ヒキニートに転生した異世界勇者は、社会復帰が絶望的!?

越知鷹 京

元・勇者、ハローワークを目指す!①

「折角だから、俺はこの赤の扉を選ぶぜ!」




 ――デ〇クリムゾン――




このゲームのタイトルを見たとき、22才の誕生日を迎えた春の日だった


 俺は、少なからず“違和感”を覚えずには、いられなかった……


もちろん、1人多役で吹き込まれたシュールなボイスとテロップに――ではない

もちろん、その扉の色が“ ブラウン(茶)”だから――なんて事でもない


「上から来るぞぉ! 気をつけろぉ!」


 そうだ、この言葉を誰かに言われた気がする……


 ―信頼―する誰かに……?


 ―大切な―仲間に……?



一瞬の立ち眩みの後、とても大事な事を思い出した!



 ―― あぁ、そうだ。――



「……さて、○○さん。魔王を倒して死んだあなたは……。

 通常の死後の選択肢とは、別の物を用意するようにと 言伝ことづてうけたまわっております」



 そう。神さまが、提示して下さったのは、3つだった――



ひとつ目は、天国でのんびり暮らすか

ふたつ目は、再びこの世界で赤子として生まれ変わるか

みっつ目は、科学の発展した平和な世界で 安閑あんかんと暮らすか



 そっかぁ。『 安閑あんかん』とは、こういう意味だったのか……


 コントローラーに、じんわりと汗がつく


「どうしよう……。22年間、まったく努力してこなかった……」


  ⇨A「人生とはクソゲーである」

   B「人生とは無理ゲーである」


 ◇



「諸君、人生とはクソゲーである!」



 そうだ! 思い出せ、いにしえのオタクたちの言葉を!



“萌え”文化を築いた、偉大な大人たちの言葉を!


 そうだとも! 

160cmという低い身長ながらも、体重は[ レベル 70 ]を超える強者だ


 かつて、諸外国を貶めた【魔王】を、

たった8人のパーティーで挑んだじゃないか……



『相打ち』となってしまったが、


それに比べれば、こんな平和な国で就職だなんて、チョロイはず……



――いけるッ! 行けるぞッ! ハローワークっ!!



 よし! まずは、家から出るか? 出られるか?



………半年ぶりだな。家から出るのは………



そういえば、この家の「玄関のドア」の色って………………




 ――デ〇クリムゾン――




つづく

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