事件発生から解決まで、わずか6,000文字でやっちゃうミステリ掌編。
いわゆる日常の謎、人の死なないミステリとしての鮮やかさもすごいのですけれど、でも同時に高校の〝部活もの〟でもあって、つまりはキャラクターの個性が楽しい作品です。
単純に「探偵やその周辺の人物はひとクセあってなんぼよね!」というのもあるのですけれど、本作において個人的に好きなところは、そのひとクセが「病み」であるところ。
ただ「病みキャラ」としての魅力があるという以上に、部活もののキャラクターたちの持つ「ある種のアウトサイダーとしての側面」にそのまま合致して、そこが本当にストライクでした。
個人的に部活ものって、それ独特のモラトリアムというか、〝彼らだけの期間限定の聖域としての部室〟が好きなんです。
内容に関してはなにぶんミステリであるため、ネタバレ防止のためにも触れませんが、でも確かな愛の物語でした。
いろいろ病んだ人のネッチョリした重たい愛。そういうのが好きな方にもおすすめです。