5月5日 公開分

【No. 054】オチャノコ再会SP[再](終)「必見!最カワアイドル彩川イチカ、デビュー前マル秘映像!!再会相手は意外なあの人?」

SE:拍手


茶畑ちゃばたけカイジ(以下・カ)「テレビの前の皆さん、こんばんは」


宮腰みやのこしサヤカ(以下・サ)「今週もオチャノコ再会SPスペシャルの時間ですぅ!」


カ「ゲストの皆さんの会いたい、会えない相手を探し出し?」


サ「運命の再会をでっち上げるこの番組!」


カ「今回が最終回、なのに通常運行っていうね」


サ「打切りが決まった時にはもう、今回のゲストさんに出演依頼ブッキングしてたんですよねぇ」


カ「打切りとか言わないでね! 円満卒業!」


SE:笑


サ「2週前に急に言われて、円満卒業できます? この業界には労基法ってないんですかぁ?」


SE:悲嘆


カ「サヤちゃん、今日何でそんな毒吐くの?」


サ「もう最終回だから好き勝手やろうかなって!」


-----------------------------------


♪~:カットイン


カ「はい、ということでね」


サ「今週のゲストはこの方でーす! どうぞ!」


彩川さいかわイチカ(以下・イ)「全国の皆さんこんばんは! ブラジルの皆さん、おはようございまーす! サイキック少女組のサイ担当、彩川イチカです!」


SE:拍手


カ「今日はよろしくね」


イ「はいっ、よろしくです!」


サ「今日は相方の松本さんはぁ?」


イ「うちのキック担当は松本さんじゃないですね」


SE:笑



イ「探して頂いたのが、小さい頃にお世話になった方で」


カ「今回、それに関わる秘蔵映像を用意したとか」


サ「まだ私達も見てないんですよぉ。では早速! VTR、スタート!」



♪~:OP曲


ナレーター(以下・ナ)『さいしょのおつかい』


カ「うわ懐かし、これ毎週見てた!」


ナ『大阪堺市にお住いの彩川イチカさん。3歳』


サ「ちっちゃ! 可愛い!」


母『最初に八百屋さんで白菜』


カ「お母さんもお若い」


イ「12年前ですからね」


サ「お母さん! 娘さんがこんなこと言ってますよぉ!」


イ「うわあ! お母さーん、今も若いよー!」


SE:笑


母『さ、1回言ってみ』


娘『白菜、貝、搾菜ザーサイかイカの塩辛』


サ「これ何の材料?」


イ「チヂミです」


SE:困惑



ナ『イチカさん、保育園の駆けっこではいつも最下位。おまけに最近の運気は大殺界』


サ「何て?」


ナ『坂を行くイチカさんの足取りは、サイイノシシかのように最高速で一直線! 幸先の良い快進撃です』


サ「何て?」



娘『お野菜買いに来てん』


カ「小さい頃は関西弁だったんだ」


イ「今でも地元だと関西弁ですよー」


サ「へぇ、ちょっと関西弁で話してみてくれます?」


イ「ナンデヤネン!!」


サ「何で片言やねん」


SE:笑



サ「ここで一旦VTRストップです」


カ「イチカちゃん、当時子役とかやってたの?」


イ「デビューは2年前ですよー。これは母が葉書で応募したそうで」


サ「家族が勝手にって奴ですね。アイドルみたい」


SE:笑


カ「当時この回見たかな? この後どうなるんだっけ」


サ「イチカちゃんが会いたい人も出てくるんですよね」


イ「ふふふ」


カ「意味深な笑いだ」


サ「うぅん、続きを見てみましょう。VTR、スタート!」



通行人(以下・通)『暴れ猪だ!』


カ「は?」


サ「あれ」


SE:困惑


ナ『なんと商店街の奥から大きな猪が駆けて来ました!』


通『暴れ犀だ!』


ナ『そして反対側からは大きな犀が!』


カ「なんでやねん」


サ「あ、これってあの時の」


SE:困惑



カ「VTR止めて! 何これ、この後どうなんの?」


サ「うふふ、ネタバレしちゃうとですねぇ、まずこの雑貨屋さんが放火されちゃって」


カ「聞いた方も悪かったけど、ネタバレはやめて!」


サ「空気なんて読みませんよぉ! 最終回ですからね!」


カ「やめてぇ!」


SE:笑



カ「でもこんな回あった? 全然覚えてないんだけど」


イ「それはそうですよ。だってこの回、放送されてないですもん」


カ「ん? そうなの?」


イ「お蔵入りになったそうです。番組の趣旨から外れすぎたからって」


カ「ああ……」


イ「にも関わらず、この先の展開を知ってる人がいるようですね」


サ「えっ」


SE:衝撃


イ「それにVTRは編集されてて、私が搾菜ザーサイかイカの塩辛を買いに来たのがなんて、一言も言ってない」


サ「あ、あれですよぉ! 当時ニュースで! 堺市で犀と猪が暴れて、雑貨屋が放火されたって!」


イ「それはおかしいんです。雑貨屋さんがされたって知ってるのも関係者だけです。当時もとしか報道されませんでしたから」


サ「なっ」


イ「つまり、この事件を引き起こした犯人。それが宮腰サヤカさん! 貴女だってことですよ!」


カ「なんだって!?」


サ「くぅ、バレてしまっては仕方ないです」


イ「あの時はね!!」


サ「こうなれば最後の手段……来いッ、獣共!!」


SE:驚愕


犀「ンモォォ!!」


猪「ブモォォ!!」


カ「こっこれは一体!」


サ「ククク……本来なら私の唯一のレギュラー番組を潰した局を脅迫し、新しい出演枠を得る交渉のために用意した子達でしたが、最早これまで! 逃走手段として使わせて貰いますよぉ!」


イ「まさか12年前に商店街を襲ったのも」


サ「そのまさかですよぉ! あの商店街も、当時私が所属していたアイドルグループヒヅメムスメ営業ミニライブを拒んだんです! だから犀と猪をけしかけ、商店街に火を放った!」


イ「そんなことのために!」


サ「猛獣で脅しMPK信者ファンを増やすのは、聖ゲオルギオス伝説にも謳われし由緒ある布教行為アイドルかつどう商店街あいつらは私達の手を取らなかった。故に神の怒りに触れた、ってコトですぅ!」


カ「何て身勝手な!」


サ「身勝手? 身勝手なのはこの世界です!」


イ「いえ、身勝手なのは貴女です! 貴女のせいで……私は、最初のお遣いに失敗してしまった!」


サ「それはごめん」


イ「許しません! この12年、私は貴女を倒すために修行してきたんです! はあああっ……!!」


カ「くっ空気が震えている?」


サ「面白い! 何をしようと、私の獣共が蹴散らしてやりますぅ!」


カ「一体何が起きているんだ!?」


-----------------------------------


♪~:カットイン


カ「はい、ということでね。ゲストのイチカちゃん。運命の再会のご感想は?」


イ「長年の胸のつかえが取れました!」


カ「それは良かった。それと、最後に告知があるんだよね」


イ「はいっ、実はですね、私彩川イチカ、来週から始まるこの時間の新番組『彩川イチカのナンデヤネンTV』でMCを務めさせて頂きます!」


カ「おめでとー! 頑張ってね!」


イ「はい! テレビの前の皆さん、来週からもよろしくお願いしまーす!」


SE:拍手


♪~:ED曲


糸冬

LHK――――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る