第34話 世界一のサッカーファン

 ワールドカップ、サムライブルーが大健闘しましたね。国内では当然すごい盛り上がりだったと思いますが、私の家庭内も(夫と息子が)熱気にあふれていました。


 日本がクロアチアに惜しくも敗れた日、サッカー好きの同僚から「日本は残念だったね。でも、ファンのマナーは世界一だよ」と言われました。


 私が「ん?」って顔をしたので、その同僚が「えー? 知らない? 日本のサポーターがスタジアムのゴミを拾って帰る動画、世界中でバズってるよ」と教えてくれました。


 その後ネット検索してみたら、日本のサポーターがスタジアムでゴミ拾いしてる動画がたくさん出てきました。これ、日本だと普通の光景なんですよね? 私はスポーツ観戦を日本でしたことないので知らなかったんです。


 YouTube動画のコメント欄を見ると、世界各国から寄せられた好意的なコメントの数々を発見。


「僕はドイツ人だから、負けたのは悔しいけど、日本のサポーターの敬意ある態度に感動した。今後は日本チームも応援したくなった」

「クロアチアにとって、日本は最高の対戦相手だったと思う。こんなことするファンは他にいない」

「自分のチームが負けたら、酔いつぶれてゴミをまき散らして帰る人もいるのに大ちがい。ゴー、ジャパン!」


 日本のサッカーファン、最高かよ〜! って、私も一緒に感動して目頭が熱くなりました。


 スポーツ記事によると、サムライブルーを象徴する青いゴミ袋には「ありがとう」と日本語とアラビア語と英語で印刷してあり、日本サッカーファンたちは、そのゴミ袋を持って、自分のいた周辺だけじゃなく、選手のロッカールームまできれいにして行ったとか。


「来たときよりも美しく」と小さなころから教えられ、学校でも自分の教室は自分で掃除をする習慣があること。サポーターによるゴミ拾いは、日本のスタジアムでは誰でもやることだから、国内ではニュースになんてならないこと。などが合わせて記事に載っていました。


 日本人でよかったと心から思った日でした。経済力や武力よりも、こういうところに国の品格って表れる気がしますね。


 ちなみに、自分の教室を子どもたちが掃除するのも、給食当番が配膳と片付けをする様子も、一般的なオーストラリア人からすると「信じられない」光景です。「日本の子どもたちはエラい! 日本の教育はすばらしい」ってメディアで取り上げられてました。


 最近では、日本で何十年も前に放送された「初めてのお使い」がアメリカのネトフリで人気になり、「あんな小さな子どもを一人でお使いに出せるなんて、なんて安全な国なの」と話題になってました。


 子どものころ、自分が当たり前だと思っていたことが、日本の外では当たり前ではなくて、こうやって海外で評価されていると知ると、びっくりしますけど嬉しいです♡


 海外あるあるだと思うのですが、日本の外に出ると、自分があたかも日本人代表にでもなったかのように、日本への評価が気になります。


 ラジオを聴いてたり、街を歩いてるとき「ジャパン」って耳にすると、一瞬で思考がそっちに向いてしまいますし、おいしくない日本料理店に当たってしまうと、お客さんみんなに「違うから! これが日本料理って思わないで!」とテレパシー送ってしまいたくなります。


 そういえば、私は身長が低いので、ぎゅうぎゅうの満員電車で、背の高い二人に頭上で会話されたことあります。


「昨日の夜、日本料理食べに行ってさ。すごくおいしかった」

「いいねぇ。僕も日本料理大好き」

「何が一番好き?」

「うーんと。寿司とか天ぷら、それから……あ、生春巻き! あれが一番好きだな」

「私も、生春巻き大好き。最高よね〜」


 ……ちょっと待て!


 生春巻きはジャパニーズじゃないよ。ベトナミーズだよぉ〜! って、顔を上げて、そのカップルに忠告してあげたかったです(日本代表として)。満員電車で赤の他人の会話につっこみ入れる勇気はなかったので、泣く泣くスルーしましたが、数日間モヤモヤしました。


 みなさんはサッカー盛り上がってます? 日本はベスト8残れませんでしたが、決勝戦は月曜日なので、最後まで観戦楽しむ方もいらっしゃるかと思います。


 いやいや、ワールドカップよりもカクコンでしょう! って方もいらっしゃいますかね。カクコンも盛り上がってますよね〜。


 日本のサッカーファンを見習って、カクコンを応援する私も、書き手の皆さまに心より感謝と敬意の念をお送りします。がんばってください!

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