第29話 あの帽子

 4週目2日目の講習は山タイプのフィールドダンジョンへ行き、1日目と同じように課題は採取物とモンスター素材を集めて提出することでした。山での採取は森の時と同様、光るポイントを探すのですが植物ではなく岩が光っていました。更に不思議なことに岩に対してピッケルなどの採掘用の道具で叩き一定以上の力が加わることで鉱石が手に入ります。山では赤メッシュ君も慎重に行動しておりトラブルもなく探索を終えました。3日目は遺跡ダンジョンで課題は今までとは異なり一定の範囲以上のマッピングでした。今回はマッピングのミスや抜けを極力失くすため僕とアキラの2人ですることにしました。お互い別々にマッピングし、途中の小休止などでお互いで違うところがないかをチェックすることでミスや抜けを潰していきました。遺跡ダンジョンという事で少しテンションが上がっていたのかもしれません、探索中赤メッシュ君達からチラチラと見られる事がありましたが、特に問題なく探索終了させることができました。


 この2日間での戦利品は、魔石は全員で等分し、プリン1号とプリン2号は装備の充実のためかモンスター素材を優先します。赤メッシュ君はやはり代わりの武器が欲しかったのか遺跡ダンジョンで見つけた両手持ちも片手持ちもできるバスタードソードのような剣を選びました。マコトとアキラと僕はスキルオーブとなりました。マコトはマッピングに参加できなかった事を気にしていたのか【地図】のスキルを選択しました。アキラは更なる基礎力アップを図り【AGI+】を選びました。そして僕は毎度お馴染みのアレです、【幸運】です。もうここまでくると最後まで突っ走ろうかと思います。


 4日目と5日目はこれまでの総まとめという感じで迷宮ダンジョンを泊りがけで潜ることになります。


「モンドさん、これなんかどうですか?」


「モンド、こっちは?」


 ということで僕達は今、冒険者専門ショップへ来ています。


「いえ、ここは店員さんにおすすめを聞いてみましょう」


 すごく派手な3~4人用のテントを指さすマコトとなぜか浮き輪を持ってくるアキラを店員のところまで引っ張っていき、ダンジョン泊の事情を説明し何が必要かを確認します。


「あらー、そういうことならぁ、こっちのダンジョンお泊りセットがおすすめよぉ!」


 筋骨隆々な店員がダンジョン内での泊りに必要なものがほぼ入っているナップザックを取り出してくれました。


「特にこの毛布がすごいのよぉ!」


 そう言って取り出した毛布はシングルの毛布を縦に2つ繋げたものでした。


「これは二つ折りにしてその中で寝るようになっているのよぉ。寝袋で寝るといざというときにすぐに出れないこともあるしぃ、毛布をただ2枚敷く用と掛ける用に使うだけだとグチャグチャになっちゃうわ。でもこれなら何かあっても毛布を跳ね除けるだけでいいしぃ、自分が重し換わりになってるからよっぽどの寝相じゃなければグチャグチャにはならないわぁ」


 そんな店員おすすめのダンジョンお泊りセットを購入すると、僕は他に必要なものはないかと見て回り、マコトとアキラは店員に他にどんなものがあるのかを尋ねています。


 簡易調理器具やレトルト食品などを手に取りながら店を見ていると僕は遂に見つけてしまった。


 この色、この形、まさに『あの帽子』だ。


 今、手に持っているものと合わせて購入するために急いで店員の元へと戻ると、だいぶ打ち解けたのかマコトとアキラと店員が談笑していました。


「それでじゅえるちゃん、どんな朴念仁でも一発でKOするようなものってないかな?」


 激しくうなずくアキラ。


「そうねぇ、それならアタシの姉さんのお店を紹介するからこの後行ってみたらぁ。アタシの紹介だって言えば相談にも乗ってくれるはずよぉ」


 会話に割り込む形で商品を店員の前に差し出します。それにしてもすごく盛り上がっていましたがいったいどんな話をしていたのでしょう?


「あらー、こちらもお買い上げかしらぁ。よくお似合いよぉ」


 こうして無事に必要なものが手に入り、この場で解散となりました。


 ふふふ、あの帽子も手に入ったことですし、明日からの探索が楽しみです。




NAME:馬場 主水


LEVEL:8 → 10


STATUS

 STR:13 → 15

 DEX:15 → 17

 VIT:10 → 12

 AGI:14 → 16

 INT:17 → 20

 MND:20 → 23


SKILL

 【加護】 → 【神々の加護】

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