(三)-4

 夕暮れに染まる空は街にとばりを降ろし、足元から暗くなっていった。歩道の上の電灯が煌々として目立つようになっていった。遠くの方では電車が駅に到着した音が聞こえた。数ブロック先の国道で車のクラクションが鳴る音が聞こえた。オレンジの空はいよいよブルーベリーに染めあげられる寸前だった。

「俺、別に彼女を非難するつもりなんかなかった。それでもいいと思っていた。俺が大事にするから付き合って欲しかった。それなのに!」

 彼はブランコの上で声を上げて泣き始めた。

 私は何も言えなかった。彼女の過去と彼女の行動、そして彼とのやりとりを聞いて、頭の中が混乱していた。何かそれについて言葉で言い表したかったが、なんて言ったらいいか、わからなかった。


(続く)

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