(四)

 翌日、私は制服姿で、尾襖にあるメモリアル会館というところに行った。そこはいわゆる葬儀場であった。

 二階建ての建物で部屋は四室あり、その一室に祭壇が設けられ、八木家の通夜会場となっていた。

 記帳し、焼香も上げた。あふれ出てくる涙をこらえようもなく、ハンカチを手放せなかった。

 そして通夜会場の部屋を出ようとしたとき、葬儀場の廊下部分で「すみませんでした」という大きな声が聞こえた。その声に聞き覚えがあった。立木君だ。

 私は声のする方へ向かった。


(続く)

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