6/2(木)対チーターズ勝利 6-1 【27勝28敗1分け】

6月2日(木)19時半——。鳴尾浜球場


なんか変な試合だった。


1回裏の1OUT1,3塁のチャンスでは、坂藤、尾山が三振で無得点。白原さんがブチ切れて坂藤、尾山を便所裏に連れて行った。


2回裏は、ノーアウト1塁から小寺が送りバントを失敗して併殺打。しかし、そのあと、連打が生まれ、2OUT1,3塁の場面を作ったが、鳥田が三振で無得点。小寺は即交代、そのまま二軍行きの電車に乗せた。


3回裏は、1OUTから遠本がヒットで出塁するも、謎のリレードスチール失敗。どうやらサインを見間違えたらしく、ミスターに叱られていた。現在、ベンチ裏で反省文を執筆中。


そして、この4回裏。


先頭の都田が出塁し、途中出場の白宮が2塁打でノーアウト2,3塁のチャンス……だったはずが、永坂の浅いセンターフライで都田がタッチアップをするが、ホームクロスプレイでアウト。チャンスはしぼみ、現在2OUT2塁の状況だ。


「……というか、いくら次がピッチャー・ユンケルの打順だからと言って、あの浅い位置でタッチアップさせるか?」


唖然として、思わず呟いてしまった。


「おそらく、安打は出ているのに点が入らないから、3塁コーチの藤下さんの焦りでしょう。完全な負けパターンですからね。気持ちはわかります。……もちろん、あとで遠本同様、反省文を執筆してもらいますが……」


呟きが聞こえたのだろう。ミスターが透かさず横でそう言った。


「まあ、この回はピッチャーまで回ったから、次の5回は先頭から始まるし、そこは悪いことではないけど……」


「もし、5回裏の攻撃が無得点に終わったら……」


「流れはあっちに傾くよね……」


ここまで9安打を放ちながら、いまだ無得点なのだ。こういった圧しているのに点が取れない試合は、怏々として負けるものだ。


「まあ、終わったことは仕方がない。5回こそ点が取れるように……」


カーン


「えっ!?」


「うそ……だろ……」


快音が聞こえてグランドの方を見れば、ユンケルは1塁を蹴って2塁に向かって駆けていた。そして、2塁ランナーは……ホームを駆け抜けてそのままこちらに向かっている。


「二塁打?」


「点が入った?」


信じられない気持ちで、ミスターと共に呆けていると、白原さんが坂藤と尾山に檄を飛ばしているが聞こえた。


「おい、坂藤!!尾山!!おまえら、ユンケル大先生にバッティングのコツを教えてもらえや。このままじゃ、『ヤキュウハ、ヒトリデモデキマース』……なんて、片言の日本語でいわれるぞ!!」


バッティングを教えるのはあなたの仕事では?……と思ったが、それを言うと怖いので口を噤む。それは、ミスターも同じのようだった。

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