Prologue(4)


    †


 その数瞬後。

 ツルギはエンケラドスの地表ターミナルに墜落した。


 その後を追って、連邦自身の放った核ミサイルの雨が降り注ぐ。


 核爆発はエンケラドスの衛星軌道を大きく変えた。

 軌道を変えたエンケラドスは、土星のリングを構成する岩石と次々に衝突、無数の破片へと砕け散る。

 その破片の多くは土星のリングに吸収され、残りは土星の重力に引かれて落下した。


 土星第二の衛星は、そこにあった地球連邦の極秘拠点とともに消滅した。


 大総統ザメール・グスタフを失った地球連邦は、火星連合群に無条件降伏を申し入れる。


 かくして、火星は地球からの独立を勝ち取った。


 ――「火星の剣」と呼ばれたエースパイロット、セイヤ・ハヤタカとその愛機ツルギの喪失と引き換えに。

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