黒いアルビノ

翻 輪可

プロローグ

俺は人と違っていた。


籠の中の鳥のように閉じ込められ


籠の中の鳥のように羽根をもがれ


ただ大人達に餌を与えられるだけの存在。



外で遊ぶ同い年の子供は、俺からすれば別次元の存在で、いくら手を伸ばしても届く事はない。


仲間になろうと勇気を振り絞った所で、突き放され、こう言われる。



『君は体が弱いんだから』



そんな事は知っている。


俺に残った翼は、所詮はロウで作られた物だ。


翼があっても、外には出れない。


出れば、その翼がイカロスの神話の様に溶けて地に真っ逆さまに落ちるだろう。


それがアルビノとして生まれた俺の宿命。


太陽に嫌われた、存在。


月に愛された、存在。


白い髪、赤い瞳、どれもが普通とかけ離れ、誰も俺に近づこうとしない。



つまり俺は……化け物なのだ。







性格は幼い内から壊れ始め、俺は小学校5年生になると、変化した家庭環境と周りの偏見に耐えきれず、怒りをぶつける場として学校で飼っているウサギを三羽殺した。


途端に、自分の中の黒いモヤが一気に晴れていく。


だが、そこで事件は起きた。


同じクラスの男子のひとりに目撃されてしまったのだ。


まずいと思った俺は、怯える生徒にウサギの血がついた包丁の刃先を向ける。



「君はこの事を誰かに話したりしないよね」



すると、生徒は震えながらも頷いた。



「そうだ、隠すの手伝ってくれる?」



そんな俺の脅迫に、その生徒はすんなりと共犯者になった。


そこで俺は理解した。


案外人間は簡単に動かせると言う事を……









それから月日は経ち、現在。


高校の二年の春 が訪れた。

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