天泪 ―ソラノナミダー

再会と別離の章

序 いつかの夜



私はあの夜のことを、死ぬまで後悔するだろう




暗闇に太陽が浮かんでいる

月よりも眩い、金色の眼差しが真っすぐに彼女を見つめていた



「―――――おぼろ」


春とは名ばかりの、冬に返ったような冷え切った夜

寝床を失い、あてどなく彷徨っていた矢先のことだ


血の臭いに眉を顰め、足を止めなければよかった


すぐにあの場を離れていれば、失うこともなかったのに



奇しくも名と同じ、頼りない霞んだ月の夜




―――――運命は再び彼女に牙を剥いた




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