氷河期がきたのでニート脱却してスチームパンクな異世界で成功者になりたいです!放浪日記
GoodSunGGgaming
第1話 氷河期
氷河期を乗り越え、世界に光が射した時代
積雪は40m、建物が雪の下に埋まった状態であった。
少しばかり生き延びた人類は僅かに言い伝えられた知識と技術を駆使し、新天地となる桃源郷を目指して旅に出たのだが、旅先で出会ったのは深淵の門と呼ばれる日光を煌びやかに反射する重厚な扉だった。
門番と思われる恰幅の良い夫人は居丈高に言い放った。
「汝、狼の餌場へ赴かれる殊勝な羊であるというのであれば立ち去れ」
私は強く願った、そこに桃源郷があれと。
走馬燈の様に知るはずの無い記憶が眼前に湧き始める。
積み上げ崩されまた積み上げる。
面妖なる風景は時を刻み、絵画の如く美しかった。
視界が歪む。
刹那――
夫人の体、全体に金色の膜が徐々に侵食しはじめる。
逡巡する間もなく、装飾品を除いた部位が硬直する。
手にもっていた金剛石の指輪が風に吹かれ、どことなく主を失い寂しそうに揺れていた。
私は願った。
強く生き抜きたい。
指輪が共鳴するように鼓動する。
「そなたの願いを叶えよう」
指輪に糸を通す様に鎖が数珠繋ぎされていく。
奇妙なネックレスが出来上がった。
そっと、それを首に掛けると両手に剣と盾が現れた。
空は晴れ渡、悠久の時を経て物語は加速し始める。
重厚な扉は閉ざされたままだ。
剣を鍵の様にドアノブに差し込む
カチリ――
歯車は動きだした。
けたたましい音と共に電撃が走る。
稲妻は導かれるようにネックレスへと落ちる。
――雷神招来
「主よ、馳せ参じました。我名はラムゥトと申す」
錫杖を片手に膝をつき扉の門を開け放つ。
「さぁ、ゆきましょう」
大地に錫杖を擦りつけながらゲートをくぐり抜ける。
荒廃した土地と成熟した建造物が入り乱れる不思議な空間が広がっていた。
「主よ、我を使い覇を成されよ」
疲れが出始めた、まずは休息だ。
「そうかきっと、これは夢なんだ」
ズキズキと痛む擦り剥けた膝が現実であるという矛盾を指し示していた。
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