交流会旅行編

第19話 2泊3日の交流会旅行

 夏休みが始まる3日前オレ達1年生は、2泊3日の交流会旅行に来ていた。


 宿泊場所には、プールやお店が完備されており、外には、綺麗な海があったりと文句なしの場所だった。日頃、勉強を頑張ってるオレ達へのご褒美なのだろうか。


 交流会旅行というのは、まだ話したことのない人達と交流ができるように用意された旅行らしい。日頃、敵対している相手とも仲良くしてほしいという意味もある。


 泊まる場所には、今日の朝に到着した。 

 現在昼の12時、オレは、この場所に来てから与えられた部屋にこもりっきりだ。誰かと会う約束や遊ぶ約束をしているわけでもないからな。一人で海に行くのも悲しすぎる。だが、せっかく来たのだから楽しまないと損だと思う自分もいる。


「誰か誘うか……」


 オレは、全く使っていなかったスマホの電源をつけた。すると、こんこんとドアを叩く音がした。


 誰だろうか……。


 オレは、ドアを開けた。


「あっ、急にごめんね」


 ドアを開けるとそこには、フリフリのワンピース姿の北原がいた。旅行だから私服に気合いはいってるな。


「北原、どうかしたのか?」


「今から海の方でビーチバレーやるんだけど大山君もどうかな?」


「いいのか?」


「うん、もちろんだよ。江川君や一華ちゃんもいるよ」


「じゃあ、今から準備する」


「わかった。私、ここで待ってるから一緒に海まで行こっか」


 北原は、そう言ってドアの前で待っていた。


「よし、行くか」


 服は、着替えずスマホだけを手に持った。


「うん、行こう!」


───────────


「お待たせ、一華ちゃん」


 北原は、オレから離れ濱野のところへ走って行く。


「美波ちゃん!大山君、連れてきてくれたんだね。ありがとっ」


 濱野は、ニコッと笑った。


「あなたも濱野さんに呼ばれたんですね」


 オレが一人で突っ立っていると後ろから声をかけられた。


「雨野もか?」  


「はい、一華さんに誘われまして」


 やっぱり制服しか見慣れてないから私服は、少しドキッとするな。いや、気のせいか。


「大山君、どうかされましたか?」


「いや、なんでもない。雨野のチームメイトは、来ていないのか?」 


「来てますよ。穂乃果さんと康二君は、あそこでバレーの練習をしています」


 雨野は、そう言って後ろを振り返った。


「やる気満々だな」


「ふふっ、そうですね」


「他の3人は?」


「さぁ、私は、穂乃果さんと康二君以外ここに来てから会ってませんので」


 まぁ、そうか。チームだからといって一緒にいないといけない理由はないからな。


「なんだ? ここで何かあるのか?」


 オレと雨野が話している間に三条と一人の少女が入ってきた。


「三条君、こんにちは。今から皆さんでビーチバレーをするんです」


 雨野は、作り笑いで三条の質問に答えた。


「ビーチバレーか。面白いな」


「ん? 三条君だ! 一緒にビーチバレーやる?」


 三条がいることに気づいた濱野は、こちらへ走ってきた。


「濱野か。オレ達もいいのか?」


 三条は、濱野に尋ねた。


「もちろん大歓迎だよ。三条君だけじゃなく豊田さんも一緒にやろうよ」


 濱野は、三条の隣にいる豊田と呼ばれる女子を誘った。


「三条がやるならやる」


 豊田は、そう言って三条を見た。


「なぁ、雨野。豊田は三条と同じチームの奴か?」


 オレは、雨野に小声で尋ねる。


「はい。豊田紗希さんは、三条君と同じチームの方です」


そうか、だから一緒にいるのか。付き合っているというわけではないと思ったが、チームメイトなら納得がいく。


「やってもいいが、ただやるのは面白くないな」


 三条がそう言うと濱野は、何か思い付いたような反応をした。


「じゃあ、勝ったらチームポイントを負けたチームに5点あげるのはどう? 生徒同士の間で得点を渡すことは、ダメっていわれてないしね」


 濱野の提案に三条は、笑った。


「いいなそれ……それなら参加する」


「じゃあ、決まりだね。大山君と雨野さんもそれでいいかな?」


 濱野は、オレと雨野に尋ねた。


「えぇ、いいですよ。そちらのほうがやりがいがあります」


「オレもそれでいい。だか、一つ提案がある。今いるチームの人数がバラバラだ。そこで各チーム3人にしないか?」


「確かにそうだね。じゃあ、私のチームは今、私と平坂君がいるからうららちゃんを呼ぶね。大山君のところと雨野さんのチームはもう三人いるからオッケーで……あとは、三条君のところだけど……」


 濱野は、そう言うと、三条が口を開いた。


「それなら加藤を呼んでくる」


「加藤君ね。じゃあ、それぞれ準備できたらコート前集合!」


 濱野は、そう言ってコート作りにとりかかった。


──────────


「よーし、みんなそろったね。対戦する順番は、こっちで決めさせて貰ったよ。一回戦目は、私のチームと大山君のチーム。そして、雨野さんのチームと三条のチーム」

濱野は、みんなに説明した。


「コートは、一つだから。まずは、雨野さんのチームと三条のチームでやってもらおうかな」

濱野は、そう言って雨野と三条に言う。


「ふっ、まさか一回戦目から雨野と戦うとはな。これは勝ちだな」

三条は、自信満々に雨野に言う。


「あら、私も随分なめられたものですね。そちらは、男子が二人ですが、こちらは負けるつもりはありませんよ」

雨野は、笑顔で三条に言う。


この二人、目が笑ってないんだが……。

オレは、コートの近くに立ち試合を見ることにした。


「三条さん、後ろはオレが……」

「あぁ、任せたぞ加藤」

三条は、チームメイトの加藤に言う。


あいつが加藤か………。


「康二君、加藤君には気をつけてください。加藤君は、バレー部員ですから」

雨野は、武内にこっそりと教えた。


「あぁ、わかった。笠音は、前を……」


「いわれなくても」

笠音は、そう言って長い髪をまとめた。


「じゃあ、審判は私、濱野と美波ちゃんでやるね。ルールは、簡単。先に20点とったら勝ちね。では、スタート!」


先行は、三条のチームからだ。

さぁ、この勝負はどちらが勝つのだろうか。


5分後………。


「試合終了!二回戦に勝ち上がるのは、雨野さんチーム!!」

濱野は、手をバッと広げストップの合図を出した。


「いい勝負でしたね。三条君」

雨野は、勝ち誇った顔で三条に言う。


「次は勝つからな」

三条は、そう言って豊田と加藤のところへ戻った。


「じゃ、次行くよ!次は、私のチームと大山君のチームね」

オレは、コートに入った。


「大山君、江川君、頑張ろうね」

北原は、オレと江川に言った。


「おー、頑張ろうぜ」


「まぁ、できる限りのことはやるよ」


「では、私、雨野と紗希さんで審判をしますね。では、試合開始です」



──────────



「勝者、大山チーム。ということは、次は雨野さんと大山のチームで試合よね?」

豊田は、濱野に確認をとる。


「そうだね。そのあと、負けた私のチームと三条君のチームで試合ね」


こうして、オレ達は雨野のチームと試合をした。

結果、予想通りオレ達は負けた。

そして、濱野のチームと三条のチームの試合では濱野のチームが負けた。


「いや~提案した私が負けちゃったよ」

濱野は、そう言ってスマホを出した。


「一華さんの提案のおかげで普通にやるより楽しかったです」

そう言って雨野もスマホを出す。


「それは、よかったよ。今、送るね」

濱野は、スマホでチーム得点を雨野に渡した。


「ありがとうございます」


「みんな、一緒にビーチバレーしてくれてありがとう!じゃ、解散ね!」

濱野は、そう言って平坂と所谷と一緒に海のほうへ歩いて行った。


「大山君、この後空いてますか?」

雨野は、オレに聞いてきた。


「あぁ、空いてる」


「なら、一緒に舞台観賞しませんか?この近くで舞台をやってるそうで。穂乃果さんと行こうとしてるのですが、大山君もどうですか?」


舞台観賞か。

見たことないから興味がある。


「いいなら……」


「では、行きましょう。穂乃果さん、ここから歩いて行けますよね?」

雨野は、隣でスマホを見る笠音に尋ねた。


「えぇ、行けるわ」


「では、歩いて行きましょう」







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