異世界飲食店スローライフ!!!
plutoniumプルトニウム
第1話
僕は難病で死んだ。
僕は、もともと身体が悪く、余命もあり、不幸な人生であった。そして、今日はその不幸な人生に終止符をうった。
父親、母親、そして弟が僕の手を握っていたが、その強さも温もりも感じなくなり、完全な死体となった僕は、意識も遠退いていった。
あぁ。とうとう死んだよ…僕。
全く人生というものを堪能できずに死んでしまった。悔いしか残らないが、ただただ「仕方ない」と思うしかなかった。
「仕方なくはない。お主は憐れだ。」
「!?」
その声がした方をみると、これはまた定番のおじいさん?がいた。そう。この流れは、転生だ。病室でみた漫画と同じ流れだ。
「もしかして、神様!?」
「惜しい。まぁ、お主からすればほぼ神様のようなものではあるが、少し違う。ワシは天使だ。申し訳ないのぉ。お主が思うような、美しい聖母のような天使でなくてな。」
「い、いや、別にどうでもよいです。というか、僕は転生するのですか?」
「その通り。飲み込みが早いのぉ。我々は、お主の#運命__さだめ__#があまりにも憐れに思い、お主をすぐに転生させようということになった。」
「じ、じゃあ、僕の次の人生は、どんなものなのですか?」
「そうじゃな。竜の如く強い力を持つ、史上最強とも言われる程の#戦士__・__#じゃ。そしてお主は、あらゆる壁をその力で簡単に破壊していき、美しい妻もめとり、#良き最後__ハッピーエンド__#を迎えるという、何も苦もない素晴らしい人生じゃよ。」
やはり想定していたのと似ている。だが、正直な話、戦士とか、勇者とか、魔物や魔王なんかと戦うのには興味がない。
つまり、他の人にとっては最高な人生なんだろうが、イマイチ僕は惹かれない。
「あまりお主は乗る気じゃないのぉ。」
「そ、そうですかぁ?」
「まぁ、良い。とりあえず、今すぐにでも転生できる。きっといざ成ってみれば(最強の戦士に)楽しいもんよ。じゃあ、転生術を唱えるぞ。」
まだ死んで目が覚めたばかりというのに、展開が早すぎる気もするが…
すると、不思議な光で僕の体は包まれた。
「よし!行ってこい!お主よ!」
僕は転生する。最強の戦士として。
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また、目が覚めると、そこは病室でも、ましてやさっきいた天国(?)でもなかった。
雄大な自然溢れる、まさに異世界であった。
「すげぇ!本物だ!やっぱり見ると興奮するな…」
自分の格好をみると、やはり強そうな鎧で、強そうな剣。最強の戦士になっていた。
「え?じゃあ、戦わなきゃいけないの?」
【おいおいそこのお前!勝負だ!】
聞いたことのない言語で何者かが話しかけてきた。振り向くと、そこには#RPG__アールピージー__#ゲームでお馴染みの、スライムが何匹かいた。
【何!?凄いレベルの高さだ!ま、参りましたー!!!】
スライムは、何処かへ逃げようとした。
「ま、待って!別に戦う気はない!」
【じゃあ何だその手に持った物騒なものは!】
確かにそうだ。こんなものもって話しかけてくる奴はいない。僕は、静かにその剣を置いて、スライムの元へ駆け寄った。
【ほ、本当に戦う気は無いのか?】
「うん。というか、今しがた僕はこの世に転生したんだけど、別に魔物を倒したりすることに興味がないっていうか、逆に、いくら魔物とはいえ生物の命を無くしてしまうっていうのは気が引けて…」
【そ、そんなことを考える人間もいるのか?中には嬉しそうに物騒なものを振る人間もいるというのに…】
「そう。だから、僕は戦士なんかやめて、他に…何かすることはないか、考えているんだ。」
【何をするかって?】
「うん。目標とか、趣味とか…」
【なら、いっそのこと店でも経営しちまえば良いんじゃねぇか?金なら、その鎧とか剣とか売っちゃえばいいし。】
お店………それだ!僕は、病院にいるとき、テレビなんかで店長のドキュメンタリーなんかを見て、もし、病気が治って大人になって働けるようになったらお店を開店しよう!なんて言っていた。
そうだ!僕にはお店がある!
「ありがとう!素晴らしい提案を!そうだ!君も一緒に働く?」
【誘ってくれるのはありがてぇけどそれは出来ない…俺にも家族(スライムの)がいるし、そもそも人間世界のお店で俺がいてどうするんだよ。お店の評判を落とすだけだ…】
「そ、そうなのか…」
やはり、人間と魔物には、大きな壁があるんだな。そんなものも壊してしまうほどの開放的なお店も作りたいものだが、今の自分にそれが出来る気はしない…とりあえず、お店を持つことから始めよう。
【じゃあな。俺はもういくよ。久々に面白い人間にあった。】
「うん!ありがとう!」
まさか転生してスライムと話すことになるなんて、思いもしなかったが…
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そして、とある町についた。賑やかで、やはり#RPG__アールピージー__#ゲームを思い出す。
「まずは最強戦士装備を売ろう。資金調達からだ!」
町のとある武器屋に行き、最強戦士の装備一式を店員に見せた。(あの天使のおじいさん達には申し訳ないが…)
「おぉ!これはこれは!よっぽどの貴重な素材と巧妙な技術が使われている防具に剣だ!あんた、こんなもの売っていいのかね?」
「はい!戦士なんかやめて、お店を経営するんです!」
「ハッハッハッ!面白い兄ちゃんだな!どれ、お祝いと商売繁盛のお守りとしてボーナスもつけてやるよ!」
と、いうことで、あの装備一式がボーナスも含めて1000万ルビーとなった。(1ルビー=1円くらい?)
「す、すげぇ。思ったより多くなったな。」
これなら、お店を開店出来る!
大金を持って、ルンルン気分で不動産屋に行った。
「あの…失礼しますが、バカですか?」
「え?」
大金1000万ルビーを出して、「良いお店の物件を出してください!」と言っただけなのに、まさかの「バカ」と言われてしまった。
「あのですね、1000万ルビーとなりますと、普通の家を一軒買うのにも厳しい程になります。さらに、飲食店をご希望となりますと、厨房やら机やイスやら照明やらその他オブジェや装飾なんかまで必要となりますので、最低でも5000万は欲しいところです。」
さ、最低で5000万なんて…あの装備一式が5セット必要ってこと?
「そ、そこをどうにかなりませんかね?」
「ん~………」
すると、店員さんは、頭を抱えた。
「なきにしもあらず、ですが、一応見てみますか?」
「お、お願いします!見てみたいです!」
そして、その店員さんについていくことに。しかし、ついていけば行くほど、人気の少ない変な場所になっていった。それどころか、町と外を分ける壁付近にまで来た。
「ここです。」
「へ?ここですか?」
店員さんが指を指したのは、確かにお店ほどの大きさではあるものの、壁はヒビが全体的に入っており、ドアはボロボロ、庭のスペースはもはやジャングル、クモの巣だらけの廃墟であった。
「ここなら、800万で済みますけど…リフォーム等を業者に頼みますと…これほどならば、1000万はかかります。それに、アクセスも悪いです。」
なんという話だ。ここで、飲食店を開けだと?野良犬や野良猫しか来ないじゃないか!
「どうします?ここにしますか?」
僕は、頭を抱えた。ん?待てよ…そういえば、あのドラマで……そう。僕が病室でみたとあるドラマがあり、それは、貧乏な一人の男が、ボロボロの家を買い、そこを一人でリフォームし、どんどんその家をお店に成長させて、飲食業として大成功するという話がある。
800万を使って残り200万…生活費とか除いて100万使えるとしたら、ワンチャンいけるかも…
「はい!ここにします!買います!」
「えぇ!?本当に買うのですか!?本当は冗談のつもりであったのに!?」
「はい。ここにします!」
そして、不動産屋に戻り、手続きを終えた。
「ほんの情けと応援です。100万負けて、700万にしておきます。最初はバカにしてましたけど、あなたの目を見ると、そうでも無さそうなので…」
「ありがとうございます!」
僕は、その店員と熱い握手(?)をした。
「ここから始まるんだ。僕の飲食店異世界スローライフが!!!」
そう。最強戦士という称号を捨て、最強飲食店を目指す!僕の#異世界物語__イセカイストーリー__#が始まる!!!
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異世界飲食店スローライフ!!! plutoniumプルトニウム @tarusyo
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