第8話 私の魔力は特殊な様です
ハリー殿下と一緒に食事を楽しんだ後は、自室に戻り、湯あみを済ます。
「ルル、今日も色々とありがとう」
湯あみ後、紅茶を入れてくれたルルにお礼の言葉を述べる。こうやって、私の為にお茶を入れてくれるルルの優しさが、また嬉しいのだ。マレッティア王国にいた時は、最低限の事を済ますと、さっさと去っていくメイドたち。
こんな風に、そばに居てくれてお茶を入れてくれることなんてなかった。
「急にどうされたのですか?私はカトリーナ様の専属メイドです。お礼を言われるほどの事はしておりませんわ」
そう言ってクスクス笑っている。彼女にとって当たり前のことでも、私にとってはとても嬉しい事なのだ。
「それでは私はこれで失礼します。何かあればすぐにお呼びくださいね」
そう言って笑顔で部屋から出て行ったルル。この国に来てから、たくさんの人に話しかけられたり、笑顔を向けられたりしている。それが嬉しくてたまらない。
今まではずっと1人だった。それが当たり前だった。でも今は…
それもこれも、きっと私がハリー殿下の魔力提供者だから良くしてくれるのだろう。もしハリー殿下の病気が治ったら、私はどうなるのかしら?また1人ボッチになるのかしら?
そう思ったら、急に不安な気持ちになった。
ダメよ、そんな事を考えては。とにかく今は、自分にできる事をしないと。ハリー殿下はもちろん、私を必要とし、笑顔を向けてくれている人の為に…
翌日
この日も朝からハリー殿下に魔力を供給した後、一緒に朝食を食べた。そして食後は、王宮魔術師たちがいる塔へと足を運ぶ。今日は生憎グラス様は用事があるとの事だったので、1人で向かった。
おそるおそる扉を開けると
「カトリーナ殿、お待ちしていましたよ」
どう見ても寝不足のラクレス様が出迎えてくれた。
「ラクレス様、目にクマが出来ておりますわ。大丈夫なのですか?」
「ああ、問題ないよ。それより君の魔力はすごい!今まで色々な魔力を研究してきたが、君の様な魔力は初めてだ!魔力量はもちろんのこと、魔力の純度もかなり高い」
魔力の純度?言っている意味が良く変わらない。
「あの、魔力の純度が高いといいのですか?」
「もちろんだ!人間の魔力には波があるため、石に込めた時どうしても不純物が混じってしまうんだ。でも、君の魔力にはそれが一切ない。こんなにも純度の高い魔力を持っているなんて!それから、君の血液も調べさせてもらったんだが、これまた驚いたよ。通常人間は多くの魔力を使った場合、完全に魔力を回復するためには、3日から1週間程度かかる。でも君はどうだ?わずか1日で魔力が体中から溢れ出るくらい、回復している。こんな人間は見た事がない!」
かなり興奮気味で私に詰め寄って来るラクレス様。睡眠不足のせいか、目が血走りなんだか怖い。
「とにかく、君の魔力はすごいんだ。これならきっと、魔力欠乏症の多くの患者を助ける事が出来るかもしれない。あぁ、なんだかワクワクしてきたぞ。早速今日もこの石に魔力を込めてくれ。それから、今日は色々な実験をしたいから付き合ってほしい」
まずは石に魔力を込めた後、次は何やら変な機械を付けられた。どうやらこの機械、魔力の回復状況をより詳しく調べるための機械らしい。気が付くと、他の魔術師たちも集まって来ていた。
「すごい!すごいぞ!見る見る魔力が回復している。こんなことがあるのか!」
「本当ですね。こんな人間見た事がない!」
ラクレス様に続き、他の魔術師たちも歓喜の声をあげる。さらに次々と実験に付き合わされたり、色々な石に魔力を込めさせられたりして、やっと解放された。そしてそのタイミングで、グラス様が訪ねて来た。
「カトリーナ殿、遅くなってすまない」
「グラス殿、聞いてくれ!彼女の魔力は本当にすごいんだ!」
やって来たグラス様を捕まえ、興奮気味で話しをするラクレス様。そんなラクレス様に若干引いているグラス様。
「そうか、それはすごいな。とにかく、魔力欠乏症の人間に魔力を与える石の開発を急いでくれ」
「その件なら既に進めている。カトリーナ殿が、魔力提供に協力してくれているからね。さあ、私は早速研究に入らないと。それじゃあ」
そう言うと、さっさと奥の部屋に向かっていったラクレス様。どうやらかなりマイペースな人の様だ。
「カトリーナ殿の魔力は、かなりすごい様ですね。あの分だと、近いうちに石は完成しそうだ。でも研究に協力する事で、万が一カトリーナ殿の体に負担がかかる様でしたら、すぐに言ってください。ハリー殿下に魔力を提供する事が、最優先なのですから」
「ええ、分かっておりますわ。ただ私の魔力は、使ってもすぐ回復するので、多分問題ないかと…」
「その様な事を言っていましたね。とにかく無理は禁物です。どうか今日はゆっくりお過ごしください」
「ありがとうございます。そうさせていただきますわ」
さすがにかなりの魔力量を使ったので疲れた。大人しく自分の部屋に戻る事にしたのだった。
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