第25話 戦闘スタイル

 前衛に赤メッシュ君とプリン1号、中衛にマコトとアキラ、後衛に僕とプリン2号で前回と同じルートを進んでいます。道中は前回とは違い薙ぎ払われていた植物や均された地面が元に戻っており、枝を鉈で切り落とし、地面や木の根に足を取られないように気を付けながら歩を進めるしかありません。


 そんな中、警戒のため周りを見渡していると、時々、ふと目に留まった葉っぱや木の実が淡く光っていることに気が付きました。本当に微かな淡い光で見つけたとしても一度目を離してしまうともう一度見つける事ができないくらいでした。おそらくそれらの葉っぱや木の実が採取物なのだろうと思い見つけるたびに皆さんに一声かけ採取するようにしていました。枝を払ったり、地面を確認したりしている間に手の届く範囲での採取なので、僕のことを毛嫌いしている赤メッシュ君も特に文句は言ってはきませんでした。


 前回の倍近くの時間をかけて前にも来た優良採取ポイントの1つに到着しました。道中には5回モンスターの襲撃がありましたが、1匹ずつであったこともあり問題なく討伐できました。今回は事前に、余裕がある場合は一人ずつ順番にモンスターを倒すと決めていたので前衛2人が1回ずつモンスターを倒した時点で前衛を交代していき、ドロップ品は討伐者のものと取り決めました。


 1匹目は鹿のようなモンスターで視界が少し開けたところにいるところを発見、それと同時にモンスターが突進してきました。プリン1号が事前に手に持っていた石を投げると見事に頭に当たり、怯んだ一瞬の隙を見逃さず、赤メッシュ君は一気に距離を詰めると軽く飛び上がり器用に空中で1回転すると遠心力を上手く使い一撃で首を切り落としました。【剣技】スキルの効果もあるのでしょうが、もともと何かしらの格闘技はやっていそうですね。ドロップ品は残念ながら魔石だけでした。


 2匹目も鹿のようなモンスターで先程よりは少し鬱蒼とした場所で見つけました。先程と同じようにプリン1号が石を投げ赤メッシュ君が近づきます。取り決めのことや場所が悪く大きく動けないこともあり、モンスターの足を切りつけ動きを止めることに専念します。その間にプリン1号は投擲用の手斧を準備し、タイミングを見計らい投擲すると1投目は体に、2投目は頭に命中させました。ドロップ品は魔石とモンスター素材の皮でした。


 3匹目はマコトとアキラが前衛のタイミングで大型のフクロウのようなモンスターでした。上空からの突撃でしたが、アキラが【雷魔法】による周囲探知(極微弱な静電気を利用したものらしい)を試行錯誤しながら使用していたタイミングであったため不意打ちとはならず、【雷魔法】で迎撃し墜ちてきたところを槍で一突きでした。槍の動きがとても洗練されていましたが、後で聞いたところ今回は森の中のためショートスピアを使用したが本来は六合大槍と呼ばれる長槍の方が得意なのだそうです。ドロップ品は残念ながら魔石だけでした。


 4匹目は小型の猪のようなモンスターでした。マコトも【水魔法】を使った周囲探知(極微小な水蒸気を広範囲に広げるらしい)の練習中であったため、不意打ちされることなく察知できたそうです。【水魔法】により高密度の水球を高速で打ち出すと同時にモンスターへ突進し、水球がぶつかり怯んだところへ両手に持った小型のメイスで滅多打ち、全身のバネを上手く使っており1つの動作の反動を利用し連打しているようです。本当はショートソードや小太刀の二刀流が理想とのことですが、刃筋をたてるのがまだ練習中で下手をすると自分の足を切るかもしれないとのことで今はメイスを使っているそうです。ドロップ品は残念ながら魔石だけでした。


 5匹目は僕とプリン2号が前衛の時で、たまたま目がいったところに鹿のようなモンスターがいました。皆さんに注意を促すとバックラーを構えモンスターの突進に備えます。バックラーで突進の勢いを反らしメイスで足を攻撃し転倒させ、プリン2号に攻撃を促すとレイピアで一突きしますが止めにはいたりませんでした。モンスターが起き上がりそうになったのでバックラーで押さえ込むと、再びプリン2号がレイピアを振るい何回かモンスターを突き刺したところでモンスターを倒すことができました。他の皆さんの活躍に比べると泥臭くて少し気恥ずかしいですね。ドロップ品は魔石とモンスター素材の皮でした。


 到着したポイントにはモンスターはおらず、周囲にも今のところ問題なさそうということで、ここで一度休憩をとることになりました。

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