男子と思っていた兄弟が居ました。信じられませんがラブコメが始まりました.....。

アキノリ@pokkey11.1

第1章 男子と思っていたのだが

有り得ない展開

第1話 ぇえ!?

俺、羽柴瑞稀(はしばみずき)17歳は県立ミナホ高校の今年の3月に高校2年生になった。

いつも通りの世界を見渡す。

この桜の時期になると思い出す。

何を思い出すかといえば桜の時期に約束し去って行ったあの姉妹の事を。


5歳の時に俺と一緒に居た幼馴染の姉妹だ。

とても愛らしかったその姉妹とは当時は何の配慮も無く、将来結婚しよう、と約束したものだった。

それは姉妹と、だ。

そんな馬鹿な事が出来る訳が無いが子供の頃の話だ。

分かるだろ?


俺は考えながらスピードを増す世界を見つめつつ。

そのまま今日も学校で兄弟の佐藤耕平と康太(こうへい)(こうた)と連んでいた。

男らしいが170センチある俺と身長が15センチも違う。

だけどそんな事はどうでも良いぐらいに俺達は仲が良かった。

俺は今日も笑みを浮かべながら同じ17歳と連む。


が。


何というか運命の日がやって来た。

それはある日の事だ。

体育の為に着替え室に入ってからその姿を見てしまう。

耕平に胸がある事を。

サラシを巻いていた姿を。


当然、俺は唖然とした。


そして、な、何で、と赤くなりながら胸を隠す様に慌てる耕平。

よく見たら下着も女の子っぽいんだが。

そんな馬鹿な!?、と思ってしまう。

まさか?!、と。

今年、というか17年で初めての衝撃だった。



俺と耕平と康太。

相当に仲が良いと思うのだ。

まるで家族の様に、だ。

俺達は本気で家族の様に暴れたりしていた。


まさに青春。

ふざけ合って戯れ合う。

2年になっても同じクラスになって嬉しさが込み上げたり。

青春したりしていた、筈だった。


何がどうなっている。

俺は青ざめながら耕平を見る。

耕平は普段、短い結んだ様な髪の毛をしている。


それも実は長い様だった。

だらんと髪の毛が伸びているから、だ。

完全に女の子である。


「ち、違うの!ゴメン!こ、これは.....」


「.....お前さん.....女の子だったのか!!!!?」


俺は指を差しながら愕然とする。

女の子の下着姿の耕平は胸とかを隠しながら慌てる。

そうしていると体育が始まってしまった様だ。

教員が探しに来た様で俺達は咄嗟に隠れてしまった。


「羽柴ー。佐藤ー。ん?此処にも居ないか.....」


俺達はロッカーに隠れる。

そしてお互いを見つめあっていた。

心臓が思った以上に高鳴っていて、その。

胸が当たっている。

それも直に.....!!!!!


「み、瑞稀。その、ゴメンね。隠すつもりはなかった.....の」


「お前さん.....女の子だとは思わなかった。それで何だか怪しい動きをしていたんだな」


「.....そ、そうだね.....」


「何でだ?俺に隠す必要性ってあったのか?」


「そ、それは言えない。ゴメン」


教員が探している。

俺達は声を大きくしない様にしながら隠れる。

そしてそんな会話をしていた。

すると教員がドアを閉めてどっかに行った様だ。

俺達はロッカーのドアを開けて飛び出る。


「と、とにかく。俺は衝撃的なんだが。お前さんがそんな」


「ゴメン。瑞稀。私.....言えば良かったんだけど.....その。ゴメン。本当にゴメンなさい」


ピンク色の下着姿で胸を隠す仕草をする耕平。

ヤバい。

マジに美少女じゃないか!?

耕平が女の子という事は。


この耕平という名前も合っているかどうか不安になった。

それから康太はどうなる?

女の子なのか?


「耕平。と、取り敢えず服を着てくれ。マジに恥ずかしい。異性だとは思わなかったし.....」


「あ、そ、そうだね」


そして赤面ながらいそいそと服を着る耕平。

カサッと音がするだけでもビクッとしてしまう。

これはどうしたら良いのだ。

マジに心臓が高鳴っているのだが。

鐘の音の如く、だ。


「耕平。お前は2年も嘘を吐いているのか?」


「そうだね。バレると思わなかった。気を付けていたのに」


「なんでそもそも男装なんだ」


「それも言えない。ゴメン。今は言えない」


「.....」


俺は、???、と浮かべながら外を見る。

外ではランニングが始まってしまっている。

さてどうしたものか、と思いながらも。

時間も成績ではオーバーだしサボる方が良いよな、と思う。

しかしそれまで耕平と、というか。


「なあ」


「.....何?」


「本名は耕平か?お前は本当に」


「.....わ.....えっと。.....私は佐藤詩織.....だよ」


「!!!!?」


俺は唖然とした。

そして顎が落ちそうになる。

その、詩織、という名前には記憶がある。

何故かって言えばお前それは。

それは俺の幼馴染の.....!!!!?


「詩織.....なのか?」


「.....そうだね。みーくん」


「嘘だろ」


じゃあどう考えても康太も!?

アイツだけは男と思っていたのに!?

どうなっているのだ!?!?!

俺はますます唖然としながら詩織に聞く。


「詩織。どう考えてもこれでは康太も!?」


「.....!.....そ、そうだよ.....ね」


「何でお前ら詩子と詩織が.....男装なんか.....」


駄目だ頭がパニックになってきた。

どうしたら良いのだこれ?

俺は考えながら.....詩織を見る。


何故、男装なんかしているのだ.....!?意味が分からない。

2年も一緒だった男が.....実は幼馴染の女の子!?

ますます意味が分からない!


「ゴメン.....本当に」


「いや理解が出来ずに訳が分からないだけだ。マジに混乱している」


これは俺と。

佐藤詩織と佐藤詩子の。

ラブコメに近いラブコメだ。

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