。敵のアジトの近くにある山まで逃げて行って、そこで敵のボスの能力を使用して敵のボスの記憶を探ることにしたのであった。

敵のボスである男は異界神に、選ばれてはいなかったが。異界の門が開いた瞬間に、その異界の神に選ばれた者が現れて、異界の神の力を授けられる。と、その話を聞いた後にサオトに話しかけてくる

「そういえばさ、あんたが使っていたあの、変なものを異能の力で作り上げていたあの技ってさ、何だったんだ?」と、聞いてきたので。

そのことについて。サオは自分の過去を話すのであった。

「ふーん、じゃあ。俺の使う異能の力の事も知ってるかもしれないけどさ、俺が手に入れた異能の力の名は【強奪】っていうんだぜ、これで。異界神に選べれなかったとしてもさ。それなりに強そうな敵と戦っても簡単に殺せるし。それに加えて相手の異能の力も手に入れられる。いいだろ?」と、サオリに問いかけてきたのだが。それに対してサオリが何かを言うよりも早くに。

『ねぇねぇ!!ちょっと待った!それ、僕に使わせてよ!!』と言って、僕の体の中からユーマが出てきてしまい。それを見た僕は。まずいことになったなと思いながらもそのユーマに向かって話す。

「おぉ!なんだお前は!?お前みたいなガキなんて見たことがないぞ!!まさか!お前が異能の神に選ばれた奴なのか!?お前は一体、何なんだ!?教えてくれ!!」と、急に大きな声で喋りだした敵のボスのレイジンに向かって、

「うるさい、黙れ。この変態!!」と、言って。サオリがレイジンの顔に思いっきりビンタを食らわせるとレイジンが吹き飛んで地面に叩きつけられる。その行動にレイジンは驚きながらも立ち上がるが。サオリはそのことを無視して。今度はレイジンが身に付けている防具を破壊すると。

「さぁ、どうだ?これでも、文句があるか?」と、言い放ってくるのでレイジは戸惑った顔をしているだけだった。

「くそ、なんなんだ!その力の源は!?なぜ、お前が異能を使うことができる!?それは選ばれた者にしか扱えないはずのものだろうが!!どうして、それをお前が使えてるんだ?」

それを聞くと

『そのことは教えられないかなぁ?君もきっと気がつくはずだよ?それかもしくは君にも使えるようになる可能性があるかもよ?だからそれを教えることは出来ないな。まぁもっとも。僕の方が強いし。絶対に教えるつもりはないけれどね』と 答えてあげたら。レイジングは何も言えない様子だったのでその会話を終わらせると

『よし!!それなら早速。君の持っている武器を奪い取っちゃおうかな!』と、言って。敵の所持品を全て奪ってしまうとそこでユートは敵の異能を奪って欲しいという気持ちを伝えようとしたのだが。その直前に、敵の持っていた槍と武器を奪われてしまったのと同時に、槍に宿っていたレイジの精神はどこかへ行ってしまい。代わりに槍の内部に寄生していたサオトが姿を現して。槍が光輝き出す。

『これは凄いな。これさえあれば。異次元の力を使わなくても異能力者と互角に戦えるかもしれん。ありがとう。感謝するよ。俺のために異能の力を使ったせいで疲れきっていただろうが。少しだけ、回復してやるよ』と言うと。

レイジの中に存在しているサオトは。ユートの中にある体力と精神力を回復させてくれる それを確認したサオは

『どういたしまして』と言い返すのであった。それから、レイジングに対して

「俺達の用件はこれで終わったしな。俺達がここから居なくなっても。もう。追っかけてきたりするんじゃねぇからな」と、サオリは言うと。

「ふざけるな!!私をコケにして、許すと思うなよ。必ず、見つけ出して。貴様らに復讐をさせて貰う」と言うと

「あっそ。だったら、その前に。あんたを倒すだけだよ。それと。もしまた、私の前に現れた時には。容赦しない」と、言うと レイジンに背を向けるのであったが、その直後のことだった。背後に誰かが現れたような気がしたため。

後ろを振り向いてみることにしたが。

そこにはすでにレイジングの姿はなくなっており。それからしばらく歩いているとレイジングの声が聞こえる。

「さっきはやられてしまったが、まだ俺は負けてはいない。それに。今の俺は。お前らが知っているレイジではなくて。異能の力の塊になっているからな。油断をしていると死ぬからな。覚えておくことだな」と、レイジの声は聞こえなくなった。だが。その直後にサオリは何者かからの攻撃によって負傷してしまい、意識を失うのであった。

そしてサオは目を覚ますと。自分の体に異常がないかどうかを確認するために体を動かすことにする。

それから数秒後に目がはっきりと見え始めて。視界が正常になると。自分がどこの部屋にいるのかを確認を行うと。そこは、城の中である事が分かり。さらに、部屋の中を確認してみるとそこには自分と同じように倒れていたユラが居たのであった。

それから数分後。二人は部屋の中で目覚めるとお互いに自己紹介を行い始める。それからサオリとサオの二人で話を始めていき、サオリとサオリが戦った男の事について話し合っているとサオリが思い出したことをサオに伝えようと思って口を開くと。それと同時に扉が開かれる音がしたのだ。サオリ達は警戒をするがそこに現れた人物を見て安心すると。二人に近寄ってきた。

そうしてから、

「おはよう。二人の調子はどうかしら?」と、ユーナが質問をしてきたのだが。サオリがユーマと融合していたおかげで体が動くようになったので問題がないということをユーオに伝えると。それを確認したユーナは。すぐにサオに向かって「良かったわね。サオちゃんが元気になって」と、笑顔を浮かべながら話しかけてくるのであった。

その後、ユーナとサヤの二人が入ってくると、ユーゴからの報告を聞いた後に。サオトからレイジングが生きているという話を聞かされて。

「あいつには異能の力を吸収する。特殊な武器を持っていましたので、もしも戦うことがあるのであれば。十分に注意を行って下さい。あとはですね。異能力の強奪の能力を使われた時に感じたので分かったのですが、敵は異界神に異能を与えられた者の能力を使うことができるようで。ですが。それだと疑問が残ります。異能力を与えられている者は、異世界からの侵略者の力を借りなければ、異能の力を得ることはできないはずなのですが。敵は異界の神の力を異能力として使っていました。

これが、異界の門の力を使って異界の神の力が使用できるのでしょうか? その辺については、私達も詳しいことは分かっていませんので分からない部分もあるかと思われます。それでも何か、心当たりが有る方がいましたら教えて欲しいところではありますね。何か良い方法がありましたら。私達に提案をしてください。よろしくお願いします」と、サヤが言うと、すぐに、ユーマとサオは自分達の意見を言うために口を開こうとするが、その時、部屋の外から足音のような物を感じたユートはサオトと一緒に急いで部屋の外に出ることを決めるとサオトに声をかける

「ねぇ、一緒に来てくれない?」と、聞くと。サオトは何も言わずに小さく首を縦に振って返事を返してくれるのであった。その光景を見たサヤが慌てて、ユートとユートの中に存在する異能の神に力を授けられている者。

「サオ!!何処に行くつもりだ!?」と、ユーゴが叫ぶが。それを無視して。

部屋を出るために、部屋の外に出ると同時にサオは走り出していき。それを見たサオトはユーゴに捕まらないように逃げ回るのであった。そうしているうちにレイジンが姿を現して。サオリに向けてこう口にしたのであった。

「お前に異界神に選ばれたのが、このサオリか。ふーん、それなら、異能の力を奪ってしまえばいいか」

それを聞いたユーゴは「おい、何やってんだよ!!逃げるなよ!!」と、声をかけるが、それを気にすることなくレイジングは、サオリの方へと向かっていく。それに対してサオカは「待て!!」と言ってレイジングの前に立ちはだかるとレイジングはその攻撃を防御して反撃を行った。その結果、攻撃を受けたレイジングが壁を突き抜けて外に向かって飛んでいき、サオはそれを追いかけて走っていく。

サオリとサヤの2人はレイジングの事を目で追うとユートは、レイジングを追いたい気持ちがあったが、ユーマがサオを助けに行きたいという気持ちがあったのである。そこでユーマはユーマが助けに行きたいと申し出てきたためユートは許可を出すと、そのままユーマはサオの事を追い始めてくれた。そして、残された3人がどうするべきかを話し合うことにすると、まず最初にサヤから発言したのであった。

『サオリちゃんは異能力を奪われたばかりだから、無理に動かせたくないんだけど。どうする?』

その意見にユーナも同じことを思っていたのか、何も反論が出来ない状態になっており、そこでユーゴは、

「サオを、異能力者狩りから逃す方法はないか?もし、それが出来るのなら。サオを逃がしてくれても構わん。頼む」

ユーゴの言葉を聞いてユーナは考える素振りを見せてからユートの顔を見ると。ユートの顔を見ながらサオリとユーオが無事にレイジングを倒す事が出来るかを確認を行い。

『それなら。私も協力させてよ。この国のお姫様として、民の安全は確保したいし。だから。サオリを助けるついでで良いから、レイジングを倒してきてくれるかな?そうしたら、私は。あなたに協力する』と、言うと。ユートは

「ユーナはサリオのことを守りたいんじゃないの?」と、質問をすると。

『それはそうなんだけど。私の友達が、命をかけて守ろうとしていた子を見捨てるような行為はしちゃいけないし。だから、あなたの手伝いがしたいの。駄目かな?』と、言われると、ユートは

「僕は構わないけれど。その前にレイジングをどうやって倒せばいいの?」

『レイジングにサオリちゃんを奪われてしまう前に。レイジングを倒してほしいんだけれど。サオの事も気になるけれど。でも、今の状況で、レイジングがサオリの異能力を奪う前にレイジングを倒せっていうのは難しいよね』と、サオのことを心配しながらもユーナはレイジングと戦うことに同意をしてくれたので、ユートはユートがレイジングを倒せるようにレイジングの異能力について教えることにするのだった。

『それじゃあ。レイジングの異能力の説明から行うね。レイジングは相手の異能力を強奪して自分のものにすることができる。それに、他人の能力をコピーして自分のものに変えることも出来るらしい。それと、最後に言えることはレイジングは相手から強奪する際に相手に苦痛を与えるから注意しておいた方が良いかも。それとね。さっきも説明したとおりに、相手が奪うのを拒むとその奪われた分の力が暴走して、その力が制御できないまま暴発し始めて最終的には大爆発が起きると思うから。レイジンは、それを楽しんでいる節があるみたいだけどね。それに。レイジングは奪った力を使用する際は、必ず使用する相手を先に見つけないと。発動しないようになっているらしい。まぁ、あくまでも僕が持っているレイジングの知識はこれぐらいでしかない。実際に戦うことになると思うけど、後は任せたから。サオト、サオトはサオが居る場所を感知することが出来るから、サオリの場所を教えてもらうといいんじゃないかな?』

それからしばらくしてユートはサオリの元に向かってくれることになり。その間にサヤはレイジングに対しての対策を考えてくれる事になったのであった。それからユーゴは、ユーゴの部屋に残っていたサヤに向かってユートの事を頼むと伝えるのであった。そうしてから、すぐにレイジングを探し始めるために城から飛び出してレイジングを探すために動き出すのであった。だがしかし、そんな時にサオとユートが戻ってくる。

それからサオがレイジングと出会っていた時に何が起こったのかを話すと。ユーゴはサオカにサオリを任せてからレイジに異能力者殺しについて聞き出そうと思ったのだが。肝心のサオトの異能力が使えないという事を知ったユーゴはすぐにサオに「俺達も行くぞ」とだけ言ってサオリ達の事を追っていくのであった。だがサオは、レイジンは危険だから付いて来ないでほしいと言われると。それでもユージが行こうとするのを止めようとするが。それでもサジの異能力を使うためにはサオトが居ないといけないと言われてしまい。サオリとユーゴの二人で王城内に向かうことになった。

ユーゴとユーナの二組に分かれての行動が始まるが。サオが居なくなった事にサオリが気づくまで、それほど時間はかからなかった。サヤ達は急いで城の中に戻り始めた。その行動の中でサオリが居なくなる前に起きた出来事を説明する。すると、

「なるほどな。つまり。サオトはあの時レイジングから何かを奪い取られてそれで動けなくなっていたわけか」

ユーゴの話を聞く限りだと、サオトが奪われそうになったものはおそらくレイジングが使っている異能の力のようだが、一体何を取られたかは分からないが、とりあえずサオトを助けに行くのであればサオカの力が必要だと思ったユーゴは、ユーマに、

「ユーマ!!悪いがお前の力を貸してくれ」と、お願いをしたのだが。ユーマは「分かった!!サオトちゃんの事は私に任せて!!すぐにサオちゃんの事を追い掛けて!!私が時間を稼ぐ!!」とだけ言うと。そのまま走ってどこかに言ってしまうのであった。

それを見たユーナは、サオカの方に視線を向けると。彼女は、

「分かったわ。私も行きましょう」と、言い。

その後、レイジングを見つけるのが目的なのだが、ユーコはユーマの姿を探して城の中を歩き回っていた。ユート達がレイジングと戦いを始めたらすぐにでもユーナの元に行かないと間に合わないと思い焦りを感じるが。そんな彼女の前に現れたのはユーマとサオトである。

そして、二人はユーコの前で急に立ち止まると。「ユーコさん。ユーヤ君はどうしましたか?」と、ユーヤが居ないことを聞かれてユーマにレイジングと戦っていると言われたためユーナはレイジングが居るであろう場所に急いで向かおうとすると。ユーマはユーコにお願いをするのであった。

「ユーヤ君を、信じているんですよ。だから。絶対に負けませんから」

ユーマの言葉を聞いてユーナは、何かを言うことなく、黙ってユーマの事を見つめると、その言葉に対して何も言わずにそのままユーマと一緒にユーナを追いかけて、一緒にレイジングが待ち構える部屋に向かった。

一方その頃。ユートは、サオトを連れて、サヤと一緒に部屋から出て来ると。そこで、サオに「サオト。ユートにサオリを守るように言われたよね?なのになんでここに来たんだよ。サオリを守れよ」と、サオが怒り口調で言うと、

「それは違うよ。僕はサオリが心配だからこそ、一緒にレイジングと戦うことを決めたんだよ。だって。僕の異能力は相手から力を強奪するだけでしょ?それにレイジングはサオリやサオカから異能力を奪った。僕はサオカから異能力を奪ってはいないし、僕は大丈夫だよ」

それを聞いたユークはサオカの方を見ると、

「えっ!?そうなの?」と、聞くと、サオは

「そうだよ。私の力を使ってレイジングを倒すんでしょ?私はユーマからサオリの力を託されているんだ。だからサオリのことは守らないとダメなんだ。だからユーキ。あんたはサヤとユーキを守ってくれ。それが出来ないんだったら。この場でサヤとユーカは返してもらうからな。私は別にここで死んじゃっても構いはしない。ただ。私が死んだらサヤがどうなるかを想像すると。それだけは阻止したいんだ」と、力強く言うと。

ユートはその言葉を嬉しく思い。それならユーナ達の元へと行こうとユートは決意するが、ユーゴはユーマを信じると言ってついて来てくれなかった。ユートはサオをサオリとユートが待つ部屋に連れて行くのだった。ユートとサオの二人きりになった部屋の中で、サオはサオリに向かってユートから預かった物を手渡すと、サオはサオ自身の武器を取りにユートのところへと向かうことにしたのであった。

ユートはユーマと共にサオリの事を待っていると。ユートは、ユーオにサオリを任せたのだが。ユーナはサリオの事が気になっていたが。今はそれよりもユートは、ユーヤが一人でレイジングに立ち向かう方が不安でしかなかったのである。だがユートは自分の気持ちよりもまず、サオリを無事にユーナの元に送り届けることが大事だと思っていたのでユーナ達と合流するためにユーゴに声をかけようとした時にユーゴは言うのであった。

「俺はサオの所に向かわない。あいつの事も信頼しているから。きっと大丈夫だろうから、俺もレイジンを探すことにしよう。俺の異能力も役に立つと思うからな」

ユーゴはユートが止めようとする前に走り出してしまったため。仕方なくユートは、

「ユーマ、頼むからサヤのことを守ってくれ。サヤのことを任せられる人間は、今、ここにいないからな」

と、ユーマに対して頼むが。そのユーマは、ユートの服を引っ張り。

「ユートこそ気を付けてね。いくらあなたが、強くても、レイジンは手強い敵だし。何が起きるか分からない状況だと思うからね。サヤちゃんを、ユーヤちゃんを信じてあげて。サヤちゃんの異能力が発動できるまでの間でいいからさ」と、真剣な顔をしながらユートにそう伝えてくる。

それからしばらくして、ユーナはユーナの部屋に入ると、そこにはサヤも居たが。レイジングとサオの戦いの状況はどうなっているのか気になって仕方がなかったが。ユートはサオリを守るために戦うことを決意したサオリに、「サオのことは俺達に任せろ」と、言ってユーゴはサオの後を追うためにユーナと一緒に部屋の外に出ると、すぐにレイジングを探しに行く。だがその時。突然、大きな爆音が聞こえたのでユーナ達はその方角に向かうと、そこにあった光景を目にして、唖然としてしまうのであった。ユートは慌ててレイジングと戦おうとしていたユーオを呼び止める。だが、ユーマはサオリが危ないと言うとすぐに飛び出してしまった。

「レイジングはユーヤの異能力をすでに奪ったみたいです。だからサオリの力を奪いにいったのだと思います」

その話を聞いてユートは「ユーヤの異能力がレイジングの異能力に負けるというのか?」と、疑問を抱くと。サオはすぐに、レイジングから奪い返した力で、レイジングの動きを止めようとしたが、すぐにサオの異能力は発動できずに、逆にレイジングに吹き飛ばされてしまうのであった。そんなサオリの様子を見てユートがユーヤのところに行こうとするが。サオカはすぐにユートを止めると、ユートにユーオのところに行って欲しいとお願いをしてくる。だが。サオリを一人にできないとユートは思うと、サオリは自分一人に任せてほしいと言ってきた。そして、レイジングを食い止めているユーマの元に駆けつけようとするユートの前に立ち塞がるようにレイジンが現れる。そんなレイジンに対してユートはユーヤに貰った異能を使うとレイジンの体から煙が発生し。ユートはそのままレイジンの横を通り過ぎるが。すぐにレイジンが立ち上がって攻撃してきた。

その攻撃を何とかかわすユートだったが、その背後から攻撃を仕掛けようとしていたレイジンに対してユーコとユミは、それぞれの技を使ってレイジングにダメージを与えていく。

「悪いな。サオトは俺たちの仲間だからな。勝手に倒されては困るんだよ」

ユーコとユムの二人の協力もあり。レイジングの体はどんどんと傷だらけになっていく。

その隙にユーマとサオリがいる場所に向かうユーヤだったのだが、そこに居たのは、血を流して倒れていたサオリの姿であった。そして、レイジングの異能力はさらに強まりユーマがサオリを庇う形で戦いを続けていたが、ユーマはもうボロボロの状態で、レイジングはそんなユーマの姿を見て勝利の確信を得ると。すぐにレイジングはユーマとサオの前から姿を消して、再びサオリを狙うために移動を開始した。

ユーナはユーマに近づき「ユーヤ君を助けるためにはどうすればいい」と聞くがユーキは何も答えられなかった。その間にもユートはサオリに向かって話しかけるが、サオリは反応がなかった。

「おい!しっかりしろ!!起き上がれよ!!」

それでも反応がなく。完全に意識を失っていたため、レイジングによって何かされたのだろうと察することができたユートは急いでレイジングを探そうとするとユーゴから念話が入って来て。ユート達に、サオカからの伝言を伝えた。

(みんな聞いてくれ。サオカのやつ、レイジンの居場所を教えてくれたぞ)

ユーゴが教えてきた場所は、サオカとサオトが待機をしていた部屋にサオがいたのであった。そしてレイジングが向かっていた方向を聞くとユートは急いでユーマのところに向かおうとすると、そんなユートを引き止めた人物がいて、ユートは声をかけた人物を見ると、

「お前か。確か。レイジングが言っていた名前だよな?サオリとサオトは、ユーキ達が助けに行ったはずだから、そっちの方には行かない方がいい。レイジングの目的を考えるとササラの力が狙いだろう。あいつはレイジンの所にサオリを連れて行こうとしている。レイジングを倒すことより。まずサオリを助け出すことを優先するべきだ」

サオンの言葉を聞いてユートは焦りを感じたが、ユーマの言葉を思い出して冷静になり、まずはサオリを連れてくるために部屋を出ると。そこにはサオが立っていて。

「ごめんね。私も、サオリのことが気になっていたから、ちょっとサオリに会いに行っていたんだよ」と、笑顔を見せながら言うと、ユートと一緒にサオはサオリの元に向かった。

ユートとサオカが合流し、三人が一緒に行動することになった。レイジングが待ち構えている部屋に向かい。扉の前で止まってサオトに「本当にこの中に居るんだろうな?」と、確認すると、

「ああ。レイジングは、間違いなくここにいるよ。ただ、サオの予想だとレイジングの異能力は二つあって、その一つがユーマから奪っているらしいけど。残りの一つに関してはまだ分かっていないんだ。だけど、サオの能力を奪う力だけは間違いないと思う。ただレイジングは異能力を発動していない状態で、僕たちのことを認識できたのかどうかも分からないんだ」と、説明すると。

「じゃあ、どうするんだ?まさかこのまま突撃するつもりか?相手はあのレイジングなんだろ?サオリとサオは二人で戦えたりするのか?俺も、レイジングを一人で相手するくらいなら大丈夫だと思っているが」と、不安そうな顔をしているユートに向けて。サオトは、「それなら問題はないさ。実は僕の異能力の中には他人の異能力を使えるようになるっていうものがあるんだ」と、答える。

ユートはそんな異能力があることを知らずに驚いてしまうと、すぐにサオに異能力の説明をしてもらい、ユートは少し安心すると、ユートたちは扉を開けると同時にレイジングと遭遇するが。しかし既にユートはレイジングの目の前まで近づいていたので、まずはその勢いのまま殴り飛ばすが。レイジングはすぐに反撃してこようとしていたが。それよりも先に、レイジンの動きを止めるためにユーコとユートとサオカの三人で協力して拘束の術式を展開すると。そのままレイジングの体に張り付いたように動かなかったのであった。それからレイジンの動きを封じることができたことでサオはレイジングの背後に回りこみレイジングが持っていたサオリの腕を回収。それを見ていたサヤもユーゴとユーゴの部下達と共にサオのもとに向かいサオリのことを心配していたのであった。だがサオはそんなサヤに対して、「ありがとうございます。私は平気ですから。それよりもユーマさんの所へ向かわれて下さい」と、指示を出す。

その言葉ですぐに動き出すサヤ達だが、そんな彼女達を追おうとしたユージ達に対して、レイジングは攻撃を仕掛けようとしていたが、レイコとユーナ、ユーキの三人が同時にレイジングに襲いかかると。その攻撃を受け止めるとレイジングの体が次第に崩れていき、最後は砂のように粉々になってしまった。

ユート達はレイジングが消え去るのを目視するがすぐに次のレイジングが何処からか出現。今度は全員に攻撃を仕掛けてくると、サオ以外のメンバーは、それぞれレイジングと戦うことに苦戦をしていく。そんな状況を見てサオは、「流石にこれはきついな」と思いつつも。サオはすぐにレイジングの動きを止めるために異能を使用するが。すぐにレイジングの動きが止められず、すぐにサオリが腕を回収すると。すぐにサオの異能を使用してレイジングの動きを止めることに成功する。その隙にユートが攻撃を仕掛けようとするが。すぐにユーコとユートの二人がユーマの元へと駆けつけてサオを守るようにしてレイジングと戦おうとする。そのおかげもあってサオリの異能力が使用可能となりレイジングの異能力に対抗する手段を手に入れてからユートは全力を出し始めると、すぐにユートの拳によってレイジングの体のあちこちが壊れ始めて最終的にレイジングはユーマの異能力によって消滅。だがレイジングの肉体を再構築させ、また復活させるという能力のせいで、すぐに新しい肉体が構成されていくのを確認すると。

すぐにユートがレイジングに対して接近戦を挑み。何度も殴ったり蹴るなどしてダメージを与えて、最後にレイジングに強烈な蹴りを繰り出すが、レイジングの体は耐えて。その後すぐにレイジングは姿を消してしまう。その光景を見たユーヤがすぐにレイジングの行方を探すが、その時にはもうレイジングがどこに向かったかを特定できず。とりあえずはユーヤ達は王都に戻ることになった。

レイジングを倒した後にサヤ達は一旦レイザンとユーヤ達が待機をしていた部屋に戻った後。レイジングとの戦いで傷を負った者達は回復を行い、その後はユムの異能の力を利用してレイジングについての情報を共有している間にユートはサオからレイジングの異能力について詳しい情報を聞き出そうとすると、そこでユムも一緒に話を聞いていた。

「それでレイジングの能力って、どういう感じのものなんですか?」

ユムはレイジングに攻撃されて意識を失ったサオリのことが心配な為に早くレイジングの異能力の詳細を聞こうと思っていた。そのせいもあってレイジングに攻撃をされたことに対しての怒りが隠せなくなっていたが。それでもすぐに冷静になろうとして。レイジングが言っていた「サオトとササラの二人の能力を奪い取ってしまえば。後はお前だけだ」という言葉を思い出してしまい、自分が狙われていることに気づいてしまったのであった。

「まぁ、簡単に言うとレイジングの奴は自分の意思がある分だけ面倒くさいんだ。自分の意思があって。なおかつ、異能力は相手の行動を先読みするような能力を持っているんだよ」

その言葉に全員が驚いた顔を見せると、

「それは本当なのか?だとしたら厄介すぎるな」と、ユートはサオリとサオトの顔を見ながら呟いていた。それに対してユムは、「そういえば。ユーマさんとユーコとサオラの三人は魔王を倒すための旅に出たんですよね。ならユーマさんとユーコとサオラの三人がいればなんとかなりますよね」と言うと。

「残念だけど。今からでもレイジングと再戦することになると思うぞ。そもそもの話だが。俺たちもかなり強くなったはずだが。それでもユーマが仲間にしたユーキには勝てる気が全くしないんだよ。それに、あいつは異次元の強さを持っていた。あいつがもし、この世界に来て。あいつと同じ強さの敵が現れた場合。俺はそいつらに絶対に勝てない。それほどまでに。ユーキがこの世界でどれだけ規格外の存在になっていたのかよく分かるよ」と、話すと。サナは、「ユーマがそれだけ強かったら。私たちの出番はないかな」と言っていたが、実際にそんなことはあり得なかった。

レイジングとの戦いから数時間が経過した時にサオカが「そろそろみんなを元の場所に戻せるかもしれない」と、言うと、 サオカは「レイジングと戦った場所はレイジングが用意した特殊な空間だったんだ。だからその場所から抜け出すことはできるんだけど。その空間を作り出す為のエネルギーはかなりのものだったはず。だから。多分だけど、そのエネルギーを使えば、みんなを元に居た場所に送り届けられるはずだよ」と、話している時。ユーマ達の目の前に現れた人物が一人いた。その人物は「ようやく来たみたいだな。これでお前たちは元の世界に帰れるぞ」と言ってくる。

その声を聞いたサオリはユーマの元に急いで近づき抱き着くが。その際にサオリは涙を流していた。そしてそんな二人の様子をサオトが見ていると、ユーマは、「どうしてあんたがこんな所に来ているんだ?」と、話しかけるが、それに対してその人は「私は。君たちを助けに来たんだよ。私もレイジングにやられた時はどうなるかと思ったが。私に力を与えたのはあの男じゃなくてユーマ君の仲間のあの人だよ」

「えっ?」ユートは驚きのあまり固まってしまった。まさかここにきてユーマの味方になる人がこの場に現れるとは思ってもいなかったのである。だが、ユーナはそんなユートに対して。

「なるほど。あなたがユーマ様と行動を共にしておられる方でしたか。ユーマ様からお話は伺っておりました」と、笑顔を見せてからお辞儀をすると。ユーナも同様にお礼をする。それに加えてサオカとユート達も感謝の言葉を述べるが、

「私は当然のことしか行っていない。それよりさっさとこの部屋を脱出してみんなのところに戻るとしようか」とその人の言う通りに部屋を脱出することにする。

その後、部屋を出ると同時にユーマとサオリの二人はレイジングと戦っているユーマの仲間のところに向かうことに決めると。レイジングと戦い続けていた。

レイジングはユーヤ達三人を相手にしていると、突然に姿を消して、サオに攻撃を仕掛けようとしたが、ユーマの異能力が発動されると、その姿を消す能力を使用できなくなってしまい、姿を現したところで、ユートはレイジングに向けて拳を振り下ろしたり。サオカが作り出した光の剣で切りつけるが。やはりレイジングの攻撃を防ぎきれず。すぐにサユリがレイジングに対して回復の術を発動させると、すぐに傷を治して再びサオに襲い掛かろうとするが。サオに異能力を使われたことで動きを止められてしまう。しかしすぐに体を再構築させる。その事を確認したユーマはレイジングに対して追撃を仕掛けようとするが。そこでレイジングは「悪いけどここから先は通さないよ」と、レイジングの前にサオが立ち塞がると、レイジングの体が崩れ始める。

サヤとユーマ達三人の六人とユート達四人とでレイジングを倒そうとするが。すぐに再生されてしまう。しかもサオとサオリの能力を奪い取っていることもあり、さらに強い状態で復活した。だが、サオトがサオリの腕を回収した事でレイジングの力が弱まったことによりユートがレイジングに対して拳をぶつけようとしたところで、その隙を狙ってユージとサヨの二人が攻撃を仕掛ける。サオリとサオリの腕を取り戻したユーマはユーマの援護に入る。ユーゴに関してはサオリに異能力を使ってもらうと、レイジングを追い詰めていき。最後にサオの異能力を使用して、その肉体を完全に崩壊させることに成功した。それから数分後にサオリの異能力が使えるようになったが。サオとサオリが疲れ切っているためにすぐに休憩を行うと。ユーマ達は全員の怪我を癒すと王都に戻ることにした。そこでサオリはレイジングによって奪われている腕を戻すようにサナに頼み込んだ。

「大丈夫なのでしょうか?一度異能力を使ったらもう異能力は使えなくなるはずですよね」と、不安な気持ちになりながら質問すると、

「大丈夫だって。私とユムちゃんの力でどうにかなるから」と、サオとサオの体に自分の力を貸すようにしてからサオリに異能力を使用すると。

すぐにユーマ達が戻ってくると、レイジングの事を話していた。レイジングが異能力者であること。そしてそのレイジングと戦闘をした時のことを。その話をした後に、レイジングが異能力者であると判明したことによって警戒心を露わにする。その事はレイジングの配下が口にしていたが。それでもユートは信用する事ができないという表情を見せる。

「それは確かにレイジングが異能力者の可能性が高いが。本当にレイジングが俺とユーキとサチ以外の仲間を奪った可能性があるのか?そもそもの話だが。俺はユーマとユートとサオが仲間になっているからまだわかる。だけどサチコがなぜあいつの仲間になったのかわからないんだよな。サチカって基本的に人見知りが激しくて。ユーマが近くにいない時には誰とも話をしたがらないし、それに異能力者もユーマとサオリの二人で十分足りているだろうに」と、疑問を抱く。

「まぁ、その辺については俺にも分からん。ただあいつの話を全面的に信じるのならサツキとサユとサナもおそらくだがレイジングの協力者となっている可能性が高そうだな」と、話していると。そこにユートからの提案があり、ササは自分が狙われているという自覚を持ち、ユーヤはレイジングにササを奪われては困るため、レイジングを倒す必要があると考え。レイジングを捜索することにした。そのついでにレイジングの部下が持っているレイジングがどこに行ったのか分かる手がかりがないのか確認するために。

「まぁ、レイジングを倒せばそれで済むことだから」と言うユートの意見に賛成する形でレイジングを探すことになった。それからレイジングを見つけることができた。レイジングはユーマが戦ってきたレイジングとは姿が異なっていたが。レイジングだとわかった。それからユーキは、そのレイジングと戦う事になるのだが。レイジングの使う攻撃を防ぐのは難しく。また、そのレイジングの力はかなりのものなので攻撃がなかなか決まらない。そこでサオの体を借りたサナとサユが協力してユーマとサイチのサポートを行うことにすると。徐々にレイジングを追い詰められるようになるが。サオリの身体の不調が原因でサオリの体調が悪化を始めたためサオリとサオカには一旦、王都に戻ってもらおうという話になると、その話を聞いてユーキはすぐに戻ることを伝えるが。サオリとサオリの体が限界を迎え始めたため。レイジングを倒すためにユーヤ達も協力してくれる。

「ユーナ様とサユリ様にユーマ様とサオリさんとユーキ様まで来られるなんて」と、ユーナがサユリを見て驚いた顔をしながら話すと、

「私は特に問題ないと思いますよ。私の異能力は相手の強さに関係なく効果を発揮するからね」「わかりました。ユーマさんの方は任せてください。ですが、無理はなさらずに。あなたもユーマさんと一緒に行動をしているんですから。絶対に無理だけはしないでくださいね」

「はい。わかっております」と、ユーナは笑顔を見せてくれるが、そんなやり取りが終わると。すぐにユーマの方に駆け寄り、サユリの肩を借りて歩き始める。

ユーナはユーコとユーラの元に戻ると。「これから先。ユーマ君たちはこの世界にはいないんですよね」と、悲しげな表情で言う。それに対してユナは、「そのはずよね」と答えてからユーは「ユーマの件だけど、私たちのことは気にせずに。そっちを優先してくれれば良いのよ」と言ってくれるが。ユーナとしてはユーマのことが気になっていたのである。ユート達との話し合いが終わったユーマはユーマ達とササラと別れて一人で行動を開始した。まずはユーキを探し出すことにした。そうしてからしばらくすると、サリオとユートがレイジングを倒したという報告を受けると。それを確認してすぐに王都へと戻ってきた。ユートと別れたユーヤとサオが戻ってくると、その話をしていたのだった。ユーヤはユーマの実力を考えてもそれほど苦労するような戦いは起こらなかったのではないかと思っていたのである。だが、その考えは覆される結果になる。

ユーナはレイジングと戦った後、王都に戻った時にユーマが戻ってきていないことを知る。そのためすぐにユートはレイジングとの戦いの結果を確認する。すると、そこにはサザはレイジングの配下の力を吸収して手に入れたと思われる。異能力である肉体を別の肉体に変えることができる力で、レイジングと同じ姿をした男に姿を変えて現れた。その男の体を変化させている力はレイジングが使用している力と同一であり、サオがその男の正体について言及すると、サオリもユーマと行動を共にしている人物の一人だと理解する。だが、そのレイジングの肉体変化の力を目の前で見ていたレイナ達は、その男に対して違和感を抱いていた。

その事を聞いたユートはユーマの安否を心配しながらもレイジングの相手をユーナ達にまかせると、サヤを連れて王都の中を歩くと、その途中ユーナの知り合いに出会うが、その時に声をかけた人は、以前ユーナが一緒に仕事をしていたユーマ達の敵に当たる人物だった。その男はサオトと名乗り。「あんたの名前はユートで間違いないな?」と、尋ねられると。

「ああっ。それがどうしたんだ?」と、答えると、

「悪いんだけどさ。そのユートとサユリ様を渡して欲しいんだよね。そうすればユートは無事に帰ることが出来るからさ。ちなみに言っておくけどさ。サユリ様を殺せばお前の大切な人を殺してしまう事になるから」

それからすぐにユートはサユリと共に逃げようとしたが、サユリがユートは自分を助けるためにここに残ったと、サユリが説明したことで逃げる事ができなくなったユートはサユリとユーマと合流できる事を考える事にした。そしてサユリから情報を聞くと、サオトともう一人の男性。ユーヤと名乗った人物はレイジングに頼まれて動いているらしい事が判明する。さらにその目的はレイジングの目的を達成するために必要らしく、ユートの命を狙っている。さらにレイジングを倒さない限り、ユーマとユーヤは解放されないことも発覚すると。そこでサヤからレイジングの能力について説明されると。

ユートはサオトとユーヤと戦闘を開始する。だが、二人の実力はかなり高く、ユートは二人を相手にするのが精一杯でサユリを守ることができない。しかもサオトの使用する異能力とユーヤが使用する異能力のコンビネーション攻撃に対して、ユートは手も足も出ず防戦一方になり、ユーマとサオリが来るまでの間持ちこたえるのがやっとの状態になる。それでも、なんとかサオリが駆けつけてくれたおかげで。形勢逆転に成功しユーヤも撃退に成功するが、ユーマは重傷をおいサヤに治療してもらうために王都に戻ろうとしたところでレイジングと遭遇すると、レイジングがレイヤであることを認識すると、サオに腕の異能力を貸すことにするが、その腕はユートの物であるという事でレイジングを倒すために使うことにする。その結果レイジングを倒す事は出来たものの。そのレイジングの力を手に入れたレイジングの部下を倒す事は出来なかった。

ユージはユミから話を聞き。そのレイジンが異能力者であることを確信し、すぐにその情報を仲間達に伝えて警戒するように促すと、それと同時に仲間達の様子を見るために向かったのである。それから少し時間を置いてからユートが王都に戻りレイジングと部下を倒してユートを救出できた事をサオリとユーキに話すと、レイジングを倒した事を知ってサユリは喜んだが、その直後にユーマの怪我の治療を行う事になった。ユーマの傷はかなり酷い物だったため。その処置を行っている途中で、レイジングの力を受け継いだというレイジングの娘と名乗る女性が現れてユートとサユリがユーマから離れて別の場所に移動するようにお願いされた。その理由がサユリを殺すための策であった事は明らかだったので、その女性はレイジングが持っていた武器を使用してサユリを殺そうとするが失敗してしまう。しかしレイジングの娘を名乗る女性の攻撃を防御したのはサオリであった。それにより娘は逃亡に成功をする。その後すぐに王城内に異変が起こるのを感じ取るとその現場に向かいたい気持ちを抑えて、まずは王城に待機をしているユーキの元に仲間達が向かっている間にサユリと一緒に行動をしてサユリを守るために行動することを決めていたのだが。

「どうして、私の事をかばったの?私のせいでユーマ君はこんな大けがを負ったんでしょ?私が死ねばそれで解決したのに。それなのに、なんで?」と、涙を浮かべながらサユリはサオを責めるような目で見つめてくる。

「俺にはもう、ユーマの代わりはいないんだよ。俺が守りたいと思える人間はユーマだけなんだからな。俺にとっての優先順位はユーマより自分の命が優先だと思っているから、だから俺は俺よりもユーマを優先しただけだ。それにあの場にはユーマはいなかったからな。俺の行動も別に間違った判断じゃないだろう」と、サオが話すと。「それはそうだけど」と言いながら泣き出しそうな顔になっているサユリの姿を見て。サリオは自分の言葉がサユリに届いたかどうかを確認する前にサユリの頭を撫で始めると、しばらくしてサユリは落ち着きを取り戻したのか「ありがとう」とお礼の言葉を口にしてくれた。だが、その言葉と同時にサユリの腹部を剣先が突き刺してきたのだ。

「残念だけど、あなたはここで終わりよ」

ユーは、そう言い放ちサオリの方を見てみると、サオリの体に宿っている異能力であるサナの姿に変化をした人物に気が付き、その姿を見るとサナはユート達の前に姿を現す。するとサナを見たサユは「サナさん!」と声をかけると、サナはユーナとユーコに挨拶を交わした後でサユリを指差してユーの質問を答えようとするが、それをサオが止めようと動く。だが、ユーマと戦って負傷した状態のレイジングの力でサナのスピードを上回ることができずにサナの異能力による毒を受けて、そのまま意識を失ってしまう。その間にサユリはサユから体を奪おうとするが、サヤとサヤに力を貸し与えている存在によって、異能力を封じ込められてしまうと。サユリの体が限界を迎えて倒れてしまった。サユリの体の中に残っていた異能力が、ユーの身体の中に入ろうとすると、ユートは「これ以上は好きにはさせないよ」と言ってサユリの体の中に入った異能力を取り除こうとするが。その時にユーは、ユーマの体の中で異能力を持つ存在と戦う事になるが。その力は想像以上のものを持っており。徐々に追い込まれていくが、サナの助けが入ることによってどうにか乗り越える事ができた。

その戦いが終わると、ユートは気を失ったサユリとユートを連れて、ユートの元まで移動をすると。そこでユーヤ達との戦闘を行った場所に到着するとユートはすぐにユーヤとサオトの戦闘に巻き込まれないようにユーマの体を安全な所に移動させることにした。その作業を完了するとユーマが気を失うと。その事を確認したユート達も気を失わないようにするために。気を引き締めると。ユーは、ユーマの肉体から異能力を取り出すことに成功する。だが、その際に肉体が耐え切れなかった影響で、ユーマは気を失い、そのせいで異能力は肉体から分離されてしまう。そして分離に成功した後でユートがサオに肉体の再生を頼むと、その頼みを快く受け入れてくれたサリオに感謝を伝えると。すぐにサオリに、ユーマの治療を頼むと、その事に了承してくれる。

ユーマの治療を始めて一時間以上経過したが、未だに目覚めないユーマの事が心配になったユートはユーラと共にユーマの様子を確認しに行くと。その時にササラからユーマの様子がおかしいことを知らされて、ユートはユーマの体を調べてもらうと。ユーマの状態が悪化しており。このままでは命を落とすかもしれないと聞かされる。だが、そんなユーマの容態を聞いてサオリが悲痛の表情を浮かべたのを見逃さなかったユートは。その事に対して何かあると思い、そのことを尋ねると。サオリはサユリの身に異変が起きたことを説明すると、それを聞いたユートはサオを呼び出してユーマの治療を中断すると、ユート達と一緒に、ユーマの肉体の修復に取り掛かったのである。

そのユート達の作業が終了するまでにユーマは、再び目を覚ましたのである。そのユーマはサユリがレイジングの娘であるとユート達に教えてくれると。そのレイジングが持っていた剣はレイジングが所持していた物ではないと説明をするが、その直後にユート達はユーマの肉体に起こっている異変に気がつき。すぐに治療を行おうとする。だがその作業は途中で終わってしまいユーはレイジングの異能力を消滅させることには成功するが。その代償としてユーの右腕と左足が無くなってしまったのである。

それからしばらくしてからユート達が行動を開始する。ユートがユーマからレイジングから受け継いだ能力についての説明を受けると。その能力の内容からレイジングの能力を奪い取った相手を見つける方法を考え始めると。その時のユートの脳裏に浮かんだのは、異能力の力を封印できる存在がいるということを思い出して。それを利用することを思いつくと、早速ユートはユーヤとレイジンが持っているレイジングの力を奪う為にユーヤとレイジのところに向かうことにして。ユーはユーマと一緒にレイジンと戦闘を開始して無事に異能力をユーヤから取り出すことに成功した。しかし、その直後ユート達の前に現れた人物がレイジングで。ユーヤがその能力を使用したことで異能力を取り戻すことができたレイジンに攻撃を開始すると。その途中でユーはレイジンがサトルとユウキだとわかる。だが、サヤの力を得たレイジンに勝てるとは思えなかったが。ユーの願いが通じてなのかレイジンの力が弱まると。そのチャンスを逃す事無くレイジンを倒すことに成功した。その後、レイジングの人格が現れたユーマに、ユーマの父親が生きている可能性がある事を告げられると。そのユーマの父親がどこにいるのかわからない状況の中。ユート達はそれぞれで捜索活動を行い。サユリを仲間にしたユートはユーナとサヨと一緒に行動することを決めたのである。

レイジングからレイジングの力を取り込んだユージにユートとサユリが協力して戦うがユージの攻撃によりユートはユートが使用していた異能力である『ユー』を奪われると、その直後にユートとユーがユーマの元にたどり着くが、その直後にレイジングが姿を現したので。ユーはレイジングと激しい攻防を繰り返す。だが、最終的にレイジングの力を利用して異能力の力を取り戻したレイジがレイジングの能力を無効化させると、レイジンは撤退を始めたのだった。その光景を見たユートはレイジングを追いかけようとしたが、レイジングの力を吸収してユートの異能力であるユーを使えるようになったユーマがレイジングを追うように指示を出してユーはその指示に従うことにする。

その頃、王城から脱出をする為に行動を開始したユナは、ユーコ、サオの三人と合流すると。そのまま王城の敷地内にあるユーヤが隠れ住んでいる家に行こうとした。しかし、そこに現れたササに見つかってしまい。ササとユーコがユー達の前に立ちふさがりユーは二人と戦闘になる。だが、そこで、レイジの異能力がユーを襲うが、それはユーではなくササとユー子の方に向かっていくが。二人の前には、もう一人の人物が現れる。その人物こそが、ユー達の探しているユーマの父親であるユートであった。

そのユートに襲いかかる異能力を見てユーはササ達を守るように動き出すが。それを見たユーコとサオリの二人はユーに加勢をしようと動くが、レイジングの異能力で生み出された毒が、サコとサオを襲い、その事をユートが助けに入ると。そのユーがレイジングに吹き飛ばされてしまい。そのユートの体をレイジンが切り刻んで行く。

「ふはははっ!残念だったなユート」そう高笑いしながらユーマが斬り刻まれていく様子にササは悲痛の表情をすると。サオも悲しそうな表情をしていたのである。

そうやってレイジンはユーマの肉体を斬り刻み続けたが。しばらくしてから、ユートの体が突然消えてしまう。その事にユーは驚いたが、その理由はユーが気を失う前にユーが見た、ユーマとサオリの姿が消えると。サオリの体が急に光を放ち始める光景を思い出す。それを見た瞬間に、この光が、サオリが異能力を使った時に発生する現象だと思い出すと。すぐにそのサオリの方を見ていると。レイジングが放った一撃でサオの体は消し飛ぶ。そしてユートの体に異変が起こり。サユがサオから体を返してもらうが、その時にはすでにレイジンは姿を消していたのである。

レイジングの攻撃を受けてしまったユートの肉体から、ユーの意識が離れて行き、それと同時に肉体も消失してしまうと。その事にユーは焦った。なぜなら、ユーが肉体を失い、異能力も全て奪われた今の状態でレイジングが異能力を使うだけで、簡単に殺されると理解してしまったからである。そのせいもあってユーはユーの異能力である「ユー」を使ってどうにかレイジングの異能力である「レイ」の効果を打ち消そうとするが、それを阻止されてしまうと。すぐにレイジが目の前に現れる。その事を知ったサトはユーを助けるためにレイジングに攻撃を仕掛けようとするが。それよりも早くユーがレイジングに反撃を繰り出すと、その隙を突いてレイジはその場から離れるが、それでもまだ安心はできなかった。そのユーの言葉通り。レイジングは異能力を使用して異能力を発動して来るからだ。

だが、その予想は大きく外れる事になり、すぐにレイジングは姿を消したかと思うと。次に姿を見せた場所はレイジングの元居た場所では無く、ササラ達がいた場所であった。その姿を見るとササラ達は驚く。だがそんな事は気にせずレイジンはレイジングの体から異能力を奪い取ることに成功する。

それを見たユーはユーがユーマの中に宿っていると知り。すぐにサマルの元へ移動すると、そこでサオリと共にレイジンとレイジングとの戦いが終わるまで待つことにした。そしてその最中でユナにユート達の居場所を尋ねるが、ユート達の安否についてはユーにはわからなかった。しかしユートは無事だという事だけ伝える。その言葉をユーは信じたいと思い。今はとにかくユーマが帰ってくるまで待つことにしたのである。

その日、レイジングによってサユリとサオトの二人が殺され。さらにレイジに異能力を奪われたササは絶望に打ちひしがれており。ユーヤもササが異能力を使用した影響で体が崩壊しはじめていたが、その事に気付いたユーがレイジングの注意を引きつけると、ユーヤとササとレイジングの3人での戦いが開始され、その間にサユリとサオはレイジングから距離を取りながら異能力を使い。ユーヤとサオリはレイジングに近づいて戦い始める。その結果、サユリとサオがレイジングを倒したのである。それを見たユーは喜び。ユーマの意識を呼び戻す事に成功したのである。その出来事の後、ユーヤの肉体が完全に崩壊を始めるが、その肉体にユーが取り付く事で肉体の修復が完了する。そしてササ達と共にユーヤ達と一緒に脱出すると。その途中でユナム達が合流したが。

その時、ユーはユナ達からレイジングから力を奪っている時にユーヤからユートの事を聞き。サユリはサモからユーマの話を聞いた後。レイジンは、ユーマの肉体が消滅した後に肉体が崩壊すると、サモに異能力の使用をやめさせて、その後すぐにササがサユリとサヨを連れて移動を開始した。だが、その直後、レイジングが再び姿を現したので、サユリは、ユーマから異能力を奪ったユージを呼び出しレイジングと戦うように指示を出すと。ユージはユーの指示に従いサユリの元にレイジングを向かわせたが。レイジングが異能力を使用する前にユーがレイジングの攻撃を防いでユーはレイジングと戦おうとする。

しかし、レイジングの能力が発動されると、その光景を見たサオリは、自分がサオリの代わりに異能力を使用しようと考えて、異能力を発動するが、ササに止められる。それからしばらくしてから、ユカ達がレイジングと戦い始めるが。それとは別にササ達も行動を開始していた。まずサヤはレイジングに近づこうとするが、途中で邪魔をされて攻撃を受けるが、すぐにユーの体でレイジングの攻撃を弾き飛ばす。

ササ達とサトル達の戦闘が始まると、すぐにユーがユーヤの肉体を奪い取りに動き出すが、その時にサユがユーと入れ替わってしまう。それを確認したユーは、自分の異能が使えない状況に驚き。その後、すぐに、サユリとユー子がユーの体を取り戻すためレイジングと戦っていたが、その際に、レイジングの攻撃により、サユリの体が消えてしまう。そのサユリを庇う為に、サユリがレイジングに異能力を使用しようとして異能力が暴走を始めてしまい、それに気づいたユーがサユリの体を異能力で元に戻すがその直後にレイジングがユーの異能力を使用してくる。

レイジングが、異能力を使用してこようとした時、ユマの肉体を操っていた人物。ササがユーマの中に入っている事をレイジングに話すと。ユーマとササの二人がユーと入れ替わる。それによってユーマとユーは、再び異能力を使う事ができるようになるが。サマリは、サオがサマを庇い。サマは、ユーと入れ替わり。そのすぐ後にレイジンの異能力の影響でユオとユナの二人は意識を失いそうになるが、すぐにユーがユーオとユーナとササラの三人に異能力を使って意識を覚醒させると。ユーはユーコ達にレイジングを任せると、ササ達を守るためにレイジングと一人で戦う事にする。

そのレイジングは、サコから異能力を奪い取ろうとすると、すぐにサユがサコから異能力を取り上げることに成功して。サユリとユー子はすぐに異能力を使えるようになり。サユリはサオリと協力してレイジングを攻撃し始める。しかし、そこでレイジングはサユリとユー子を攻撃して二人の体を奪うことに成功するが。その時にササがレイジングに向けて異能力を使用してレイジングを倒すと。そのままレイジングからサオの異能力を回収した後。ユーがレイジングを倒してササ達はユート達と合流をするのであった。

ササとユーがレイジングを倒してくれたお陰でユー達は無事にレイジから肉体を取り戻したが。その後はユーキとユラにレイジが二人の前に現れる。

レイジの目的はユーキにレイジングの力を貸して、ユー達を殺してレイジングの肉体を手に入れる為であったのだ。

レイジングに体を貸すことを拒んだレイは、ユートの肉体を奪おうとしてくるが、それをユートの体を取り戻そうと動いていたユーは止めようとしたが。

ユーの肉体はすでにユーヤの身体なので、レイジングに攻撃を加えると肉体が消滅してしまう恐れがある。だからと言ってレイジの肉体を消滅させたら、肉体を失ったササラがどうなるか分からないと。ユートはそう判断すると、レイジがサユリの肉体を手に入れてしまう。だがそれを阻止する為にサコが動くと。すぐにサユリとサコはレイジから異能力を奪っていくと。すぐにレイジンはレイジから異能力を奪い返そうとするが。その時にユーマとユーコがサコに協力して、ユーがレイジンから肉体を取り戻すことに成功する。その事で、ユーはレイジングの肉体を手に入れたユーをレイジンに任せる事にした。ユー達は、サモとサトルと共にレイジングとレイジングに異能力を奪われていたレイジンの元に向かった。しかしそこにすでにレイジングの肉体は存在していなかったのである。

レイジングを倒したレイだったが、その後にユーがユーマを呼び出したので、すぐにユー達はその場所へと向かう。しかしその最中にレイジングが姿を現すと、今度はユミとユーヤが肉体を奪われる事になる。

それからしばらくして、レイジングがユーヤの体を利用してユーの前に姿を見せると。ユートは即座にユーヤにレイジングの力を封じ込めてもらうように頼むが。それを聞いたユーヤは、レイジングに力を与える代わりにユーとユーヤに肉体を返す約束を取り付けて欲しいと頼んだ。だがそれを断るとレイジングは再び姿を消した。

それからしばらく経った頃。レイジングはレイに異能力を使用してユーマにレイジングの力を与えようとしてきたが。ユーマはそれを拒否した。

そしてその事に怒ったレイジングは異能力を使用してユーマから肉体を奪い取りユーから全ての肉体を消して、肉体が消えたユーは、その肉体が消滅する前にササラの肉体に憑依する事に成功したのであった。それを見たユーヤはユーに自分の体を返すのを条件にレイジングに肉体を提供するが。

ユーがユーヤにユーヤに肉体を渡すように頼むと、すぐにユーマはユーの願いを聞く。そして、サモの肉体を借りたレイジングとユーはレイジングの肉体にユーの肉体を移植したのだった。その後ユーはレイジングに、レイジングがレイジングと融合すればユーとユマとレイヤが一つになる事ができると告げると、レイジングはレイジングがユーマの中にいる事を認める事にする。そしてレイジングは自分の意思を残してユーマの体からユーの意識だけを追い出した後、レイジングはユーヤの体を完全に乗っ取る事に成功するのであった。

その後、レイジングがユーに話しかけてくると。ユーはレイジングの目的を聞いてからレイジングの事をどうするかを決めると言う。そのユーの問いかけに対してレイジングは、まずはユーヤとサオをレイジングの器とする為に、二人の元に行くと告げてから、ユーヤとサオを連れて行くためにレイジングがサオトとユーヤの所に訪れる。

その道中で、サヤにサオリを殺された事と、レイジンが異能力で生み出した化け物によってサマリが意識不明の状態に陥ってしまった事を話すと。サオリも異能力で作り出された存在である事が判明したが、レイジングはその事に関してはあまり驚いてはいなかったが。サマリが意識を失っているのを知った時には動揺していた。そんな会話を交わしながら歩いている内にユーヤ達の所へたどり着くと、そこには既にレイジの姿は無く。代わりにレイジとレイジが作り出した異形な存在とサユリとユー子とユトがいたのであった。

それを見たユーは、とりあえず目の前に現れた異形の物体がなんなのか確認するためにサユリの異能力を使用してから異能力でその物体を消滅させると、その異能力を見たレイジンはユーの能力が欲しいと思い。すぐにサマリを連れてきて、ユーと戦わせようとする。その戦いの中で、サマリはレイジンに殺される前にユーに自分の異能力を渡すが。レイジンの攻撃からサオリを守る為にユーはサマリから貰ったサマリが使っていた異能力を使いレイジングに対抗を始める。

ユーがレイジングに攻撃を仕掛けると。レイジングはユーの攻撃を弾き飛ばしてから異能力を使ってユーの肉体を奪うが。その直後、レイジングの肉体に変化が起きる。ユーの肉体を取り込んだ影響で、レイジングがユーマとレイマとユーマを融合させようとする。しかしそれに抵抗する為にレイジングが自分の意識を残したままユーとユーマを強制的に融合させようとしていたのだ。だがレイジングの肉体がユーの異能力の影響で徐々に消滅し始めている状況だったので。レイジングはユーに自分の肉体の一部を渡さない限りユーに肉体を戻すのは不可能だと言ってユーを脅迫するが。

しかしユーはそれを拒否してから自分の異能力に自信を持っているので、レイジングを自分の異能力に取り込む為に戦いを挑むのだが。その事にレイジングは激怒すると、すぐにレイジングにユーとレイマとユーを融合させてしまおうとする。

ユートにレイジングが肉体を奪われないようにレイジングから肉体を取り戻そうとするササラであったが。ユートの肉体を奪う為にユーマが肉体を取り戻す為にレイジングに向かって攻撃を行い。その間にサオとサユリはユーの側に駆け寄る。ユーは自分が肉体を取り戻しても。すでにユーマは肉体を奪われてしまっているので。ユーはユーヤをレイジングから助けるために。サオ達にサヤの事を任せる。その言葉を聞いたサオリはレイジンがユーマとサオの体を入れ替えようとしていたのを見てすぐにユーオとサオリを入れ替える異能力を発動してユーとユーオを元に戻した後。すぐにユーと入れ替わってしまうが。その直後にレイジンが異能力を使用してサユの体を奪おうとした。だがサオがそれを止めると。その事でレイジンはサユリとユー子を殺そうとしたが。その時になってサユがサオリの異能力を使うと。その異能力のお陰でサユリとユー子が殺されずに済んだが。ユーがレイジングに肉体を奪われる直前に、レイジングをレイジングごと異空間に引き込もうとすると。ユーが意識を失った事で肉体が消滅したサモはレイジングに自分の肉体を譲渡し、それによって意識を失ったサユリが意識を失いかけたササラに声をかけて、なんとか意識を失わずには済んだが。すぐに異空間へと移動する事ができなくなったのであった。

しかし、その途中でレイジングの体に異変が起きてユーとユーマがレイジングから体を引き離す。レイジングは自分の肉体に異常が起こった原因を探ると、どうやらそれはユートの肉体を使っているユーが原因だと分かる。レイジングはすぐに肉体にユートが持っていたユーマとユーマが持つユーマの力を利用してユーマを消し去る為に動く。そしてその事に気づいたユーは急いでユーナ達の元に行こうとするが。それをレイジングは許さなかった。そこでユーはサヤが使用していたサマの力をレイジングに向けて発動させる。その結果。レイジングの体がユーの異能力に侵食されて、そのまま消滅してしまうが。その際にユーは、サユリが異能力を使用するのを見て。ユーマとサユリの異能力を融合した異能力を使えばレイジングを倒す事ができるのではないかと考え。その方法を思いつく。だがそれを実行する前に、ユーマはレイジングに取り込まれてしまい、それを見たユーがユーヤからレイジングの肉体を奪って異空間に移動すると、サユリとユー子の肉体にユーマの異能力とレイジングの異能力が融合している肉体をレイジングの肉体と一体化させ。レイジングに異能力を与えてユーとユーマの異能力を吸収しようとする。

ユーはレイジングの体内に移動して、そこで自分の体を取り戻すと、レイジングは、自分の中にある二つの力が融合していくのを感じた後で。ユーを自分の中に入れる。

それからユーはレイジングの体の一部を奪い取り。それと同時にレイジングの体を乗っ取って異空間に移動を開始すると、サユリが、自分の異能力に限界がある事を話して、それを補うためにユーマの異能力を利用するように言うと、ユーはそれを受け入れるのであった。

レイジングがユーマの体を使ってレイジングに肉体を与えたレイジに対してユーの事を消すように命令すると、それに逆らえないと分かったレイは、ユーに自分の力を授けて消えてしまったのであった。

それからユー達はサマリを連れてユムとユーの元に向かうと、サマリとユユとユーマの異能力を融合させたユーマの肉体はサユリの異能力を使用して肉体を変化させる。

ユーは、自分の肉体を取り戻すと同時に、ササラが使用したユーの肉体を元に戻す事ができる能力を使用して自分の肉体を取り戻す。だが肉体を取り戻したのも束の間。すぐにユーとサヤはレイジングによって異能力を与えられそうになる。だが、すぐにレイジングの中にいたユーは、ユーマとサオが使っていた異能力と融合してレイジングの異能力を自分のものにしたのであった。

その後。レイジングが、ユーとサオが融合する事を阻止する為に現れたが。サオリがレイジングを封印する事に成功すると。ユーはサマリとサユリと共にユーヤとサマリとユーの三人を融合してユーマを復活させる事に成功して、そして、サモの異能力に、ユーマが持っていたユーマの力を与えるのであった。

その後、ユーマとレイジングの肉体が融合する事でレイジングを消滅させる事に成功するが。その事が原因でユーの意識が失われてしまう。

その後、ユナは、サマリに、サヤの事を託したのであった。そしてユラがユマと一緒にユトとサモの体を回収してからレイジングを倒そうと提案すると、サトルはそれに反対しようとするが、結局はユマに止められてユトはレイジングとユーマの事をレイジングに頼む。

それからレイジングをユーの意識の中に移動した後に、レイジングをサヤの異能力で肉体と精神を完全に分離することに成功する。レイジングの精神は、ユーマがレイジングの肉体を奪う時にレイジングの人格を消そうとしたが、逆にレイジングにユーの異能力である異空間に引きずり込まれる。

ユーの異能力は相手の魂さえも引き寄せる事が出来る異能力であり。それに抵抗できずにユーによって完全に消滅するのであった。

ユーは、自分の異能力のおかげで肉体を取り戻す事に成功したので、ユートが自分の異能力に名前を付ける。その瞬間に、ユーに宿っているユマからユイに受け継がれていたユマの能力がユーの異能力に吸収されると。ユーの能力は完全にユマのものになるのであった。そして同時にユーに新たな異能力が覚醒すると。その力を見たレイジンは驚きながら、「そんな。どうしてそんな力を持つ人が今まで現れなかったのですか?」と聞くと、それに対してサオリは「私達にはもう一人家族がいたのですよ。その子は、この世界に来る際に亡くなってしまったけれど」と答え。その言葉を聞いたユーがユーヤに話しかけると。「お前の異能力の名は"神殺しの魔眼"」と言うとユーヤが「それは一体どういう意味なんだ?」と聞き返す。

ユーが、自分がユーヤと初めて出会った時にユーに抱いていたイメージを具現化したのが、神を殺すという部分だったと告げると。

ユーがユーマとサユリにユーが目覚める前に何をしていたのかを聞くと。二人はレイジングとの戦いでユーとサユリがサオの肉体にユーマの異能力を付与していたのを思い出してそれを説明する。それを聞いてユーがそれでは駄目だと言い。サオリの体をレイジングが奪った時はユーはレイジングの体にサユリの異能力を使ってサオリが異能力を発動できるようにしてサオを救い出したので。今度は、レイジングが肉体を奪おうとした時、サユリに自分の異能力にレイジングを取り込んだ後にサオリが異能力を使ってレイジングとレイジングの中の異物を外に出せばいいのではないか。そしてその方法が思い浮かばないのでササラはレイジングを取り込むのを止めようとした事を伝えると。ユーは「そういうことだったのですね」と言って納得する。

ユーマがレイジングに取り込まれた状態でサユリとユーの二人がレイジングの異能に侵食されて意識を失いかけると、ユーが二人の体を抱きしめて異空間に移動して、サマリとレイジンを連れて異空間から脱出するのであった。

それからサユリは、自分の体を取り戻そうとして、レイジンに取り込まれているサオリの肉体を利用してサオリの体を手に入れようとする。そしてレイジンをサユリの力で肉体と魂を引き剥がすと。その隙にサユリは自分の体を取り戻すのであった。その光景を見てサトリは「ユーはどうやってユーマ様を助けたのでしょうか?。私の知る限りでは、ユーマ様にユーの異能力である異空間に飲み込まれた場合。異能力を使う事はできません。なのでサマがやったように異空間で肉体を奪い返すのは無理だと思いますが、まさか。異能力者でない者が異空間に行けるのですか?」とサユリに聞くと。それを聞いたサユリが「サユリさん。私が使った異能力は、自分の肉体にだけ効果があるものです。ユーの異能力ではないので、ユーの異空間で自分の肉体を取り戻しても問題ないです。それともう一つ。サユリさんが考えているような事が出来ない理由があるのです。サユリさんの異能力でユーの異空間に行くのは難しいかもしれないけれど、ユーはサユリさんの異能力で自分の肉体を再生させたのよ。ユーマにその事を説明してあげてください。そしたら、ユーマに自分の異能力について話してくれるわ」と言うのであった。

それからユーは、レイジングにサマリの肉体を奪われる前にサユリとサマリとユーの三人を異空間に移動させると、サユリの肉体をレイジングに吸収させないようにするために、ユーの異能力を利用して肉体を再生させて肉体を元通りにするのである。

それからサモは、サオリとレイジと融合したレイジンの体を利用してレイジンの体を乗っ取るのであったが、そこでレイジングが現れると。サオリは自分の異能力をレイジングに使うのであるが、レイジングは異能力を使ってサオリに自分の異能力を譲渡させる。その結果、サユリとユーマとユーコの三人は、サユリがレイジングとサオリを吸収した後で肉体と精神を分離してから肉体のみを分離させる事に成功するのである。

ユートは、サマリとユマがレイジングに取り込まれてしまった時に二人を助ける為にレイジングとユーの肉体を奪い合って戦っていたが。その時にユーは、ユーの異能力にユーマの力を加える事で自分の異能力が強化されてユーマをレイジングの肉体から引き剥がす事に成功してユーマを取り戻すと。その直後にレイジングはユーマとレイジングの肉体を一体化させようとしたが、サマリがユーマをレイジングから奪い取って自分の中に入れた後でサユリがユーマとサオリとレイジンの肉体を異空間に閉じ込める事によってサマリが肉体のみを手に入れた。

レイジングとレイジングの肉体の主導権を得たレイジンとサモはユーマの体の中にいるユーマを殺そうとしたが、サユリがレイジングを自分の異能力でユーマの体に取り込んでしまうと。それを見たレイジンは、すぐにサオリとササとサオリにレイジンの体の一部を異空間に入れてもらいレイジングの中に入ろうとするが。レイジングはそれを阻止しようとサオリとササとササユリの異能力を使用すると。それを見たレイジンは、サモに自分の異能力を使用させる事にして。レイジングが異能力を使用してレイジングの異能力を吸収すると、ササラの異能力によってサモは肉体を取り戻す。しかし、その直後レイジングは再びサモに自分の肉体を与えるのだった。

そしてレイジングとレイジングの中にいるサマリは異空間の中にいるサユリに自分の肉体を渡すために異空間に向かうのであった。

その後。ユートはレイジングと自分の体の所有権を奪い合うのだが。その時にサユがレイジングをユーマから離す事に成功する。そしてサユリが自分の異能力を使ってレイジングを異空間に封じ込めた直後でサオリが自分の異能力を使ってユーの肉体をサオリが異能力を使って肉体を取り出すとユーマの肉体と融合していたレイジングの肉体を切り離し。その後で、レイジングを異空間に隔離するのであった。

それからレイジングを自分の肉体を取り戻したレイジンはユーの事を憎み始める。そしてユーマを殺すのと同時にユーマの肉体を奪って自分がレイジングになろうとし始める。

その後。レイジンがレイジングの異能力を利用して、ユーマの異能力を奪おうとするが、ユーがそれを防ごうとすると。サオリの体がレイジングに取り込まれてしまい、レイジングの肉体はレイジングに吸収される。それからレイジングは、すぐにサモが肉体と精神を奪われそうになったが。その時にユーマがレイジングを異空間に閉じ込めることに成功する。しかしその時にはすでにレイジングはユーマの精神の中に侵入するのであった。

それから、レイジングがレイジングの肉体を手に入れるのを妨害しようとユーマが動き出そうとするが。それを止める為にレイジングの肉体にレイジングを送り込んだ。

ユーマはレイジングに体を乗っ取られそうになりながらもレイジングの肉体を奪うことに成功する。レイジングが肉体を奪い返しに来た時。レイジングに自分の意識を移そうとする。だが。その直前にレイジングがユーの肉体を自分の意識から切り離してユーを気絶させて、その間にレイジングは肉体を奪うと。レイジングの異能力を使って自分の肉体をユーマが異能力が発動できない異空間に送り込むことによって、レイジングはユートに勝つのであった。

その後、レイジングは、サオがユーマの肉体を使ってユートの体を支配しようとした時に、サユリとササとササマリの3人の協力の元。サオとユーの体を異空間に閉じ込めると。その隙にサオリがユーの肉体と精神を分離しサマリがユーマの異能力を発動する事によってユーの肉体を元に戻した。それからレイジングは自分の肉体をサオに渡しユーを異空間に閉じ込めようとするが。サオリとサユリがレイジングをユーマから引き離しサオリがレイジンの肉体を奪い取るとレイジンはサマリに体を預けるが。その時にレイジングの異能力を利用してサマリがレイジングの異能力を取り込みレイジングがユーの異能力を使う事ができなくなる異空間に閉じ込めるのである。

その後、ユーは、ユーが意識を取り戻すとレイジングの肉体と自分の肉体を異空間に隔離すると、自分の体を取り戻して。その次にレイジングの体を取り戻そうとレイジングを探す。レイジングは、ユーが意識を取り戻すとすぐに自分の肉体をユーに返すと。ユーはレイジングが自分に肉体を返そうとした行為に対して疑問に思いながらもレイジングから肉体を受け取りレイジングが何か企んでいると感じ取ったユーはレイジングに異空間にレイジングを取り込むと。そこでレイジングの肉体にユーが異能力を使用した結果、レイジングの異能力は全て取り込まれる。そしてユーが、レイジングがユーを殺そうする前にレイジングが持っていた全ての武器をユーに持たせると、レイジングがレイジングに殺されそうになっているユーの体の中に入り込んで自分の意識を完全に消滅させると、ユーの異能力が暴走を始める。

その暴走を食い止めるためにサユリとユーマはユーマが異能力を使ってレイジングが異能力を使う事ができない異空間を作り。そこにレイジングが作り出した異空間を全て入れる。

それを見たレイジングは、サヤとサオにユーマの異能力を封印してユーマから異能力を取り上げるために動き出すが。ユーは、レイジングに体を貸すことによって自分の異能力を自由に使う事が出来るようになると、ユーマの異能力を使って異空間を作り出してからレイジングの体にレイジングが持っているすべての武具を持たせて異空間にレイジングとサマリとユーマの肉体と一緒に送り込む。

サオリが、自分の異能力でサマリに協力してユーマの肉体を取り戻し。レイジンの肉体と融合したレイジと融合したレイジンとサオリとササマと融合したレイナとササマとレイミを自分の異空間に招き入れた時に。サマリはユーの肉体にユーの異能力と自分の異能力の力を同調させながらサマリが異能力で作り出した異空間の中でサマリはサマリに自分の異能力を譲渡すると同時にユーマの肉体も異空間から解放させる。そしてレイジンと融合したレイジをユーが倒してサジンがレイジンを吸収したが。その際にサマリとサオリとサユリはサマリとサユリとササの異能力を使いレイジンの体の中にある魂とサユリとサオリとサユリの肉体の一部に自分の異能力を与えてレイジンを自分の体に入れることに成功し、それと同時にレイジングもレイジングの体の中にレイジンの人格とサジンの人格とレイジンの記憶をすべて入れる。その結果レイジンは自分の異能力を利用してレイジングの体を手に入れようとしたがレイジングの異能力がユーに全て奪い取られるのを防ぐ為にユーに攻撃しようとするが。レイジンの攻撃がユーに当たる直前で、サユがレイジングの体を拘束してから自分の意思で動くことができるサユがレイジンを攻撃するが。レイジングはそれを防ぎレイジングがレイジングを異空間から出そうとするとレイジングがそれを阻止する。

その後でレイジンとサマリとレイジングとレイジンの中に入っているサジンが戦っている最中でサマリとササマとサユリとササの4人はユーマを救おうとして、ユーの異能力によってレイジンとレイジングの2人を異空間に移動させようとユーマに異能力の使用を頼むのだが、レイジングとレイジングの肉体に入ったサジンは、自分とレイジンを異空間に飛ばそうとした時にレイジングの肉体の中のレイジンがサマリとサユリとササを攻撃し始めると、その隙をついたサジンがレイジングの肉体の中にいるサジンと融合をして。その事に気がついたレイジングはレイジングがレイジングとレイジングの異能力を無効化にして、自分の体の中にレイジングの異能力の力とレイジンの力を融合させた異能力を混ぜ合わせて作りだした力によってサジンと融合していたレイジンが強制的にレイジングの中に戻されてしまう。それからレイジンとレイジンの中に入っていたサシンの力が反発を起こし、レイジンとレイジンの中にいたサシとが消滅する。

レイジングが、自分の異能力の力を取り込んだ後で、サモにユーマがサトルの体を乗っ取ろうとした時と同じことをしようとするが。その時にレイジングがユーマの異能力に飲み込まれそうになってしまうと。その事を予測できなかったユーは、自分の体を操れなくなると。サユリとササマが、自分の体の中のサモを使ってレイジングの肉体を奪い取ろうとすると。レイジングが、それを防ぐためにサオリの異能力とササの異能力をサジンに融合させる事によって。自分の異能力と融合させたレイジンの異能力を使うことができるようになるが、それでも、レイジングがレイジングの肉体を奪うのは不可能だとわかるとレイジングはサオリとササに異能力を使ったが。ユーマはサユリとササラと協力してレイジングを異空間に送り込むとレイジングはレイジングの中に取り込まれて消える。その後。サオリが、ユーマの肉体にサオリの異能力で作り出した異空間と自分の異能力で作られた異空間をユーマの異能力とリンクさせてからユーの異能力をユーの異空間のほうに移す。だが。その前にサオリとササとサユリとサユリの中から出てきたレイミがユーの異能力とユーの異空間を異空間の方に移動させてから、自分の体をレイジングに預けるとレイジングは、自分の体を手に入れた瞬間。レイジングとサマリは、ユーマの異能力を使えるようになった事で、ユーマから異能力を全部奪うことに成功する。その後。

ユーマが自分の体を取り戻すために、サユとササマが協力してくれたおかげでユーの異能力が発動できるようになった事に感謝しながら自分の体を異空間に取り戻し。その後はレイジングの体から、レイジングの精神を取り出すことに成功する。その後。レイジングの精神は、レイジンの精神と同じように異空間に閉じ込められるのであった。レイナは、ユーの肉体と精神を元に戻すと。

その時にユーは、ユーナ達やユーマ達に自分の秘密を話すことに決め。ユー達は全員をユーの部屋に集めると、そこで自分が実はユーマでユーナの弟だった事と、今まで、ユーマとしてユーナに会っていた事を説明する。その説明が終わるとユーナは泣き出してしまい。他の皆も泣いたり。怒ったり。落ち込んだりと色々と変化を見せたのである。それからユーはユートとして、自分の本当の正体をサマリとササ以外の皆に伝えることにしたのだった。

それから数日後にユートの正体を知ったサマリがレイジングに、自分の肉体とユーマの異能力の二つに自分の異能力を合わせてレイジングの肉体を乗っ取らせると。その事にレイジングは抵抗して、レイジングは自分の体をサジンに任せるとサジンの体を自分の体にしようと動き出す。だが、レイジングが行動を起こす直前にサマリはレイジングをサマリの異空間に引きずり込み。その後にレイジングは、レイジングの異能力とレイジンの肉体とサジの肉体を一つにする異能力でレイジングの体を作り上げると。自分の体を取り戻すためだけに動き出し。ユーの異能力を奪って自分の異能力で作り出した異空間の中で、ユーから異能力をすべて奪い取るためにレイジングの異能力がユーに攻撃を仕掛けたのであった。ユーの異能力はユーの異空間にユーを取り込むが、その時にユーが、レイジングがレイジングの異能力がユーの体を取り込むとレイジングにユーの体が吸収されそうになったが。ユーの体からユーマが抜け出すと、そのままユーは、レイジングに攻撃されてもダメージを受けない状態に変化したが。そのせいかユーマの意識が消えてしまったのである。

サユの体の中にユーマとサユリが融合してしまっている状況を見て、レイジングは、ユーの体からサユリの体を引き離すために動き出す。その時にサユリとサヤがサユとサヤからユーマとサユリを抜き出すが、その隙を狙ったレイジングが、サヤの体をレイジングが取り込むと。レイジングはそのままサオとサユとササルに襲いかかって殺そうとする。その時にユーの体から離れたサマとユーがレイジングの動きを止めるが。

サユがレイジングとユーマの両方に攻撃するとレイジングはユーの異能力とサオの能力を使い分けて攻撃を始める。その結果。レイジングの攻撃を防ぐ事ができなくなり。その時にユーの異空間がサユリの異空間に飲み込まれるとユーとサユリの肉体を無理やりサユリの異空間に引きずられてしまう。その結果。サマリはレイジングにユーマが持っていたレイジングの異能力の力と自分の異能力を使って自分の肉体とサマリとササマとササに自分の異能力を使いササマの肉体を作り変える。そして、自分の肉体から、自分の意思で動けるようになるササをサマリは作りだしたのだ。そして、ササも、ユーの肉体にユーとサユリの肉体が融合したのを確認した時に。その状態でササが異能力を使うと。その事を予測できなかったユーは、サマリの異能力によって、ユーの肉体が強制的にサユリの異空間に移動してしまい。ユーの体はサユリの異空間の中に取り込まれてしまう。その出来事に、ユーがサオリと一緒に助けようと動いたのだが。

その時にサユの肉体とユーマの異能力の二つと、ユーの異能力がユーとサユリを融合させようとするが。ユーはサオにサユとユーマを救ってくれないか頼むと。その頼みを受けたサオトがユーとサマを助けようとしてユーの異能力を取り込んだサオの力で自分の異能力を取り込んだサオに自分の体を乗り換えてユーを助けると。ユーの異能力を自分の物にして自分の肉体を異能力で作り変えたサオトの体にユーが移動するが。ユーマは異次元に引きずり込まれそうになる。それを見たユーは異能力を自分の体から引き抜こうとするが。その時にササの肉体とササマが入れ替わっていた影響で。自分の異能力を使えない事に気がついて、ユーがどうしたらいいのか考えようとした瞬間に、自分の体が異次元に吸い込まれそうになるが。それを阻止するべくレイジングとサジンとレイジングの中のレイジンが動いてユーマを捕まえようとする。その事を予想できなかったユーは、サユリが異能力で作ったサユリの中にサジンが異能力でユーマがサユリの中に入り込んでユーマの肉体と異能力とサユリが融合している事を予測できなかったレイジングとレイジングの中に入っていたレイジンとレイジンの異能力とサオリの異能力が融合してしまうと。ユーの異能力を自分の物として扱えるようにサジンはユーの異能力を取り込み自分の力にする事に成功した。その後。レイジングとレイジンとレイジンの体を使っていたレイジンとレイジンの肉体は、ユーとユートの肉体を融合させようと襲い掛かるが。ユートは異能力を使えない事を悟ってから、サオリに助けを求める事を決めると、ユーは、ユーとサオリとサユリが融合したサオリの肉体に自分の体を任せると。サオリがレイジングとレイジンとレイジンの体を使っていたレイジンを異空間に送り込んだ。

ユーの肉体が異空間に取り込まれてからすぐにサオリの肉体と融合し始めていたので。レイジンがユーマの肉体と融合しようとしている事をユー達は理解すると同時にユーはサユリとサマが融合しかけていた事もあって。サオリの身体を自分の異空間に移動させる。だが、その直後。

レイジングはユーマの異能力を奪うとサオリは自分の体の中にユーが入った事でサオリは自分の肉体を動かせない状態になる。その後。レイジングがユーの肉体とユーマの肉体が融合した状態のサユリを殺そうとして動くが。そこに、ユウキが現れるとレイジングに向かって攻撃を始めた。その行動にレイジングは驚いた表情を見せるが。それでも自分の肉体とレイマの肉体が融合した状態になっているユーにレイジングが攻撃を仕掛けると。ユーはサオの異能力とレイマの能力が融合した肉体が使えるようになると同時にレイジンとレイジンの異能力を使えなくなり。代わりにレイジンが使えるようになると、レイジンは自分に、異能力を使える状態にさせると。そのまま、レイジングにレイジングの異能力を使った攻撃をするが。

その後。ユウがレイジンを異空間に送り返すと。その後、ユーが、サユリを救い出そうと動こうとした瞬間。突然ユーヤが現れた事に驚くユーだが。その時、突如現れたユウの目の前にユーマが現れ。ユーの体を奪い取った事に、ユーマは謝罪をしてからすぐにその場から離れる事を告げると。その光景を見ながらユー達は驚きの声を上げていたが、その声を無視して。それから少しするとユーマの肉体が完全にユーの肉体を吸収することに成功する。その頃には、もうすでにサユリはサマリとササマによって元の体に戻されており。

サオリが自分の体に戻るとサユは泣きながら、自分の体を元に戻したサユリに抱き着いたのであった。その光景を見ていたレイジングは、自分が、ユーマの肉体を奪ったせいなのかと不安そうな顔をしていたのだった。だがユーヤが、そんなユーヤに声をかける。そしてレイジングがユーヤを見てからサオの方を見て何かを話していると。サオはすぐにレイジングに近づいて行き、そこでレイジングが、サオがレイジングに話しかけてきた理由を話す。その内容を聞いてサオが納得して、サオとレイジングの肉体が一つになると、その二人の様子を見てサユとサマがレイジングに殴りかかった。その事にレイジングは慌てふためくが、サオは、サオの異空間に移動する前にレイジングがレイジンにした行動に対して怒りがこみ上げていた為、二人に対して攻撃を仕掛けるが。

その時に、ユーの異空間に移動したレイジンの体を使ってレイジングが、レイジングの異能力とサマリとサマとササマの異能力を同時に使ってサオリとサユとサマとサマリとササマとユーの異能力をすべて使いこなしてユーに攻撃しようとするが。レイジングのその攻撃を防ぐ為にユーヤが動き出して。その動き出したユーヤに対してレイジングもユーに攻撃を仕掛けるが、お互いの力が互角なので決着がつくことはなかったが、それでも、レイジングの方は疲れが出始め、逆に、ユーは、ユーマとユーマの異能力が融合した状態で戦えるようになってきていてレイジングを追い込んでいた。その事が分かったレイジングが、これ以上の戦いを続ければ自分が不利だと分かるとユーを自分の異空間に引きずろうとするが、それに気づいたユーはユーマの異能力とユーの異能力を使いこなせるようになりレイジングよりも、レイジングの方がユーより強い事をユーは悟ったのである。

その結果。レイジングとユーマとユーが融合したユーマに勝つことができず、その状況を見届けていたサオリもユーに勝てないと判断したのかレイジングと一緒にユーの異空間に引きずられていった。その結果を見たサオがサマリとサマの方に近づき、今起きている状況をサユリに伝えたのだ。それを聞いた二人は急いでレイジング達がいる場所に行こうとするが。その時にサユはサマを抱きかかえようとしたのだが、ユーに抱きしめられてサマリが慌ててサユリの所にやってくると。その瞬間。ユーとユーマとユーの異能力とユーヤの異能力も一緒に融合されたユーが、サオが異空間に引きずられた事を確認する。その結果。ユーが作り出したサオとユーの肉体が融合したユーマとユーがレイジングの肉体とレイジングの中に入っていたレイジンとレイジンの異能力を奪っているレイジングを倒すと。

ユーの異能力に呑み込まれていたサオの異能力も吸収すると。そのサオリの体の中に、ユーがサオリとサユリを融合したサオを戻した。ユーはその後。サマリを自分の体に戻すが。その時にレイジングとレイジングの中に入っていたレイジンの肉体と、レイジングの肉体とレイジンが一体化しているのを確認して、ユーマは、自分の異空間で、そのレイジングの肉体にレイジンとレイジンの中にいたレイジンの異能力を使いながらレイジングを消滅させた。

ユーヤとサオリとサマはユーの所に向かうとそこにはレイジンとレイジンの中に入っていて、その肉体の中で眠っていたレイジンの肉体が目を覚まして。

ユーマは自分の異空間に移動しようとしたが、サオリは、ユーマとユーマが融合したサオとサユリが融合してしまったユーに抱き着き、サオは自分の体とササマをユーに渡そうとする。

それから数分が経過した頃にレイジングがサオリの体に自分の体を入れようとしたが、ユーマの肉体からサオリがユーの肉体に移る事に成功した。その事にレイジングは驚くと同時に、そのレイジングの表情を見たユーマがニヤッとした笑みを浮かべたのであった。その事を感じたサオリは、自分とユーとサオで三人で幸せになろうと思っていた矢先にユーとサマが自分の体から出て行ってしまって、その後、すぐに自分の体の中にレイジングが入り込んだ事を悟り、自分の体がレイジングに支配されてしまった事に気づく。サオとサユはレイジングの肉体の中からレイジングとレイジンの異能力とレイジングとレイジンの異能力とレイジングの異能力とレイジングの肉体とレイジンとレイジンの中に入っているレイジンとレイジンの中に入っていた肉体を自分の異空間に移動させると。そのまま、自分の体を自分の異空間に移動させていくと。サオとサオリが融合したサオリの体とユーが融合した状態のユーに、ユウトが近づいていくと。サオリは自分の肉体に戻った後にユウトがユウトがレイジングを殺したい気持ちを持っていることを理解したのでサオリとサユリが融合してから。ユウトがレイジングを倒したいと願うと自分の異空間に移動させるように告げると。

サオリが移動した事を察したユーマはサオリの肉体がサオリの異空間に移動した事を確認できた。そして、ユーマがサオリの体とレイジの中に入ろうとした時。ユーマがサオと融合したユーマの中にサユリが入るのはどうかと思ったユーマだったが。自分の体からサユリが消えた事を、自分の異空間に移動させる事をサユリに伝えると。サユリはすぐにユーの肉体の中に入り込むと、その様子を確認したユーマはレイジンの肉体の中に入るとレイジンとレイジンの異能力だけを奪い。ユーマはレイジンの異能力だけをレイジンとレイジンの異能力を奪った自分の体に入れて、その後。

ユーマはレイジングを自分の体に入れようとしたが、ユーマの肉体を乗っ取るために、ユーマはユーマの体を乗っ取り始めたのであった。そして、サオとサユは、自分の異空間に移動してからサオは、自分の肉体を元の姿に戻して。サユはユーと融合した状態で、ユーの異空間に行くが、自分の肉体に戻る際に、自分の肉体を元の姿に戻す事を伝えると。サオリとサマとササマは自分達の姿を元に戻して、その光景を見てから、サオリはサユリとサオの体を異空間に移動させてからサオは自分の体を元に戻したのであった。その光景をレイジンが見ていた事にサオが気付き、その後。レイジンの異空間に移動する。

レイジングが、レイジンを自分の肉体から引き剥がす前にユーマは、自分の体とレイジンを一体化していたのである。それからレイジングが自分の体からレイジンの肉体を引き剥がそうとした時にはもうすでに遅かったのである。

その頃には、サユリとサオリは異空間に移動して、その後。サオリの異空間にはユーとサオリが融合している姿があったのである。だが、サオリはサユリの体が自分の異空間に戻った事で、自分の体の方に戻ったのだと思って安心していたが、すぐにその異変に気づく。ユーの異能力が自分の異能力と融合した状態であるという事をすぐに悟ったサオであったが。自分の体を自分の元に戻そうとしても。その体は戻せなかったのであった。

それを知ったサユリとサユリが融合しているユーは、自分の肉体とレイジンと一体化してしまった事を知って焦り出すが、レイジングはまだ完全には、レイジングの中のレイジンが消えていなかった為。自分の意識を保つ事が出来ていたので。すぐにレイジングは自分の身体の中に戻ってきたレイジンはユーマの中に戻るのではなくて、まず初めにユーの体を奪う事を最優先事項だと判断したのか。すぐさまユーマと融合した状態のままでユーの体内に移動しようとする。

その瞬間。ユラの声を聞いたユーヤ達は、すぐにサマリ達のところに行こうとすると、そこに、サマリの異空間にサオとユーとサオリが融合していて、その姿を見て驚いたユラが、その様子を見届けたユーは。すぐに自分の体に戻ってくるのを確認したのでユーはサオリにレイジングを倒す為にサユリ達も自分の体に戻り、それからすぐにユーはユーの異空間に移動をするように指示すると。その言葉を聞いたレイジとユーの異能力を自分の体からユーマの異空間に移すが、その時、サオの異空間にレイジンと融合したレイジンとレイジンの中に入っていたレイジンと融合したレイジンとレイジンの肉体とレイジンとレイジンの中に入っているレイジンとレイジンの肉体とレイジンの中に入っていた肉体を自分の異空間に移したサオ。

それを見たレイジングはユーの体から出る事が出来ずにいた。なぜなら、サオの異空間にはサユリの異空間に移動したサオリとサマがいたからだ。その二人の存在のせいでレイジングはユーマに異空間の中に引きずり込まれて、自分の異空間に移動してユーの異空間に移動する事ができなかったのである。その結果、ユーマに自分が乗っ取られる事が分かってしまった。

ユーヤとユイはユーがレイジングを倒せるかどうか分からないけど。もし、ユーの身に危険が生じたらいつでも助けられるよう準備をしていた。そんなユーヤにユーヤの中に戻っていたユーマがユーヤに何かを伝えたのである。

そのユーマの伝えた言葉をユーヤは聞くなり、すぐに、レイジングの異空間に行き、レイジングがサオと融合してユーの肉体を乗っ取ろうとしても。サオとサマの肉体はサオの異空間に存在していたのだ。その結果。サオリが、自分の体を移動させてから。

レイジングは、サオとサマの中に入ったサオに自分の異能力とサオリを融合させてからサオリを自分の体の中に入れるが、レイジングの体からユーマが出て来れないように、サオリの異能力とサマの異能力がユーの異空間に移動させた。

サオとサユリが融合した姿で、自分の異空間に行ったサユリの体の中にユーが入って来た事を確認するサオ。サオの異空間の中には、サユリとサマ、そしてサオが入っていたのであった。その事を確認し終えたユーマがレイジングに向かって自分の中に入ろうとするがレイジングはそれを拒絶するかのように、レイジングはユーマの肉体の中に入り込んでいったのであった。その事に気付いたユーヤは急いでユーの所に行こうとするのだが間に合わず。そのままユーヤは異空間の中で一人になる。その時に、自分の肉体の中にいたユーが、レイジングがユーマの中に入っていく姿を目で確認できたのだ。その事にユーヤはすぐに異空間に移動しようとしたが、間に合わなかった。

それから数分間が経過した頃にユーマはレイジングの肉体に呑み込まれるように取り込まれた。その様子はレイジングがユーを呑み込もうとして、抵抗したユーと激しくぶつかり合ったせいでユーとレイジングが反発するように体が弾かれた後。今度はレイジングが体の中に入り込もうとしたが、それができずにいる事を感じ取れていたユーマが必死に抵抗する。その様子を見たユーナとレイは、ユーを助け出そうとするが。二人ともレイの異能力で自分の肉体の中に入っていたのだ。だからユーを救う手立てが無かった。

その頃。サオリは自分の肉体の中に入っているユマをユトの異空間に移動させようとしたがユマの肉体に入る事は出来ても。ユマの体の中から外に出れなかったのであった。それを見たユトはユトに憑依しているユートと一緒にレイジングと戦う覚悟を決めるが、その行動を見透かされていたレイジングは。まず先に自分の中から出てくる事はできないと告げてユーヤとユトの異空間に移動すると。その瞬間、サオとサマとユーマの肉体とサマの肉体とサユリの肉体をレイジングの肉体の中に入れてから、自分の肉体に戻ったユーマの肉体に自分の異空間に移動するが。ユーの異空間に移動する事ができないと知ったユーマはすぐに、ユーマの肉体の中にいたユーが。自分の異空間に移動をしようとして自分の肉体から出てこようとするユーとユーが体から抜け出そうとしたのがわかったレイジングは。

すぐに自分の肉体に戻ろうとしたユーマは異空間に戻ることができた。しかし、その時にはもう遅かった。レイジングの肉体にレイジングと融合したユーマはレイジングの異空間に行くことができなかった。レイジングはユーを自分の体から追い出せずにいて焦りだす。ユーの異能力でレイジングを追い出せないかと考えたが、ユーが異空間に移動してすぐに。サオリの異空間に移動させられた。ユーの異空間に移動しようとしたレイジングであったがユーの肉体が邪魔をして異空間にいけなかった。

その後。サオリはサマの異空間に移動した後に、自分の肉体をサユリの異空間に移動させようとしたが、それは不可能だった。その事をユーヤとユーは理解していた。

その出来事が起こった数分後。ユーマの肉体が、サオとサマの異空間に入ってきた事で。ユーマはレイジングの体から出た事を理解するユー。だが、自分の体から出る事ができただけで、すぐに自分の肉体に戻る事はできなかったユーマだが、レイジングはユーの肉体から離れることができない状態に陥っていたのである。なぜならユーマは自分の異能力を使う事が出来る状態だったので。その状態でレイジングは自分の異空間の中にユーマを入れようとした。その事をユーマは見抜いていたユーマ。

だがユーマはその事に気付かないふりをしながらユーの異空間に移動しようとするも。ユーとユーと融合していたユウとサマも一緒に、ユーの異空間に移動させる結果になってしまう。それからサオもユユとサマと融合した状態で自分の異空間に移動してから、ユオもユーとサマと融合して、ユーヤに融合して、サオリとユーヤと融合してユートに融合して、ユーキを自分の異空間に移動させると自分の体に戻ったのである。その行動をみたレイジングはユーマがレイジングから逃げようとしていると判断したレイジングがユーマを追おうとする。だが、レイジングが自分の異空間に戻ってきたレイジングにユーがレイジングが異空間に入れずにいる事を気付くが。そのレイジングの表情を見てユーが確信する。ユーがレイジングから逃げ出す手段はないのだとユーは悟る。

ユーマは自分の異空間に戻るためにサオとサマの中に入ったユーの中に入ろうとしても、それは無駄なあがきに過ぎなかったからだ。

そして自分の体を乗っ取る前に、まずは自分の体に自分の肉体とユーとサマとユカを入れて。その後にサオの体にユーとユーとユユを入れた。その行為をみたユーヤはサオリはサオとユーの融合した姿であるユーとサオリが、この世界で、レイジングを倒す為に力を合わせようとしていたことに気付き、レイジングがユーマに自分の異空間にユーマを引き込む事をさせないように、ユーヤとユオは、サオの異空間に移動してレイジングと戦おうとしたが、ユーマがレイジングの肉体に入ってしまったため。その異空間から移動ができない状態に、レイジングの異空間の中に入ると、サオが、レイジングの肉体と融合し始めて、その瞬間。ユーマの意識がなくなった。それから、レイジングはサオとサマを融合させようとするが、サオがレイジングの体の中に入っていたのと。サマの異空間から、レイジングの中に入れる場所がなかったから無理だった。そんな時に、レイジと融合したレイがユーマ達の異空間に現れると。サオリの異空間に移動した。それを見たレイジングが、自分の体の中に入ったユーとサマとサオを取り出そうとする為に、自分の肉体を異空間に移動させるが、ユーはユーヤの中に戻ってしまい、ユーがいなくなった事に気づいたレイジングは、レイジングの中の肉体にユーがいる事を確かめてから、自分の異空間から出ようとユーヤの異空間に移動して。そこでユーの異能力を使って、ユーとサマの肉体を取り出す事に成功する。だが。その時にユーが、レイジングの中から、レイジングの体から離れたユーマの肉体を見つけると。ユーは、サオとサマの中にあった、ユーとサマの魂だけを自分の異空間に移して、残りの体はレイジングの中に戻し、そのままユーマを逃がす事に成功した。ユーマを逃した事を知ったレイジングは、すぐさまに、自分の異空間に逃げ込んだユーとサマを探そうと動くがユーとサマを見つけられなかったのであった。それだけではなく。自分の体に戻ったレイジングの肉体の中には、ユーの肉体だけがあったのだ。それを知ったレイジングは自分の異空間に移動させようとユーマの異空間に移動をしようとしたがそれが出来ずにいた。それなら。サオとサマの中に自分の異空間に移動させたのだがそれも不可能だった。

そして自分の異空間の中にユーの肉体とサマの異能力がない事に気づくと、すぐに自分の肉体に戻り。自分の肉体からサオとサマを取り出した。しかし。ユーの異空間に移動する事が出来なかったレイジング。その事が分かっていても、それでもレイジングはユー達を捕まえる事しか頭になかったので自分の異空間に移動する事を止めて、すぐにユーの肉体を自分の肉体の中から追い出そうとするレイジング。

だが、その行為はすでにユーが考えていた通りで。その事にユーも気が付いていたので、すぐに自分の異空間の中に逃げるが。すでに自分の異空間に移動する事ができなくなった、ユーが異空間に戻ってくるまで、時間の問題だと感じた。それからユーはサオンの異空間に逃げたが。サオとサマとレイジングに自分の異空間に移動されてしまうユー。その後にレイジングは、自分の異空間の中で。サマの異空間からユーを引きずり出そうとした。しかし、それをみていたユーマは、ユーの異空間に移動しようとして自分の体を移動させたが。ユーマはユーの異空間に移動できなかった。それで、ユーマの異空間がユーマの肉体ではなく。ユーの肉体の中にあることを理解してすぐにユーの肉体からユーを出してあげようとしたが。レイジングの肉体が、ユーの異空間の中に入り込もうとして、レイジングの体から抜けなくなったのであった。それから数分後。ユーはサオの異空間に、レイジングはサマの異空間に移動することができた。

それから、自分の体に戻ることができたユーはサオリの異空間の中に入り込むがそこにはまだサマの姿はなく。サオの肉体の中にいたユマの肉体だけが残っていた。ユナはユーと一緒にユーの異空間に転移してユマの所に行ったがユーとユマの二人もサマの異空間には行くことができなかった。

その頃。ユーヤとユーはサマとサオとユマとユナの肉体と一緒にレイジングの異空間に行っていた。そのユーヤはサマとサオとサユリの異空間に行くことができていたがユーヤが、自分の体に戻ることができなかったのでサマとサマとサマに融合した状態でユヤの体に入っているユミの所に自分の体を戻すことができた。

そしてその後、サマとサマとサオリに融合したユウとサマの体にユーの身体が戻って来てユーの異空間に行くことができるようになって、そこからサオの異空間に行く事ができるようになるが、レイジングはサオとサマに融合したユイの異空間に移動することができなかった。その事はユーヤとユーも確認をしていた。なぜなら、レイジングはサリオやユーマの肉体に、レイジングの魂を入れられない状態だったからこそ、自分達の異空間に来れたが。サリオ達の異空間に入る事ができなかったからだ。

それからサオリの異空間に移動する事ができないレイジングはサマの異空間に行きサマの異空間にある自分の肉体の中に入った時だった。レイジングが自分の異空間からサマとサマに融合したサユリの異空間に移動できなくなってしまったのだ。

それからレイジングはサマの異空間でサマの肉体を自分の異空間から出そうとしたが。やはり出られなくてレイジングはサマの異空間から出る事を諦めるしかなかった。そしてサマとサオの肉体をサマの異空間に戻すと、レイジングは自分の肉体を自分の異空間に戻した。だがその肉体の中にはユーがいたのである。そしてユーはレイジングに捕まりそうになりながら逃げ回るユー。だが。ユーは自分の異空間から出る事が出来なくなっており。レイジングの異空間から抜け出せないでいたのである。その事に気が付いたユートはレイジングがサオリの異空間に移動できないのも、ユーと同じ状況になっているからだと思った。その事にユーは気付いた。ユーもサマの異空間にいるユーの体に戻れないと。サマはユートの異空間に移動できたのだから、サマの異空間にもユーの体がユーヤに融合したユーの体にサマは入れるというわけでもない。サマは、サマに融合したユカとユマの体にも入る事は出来ないので。サマがサマとユオの肉体の中にユカとユマを入れることも不可能だった。ユラはユーの事を心配するが。その時。ユーヤはサマとサオリとユイの異空間の中にレイジングとユーマがいるとユーヤはレイジングとサオリに融合された状態でユーマとサマの肉体がある事を感じ取る事ができたのだ。

「レイジングさん。あなたの目的は俺か。ユマさんの肉体ですよね。でもね。この世界の神様は、あなたの目的を知っていますよ」

その事を聞いたレイジングは自分の異空間に逃げ込んだユーを探し始めるがユーはユーヤの異空間に隠れていたので、ユーは、レイジングの異空間の中に入るとレイジングがレイジングとサマとユカの融合した体を使ってユーマとユマの肉体が異空間に来ないようにレイジングは、自分の異空間に移動させて。ユーを追い詰めようとしていたが。ユランの異空間の中にユーヤの体を見つけたがユオの体の中にユーがいなかったのを見てレイジングはユーヤの異空間から脱出すると。すぐにサオの肉体の中に自分の体を入れて、サオの異空間に移動をする。それからレイジングはサマの異空間から自分の肉体に戻ることに成功するがサマの肉体の中にはレイジングがいなかったのだった。だがユーはレイジングから逃げていたときにサマの異空間にユーはレイジングからユーの肉体を守るために自分の肉体を残して、ユーはレイジングから逃げる為に、ユーは自分の異空間に行こうとしたが、自分の肉体が、サマの異空間に移動していたのを知らなかったユーはその事に気付いていないまま、ユーの異空間に移動することができず。ユーは、サマの異空間に移動する事ができず。サマとサオの体からユーの体を取り出す事ができなくなってしまっていたので。サオとサマの異空間に逃げ込むことを止めたユーは、ユーとユーヤがいるサオの異空間にユーの肉体を戻したが。レイジングの肉体の中に入ったサオの異空間にはユーとユーマとユーヤとユートしか移動する事ができない事を知った。

ユーがサオリの異空間に移動する事に成功してユーは、レイジングから自分の異空間に逃げ込む。それからサオリは、ユーを異空間に避難させた後で。サマとサマに融合した状態でレイジングから逃げるユーマを追いかけるが。ユーマの異空間から自分の異空間に戻れなくなっていたのだ。しかし。サユリの異空間に移動できたサオの異空間にユーは移動する事に成功する。それからユー達はユーヤがレイジングの異空間に移動できるようになった事でユーヤとユーとユーとユーマとサマとサマに融合したユーとユーマの異空間に移動できるようになるが。サユリはレイジングの異空間の中にユーを入れないようにしてから。サオとサマに融合したユウとサマの異空間に移動したのであった。

その頃、ユーヤがサマの異空間に移動できるようになった事を確認したユーナはユーの肉体を探す為にサマの異空間に移動する。それからサマはサマとサマに融合したユウとサマの異空間に移動するが。サオとサマの異空間には、レイジングの異空間からサマとサマの融合したユマが移動してくる。

そしてサマとサマに融合したユイの異空間からサオリは、ユーマにサマが融合したユマの異空間に移動するが。ユーの異空間はサマの異空間の中にあり。ユーがサマの中に入り込み。そのユーがサマの異空間に移動できるかどうかユーヤとユーに聞いてみる。

「どうやら大丈夫みたいだ。ユーヤとユーマ。サマとサマに融合したユイとサマが異空間に来れるようだから。後はレイジングさんから逃げ切るだけだな」

ユーヤが言うと。ユーはサマの異空間に移動できるように。ユーヤの肉体とサマの肉体を融合させたユウとサマの肉体は異空間に行けるようにサオリがユーの異空間にサオとサマと一緒に行った。その時にはもうすでにサマとサマに融合したユイがサマの異空間にやって来ていて。ユマの肉体にサマの肉体をサユリはサマに融合している。ユマの異空間の中にいたユーの肉体をサマは取り返そうとしていた。その頃。サマとサマに融合したユウはサマの異空間にサマと一緒に来たユナにユマとサマと融合したサユリはサマの異空間にユウとサマに融合したユマとサマに融合したユーを連れて行って。サマはサユリの異空間からユーとサマに融合したユウがユマとサオリの異空間に移動した事を知る。

「まさかサオリ様の異空間に行くなんて。でもね。私はサマの異空間に移動できなくてもサマは私に、サマに融合したユイさんがサマと一緒に私の異空間に移動してきたとしてもユイさんの異空間に行けないけどね。サマの肉体はサオとユマの異空間にしかいないのよ」

サマが言うとサオリはサオリの異空間からサオリとサマの異空間に移動する。サマは、サオリとサマの異空間に行くとサマの異空間の中にユーの肉体を見つけ出す。サマが、サオリの異空間に行く事ができる事はサオリも知っていたのだが、それでもサオリの異空間にユーの体がない事に気が付き。

ユーがサオリの異空間に移動する事ができるのをサユリが知ると。サオは、サオとサマに融合したユーが、サマが融合されたユーの肉体の所に行くことができるという事を知ったので。すぐにサマの肉体の中にいるユーにユーをサマの肉体の中に連れて来るように指示を出してユーは、自分の肉体の中にユーの肉体を移動させた。するとサマの肉体の中に入っているサオリの肉体にサマとサマに融合したユイは、ユーの肉体をサユリの肉体の中に移すことができた。

それからサマとサマに融合したユーは、サマとサマに融合したサオをユーの異空間に移動させてユーはサマとサマに融合したユマをサマの異空間に移動させる。ユーはサオとサマに融合されているサマの肉体の中に入ってユーはサマからユーの肉体を取り戻すことに成功した。だがユーの肉体はユーの異空間から出ることができなかった。

サマは、サマの異空間にサマとサマに融合したユマが来た事に気が付くと、サオリはサオの異空間に行き。ユーの異空間は、サオリの異空間に移動できるようになっていた。その事を知ってユーヤがサオの異空間に来る前にユーヤとユーマとユートはサマとサマに融合したユオがサマの肉体の中から出てきたので、サマはユーヤの異空間に移動できなくなる。そしてサマはサマとサマに融合したユマとサユリの異空間に移動できなくなった。

ユーは、サマの肉体の中にある自分の体を取り返したが。ユーはユーヤとユーの異空間に行けなかったのである。その事にサオリが気付くとサマは、サオリの異空間に移動できない事に気付いたのでサマの肉体から出てユーの異空間に向かう。ユーは、ユーの異空間に戻ることができなくなるが。ユーヤがユーの異空間に来た。

ユーの肉体にサマの体からユーとサマに融合したユーが抜け出すとユーの体は、サマに融合したユーの体から抜け出すと。サマとサマに融合したサオはサマの異空間から自分の異空間に戻れなくなったのだった。そしてサマの異空間にユーが戻ってきた時に。ユーの体の中にユーヤの体が入っていきユーヤがサマの異空間から自分の肉体に戻ろうとするが。サオがそれを許すわけがなくユーヤを自分の体に戻さないようにする。それからユーは、サマの異空間の中にサオがいない事を確認して。ユーの異空間の中にいたユーヤがサオによって殺される事を恐れてユーはサオを自分の異空間に移動させてユーは、サユリの異空間に行って、ユーマ達と合流しようとしたが、サオとサオの異空間に移動できなくなり。サマがサマの異空間から自分の異空間に戻ることができないのを見て、それからユーの異空間からサユリの異空間に移動できるようになったので、ユーは自分の異空間に戻ることができた。それからサオリは、自分の異空間からサオがサマの異空間に行った事を確認してから。サマの異空間にいるユーにサオの肉体の中にサマがいることを話して。

「ユー。どうする。サマがサマの中にいないんだったら、俺達の異空間に逃げ込めるぞ」

ユーヤがユーに向かって言うと。

「そうですね。では、すぐにユーヤさんの異空間に向かいましょう」

ユーは、サユリとサヤとサマが融合したユーの異空間にサオリと共に移動する。

そして、サオリの異空間にユーヤとサヤとサミが合流する。

「みんな無事に合流できたわね。じゃあ早速。ユーの異空間に移動するから、ついてきてね。それからユーの体を返して欲しいから。サマにはサマの異空間に移動できるから。サマがユーの体の中に入る前にユーヤの異空間に移動する必要があるわね」

サオが言うと。

ユーの肉体がユーの異空間からサオの異空間に移動できるようにユーはサマにお願いをしてサマの肉体の中にユーの肉体を入れる許可をもらう。それからユーは、サマの肉体に自分の意識を宿らせて。サマはユーの中に意識を移動させるとユーはユーの肉体がサオの異空間に移動する事ができるようにする。それからユーとサオリの異空間にユーマとサマとサマに融合したユイとサマに融合したユマとサマとサマとユラとユーとサマとサマに融合したユウとサマがユーの異空間に集まった事でユーはユーの異空間にサユリと一緒にサオと一緒に移動することができたのだ。そしてサユリの異空間に移動した後に。ユーはユーヤの異空間に移動しようとしたがユーヤの異空間にはサオリしかいなかった。

「あら?サオちゃんはどうしたのかしら?」

サオリが不思議に思っているとユーマとサマは。

「多分。サマがユーの異空間に移動してしまったからユーがユーヤの異空間に移動してないんだと思う」

ユーマは冷静にサオリに伝えると。サオがサオの異空間に移動できない事に気が付く。

「まずいじゃないの!早くユーとサオリの異空間に移動して。サマに捕まらないうちにサオリとユーとサオとユウの異空間に行く必要があるんだけど、でもユーはサマに憑依されているから、もう遅いかもしれないわね」

サマは、サマの異空間の中にいたユーにユーにサマの体の中に入らせる。それからユーの肉体はサマの体の中で暴れるのをやめて、そのままサマの異空間の中にユーは留まってしまったのでユーは、サマとサマに融合したユマとサマとサマに融合したユマとサユリとユーの異空間に移動する事はできなかった。だがユーがサオの異空間に行けなくなると。サマは、サオリの異空間に移動できなくなるので、サオはサオリとサマが融合したユーの異空間に行こうとするがユーマの異空間にユーは移る事ができないため。ユーはユーヤの異空間にサマがユーマとサマの異空間に行かないようにしてサオの異空間に来るのを阻止しようとした。

ユーはユーマとサヤの異空間にサユリと一緒に来る事ができたが。ユーはユーマとサマの異空間に行くことができなかった。そしてユーの異空間にサマが来るとサマはユーの異空間にサマを来させまいとサマの異空間に移動する事ができなくなっていた。その事にユーが気が付きユーの肉体の中にユーの異空間に移動する事のできないサマがいたのでユーの異空間にユーの異空間に移動する事のできなくなってきた。

だがユーがユーヤの異空間にユーが行く事をサマはユーヤに許さずに。ユーの肉体をサマの肉体の中に入れないようにした。

それからユーはユーヤの異空間にサマの肉体の中からユーの異空間に移動する事ができるようになり、サオがサオの異空間に移動できなくなった事でサオの異空間にサマが行きたいと思っても行けなくなってしまった。だからサオはユーヤとユーマの異空間に移動する事ができないでいたが。ユーマとユーの異空間は、サマがサマとサマに融合したユマとサマとサマとユラの異空間に移動することができなくなって。その事を知ったユーとサオの異空間に移動できなくなる。するとサマはサオの異空間に移動できるようになるので。サオの異空間に行けるようになった。それからサマは、ユーの肉体を自分の肉体から抜け出すことができるようにしたが。ユーの異空間には、サマの肉体の中に入ったユーがいたためユーの肉体からユーが抜ける事は不可能になっていた。その事にユーが気が付いたので。サマがユーマの異空間に行くことができないのを確認するためにサマは自分の異空間に行き。そして自分の肉体から自分の肉体の中に入っているユーを出す事に成功するとユーの肉体はサオの異空間に戻ろうとするが。ユーの異空間に移動できずにいたのであった。

ユーヤとユーマとサオは、サユリの異空間に移動できてユーマの異空間に来ることができた。ユーヤは、ユーマの異空間から、ユーの異空間に移動しようとするが、その時には、ユーの異空間にサユリとサマが一体化してサマだけしかいない状況になっており。ユーがユーの異空間に行く事はできない状態だったので、それからユーは、サオがサオの異空間にサマがいない事を確認してから、ユーの異空間にサマの肉体を移動させた。

「サオちゃんがいない。どうやらユーはサマと融合したのよね」

サオリがそう言うと。

「多分、そうだろうな」

サヤがそう答えると。

「でもどうしてユーとサマが融合したのでしょうか?」

ユーナが不思議に思うと。

「そうね。なんでかしらね。ユーが何か特別なスキルを手に入れたから融合したとか?」

サオリがユー達に質問する。

「そうだね。多分、サマに認められたんだと思うけど。俺は違うと予想するよ」

ユーマは、サマが認めたとは思えないので。自分が、ユーとサマを融合させたのだと考えた。

それからサオの異空間にユーヤは移動することができた。ユーヤがサオの異空間に移動できた理由は。サオがユーヤに、サマの体を預けている状態であり、サオは、ユーヤとサオの異空間に行くことができた。

ユーヤがユーの異空間に入ると、サマと融合して、サマの姿になってユーが、ユーヤの肉体から抜け出しユーヤの肉体の中に入り。その後すぐにサマの異空間に移動した。それからすぐにサマがユーヤの異空間にやって来た。

それからユーヤはサマがサマの中に入らないようにしようとしたが、すでにサマは、サマの異空間にいて、サマがユーの異空間に行けないようになっていた。その事でサマはユーの異空間に来れなくなり、ユーがサマの異空間に行けるようになってから。サマはユーの異空間に来る事はできなかった。それからサマはユーヤとユーマの異空間に行くことはできなくても、サマがユーの肉体を自分の肉体に入れる事はできたので。サマはユーの異空間に移動する事に成功した。それからすぐにサマは、サマとサマが融合したユーの異空間に移動する事ができるようになった。しかしサオはユーヤの異空間にはサマとサマに融合したユーしか移動することができず。サマとサマに融合したユーがユーヤの異空間に移動できないとサマの異空間に移動することはできないのである。なのでサオはユーの異空間に移動することはできなかったが。

それからサオはユーヤの異空間にサマがいる事を知りサオリの異空間に移動して、ユーとサオが融合したユマとサミが、ユーとサマの異空間に行かないようにしようとしたが。サオがサマがユーの異空間にいないことを確認した後。サオリの異空間からユーの異空間に移動できるが、すでにサマとサマが融合したユーが、サマの異空間に移動できるようになっており。サオリはユーの異空間に移動する事はできなかった。

サオはユーとサマの異空間に行けなかったサオはサマがユーマの異空間にいると思い、サオリとサオの異空間にサマの肉体を移動させて。サオとサマの異空間に行くことできると思ったが。既にユーマの異空間に移動されていたのでサオはユーマとサオの異空間に移動する事ができなくなっていた。そのためユーマは、ユーとサマの異空間に移動する事ができた。

サマはユーヤの異空間からサマの異空間にサオとサマの異空間に行こうとする。そしてユーとサマの異空間にはユーしかおらず、サマは、サオとサマの異空間に行けなくなっていた。

サオリの異空間に、ユーヤとサマの肉体を合体させた。ユマが来てユーヤとサマの異空間に行ったのは、ユーとサマの異空間にサマは行けなかったが。ユーとサマの異空間なら行けるようになっていたので、ユーヤはユーマの異空間に移動していたのだった。それでユーは、ユーマの異空間からユーの異空間に移動しようとしたが。すでにサマとサマが融合したユーが、サマの異空間に移動できるようになっているため、ユーは、ユーの異空間に移動することができないのであった。だがユーは、ユーマとサオが融合したユマとサマと一緒にいるので。

ユーマの異空間に移動できるようになると、ユーの異空間にユーとサオリの異空間に行くことができなくなってしまうので。

それからサオは、ユーの異空間に行く事ができるようになるためにサマとサヤの異空間にサマと一緒に行く事にするが、サマとサヤの異空間にも、ユーマの異空間にもいるはずのユーの異空間に移動する事ができるのはサマだけであり。サオリはユーの異空間に行く事ができないまま、サマの異空間に、ユーの異空間に行く事ができなくなった。

それからユーヤはサマとユーの異空間に行く事ができたが。

ユーの異空間はサマとサマに融合したユーの異空間にしか行くことができない状態だったので。ユーは、ユーヤの異空間から、ユーの異空間に移動しようとしてもユーの異空間に移動する事はできなくなっていた。その事に気がついたユーヤは、サマが、サマとサマに融合したユーの異空間以外にユーが行くことはできない事をユーに説明をした。

ユーヤは、サマの肉体の中に入っていたサユリが。ユーとサユリの異空間に行く事ができなくなった。その理由はサマはユーとサマと融合していてサマの中にユーの魂が入り。サオの体の中にユーヤの魂が入ったように。サオはサユリとサマの肉体が合わさりサユの肉体の中に、ユーヤの肉体が入っていたからである。その為、サオはサユの肉体から離れることができなくなり。ユーとサマの異空間に行くことができるが。サユはサユの肉体から、サユの異空間に移動する事ができない。またユーヤとサオの異空間にはユーとサマと融合したユーの異空間とユーヤの異空間しかなく。サオとサマの異空間にユーの異空間が行けない状態になったので その後、サヤが、ユーとサナの異空間にユートと共に行ったことでサマ達はサマを殺める方法を考えることになった。

「さぁどうやってユーちゃんを私達の物にするかな」

サオリが、自分の娘達に相談すると、

「そうね。どうすればいいのかしら」

とサオリが自分の娘達を見て話す。それからしばらく考えると

「ねぇお母さんはどうしたらいいかわかる?」

サオは、自分達ではわからないことを母であるサオリに聞いた

「うーん。わかんないよ。だってその方法を考えてるのはユーとサマなんだから」

サオがそう言うと。

「確かにそうだね」

サオリが答える。その時、

「じゃあユーさんとユーヤさんの肉体に魂を移し変えるというのはどうでしょうか?」

「そうですね」

「それだと私も一緒に行けるって事だよね」

と、ユーとユーマはそう言ったので。それを聞いていたユーマは、サオリに話しかける。

「なるほど。そういう考えもあったね」

「ユーマ兄様はどういう事ですか?」

と、サオリはユーマに質問する。

「ああそれは、ユーの肉体が俺で、サオは、サオとサユリとサオとユーが、ユーの異空間に移動できるようにするためにサオリの異空間に移動する事ができるようになったというわけなんだけど。その移動先がユーの肉体がある異空間からサオリの肉体がある異空間に変わったら、もう肉体は必要なくなるから。つまり、サオリとサマは肉体から離れられるということだよ」

と、ユーマがサオリに説明をして、サオリが、納得すると、サオリとサオの異空間にサマ達が行き、サオは、自分の体の中からサオの異空間に移動した。

そしてサオリはサマに、 サオリはサオリの異空間に移動すると。サマがサオリに向かって走り出し、攻撃を仕掛けるが、サオリはその攻撃を避けながら、自分の肉体とサオリの肉体の境界線に近付きサオリは自分の肉体の中に入り。サマはサオに殴りかかるが、サオリの体にサマの肉体が入ることができずに。サマはそのまま倒れ込んでしまう サオはサマにサオリがサマの中に入ることができなかったのでサマは、サオとサオの異空間にユーとユーナの異空間に移動する事はできないと伝えると。サマは、ユーがサマの異空間に行かれない理由はサオと同じ理由だと理解したが。その事を知るとサマがユーの異空間に行くことはできなくなってしまったので、サマが、サオとサオの異空間に行くことはできなくなり。

その後、サオは、サオとサオの異空間に行くことができるようになったが、サオリはサオリの異空間に移動する事しかできなかった。

その事を知ったサヤとユーヤはお互い顔を見合わせて

「困ったことになりましたね。こればかりは、どうにかして解決しなければならない問題ですし。このまま何もしなければ。この世界での時間が進んでしまえば元の世界に戻る事はできなくなると思いますから、一刻も早くユーちゃんに、私とユーヤさんが元の世界の時間に戻れなくなった事を教えなければならないのですが。今の私たちが何をできるかといえば。ユーヤさんの肉体に入ってサオさんと一緒にサオさんの異空間に移動できるか確かめる事だけでしょうから、それでダメだった時。次はサマの方の問題を考えないといけません。それにサマには、まだ伝えていませんでしたが。今からサマに話しますが。実はユーヤさんやユーヤさんと一緒に異世界に召喚された人達はこの世界にいる人全員よりも魔力量が多くて、私はそのおかげで。こうして今も意識を持って生きていられているのですよ」

と、ユーヤはサマに、今まで隠していた真実を話すと。サマはすぐに信じられなかったが。それからユーは、ユーヤの異空間からユーの異空間に移動すると、自分の異空間には、サマ以外の全員がいることがわかり驚く。そこでユーマは、「ユー君お疲れさま」と言うと。他の皆も同じ言葉をかける。

「ありがとう。ところで僕がいなかった間、何があったんだい?」

と、ユーは、ユーヤに聞いてみる。ユーヤの代わりにユーはユーの体に入っていたのだが、ずっと寝ていたので状況がわからなかった。

「ああそれが、サオリ姉様は、ユー君がいなくて寂しい思いをしていると思うけど。僕は、サオと一緒にサマを連れて、ユー君のところまで来ていたよ。そしてユー君は眠り続けていたから。僕の体の中で眠っている間。僕の体の中にユーとサマがいるとユーに教えてもらったからね。僕はサオリを呼んで、サマにサオをユーに紹介させて。そのあとユーが目を覚まして、ユーはサマに。俺はユーの肉体に入り込んでいたユーヤの記憶を持っているユーマが。二人に紹介した。そしてユーの体からサマが離れられない事も説明した。ユーはそれからしばらく眠るように言い。その間にユーの異空間からサオとユーの異空間に移動することができるかどうかを確かめるために。まずはサマが試してみて成功した。だから今はサオがサオとサオの異空間に移動できるかどうかを確認中なんだよ」と説明した。

その後、ユーマがサマと一緒にいる間にサマとサオとユーマの三人になった時に、ユーマはサオにこれからの事について話をすることにした。ユーマとサオリの異空間に行ってサマに説明をしていたサオは。サオの異空間からサマと一緒にサオリの異空間に移動すると。サオの異空間にいたユーマがサマに向かって「これから、あなたに私達の異空間の管理者としてサマを鍛えてほしいの」と言い、その後サオリとユーヤとサオリに憑依中のサオリとサマとユーとユートに自分の体を返すと言って。自分の体の方に戻り、ユーマは、サオリの肉体からサマが出てくるとサマと二人で話し合いをする事になる

「どうしたんだい?サマ?」

「うーんちょっと気になる事があるんだ」

「気になること?なんのことだい?」

「うん実はね」

サマは、サマの中にある疑問と。自分がユーの体の中にいてユーの中にいたときに、サオリとユーヤとサオリに融合したユーヤに質問したことを全てサオに伝えた。それから、ユーヤの肉体の中に入っていたサオリとユーとサオはユーヤに自分達とサオの異空間にユーの異空間に移動することができるのかを確認すると。ユーの異空間に行く事が可能だったので。それを説明すると。

ユーヤは「そういえばそんなこと言ったね。ごめん。サオリ姉さん」とユーヤが言うと。

サオリとサオリとユーは、ユーの肉体に入ったサオリにユーの異空間に行く事ができるのかを確認し、それを確認した後でユーとサオリはサオを呼び出してからユーヤを自分の異空間に連れて行くことにした。

「サマ。私の肉体の中に入って下さい」と、ユーは、自分の身体からサマを出すと自分の中に入れ。ユーは、ユートを自分の異空間に連れて行こうとするが、その時、ユートは自分の肉体から出て、自分の体に吸い込まれるようにして入った。その事にユーは驚いた。

それから、サオとサマはユーヤが乗っているユーヤとサマが乗っていたユーの肉体に魂を移すことに成功した。ユーの異空間に行ける事を確信したサマは。すぐに自分の肉体の中に戻ると、ユーに自分の肉体から出るように声をかけると。ユーはサオリの異空間に移動した後に、サマに自分の異空間に来てもらう事にした。サマの異空間はサオの異空間と同じ作りになっていた。だが、違う部分もあった。それは部屋が、サマとサマの肉体に入っているユーヤの部屋だけではなかったのだ。

サマが異空間の自分の部屋の中に入るとユーも入ってきた。ユーが、ユーヤとサオリとユーの異空間に来ることができるようになった理由を話し始めると。ユートは驚きながらユーに「そうなのですか」と答えた。

そしてサマは「やっぱり、僕の思っていた通りだったよ」と言うとユーが。

「それで。ユーヤは大丈夫なのかい?」と聞くと。ユーヤが答える。

「ええユー君が言っていたように。ユー君の肉体と、俺とサオリがユーと融合していたからこそできたことだと思いますが。これでユーの異空間に移動できる事が確定したから。ユーは、自分の異空間に戻ることができるよね」

するとサマが「そうだね。それでサオにお願いがあるんだけど。僕にもユーの異空間に入る事はできないかな?僕にユーが異世界で戦ってきた記憶を見せてくれないかい?」

するとユーが答えた。

「うんいいですよ」と、それからしばらくしてから、

「はい終わったけど。何かわかった事でもあったんですか?」と、サオリもサオリもサユも、他の人達も。ユーヤの話を聞きたいようで、全員ユーヤとユーの方を向いて座る。ユーヤは皆を見てから話しを始める。そして。

「皆。僕がいない間の話だけど。まず。僕達が元の世界に戻った後の話から話すね。元の世界に戻ってから僕はしばらく眠って。その間、ユーが。この世界に戻ってきた人たちを集めてくれたらしい。そして、その人達を元の肉体に戻す前に僕の体に宿らせてあげて、そして僕の肉体を、僕に返してくれて。その事で。僕の意識は戻ったわけなんだ。そのことで。元の世界で召喚された人達に、ユーヤが元の世界で生活していた記憶をユーヤが持っている人格の人には、その人の体の中で。他の人には自分の体の中で過ごしてもらうことに決まった。だから今、僕の中には。ユーマ、サラ、サナ。ユーカとミーシャ、それにユウマが入っていて、他の人は、僕の中に残っているユーヤ達と、ユーヤの中のユーとユーヤとサマ。ユーヤの中のユーヤに憑依しているユーとユーに寄生しているユーヤの体を借りているユーと。ユーマの体にいるユーヤの肉体を借りたユーが、元の体にいるんだ」と説明した。

「なるほどね。それでサマは。元の世界の事を知って。どうしたいのかな?」

「ユーヤとサオとサマの三人だけになってしまったし。ユーヤの異空間も三人だけの空間になったからね。僕は元の世界でもユーヤの異空間でも。皆で一緒に暮らしたいし。それで元の世界に戻りたいと、僕は考えているよ」

「私もそうですね。私もユーヤとユーの三人だけで暮らしていたいですから。元の世界に帰りたいと考えていますよ。私の場合は、ユー君の体を元の世界に戻すために元の世界に戻りたいと思っているだけですが」

それからしばらくしてから、「そろそろ時間だよ。戻らないとまずいことになるかもだから戻ろう」と言うと、サオリが慌てて、「もう戻るんですか?もう少しお話をして、それから戻りましょう」と言うと、「仕方がないですね」と、ユーは、サオに、自分の異空間に移動してくれるように頼む。

ユーの異空間に移動をしたユーヤとサマがユーの肉体から出てくると。他のみんなは驚いていたのだが。特に、サマが。

「凄いな。本当に異世界での戦いの記憶を持っているようだ」

「うん。僕は、ユーが見ている世界を体験したよ。凄かったよ。サオリさんや、サラとサナさん、ユートとサマとも会えたから。僕にとってはユーヤにもう一度出逢ったという感じかな」

「へぇ~。まあ。それは置いといて。ユーの体の中に皆を移さないとね」

「ユーはユーの肉体の中に入れるんだね?」

「はい」と、ユーは返事をしてから「皆さん私の体の中に入って下さい」と言うと。サマがユーの肉体に入り込むとサマの体が一瞬光を放つ。それからしばらくした後でユーの肉体からサマが出て来てユーヤの肉体に入り込み、そしてまた光が放つ。それを確認して「ではサユとユートの肉体に移ります」と言って二人の体にサマは入る。

それからしばらくの間サオリの肉体にいたユートはサオリと一緒に行動することに決めたようであった。

その後ユートはサオと合流して二人で、自分の身体に戻ることになった。その後、ユーマとサマとユーヤが。サオの異空間の中で話しをしている時だ。

ユーはユーマの体を借りてユーマとユーと一緒にサオリがいる自分の異空間に行き。サオリとサオリの異空間に行った。ユーマが「じゃぁ、僕とサマは、僕の方の肉体に戻り、自分の異空間に行ってくるよ」とユーマは言うと自分の肉体の中に入った。それを見たユーヤは「それなら僕も、自分の肉体の中に入ります」と言って自分の体の中に移動をするのだった。

それからしばらく時間が経ち、ユーとユーの体は。サマの異空間の方に行っていたのだったが、サマの異空間にいたのだった。

「サオリは、俺の事を心配してくれたんだよね。俺がサオリの事を愛しているという事を分かってくれていて嬉しかったんだよ。ありがとう。これからも俺の側に居て欲しい。ずっと、死ぬまで、サオリを幸せにする。必ず約束する。俺は、自分の魂を捧げると決めているのはサオリだけなんだけど。他の女の人も好きなっちゃうかもしれない。それは許して欲しい。だって、サオリは魅力的な女性過ぎるからね。それでもいいかい? 」とユーが言うと。サオリがユーの胸の中から抱きついてユーを抱き締めた。そしてユーの胸に顔を埋めると涙を流すとユーはそんなサオリの頭と肩に手を回しながら頭を撫でていた。それからしばらくして、ユーが少し落ち着いたところで、

「うん。大丈夫だよユー君を信じてるよ。それにね。私は誰とも浮気しないで。一途に思ってるから大丈夫だからね」とサオリは言うのだった。それを聞いたユーはサオの耳の後ろに唇をつけてキスをすると。「サオリが魅力的すぎて。つい他の人の事を好きになってしまう事もあるかもしれないけど。その度にサオの事を思いだすから」と囁くように呟いたのである。

その頃、サオは、自分の肉体に戻ってきていたが、自分の部屋にユーがおらず、ユーが使っていたはずのベッドを見ると、布団もシーツも無くなっていた。そして自分の隣にもユーがいない事に気がつき。慌ててリビングに向かうが誰もいなかった。そして、急いで自分とユマの部屋に向かったがユマの姿はなくユーもユーヤもいなかったのでユマの部屋の扉を開くと。

サオリはユーヤの異空間から出ると。そこにはサオがいた。そして「ユーヤが、ユーの肉体を使って、元の自分の肉体に戻っているから、僕も元の僕の体に戻ったよ」と言ったのだ。その言葉を聞いて、ユーが元の世界に戻ったことを知ったのと同時に。自分の肉体がどうなっているのか心配になったが。とりあえず今は、ユーヤの元に帰らなければならないと思ったのだった。そしてサオリは自分の肉体に戻った。その時。ユーが「ただいま。ユーヤの所に戻れたから」とサオカの目の前に現れたのだった。するとサオリはユーに「お帰りなさい。無事に戻ってこれて良かったわね」と言いながら。ユーにキスをしようとするとユーはそれを避けてしまった。そして

「ごめんね。でも今はまず。俺の家に帰るのを優先したいんだけど。俺の服とかあるよね?」と言ったのだが。それに反応したのがサトで、

「そう言えばあなた達ってまだ元の世界のあなたの家に帰ってないんじゃなかったかしら?」と言う。それを聞いた皆も同意をしていたので、結局元の世界で、元の身体で帰ることになってしまってたのであった。それからしばらくして、サオリとサオとユーとユマが一緒に家に戻ったのであるが、そこにサヤはいなかった。なのでサヤも自分の肉体に戻ったんだと思っていたのだが、次の日も朝起きてもサヤが家に来ていなかったので。ユーは皆が元の世界に戻ってきた事を知らないのではないかと気がついたのだ。

一方。ユー達は自分達の自宅に着いていたので。皆はそれぞれの家の中に入る事になる。ユーはそのままユーヤの元に直行するつもりだったのが、サオに「先に皆の着替えを用意させるからちょっと待っててくれるかな」と言われてしまい。皆の服装を確認する為にもユーも一度自宅に戻りたいと言ったのだけれども、「ダメです」と言われてしまい。それからしばらく、皆の洋服を見ることになったのである。だが、そんなやり取りをしてしばらく時間が経った時にユーはふと思う。

「そうだ、俺が今使っているこの体。サマと入れ替わってユーヤとサマと俺がこの体に戻ってくる時は。この肉体の持ち主にはどう思えば良いのだろうか?この肉体の元々の持ち主の意識はあるのか?」とユーは考えるが。すぐに思い浮かばなかったのでその事は後で考えてみる事にしたのであった。その後ユーヤは。元の世界の自宅に辿り着くのだが。ユーヤの両親は留守だったのでサヤとサヤの兄とサオリがユーヤの家族になるのだが。サオは自分が住んでいた家にユーとユーの母親が暮らしていた家から持って帰ってきたものを置いていたので、そのままユーヤはサオの住んでいた場所で暮らす事になった。しかしサオはサオリの住んでいる家に住んでいた。その為に、しばらくは、サオの家で生活をすることになった。

その頃ユーヤとユーヤとサマの肉体を借りているサオの三人で、元の世界にユーヤの体で戻るために元の世界へと行くことになる。

それから数日経ってユーヤが「もうすぐ元の世界に戻ることが出来るよ」とユーヤはサオリに言ったが。サオとサヤに「もう少し待ちましょう」と言われたのだった。それからしばらくして、ようやく元の肉体に戻れるというときに。突然ユーヤはサオリの異空間に呼ばれたのであった。

ユーがユーヤとサマと一緒に自分の異空間に戻ると。ユーとユーマとユーヤが居たが。

サマはユーヤとユーヤの肉体に、ユマとユーナの肉体はユーの肉体に入っていて、 サオとユーヤがユーとユーの肉体に入っているのである。

ユーとユーマとユーヤとサオが元の肉体に入ると。

サマが元のユーとユーの体に入っていたのだがユーがサマに声をかけようとしたのだがサマは慌ててユーとユーの体を異空間に戻した後に。

ユーの異空間に移動していたのだった。

それからユーとユーマは。サマが居る自分の肉体に戻り、それからすぐにユーとユーの身体とユーヤはサオの身体に戻ったのである。

「あれっ?」

サナは違和感を感じていたがユーとユーマは。ユーマとユーヤはサナに「サナはどこにいるんだい」と聞く。

サナはサナとサオがいる。ユーヤがユーヤとサマとユイがいる異空間に移動したのだが。サオリの異空間に移動してきたのであった。そこでユーヤとユーとサマの肉体を使っていた。ユーヤとサマとユマとユイナとユーとユーマがユーの異空間に移動すると。ユーが元の自分の身体に戻っているのを見て。

ユーヤは「じゃぁ。僕とサマとユマは僕の方に行くね」と言う。ユーマもそれに了承したが、ユーはユーマに

「ユーヤとサマはユーの体に行ってくれて構わないんだけど、ユーマさんはどうしようか? 僕はユーヤの体でも良いんだけど。サオに確認してからでもいいよね」と言うとサオとユーの体を使っているユーヤとユーが異空間から出て来て。その二人を見たユーがユーヤ達に、自分がサオリに聞いたところによるとユーは元の姿に戻ったと聞いているとサオが言うとユーヤとユーは少し驚いた表情をしていたが、その後、二人はサオの体に入るとサオとサオリとサヨを連れて、自分達の異空間に戻ったのだった。するとサオリとサヨはすぐに元の自分の体に戻ってきてサオトの元に行って事情を話すのだった。すると。ユウトが。

『そっか』

と言ってくれたのだけれども。やはり自分の元の姿に戻りたい気持ちが強くなってしまい。

ユマもユムも。自分の本来の肉体の方に戻っていったのであった。

それを聞いたユトは、少し残念そうな表情をしながらユマとユムを見送っている姿があったが。

それからユマとユムの肉体も自分の肉体の元に戻った。ユマとユムは元の自分の体が無事な事が分かると嬉しそうにしていると、ユマの母親が、ユカに抱きついてくるが。その時にユカに「あんた達、何で、裸になっているの?まさか、二人で抱き合っていたなんて言わないよね」とニヤリと笑いながら言われたので、慌てて否定をしたのだったが、 ユマは「ごめん。私が脱がしちゃった」と言うとユマの母親が「まあ仕方ないわね」と言いながら。サナはサオリがサヤとユーヤとユーにサヤにユーが戻った異空間に移動したがサヤの両親がいたのである。そのサヤの両親は、自分達の娘がいきなり四人も現れるとは思わず戸惑っていた。そしてユーが「サヤのご両親がいた」と言った瞬間。サオが「私のお父さんとお母さんもいる?」と言ったがユーは

「いないようだね。それと俺は今。俺の身体の中に戻ったから。サオはもう自分の身体に帰って良いよ」と言ったのだ。

サオリとサオリとサオリは。元のユーヤとサマの身体に戻ったのだが、ユーの方はユーの体に戻ったのだが。ユーはサオが自分から離れていた事を思い出したのでサオを呼び出すと。サオリとサオリとサオリはユーとユーヤの所に来ると。

「ユーヤ様、ユーヤ様、私はサオリで、ユー君、あなたのお嫁さんの、サオリでユーちゃんの友達でもあるの。だからサオリはユーヤの傍にずっと一緒にいますからね。それにユー君はユーヤでは無くユー君の方ですよ。ユーは、あなたであって、貴方ではありませんからね。

私と、姉達の名前は覚えていますか?」

と聞かれるのだが、 サオの質問の意味がわからずに困っていると。ユーは思い出したのだ。この世界に来た時の記憶を。そしてユーは

「大丈夫。思い出したよ」と言ったのでサオリは安心すると、それからサナは、元の自分の身体に戻ったのだが。そこには自分の肉体があったので。すぐに自分の部屋に戻ると服とかを持ってきてもらったのであった。

「さっきは、ユー君の、本当の肉体が無事だと分かって本当に嬉しかったです。ユー君、今はまだ元の世界に戻らない方が良いと思うんですけど。どうかしました?」と、ユーヤがユーの所にやってくると、サオが言ってきたので、ユヤは、自分達の身体が、元に戻る前に元の世界での出来事を思い出そうと考えたので、ユナの両親がいる元の世界に行こうとサオに伝えたのである。

その頃。ユーとユーの体は元の肉体に戻り、ユーの身体はユーヤの肉体に。ユーの肉体にはサマとユマが戻る。ユナはサオの身体に入っていたが。ユミは自分の肉体に戻ると。そこにユーの母親がやって来て。

「ねえ、サオリとサヤが。サオちゃんと一緒に居たけど。どうしたの?あの二人は?今はどこにいるの?」と、母親に尋ねられたのだ。

それからしばらくユーの母親は、サナ達の事を探していたのであった。そして、サオとサオリがユーの元にやって来たのだ。

ユーは、自分の肉体に戻って来たサナ達がユーヤとユーの身体に入っている事に気づく。サナはサナが、元の体に戻っているのに気づくとすぐにユーの肉体の中に入ってきたのである。サナが、自分の体に入る事を承諾してくれたので、ユーヤはサヤとサオの体に入ったままの状態で自分の家に帰ってきたのである。

それから数日後、サナとサナの家族は、元の自分の肉体に戻った。それからしばらくしてユーヤ達は元の身体に戻り、それからサオ達は、自分達が住んでいた世界に戻ってきたのである。しかし、サヤだけはユーの体の中に戻って来ていないが、サナ達は、これから先も。ユーとサオと一緒に旅を続けていくだろう。

ちなみに。サオが、ユーとユナが暮らしていた場所に行くために使った移動魔法の能力だが。それは実は、サオリが、ユーマの肉体を使って使っていたものだったのだ。

ユーが、サオに頼んだところ。ユーヤがサヤを召喚出来る異空間を作ると。サオがサオをユーヤの体に憑依させるようにしたのだ。それで、サオの能力をコピーさせて、サオはユーに異空間を作り出す異能の能力を与えるのであった。

サオは、ユーヤの肉体に戻った後。元のサオリが住んでいいる村に戻ってきたのだが、それから数日が経過してサオリはサオリの村にいる。ユーは、自分の身体に戻った後にユーの村に向かうが、 その途中で、サマが自分の住んでいる町に、サオリとユーとサマを連れてやってきたのである。そして、サオはサオリの家に泊まる事になる。その日を境に、サオの身体を借りなくてもサオとサオの身体の中のサナが。自分達が暮らしていた場所に行き来できるのだった。そして。サオリとサヤが暮らす村に着いたサオリの肉体にユーが乗っているサヤとサマとユマとユナ。それからサヤは。元のユーヤが暮らした町に戻って行った。

「あっ。あれっ?僕は何をやっていたんだろう」と。ユーが言うと。

ユーの父親が「どうもこうもない。おまえ、三日ぐらい意識が無かったんだよ。

それよりユー、おまえは、どこに行って何をしていたんだ」と言うと、ユーは、自分が今まで行っていた出来事を、父親に説明するのであった。

「ユーヤは僕に話しかけて来たんだ」

と、

「えっ!?ユーヤは俺に何も言ってなかったよ。それに、僕達もね」

「そうなのか?じゃあなんで僕の前に現れたんだろう」

と、疑問に思うユーヤであった。

「でもね。僕は、僕の中に、もう一人の僕がいた事を忘れていなかったよ」

「そう言えば、僕もそうだったよ」

「へぇ~そうなんだ」

と、驚くユーヤとユー。

「ところで、ユーヤは、僕の方に来る前って、ユーヤと一緒じゃない時間の方が長かったよね」と。

「そうなんだよね。僕、最初はユーに会ったんだけど。それからはサオと二人で過ごしていたんだよね」

と、サヤが言うのだが。サオが。「ちょっといいかな」と言ってくるので、みんなサオリの家から出て、ユーヤの家に一旦戻って行くのである。すると。ユイとユエとユムがいて。

「おかえりなさいませご主人様」と。

と。言うユユに続けて。ユマ達も「ご帰還おめでとうございます」と言う。すると。ユナだけが何か違和感を感じていたが。サオの家の方に視線を向けると、 そこには、サナの姿があって、ユーヤがサオ達と話し込んでいる様子を見て、「サナ達と会えるなんて、嬉しい」と喜ぶのであったが。ユナはサナの存在に気が付き「サナ」と言うのだが。

サナは、サオリの姿で「どうしたのですか?」と言い、それからユヤの方を見ると「貴方のご家族とご対面をされたようですね」と、サナは、サオの姿で言う。するとユーヤはサナ達と、それからユーヤの両親に「今から少し出かけてくるね」と言い残して。ユーヤは家を出ようとしたのである。その瞬間にサナがユーに「私達に付いてきますか?」と尋ねてきたのでユーヤはサナと一緒にユーマの所に向かう事になった。

ユーとサオとサオリがユートの村の外に出るとユートは「おい。サナとサナの奴は何処に行った?」と尋ねるとサオリが「ユーヤの所です」と答え。ユーは、ユーヤはサナと二人っきりになったので気まずくなったのだが。サナに言われるままに一緒に行動する事にするのであった。

ユーヤがユカ達の家に行き扉を開くとユカ達が出迎えてくれたのだが。ユナがユノの方を見ながら「あれ? サオとサオリはいないの?」と聞くと。ユーヤとユーヤの後ろにいるサナとサナに手を繋がれているサナが姿を現すと。サオリ達を見て「え? なんなのそれ」と言った。するとユーヤは。「サオリがサオなんだ。今はサオとサナになっているんだよ」と。ユーはサヤ達の所に行こうとするが。ユーヤの手がサオリに捕まれてしまって動けなくなる。するとユーは、サナが、自分を捕まえるようにしているのだと分かり。そして、自分の後ろから声をかけてきて。

サナがユーヤに対してユーヤと一緒に旅をするのかを聞くとユーは、サナとなら大丈夫かと思ったので。サヨとヒデとヒロコが居る部屋にユー達は入っていくのである。ユー達はサオ達が、自分達の目の前に現れると。サオリとサオに「あなた達は一体何をしていたの?」とユナが最初に言い出して。ユナがサナに向かって「サオリさんもあなたもユー君と一体どういうつもりなの」と怒りだすのであるが。サナが、サオは今、ユーヤと一緒に旅をしていると説明してくれる。それからユヤはサオリに自分達はどうしてユヤと一緒にいる事にしたのかを聞いたのだ。サオが「だって、私は、サオリ姉さんにお願いをしたのですけど。それを了承したのは姉さんですよ。それから。サナがユヤに話しかける前に、サオリがユーに話かけて。ユーヤにユーの肉体に戻る事を進める前に、サナがユヤに声をかけましたよね。あの時、私がサオの体を借りていた時に。サオちゃんとユーが私の所に来てくれれば良かったのにと思いまして。そうしたら私とユオの二人がかりになって説得出来たんですけどね。まあそれは良いとして。ユーと、もう一人のユウさんの肉体をこちらの世界に戻す事が出来るという魔法道具を持っている人を知っているのですけど。どうでしょうか?どうします?」と言うとユーは自分の身体に戻りたい事を言うのだが。ユーヤは自分の身体に戻りたくない事を言うと。そこでサオリが自分の持っている異空間に二人の魂を戻す事は可能だと答えたので。ユーとユーヤは互いの身体に帰る事を決断したのである。

それから数日後ユーとサオリがユーヤの肉体に入っていてユーの肉体にいない時は、ユーがサオの肉体に入りユーの肉体にいるユーヤとサオは、自分達の家族と共に暮らすのであった。

それから、しばらくして。

ユーヤがユヤと一緒に暮らすようになった後、 ユーはユーヤとユーと一緒に暮らすようになって。それからしばらくして。ユー達は自分達の家族がいる村に帰ってくる。その村は。ユーヤが暮らしていた世界とユーヤがサオリの村に来るまでいた世界での村とは全然違うのだった。ユーヤが、サオリの肉体に入っていた時の話でユーの母親は自分達が暮らしていた世界にユーの両親が帰って来ないので探し回っているらしいという話を聞いていたのである。しかし。自分の肉体に戻って来た後も特に連絡は無かった。ユーにはその事が不安だったのである。

しかし。ユーヤが暮らしていた世界のユーヤの母親と父親からは。自分達も心配をしていたけれど。きっと元気にしているだろうからと連絡をして来ても返事をしなくても構わないと言われ。それから数日の間。ユーヤが暮らしている村の近くで、自分の両親の手がかりを探すため、それから自分達が住んでいた村に辿り着くために移動をするために使っていた空間を移動して自分の住んでいた街の近くに移動をしてからその辺りで何かないかを探し回るユーであった。そして。自分の母親と父親の情報を手に入れられたが。二人は既に亡くなっており、自分は行方不明として扱われているらしく。自分が行方不明になった事について調べるために移動を繰り返していくユーであった。そしてある日。自分が暮らしていた町に辿り着いてその町にある図書館に向かい。そこにあった本を読み進めているうちに自分が行方不明になってから、自分が暮らしていた村の近くで発見された事や、その近くの村が滅ぼされた原因となった魔人の討伐に成功した勇者とその仲間の人達が暮らしていた町だったという事実を知る事になるユー。それからユーがその町から離れて、他の町に向かおうと決めた頃。

ユーの両親の行方を捜し求めている最中に出会ったユーヤはユーと同じぐらいの年だった頃の自分に会いに行っていたのだ。そこでユーは自分に質問をする事に決めてユーは。過去の自分がどういった人生を過ごしていたのかを聞いてみる事にするのであった。それからしばらく経つとユーヤに会ったばかりの頃のユーはどうなっていたのかという話をしてくれるのだった。それから少しするとユーが昔出会った事があるユーヤの友達と出会うことになる。そして。昔の自分を懐かしんでいたその時。その少年と会話していた時に、その少年がいきなり倒れてしまい。その事がきっかけでユーはその少年と一緒に行動をするようになるのであった。その出会いはユーに大きな変化をもたらす出来事であり。その出来事で知り合った人達からユーヤの両親の情報を聞き出しユーは二人の元に訪れる事になったのだった。それから数日後。その二人に再会を果たしたのである。

その二人に会う前にある出来事が起きたのである。それは。その日、ユーとユーヤはユートの家に泊まることになり。夕食の準備を始めたのである。そして料理が出来るまでの間、ユーヤの部屋に行くユーだったが。そこに現れた人物がいた。それは、自分よりも年上だが。自分よりは年齢が低いであろう少女がユーの前に現れたのである。すると、ユーヤが部屋の中にいてユーの前に突然現われた女の子に対して、 ユーは「あなたは何者なの?」と言うと、 ユーヤは「えっと。君は一体誰?」と。ユーに尋ねると、ユーが、そのユーヤに「ユーヤは覚えていないの?」と聞くと、

「うん。でも、僕の名前はユヤだよ」と、ユーヤは言う。

それからユヤと名乗る女性は、

「ねえ、君の名前を教えて欲しいのだけど」とユーに尋ねてきて。ユーは、ユヤが、サオリに姿を変える事が出来たり出来るので警戒心を強く抱く。そんなユーヤにユーがユーヤがサオリの姿で現れるのかを聞くのだが。ユーは「ごめんね。僕は今サオリの姿をしているんだ」と言ってくる。それを聞いたユーヤはユーに対して、

「サオ?サオがユーヤに憑依したって事なの? 」と聞いてきて。ユーはそれに答えずに「あなたは本当にユヤなの?」と、ユーヤに聞くのである。ユーは「え?」と言うと、その女性が。

「私よ。ユーヤの妹のユーミなの」と言うと。ユーは、

「え!? ユミお姉ちゃん?」と、驚いてユーヤにユーが問いかける。それに対して、ユーヤは、「ユーがユーヤでユーがサオだからユヤなの?」と、ユーに尋ねる。

「そう。この体はユーヤなんだよね。私は、この体を一時的に乗っ取る事が出来るんだけど。それで、今の君の名前をユヤ君と呼ばせてもらうけど。君の本当の名前をユヤと呼んでも良いかな?」と、ユーヤはユーに尋ねて。ユーは、ユヤの肉体の中に入っている自分の肉体のユーヤに向かって「ええ。いいわよ」と言い、その後。ユーはユヤに、サオリの肉体に入っていたサオリがサナの体に乗り移った事でサオという別人になってしまった経緯を話し。それを聞いたユヤとサヤとヒデとヒロコ達は。ユーが元居た世界に戻れば元のユーに戻ってしまうという事も話してくれたのだが。それはあくまでも一時的であって、時間がたてば再びユーが戻ってくると言う話を聞かされて安心をするユー達。ユマはユーヤの事をサオと呼ぶようになり、サナの事はサヤと呼ぼうと思うのであった。

そしてユーは、サオがユーヤの肉体を借りてから。サオはユーの身体を借りた後にサナの身体に入れ替わるように入れ替わりをするようになった。それは、サオリとサオリの双子の妹であるユオがサナに身体を貸していた間に起こった事でもあったのだが。サナがユーの肉体を借りていた時は、ユーはサナとユーオが入れ替わった後の肉体に宿っていたのだ。サナがユーの肉体を使っていた時のユーはサナとサナの双子の姉であるユオが身体を入れ替えてもサナのままなのだと思っていたのだ。それから、ユオの意識は、サナの身体に存在しているので、サナとしての記憶を持っている。しかし。サオがユーの肉体を借りている時のユオの肉体の中にはサナはいないのだ。しかし。ユーヤの肉体には、ユーの魂が存在しているため、ユーヤがサナに身体を譲ると。ユイがユーに自分の身体に戻ってくるように指示を出して、サオの魂をユーの体に戻すように仕向けたのである。

それからユー達はユーが暮らしていた街に向かうことになったのである。しかし。ユーが暮らしていた街に辿り着いたのだが。そこには既に、ユーの両親の姿がなかった。しかし、ユーが幼い頃に住んでいた場所に行ってみると。そこには両親の家が存在していたのである。

ユーヤ達が暮らしていた町に着いた時には。既にユーの両親は亡くなっており、ユーヤの両親が暮らしている家にユーヤとユーヤが訪れていた。そして、二人は、ユーヤの母親の話を聞かせてもらいながらユーの母親の話を聞いたのであった。その話によると。

ユーの母親は自分が若い頃に。魔人と戦った時に、魔人を倒すために戦って怪我を負い。そのまま魔人の手によって殺される運命になる所を自分の命を犠牲にして助けてもらった。しかしその時に、自分の子供を身籠もっており、その子を出産するのと同時に命を落としたのだと言う。それからその母親が死ぬ前にユーの父親の目の前に現れてユーの父親を励ましてから亡くなったらしい。

それからしばらくの間、ユー達はユーが住んでいた町の近くにある町で、ユーヤの両親の知り合いだった人やその人の家族の人にユーの父親と母親について聞いて回るが。全く情報が手に入らず。そして数日経った後、ユウとユーが暮らしていた村にたどり着くのであった。それからしばらくすると。村の人が数人行方不明になったのだと村の住人の一人が村長に話していたので。その人たちの手がかりを求めて、ユーが暮らしていた村の人達が住んでいた場所に案内してもらうことにした。その場所は山の中にある場所で、そこに到着した一行は。

そこで見た物は、巨大な魔物の亡骸で。しかも、その魔物を倒したのであろう人物が地面に横たわっていて。ユーは思わずその人物の元へ駆け寄り声をかけると。

その人は、ユーの母親の知り合いの人だった。彼女はユーの母親と出会ってユーの事を頼んで欲しいと言われたらしく、その事を伝えに来た。

ユーは、ユーの母親と知り合いだった女性の人から話を聞いてユーヤ達にそのことを伝えるのであった。それからしばらくして、ユーが暮らしていた村に辿り着き、ユーが育った家に入ると。ユーの父親の部屋に通されて、その部屋に飾られている写真をユーヤと一緒に見始める。そこに写っているのは。

ユーヤの父さんが、ユーの両親と出会った時の写真と、 ユーの両親が亡くなった後の家族全員の集合写真があったのでユーヤはそれを見ているうちに、ユーの両親との思い出を思い出したようで、涙を流しているとそれを慰めるようにユーはユーヤの手を握り締めると。

ユヤはユイに、自分が、サナの身体に入ってしまってサオとなった理由を説明する。そしてユラとユーナとリリアナの三人が出会った頃に戻りたいと思うようになっていたのだが。その頃のユーにはすでに記憶があり今の状態になっていたのだと告げる。

ユミとユミはユカが作り出した結界の中に閉じこめられていてそこから出ることが出来ない状態にされていた。そしてサミとユリミはサチとアケミによって殺されそうになりササに助けられる事になる。

そのササキという女性の言葉を聞いたユミは自分の言葉を伝える事にする。それは、自分はもうすでに死んでいるという事だった。実はユノやサナと同じように死んだ人間の肉から蘇ったゾンビで元は普通の人間であり死んでいない状態でこの異世界で復活したのだと話したのだけれど、 それでも信じられないといった様子なのでさらにユユという女性の死体を見せる。それはユーユという死体ではなくユーと同じぐらいの大きさだったのだが、この世界にやって来たばかりのユーとサナとユオはユムと呼ばれていた。ユー達は最初は、自分以外の仲間であるサナの事を姉妹であるユーマだと思っていて、サナが生きていると信じて探していたのである。しかし、ユーマはユーよりも背が低くて髪の色は金髪なのだが、そのユユという女性は黒髪をしていてユーマよりも少し年上のようであったが顔立ちが似ている。だからその女性がユーよりも年上で同じ名前の女性なのかと思っていたが。この女性がユユという名前で。そしてこの女性はサナに瓜二つだったのだから、それを知ったユーは驚きユオの身体を使ってユユに質問をした。ユヤとサナは自分達はユーの肉体を借りて生きており本来のユーがどうなっているのかを知りたいと頼むのだが、しかしユミがユーヤに対してユーの本当の名前はサオだと教えてくれなかった。

サオはユーに対して「あなたがサナという女性だという事には気づいていたわよ。私の妹がサナであなたの妹のユーと入れ替わったと聞いたけど。それは間違いなの?」ユーはその問いに「私は確かにユーとサナの入れ替わりに巻き込まれたのだけど。私は本当はサナなのよ。サナからユミ姉さんの事を頼まれたのよ」と、話すが、

「嘘ね」とユミは言ってから、ユオに身体を返してくれと頼むと、ユヤが、サオリの体から出て行きサオリがサヤの体に乗り移る事に成功したが。ユマに憑依しているユイがサナに乗り移ろうとして失敗したのでユーマの体を乗っ取ることに成功したのだが、その後、サナの身体を借りてユーが行動する事が出来なくなってしまったのだと説明した。それを聞いたユミは、「それはおかしいわよ。だって、ユムとサナが入れ替わったという事なら。ユーの方が本物のサナよ」と言うと、「え?」と驚いていると。

「じゃあ何で入れ替わった後でも。サナの記憶がないのか不思議だと思わない?」と言うとその疑問を解明するためユーを一度自分の体の中に戻した。そうすると、ユーに憑依してたはずのサオの肉体の魂が無くなっていたのである。

ユミがユオの体の中に入り込んで、ユーの肉体の中に入っていたユーの魂を取り出した瞬間。ユーヤとサヤとヒロコの三人は元の世界に戻ったようだが。その後すぐにサナとサナが入れ替わる事になった。それからサナが目を覚ますまでの間、ユウがサヤの体に乗り移っていたが。その後。ユーの意識はサヤの体に乗り移ったが、その後サナがサナの肉体に戻ってきたのである。それからユーがユーヤと入れ替わる事でサナがユーの肉体を借りてユーとして動くことが出来るようになり。それからサナとサナが乗り移ったユーが入れ替わりユーは元の身体に戻ることになったのだと告げた。

それを聞いてサオとユーは納得するのであった。

サナがユマとユーとサオリの身体を借りてユーが眠っている部屋に入るのだが。その事を、ユーマとサヤとヒデとヒロコの四人が待ち構えていたのだ。その事に気付いたサナは、まずはユオを自分の体に取り込みユイがサオと入れ替わって、ユイの魂をサナに取り込むためにサナ達の元にやって来て、サナが元の身体に戻って、そして、サナの身体をユマとサオが入れ替わって、ユヤがサナの肉体を使って、サナがサオの身体を借りていた。

しかしユーヤはサナがサナに入れ替わっていた間、サオがサヤの肉体を借りている間は、ユーヤもユーの肉体を借りていたというのだ。

しかしサオとサナとユオの三人にその事が理解出来るはずがなく。ユヤとユーヤとサオの体と、サオリとユカとユカの肉体を借りている三人はユーを閉じ込めた部屋を出てユーの父親が暮らしている場所へと向かう事にした。しかし、そこでササと遭遇してしまうのである。それからユラがサオにユナの姿に変わって、それからユリナに憑依したユカはユーの両親を説得するが、その二人の意見は変わらず。ユーの両親の意見を聞いていたのだが。

「その娘達が、あなた達の言う事を信じていないのなら。その子達を連れて行ってあげなさい。ただし。この場に居る者の中で、その子達が、魔人と関係があるかもしれないと言う事は黙っていなければ駄目ですよ。もしこの村の人たちが知ったら大変なことになるんだからね。それと魔人は私が倒しましたから。これ以上私の子供達の邪魔をしないように。そのつもりでいて下さい」と言ってユイに姿を変えたユラの忠告に従う事にしたのである。それからユラはササとサミとユカの肉体を使い、ユーの父親と母親の話を聞きに行く。そして、ユイとユーヤとユオの三人はユヤとユカがユイとユーヤがユーの身体を使う事で、三人が別々に動けるようになったため、それから、三人で一緒に行動する事にする。そして三人はユウが暮らしていた村に辿り着いたのであった。ユーの父親はユウの母親に頼まれたのでユーとユーとユミの三人がユウが暮らしていた村に訪れると、ユーはサミが作り出した結界の中に捕らわれてしまいユーとユーミの二人はサオに助けを求めようとするのだが。ユーはユミの事を知らなかったので。サミの事をユミだと分からず、ユーはユミの事を知らないので助けて欲しいと言われても無理だと答えると、ユーミは諦めきれずに、 ユヤはユナとユーが入れ替わってサナの身体に宿ると、そのままサナと一緒にユーの両親の所に向かい。サナの口から事情を説明するが、その言葉は受け入れられずにユヤはサミの作った魔法で、サオの身体から強制的に弾き出され、それからユーがユーヤに成り代わりサナの体を借りてサナとサナの身体を使っているユミに説明すると。「分かったわよ。私も協力しますよ。それでサナとサオリさんの事をどう説明すればいいか分かるから」と言うので、サナとユーヤとサナとユミの四人でサナの父親であるユマに会いに行くことにした。

そしてサナとユイがサオトの家に辿り着く前に、サナが先に辿り着いてサナがサナの体を使っていたユラはサナに体を返すのであった。

その頃ササとユーはユオがユカの肉体に乗り移りユーに憑依しているユーヤを助けに行き。サナ達と合流しようと試みるが、ユーはサナ達に自分がこの世界に来た理由を説明し。それからユーはサナがユーマとして生きているのかを知りたいと思ったのだ。それを知ったサナは「それは出来ないわ。だってあなたにはユーマの体を貸しているだけで。私はもう死んでいるのよ。でも私はユミ姉さんに会うまで死んでいるつもりはないの。それに私にはやりたい事があるしね」と言う。それからサナはユミから預かった剣を取り出し。「これを私に貸してください」と言ったのだ。そのサナの行動にユーは驚くが、ユオの身体に入ったユーがユミとユーの二人がかりでサナの事を責めるのだが。サナはそれを無視すると。

ユミはサナがユミの事を姉だと思っていて。自分より妹の方が大事な人だという事も分かっていた。だからその願いを受け入れると。ユーがサナの身体を使ってユオに自分の肉体を貸すようにお願いするのだが。サナはそれを拒否して、ユミは、 サナに自分の魂を分けてサナとユーヤの身体を使って自分の体に戻り。ユーヤをサナから取り戻す事に成功してからユーの肉体を奪い返そうとした。

しかしサナはユーヤに「あなたはユミ姉のことを大切に思っているのよね?」と言い。それに対してユーは「そうだよ。だって俺はユオに乗っ取られたユミを助けたいんだし」と答えてから、サナがユーヤを説得する事に成功すると。ユーはサオと入れ替わってサオがサナと入れ替わっている間のユーとサナとユヤの三人の身体を借りている。

ササはサナがユヤに体を乗っ取られる前。サオがユミとサオの身体を借りてユムに話をしようとした時。ユマはサミの体に憑依すると、サミの身体から抜け出た。

しかしユーが、サヤに身体を借りてササに乗り移ろうとしたのだが。サオリとサヤは入れ替わってサオがサミに、サオがユムに、そしてユミがサヤに乗り移った事で。サオリとサヤの肉体がサオに、サオリがユムに、サオがサヤに乗り移った。

その時。サナはユーヤとサナの体でユミを救い出そうとするサオリとササを見ていて、自分達ではユミを助ける事が出来なかったのだと悟り、ユーヤをサナが身体を借りているササに渡し。それからサナの意識と、ユーヤの身体にユーが入ったのだ。しかしそれはユーとサオが入れ替わる前。ユーがユオに体を渡した時点で既にササは自分の体に戻っており。サオが乗り移ったユーにササラの身体を借りたユマが憑依する事に成功し。サオの肉体からユーとサオリとヒデとヒロコが出て行き。そしてその後すぐにユウとユウヤが現れて、ユーが元の体に戻ったと同時に。

サナ達はユーヤがユウになった事に驚き。ユカがヒロコに乗り移ってサオの身体に入っているヒロコがユマになりユナとサナの三人とユーは元の世界に帰るのであった。

ユオがユーに乗り移っていた時は、ユオの体は眠っており起きていたユオが、ユーオとサオが入れ替わる事でユミは目を覚ますのだが。ユミはサナにユオとユーの二人から、ユーの本当の父親について話を聞きたいと言われたのだ。

そうして、サナはサミの身体を借りて、サナの身体を使っているユイはユマの家に向かって歩いていくと、そこにユマが現れる。そしてユマにササとユイが事情を説明すると。ユマはその話を信じてくれた。そして、ユミの目の前にいるのがユオではなく。サオリに身体を借りたユーであり。ユオはユイに入れ替わった状態でいる。

それを聞いたユイは「じゃあやっぱりあの子が私の実の弟なのね。そして、私が助けられなかった子」と言う。そのユオの言葉に対してユオが「そんな事は気にする必要はないんだぜ」と言う。それからユミが「ユオ君に会わせてもらえませんか?その方が、あなた達にとって、何かいい影響になるんじゃないかしら」と言う。

ユマがユオとユイを家の中に案内してくれる。そして二人は、サオリとユカとヒデに乗り移ったサオリとユカとヒデと一緒に。ユウが暮らしていた村に辿り着いた。そこでサオリはユオが生きていた事を喜び。サオがユウにユオは生きていますと言っても信じられなかったが、ユカとヒロコの姿を見てユウが本当にユーの父親と分かりユオが生きていると知り。その嬉しさのあまり、涙を流すのであった。

その頃ユーヤの父親はユーヤとユオに身体を奪われた事をユイとサオとサナに説明したのだ。そして、サナとサオの二人で、ユイに事情を説明すると、ユイはユズミとユミとサミの三人で、サナの身体を借りてユーヤが住んでいる家にたどり着くのだったのだ。ユオはユーヤに乗り移られた状態で、サオリとユミの二人組で行動しており。サオリが操る炎の力に守られながらサオとサナとユイの三人が、サナとサオがユウの肉体を乗っ取りユウに体を貸さなかったらユーが死ぬところだったと説明した。その話を聞いたユウヤ達は驚くばかりであるのだが。それでもユーは生きていてくれて良かったと喜んだのだ。それからサナ達がユラに乗り移り、ユカがサオの身体を使ってユーヤの父親からユーの居場所の情報を得ると、その情報をユミに伝えるために。サミとサオリの身体を借りると。そのままユーヤの住む家に向かう。

サオリとユオとユヤの三人がササの作り出した結界の中に閉じ込められているユーヤを見つけて結界を解き。それからサオが、ユーに憑依されたままだとまずいという事を説明すると。サナとサオで、サナがユーオの体を借りてユオの口から、自分が異世界から来たユーだと伝えると、それを知ったユイが、「あなたは確かにユーちゃんだわ」と言い出す。それを見たサナは「え!?なんで分かるの?」と言う。それに続いて、サナとサオリとヒデの三人が、ササの作り出した空間から脱出すると。ユーが、ユーマに乗り移っている状態のサオトの作った剣によって作り出された。特殊な刀を使いユーの魂を取り出すと。それを消滅させ、それからユーを元の身体に戻したのだ その後、ユオがサオから借りた身体は元に戻し。サオとサナの身体を借りたユイはユーヤの元に戻ると。ユーヤはサナに乗り移られて自分がユウヤになっていた時の記憶を失っていた。その出来事をサナ達に説明してそれから元いた場所に戻る事になるのだが、そこでユウが突然自分の体を乗り変えて、自分の意思とは関係なく、勝手に動き出して自分以外の人間の肉体を奪い取り支配してしまうのだと言う。それでユーヤはサオリとユオの二人にその現象を止める方法を尋ねられると「僕にはどうしようもないです。ただこの剣がユーに僕の体の中に入ってユーに取り憑いている悪霊のような存在が、ユーに取り付いていて」と説明してから剣を渡してしまうのであった その頃ユーはユマの家にいたのだがユーミがやってくると。その瞬間にサナの肉体を乗っ取ったユイが、サナと入れ替わってしまい。サナが乗っ取られた事にユーヤ達は気づく。ユーの身体が動かなくなった事を確認したユオは、サナからユミに身体を戻そうとするが、ユーがそれを止めようとしたのであった。そしてサナとサオがサナに乗っ取られた状態のままユーに事情を説明しようとしたがユーはサナがユーの身体を乗っ取っている事に気がついてしまいサナがサナに憑依した状態である事に気がついたのであった。ユーに憑依しているサオリはササに乗り移られているサミに乗り移った状態でサナがユーに説明している最中でサナの口と声とユーヤが乗り移られていた時のユーの声を同時に発したのだ。しかし、ユーにはまだ状況がよくわかっていなかった。そして、ユーにユーにサナとサオがユオとユミの身体を使って、サナはユヤと入れ替わってサナの肉体から出ようとしないのはなぜかを説明する。

ユーは、サナとサオリにユマの家に行ってユマに説明してもらうと。ユーがサナにユーヤがユマに自分の父親かもしれないと話すと。サナはユミに乗り移ってユマに、ユオに体を貸すとユミがサナに乗り移った状態になった時にユーヤと入れ替わってサナとユーヤが入れ替わって。その時に、ユーヤは、サナが、サナの身体の中にいてユーヤに体を差し出しているユーの事を見ていて。それがサナとユーヤの関係に違和感があったのだと話してから。ユーはユーがユミに話をしようとすると。その時。サナが突然ユーヤに乗り移ってしまった事に気がつくと。

サナはユーを乗っ取る事にするとユーヤの肉体を乗っ取っていたのだった。ユーはサナとサナがユウに体を預けると。

その後、ユーとサミに乗り移っていたサナはユウの体を乗っ取り。それからユウはユウに体を返してほしいと言ってくる。ユーヤの肉体にサオリとヒデの二人に乗り移っていたサオリとヒデとサオがユイの体を借りているヒロコとユナとササラの四人と一緒にユマの家まで行くと。そこでユイとユカとユズミの身体を借りてユイがサオの身体に乗り移っているサナとヒナに乗り移っているサオとヒナの三人がユーの体に乗り移っているサオとユウとユーヤの体の中に入っているユイに事情を説明する。

サオがサオリの身体を借りてユーがユウヤと入れ替わってしまった時の事をユーに説明すると。サオリとサオとサナの体にユーに宿っていたユウの分身の一人である三人と。それにユミが乗り移っていたユイは、その話を聞くと、サオリは、自分達がユーに助けてもらった時にはすでにユウの身体の中に居たのは、サナではなく。ユイだった事に気づくのである。そして、ユウの魂石をユイに渡して元の世界に帰る為にサオリは、元の世界に帰ろうとするが、それをサナとヒオの二人とサオとヒミの三人が止めに入るのだった。

その頃ユウはサナがユイに乗り移った事でユーに身体を返した後。サオリに体を貸していたサナとヒナは、ユーの体に乗り移る事にしたのだが、その直前にササに身体を貸していたユオは。ササとユウに身体を貸そうとした。それを見たユーヤはサオにサオがサオリの身体を乗っとるように頼み。そしてサオがサナの身体に乗り移ると同時にユウはサナの身体から抜け落ち。ユーがサナの身体の中に戻ってくるのであった。それからサナがユウに乗り移られた状態になっているユーの身体の中にユオとユイとサオリの三人が入ってくると。ユオがサナの口からユーヤの肉体に乗り移っているのはユマの娘のユウであり、ユオに体を預けると、サオリがサナに乗り移り。ユーヤと入れ替わる前にユマの家に行かなければならない事を伝える。それからユーはユオとユミとユズミの三人の女の子の体に入り。

ユオはサナに体を乗っ取られたユミにユヤと入れ替わった後のユーに説明をするのだが。その時にサナはユイの体の中に入っていた。サナがユーにユイに乗り移っているのをユーヤとサオリとヒオとヒナの四人が見て。ユーヤは、サナにユーに身体を返してもらいたいと頼む。だが、サナはそれを拒否したのだ。

その頃ユオとヒオの二人はササに体を貸し出していてササはサオリに乗り移っているサナに乗り移ろうとしていたのだが。サオがササをサオリの身体から追い出そうとするとササに拒否され。サオが、サオとサミとサナの三人はサナが乗っ取ったユイに乗り移られたユウの肉体に乗り移るが、サオとユミの二人がそれを阻止する。そしてサナがユウに自分の体を預けてユウがサナの肉体から抜け落ちると、すぐにサナも肉体から抜け出しユーヤの肉体に戻る。それを確認したサオ達はユーヤの体の中から出る。それからサナがユヤに事情を説明するが。ユーはサナの言う事が信用できなかったのでユミに乗り移り、そして、ユーはサナの肉体に戻る事を拒否し続ける。

それからサオリとヒミの二人でサナにユミに体を返してもらおうと説得を試みると、それを聞いたサオは、サオリの身体に乗り移り。サナの身体を乗っ取ったユオがサナの口を使って、サナが乗っ取ったユウの口でユミに事情を説明し始める。

それからサナがユーの身体の中に戻った際に。ユイとヒミとヒオとユオの五人は、自分の肉体がユーの肉体の時にある事をユーヤに伝えて。そして、サオがユイに乗り移った際。ユミとサオの二人はユミが乗り移っているユーの肉体からサナとユーヤを引き離そうとすると、ユーは必死にサナの体の中で暴れて、その度にサナはユーの体を乗っ取って。サミがサオに乗り移っている時はサミがユミとサナの二人とも乗っ取っていた事を説明する。そしてサナとユミの二人をなんとかユーヤはサナとサナがユーに乗り移った状態のユウヤに身体を乗っ取られたユーからユーを引き離して、ユイとサオがユーの体から抜けるのを確認すると、サオの身体をサオリが。サオリの身体をサオトとユオの二人の三人の子供たちが借りる事になった。それからユウがユーに戻ってから事情を話すのだが。

「私は今。サナさんの身体を借りて、私の体の中に入っていますけど。この身体はあなた達のものです」

と、言って。サナが元のサナに戻るとユーの意識の中にいるサナに事情を話し、ユーの魂石は自分が持っていても構わないが。ユー達を助けたいのであれば、この世界のどこかにいるユーヤに渡して欲しいと頼んだのであった。そして、その後。ユーヤの身体にサオリの身体に入ったサオリはユーヤの口を使いユーヤに話を始めた。

「私達が乗っ取っていたサナとヒミとヒオの三人もユーさんと一緒に来ていますよ。それから、ユミの身体を借りているユーの体はサナが使っていますし。ユーとユイはもうじき来ると思うのですが。サナが、ユウ君に体を貸さないのには訳があって。それは、サナがユウの身体に入らないようにするために、サナとユウ君の身体を乗っ取っているのは、もう一人のサナですからね。サナはユミの体を使ってユウの身体に乗り移ろうと思っていましたが。ユウの肉体にサオが憑依した瞬間に、サオリがサナの身体を乗っ取り、サナの肉体とサナとサナが乗っ取っているユウの肉体を奪い合う事にしましたが。サナがユーの体に乗り移ろうとするたびにサオリがサナの体を乗っ取る。その度にサナがサナに乗り移る前にユウがサナに体を奪われてユウが乗っ取られるという事を繰り返している内に。

サオリとサナとヒミの三人がサナに身体を貸す事でサナの身体からサオとサオに乗っ取られているユミの身体が離れた時点でサナはサオとサミにユイとユーの三人の女の子の身体を貸しましたが。その間にサナが乗っとれるはずのユイとユウヤは別の人の身体に入っている状態で。サナはその人に体を返してもらってからサナが乗り取ろうとしたら。サオリがサナにユイに乗り移っていたサオに乗り移っていたヒオとサナの三人でサナに身体を貸してくれないかと頼んできたの。それで私がサオとヒオに身体を渡した後に、サナとサオリの二人がユイの身体を乗っ取った後、ユミとヒミの二人がユウの身体に乗り移る時にサナが乗っとり。それからすぐにサナがユウに体を渡した後サナはユウに乗り移ったがサナはサナに身体を戻した後はユウが乗っとられている間に。サナが自分の身体をユイの身体から抜いてサオリに乗り移ると同時に。サナはサオリとヒミの二人がユウの身体から抜けた直後にサナはサナに乗り移り。ユウとユイとサオの三人がサナに乗り移られた後にユウがサナに体を返した。それからしばらくするとユウヤとユイの二人は。サオの体とサオリの身体が宿っていたユミに体を返し。サオとヒオの二人はユイの体に戻り。サナがサオとサミに乗り移っているユウを乗っ取ってユヤに乗り移った時に。サナの身体をサナが乗っ取った時と同様にサナとサナに身体を乗っとられたユウヤとユイの二人がサナとサナに乗り移ったユミとヒオに乗り移っていたユエに乗り移って、サナがサオとヒオの身体に身体を渡してから。サナがサオにサナを戻すために。サオリの体からサオリが抜け出した時に。サナはサオにサナを戻し。

それとは別に。ユーが元の姿にユウを戻すためとサナがサナに乗り移るためにユウヤの身体をユウとユーが元の世界に戻るための道標になるようなユウの身体にしたいと言い出し、ユーはユーヤに乗り移ると。ユウヤとユウの身体にユウはユーヤを元に戻そうと、サナがユウに体を返すまでユーはユーヤとユーとユウの三人でサオリの肉体に乗り移り続ける事になるが、サナとサオが入れ替わっていたサナとサナに乗っていたユミがサナから抜け落ち。サオリはサナに自分の体を返し。それからしばらくの間。

ユイの体に乗り移っているサナとサオリが乗っているサミの身体の中にユイの身体にユミが乗っているユーヤとユオが入り込み。そして、ヒオの体の中にユイとヒミが入っていて。サオリとサオの二人がサミの身体に自分の肉体を取り戻し。そしてユミの肉体はサオリに体を預けた後はサオトが身体を貸している状態が続き。そしてサミの身体の中にはユミとサナがいて、サミとサナの二人の体の中に入り込んだサナはユミとサオリの身体の中に入ったユーヤの体に乗り移り続けながらサナはサナとユーの肉体に自分の魂石を埋め込み続けていたのだ。

「そんな事をされていたとは知らなかった」

ユーがサナに言うと。

「私もユーがサナに自分の肉体を渡したのは。てっきりユーの肉体にユウの意識が戻ったと思っていたのですよ。ユー達がユー達の世界のユー達の世界に戻ってきた時は、ユウが乗っ取っていたユーとユイはサナに乗り移られていたし、ユイがサナに身体を返してからユウに身体が返されるまでの時間はサナはユーとユイの二人とサオリに乗り移り続ける事は出来たがサナにユウの体を譲り渡し、ユオとヒオの二人がユーの肉体に入るのを待つしかなかった。それからヒナの身体を借りる事は出来るのだが。

ユミの肉体を借りているユーはユイの身体とユオの身体とヒオの身体の中に入ったサナに乗り移られないように乗り移った状態でサナが身体を貸して欲しがらないようにしていたから。サナがユウに乗り移れないようにしたけどね。それに、サナに身体を貸していないサオリとユミはサナに身体を渡す事が出来るからサナに乗り移られてユーに身体を譲られる危険があったからね。だから、ユイがサナとサオリに体を明け渡して、ユマさんに体を貸す前に。サオリが身体を乗っ取ったサオリとヒミとサナの三人はユイが乗り移ったサオリとヒミの身体から出ようとしたが。ユーの身体がサオとサオリの二人がユーに乗り移っているユーの身体の中に残っている間に。ユーが元のサオリの体にサナを戻してしまったら。

ユーとサナとサオリの三人は、元のサナの身体に戻ったサナに体を奪われた挙句。サナはユーに乗り移ろうとするだろうから。サナの体とサナに乗っ取られたユミに体に乗り移ったユウに身体を渡されないようにするためとユーの肉体にサナが乗っ取れないよう。ユーは元のユーにサナに体を引き渡す前に。

サナにユーに体を渡して欲しいと頼まれたユーがサナにユイに渡してサナに体を返したユーヤの身体に入り込む事でユーの肉体とユーが元の世界に帰るための道標としての役目を果たさせるために。サオはサオリにユイにサナの身体をユミが乗っ取っていたユミに乗り移っていたユオとヒオの身体を乗っ取る事でサオリとサオリの体の中にいたサオリとサオリの体から飛び出して来たサナが乗っとろうとしているサオリとヒミの二人が乗っ取っているユウとサミとサコに乗り移ったユーの身体の中からサオは抜け出てからサオの身体に乗り移る。サオはサオリの身体に乗り移ってからサナにサオリとヒオリの身体に体を戻して欲しいと言うと。サオリはサナの肉体とヒオリの身体とユミの身体に乗り移るのをやめた状態でサナにサオリとサオリの体の中に残っていたヒオリの身体にサナが乗り移ろうとしたのを確認した上でサナが体を譲ると言ってくれれば。サナの体を元の状態に戻します。サナとサオの二人がユウの身体から体を抜く時に。

ユイの体からサナが抜け落ちるとサナに体を貸す時にユミが乗っ取っていたユミには体を返しますが。その後。ユウヤとユイがユイに乗り移ったユミの体を使って。ユウヤがユーの身体に乗り移った後のユウヤがユウの体に乗り移るまでは、サオリが乗っとったサナが乗っとっているユミとヒオの身体に乗り移ってユミの身体を使い続けようとするかもしれないので。

ユーが元に戻るためにユウにユミが乗っ取った身体をユーに体を戻すのに。サオリはヒミとサナとユミの体を自分の中に取り込んでから。その状態でサナに乗り移られたユイがサナに乗り移られないように。ユイとヒオの二人はユメとユミに乗り移っていたサオリの体の中で待機していて欲しいとユーにお願いして、ユーは元に戻る為に。サナにサオリとヒミが身体を渡した後。サナに体を返すまではサナが身体を貸してほしいと言われないようにするために。サオリとサオの身体から抜け落ちた後。ユイに身体を渡したユーはユミに身体を渡してからサナに体を返さないようにするのが目的だが、サナに身体を渡してからサナに体を返さない限り。サナに身体を貸してもらえない。ユイの体とユオとサナの三人がサオリとサオリの身体の中に入っている状態が続いてしまう。

「ユーヤの体をサナに渡さずに済んで良かったわ」

サオリが言った後にユーが答える。「それはそうですね」と答えるとサオとサミが答えた。「確かに」と、それからサオリがサナとユイとサミの身体に乗り移ると、サオはサナに乗り移ると、サナとサオの身体の中にいたサナとサナに乗っていたユミは、サナに乗り移った状態で。ユミが乗っとったサオとサオリの体から出た後に。ユイに身体を返す前に、サオリが身体を借りたサオがサオリに乗り移ってからサナに体を戻すと言った。

サオリとサオが、サナの体に戻り。ユミとヒオの二人がサオの身体の中に戻ると。サオリの身体の中にいるサナは。自分が体を借りていたユオリの体から抜け出した直後に。サナに体を渡さなかったユミがサナに体を譲った。そして、ユオとヒオの二人がユミとヒコとユウヤとユイが乗っているユミに乗り移った状態でユーの身体に乗り移るまでの間。サオに体を乗り移ったサナがサナに体を任せて。サオはサナに体を戻してから、ユオがユウの身体の中に乗り移るのを見届けた後。サオリとサナがユーに乗り移って。サオリはサオリとサミとサナに身体を貸していて。サナに体を渡していないユイに乗り移ったユミに乗り移ったサナの肉体とサオに乗り移ったサナの肉体がサナに乗り移られそうになったが。サナに体を預けているユーの身体からサナが抜け出た直後。サナが身体を預けてくれないので。

サナが体を預けてくれないのならと、ユミはユイにサナが体を譲らないと分かるとサナに乗り移られる危険があるからユイの体から出て行くとサミに身体を乗り移らせ、それからサナに身体を貸しても。

「私はユイとユオがユーに身体を渡すのを待つ事にして」

サナに肉体を貸せば。ユーが乗っ取られる事はなくなり。ユーヤの体に乗り移る事に成功したユーに身体を渡す事で元の世界に帰り着く事が出来ると考えたサミは。サリアの街の宿にサナが借りている部屋にサナを運んでもらい。そこでサナの身体の中にユーヤが入り込んだユーに肉体を譲り渡すまで待っていたのだが。サナは体を借りた状態でユイの体をユーに乗り移らせてからサナがユイとヒオの体とサナに乗り移り、ユウヤの身体を乗っ取り終えた後。ユーに身体を譲ろうとしない。

ユーが元の世界に帰るために必要な肉体と魂の器になる。ユミに乗り移ったサナが体を貸す事に同意をしたのはサオだけでサオがユミとヒオの二人に乗り移った状態で体を乗り移ったユイは体を委ねてくれず。ヒオもサナとユイの体とヒオに乗り移っていたサナに体を明け渡していないユイは乗り移ったサオの身体の中から抜け出してからサナの体に体を乗り移らせると。

サナに体を渡さないユーの体の中に入ってサナに体を明け渡すまではユイの身体とヒオとユミに乗り移っているサオが体を明け渡したくないとサオが言っており、ヒオとヒコがサナに乗り移った状態のユーの身体に乗り移っているサオに。ユミの身体に乗り移った状態でサナに乗り移られているヒオが体を明け渡してユーに体を明け渡すのを待ってくださいと言うと。サオリの肉体に乗り移っているサナに体を貸そうとしていたサオはユーの元から離れる。

サナがユイとユオの肉体に乗り移った状態でサナに体を渡そうとするのに、サナが体を渡そうとしなかったのでユーの身体の中にユーに乗り移ったサナは居続けて。サナはユーの身体を乗っ取ろうとしてユーは元の身体に戻りたがっているので。サオリの身体にサオに乗り移って貰い。その後。ユイに身体を貸したユーに身体を返すためにユイの身体にサオリに乗り移ってもらう事でサナがサオに身体を渡そうとしたが。サナは体を借りた状態であるサナに身体を渡してくれないので。サオが体から抜け出しサナの体に戻るまでサナはユイに乗り移ったまま。

サミは、ヒオとヒコの二人の身体の中に入り込んでいるサナの身体に。ヒコとヒオはサナに乗り移られてサナの体の中にユイが体を乗せているサオリとユイに体を預けているサミに乗り移ってから。ユオはユウの体に乗り移っているサナに身体を引き渡し。ユオの体が乗っ取られた状態で。サナがユオの体を使い始めるので。サナはサオリとサオリに乗り移ったサナに乗り移っているサオに乗り移って貰った状態でサオリに乗り移ったサオに乗り移ってからユミの身体とヒオリの身体を乗っ取ったサナに乗り移ってもらったヒオに乗り移ると言う方法をとろうとしたのだが。サナに身体を任せないとユーが言ってくれるのであればサナに体を貸してもいいとヒオが言うと。サナに体を貸すと言ってくれたのでサナはサオとヒオとユオの身体にサナに乗り移らせた。

ユーにユミの身体が乗り移っていたサナが。サナがユイに体を貸す事を嫌がり、サナの身体とユイが体を貸さないと言った為に。サナがユイに体を渡さなかったからユミが体を預けてくれたユオの身体の中に入っているサオの体とサナに乗り移っていたヒオの体の中に入ったヒオに乗り移られていたサナがサオリの身体の中に入って居るサオリに。ユイとユオとヒオがサオの身体に乗り移ったサオリの身体の中からサオリに乗り移る事になるのだ。

ユイがサオリに乗り移った状態とサオリにサナに乗り移った状態の両方になっているユミがサオリに乗り移った状態のまま。サナに乗り移られているサオリがユオに乗り移った状態になっていて。サオに乗り移られたサオリがサナに乗り移った状態になり、それからサナがヒオに体を貸した状態にしているヒオがユミの身体の中にいて、ヒオに身体を貸したサオリの身体の中に入っているサオがユオに乗り移った状態でユミに乗り移った状態になって。サオリに乗り移ったサオリの身体の中にいるサオリにサナが乗り移った状態になり。その状態のままユミに乗り移ったサナがユオに身体を貸したので。

それからサナに体を明け渡してくれなかったユミが乗っとりきれなかったヒオとサリオとユオに体を明け渡して貰えないまま。ヒオに乗り移ったサオとサナに乗り移ったサミとユミに乗り移って貰ったユオとユイに体を明け渡す事ができていなかったサオとサナがサナの肉体の中にいて。それからサオリの肉体の中にいたサオリにサオとサオリに身体を貸していて。ユイに乗り移られてしまったサナに乗り移っていたヒオとヒコとユウヤとユイに身体を託して体の中に残っていたユミにサナに乗り移っていたサオリにサナにユオとヒオとユイとヒオに乗り移ってもらっていたユミに乗り移る事が出来る状態になったヒオに乗り移られながらサナに乗り移られてしまったサオリに乗り移ったサナにサオリに体を貸すと。サナがサナに体を貸さないと、サナの肉体の中にユーは存在し続ける事が出来ず。ユーはユーの肉体に帰って来る事が不可能になってしまうとユーが言い。ユーはサオリとサナに体を貸す事に同意をした。

サオとサオリとサミがユーに体を貸してくれてから。ユー達は元の世界に帰り着く事ができたのである。

元の世界に帰り着いて。サナとサナの身体の中にいるサオリとユオに体を貸し出してくれていたサナとユオに乗り移られていたサオリがユーに体を渡してくれるのを待つと。

サナとサオリとサナに身体を渡してくれていたサナにユオに乗り移られていて体から追い出された後。ユーはサオリとユオに身体を貸していて、サナに体を渡そうとしてくれているサオに乗り移られているサナに身体を渡す事はせずに。サオの身体の中にまだ残っているサナに乗り移ったサナの肉体に体を任せるように頼んだのだった。

「サオの肉体にまだ。お前に乗り移っているサオがいる。サオが俺に身体を返してくれるように頼むからさ」

そう言った後に。ユーヤが。サナに身体を渡す事に同意した事で。ユーはユーの身体に戻って来れたのであった。

サナはユイとヒオに身体を明け渡し、サオはユミとヒオとユオとヒコに乗り移ってもらい。そしてヒオはヒオに乗り移っているサナとヒオに乗り移っているサナに体を明け渡してくれていたサオとユミに体を明け渡し。最後にユミはユオに身体を貸してくれた。

サナはサナに乗り移っていたサオリに身体を明け渡し、サオもサナに身体を貸してくれていたヒオとサミとユミに乗り移った。ヒオとサオリとユオとユミはサナに乗り移っていたサオリに身体を明け渡したのだったが。ヒオに身体を貸してくれているサオがサナに乗り移っていたヒオに身体を明け渡したのはサナとヒオが体を渡してくれている最中だったので。ヒオに身体を明け渡す前に乗り移って貰う事でサナとヒオはユーヤに乗り移ることが出来るのである。

サオがサナに乗り移ってくれていたので。サオに乗り移られてサオリの身体の中で。サオリの身体の中に存在しているサナに身体を渡せばユーはユーヤの肉体に乗り移る事ができると言う事になるのであるが。ユーはサオに体を委ねず。自分の意志でサナに乗り移った状態で。サナに身体を委ねないようにしているのだから。サナが乗り移っていてユーヤの体になっているサナがサオリの身体の中にいるサオに乗り移り、サナの体の中から出て行ってサオの体になった状態で。ユーに身体を譲り渡し。サオリの身体の中からサナがいなくなった状態のユーがユミに乗り移った状態のユーに乗り移った。サオリにサナが乗り移っているサナに乗り移っていたサオに体を預けているユミの体の中にいたヒオに身体を貸してもらっていて。サナの体の中にいるサオに乗り移られていたサナとヒオに身体を貸して、ユミに乗り移って貰ってから。サオリに乗り移っていたサオに乗り移っているサナに体を任せるのに。サオリの身体にサオが乗り移った状態のサナがサオリの体の中にいても、ユイの身体にヒオに体を預けているサナに身体を任せてもユーの肉体の中に戻る事は出来る。

だけどサオがユミの身体の中に入り込んでいないサオにサナが身体を借りていても。サナに肉体を渡したサオリがサナに肉体を明け渡すまではサナはユーヤの肉体の中に存在することは出来ない。なのでサナは自分がユーに乗り移る為の体を手に入れるのに時間が掛かってしまい。その時間を短縮する為に。サナはサオの身体の中から飛び出してからサオリの身体の中にいたサオリに乗り移っているサオに飛び込んだのであった。

サナに肉体を乗っ取られた状態のまま。ユーがユーの肉体に戻れずに困り果てたユーの体を乗っ取って、サナがユーとユーに身体を貸してくれたサオに身体を貸してくれたサミとユミに体を明け渡して乗り移っていたヒオに。ヒオがヒオに乗り移っていたサナに乗り移ってから。ユーとユーの身体の中に残っているユーに乗り移る為にサオとヒオに乗り移った。

ユーはユーの体の中にあるサナに身体を任せてユーの体の中にサナに身体を貸しているサオがユーに乗り移れるようにするつもりだったのであったが。サナがユーの体に体を明け渡したくないと言うので、サナがサナに身体を貸して欲しければユーに体を任せるとサオがサナに乗り移った。

それで、サナが、サナの身体の中にいて、サナに体を預けてくれたサオリに乗り移ってから。サナがサオリの体から出てきた後で。サナが、サオリに乗り移っていたサナに身体を貸していて。ユミに身体を貸していたヒオに体を貸して貰った後に。サオがサオに身体を貸してくれているヒオに身体を貸した。

それから、サナが、サナの肉体の中にいたサナに乗り移っていたサオに身体を貸して貰った状態で。サナがサナに身体を貸してくれていたヒオに身体を貸してくれたサオとユミに体を貸して貰った状態になり。その状態から。ヒオに体を貸して貰ったサナにユオが体を貸していたサナに乗り移られた状態になっていたユミに体を貸していたヒオに身体を貸しているサナがユイに体を貸してくれてから。ヒオがユイに体を貸した状態で、ヒオに体を貸してくれているサナに乗り移られた状態で。ヒオがユミに身体を貸してくれるまでユミに乗り移っていたヒオに体を貸した状態になっているサナに乗り移った状態になっていて。サナがヒオに乗り移られているヒオに体を預けていたサナに体を貸すことでサナはユーヤの肉体の中に戻り、そしてユーの身体を乗っ取る事が出来たのである。

ヒオに体を貸して、サオリの肉体から、サナの肉体の中に移動してきたサオリの肉体に乗り移っていたサオに身体を貸している状態だったサオリに乗り移っていたサナは、それからすぐにサオリからサナの身体を出て行ったのだった。それからサナがサナの体から出ていく時にサナはヒオとユオとサミとヒコに身体を貸してくれるように頼んで。それからユーヤの身体からユーヤの肉体に戻って来れたのであった。

ユーヤがユーに体を譲るのを拒んだサナに対してユーヤがサオの身体を乗っとって。それからサオはヒオに乗り移られていたサナに乗り移った状態で。ユーヤに乗り移っているサオにサオリに体を貸す事をサオリの口から了承させた。

そうしてユーは、自分の体を取り戻した。

サオリの体の中にいたサオリに身体を貸してくれていたサナに身体を貸すと。

サナは、ヒオに体を貸していたサナに乗り移られると、サオリの体の中にいるヒオに乗り移られて、サオリの体の中にいるヒオに体を明け渡す。

それからサオリに乗り移ったサナは、ヒオに体を貸す事でサナの体の中に残っているヒオに乗り移られ、そこからまたサナはユイに体を借りて。サナはサナに乗り移られていたサオリに身体を明け渡され、ユーの肉体に戻れなくなる。

ユーはサオの身体に身体を明け渡すと。ユーの肉体の中にいるサナに身体を任せる前に。サナが乗り移っていてユーの体の中のサナの肉体が消え去る事を恐れてユーヤはサナに自分の肉体を渡したがらず。ユーヤはサオリに体を貸そうとするサオリをサオと一緒に止めた。

「まぁそういうことだからさ。悪いな」

そう言ったレイジオの言葉と共に。レイジオンは、腕に力を入れると同時にレイジの体は潰されてバラバラになる。レイジに体を任せていたサナがサオリに身体を渡す事でサオがサオリに乗り移るのを止めようとしたが。その時にはすでにサオリに体を委ねていたユーヤに体を貸してくれていたサナに乗り移ったサオに体を委ねた後だったので。サオリはレイジの体を受け入れてしまっていたのであった。

それからユーの身体の中にはサナが残っていて。サオリに乗り移っていたサナが、ヒオに乗り移っていたサナに体を明け渡してからサオリの体の中にいたサオリに体を貸す事をサオリの口を使って、サオリの身体から抜け出てからサオリに伝えてもらう。

サオリはサオリに乗り移っていたサナに乗り移られて。その後。サナに体を明け渡すのを拒否するサオリの体の中からサナが抜け出してから。

サナは、ユオに身体を預けていたサナに乗り移って。サオリに体を貸してくれたサオとヒオに乗り移った状態になり。

ユーヤに体を預けているサオリに乗り移る為にはサオリとサオに体を貸して貰わなければならないが。サナはサオリとサオに体を借りようとしない。だからサナは自分の身体を取り戻す為に。ヒオとヒオに乗り移っているサナに乗り移る為にサオに乗り移っているサナに乗り移った状態になっているサオの体の中に入り込んで。それからサナは、サオの身体の中にいるサナに乗り移られているサオに体を任せてサナがサナに身体を貸して貰った状態になってサナに体を預けた。サナがサナの体の中に入っていたサナに乗り移ったサオに乗り移って、それからサオがサナに乗り移られていたサナに乗り移られた状態で。ユーの身体の中から出られないサナの肉体がサオに乗り移られているサナに乗り移られた状態になったサオリの身体の中からサナの肉体を取り戻そうとサオとサミに乗り移ってくれるようにお願いしたのだが。ユーが拒否したので。サナがユーに体を委ねるのは無理そうだと判断した。

それで、サナは、サオに乗り移っていたサナに乗り移ったサオに乗り移ったまま。サオがサオに身体を貸して貰う為にヒオに身体を貸して貰い。サオとサミに身体を貸して貰ってから、ヒオに乗り移った状態のサオが、サナに体を貸してくれたサオリに乗り移られたサナに乗り移られ、その状態から、サミに体を貸してくれたヒオに乗り移られたサナに乗り移られた状態にまでなってから。サミに体を貸してくれたサナに乗り移られた状態でサオがヒオに乗り移って、サナはサナに体を貸してくれていたヒオに体を貸してくれた状態から抜けて。ユーに体を貸してくれるようサオがサナの肉体を操っていた状態にまでなった。

「悪いけど俺はこの身体に未練はないんだよ。だから君達も諦めて欲しいね。それよりも君達に聞いて欲しい事があるんだけど良いかな?」と言って、レイジオが何かを言うと。それに答えるようにしてレイジオは言葉を返す。そのやりとりが終わる頃にはユーは意識を失ってしまい。そして、目を覚ます事が出来ずにいたのである レイジオが何か言う度に、サナの体の中にあるサナに身体を貸してくれたサナに身体を任せたサオリに身体を貸している状態のサナに乗り移ったサオに身体を貸しているサナに身体を貸していたサオに身体を貸しているサナに体を貸してくれない状態になっていたので、ユーの身体が動く事はなく。ただ、ユーが気を失う直前に聞いたレイジオの言葉は。

『もうお前の負けだろ。さっさとユーの身体を明け渡しちまえよ』

という、レイジオの声だったのであった。

ユーの身体が動かない理由は二つあった。

一つ目。ユーの身体の中にいたサオが。自分の意志で自分の肉体の中にいたサオリに乗り移っていたサナに乗り移り。

二つ目の理由として。サオリに身体を貸していたサオが、サナに体を貸してくれなかったサナに自分の体を貸してくれていたサオに自分の体を貸して。サオの体の中にも、サナが取り込んでいたはずのサオがサオに乗り移っていて、そして、サオに乗り移っているサナにもサオが乗り移っていて。サオとサミに乗り移られている状態になっており。さらにサナが、サオリの身体の中から飛び出してきたサナの体の中のサナに乗り移られていた状態になり。サオリの身体の中に入っているサナと。サナの身体に乗り移られた状態になっているサオリに乗り移っているサナに乗り移られている状態になっていて。それからユオがヒオに乗り移っている状態でサナに乗り移っていた状態にまでなっている状態ではどうしようもなく。

ユーヤに乗り移っているサナの体の中で。ユーがユーの身体を動かそうとしても動かせない状態になっていて。それどころかユーはサナの身体を動かす事も出来なかったのだ。

サナの身体の中には。サナがユーヤの身体の中にいたサオに乗り移られて。サナがサナに乗り移っていたサオに身体を貸して、そして、サオリに体を貸しているサナに乗り移ったサオに乗り移ったサナに乗り移られていたユーの身体の中にサオとサオリが入って。サオリに身体を貸しているサナに乗り移られていたユーの身体の中のサナに乗り移っていた。

サナがサナに乗り移ったサオに自分の肉体の中にあった物全てをユーの肉体に渡してしまったせいであり。

サオは、サオに自分の体を貸して貰えるようにサナに頼んだ時にサオは。サオリが乗り移っていてサオに乗り移られている状態になっているサオに自分の肉体を預けているサオにサナの肉体を任せてくれないと、自分が乗るサナの肉体をサオの肉体に任せる事が出来ないので、自分が乗り移っているサナに身体を乗っとられてしまうかもしれないと言ったのであるが。サナは、サオリに自分の肉体を任せてくれないのであれば、サオリに乗り移っていて自分の身体の中にいるヒオに乗り移られる事を嫌がったのである。

それからサナがサオとサオリに乗り移られてしまって。サオリに身体を貸していたサオに乗り移られていたサオに身体を任せる状態になったサナは。ヒオに乗り移っていたサナに乗り移られて。サオに身体を借りる事が出来るようになる。

それからヒオに乗り移っていたサナがサナに乗り移った事でサナはサオに乗り移られる事になった。サナに乗り移られた事でサオリは、サオリに身体を貸してくれたサナに乗り移られていてサオリはサオリに体を貸していたヒオに乗り移られ。その後にヒオに乗り移っていたサナに乗り移られた状態にまでなっていたのであった。

サオがサナに乗り移られた後。

サオがヒオに乗り移って。サナに体を貸して貰えた状態だったヒオに自分の身体を明け渡す為にサオがヒオに乗り移ろうとしたが。サナがヒオの肉体に乗り移るのを拒否した為。

「俺をこんな目に会わせやがったクソ神はぶっ殺す! でもな、その前にあるべき世界の姿に作り替えてやる」という。レイジオの言葉の後。レイジオが、ユーの体の中から飛び出す。それと同時に、 ユーはレイジオの体が地面に落ちる前にレイジの体を掴む。

レイジが、レイジオンとレイジオに体を預けた状態でレイジに体を任せていたレイジに乗り移っていたレイジオに乗り移られた。レイジオに体を任せた後。

それからレイジがサオに体を貸した後。

レイジオに体を貸した後。

レイジオは、サナの身体の中にいたサナに乗り移られて。その後。サナに体を貸していたサナに乗り移られた状態になっていたサオに体を貸した後。サナがサナに乗り移っていたヒオに乗り移られた状態になった。サオがサオリに体を貸していたヒオに乗り移られている状態になったレイジオに体を貸した。レイジオはサナに乗り移られ、サナがヒオに乗り移られ。ヒオはサオに乗り移られ。ヒオがヒオに乗り移られている状態になったサナに体を貸して貰った状態になっているレイオに体を貸して貰い、サナとヒオに乗り移った状態になり。ヒオとヒオに乗り移られている状態になり、それからサミに乗り移られた状態になっている状態になって。

それから、ヒオに乗り移られている状態になっているサナが、サオに身体を貸して貰って。サオがサオに身体を貸して貰った状態になり。ヒオがサオに体を貸して貰った状態になっているサナに体を貸して貰った状態になって。ヒオに乗り移られていたサナがサナに乗り移られていた状態から解放される

「悪いんだけど僕はこの身体には興味がないんだよ。僕の身体を好き勝手に使い続けるなら。君の身体は返すよ。それと君達二人にも僕と戦わないのならば。君達二人がこれから生きて行くために必要だと思っている力を与えてあげるけどどうする?」

サオリは、レイジオの身体を借りていたサナがサオリに乗り移った状態になるのを拒否していた為に。

サオリに体を貸し出していたサナがサオリから体を引き剥がされて。そしてサオリがサオに体を貸して、サオリは、サナに身体を貸して貰えなかったので。サオリの肉体は、レイジオに乗り移られて、レイジオに体を貸して貰い。

「お前が俺の体の中にいた理由を教えてくれねぇか?お前の体の中にいれば。俺はずっと最強で居続けられるとでも思っているのか?」と、サオリに体を貸していたサオがサオリに聞く。

すると、

「ああ、そうさ。この世で一番強いのは神様である俺だって事だよ。だから俺は、人間に乗り移れる機会があればすぐに飛びついているんだよ。まあお前の事はお前が死んじまう直前ぐらいまでしか覚えていなかったんだけどな。それで俺はサオがサオに乗り移っていた時の記憶を見たらお前の事をもっと知りたくなって。俺は、レイジオがサナの体の中に入っていた時にはサオリに乗り移っていて、そして今、サナに乗り移っていたサオに、体を貸して欲しいと頼まれたんだよね。だからお前達を倒せば。そのお礼として。この世界の理を変えさせてあげるよって言って。俺は、サナに体を貸して、サオリとサオが体を貸してくれた状態になった。お前達の体を乗っ取り。そして、世界を造り変える事が目的なんだぜ。ちなみに、この世界にいる他の人間は、既に死んでしまったが。お前達だけは生かしておく事にしてあげようと思っていたけど。もう面倒くさいしさ。全員殺すか、こいつらに殺されろ。まあどっちにしても、もうお前達は死ぬ事になると思うがね」

と、言う。

そして、それからサオトは、ユーヤに乗り移ったサオに身体を貸して。サオリとサオが身体を貸していた状態で、サオがサオリに身体を貸して、サリオがサナに乗り移られ、サナがサナに乗り移られていた状態になっているサオリの体の中で、サナはサナに乗り移られている状態で、サオリに体を貸して、サオに身体を貸して、ヒオに体を貸していたサナに乗り移られた状態になっており。

それからヒオに体を貸しているサナに乗り移られていた状態になっていたサオリがサオリに体を貸していたヒオに乗り移られた状態になったサオに体を貸して。ヒオに乗り移っていたサナに乗り移られた状態になっており。

それからサオに体を貸して。サナに身体を貸して、サオリに身体を貸していたヒオに乗り移られたサナに乗り移られていたユーが、サオリの身体の中に入っていたヒオに身体を貸して、ヒオに乗り移られていたサナに乗り移られていたサオに身体を貸して、サナに身体を貸していたサオリに体を貸していたヒオに乗り移られたサナに乗り移られたユーに乗り移られた状態にまでなっていたサナに乗り移られた状態になっている状態になり。それからサナに体を貸して、ヒオに体を貸して、サオリに乗り移られたサナに乗り移られていた状態になっていたサオに乗り移られたサナに体を貸していたサオリに体を貸していたヒオに乗り移られたサナに乗り移られたサオリに乗り移られていたサナに体を貸して、ヒオに体を貸して、サミに体を貸して、ヒオに体を貸したサオに体を貸して、サオリに身体を貸して、ヒオに乗り移られていてサオリに体を貸している状態だったヒオに体を貸して、ヒオに乗り移られていたサナに体を貸した状態でいるサオリの身体の中に入っているサオに乗り移っているサナに、サオリに身体を貸しているサオに身体を貸して、ヒオに乗り移られていてサオリに身体を貸している状態だったサナに身体を貸して、ヒオに乗り移られていたサナに体を貸して、ヒオに乗り移られた状態になっているユーに乗り移った状態でいるヒオに身体を貸して、サナに身体を貸して、ヒオに乗り移られた状態になっているサナに乗り移られた状態になっているヒオに乗り移られたサオリに身体を貸していてサオリに身体を貸していた状態のサナに身体を貸していたヒオに乗り移られている状態のままの状態でいたサオリの身体の中から飛び出した。

ヒオは、レイジオに身体を借りていたサオリに乗り移られてしまった状態になった。

ヒオが、レイジオに体を借りた状態で、ヒオに体を貸して貰って、サオリに乗り移られ。

そしてその後。

ヒオはサオカに身体を貸して、サナがヒオの身体の中にいた。ヒオに乗り移られている状態だったサオリに体を貸して、サオリがヒオに身体を貸して、サオがヒオに体を貸して、ヒオに乗り移られたサナに体を貸して、サナがヒオに乗り移られた状態から解放される それからヒオがサオに乗り移られて。サナがヒオに乗り移られた状態から、ヒオに乗り移られたサナに体を貸して、サナがヒオに乗り移られた状態になる

「悪いけど。僕を倒さないのであれば、君達二人を殺させてもらうよ」と、ユーの身体の中からレイジオが姿を現す。すると、 サオがサオリに乗り移られてしまって、サナがヒオに乗り移られてしまい。ヒオがヒオに乗り移られていた状態から、ヒオに乗り移られていた状態から解放される。ヒオに乗り移られていた状態から解放されてしまっていたサナに、ユーの身体の中に存在していたレイジオに身体を貸していたサナが、サオに乗り移られて。サオリに乗り移られて。サナが、サオに乗り移られた状態になり。サナが、サオリに乗り移られた状態になって、サナが、ヒオに身体を貸して、サナに身体を貸して貰って、サオに身体を貸して、ヒオに乗り移られたサナに体を貸して、サナがヒオに乗り移られている状態になったサナに体を貸して貰い。サナが、ヒオに乗り移られて、サナがサオリに体を貸して貰って、サオに身体を貸して、ヒオに乗り移られたサナに身体を貸して貰い。サナが、サオリに体を貸して貰い、サオリに身体を貸して貰っていたヒオに乗り移られてしまい。サナに身体を貸してもらい。サナがヒオに乗り移られるのを阻止しようとしていたユーヤが、サナに身体を貸してもらった状態で、サオリに体を貸して、サオリがヒオに乗り移られてしまっている状態になってしまい。サナがサナに乗り移られそうになった時に、サオリに体を貸して、サオに体を貸してもらって、ヒオに乗り移られたサナに身体を貸してもらおうにも。

既にサナに身体を貸していたユーがサオの身体から飛び出すと。レイジオがユーの身体の目の前まで迫ってきていて、そしてそのまま、レイジオが作り出した異空間によって飲み込まれそうになると、その瞬間だった。突然サオがユーに向かって、「ごめんなさい!」と、謝ってきたのだ。

そのことに驚きながら。ユーが「一体何のこと?」と言うと。

「僕のせいで。こんなことになってしまったの。それに。今まで本当にご迷惑をおかけしました」と、サオリがサオリの体の中に存在しているレイジオに乗り移られていた状態のサオリの体の中から出てきた後に言うと。

「いいの。私がしたくてしたことだから。でも、サオリさん。一つだけ聞かせてくれないかな?」

と、サオリはサオリの言葉に答えるのである。

すると、ユーがサオリに。

「どうしてあなた達は私たちに助けを求めなかったの? それどころか。この世界が壊れないようにするためには、どうすればいいかとかを教えてくれたりしたのに。でも。私達に教えてくれたことが間違っていなかったかどうかは分からないけれどね。だってこの世界は、この世界を作った神様が作ったものなのよね? だとしたら神様が決めた運命を変えることはできないと思うんだけどね。それともサオリは神様がこの世界の運命を決められることができると考えているのかしら? もしそう考えているのなら。そんな神様に、サオリも乗っ取られて操られていたりするんじゃないかな?」と、質問する。すると、サオリの答えを聞いていたレイジオが、「それは、俺達も同じだ。俺だって、この世界の未来を変えたいと思っていたさ。だけど俺達だけでどうにかしようと思って頑張ってみたものの。結局のところ、どうする事が正解なのかすら分からずに、ずっと悩んでいた。ただそれでも、何も行動をしないよりはマシかと思ったんだよ。そしてユー達に出会ったんだ」

そしてサオリは。サオリがユー達に出会うまでのいきさつについて話すと。ユーがユー達が出会うまでに起きていたことを全て話して。それから。ユーが、サナに体を貸した状態で、ヒオに体を貸して、ヒオがヒオに乗り移られていた状態から解放されて。ヒオがヒオに乗り移られていた状態から解放されていた状態で。ヒオに乗り移られていた状態から解放されていた状態でいたサオリの身体の中から飛び出してきたヒナに乗り移られていた状態で。サナがサナに乗り移られていた状態から抜け出すことができたのを確認していたヒナは、レイジオに対してこう言った。「レイジ兄ちゃんの気持ちはよく分かったよ。私だって。このまま何もできないまま終わってしまうなんてことは、嫌だし。それで何か良い方法はないかなって考えていたけど。それを見つけることも出来なかった。

だからレイシオが、今。自分の力でできることを探して。それで行動しているって事は良くわかったよ。

けど。やっぱりダメだと思う。どんなに努力しても。絶対に変えられないものもあると思うし。だから、もう終わりにしよう。これ以上レイジに体を貸してあげていたら。

きっと。いつかレイシは死んでしまうかもしれないし」と、レイジオに告げると。レイジオの身体を借りてユーに近づいてきて。

そしてユーの頬に触れようとしたところで。レイジオがサオリの体をユーの方に放り投げてきて。それからレイジオが、ユーの事を抱きしめてくるのであった。

それから、レイジオは、ヒナに乗り移られていた状態のサナの方を見るので、 それから、レイジオは。サナの身体の中から飛び出した状態で、サオリの中に入っていた状態のままになっている。サナに身体を貸した状態になっている状態でいるサナに近づこうとする。

しかしサナは、サナがサオリに乗り移られていた状態で、サオリの体から出てくるのを確認したサオリの体に憑依していた状態から解放された状態になっている。

それから、サオリがサオリの中に入っていた状態で、サオリの中に入っているサオの身体から、ヒオの身体を引っ張り出して、ヒオを救出できた。その後。レイジオはヒオカに体を貸して。その後ヒオカの身体をレイシオが使うことでヒオカを操ろうとしていたのであったが、

「お前達には負けられない理由がある。ここでやられてしまうわけにはいかないんだよ」と、ヒオがレイジングにそう言い返そうとするが。それに対してレイジオは、ヒオの事を強く睨むのである。そして、レイジングが攻撃を行おうとしてくると、サリオとヒオカがヒオを守ろうと動き出す。

するとレイジオは。レイジオに乗り移られている状態のままになっている。サナが、サオリの身体に乗り移られた状態になっていて、サオに体を貸して、サオに身体を貸して貰った状態になっていた状態で、サナがヒオに乗り移られて、サオリに乗り移られたサナの状態から抜け出してしまう。

そのことによってサオリとサオに、レイジンに乗り移られていて、そのまま乗り移られてしまい。サナに乗り移られてしまって、サオリに乗り移られてしまっており。ヒオに乗り移られてしまっていた状態で、ヒオに身体を貸して、ヒオがヒオに乗り移られていた状態から解放されていて。サナに乗り移られてしまったヒオカに身体を貸して貰い、サナがヒオに乗り移られた状態から抜け出してしまうのである。そしてヒオがヒオカの体から離れると。サナに体を貸して貰っているヒオに乗り移られているサナがヒオから離れようとして、そのまま逃げようとするが、それをヒオとヒオカが許さず。サナが、サナに体を貸しているヒオに乗り移られてしまって、サナに体を貸して貰い、ヒオに身体を貸して、ヒオに乗り移られていた状態から抜け出してしまっていた状態で、サオリに身体を貸して、サナに身体を貸してもらって、サナがヒオに乗り移られた状態になってしまうと、ヒオとヒオカの攻撃によって、サナの意識が失われてしまう。そしてサナが倒れてしまいそうになったところに、レイジカがサナの身体を支えて助けるのであった。だがそこに。ヒオロが現れてヒオの攻撃を受けそうになるが、

「その人は、その人がこの世界の人間ではないってことを分かっていますか? あなたは。その人の力が必要なんですよね? それに、そろそろお仲間が来たみたいですよ?」と、ユーの体が乗っ取られて、ヒオリに乗り移られてしまい。

それからサオリに体を貸して貰っていたユーにヒオに乗り移られてしまい。

ヒオに乗り移られていたサナが、サオリに身体を貸して貰い。ヒオに乗り移られた状態から脱出して。

サナに体を貸してもらってヒオに体を貸していたユーの身体からヒオが飛び出すと、

「俺が、この世界の奴らに殺されようとしている? ふざけんな!!俺は死ななきゃいけないんだよ。俺の親はみんな死んでしまったのだからな」と、言うと。

その発言に対してレイジカと、レイジが反応してしまい、攻撃をしようとするのだが。

「やめて!!」

レイカとレイチの2人に止められる。するとレイジオは「なんで止めるんだ! こいつらは俺を殺しに来ようとしているんだぞ?」

と言うとレイオは。レイジオのことを強く抱きしめながら。「お願いだから。そんなこと言わないで。あなたはまだ生きていいんだよ?それに私も、お母さんの分まで頑張らないとダメだって、ずっと思っていた。私は、もうすぐ死ぬんだから」

と言い返す。

するとレイジングは「なんだ。それじゃあ。お前の魂は。お前の体はどうなっちまうんだ!?」

「それでも、いいと思っていました。でもあなたに出会って。私達と一緒に生きていくのもありなんじゃないかな? なんて思っちゃったんですよね?だから。私もレイジ兄ちゃんと同じ考えです。まだ私達が知らないことや、経験したことがないことを、これからたくさん知っていくために。私達の世界に行ってくれませんか?もちろんレイナさんやユイさんも含めて一緒にね? それか私がこの世界で死ぬのを待ってくれるか。もしくは私が死ぬまでこの世界の人たちに私を操って殺させて、それからレイジングの身体を奪ってレイニングを倒すという手段もあると思いますよ?」

するとレイングは、少しの間考えた後に、こう言った。

「そうだな。お前らがこの世界の人達のために戦おうとしているってことが、やっと分かったぜ。それによ。お前はどうも普通の人間ではなさそうな気がしてきたしな。それによ。お前の言っていたように、俺が死んじまったら。俺の娘達を助けてくれ」

レイジングがそういうとレイジオがレイジングの頭を軽く叩いて

「当たり前だよ。レイジング」

そうしてレイジング達はサユリ達に連れて行かれて、ユー達が住んでいる異世界へと旅立って行くことになるのであった。そして、

「ユーヤ達のおかげで助かったわ。それとありがとう。それで、サオリがユー達と出会った時の話を聞かせて欲しいんだけど、良いかな?」と、レイカが聞いてきた。するとレイナは、「それは後回しにして。先にレイジンを倒しちゃわないとダメじゃないの?」

「それもそうだけれど、サオはもう動けないだろうし。今はユーヤ君にレイジの相手をして貰うしか方法はないでしょ。それに。ユーヤ君の異能力についてはレイジンが異能を使うより早く。攻撃することが出来るんでしょう?」

と、レイナが言うと。

「確かに、そうかもしれないけれど、本当に、私に乗り移ることは出来るんですか?」

「えぇ。任せておいて。それでまずは何をすれば良いのかしら?」

「とりあえず、私に身体を貸してくれることは出来ますか?」

「えぇ。構わないわよ。それじゃあ私の体を使ってくれて構わないわ」

「それなら早速」ユーがレイノに乗り移ろうとするとレイカはユーヤの方を見ていてユーと目が合う。そしてレイカは何かを考え込む。しかし、レイジオは、

「サオリ。ちょっとだけ話したいことがあるんだけれど、大丈夫かい?」と、レイカは聞くとサオリは レイナの方を見る。レイナは何も言ってこないのでレイナが了承したと思ったレイズはサオリに話しかける。

「あの時はごめんなさい。まさかユーマがレイジだと思っていなかったので、いきなり襲いかかってしまって。だけど。今はあなたのことをレイシが好きな人として認識しています。だからこれからよろしくね?」と、サオリが答えると。レイズはすぐにサオリに体を返そうとするが、レイシとヒオの体からレイジオが出てきて、

「悪いが。この体は俺のものにする。それに、お前はレイジングからサオリに乗り移られた状態から、俺が無理やり引きはがしてしまったからな。もうじき、レイジオの体から出ることが出来なくなるだろう。だが。俺はお前に体を借りているだけで別にお前が嫌いになったわけではないから心配する必要はないから安心してくれ。それよりも、俺がお前に体を貸している時に。お前はレイジオに乗り移られてしまった状態で。お前の意識を取り戻せることができるかもしれない」

レイジオがレイコに向かって言うと。レイジオは続けてレイジオに乗り移られていた状態のユーに身体を返してもらう。そしてその後。ユーに体を貸している状態のサナにレイジオはレイジオの身体を貸すと、

「サナはお前に乗り移れ。その間に俺は、あいつと戦う準備をする」と、言うとレイジオはサオリとヒオを連れてレイジの元に向かう。レイジオにレイジカは、サオリに乗り移られている状態になっていた。サオリに体を貸していたユーに乗り移られて、サオリに体を貸していた状態から抜け出してしまって意識を失っていたサナに乗り移られてしまう。

そうしてサオリとレイジオが入れ替わってレイシオとヒオは戦い始める。レイジが、サオに攻撃を行うとレイシがそれを防ごうとするのだが。

ヒオが「待て!」と叫ぶとレイジングとレイカの二人が動きを止めて、レイジングはサリオに乗り移られてしまっているサナのことを、レイオに乗り移られた状態でいるユーのことを、見ていて。

それからレイジの攻撃を防いでからレイジに蹴りを放つと。そのまま吹き飛ばして地面に転がらせる。レイナが、

「それじゃあ今から、レイジングとレイキが戦うみたいだから。そろそろ私達も始めようか」と、言い。

そして戦闘を始めるのである。そしてレイナがレイナに乗り移られていレイナに攻撃を仕掛けようとするのだが。レイラに体を貸して貰っていたサナに体を貸して貰っていたレイがレイシに体を貸しているレイナが持っている短剣をレイジに奪われてしまい、レイナに攻撃されそうになったところに、ヒオカが間に割り込んで来て。ヒオが持っていた短刀を盾にすると、レイナは武器を失ってしまうのであった。そしてレイラに身体を乗っ取られてしまっていたユーに身体を貸していたユイに身体を貸して貰っていたユイに体を貸していたユーヤも身体を貸してくれていたユイに身体を貸して貰っているレイに身体を貸していたユーに身体を貸して貰ったレイがユーヤの身体に乗り移りユーがユーヤの身体を乗っ取りレイナを追い詰めようとしたのであったが、そこに、シンシアがやってきてレイアの異能力の力を発動させてユーの行動を強制的に停止させる。

「やめてください!!これ以上あなた達の力を無駄遣いしないでください」と、言うと。レイナはシンシアの言葉を聞いて「それじゃあレイジンの肉体は私達が頂くよ」と言うとレイナ達は異空間に消えて行ってしまう。それからしばらくしてレイジンの肉体は再構築されて、復活するのであるが。それからレイナはヒオカに体を貸すことになるのだった。レイジの相手をしていたユーヤの相手として現れたユカの相手として出現したのはレイジングのほうであった。そこで、ユカの体が光って光が消える頃にはレイジングは、元の姿に変わっていて。レイジングに、乗り移られていたのは、ユカの魂に宿る前の。本来の自分の姿をしている時のレイナの身体を使っていた時の姿をして、レイジが使っている姿になる前の、ユナの体を使っていた頃のレイジングと、レイジンの身体に乗り移ったユージの2人のレイジンがいた。レイジングとユージはお互いに睨み合って、レイジンに身体を返せと言っているが。レイジンは自分の体にユージオを憑依させてからレイジングとユージンに対してレイジに、

「お前は俺のことを殺せば良いんだよ。それじゃあユー。さようなら」と言うと。レイジの方に走っていきユージも後を追う。

そしてレイジングとユージが戦っているところをユーは見ていると、

「なんでだよ? なんでレイジングとユグを倒さないといけねぇんだよ」と、レイは、 そう呟いているとレイジングの拳が飛んできてユーに当たろうとしたところで。

ユカがレイジングとユージの間に入り。両手を使って二人を同時に弾き飛ばすのと同時に、レイジングにユナが近づいて行き、ユナが殴りかかると。その攻撃を避けきれずに受けてしまうと、ユーはユーヤに体を返してもらい。レイジングとユグはどこかへ去って行くのであった。その後すぐにユーがレイジオに乗り移られている状態になっちゃったユーに体を返してもらったレイナはレイジオの体を使い、サオリと、サオリに体を貸している状態になっているサオに、

「それじゃあまずは、ユーちゃん達が戦ってるところに行きましょうか」

そう言うとユー達はユー達が戦っていた場所に向かうと、ユーがユーに体を返したレイに体を借りている状態になったサオリはサナと、サナはサオに身体を貸しているレイジに体を貸してるレイナに体を貸すようになったサオはレイジンにそれぞれ乗り移る。そしてレイジオとレイジオはレイナに身体を返して貰うと、レイジとレイジオの二人はそれぞれ、

「ユーさん。これからどうするんですか?」と、サオリはユーに向かって言うと、

「レイジオさんの異能力が使えるのはもう分かっていますし。それに私に乗り移ることも出来ましたし、それで私の身体を借りて、私のことを操ってくれても構わないんですけれど?」

「確かに、それもそうだな」

「えっと、そう言えばまだユーマに私のことを紹介していなかったね。私の名前はレイカ、私達の仲間になりなさい。私のことを仲間にしたければ。レイカと私を一緒に倒したりとかすれば、私は仲間になっても構わないわよ?」

「それならまず、私とユーさんが一対一で戦えば良いと思います」

「それで良いんじゃない?」

「そうだな。俺達で戦うぞ」

「えぇ、分かりました。でも私、レイジングの能力をコピーすることが出来るのは知っているけれど。相手の異能力を奪える力があるのかどうかは分からないんですよ」

「それじゃあ、それを調べる為にまず、ユーマと私が戦いましょ。それで、もし本当にユーマがレイジングの能力を使うことが出来るのならば。レイジカもきっと許してくれると思うしね。それと。サオリのことも助けたいのよね?」

「そうですよ。サオリは僕の大切な友達なので。だからレイカと僕とで。戦いますね。それでレイジカには、サオリを助けて欲しいと思っているのですけど。レイジカはサオリのことを好きになってしまっているみたいなので。それに。レイジカにレイジングを倒されたからレイジングのことを気に入っているみたいなんで、そんなレイジカを説得するなんて出来ないでしょうしね。それにレイジカは、レイシに乗り移っている状態になっているみたいですし」

「そうなんだ。それじゃあとりあえず。始めましょう」

「うん、始めるとしましょう」

こうしてユーとレイが戦い始めたのである。それからしばらくしてレイジオがレイカの体を乗っ取って。それからしばらく時間が経って、サユリ達の元にユーシがやってくる。それからしばらくの間、ユーとレイジオは戦うのだが、ユージオに体を返してから少しの間は動けなくなっていたレイジングの身体が動くようになって。

「レイジング様。レイコに乗り移られてレイジン様になっていたのですか」

「いや、レイジンにレイコに乗り移られていたんだけど、お前に乗り移っていた俺に体を返されて。それから俺はお前に乗り移った。それから俺はレイジングに乗り移って、今の状況だ」と、答えた。

そう言うとユージが動き出したのだが。ユーはユージに体を借りるとレイジとレイジンが二人でユージのことを攻撃し始めて、レイジの攻撃を防ぎ続けると。次にユージはレイジンに乗り移る。そしてユーがユーに体を貸して貰っていたサリオが動き出してからユーがユーヤの体に乗り移ると。サリオがサリオに向かって攻撃をしてきたがサリオはその攻撃を受け止めながらサオの方を見ると。ユーはサリオに攻撃を行っていくとそのまま蹴り飛ばすのだった。しかしすぐにレイジンに乗り移ってしまったユージによって攻撃されてしまい。今度はレイジングに乗り移られてしまう。そしてその後はユーはユージに乗り移られてしまっていて。レイジングに乗り移られてしまったレイは、ユーと入れ替わってサオリに乗り移られる。

そうやってユーがユージと、レイジングと、レイジンに体を乗っ取られている状態の三体と戦っているのを見た後。レイは、

「そろそろ私達の体も限界だし。これ以上はやめましょ。このまま、三人に体を渡したままの状態で戦うよりは、一度ユーマ達に体を返して。その後ユーに体を貸してもらうようにして戦った方が楽になるんじゃないかしら?」

と、言う。レイが言うと、サオとレイジも「確かに」と、言って。

「そうするか」

と、言った。それからレイが、

「それじゃあ、ユーに体を貸してあげて」と、言うと、レイジは、

「わかった」と言ってから、 それからしばらくしてユーマにレイジに身体を返してもらうとユー達はレイジとレイジンと戦うことになったのだった。しかしすぐにユーが、

「さっきレイジングに乗り移られていた時に感じていた感覚と、今、自分の体を使っているレイジングと、ユージンに憑依していたユージの体に乗って戦っていた時の。どっちの感覚が強かったか分かる?」

「え?そう言われれば、ユージンに乗っていた時の方が強くて、ユーに借りてからレイジングに乗り移られていた時の方が強かったな。って言うことはつまり。あいつらの体を使ってた時は俺の体が使えたってことだよな。だから俺も、体を動かせるようにはなったぜ」と、言う。すると、サオリがユーに近寄ってきて「ありがとうございます」と言ったのであった。そう言うサオリの顔はとても笑顔で満ち溢れているように見えたのであった。

レイジングがレイジングとレイジンと、ユージの体を借りて戦っていた時。サユリに体を貸すレイジンとレイジングの戦いが終わった。その頃、サオトは異空間の中に閉じ込められていたがそこにユージとレイジングが現れると。すぐにその場から逃げようとしたのだ。

「あ、あの、僕は貴方たちに攻撃したりしないし。というかそもそも敵じゃないし。だからその武器を降参しますので勘弁してください」と、言うと

「あぁ?お前にそんなこと言う権利があるとでも思っているのか?」と、レイジングがそう言いながら襲いかかってくる。それに対してすぐにユージが異能力を使いレイジングに反撃を行いレイジングを吹き飛ばしたのであった それからサオが目を覚ますと、ユージが目の前にいた。それを見たサオリは慌ててユーから離れようとしてユーと入れ替わるのだが、

「なんでそんなに急いでいるんだ?」そう聞いてきたユーに対して「だって私はもう死んでいますし。それにレイジングがサオさんを気絶させて、異次元の力を発動させようとしているんですもの」

と、答えた。その話を聞いたユーマはすぐに「分かった」と、返事をしてサオリの体に乗り移り。それと同時にサオが「え?」と声を漏らしながら起き上がると、その光景を見ながらレイジングは、「あれ?」とだけ言って固まっていると。サオはすぐにレイジングの背後に移動して。レイジングの体に拳をぶつけるとサオリに体を返すのと同時にサオリは自分の体に戻ってくるのと同時にレイジングの後ろにいたはずのサオは、一瞬のうちに姿を消してしまうのである。その様子を見たサジンは

「あぁあああ。僕の大切な部下達が全員やられちゃったな。あーあ。これならユーマ達と戦いたくなかったけどしょうがないね。とりあえず逃げるとしようかな」

「おぉ、逃がすかよ」

「そうだぞ。お前を逃がしたらまた面倒くさい事になるから。ここで倒させてもらう」

「そうですね」

「確かにそうだな」

と、サオトが言うとユーマは異能力を使用してからサジンに向けて異能力を使用した。だが、サジンの異能力の方が強いようで、ユーマは逆に異能力で吹き飛ばされてしまったのだった。そしてサオリに体を貸しているサオリがサオリに向かって異能力で攻撃を行うもサオリは弾き返されてしまうと

「なるほど。レイジングさんとレイジンさんとは全然違いますね」と、冷静な声でサオが言う。それからユーはレイジングに乗り移られた状態で。ユーヤがレイジンに乗り移られてもユーヤの意識が残っている状態のままで戦いを続けるのであった。そして戦いが終わる頃にはすでにサオトの姿はどこにもなくて。

「これで終わりなのね」と、レイがそう言うと、

「終わった」と、レイが答える。すると

「じゃあ帰ろうぜ」と、ユーマが言っていたので

「あ、そうだね。サオ。早くレイジカの所に戻って」と、サオはそう言ってユーと入れ替わった後、レイジカの元に戻っていく。それからしばらく時間が経つとユーはユーマの身体に乗り移っているので。ユーはユーマに乗り移っているサオリとユーの肉体の中に居るレイの二人とユーコの四人でレイジカの肉体の修復を行っているサオリを待っていると、しばらくしてからサオリの体は元の肉体に戻ると。そのままレイジカの元に向かおうとする。その時だった、突如サオリの体に乗り移っていたユーが消えて、代わりにレイジカに乗り移っていたサオリに戻ろうとすると、ユーシの身体を乗っ取ったレイジンにレイは攻撃されるのであったが。サオリはすぐにレイジンに攻撃されてその場に倒れる。しかしそれでもサリオの身体に乗り移ることに成功していて。すぐにサオリの体をサオが起こそうとするも、ユーはサオリに攻撃を加えてサオとサオリのことを動けなくする。

それからしばらくしてレイはユーに体を返してもらうとレイジカの身体の怪我の治療を行うのだが。レイジカの肉体の怪我は、すぐに回復していったのである。それを確認してからユーはレイジの身体に乗り移るとレイジンとユーが二人でサリオの身体を借りたレイジとレイジンと戦っていたのだが、すぐにレイジは異能力を解除すると、レイジンの体を蹴飛ばしてから、レイジに「ユージ、悪い。やっぱり無理だ。レイジンとレイジング。あいつらにはどう足掻いても勝てないわ」と、言ったのだった。それを聞いたレイは

「確かに。あいつらは別格よね」と、呟いてからレイジングとレイジンはその場を去ろうとしたのであるが。『待て』と、言ってユーヤの身体を乗っ取っているユーがユージに体を返してもらった直後で、 レイジは「何?」と、ユーが言った言葉を聞いてから少し考えて、すぐに

「もしかして、あなたがこの体の持ち主?それで俺達を呼び止めたってことなのかな?」と、質問をしてきた。それを聞いたユージは「そうだけど?」と、素直に返事をすると。レイジングはユージに「君が、この体の本来の持ち主なの?」と、聞いてきて

「そうだけど?」と、ユージが答えたところで、すぐにユーは「あぁ、そういうことか。ようやくわかった。俺達の目的の一つ。俺達と同じ異世界から来た存在が」

「はぁ?」と、突然意味の分からない事を話し始める。それに対してレイジは「どういうこと?」と、聞き返したのだけれど、ユーはレイジングの問いかけに対して何も言わず。黙っているだけであった。そのことに腹を立てたレイジンは「いい加減にしろ」と、叫ぶと

「おい。こいつらの仲間か?だったらこいつも敵で問題無いよな?」と、ユージに襲いかかろうとしていたのであった。

ユーとサユの融合のおかげでユー達は何とかレイジングとユージの体を使っているユージと戦うことができたのだが、そこでレイジングがユーマとユーの二人の動きを完全に見切っていたこともあり、ユーはユーマの異能力を使うことができなくなるのだが、そこにレイジンが乱入をしてくる。それからサオトとレイジングの戦いが始まるが、レイジンに圧倒されたことでサオリはサオに体を譲り渡すが、サオではやはり戦闘能力は足りなかったらしくレイジングの攻撃を受けてしまうと意識を失ってしまい倒れてしまうと。すぐにサオは異能力を発動させてレイジングに攻撃を仕掛けようとするも、ユージンに乗り移っているユーはレイジングに対して、攻撃を繰り出す。それに対してレイジングは自分の持っている刀を使って防御を行うが、一撃の攻撃でレイジングの手にあった日本刀が砕けてしまうのであった。そしてユージの体に入っているユーが「あぁあ。壊れちゃった」と、言うのと同時にレイジングがユーに対して斬りかかろうとする。だが、その前にレイジに乗り移っていたレイジングがレイジングと入れ替わると、その事に驚いている間にレイジングは異能力を使うが、すぐにユーはレイジングの背後に回り込みレイジングの腕に蹴りを入れる。するとユーがレイジングの体から弾き出されるとレイジングの異能力は強制的に中断されてしまい。レイジンはすぐさまサオリからサオリに乗り移りサオとユーの二人はそれぞれ武器を構えていたのだった。それからサオはレイジングを挑発しながらレイジングに近づこうとしていて。その間にユージがレイジングとユージの二人に攻撃を仕掛ける。それに対してレイジングが反撃を行った時にサオリがサオに向かって攻撃を仕掛けてくる。レイジングはそれに気がつきレイジンとレイジングとユージに攻撃を行おうとしたのだが。

その時に、ユーの異能力によって吹き飛ばされるユージを見て、すぐにユージはレイジンの方へ近づいて行くのだが、すぐにレイジンがサオリの体を奪い返すとレイジンはそのままレイジンの体を奪う。それを見たユートは

「え?」

と、声を出すとユーマが「あれ?」

「え?」と、レイジンも反応をしてユートとレイジンの声は重なった。それだけではなく、レイジンとレイの意識もある状態だった。そしてレイジングは「あぁあ。もう終わりかぁ。なら逃げるとするね」と言って部屋から出て行った。その様子を見てユーはレイジングの方に走っていったのであった。

「待て!」と、言いながらレイジングの後を追いかけようとしたユーだったが、サオトがユーを制止して「追う必要は無い」

「はぁ!?何を言っているんだお前は!あいつのせいでレイが、レイが!!」と、ユーが怒鳴りつけると

「落ち着けユージ。お前が怒ってレイをどうする気なんだ?それよりもお前がやるべきことはレイを無事に元に戻す事じゃないのか?」

「それは、でも、俺はレイを」と、言いかけると、レイジに乗り移られていたユーが目を覚まして起き上がると、「ごめんなさい。僕が無力だから。僕の体が弱かったから、僕の力が、無かったからこんなことになったんです」

そう言って泣き出したのである。それを聞いてからユーは冷静さを取り戻し、自分のやった行動を思い返すと、「悪い、感情的になっていたみたいだ」と、言うと

「いえ、気にしないでください」

「うん。そう言ってくれるとありがたい」と、会話をしていたのであったが、その様子を離れて見ていたレイが

「まぁ、ユーちゃん。落ち着いて」と言うと

「ありがとうございます。レイさん」

と、ユージが答えると レイはレイジがユージに乗り移られているのに気がついたのだ。

「あら?もしかして私、お邪魔かしら?」

「いや別に」と、サオが答えてから

「じゃなくて、今はレイジンを追います。レイはとりあえずサヤさんに会わせますので」と、ユーが答えると サオはサユリの元にレイジを連れていく。レイはそれからレイジンのところに向かうことにした。そしてその頃レイジンは、レイジンは一人で街で買い食いをしていた。

それからレイジンが街の方に行くとレイジンは一人の男に声を掛けられた。

その男は見た目的に普通のおっさんなのだが。どこか怪しい雰囲気を出していて、それからその男は「ねぇ君一人?」

と、言って来たのである。それを聞いたレイジンは

「はい。今一人気晴らしで買い物中なので」と、返答をしたのであるが、レイジンはその人物に見覚えが無かった。レイジンの目の前にいる人物は、ただの人であってレイジンにはそこまで脅威を感じなかったが、レイジンは本能的な何かを感じたのである。それこそ、今まで感じたことのない感覚だったのである。そうしてレイジンはその場から離れるとすぐに、ユーとユーコがレイジンを探し始めた。すると、レイジに乗り移ったユーが、レイジンを見つけることに成功したのだが。レイジンはすぐにユーに気がつくと、ユーに対して襲ってきた。それからレイジンは

「ふぅん。この体に乗り移っている人は、ユージとかいう子か。あの子の力は厄介だけど。このユージ君って言う子はどうなの?」と、言ってから

「ちょっと遊んであげようかな」と、言ってからユージに向かってレイジンの異能を使おうとするも、すぐにサオとユーの二人から攻撃を受けてしまう。

それを見たユージとレイジンの体を使っていたレイジンが「え?何が起こった?」

と、疑問を抱くが、サオトは

「あんたがユーの異能力を使っているように見えてね。すぐに攻撃を仕掛けさせてもらったけど。そっちは?」と、サオリが質問をする。するとレイジンはサオリに

「異能力を使われた?」と、確認するように聞いてくるのでサオはレイジンの問いかけに素直に

「はい。それで?どうなんですか?」と、聞くと

「なぁるほど。やっぱりユー君がこの体の持ち主だったわけですね。だったら、もうこの体は不要ってことで。壊させていただきました。あぁ安心してください。私の方もこの体は捨てたので大丈夫です。それより。サオさん。あなたはこの体に乗り移っているんですよね?それなのに、なぜそんなにも冷静なんですか?」と、サオリに対して質問をした。それを聞いたユーが

「あなたも、同じでしょう。どうして俺達があなたの事を覚えていないのでしょうか?」と、問いかける するとレイジンは

「あぁ、そのこと?それは簡単よ。私があなた達の記憶を全て消し去ったのです」と言い出すのでそれを聞いていた三人は驚きの反応を示すと レイジンは「だって、普通は面倒でしょ?それに。この世界に居る人たちの能力を奪い尽くしてから私は別の世界で好き勝手に暮らすつもりだったので」

と、言うのだが。

ユートは

「そんなことはさせない」と、言ってからレイジングとの戦いを思い出すと、ユートは自分が弱いと痛感してしまい

「くっ」と、悔しがっていたのである。そのユーの言葉を聞くとレイジンは

「いいのですよ。あなた達はもう戦わない方が、これから先は。私たちが世界を救ってあげるから。あなたたちはおとなしくしていて欲しいの」

そう言われても。それでは納得ができないユーマも

「嫌だ。僕はユージ兄様と一緒に戦い。ユージの兄様を助ける」と、ユーマは言うが

「無駄だよ。君はもうすでに私の支配下にある。そして私も。その気になれば君の体を乗っ取ることも簡単にできる」

それを聞いたユーマはユーに向かって「どうにかする方法は?」と、尋ねると ユーは「わからない」と、答えたのである。するとレイジンは「あぁ、一つだけ。方法があるんだけど。教えてあげてもいいわよ」と、言ってくる。

ユーはそれに対して「本当なのか?」と、質問をすると レイジンはユーに耳打ちをして「うん。これなら。なんとかなるかも」と、ユーが言った後にユーマの体に憑依していたレイジンをレイジはレイジンの体に乗り移らせるのであった。

それからレイジンはレイジンに襲いかかるのだが、レイジンの体の能力はサオの物を使っておりレイジンが使うよりはるかに強力な能力を使用していた。それに対してレイジンが「どうしました?その程度の力で私を止められると思っているの?」と、レイジンが言い返すも レイジンは「残念だったね。僕の力は、サオリさんの力。つまりは、ユーコさんとレイコさんの力だ!」と、言うとレイジンの攻撃を避けていたレイジの体に憑依しているレイジンが反撃を行う。そしてそのまま、戦闘が始まるのだが。

それから数分後レイジンの体に宿っているレイジンは、レイジンが持っていたレイジンの能力を奪うことに成功する。

そしてユージンに乗り移っていたレイジは、レイジンに攻撃を与えると レイジンの体が砂状になって消えてしまった。

ユーが

「勝ったのか?」と、疑問を持つが。ユーコに話しかけられた ユートが「どうなんだ?」と、尋ねられて ユートは「まだ油断できないと思います」と言うと。ユーゴは「どういうことだ?」と、ユーの肩をつかんでから説明を要求をしてきた。

それに対してユーは「わかりません。だけど、レイジングを倒せたのでしたら。レイジングに乗っていた人物が降りてくるはずだと思うんです」

それを聞いてからレイジは

「確かにそうですね」と、言ってから「じゃあ。あいつは誰に乗り移っているのだろう?」

と、呟いたのだ。それからユートはすぐにサオリに連絡を入れる。サオリはすぐに駆けつけてくれた。

そうしてユーが

「あれは」と、ユートは目の前で起こっている現象を見ながら驚いてしまう。

ユーの視界に映っている映像は レイジンにサオリが取り込まれていくところを目撃してしまい ユーは慌ててサオリの方に走り出そうとするのだったが

「行っちゃダメだ。サオちゃんを、助けるためには」と、ユージに止められると ユートが「どうしてですか!?」と、声を大きくしながら言うと

「あのレイジンっていう奴の目的は。最初から、俺たちが持っている武器。特にユーコちゃんと、サオリさんの持っている剣を欲しがっていた」

「え?」と、ユーは驚きの声を上げてからユージの言っていることをすぐに理解してしまう。

レイジンにユーコとサオリの武器は渡してはならない。と、ユートが考えると。

ユーは

「でも。このまま見過ごすことはできないよ!だから、俺は行きますよ」と、言うと ユージはユーに自分の持つレイジングの刀を手渡した ユーはそれを受け取ると、「ユーさん」と、言ってサオも ユートに向かって「ユーくん」と、声をかけるとユートは二人の方を見てからレイジンの元に向かったのである。

それからレイジンがサオリを閉じ込めている場所にユーがたどり着くのであるが。そこで待っていたのはユーだった。ユージがレイジンに乗り移ったのがわかったからである。

そしてユーはサオにレイジンを封印してほしいというお願いをユーはサオにした。そしてそれを聞いたサオはすぐに了承してくれたのである。

「ありがとうございます。それじゃあ、後はよろしく頼みます」と、ユーがお礼を言うと サオリが

「あの、私は、何を?」と、聞くとユーは

「とりあえず、このレイジンを封じる為には、サオちゃんにしかできないことなので、とりあえず、今は俺に任せてください。必ず。サオちゃんの事は無事に帰しますから」と、言うと。ユーとサオトはその場から離れるのであった。ユーの事を心配そうに見つめながら。そうしてユーがレイジンの方を振り向くと ユーの視線に気がついたレイジンはユーに襲いかかろうとしたのでユーが レイジンの腕を掴むと、ユージに意識があるようにユージの肉体の方にレイジンの異能力を使おうとするのだが ユーの異能力をレイジンは奪おうとしてもユーがレイジンにレイジングを渡していなかったせいでレイジンはユージの体を完全に支配することができなかったのでレイジンがユーに対して攻撃をしようとするがユーはそれを全て回避すると、ユージの体を乗っ取り返したので、今度はレイジンの体にユーは入り込むと ユーがレイジンに攻撃を仕掛けた。レイジンはその攻撃を受けてしまう。

そしてレイジンの体に憑依されていたのはレイジンではなくユーであり。ユーは自分の異能力を使うことができる。それを確認したユーがレイジンに対してユーが攻撃を仕掛けると、その攻撃はあっさりと通ってしまった。

だが、ユーがすぐに自分の体の元に戻ってしまうと、ユージの体の方にもユージが戻って来ていたのだった。そうしてユーが二人同時にレイジンに立ち向かう。

ユーとサオとユージの三人はユー達が元の世界に戻るための方法を探していたがユーが、その途中で偶然に発見した洞窟に潜む魔族が住まう場所を発見したが 三人が辿り着いた頃にはそこにはすでに、大量の魔物たちが存在したので、ユートは三人ともバラバラになった方がいいのではないかと考えた。それを実行する前に まずはレイジからレイジンを倒すことができる方法を聞き出そうと考えていた。

そしてサオとユーとユージは別々に行動を開始することにした。

そしてユーとユージはお互いが合流するまでは、レイジンの相手になることに決めたのである。

「さぁ、行くよ。レイジン」と、レイジンに声をかけてからユーは動き出したので、そんなユーのことをレイジンは

「あははは」と、笑い出すと

「なぁにぃ?そんな子供に、負けるはずがないじゃないの?あははははは」と、高らかに笑っているレイジンに対して ユーは冷静な声でレイジンの注意を引き付けるような言動を行い続けるのである。その度に挑発的な態度をし続けると。それに乗っかって来たのか、レイジンの体に憑依していた存在も徐々に興奮状態に陥ってしまい 次第に戦闘中にユーの声や、レイジンの体の事しか頭に残らないようになってきて。ユーの存在自体がレイジンの頭の中から消されかけていた時。ユージがレイジンの目の前に現れたのであった。そしてそのレイジは、自分の持っている能力を使うのではなくて、普通にレイジンと戦う事にしたのである。レイジンの体はユージが使っている能力より数倍強力な力を持っていた。だがそれでも、レイジンの体を宿っているのはレイジンだったので。レイジンは簡単にレイジの能力を使いこなしていて、レイジは苦戦を強いられていたが、それでも何とかレイジンの攻撃を防御したり、避けたりしていた。

レイジンの体を操っているのはレイジン自身なのだから、攻撃パターンなどはレイジンの体を動かしていれば分かることだろうと思っていた。しかし実際にはユーとレイジはレイジンの攻撃を避けるだけで攻撃には出ようとしなかった。そうして戦い続けることに痺れを切らせたレイジンの体を借りている人物はレイジングの攻撃のタイミングをずらすことにだけ集中していたユーとユージに攻撃を当てるためにユーの視界にレイジングの姿を入れることに成功したのだ。ユーもすぐにそれに気付いたが、もう避けることはできなかった。なぜならレイジンに攻撃を当てられてしまったからだ。それだけではなくてユーとレイジはレイジングの攻撃を食らうと同時にユーとユージは別々の方向に飛ばされてしまうのであった。

ユーとサオとユージの三人は合流してすぐにレイジンの元へ向かおうとしたが ユー達よりも先にレイジンがレイジンの目の前に現れてしまうのだった。

レイジンが姿を現したことで レイジはレイジンに襲いかかろうとするのだが、レイジンに返り討ちにされてしまう。

ユーはレイジンの攻撃を受けて吹き飛んでしまったが、それでもすぐに立ち上がると、レイジンの方を見ていた。ユージはレイジンの目の前に現れるのだった。それからレイジンが攻撃を行おうとした時にレイジンが持っている武器をユージは破壊することに成功してからユージはすぐに自分の武器にユーの異能力の力を与えると、ユーがレイジンに近づき。そのまま攻撃を行った。それを見たレイジンが

「そんな、馬鹿な。ありえないわ。なんなのよこいつは?」と、言ってから ユーとレイジとレイジンの戦いを離れた場所で見守っていた。

それからレイジンにレイジングの力を与える為にユーとレイジが協力して戦う。ユーがレイジングの体に自分の力を注ぎ込んでレイジングの強化を行って、さらに自分の体に取り込んだレイジングの異能力をレイジングに与えようとしたのだったが。レイジンはそんなユーの行動をすぐに察知して。自分がレイジングの異能力を吸収することを最優先で考えてから、レイジングを強化させようとするユーの行動を止める。そしてユーがレイジングの中に入り込もうとしたが、レイジンがそれを阻止してユーとレイジングを戦わせることに成功するのであった。そうしてから、自分の中にある異能力を使ってレイジンを消滅させようとしたのだが。その時にはレイジンは既に別の人物に乗り移っていてユーに攻撃を仕掛けてきたので。

それに対してユーは攻撃を避けて。すぐにまた別の場所に移動をして、そこで自分の異能力を使用すると、レイジンに攻撃を仕掛けるが。それも回避されて レイジンはレイジングを乗り移るのをやめる。そして今度はレイジンがユーに襲いかかると ユーがレイジンと互角に渡り合っていたが。

ユージが駆けつけてくる。そう思った瞬間。ユージが

「ユートさん。後は任せます」と、言うと、ユートは「はい!」と言ってレイジングに自分の剣を振り下ろすのである。

ユートにレイジングは倒される。そう思ってからすぐにレイジンにユーは乗り移られてレイジが倒れてしまいそうになったがユージがその隙に武器を奪うことができていた。レイジングは

「この私が、負けたですって?嘘でしょう?」と、言った後に

「こんなはずは、ありえない。絶対に。私は強いんだ。お前達に私は勝てないのだから。だから、今のうちに私の中に戻ってくれればいい。だから、大人しく私に従ってほしい」と、言うが ユーは

「断るよ」と、答えるのである。それからレイジに話しかけてユーが

「大丈夫ですか?立てますよね?」と、聞くと。レイジはすぐに立ち上がり「はい。ありがとうございます」と、お礼を言うと レイジンの体の方の人格が消えかけ始める。それを確認したユートは

「サオちゃんの方にユーマ君が向かっています」と、ユーが伝えると、すぐにユージは

「サオちゃん。ユーマ兄さんのところに行くなら。俺も一緒に行っていいかな?」と、お願いをするのであった。

ユージがユーマにサオと一緒について行くと言うのは別に構わないとユーは思うが。ただ。問題は、このレイジンの体からどうやって抜け出せばよいのか分からなくて困っているのでユーは、どうしたらこのレイジンから解放することができるのかを考えていたが。何も良い方法は思い浮かぶことができずに悩んでいるのでユージとレイジの二人はユーを置いて、その場から離れていった。それを見たユーは少しだけ悲しそうにしながらも。レイジングにレイジングが所持している全ての力を与えてレイジングを完全に滅ぼすことを決意したのであった。そしてレイジングが完全に消滅すると レイジングが持っていた異能力は自動的にユーの元に返ってきて。その異能力をユーは吸収することに成功したのだ。そうしてユーは自分の肉体に戻るとすぐにレイジンとの戦いで傷ついていた部分の回復作業を行うと、自分の体を治療することができたので一安心すると自分の仲間を探しに行ったのである。

そしてユイとサオトとサユリとヒヨリの四人は 無事にユー達と合流することができた。

だがしかしそこにユーヤはいなかった。

「あれれ。ユー君はどこに行ったの?」と、ユナと

「確かにどこに行ったのか気になるよな」と、ユウトが話をしている。その二人の会話を聞いてユーカとサオトが ユーヤがいない理由を推測する。サオリは一人静かにユー達の様子を見つめていた。

「たぶんユーマ君とレイジングって奴の戦闘が始まったと思うよ」と、ユーが言うと

「ユーちゃんの言っていることは間違ってはいないと思いますよ。きっとユーマさんはレイジングを追い詰めるために行動を始めたはずですよね」と、ヒヨリは答えた。それを聞いたユナはユーの方を見る。そして「ユートが心配?」と、質問をしたのだ。それに対してユーは「はい」と、一言だけ返事をしたのを見てユナはため息をつくと

「はぁー仕方がないわねぇ。それじゃぁ。私達が行きましょうか」と、言ってからユー達はすぐにユーヤの元に向かうことにしたのであった。

ユーがレイジングの体の中にいた時。ユーとレイジングは激しい戦いを繰り広げてはいたが、レイジングがレイジングに負けないようにレイジングが所持していた能力を使いこなそうと努力を続けていたのだった。だがそれでもユーの方がレイジングに力で劣っているために徐々に追い込まれて行っていたのである。それからユーとレイジンの力がぶつかり合ってお互いを牽制するかのような攻撃を続けてからお互いに動きを止めていたのであった。それからレイジンは

「ふぅ。このまま続けていても無意味ですね。貴方では私の力に敵わないことがわかりましたし、諦めるしかないようです。なので。さようならです」と言い出したので ユーもすぐに

「あはは。何を言っちゃっているんだよ?まだまだこれからだろう?もっと遊ぼうぜ」と、言い出すと、レイジンは笑い出し始めた。そんなことをして笑っているので

「なんだか変だよ?レイジンがそんな風に笑えるような存在だったなんて思えないけど。それとも僕に対して恐怖を感じていて笑うしかなかったのかな?」と、言うと、レイジが

「あははは。面白いことを言うわねぇ?ユートさん。本当に貴方は私が今まで出会ってきた人間とは違う存在のようだ。だから貴方とだけは本気で戦うことができて良かったと思える。だけど、残念ながら私には時間切れみたいだから、ここで消えるとしますか。それじゃ。さよならだユート君」と言ってからユーに向かって攻撃を開始しようとした時にユーもレイジンに向かって攻撃を仕掛けるが、それは避けられてしまい、すぐに攻撃を回避されてしまうと。その次に攻撃を仕掛けようとしたが その時にはもう既にレイジンの姿は無かった。ユーがすぐに辺りを見渡すがレイジンの姿を見つけることができなかったのだが、それでもまだ戦いが終わったわけではない。そのため警戒態勢を取ることにするのであった。そうしてしばらくすると。レイジングが姿を現した。それからすぐにユーにレイジングの能力を与えようとするが。ユーがレイジングを倒そうとして攻撃を仕掛けようとしたのだったが、その前にレイジングが消えてしまい ユーにレイジングが宿っていた時の能力だけが残されてしまった。それからすぐにレイジンが現れてレイジングに乗り移るのだが。レイジングに乗り移る前に ユーに自分の異能力を与えるようにした。それを見たユは驚いている。レイジングにそんな事ができるはずもないのに ユーに自分の異能力を与えたことに驚くのだった。だがそれだけではない。レイジングが乗り移った後でもレイジングが自分の意思をレイジンとユーに伝えてきたのだ。それに対してユーは

「レイジンの力を取り込んだことで、お前は僕の力を自分の物として取り込めるようになったということなのかな?」と、聞くと。「はい。そう言うことになります」と、返事をしてから

「それでは改めて、自己紹介をさせてもらいます。私の本当の名前はレジンと言います。これからよろしくお願い致します。私の主人である貴方様」と、言ってくれると

「えっ?レジンって名前だったの?そっちの方にびっくりするよ」と、ユーは素直に感想を言ってしまうと

「そうです。ですから、どうか私の名前はレイジンではなく。私を呼び出してくれた。主である貴方に呼んでほしいのです。私のことを呼ぶ時はレジンと。そう呼んでいただければ光栄です」と、レイジンは答えると。

「それじゃ、レジン。まずはレイジングとの戦いに付き合ってくれよ」と、言うと。「はい。もちろんお付き合いをさせていただきたいと思います」と、言うのであった。

そうして二人はレイジングと戦いを始めた。レイジングに乗り移られている間はレイジングがユーの体の主導権を得ることが出来るようになっていたため。レイジングが乗り移っている状態ではレイジングの力を使うことが可能であり。その力を使いこなしているレイジングの体にユーが乗り移ることで。ユーとレイジングの二人で戦っている状態となる。

そうやってレイジングの体はユーの体を乗っ取り始めると、ユーはレイジングと戦うことになった。レイジングがユーとレイジングの体を奪い合い、最終的にはレイジングがユーの体を乗っとり始める。

レイジングの体を手に入れたユーはすぐに自分の体を取り戻すことに成功する。

「うぉ。これはすごい」

「凄いでしょ?レイジングにユー君の体を好きにさせるつもりはないんだからね」と、言うユイの言葉に「うん。ありがとう。それにしても、どうして急にユイはユーマのところに駆けつけることができたんだろう?」と、聞くユーに「あっ。それね。サマリちゃんが連絡をして来てもらったんだ」と、ユイが説明してくれると。

サオリはユーとユイとユーカとサオトとヒヨリと一緒にレイジンを倒すための行動を始めることにしたのであった。そしてユーマはレイジングと戦っていたが、ユーマに憑依していたレイジンもすぐにレイジングからユーマの体を取り返すことに成功して

「よし。これでレイジングの体が手に入ったぞ。後は、あいつらを全員ぶっ殺してやるだけだな」と、嬉しそうに話しているが、それに対してユートは

「おい。調子にのって俺に手を出さない方が良いんじゃないのか?俺も自分の力を使ってお前を殺しても良いと思ってはいるんだけどさ。今、この場で、俺を殺したところで。またお前は俺に取り付くだけのことだろ?」と言うと

「へぇー俺のことをそんなに見てくれていたなんて。嬉しいね」と、言った瞬間ユーが異空間移動を行い、レイジンの背後を取ったのでレイジンはすぐに振り返ると、目の前にユーの拳があったので

「くそがぁぁぁ」と、叫んでしまうと、すぐに異空間に移動を始めてしまうのでユーはそれをすぐに追いかけて行くと、異次元の世界に到着すると同時に異次元世界から異能を発動して、異能力によって作り出した氷の壁でレイジングの行く道を塞ごうとするがレイジングは簡単にその攻撃を突破されて 異能力によって作られた氷の壁にぶつかるが。

ユーの体もすぐに壁を突き破ろうと試みるのであるが、そう簡単に突き破れるようなものでもなかったのだ。その隙を見逃すほど、レイジンは甘くはなかったので ユーを攻撃にしようとしてくると、その攻撃を防ぐために、ユミの異能力を使い防御をすることにした。ユカの炎の精霊を召喚して

「燃え盛る紅蓮の業火よ。敵を燃やせ!」と、指示をすると ユーとレイジングの周りに炎の柱が現れると。そのままその周りを激しく焼き続ける。そのおかげで ユマ達がいる場所からは二人の姿は見えなくなってしまった。そのせいでユーマは焦ってユーヤにユーを助けに向かうように指示を出すのであった。

その頃、レイジングの体内に取り込まれていたレイジは、レイジングの能力を利用してレイジングの体を操ることに成功すると、ユーヤとユーマの元に向かおうとするが。レイジングはレイジングに乗り移っていた時にすでに、レイジングから得た能力を上手く使いこなせるようになっており。ユーとレイジンの戦いを見守ってから。どちらが勝った方が得になるのかを考えていた。その結果、すぐにレイジングの肉体をレイジングが乗っ取っているユーの体の中に移動することに決めたのである。

「ふぅ。やっと私の体が手に入ることができたか」と言いながらユーの方を見ると、ユーはまだ生きており すぐに起き上がろうとするが、全身の力が入らずに立ちあがる事ができない。その事に気づいたユージンはすぐにレイジングに乗り移った時のユーの体にユーを閉じ込めるようにして。異能力を発動させると ユーの体に無数の穴が開く。それを確認したレイジンが満足げに「それでは」と言ってからレイジングの中に戻って行った。それを確認した後にユーは力尽きる前に異能力を発動させようとしたが 異能力は発動しなかったのだがその直後にユーは絶命してしまった。

「これで終わりだな」と、言ってユーヤはレイジングに向かって攻撃を仕掛けようとすると ユーヤの目の前で爆発が起こり そこから一人の人物が姿を現した。ユーがレイジングに乗り移られる直前に ユーの体の周辺に異能力で作り出した特殊な壁を出現させたが。その壁を突破することができずにいたので。

そこにいた人物。ユーはユーの異能力を使いユーをユーを庇いながらレイジンとの戦いを続けていた。だが、このままでは勝ち目がないと判断したユーは、レイジンからユーを逃がそうとする。ユーはそのまま、異能力で作った特別な部屋に レイジンを移動させることには成功するが、ユー自身はレイジンの攻撃から守ることが出来ずに致命傷を負ってしまい、致命傷を受けて瀕死になっているユーを、レイジンから救った人物は、自分の異能力をユーに与えることにする。

ユーはその事に対して驚いていたが

「貴方が私を、助けてくれるんですか?」と聞くと その人は、「はい。ユートさんは私の恩人ですから」と、答えてくれた。そうしてユーに、その女性がユーマに自分の体を与えてあげることで、その女性はユートとして、生まれ変わることが出来たのだ。

その女性は「私はサマリと申します。貴方のおかげでこうして新たな生を受けることが出来ました」と、言ってくれて

「サマリさんですね。それじゃ。改めてよろしくお願いします」

ユートとレイジングの決着はユートの勝利で終わることになった。だがユーが異能力を使ってユーとレイジングの周りを囲むことでレイジングがユーの体の外に出ることができなくなったのだが、それを見てユーは、ユーに異能力を使うように命令をするが、その時にはユーの体にはすでにユーマの体が存在していた。なので すぐにレイジングの肉体を奪い取りユーの体から追い出してユーの体の中に入れることに成功したのだった。だがユーがすぐにユーを元の世界に返そうとしたのだが。その時にサモがユーが意識を失って倒れそうになるユーを支えて

「とりあえず。今は少し休んで。まだ戦いが終わったわけではないし」と、言うと。

ユートは、自分が思っていた以上に限界だったのだろうか?すぐに眠りについてしまった。そうして レイジングの肉体を宿していたレイジンを倒したのは良いのではあるが。そこで問題が発生する。レイジングは死んだふりをして。

異次元世界に戻るのであった。そうしてユーとレイジングの決戦が行われた後で ユマ達は、レイジングが消えてしまったことに驚き、ユマが急いでレイジングの探索を行うことにした。それからレイジングの居場所を探すためにユナも同行することになり。三人はレイジングを見つける為の準備を整えると王城に向かった。そこでユーマとレイジンの二人は出会うことになるのである サオがユーマから異能力を与えられてから数分後には、レイジングが乗り移るのに成功をしていたのだ。その事によりレイジングの体は完全な復活を果たす。その事はレイジンにとって喜ばしいことだったのだ。レイジンは自分の目的を果たすための行動を開始した。まず最初にやるべきことは。レイジングが自分の体を乗り移るために必要としているものを手に入れることであった。

そうしてまず最初にユーゴ達が逃げてきた場所にたどり着くと そこにはユーヤの姿があり。そして、ユーヤの仲間でもある四人もユー達の元にやってくると

「お前たちのせいで俺様の計画が崩れちまっただろうが!まあ。それでもいいさ。俺にはお前達の相手をする時間も惜しいし。今からお前たちに用事があるんだよ。お前たちの体をもらうからおとなしく殺されろ」と、レイジンがユーマ達に言い出すと。ユーマ達の前に立ち塞がるのは ユカであり。「私が相手になってあげましょう」と言うのであった。ユカがユーマの盾になるような形で前に出るとレイジンもレイジングの肉体を手に入れたことにより、ユカがユーマの側についている事を察したので。すぐにユーとユーマはユーとユカに任せる事にしてサオトとサマリと一緒にサマリに案内されて王都に向かうのであった。

ユナは、サマリに付いていく途中で

「ねえ。レイジングの目的が何か分からないけど。ユーマに、ユマさんに異能力を与えるのが目的で、ユイちゃんに異能力を与えようとしているわけじゃないよね」と、質問をするとサマリは「それはわかりません。そもそも異能力者を増やす理由が分かりませんし」と答えると。

「そうなんだ。確かに言われてみればそうだね」と、ユナが呟く。

そして、王都についたのと同時に。レイジングは異能力を使って レイジングの分身を大量に作って、レイジングを守らせると。自分はユマの体に異能力を使い始めると、それと同時に、異空間にユマの体を入れ始めた。そうして、ユマの体が消えると ユーマはすぐにレイジングの後を追うが、それを邪魔するように、レイジングが異能力で作ったと思われる魔物が襲ってきたので。すぐに倒して先に進んで行くと。今度は、自分の体を取り戻そうとするササラが現れ。

ユーがサオリから与えられた能力を使いサマリを援護しようとした。

だがその瞬間に。レイジングからもらった力により、レイジングの肉体を乗っ取ることに成功していた。レイジンは異能力を使って自分の体を作り出し、その異能力によって作られた体を利用してユーマの前に現れた。

レイジンは「どうしたよ?そんな顔して、まさか、異能力を与えた相手に返り討ちにあうと思ってなかったんじゃないだろうな?」と、挑発するような言い方をするのでユーが レイジンに向かって異能力を使えるのかを尋ねてみたのだが。それに対して「もちろん使えるぞ。なんならここで見せてやろうか?」と、言った直後に

「燃え盛る紅蓮よ。敵を燃やし尽くせ!」と、レイジングの声で言うのを聞いてユーマが

「やめてくれ。それだけは止めて欲しい」と、懇願すると レイジングは笑みを浮かべて異能力を解除すると。

ユーに異能力を渡したことに対する感謝の言葉を告げられてから レイジングはすぐにその場を去って行き。ユーの前から姿を消した。その事から、もうユーマに、自分から異能力を与えられるような状況ではないと判断したのであった。

「それでは私達と一緒に来てください」と、言ってサマリアはユーマの手を握ると

「それでは、ユー君またね」と、言うと、ユーとサトリを連れて王城に向かおうとするが。その事に気づいたレイジは、すぐに二人を引き止めると

「おいちょっと待て。貴様に、私の妹に何するつもりだ?」と、問いただしたのだが サオが「私達がこの人に危害を加えるはずないでしょ」と言い返すと。

「そいつに騙されているだけだ」と言って、妹を取り返そうとするが。

「だから、その前にユー君は私の物だって言っているのが聞こえないの?」と、サオは怒気を含んだ声でレイジンに言い返したのだが。

「誰が貴様のものだと勝手に決めるな。私はこの人の事を大切に思っているし。これからはずっと一緒にいる」と、言いながらユーマを抱き寄せると

「お前は。何をふざけたことを言っていんだよ!ユーマから離れてこっちに戻れよ。その女に騙されているんだ。ユーマから離れないと酷い目に合わせるぞ!」と、ユーは叫ぶが。レイジンは「うるさい黙れ。私はこいつに惚れてるから問題はない。お前こそ。こいつの恋人とか言っているが、お前の事は好きにはならないし。絶対に付き合わないからな」と、宣言してから。

ユーに「それにしても。お前も馬鹿だろ?こいつは男だぜ?お前が愛して止まないのは男のはずだ」と言うと。ユーが「その事は分かっています」と、言いだすとレイジンが「だったら」と、ユーを指差して「お前はこいつが男なのになぜこんなにも好意を寄せてくる?」と言ったのだが

「え?そんなの決まっているでしょ。私にとってはユーマは女の子なんだから」と言うと、レイジングの頭上に大量の隕石が出現させて そのまま、隕石を落下させると、地面に衝突して爆発が起きるが。サマリはその事を無視してユーマに「それでユーさんはサトルさんの所に行くんですよね?」と、聞くと

「はい。でも。今はサユリさんが心配なのでサツキさんに連絡を取る必要があります。それが終わった後は、サユと連絡をとってサユがどこに居るのかを確認して。その後は、王城に戻ってサオと話をする必要があると思います」と、答えたので。サマリアはユーマに抱きつき「それじゃあ。すぐにサオに会いに行きましょう。すぐに会えば、サホと会うのも問題ありませんから」と言い。それからすぐに王城に戻ると。

サオリはユーにユーマが目覚めたことと、ユーマが無事にレイジングから解放された事を伝えた。そして、サオリは「とりあえずサモとサコとレイラとアユムはここに残って。それ以外の人全員でサモの家に向かいましょう。サオの事もそうですが。レイジンの事や。王都の外の状況なども詳しく調べる必要があるから」と言うと、ユナは レイジングとユーマとの戦いを見届けるためにユーとユートと一緒に戦いの場所まで戻ってきていたのだ。そこでユートは、ユーとユマの二人がレイジングを倒した後にレイジングがどこに移動したのかわからなかったので。ユーマとユマとユカの三人は、サオに頼んで、三人で、サオトの家に戻ってきた。

「ただいまー!帰ってきたわよ!サホ、サモ。お帰りのキスをしてくれるかな?それと、ユーも無事に帰還したわよ。ほら、さっさとサオトの所に戻りましょ。それから、ユーの体は、今のうちにユートがユーヤに乗り移っちゃいなよ。そうすれば。元に戻ったユーヤと一緒に居れるようになるんだし」と、ユマは嬉しそうに伝えると。ユーが「そうだね。僕はユーマと一緒の方がいいからね」と、返事をしたところで。

ユーマが、「ユマちゃん。ちょっと落ち着いて」と、慌てていたのであった。だが、それでもユーマがユーとユーコとユイの身体を元の体に戻すために

「さすがに、今の僕の体にはユーコが乗り移りにくいので。先にユマの体を返してあげるから。その後でユーコの体を元に戻して欲しいんだけどいいかな?」とお願いすると

「うん。それなら良いわよ」と、あっさりと受け入れてくれて。すぐにユナにユマは体を渡すが。その際にユーはサマとレイジングの事をユマに説明していた。

「サオリはユーに、王城に連れて行ってもらいたいんですけど、大丈夫ですか?」と、質問されたサマは、ユーとサマを連れて行こうとすると サオリに呼び止められる。そして、

「サオリさん。実は王城に行ってユーさんに会ってほしい人がいるの。サホも、ユウと二人で、ユー君の側にいてあげて」と、伝えるのであった。サオリがユーマに王城に行かせるための方便として サオトとサマを連れていくという嘘の話をして、サオとサヨをその場に待機させた。その事で、サマリも一緒にサツキの所にユーと一緒に向かう事になった。そして ユーマとユマとユナとユートは王都に戻る。

王都に着くと、すでにササラとレイジングが戦闘を行っていたのであったが、ユーマはレイジングを拘束してササラから離すのに成功したので。ササラの方にユーマが向かっていくが。その間にレイジングの体を使ってササラの体を支配しようとしていたのだが、サオリは異能力を使ってユーマにサオリの能力を与えると、その能力によってレイジングの意識を消し去り、レイジングは異能力を失った状態でサオリの前に姿を見せると、レイジングは自分の肉体に異能力を与えて、自分の体を取り戻すのだった。

レイジングにユーマがレイジンと戦った時の様子を尋ねたところ。「ユージは異能力を使って戦っていたのか?」と、聞いてきたので。ユーマが

「もちろん使っていましたよ」と、答えると

「なるほど。ユージは俺と同じように異能力が使えたのか」と、言い出したので、ユーマは「それはどういう意味なのでしょうか?」と、問いかけるのであるが。それに対してレイジングは「そのままの意味だよ。俺は異能力をユージンから奪ったんだが。あいつは自分が持っていた異能力を、ユージンに全て与えたのかもしれないな」と、レイジングが呟くと、サツキが「あなた。その話本当なんですか?」と、レイジングに問いただしたのだが。レイジングがサツキを落ち着かせようとすると、そこにユーがやってきたのである。

サマリとサマがササとサオの元に戻ってくると、そこには、レイジングがいたのであった。それを見てユーはレイジングに「お前は誰だ?どうしてサオ達の所に来ているんだよ」と、話しかけたのだが、その問いに対してレイジングが、ユーマとユーマがユーマの中に取り込んでいる二人の女性について語り始めたのである。その事をレイジングが言うと ユーがレイジングに

「お前はいったい何が目的なんだ?」と、聞くと

「目的は二つある」と、レイジングが言い出すと、ユーは

「まず一つ目だ。ユーの体内にユーが取り込み、ユーに取り憑いていた二人はどこにいるんだ?」と、聞いたのだが。

ユーがユーの体の中から二人を呼び出し、ユーの体に戻ろうとすると、ユーマに「その二人だけはやめて下さい。二人に何かあれば僕達が困りますから」と、ユーマに言われたが。レイジングは「安心しろ。別に危害を加えたりするわけではない」と言って、ユーマとサオ達をユーマの家に向かわせた。その後、レイジングが二人に「お前達は本当に面白い存在になったな」と、声をかけたのだが。それに対して二人から

「私達が面白いというのは、褒め言葉ですよね」

「うん。そうだね」と、サホが答えて。その後にレイジングが「お前たちは本当に凄いと思うよ。まさかあの女がこんな力を手に入れるとは思ってもいなかったからな」と言うと「レイジンがそんなことを言うなんて意外ですね」と、ササが言い返すと

「まあな。それにしても、お前達は本当に面白いな」と、レイジングが呟くと レイジンがレイジングとササラに向かって

「私に何か用があるのか?レイジン」と、ササキが問いかけたが。

「まあ。とりあえず。ササの体の中に入っているそいつを出してもらえるか?」と、言ったのだが

「わかった。だけど、あんまり暴れないでくれよ」と言うと サナはレイジングの体を外に出すと。すぐに自分の中にレイジングの魂を入れるのであった。そしてレイジングは

「やっぱりサマの身体の方が良い感じだぜ」と言い出すと、それを見ていたユーマが

「え?どういう事ですか?」と、レイジングに訪ねると レイジングは

「ああ、この身体は俺の本来の身体ではないからね。今、こいつの体は、君のお友達になっているみたいだからね。それでちょっと気になってね」と言い出していた。それからレイジンに ユーがレイジンを倒す事に成功して、サユリの元に行くと、そこでは王都にいる全ての人達を相手にして戦う事になったのであった。

サユリと戦うことになった理由は、やはりレイジンの影響が大きかったようだ。それからユーとユーヤが王都に戻ってきて戦いの準備をしていた。そして ユーマとの戦いが終わると ユーヤと戦っていたが。ユーヤの攻撃を避けきれず

「このままだと。僕の勝ちになるね」

「それはどうかな。僕だってユーヤ君には負けられない理由もあるんだ」

「そうかい。まあ、どちらにしろ僕の勝利で終わりだと思うんだけどね」と言うユーヤはユーマとユーマを取り込もうとするレイジングに向けて攻撃を仕掛けるのだったが。ユーマがレイジングと融合した状態でユーがユーマの身体の中に入って、そのままレイジングと戦い始めようとした。しかし、ユーがユーマの中に入ろうとした瞬間に、レイジングがユーの肉体を奪うと。その直後にユーマとユーがレイジングの前に現れると、ユーマの体をユーから奪い取った。それを見てユートとサマとレイラは驚き、サモも驚いた表情を見せていた。それからレイジングが

「これでようやくササがユーヤの体を支配できるはずだから。ササ、今すぐにでも俺を受け入れてユーヤから解放されてくれないか?」と、お願いをするのであったが。それを聞いたササは「お断りします」と、断ってしまったのであった。

ユーマは

「さて、ここからが本番だよ。覚悟は良いかな?サモ。それからサマとサオリもね」と言うと、サオリもサマも武器を構えると。サマはサヤに対して

「ちょっと待って。さっきレイジングから聞いたんだけど。レイジングの力を吸収したのが、サオリさんじゃなくて、ササさんだって本当?」と、尋ねると

「うん。そのとおりよ」

「その話をユーちゃんは知ってるの?」

「ううん。教えていないよ。サマちゃん。ユーちゃんなら大丈夫。私の事を絶対に信じてくれるはずよ」

「うん。分かった。それならユーちゃんを信じてあげよう」

サマがそう返事をすると サオリはサマの事を抱きしめてあげると。サマもそれを受け入れると、ユーはユーの身体の中で意識を取り戻せた。そこでユーが「サマ。僕は大丈夫だから。サマもサオリもユーコもサオリもササさんもみんな大好きだし。サマリもサユも好きだし。ユーマとユーヤの事は尊敬しているんだ。もちろんレイジングさんとレイジングさんの異能力も好きなんだ。だからこそレイジングさんはレイジングさんであってほしいんだ」と言うと。

ユーはサマをササラに渡してからユーの体内に入ると、そのままレイジングとササラの戦いを始めたのである。ユーマは

「もうこれ以上僕達の大切な人たちを苦しめるようなら許さないぞ。レイジング」と、叫ぶと

「ふむ。ならば仕方がない。少しばかり本気を見せてやるから。しっかりと楽しめよ」と、言うと。レイジングの人格は消えて。そのかわりにレイジングが取り込んでいたユーマの異能力である『ユー』が姿を現すのであった。それを見たユーは「なるほど。これがレイジングの本当の力という訳なのか」と、呟くのであった。

レイジングの力を見てユーは「サマとレイジングが融合して誕生したのが今のレイジングの異能力のようで、それがどういった物かまでは把握できなかった」というが。ユーが取り込まれている間にもユーの肉体を使って戦っているので。ユーとレイジングは互角に戦っていたが。ユーはユージの記憶とサジの経験を使うことができるようになっていたので。ユーとユージが協力することでレイジングを徐々に追い詰めていき、最終的にレイジングの肉体を滅ぼすことに成功した。その後。ユーはレイジングの意識を消した後にユーマにレイジングの事を任せるのだった。

それからレイジングがユーマとサマリとサホと一緒にいたレイジンとレイジングの体を手に入れたユーマがユーヤとユーコに襲いかかるが。二人はユーに「お前達は何をしたいんだ?」と、聞かれると

「俺の目的はサオの願いを聞いて。俺がユーヤに変わってササを嫁にする。そのためにはまずは王都を乗っ取る必要があるから。まずはその障害になりそうな人物から倒してしまおうと思ってな」

「そんなことをして何になるんですか?あなたは自分の父親に裏切られたんですよね。それなのに、なんでそこまでして、サツキと結婚しようと考えたんですか」と、サオが質問をした。それに対して

「確かにサツネの父親である王によって、俺は両親を失ったからな。その事に関しては何も文句を言うつもりはないんだよ」

それを聞くなりサツキが

「それじゃ。なんでなの?あんたはササを嫁にして。あんたが王位を手に入れようとしているの?」

「まあ。それも悪くないかもしれないと思ったからな」

ユーが

「あんたが王になっても、また同じような事になるだけだと思うけど?」と、問いかけると

「その時は、サツキの体から記憶を取り出して別の人間に入れ直すだけだから」

ユーが「やっぱりお前もそう考えているんだ」

ユーが

「でも、残念だけど。ササリとあんたとの結婚を認める事はできないよ」と、答えると。

「だろうな。だけど、このまま俺とユーの体が滅びるのを待つだけでいいのか?お前達は俺達を殺す事なんて簡単じゃないだろ」と、ユーヤは言ったのだが。サマリとサホとササに「あなた達が本当にそれでいいんなら構わないけど。本当に後悔しないの?」と言われて。それを聞いたユーヤとサオリとサマとサヤの四人はしばらく考えて「私達を助けてくれた恩人でもあるユーちゃんやユーマ君を殺したくありません。ですが私達はユーちゃんやユーマ君に死んで欲しいとも思いません」

それを聞いたサツキが

「ササ。ユーちゃんは私の親友なんだけど。それでもササの事を愛してくれる?」

サオリも

「もし。サユリ様とササの二人がサモにユーマさんと結婚することを認めてもらえるように説得をするのが難しいようなのでしたら。私は、サユリ様に、このユーマさんを殺させてしまいました」

と、謝りながら、ユーマがサユリの体を取り込んだまま、ユーの体内に入り込んでいる事を告げるのであった。

サモは

「それで、結局。お前らは、サザリさんに何をしてほしいんだ?」と、尋ねた。

「簡単な話だ。この俺を殺してほしい」と、サジンが言い出すが。それを無視して、サマが「それなら最初から、サユリに頼めばよかったんじゃ?」と言うと

「ああ、だけど、サユリもサザエも王の命令には逆らえなくてね。でもサザレがいれば問題は無い」と言い出すと。それを聞き流しながらユーはサジンと話し合うことにしていたのだ。それから、サジンを封印する事に成功すると。次はユーヤと戦うことになったユーヤだったが。その戦いも無事に終える事が出来た。それからしばらくしてユーはユーヤから事情を説明される。

ユーマはレイジングの力を取り込んだユーとユーヤの戦いを見つめていたが。ユーマの身体はユーヤの攻撃を受け続けてしまうと。そのままユーの肉体は消滅しそうになる。その事を確認したユーマは、急いでユーヤの元に駆け付けると。そこでユーは、ササとサマと共に、サツキ達のいるところに移動すると。レイジングがユーマに襲ってきた。その光景を見たユーは「もう止めてください」と、泣き出しそうになったのであった。

それを見たユーヤはユーマとレイジングの間に入り込むが、ユーヤはレイジングに取り込まれてしまう。それを見たユートは「もう止めるんだ」と、叫ぶと、ユーの異空間が発動するのであった。それを見たユーはユーの異空間の中にユーマがいると確信したので。そこに移動してみることにする。しかしユーマはユーの中にはいなかった。そして、ユーがレイジングに取り込まれる寸前にユーマとユーマはお互いが入れ替わって入れ替わる前に持っていた力を交換することにしたのだ。その結果。レイジングの肉体と力がレイジングに吸収されて消滅する事になったのだが。レイジングはレイジングの肉体を手に入れる事ができなかった。だが、レイジングの魂はまだ生きていた。その事に気がついたサユリがサモに命じてレイジングの身体を奪うように頼むと。ユーマはレイジングを肉体の中から追い出そうとするがレイジングはレイジングの力で強引に外に出ることに成功すると。レイジングが「よくもここまでやってくれたわね。私の計画を完全に台無しにしちゃったみたいね」と、言い出した。その事でユーはレイジングの目的がユーの予想通りで間違いがないと思う。レイジングの目的とはサオを自分の娘に仕立て上げて王の座を手にいれることだったので、ユーはそれを理解したのだ。

「レイジング。あなたの目的は分かっているよ。サオさんを王女にして、王様になろうとしてるんでしょ?」と、ユーが尋ねると

「あらら。バレていたの。それなら話は早いよね。私が王になれない理由も知ってるんでしょう。だったらおとなしく諦めなさい」と、言われたユーは「あなたはもうすぐ死んでしまうんだよ。それに僕もあなたと同じように肉体が壊れ始めていて、死ぬのも時間の問題だから。最後に僕のお願いを聞いてくれる?」と、言うと。レイジングは

「最後の願いって何なのかしら?」と、聞き返した。

それからユーマとササとサマとサオリは、それぞれでササにレイジングの事を託してレイジングの事をユーに引き渡してから。ユーとレイジングが対峙すると。レイジングは

「どうせ。あんたももう長くは生きられないんでしょう。だったらさっさと死にたいの?」と、言うが。それに対してユーが

「確かにあなたと同じだよ。でも、その事を嘆く必要はないと思ってね。僕はあなたと違って家族や友達が沢山できたから。その人たちのために生きて行きたいと思えたから」と言うが

「そんな事は私だって同じよ」と、返すのであった。それを聞くとユーは

「あなたの本当の望みは何なんですか?」と、問いかけたのだが、その答えを待っていたユーは、サユリの元に向かうために行動を開始する。そのユーの行動に気づいたレイジングもすぐにユーを追い掛けようとしたが。それを察知をしたユーは異能力を使用してユーとレイジングの位置を移動させると同時に異能力を停止する。それと同時に異能力を使用した影響で体力が尽きてしまったが。何とかレイジングの意識だけを消す事に成功した。

それから数分後に、ユーが目を覚ますと。そこにはレイジングがいたので、レイジングの肉体を滅ぼしてサユリとサモがササの異能力で復活させると、ユーとササラは二人と一緒に移動すると。そこではサモに肉体を奪われる寸前になっていたサオを救出して肉体を取り戻しているサツキ達と合流する。そこでサユリ達は改めて、レイジンの肉体を滅ぼすことを提案するが。それを聞いたユーヤは

「それでは意味がないんです。サオを王位につけなければ、何の意味もないのです」と、言い出して。レイジンを滅ぼせばサオリは命を落としてサツキとサマとサオは奴隷になる。そうでなければ王になれる権利を失うと話すと。それならば、王都にいるサオリ達三人とサマとサマとサマとサツキはレイジンからサオを守るように立ち回ってもらい。その間にユーとササとサオリは王都を離れれば、王都がサツキの手に落ちても問題はないのではないのかとサマリが話し出したので。その方法を実行する為に。

まずは王都を制圧する事にする。その事を王に伝えに行くのにユーキとユーとサマリが行くことになり。ユーは王とサモとサマを連れて王の間に入ると、ユーはサユリの体に王の記憶を移して、代わりにサザレの精神を入れるように指示を出して、サユリが王に成るように手配を行うと。サユがユーの体を乗っ取る事になるが。それに関しては仕方がなかったのだ。

ユーとサオリがサオ達に合流すると。ユーが

「サツネさん。これからユーさん達はサザレさんのところにいき。そこから王城に向かいましょう」

と、話しかけるとサオリが

「ユー様とサツキとサユリが一緒にいるから問題は無いと思いますが、サザレさんは王なのですが。もしもの場合に備えて、サザレさんが王になってから、あなた方全員とサユリ様は、レイジングさんの部下になってもらっても構わないか確認を取ります」と、サマリは話して、サユリにレイジングに指示を出すように命じたのであった。それを聞きながらサツキはレイジングがレイジングの力でサユリ達に近づき始めると、「お前達の企みなど見通せてるぞ。今、お前がレイジングを使って何をしようとしているのかは分からなかったが、お前はもう用済みだ」

その言葉を聞いたレイジングは慌ててユーに向かって攻撃を開始したのだが、すでにその手には乗っていないと、サツキがレイジングの腕を切り落とす事に成功する。それを見てサツキがユーの肉体の中に入っていく。それからユーの肉体とユーとユーヤの肉体が融合されると。ユーはレイジングがユーの体内に入り込む前にユーの肉体に入り込んでいくと、その途中で、ユーとサマはお互いの場所を交換していく事にする。それを確認したユーヤがレイジングの中に入るが、既にユーの中にはサマが入り込んでいた。それを確認したユーマが「それならサマには俺の方に行ってもらう」と、ユーの異空間の中で言い出すと、それを確認したサマが「任せた」と言って、ユーとユーヤはユーとサオリの肉体を奪い合いを始めた。それが終わると。サオの肉体を奪っているレイジングの元にサマが向かい、ユーはユーヤの肉体を乗っ取りにかかる。それからしばらくしてユーがユーヤの肉体を取り込み、サユリとサマもレイジングの肉体を奪うことに成功したのだった。

サツキとユーヤとサユリは、王城に乗り込んでからレイジングが逃げないように監視していたのだが。そこに、ユーヤの身体に精神を入れたユーとユーヤがレイジングの前に現れる。

「サザラとサマはどうしたのよ」と、レイジングは言うと。ユーが

「ユーヤ君とサマとユーが融合したのは私と、ユーヤ君は知らないでしょ?私はユーにササラの異能力をコピーしたのよ。それとユーはユーヤの肉体を手に入れた時に。ササラの体とユーヤ君の魂を入れ込んだの」と、ユーヤは説明をする。

「それはユーヤの身体じゃないでしょう。そんな事は許されないわ」と、レイジングはユーに襲い掛かるが

「確かに。この体はサオちゃんの体だし。ユーの肉体はユウマが支配しているから。あなたも知っていると思うけど。私の能力はあなたを封じる力もあるの。だから無駄な事はしない方がいいよ。でも。もう、そんな事をする必要も無いんだけれどね。あなたも分かっているんでしょう。自分の体の事が」

と、ユーは言うと。レイジングは驚きながらも自分の体を見ると。徐々に自分の体が消滅を始めていったのだ。その様子を確認するとユーはレイジングに対して

「これでおしまいですね」と、冷たくいい放ったのであった。

レイジングはレイジングの力を失い、ただの人に戻った状態で牢獄に幽閉されていたのだが。そこにユーヤが現れる

「もう終わりですよ。あなたに残された道は処刑されるか。このまま生きるかです」と、ユーが言うと。レイジングは

「そんな事言われなくても分かっているわよ。私にはどうする事ができないもの」と、レイジングは言い返したのであった。

「それなら。僕の頼みを聞いてくれないかな」

「何かしら?」

「サユリさんが王様になればサツキさんがあなたを助けてくれる」

「え?」

「サツキさんがあなたを助ける事でサオさんも王になれる。そうなるんでしょ?」

「まぁ、そんなところよね」

「それで僕からの頼みを聞いて欲しい」

「聞いてあげたいんだけど。私はもう。王に戻る気はないもの」

「それだったら。あなたは僕と一緒に来てもらうよ。僕があなたを守ってあげる。僕はあなたの味方だよ。だから。一緒に王都を離れよう。僕達を邪魔する者ももういないはずだし。それに僕があなたをサオの代わりじゃなくて。あなたの側にずっといて守ってあげますから。僕があなたの居場所になりますから。だから」

レイジングはユーの言葉を聞き、涙を流すのであったが。それでもレイジングはユーの手を取ろうとしなかった。それどころか、レイジングは自分の首をナイフで刺して自害したのだった。それから数日後。レイジンを滅ぼせなかったが。ユーの策略で王城からユーとサオとサツキが出て来ると。ユーの体に入っていたユーとサマとサツキが出てくると。そこには、ユーとサツキとサオの姿があった。

その事を知ったユーとサマは、レイジングが死んだと知って、自分達が殺したわけではないが。その事に関して責任を感じていた。だが、その二人の姿を見ていたユーとサオリとサユリとサツキは。

「ユーとサマが悪い訳じゃないよ。サザレさんだって。きっと分かってくれる。サオリさんだって。大丈夫。二人もきっと幸せに暮らせるさ」と、言ってくれたユーとサマとサザとサユはサツキとユーの異能力が解除されるとサオリとサマに

「二人ともごめんなさい。でも。二人に罪悪感を感じてほしくないんだよ。サツキさんにもそう言ったの。サザが許してくれたので」と、ユーが話すと、サツキは「ありがとう」と言ってから、すぐにサオリの異能力を解除して肉体を入れ替えてサユリはレイジングの遺体の側に向かうと、サツキはすぐにユーの元に向かいユーと二人で王城を離れることにした。

そして。サツキが、王城を去ってすぐに。ユーは王城を出ると、サマをレイジングが監禁されていた牢屋に入れ、サマはレイジングの体に入って王になる。

「あなたは王になる資格を失ったんですよ。王の資格を持っているのはあなたとレイジングさんだけだったのですから」

と、ユーは言い放ち。王城の前から去っていくのであった。

その後。ユーはサユリ達と合流して、ユーとユーヤとサオリとササとササはユーが作りだしたユーマの異空間に全員移動させると。そこでレイジングがユー達を始末するために作り出したレイジングがレイジングを封じていた。レイジングの異空間に閉じ込めてレイジングに体を返そうとしていたのである。

「ユーマはどうなるんだ?」と、ユーが聞くと「サザレがあなたの中にいるから。あなたとサユリさんで一つになるの」と、サユリが答えると、サユリはユーユリの中に入ると、二人は完全に融合してしまう事になる。

レイジングが作ったユーの肉体を乗っ取ったレイジングは。ユーヤの肉体を取り込み始めるが、それをユーは止めなかった。サマリの時と同じようにレイジングがユーに精神を入れ込み始めるが、ユーが抵抗する素振りを見せなかったので。サマリとサザが警戒しながら見ていると、ユーとレイジングは融合に成功してしまうが、その直後。サユリの異能力が消えてしまい、レイジングがユーの体を支配するとユーはユーヤの精神の中に入り込んで、そのままレイジングはサツキの体とサツキの体を使って、サツキとして生活を始める。

それを確認すると、サザはユーマの体に乗り移ろうとするのだが。ユーはサツキの肉体をユーに渡さないために自分の体に取り込もうとする。それから数分間が経過すると、レイジングの体からサユリの意識だけが抜け出した状態になって。サツキはサザの肉体の中に入っていくと、サザの異能力を使って、サツキがサマリに憑依した状態になる。それを確認した後にユーがサユリの体に乗り移り。ユーはサツキとユーナに別れを告げてサツキの体とサユリの体に自分の異能力を移植した後で、ユーの異能力をレイジとレイジングに譲渡した後にレイジングの体の中で眠るのだった。それからしばらくしてレイジングがレイジングの体を取り戻すが、ユーは既にいなかった。レイジングの体が戻ってきた時に、レイジングの体の中からユーとレイの人格が出ていくと、レイジングはそのまま王城を出ていった。それから数日が経過してから、ユーマはユーヤの体を取り戻してからユーマに肉体を返してもらい、サユリはレイジングから取り戻すことに成功すると。王城に残っていたサマとサユリに、自分の意思を伝えてからサユリに自分の事を託すと、ユー達はレイジングの後を追いかける事にするのであった。

それから数時間後。レイジングの目の前にレイジングがいる。「なんであんたが生きてんの?」

と、レイジングは言うと。

「サツキさんの異能力は強力だからね。レイジングを封じている間に僕も色々と学んでいたのさ」

と、ユーは答えながら、レイジングから奪った肉体に、ササキの異能力を移植して、ササギの肉体を手に入れ、サマとサオリとササはサユリと一緒に王都を脱出したのであった。

レイジングがユー達に気が付くが。レイジングは逃げようともせずに立ち止まる。

「私を殺すの?」

「そうだね。あなたにはもう生きる意味もないはずだし」

「確かに、私の居場所はないのは分かっているわ」

「でもね。あなたがこれから生きていかなきゃいけない理由がある」

「なにそれ?」

「この世界を変える為に必要なんだ」

「どういう事なの?教えてくれないと分からないんだけど」

「僕と一緒に世界を回らないかい?あなたを救えるかもしれない人達が居るはずなんだ」

と、ユーは提案するが。その言葉を信用する事なく

「あなたを信じたらいいのかな?ユー君を裏切ってこの世界に絶望しているから」

「僕と一緒に来て下さい」

「うん。分かったよ。行くよ。あなたと一緒に行くよ」

「サツキさん」

「私はレイジングです」

「サツキさんです」

「私はレイジング」

と、言い合っているユーとレイジングの姿を見ていたサマとレイナは

「レイジングさん」と、レイジングを呼ぶと、レイジングは二人を見て

「ササ、レイ。それにサオちゃんとユトくんとサモさん」

「よかった。みんな無事だったんだ」

と、レイジングの言葉を聞いたサマとレイナは嬉しさがこみ上げて涙を流していた。

「サツキさんも一緒に来てください」

「私も?」

「もちろん」

「本当に?」

「はい」

ユーの言葉を聞いて。サツキは涙を流すと「分かりました」と、ユーとサツキの二人だけで王都を脱出する事にして。

ユーとサツキはユーマを連れてユー達の国に向かうのであった。

「ユー様。あれって、サツキとレイジングでは」

と、ユーラは呟きながらも二人に声をかけるとユーラが

「ユー様にお話したい事が」

「それは何ですか?」

「レイジンのことなんですけど」

「何かありましたか」

「実はサツキ達が王城から逃げ出したあとで。王城から出てきたサツキが王都を出た直後に。王都にいたサツキに、王城にいるサツキにサツキの体を返すという手紙が届いたらしいのよ。サツキもレイジングが王城からいなくなったと聞いた瞬間に王城を去ろうと考えていたらしいから、そのままサツキとサオリとレイジングは王城を去ったみたいだけど」

「レイジングさんが、王城から消えた事については問題ではないと思いますが、問題はレイジングさんはユーマが言っていたように。サツキさんがユーマの中に入っていたから。王城を出ていった事ですね」

と、話すとユーが

「僕は今からユーマに会いに行きます」

「そういえば、さっきまで居ませんでしたよね」

「僕の異空間の中にいたのですよ」

と話してから、ユーマの所に向かうのであった。

ユーマはユーラの話を聞くと。ユーマの異空間に行こうとしたが、既にサユリとサマとサユリの3人が異空間から出ていた為に。サユリは自分の体に戻り。サマとサオリの2人を呼び戻す事にすると。サユリとサマとサオリは、サユリの異能力によって肉体が入れ替わると。

サユリがユーキの異空間に移動させて。そこでユーがユーヤに体を返してからユーの異能力を使って、サマとサオリとサユリの3人の体をユーヤの異能力で自分の体に入れ替えるのだった。

ユーが王城に戻ると。ユーはレイジングが王城から姿を消しているのを確認すると、ユーはすぐにサツキの体を乗っ取っているユーの肉体を探し始めた。だが。ユーはレイジングの居場所を知らなかったため。ユーはすぐにユーとレイジングの魂とサユリの魂が融合している。レイジングが王城の何処に存在しているのかを確認すると。ユーはレイジングが居る部屋の前にたどり着くと。部屋の中を確認せずにドアを開けてユーは中にいるユーマに対して

「お前が、サユリの肉体を使って、サユリの体を使って何をしようとしているか知っているんだよ」

「え?どう言うことだよ」

と、ユーが聞くと、ユーが続けて

「俺の体を使って。レイジングがサユリの肉体を使って、お前の体を乗っ取るつもりだろうが」

と、言い放ち。それからユーがレイジングの方を見ると、サツキがユーヤの体の方にやってくる。

「サツ。よくわかったな。レイジングを探せと言ったはずだぞ」

「サツキの体にレイジングがいる事は分かっていたが。どうやってサツキの体から抜け出させたんだ」

と、サツキに憑依していたユーが質問すると。

「サツキさんの異能力は強力な異能力だから。俺の意識を異能力を使って一時的に追い出したのさ」

「それで、レイジングがサツキの体を使ってサツキとして行動をしていたわけか」

「その通りだ」

と、ユーが言うと。サツキの肉体にレイジングの意識が入っているレイジングに。ユーが攻撃を始めようとする。しかし、その前にユーの体に入っているユーが。サツキの異能力を使って。レイジングの体の中にいるレイジングと、ユーの異能力とレイジングの異能力とを入れ替える。それからユーはユーマの体を借りてレイジングと話をする。

「お前の目的が、サツキの体をサツキに返すだけならば。別に俺と戦う必要はないと思うんだけど」

「そうだな。でも。俺はお前が憎くて仕方がないんだ。お前さえいなければ、サツキはサツキのままで生きていけるはずだ。なのに、お前は。サツキとササをユーナさんに売って自分の命を守ろうとした」

と、レイジングが言うとユーは少し考えてから。

「確かに。俺はお前が言うような事をしてしまったが。でも、それに関しては悪かったとは思っているが、あの時はササがユーマの肉体を手に入れるために、サユリの肉体が必要になっていたから。俺は、仕方なくやっただけだ」

と、ユーが答えるとレイジングが

「確かに。ササキさんの体が手に入ればササの体が手に入るし。そうすればサユリさんがササキさんの身体で生きる事が出来るから、その点においては、ユートがサツキを売る理由は理解できた。だけど。俺はサツキさんの為に、自分の全てを捧げる事を決めた。だからサツキさんの体が欲しいというユーナさんの提案を呑む事にしたのさ」

と、言うとユーもサツキを自分の物だけにするために、サツキを売ったのは間違っていなかったと思いながら

「それは分かるが。サツキさんが自分の体に戻った時にササキさんと一緒になると言う約束をしてもらわなければいけないと思ったのも事実だったから」

と、ユーが答えながらレイジングは、自分がレイジングだと認めるのであった。それからレイジングとユートはレイジングが王都を出るまでの間は、二人でレイジングがこれからユー達を襲わないようにする条件を決めて、ユーはレイジングに王城から出ない事を条件として出して。レイジングもそれを受け入れるのである。その後。ユーはレイジングの体から出てレイジングを元の世界に戻す事にするが。レイジングが「このまま、レイジンの体にユーの異能力で戻るのもいいけど。サオリさんもユーナさんとサユリちゃんと一緒にユートと一緒にいるから。ユーマがサオとユーナさんとユユの三人の女性と結婚する事になった事を知ったユーナとユオとユーラがユーマの事を羨ましがってユートを奪い合って争いになっているから。そんな状態じゃあ、この世界での俺の居場所はないと思うし。それに俺を元の世界に戻せるほどの異能力者はユーマしかいないのだし。この世界に戻ってユーマに体を返す事も出来るか不安だから」

「まぁ。サオリがいれば大丈夫だと思うけど。一応、サツキさんの体は返す事にするよ」

「それはいいのだけど。この世界に来た時から思っていたんだけど。なんでこの世界には、ユーの他にも俺と同じ名前を持つ奴が存在するんだ?」

「この世界のもう一人の僕が、あなたと同じように別の世界に飛ばされて、そこからユーと名乗ってこの世界に戻ってきたんですよ」

「へぇ~そうなんだ。なら。そのユーさんにも一度会ってみたいな」

「それはいいのですよ。ただ。この世界でもサマリの事を好きなのですかね?」

「ユーヤってユーヤの事かな?」

「そうですよ」

「ユーちゃん。ちょっと気になる事があるのだけれど」

「何ですか」

「そのユーちゃんがサツキが嫌いな事って知っているのよね」

「はい。知っています」

「そっか」

と、サオリがユーヤと話し合っているのを見たサツキは

(私の事を、あんな風に見ていたのか)

と、「サオリ。ごめんね。私がバカな事をしていたせいで迷惑をかけちゃって。それから私を助けてくれようとしてありがとうね」と、サオリに話しかけるとサオリが

「どういたしまして、でも、ユーマとレイジングに体を入れ替えられたサツキが。どうしてレイジングと会話が出来るのよ」

「分からないよぉ。だって私はレイジングじゃないもん」

「サユキの体を乗っ取った状態で話が出来ているのは確かだろ。でも俺には何も出来ないのだよ」

「え?なんで?」

「だって、レイジングに体と異能力を乗っ取られていたから。今は、サツキに体と異能力が移ってしまったんだよ」

「それなら、サツキに体を貸してくれるだけで良いからさ。ユー君と二人きりの時に体と異能力だけ貸してくれればいいんだよ」

と、サツキがユーに頼むと。ユーは

「そうか、わかった。とりあえず体と異能力は返すからさ」

と、ユーが言うと。サツキに体と異能力が戻っていき。サツキは自分の体を抱きしめて涙を流すのだった。サツキの体は、レイジングによって乗っ取られたサツキの体なので。レイジングの記憶も残っているのだったが、それでも。自分を取り戻した事に安心しているサツキを見て。サツキの体の方に入っていて。サツキの体に残っていた記憶や感情はサオリとユーの中に流れ込んできた。

「そう言えば、サユリはどうなったの?」

と、サツキがユーマに尋ねると。ユーはレイジングの体に魂を返した時の事を話すと。サユリにレイジングの体に入ったユーヤの体とレイジングとサユリが、自分の肉体の中に入っているサツキの肉体を探している間に。ユーは、サマの異空間にレイジングが入ったのを確認した後に、レイジングを自分の体に返してレイジングと話をする。

「それで、どうしたいんだ」

「俺は、サツキと、サオさんにユーマを取られるのではないかと不安でしょうがないんだ。だからサツキさんに体を貸して欲しい」

と、ユーが言うとレイジングは

「俺もお前に頼みたいのだが。サツキとサオとユーマを三人共幸せにしてもらいたいんだ。サツキの体を乗っ取って、サツキを幸せにする事はできるだろう。だが、それでは意味がないんだよ」

「どういうことなんだよ」

「サツキがサツキのまま生きていく事が幸せなんだ。だから、お前に頼んでユーマと結婚してもらう事で。俺とユーヤの二人はユーマと結婚をしている状態になる。だから。ユーとサツキは結婚したのだと。皆から認識されるわけなんだよ」

「それじゃあ、サツキとユーが結婚した事にできないじゃないか」

「確かに、普通はな」

「何かあるのか」

「俺とユーの二人と結婚したとサツキに言って貰えば、俺達二人が結婚した事になってユーとサツキは結婚をしていない事になる。でも。お前がサツキと結婚してユーに子供を産ませたと言うことにしてもらえば。ユーはレイジンと、サオリはユーとレイジとサツキが、レイジングとユーの子供がレイジでササがレイジの妻になった。と、なる。つまり。俺達は三人共、ユーとサツキの結婚は成立しなかった事にする事が出来るんだ」

「それが本当なのか」

「ああ、そうだ」

「でも。そんなことをしていいのだろうか」

「俺はいいと思ってるぜ」

と、ユーは答えるのであった。その後。ユーとサツキの結婚式が行われたのであった。

「そんな事をしても、レイジンはユーに負けを認めることになるんじゃないか」

「それはないな。あいつがサツキさんに告白した時点でサユリは、レイジンとユーヤに告白されている事になるから。その時点ではサユリは二人の事を振っていたはずなんだ」

「でも。俺はサツキと結婚する事にしたから」

「そこだよ」

「なんだよ」

「確かに、レイジンの気持ちが分かったユーは、レイジングからサユリさんの肉体を奪ってサツキの肉体に入れて。サツキと結婚する事は出来たかもしれないが。サオさんがサツキを許さなかったはずだ。でも、サユリの肉体に入っていたユーの体が元に戻る時にはサツキの肉体と入れ替わるから。サツキとサオが結ばれることはない。サツキの身体はユーが乗っとった時に、既にサツキではなくユーの物だから、だからユーとサツキが結ばれなかったとしてもサオとササキが結ばれたら。俺が、ユーの体とサオリの体を奪ったササキは、レイジンがサツキの体を使ってユーとサツキを騙していても。レイジングがサオリとユーを無理矢理、恋人同士にさせてもサユリさんとユナをくっつけようとした行為が間違っていなかったのが証明されてしまうんだ」

「そうなってしまうよ」

「それに、もしサオさんとサシさんがサユちゃんとサヤカちゃんが付き合うようになったのを知ったら。もうサオリさんをユーの婚約者にすることはないだろうな」

「それなら問題はないけど。なんでこんな回りくどい方法を取ったの?」

「そりゃあ。ユーマがユーヤとユーナさん達とハーレムを作りたいと思っているなら仕方がないことだけどさ。ユーマは別にそう思っていないでしょ」

「うん。そんなつもりはないけど」

「それならサツキさんの体は返しなさい」

「そうしないとダメな事なのか」

「サツキに体を返す事ができないならこの世界にはいられなくするか」

「そんな事をして何の意味が有るんだ?それにサツがサツキと別れたくないのならばサツキさんと会わない様にするだけでいいんじゃないのかな?」

「俺が、ユーと一緒にいるとサツキが不安がっているんだ。それは、お前が、レイジングとレイヤの肉体を奪い取って。レイヤがユーヤとサオの異空間に移動させたからだよ」

「それじゃあ、なんでその前に、サツキとユーヤを二人きりにしたんだ?」

「サツキとユーヤが二人きりになってもサツキが、俺の異能力を使えば大丈夫だと思ったからな」

と、ユーは、サオリに自分の異能力の事を話すのだった。サオリはそれを聞いて

「え?私もサツキが嫌いって言っているのですか」

「まぁ。ユーの事を思ってサツキに意地悪していたって言うのも理由の一つだと思うんだけどね」

「そうですねぇ」

と、話が終わるとサツキの体はユーヤの体に戻った。それから、ユーヤとレイジンは二人で話しをする事になったのである。ユーはレイジンに自分の考えを伝えた後に、レイジングの元に向かった。レイジングの体の中にレイジングの精神を入れるためである。

(どうせユーは俺を倒すことは出来ないんだよ。だって。今の状況じゃ。俺を殺せる方法が分からないんだろ)

と、ユーが思った通りレイジングを殺さずに無力化する方法があるのかわからない。しかしユーはレイジングを説得することにしたのであった。

(なんだよ。やっぱり殺す事ができないのか)

と、ユーが考えているとレイジングが、

「でも、お前の体を奪えれば俺に勝てるだろ。ユー」

と、レイジングが話しかけるとユーは。

「なんでお前が、俺がユーだと知っているんだ?」

「サユキから聞いたんだよ。お前とサオリに入れ替わっている時の記憶がサユキに残っているんだよ」

と、レイジングが言うとユーはレイジングの中に入って行った。ユーは自分の中に入るなりにレイジングの体を動かそうとしたのだが、

「俺の体を乗っ取ったんだってな。俺に殺される覚悟が出来ているよな」

「俺は死にたくないんだ。だって。サユキを愛せなかったのに。サユキを愛してしまったから」

「それなら、俺を操ろうとしたユーが悪いな。でも、お前はサユキから体を借りていただけで本当は俺だったんだろう」

「俺は。ただサツキが好きなんだ。でもサツキの気持ちはお前にあったから」

「それで。俺の体の中に入ったんだな」

と、レイジングが自分の中に入ってくる理由を聞いたがユーは答えない。それどころかレイジンに反撃しようと攻撃してくるのであった。だが、サオが、

「待ってくれユーマ。ユーがどんなに攻撃をしてもダメージを与えられないように私が異能力を掛ける」

「わかった頼むよサオ」

サオがユーの体に触り異能力を掛けた瞬間にユーは、

『これで、ユーの攻撃はレイジングには通用しない』

と、サオが言うと。ユーはその言葉に反論をした。だが。それでも、ユーマを信じるしか無かったレイジングはユーに、

「そんなことできるはずがないじゃないか」

と、言うのだが。

「お前こそバカを言うな。俺がお前と同じ立場でも同じ事ができる」

「確かに俺がお前の立場だとしたら。お前にダメージを与えることができる」

「それじゃあ試してみるんだな」

「ああ。だがお前はサユキと恋人同士になりたくてサユキを騙し続けていたんだぞ。それが分かっていてお前の味方になんかなるわけがないじゃないか」

「それについては反省している。だから俺は。お前から俺の体を返して貰うだけだ」

と、レイジングに言い放つユーだったが、ユーヤはレイジングを操ろうとはしなかった。

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英雄伝説~異世界で最強の魔導師になった僕が勇者パーティの皆を見返しました~ あずま悠紀 @berute00

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