44 異なる宇宙
「だ、大丈夫ですか……?」
後ろからエスティカが心配げに聞いてくる。
「ん、ああ……驚きはしたが、作戦に支障はねえよ」
「その、よくわからなかったのですが……違う星から来たというのと、違う世界から来たというのとで、どう違うのでしょうか?」
『同じ宇宙であれば、途方もなく距離が離れているという問題はあるにせよ、帰還の方法自体は考えられます。一方、異世界となると、宇宙と宇宙のあいだを超える必要が出てきます。こちらは、そのような方法を考えることすらできません。
まぁ、太陽系でも恒星間航行の方法はまだ確立されていなかったのですから、帰るのが絶望的であることに変わりはありませんが。』
「身もふたもないこと言いやがって……。だが、どっちにせよ、マギウスをとっちめて火星へ帰る方法を聞き出すしかねえな」
もっとも、マギウスなら俺たちを元の世界に送り返せるって話が、俺を誘惑するためのでまかせだった可能性もある。
「宇宙観光はここまでだ。クシナダ、マギウスの居所はわかってるな?」
『もちろん。魔国から提供された地図とエスティカの話から、神聖巫覡帝国帝都ザッハトゥクルの位置は特定済みです。』
「よし。じゃあ、降下シークェンスに入る。マギウスがいるはずの神殿を強襲し、マギウスを撃破。その後、敵残存兵力が多ければ大気圏外に離脱する」
『いつも通りということですね。』
「その通りだ。行くぞ、エスティカ」
「は、はい!」
ツルギは、クシナダの計算した降下軌道に沿って、大気圏への突入を開始した。
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