第05話 03月08日【1】
「それで、結局面接するんですか」
「うん、今日これから」
昼の休診時間中、私は
「なにが不満なのですか?」
「不満じゃないよ。不安なだけ。若いしさ、すぐ辞めちゃうかも」
「関係ありませんよ、年齢は」
「そりゃあ、
「別に私は普通です」
「ははは、
カルテを片付け終えると、
「事務長は……何をそんなに迷っていらっしゃるのですか」
「だって電話口の声とかも、なんか頼りなさそうな感じでさ」
「実際に会ってみないと分かりませんよ」
「そうかなー」
「そうです。事務長だって電話口と実際会うのと、大分印象違いますから。ところで、このレセは何が間違ってるんでしょうか」
「これは……福祉(医療助成)の番号が違うんだよ。この方、先月誕生日迎えて、もう小児の番号じゃなくなったんだろうね。それか住所変わったのかな。県内なら市が変わっても福祉(医療助成)利くからね。家族参照で調べてみようか、一回」
「わかりました」
「ところで僕の電話の声と実際の印象って、どっちが良いの?」
「それは私の口からは言えません」
「なんで⁉」
――ウィイイ…。
「こ、こんにちは…」
院の自動ドアが開く音と共に、若い女性の声が聞こえた。面接希望の方が来られたのか。
「あ、こんにち――」
挨拶の途中、私は息を呑んだ。いや、その瞬間私は呼吸の仕方を忘れてしまったのだ。
なにせ開かれたドアの前には、とんでもなく可愛い女性が立っていたのだから。
「あ、あの………わたし、今日、面接を御願いをしている――」
「……」
彼女の問いかけに私は何も答えなかった。無視ではない。ただ、呆然と彼女を見つめることしか出来ないでいた。
マスクで半分顔を隠していても分かるほど、恥ずかそうに顔を赤らめている彼女を…。
「じ、事務長?」
「え……あ、はい! すみません!」
しかし、よく見れば
「あ……ど、どうぞ、こちらへ」
院内を出た私は、二階の事務所へと応募者の彼女を案内した。
背が高くスラッとして、遠目にも美人と分かる佇まい。マスクを着けていようと関係ない。
目はパッチリと大きく、その瞳にはどこか安心感を与えられる。
まだどこかあどけなさが残るのは丸顔のせいか。芸能人で例えるなら、若い頃の
しかし、纏う雰囲気には皇族のような気品がある。服装のせいだろうか。まるで子供のお受験面接に来た母親のよう。22歳という若さには似合つかわしくない、大人びた格好だ。
頬を耳まで赤らめ顔を伏せているあたり、引っ込み思案な気質なのだろうか。
いずれにせよ、彼女の美しさには差し障りない。
耳の奥から
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