27-3
「…あれ?」
目を覚まし記憶をたどる
「そっか創造使っちゃったんだ…」
呟いた瞬間小突かれる
「いたぁ…」
「いい加減学習しろ」
レイは呆れたように言う
また心配をかけてしまったようだ
「ごめんねレイ」
「…もう大丈夫か?」
「ん。頭もスッキリしてる」
「ならいい」
「サラサちゃんもコーヒー飲む?」
キッチンからナターシャさんが声をかけてくる
「あ、ほしい」
「了解」
ナターシャさんは4人分を淹れてきてくれた
「カルムコーヒー飲むでしょ?」
デッキに出ていたカルムさんが戻ってくる
「お、起きたのか?」
「あはは…ご心配おかけしました?」
「心配というより驚きのがでかいだろうな」
「そうね。創造のスキルにもそれ使った後のレイにも」
「俺は関係ねーだろ」
「そんなことないわよー?サラサちゃんが大事でしょうがないって感じで」
ナターシャさんがからかうように言う
レイは反論を諦め顔を反らしてしまった
からかいモードに入ったナターシャさんは反論すればするだけパワーアップする
そう考えれば反応しないのが正解か…?
そのときリアムがぐずり出した
「あら、リアムどうしたの?」
ナターシャさんはすぐにリアムを抱き上げる
「ひとりやだ」
しがみ付くように泣きだしたリアムをナターシャさんはしっかり抱きしめる
「大丈夫よ。これからはママもパパもお兄ちゃんもいるからね」
なだめるもののなかなか泣き止まない
そのうちマリクとシアも目を覚ましレイはシアを抱き上げた
「リアムどうしたの?」
マリクが尋ねる
「1人でいた時を思い出しちゃったみたいね」
「リアム1人じゃないよ?僕もシアもいるもん」
マリクが少しすねたように言う
「そうね。ほらリアム、お兄ちゃんもこう言ってるよ?」
「ん」
だいぶ落ち着いてきたようだ
「にいちゃ…いっしょ?」
「リアムとずっと一緒にいるよ」
そう言ってマリクが伸ばした手をリアムがしっかり掴んだ
それからリアムはずっとマリクについて回るようになった
まるでこの家に来た頃のマリクのようだった
外が暗くなってくると、子供たちをレイとカルムさんに任せて食事の準備を始める
「リアムの事を考えてハンバーグとコーンスープあたりかしら?」
「ですね。あとはマカロニサラダや唐揚げなんかでかさまししますか」
ナターシャさんと献立を考え分担して調理していく
匂いが立ち込めだすとみんながキッチンまでやってきた
「今日のご飯なに?」
「ハンバーグだよ」
作業台を背伸びして覗こうとするマリクに笑いながら答える
「他は?」
「コーンスープと唐揚げとマカロニサラダよ。他に欲しいものある?」
「んとね…エビフライ!」
マリクは少し考えてから閃いたかのように言う
「あらぁ…サラサちゃん海老あった?」
「ちょっと待って…」
私はインベントリを確認する
「あ、少しだけどあるわ。でも一人1本かな」
「…まぁないよりは…ね?」
ナターシャさんが少し顔を引きつらせている
果たして1本で満足するのだろうかと
しかもその対象は子供たちではなくカルムさんとレイであるのは聞かなくてもわかる
「じゃぁミックスグリルみたいにしちゃいましょう」
ファミリーレストランで大抵お目にかかることのできるメニューだ
「ミックスグリル?」
ナターシャさんが首をかしげる
「ハンバーグにエビフライ、唐揚げなんかを1人分ずつワンプレートに盛りつけるの。それならエビフライ1本ずつでも問題ないでしょう?」
ついでにストックしているコロッケも乗せておこうとインベントリから取り出す
「それ面白そうね。お替りの分は真ん中に積んどけばいいものね」
ここで盛りつけてと言わない当たりナターシャさんだと思う
確かに小山になるのは積み上げてる以外の表現は合わないものね
「マリクエビフライ食べれるわよ」
「やった」
喜ぶマリクはエビフライって何?とたずねてきたリアムに身振り手振りで説明を始めた
その間に私たちは準備を進めていく
「さぁできたわよ~」
ナターシャさんがそう言うとゾロゾロと集まってくる
「パパこれ新しい椅子?」
子供用の椅子が増えていることに気付いたマリクが尋ねる
「ああ。マリクは少し大きくなったからこっちな。で、こっちがリアムの椅子だ」
カルムさんがリアムを抱き上げて椅子に座らせた
「高さ変わった」
自分で椅子に座ったマリクは嬉しそうに言う
「体にあった椅子にしないと食べにくいからね。さぁ召し上がれ」
「おう。今日はまた変わってんな?」
「たまにはこういう出し方もいいでしょう?」
「ああ。見た目も楽しめる」
エビフライが足りないからだなどとは一言も口にしない
「ママサラダもっと欲しい」
「あら偉いわねー」
ナターシャさんが褒めながら小皿に取り分ける
「リアムも食べる?」
「たべる」
「ふふ…リアムもおりこうさんね」
同じようにほめながら小皿に取り分けると2人とも嬉しそうに笑う
リアムは初めて見るものでもマリクのマネをして抵抗なく口に運んでいるようだ
「サラサ代わる」
シアに離乳食を食べさせていると一通り食べつくしたレイが続きを引き受けてくれた
「ありがと」
私はレイに任せて自分も食事を始める
1人増えただけで食卓はいつも以上ににぎやかだ
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