10/22(土)対ブレーブス勝利 3-1 【1勝0敗】
10月22日(土)21時——。鳴尾浜球場
8回裏、得点は2対1でキャッツリードの場面。この回の先頭バッター、坂藤が打席に向かう。
「9回は桐浪だが……向こうさんは2番から始まる上位打線だし、1点差じゃどうなるかわからんなぁ」
「できれば、坂藤がホームランを打ってくれれば……」
「そんな村豚のようにはいかんやろ。うちは、守り勝つ野球が売りなんやから、宝くじが当たることを祈りつつ、桐浪にかけるしかないやろ」
監督代行の辛井、ヘッドコーチのミスター、打撃コーチの白原がそんな話をしつつ、グランドを見ていた。いい気なものだと思いながら、こちらは受話器を取る。今日はここまで3三振の男に、何を期待するのかと。
「金川コーチ、桐浪の準備はOKか?」
「大丈夫ですよ、豊原さん。5分後だって登板は可能です」
どうせ、早打ちの三者凡退でしょうからと、ブルペン担当の金川コーチはそう言った。それに対して「違いない」と笑いながら答える。
「とにかく、先頭の入り方には気をつけてだな……」
カーン!
そのとき、背後から乾いた打撃音が響き、地鳴りのような揺れと共に歓声が球場に響き渡った。
「やったぞ!宝くじに当たった!!」
振り返ってみると、悠然とグランドを回る坂藤と、それを見てはしゃぐ辛井監督代行たち。そして、帰ってくる坂藤の首にかけるべく、メダルを持って待ち構える阪下キャプテンの姿が見えた。
「……どうやら、登板は5分程度延びた様だ」
受話器の向こうの金川コーチにそう告げて、戻ってきた坂藤を迎える輪の中に加わった。そして、ハイタッチを交わして言葉を掛けた。
「ナイスバッティング!必ずやると信じてたよ!!」
日本シリーズ 第1戦 鳴尾浜球場 (キャッツ 1勝)
ブレーブス 000 000 010 1
キャッツ 200 000 01✕ 3
勝 雨柳 1勝 S 桐浪 1S
負 山元 1敗
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます