小説家になるための話

バブみ道日丿宮組

お題:安全な小説家 制限時間:15分

小説家になるための話

 経験が豊富なほど、物語を作れる。

 そんなことを恩師は言ってた。

 だからこそ、戦場という場所をいくつか巡ってた。今まで生きてたのが不思議というくらいに激しかった。眠れない日、食事がとれない日、移動できない日。いかにして自国が安全なのかという実績を知ることができた。

 問題であったーー物語を作るという点だが、いろいろな想像を持つことはできた。面白い話も浮かんだ。可愛らしいキャラクターも生まれた。

 いろいろできたが、文章化すると途端にそれはおかしくなる。

 映像や漫画であればまた別なのだが、それはできない。

 私にとって、絵は異端。なにをやっても、賞をとるし、尊敬される。そんなものはなんの評価でもない。苦戦という必要を得ない称賛など、なんの名誉もない。

 とはいったものも……。

 挿絵と表紙に描いたものは想像通りのものだった。

 表紙買いという欲は生まれることだろう。

 内容が内容だけに、一巻しか読まれないし、編集者に漫画にしましょうと言われる結末を迎えることになるだろう。

 家も家だ。

 なんどもイラストレーターになれと、いろいろと送ってきてる。

 大きな液晶タブレットであったり、等身大女性(人間)。人間はびっくりしたな。

 執事は何人か家にいるけれど、女優なような立派な容姿を送ってくるのは不思議でもある。

 今では私の作品を最初に読んでくれるまでには仲良くなったけれど、彼女に恋人のような存在を見つけることはできなかった。

 両親に問いただすと、あなたがその夫なのよときた。

 

『種馬となって、遺伝子を残せ』

 

 そういうことがいいたいのかと聞けば、ただたんにはやく孫の顔が見たいだけと言われた。

 さすがに謝った。

 彼女との結婚、恋愛は悪い気はしない。

 けれど、私は小説家になりたいのだ。

 働かないで自由に生きてく人生なんてごめんなのだ。

 切り替えてみればどうでしょうかと彼女に言われた。

 つまりは、長編でなく、短編を続けてくということだ。

 楽しいと思われる部分も書いて、それをつなげてく。

 なるほどと思った。

 面白いシーンが乗る話。悪くはないとは思うが、それははたして繋がるのだろうか。

 キャラが違ったり、設定が違ったりしないのだろうか。

 彼女は続ける。

 そこらへんはわたしが手伝うと。

 それならと、私は行動を開始した。

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小説家になるための話 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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