9/20(火)優勝祝賀会(ビールかけ)

9月20日23時半——。鳴尾浜球場内施設


「それでは、17年ぶりの優勝。みんな!準備は良いか!いくぞ!せーの!」


バコン!


キャプテン阪下の掛け声で、尾山、雨柳、梅山、尼子、遠本が一斉に木づちで樽の蓋を割り、ビールかけが始まった。用意されたビールは7千本。このほかにもシャンパンや未成年者向けの炭酸水もあり、心行くまで喜び合えるようになっている。


「雨柳さん!今日も御疲れ様でした。感想を一言」


「いやぁ、今日はビールの雨が降りましたね。ホント、いつも振らないかな?」


「同点ホームランの春川選手!ナイスバッティングでした!」


「ありがとうございます!」


「ゴリラの格好も似あってますよ!」


「ウホ、ウホ、ウホ!」


「原田選手も逆転打、ナイスバッティングでした!」


「ありがとうございます。必死のパッチで食らいつきました!」


「桐浪投手!今日も剛速球、痺れました!」


「いやぁ、犬田選手に当てちゃったのは反省ですぅ!って、冷たい!おい!待てって……」


「坂藤選手!初めてのビールかけ。いかがですか?」


「最高です!来年も再来年もずっとできるように、がんばります!」


「そのためには、もっと練習せなあかんわな!」


「あっ!糸川選手。お疲れ様です!」


「べつに疲れてへんよ。だって、ベンチの外でテレビ見てただけやし」


「そうはいっても、楽しんでますよね?」


「当たり前や!こうして、最後にこういう形で送り出してくれた皆に感謝ですね……って坂藤、阪下、このやろう!」


「ははは、楽しんでる?」


「あっ!辛井監督代行。優勝おめでとうございます」


「ははは、ありがとうございます」


「今にして思えば、守護神を磐佐から桐浪に変えたのがターニングポイントだったよな気がするんですが、よく決断しましたね?」


「まあ、去年も夏場以降は悪かったけど、今年はさらに悪くなってたからね。球のキレやノビが無くなったようにも見えたし。矢崎さんならそれでも使い続けたかもしれないけど、俺の中には、彼と心中するつもりはなかったからね。決断しました」


「その矢崎監督に何か一言」


「あなたがいなくなったから、優勝できました。辞めてくれてホントにありがとう……って言っちゃ流石にダメだよね?しかし、君もえげつないことを訊くなぁ……」

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