閉鎖病棟入院日記
てると
第一章 苦悶とその始まり
2日目
なぜこんなに苦しいのだろう。それは、この環境が辛いからだ。そして、見通しの甘さに気づいてしまったからだ。
俺は2022年3月16日、都内にある精神科の閉鎖病棟に入院した。きっかけは後で書く。今はこの苦しみについて言いたい。最初、入院のきっかけとなった入院施設のないかかりつけの病院では、「入院は2~3日」と言われていた。しかし、いざ入ってみると、なんと入院は推定3か月、月単位のコースだった。愕然とした。しかも、俺は医療保護入院という扱いだったから、任意入院ではなく、つまり、自分が出たいと言っても出られないのである。実際入院2日目にして俺はその事実に泣いた。自分でも、この環境に適応すればいいと思ったりもしたが、そういう問題でもない。そんなに長期化すれば、大学はどうなる?この人間関係へたくそな俺がやっと築いた交友関係はどうなる?そんな想念ばかりが去来して、どうしようもなく苦しいのだ。とにかく苦しい、ここから出たい。
さて、入院のきっかけを話そう。そもそも前提として、俺は友人との関係でストレスを受けていた。それは、大学で特に仲良くなった相手から、LINEにでしきりに関係を切ることをほのめかされるようになったからである。そういう前提としてのストレスがあったうえで、3月15日、事件が起きた。
2022年3月15日を、俺は楽しみにしていた。なぜなら、大学の同級生である女子と遊べるから。そう、俺は女子と遊ぶことになっていたのだ。当日、確かに2人で会った。しかし2時間後、彼女は帰った。俺は、目的地もなくとりあえずカフェに入ろうと街を連れ回した挙句、入ったカフェでは相手からの映画の誘いを断り、相手を怒らせてしまったのだ。ああ、なんという失態!俺はアスペでコミュ力が低い方の人間なのであるが、この出来事は、それ自体がショックだったというより、むしろそれによって自分のアスペコミュ障さが自身に露呈してしまって、自分の不治の欠点を見つめねばならなかったところが辛かった。泣きたかった。
さて、そこで「バカな俺はフラれたのさ」程度に受けとめればよかったものを、俺は何度も出来事を反芻し、自分で自分の首を絞めてしまった。LINEで電話をしてすぐに話を聞いてくれた仲のいい友人もいたのだが…。
そこで終わればよかった。しかし、俺は暴走してしまった。自暴自棄になってしまったのである。今から不穏なことを言うので精神疾患に耐性のない方はすぐさま読むのをやめよう。
俺は、大学の相談室、病院(複数)、知人などに電話をかけまくった。内容は、まあかなり異常だった。相談室の先生のことを「クソババア」と罵ったり、いきなり歌(ジジイは殺されババアは自殺とかいう歌)を歌ったり…。それでいつもスッキリするのだった。だから俺もまあ自覚はいつもあるし今回もあったが、一日でおさまると思っていた。そして翌日は特に親しくしている大学の友人の家に行く約束があったので、クヨクヨしつつも寝た。楽しみだったなあ…。
さて、 翌日になっても俺の気分の変調はおさまっていなかった。それでも友人宅の訪問を楽しみにしていたので、とりあえずリュック背負って家を出た。しかし、行く途中でこれはどうしてもこのまま行っても楽しめない精神状態だなと思い、急遽病院に向かった。これが運の尽きだったとは・・・。
俺は途中下車し、かかりつけの病院へ向かった。そこで、俺はまずこの状況で、感情を発露して発散する意識で、病院の受付窓口で保険証と自立支援医療の手帳を投げつけて渡した。そしてすぐに診察ということになった。いつもの先生だったが、俺は「東京!東京!」などと意味不明なことを言い(自覚あり)、そして狭い診察室の中で前転をした。そうしたところ、女性の先生だったが、俺の行動を恐れて、慌てて診察室の扉を開け、「人の目が…」などと言いスタッフを呼んでいた。先生から「入院しましょう!」と言われたので、俺は「何日くらいですか?」と返した。「2-3日くらい」と言われたので、俺は承諾した。なぜなら、俺は精神病院も悪くないと思っていたし、また2-3日ならすぐに帰れるという気分だったからだ。そして病院を手配してもらい、先生やスタッフ御同行のもと、タクシーで精神病院に連れて行かれた。
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