満点の約束

ありふれた小学校生活

僕には好きな人がいるが美少女で学園中の男は彼女に惚れている

テストの成績も常にトップで運動も出来て

だけど彼女に僕が惚れたのはどの理由でも無かった

本当は足だって遅かったのに努力した

幼稚園の時に、悔しくて泣いていた彼女に僕は惚れたのだ


公園で遊んでいる中で彼女は言った


「XXX君には約束は守ってほしいな」

「それって当然じゃないの?」

「守らない人もいるよ、自転車の練習で父さん手を離さないって約束してた」

「けれど、頭に怪我したんだ?」


彼女の頭には包帯が巻かれていた


「絶対に手を離さないからヘルメットはいらないと思ってたの、でも父さんは離してこの怪我だよ?」

「なら僕は約束を守るよ、だって君と約束したいことがあるから」

「約束したい事って何?」

「僕が約束守り続ける事が出来たら……僕と付き合って!」

「テストで100点とる約束できるならいいよ?」

「え」


僕の成績はいい方では無かった

50点ぐらいとれれば、悪く無い方

それでも彼女は『いいよ』と言ってくれたのだ


「約束しないだけなら、皆出来るよ」

「分かった、約束するね」


本当に頑張って98点に成った

僕は2点分の約束を守れなかった

テストを見せて頭を下げた


「じゃあ次で取ればいいんだよ」

「え?」

「100点のテスト、卒業するまで待ってるからね」



何度も何度も挑戦して、中々100点がとれない

意地悪な先生がわざと難しい問題を混ぜて作ってくる

卒業が足音が聞こえるほど近づいていた中で念願の日が来た

100点満点のテストを受け取った

彼女が休みだったのですぐには渡せずに家に帰った

テストを机の上に置いたのだ


「きゃーっ!!」


母親の大きな声がして、虫が出たのだろうと見に行ってみれば

キッチンで火が燃え広がっていた

逃げるように母に言われて、キッチンから出る

このままではテストまで燃えてしまうと二階にあがろうか迷う

けれど諦めて外へと避難する事にした


家は運悪く家財のほぼ全てが燃えつきた

せっかく取った100点のテストも灰に変わってしまった

危ないからと敷地に入る事すら出来ない

火事が起きた翌日の夜、公園で彼女と二人

ブランコに座って話をした


「ごめん、約束を守れなかった」

「守ってくれたよ」

「え?」

「消防署のポスターでね、火事で生きていたら100点ってあったの」

「なら約束は……守れたのか」

「おめでと」


ファーストキスは夜の公園、ブランコで

今でも時々思い出す辛くて甘い夜の事

何年も経過しているが僕はまだ約束を一度も破っていない


そんな自分たちは今日、結婚する

2人の間で神父様が言葉を紡ぐ

テストで100点を取るより簡単な事だ


「誓います」


今度は僕からキスをした



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