5/10(火)対ギョッズ敗戦 0-3 【14勝23敗1分け】

5月10日(火)21時——。大阪日日新聞


「ああ、負けたか……」


「これで、明日の一面は決まりだな……」


デスクの上に用意されている『キャッツ、ついに桐浪を放出か!?』と書かれた原稿。まだしっかりと裏を取れたわけではないので、勝てば一先ず没になる見込みが高かったのだが……。


「……今、編集長から指示が出た。やはり、明日の朝刊はこれで行くそうだ」


負けた以上は、少しでも読者が現実から目を逸らすことができるネタを載せる必要がある。ただでさえ、世の中不景気なのに、これ以上不景気な記事は不要。つまり、完封負けを告げる記事が1面では、コンビニ等で誰も手にとってはくれないのだ。


「それにしても、この『球団のある関係者』って誰なんでしょうね。こんなに情報が駄々洩れな会社って、普通にヤバいような……」


「こんなんだから、17年も優勝できないんだな……」


みんな、口々に思いを漏らす。かつて、スネークスの越智監督は徹底して情報を封鎖した。登録抹消した理由でさえ、ケガなのか、不調なのかすらもわからないようにするほどまでに。


そんなことをされては、我らマスコミにとっては困る話であるが、一ファンとしては、今のキャッツにもそれが求められているのではないかと思う。


「しかし、明日は朝からジャンジャン球団の電話は鳴るでしょうね」


「OBたちもきっと騒ぐだろうし、おそらくだがご破算になるだろうな」


今までも、同じようなことがあったのを思い出す。来月には株主総会もあることだし、会長が吊るしあげられるのを覚悟で世論の反対を押し切ってできるとは思えない。ゆえに、彼の言うようにご破算になる可能性が高いと自分も思った。


「しかし、意外とこれはフェイクだったりしてな。本命は別にいたりして?」

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