第39話 夏の休暇

 夏の休暇が終わりました。今年はいつもより長めに取ったので、今日から仕事始めです。最近、休暇ばっかり取ってる気がしますが、ロックダウンの頃にどこにも行けなかったぶん、有給がたまってたんですよね〜。ラッキーです。


 先週、マラクータから戻ってメルボルンの自宅に帰り、その翌日に荷造りしてウォーカービルというところへキャンプへ行ってきました。オーストラリア本土のほぼ最南にある海沿いの町です。


 ウォーカビルのビーチは岩や海藻が多いのが難ですが、砂はサラサラだし、水は浅瀬でキレイです。今回はなんと、子どものエイが私の真下を泳いで行きました! 水族館でもないのに、あんなに至近距離でエイが泳いでいるのを見たのは初めてです。


 キャンプ場は、トイレ、シャワー、公園、バーベキュー設備付きで、ビーチのすぐ横にあり、絶景が見渡せる山登りまでできるところでした。携帯の電波もそこそこ良くて、非常に快適。子どもたちの学校の同級生とその親御さんたちというメンツで行き、親も子どもも一緒に楽しめて最高でした。


 ビーチへ行くと、泳いだりブギーボードしたりウォーキングしたり、いろんなことやって楽しめますが、私が一番好きなのは、穴掘りです(笑)。


 潮がだんだん満ちて行く時間帯に、砂浜に穴を掘り、堀った砂で海側に堤防とトンネルを作ると、波がザザーンと来て引いた後、水が穴に残り、小さなプールみたいなのができるんですが、それを作るのが好きなんです。


 自分一人でやるときは、だいたい直径一メートルくらいの穴を掘るのですが、大人が真剣に穴を掘っていると、ほぼ百パーセントの確率で子どもたちがワラワラと寄ってきて手伝ってくれます。


 今回はキャンプの達人のご家族と一緒だったので、「それって、ガーデニング用じゃ……?」と疑いたくなるほど立派で大きいシャベルが三本に小さいスコップが三本そろいました。大人と子ども合わせて十人くらいで黙々と穴を掘り、掘った砂を使って堤防を作り、直径二メートルくらいの砂のスパが完成。トンネルや第二浴場もあって、大満足の出来でした。


 砂で作る建物の一番の魅力は、潮が満ちるとあっという間になくなってしまうところですかね〜。子どもたちは、砂のスパを守ろうと必死になって応戦してました。入りすぎた水をバケツで出したり、堤防をもっと高くしようと必死で砂をかき集めたり。


 大人は、そんなのは無駄なあがきだと知っているわけですよ。ものの数分で、一時間以上かけて作ったスパは海の中に消えて行きました。砂の創作があっけなく崩れて行く様子、なんかこう、歴史の縮図を見るようで、感慨に浸れて好きなんですよね。ふふ。


 楽しいばっかりのキャンプでしたが、一つだけプチ災難が。ブルドッグアリ(地元ではブルアントと呼びます)という、大きなアリに土踏まずを噛まれちゃったんですよ。激痛が走りますが、五分くらいで痛みはなくなります。不思議なことに、痛みが治まってからは痒みも腫れもなかったのに、噛まれてから数日後に、いきなり痒くなりました。夜ご飯を食べてたら突然、痒み指数0だったのが、一瞬でマックスになって何事かと思いました。


「ぎゃー、痒い!」って、掻けば掻くほど痒くなるんですよね。子ども達から「ママ、掻いちゃダメ!」って怒られ、長女が「痒いときは冷やしたらいいよ」ってアイスパックとムヒ(のオーストラリア版)を持ってきてくれました(←どっちが親だよ)。


 掻いた直後にぷっくり腫れて、脈を打つたびに、電気が点滅するみたいに、患部の色が赤と白に変色するのが怖かったです。酷くなったら病院で診てもらう予定でしたが、一晩でだいぶ収まりました。


 痛みや痒みは、体の異変や不具合を教えてくれる、大切な機能だと思いますが、痒みって、回復の邪魔になる行動(=掻きむしる)を誘発するじゃないですか。これって、なんで進化の過程で改善されなかったんだろうって疑問なんですよね。掻いていいことないのに、痒みを感じる機能があるってどういう了見なんでしょうね? 創造の神は案外わけわからんことするなって思います。


 話は変わりますが、「今は忙しいから、時間のあるときにまとめてやろう」とついつい後回しにしてしまう細々した仕事ってないですか? 私の場合は、歯医者の予約や、領収書の整理、部屋の断捨離などです。


 夏の休暇に入る前に、「休暇中にやる仕事リスト」を作ってたんですけど、一つもやらずに休暇が終わりました(笑)。休暇中って、どんなに時間があっても「仕事」はしないんだよなぁ。夫は割と休暇中でも「仕事」ができるタイプなのですが、私は休暇に入ったとたん、そういうスイッチが作動しなくなります。


 まあ、楽しかったし、思い切りゆっくりできたので、いいことにしよう。うん。


「時間ができたらやろう」と後回しにしてしまうものを、時間ができたら本当にできる人って、どのくらいの割合でいるのでしょうね。みなさまはどのタイプですか?

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