38-2
「…あれ?」
目を覚ますとベッドの上にいた
「大丈夫か?」
レイは隣で横になり肘をついて私を見ていた
質問の意図が分からず首を傾げてしまう
「…おかえり?」
「ただいま」
何故かため息交じりに言われる
「創造、使ったって?」
「ん。バルドが発作起こしたから」
「発作?」
「あれ、多分喘息みたいなものだと思う」
「喘息?」
レイは首をかしげる
「何かの原因で気管が狭くなって息がしにくくなる病気」
「…喉がヒューヒュー言ってるやつ見たことあるけどそんな感じか?」
「そう。そこまで行くとかなり重症だけど…前世でも完治する方法は見つかってなくて私ができるのも気管を広げることくらいなんだけどね」
その現実が切ない
医学の知識はほぼ皆無なので根本的な原因もわからない
不安やストレスで発作を起こすと聞いたことがあるがそれすら信憑性がある情報かどうかは分からない
「あいつは我慢してたのか?」
「それはないと思う。発作はもともと突然起こるものだし、我慢してたならもっと呼吸がひどかったはずだから」
「…ならいい」
レイは大きく息を吐いた
「今日で4日目か。夕方に起きたんだよな?」
「そう。1つ作り終えた後にマリクたちに引っ張って行かれたから」
「じゃぁ…3日ごとに休ませて様子見るか」
「それぐらいが妥当かもね」
レイなりに色々気にかけているようだ
私は反論することもなかったので同意した
「で、次はお前だな」
「え?私?」
驚いてレイを見る
「帰ってきたら魔力切れで寝てるとかマジで勘弁してくれ」
頬に伸びてきた手は少し震えている
「まぁバルドの体調が悪くなったなら仕方なかったのは分かるけどな。今は普段と違ってお腹の中に子供もいるんだぞ?」
「…ごめん」
レイの手に自分の手を添える
「サラサ、妊娠中はよっぽどのことがない限り創造は使わないでくれ」
心配してくれていたのだと嫌でもわかる
「うん…約束する」
レイの手を口元に運び、その甲に口づける
外が暗くなっていることに気付いたのはその時だった
そしてシアがベビーベッドで静かに寝息を立てていることにハッとする
「…私どれくらい寝てたの?」
「6時間以上だ。今はもう日付が変わってる」
流石にそこまで時間が経っているとは思わなかった
「いつもなら30分も経たないうちに目が覚めるから流石に…」
続く言葉が声にならない代わりに抱きしめられる
「心配…かけちゃったんだね…」
「…大丈夫ならいい。でも2度目は勘弁してくれ。俺が無理だ…」
それだけレイも不安だったのだろう
「バルドが心配するのは避けたかったから、シアが愚図ってるからここにいることにしてある。とりあえずお前が目を覚ましたってカルム達に知らせて来るよ。あいつらも心配してっから」
レイはそう言って一度部屋を出て行った
◇ ◇ ◇
「レイ、サラサちゃんは?」
レイの姿に気づいたナターシャはすかさず尋ねる
「今目が覚めたよ」
「良かった…」
ナターシャは心底ほっとしたように言う
「妊娠してるせいか?」
「多分…とりあえず妊娠してる間は極力創造を使わないように言った」
「まぁそれが妥当だろうな」
カルムは頷きながらエールを煽る
「そうね。私もその方がいいと思う。いくら使う前に教えてもらってその後の対処は何もできないし…」
ナターシャはかなり落ち込んでいるようだ
実際深く眠り込んだサラサを見ているしか出来なかったのだから無理もない
「あ、サラサちゃん食事は?軽いもの何か作る?」
「いや、インベントリにあるから問題ない。飲むんもんだけ持って上がるよ」
「お前もゆっくり休め」
「ああ。お前らもな」
レイはミックスジュースを持って寝室へ戻っていった
◇ ◇ ◇
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