第43話 君主は豹変せず
囚われのある日、立派な髭を携えた身なりのいい若者が淳史の前に現れた。肥満体系の彼は、独裁国家ベリトクラの君主だった。ラスベガスからの視察と言う名の観光帰りで、最近発症した痛風を治してほしいとのことだった。
ベリトクラと言えば2000万人の国民がいて、先代の父は多くの博士号を持ち、国民に寄り添う統治で慕われていたことで有名だった国だ。しかし、世襲により若くして今の君主になってからは税金を上げて、他国への攻撃ミサイルの開発や宇宙開発に多額の資金を投じていた。これにより食糧自給率が下がり、地場産業が衰退し隣国から餌食にされて国民は苦しんでいた。
ところが、目の前にいる彼はそんなことはお構いなしといった感じで、国民から吸い上げた多額の税金を使って購入したであろうタッチを受けようとしていた。
淳史がタッチをすると彼は、「カジノでたくさんすったけど、痛風治ってチャラだね。今日はビールで乾杯するよ」と言って帰っていった。
暴飲暴食により痛風を再発させるのが先か、暴君により国が滅ぶのが先かとベリトクラの国民に同情する淳史であった。
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