6月3日（金）22時——。鳴尾浜球場

長い試合だった。しかし、１-７からの大逆転勝利。

疲れもあるかもしれないが、みんな笑顔だ。スタンドだって、ヒーローインタビューが終わってから時間が経っているのに、選手の応援歌などを唱って盛り上がっている。

ホント、勝てて良かったと心から思った。

「監督代行。球団事務所から、連盟への抗議文の提出はどうするのかと聞いてきましたが？」

監督室に戻ったところで、ミスターから尋ねられて、そう言えばそんな指示を出していたことを思い出した。６回裏２OUT３塁の場面で打者走者が１塁でアウトと判定されたことへの抗議のことだ。

バックスクリーンに映し出されている映像は、明らかにセーフであると示していたのに、審判の検証結果はアウト。

「ちょっと、アイツらシメてくる」

ブチ切れた白原さんを必死でベンチの中に押し止めたときに、代わりに連盟への抗議文を出すと約束させられたのだ。

まあ、あの映像を見てアウトと言うんだったら、審判辞めた方がいいと自分も思ったけど……。

「まあ、いいんじゃない？最終的には勝ったわけだし」

それに、何よりさっき白原さんにあったら、そんなことを忘れたかのようにはしゃいでいたから、問題ないだろうと思った。

それにしても……ついに借金完済。しかも、同率だけど、３位浮上。

「明日も勝つ」は禁句だから……「勝てればいいな」に留めておこう。

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