いつかの言葉

いつかのきみの

言葉を思い出していた


空気のように

水のように

当たり前のようにおいてあった


その言葉を


風のように

川のせせらぎのように

当たり前のように届いていた


その言葉を


あのとき

きみはなんて言ったんだろう


もう一度

もう一度聞きたいよ


その言葉を


イルミネーションのように

煌めく水面のように

眩しく輝いては


扉を閉ざした

ぼくの心を優しくノックした


何度も

何度もノックした


あの言葉を


いま扉は開いたままだよ

でも きみの声はもう届いてこない


星の見えない冷たい夜空に


いつか聞いた言葉を

そっと思い出して


毛布にくるまるように

その言葉にいだかれて


あのとき

きみに伝えたかった


いつかの言葉を抱きしめて


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