53-2

おちつきのない部屋に2つの泣き声が響いたのはそれから1時間ほどした時だった

レイはそれを聞くなり2階に上がってきた

「サラサ!」

「レイ、男の子と女の子の双子」

私はそう言ってレイに微笑んだ


「ありがとな…」

そばに寄ってきたレイに口づけられる


「本当に双子?」

続いて入ってきたバルドが尋ねる


「ああ。男と女」

「弟と妹?」

「そうよマリク。仲良くしてくれる?」

「うん」

「初めてのお姫様ね」

メリッサさんがクスクス笑いながらそばに来た


「溺愛される気がするわね」

ナターシャさんは半分呆れている


「それにしてもどんどん賑やかになるな」

アランさんが言う


「いいんじゃない?楽しいし」

「ナターシャの言うとおりだ。でも面倒見るのが大変そうだな…」

カルムさんが苦笑しながら言う


「だったらカルム、次に引き取るのはちょっと大きめの女の子なんてどう?」

「リアムとマリクのお姉ちゃん?」

「そう。バルドと同じ年くらいの女の子」

「それはいいかもしれないな。10歳超えると引き取り手も減るし…」

カルムさんとナターシャさんは真剣に話し始めている


「これ、数日後に連れてくるパターンだな」

「「だな」」

レイの言葉にアランさん、トータさんが同時に頷いた


「でも女の子は確かに嬉しいよね。男の子も可愛いけどお洋服選んだりするのは女の子の方が楽しいし」

「確かに。男の子は武器とかになっちゃうもんね」

私もメリッサさんに同意する


「ってことでマリク、リアム」

「「なにー?」」

「お姉ちゃん、できたら嬉しい?」

ナターシャさんはストレートに尋ねる


「お姉ちゃん?ボクの?」

「そう」

「うん。嬉しい」

「僕も!」

2人とも満面の笑みだ


「じゃぁ決まりね」

即決のようだ

レイの言う通り数日中に家族が増えることになりそうだ



私たちは双子にシャノンとルークという名を付けた

「サラサにそっくりなシャノン…最高だな」

「シアとルークはレイにそっくりだもんね。食欲までそっくりだとちょっと困るけど…」

そう言うとレイは呆れたようにこっちを見た


『おめでとー』

『シアに火の祝福を』

『シャノンに水の祝福を』

『ルークにに地の祝福を』

妖精たちが次々とやってくる

気持ちよさそうに昼寝しているシアと双子の周りをクルクル回りながら次々と祝福を授けてくれる


「みんなありがとう」

私は飛び回っている妖精たちにお礼をいいつつ2人のステータスを確認する


「…」

「どうした?」

黙り込んだのに気づいたレイが心配そうに覗き込んでくる


「…2人のステータス」

「…」

今の妖精たちを見ていただけに予想はできるが見るのが怖い

レイはそんな表情をしながらステータスを確認している


***

シャノン

身体異常耐性 MAX  精神異常耐性 MAX  物理攻撃耐性 MAX  魔法攻撃耐性 MAX

光魔法 100  鑑定 100  補助 100 水魔法  氷魔法

称号

神々の加護を受けし者

妖精の祝福(水、氷)

***


***

ルーク

身体異常耐性 MAX  精神異常耐性 MAX  物理攻撃耐性 MAX  魔法攻撃耐性 MAX

闇魔法 100  剣術 100  気配察知 100 雷魔法  地魔法

称号

神々の加護を受けし者

妖精の祝福(雷、地)

剣聖

***


***

シア(幸歩)

身体異常耐性 MAX  精神異常耐性 MAX  物理攻撃耐性 MAX  魔法攻撃耐性 MAX

回復魔法 100  時空魔法 100  念動力  風魔法  火魔法

称号

神々の加護を受けし者  

妖精の祝福(風・火)

***


「…耐性MAXと神々の加護は予想してたけど…シアと双子3人足したら全属性制覇」

レイは双子とシアを呆然と見る

チートの遺伝子を継ぐとチートになるのだろうか?

どう考えても異常なステータスだ


「何か子供たちがパーティー組んだら無敵になりそう?」

「シアは時空魔法持ってっからインベントリ覚えさせれば3人でも充分複数の依頼こなせるな」

「勝手に念動力使ってただけに教えなくても使えそうだけど…」

呟くように言うとレイはシアを見る

相変わらずカーロの尻尾に埋もれるように眠っている


「それよりも気になるのはルークの剣術に剣聖だな。気配察知やシャノンの補助はまだわかるけど…」

「そうね。シアの時と一緒で元から授かってたスキルはレベル100だし…」

どう考えても規格外の子供達に驚くしかない

でもなぜかそれをすんなり受け入れてしまう自分もいる


「あーでも元気に生まれてきてくれただけで充分だ。サラサも無事だしな」

そう言うレイに抱き寄せられる

妊娠中に色々あっただけにその思いは強い


「こうして大切なものが増えていくんだね」

「…ああ、そうだな」

「一緒に守って行こうね。私達で足りなくてもきっと皆が助けてくれる」

あの事件の時のように

その言葉は口にしなくてもきっと伝わっているだろう


失う未来を想像するよりも守る方法を考えよう

例え失うことがあっても後悔しないように今を大切にしよう

それはあれから2人で決めたことだ


きっとこれからも辛いことも規格外の子供達に振り回されることも沢山あるだろう

それでもレイとなら乗り越えていけると思う


あの日、突然放り込まれた世界

それまでどれだけ望んでも手に入れることの出来なかったものを今は数えきれないほど手に入れたし、これからも増え続けていくだろう


頼まれたように発展させれているかどうかは分からない

でも、これまでのように楽しみながら暮らす未来を想像できる、そんな今の生活を大切にしたい


最愛の温もりに包まれて、宝物のような子供たちの寝顔を見ながらそんなことを考えていた



Fine


**************************************************************

長い間お付き合いいただきありがとうございます。

いつか、もう少し成長した子供たちのお話を書けたらいいなと思いつつ…

またどこかでお会いできれば幸いです。

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