無気力な僕は幸せになれる条件とは

雪宮一姫

第1話 プロローグ

僕の名前は雪村水輝。いま僕は、入学式の新入生代表のスピーチ控えている。

だが僕としては、なぜ僕がこんなことをしなくてはいけないのかと頭を悩ませている。

そもそも、僕は確かに府内でもトップ高である、烙萌高校に首席入学を果たした。だが僕は辞退しようとした。

だが、いま舞台上で話しているこの女のせいで、この僕が新入生代表から逃げることができなくなったのだ。

この女に僕の秘密を握られてしまった。

これは、僕史上一番のミスだ。

「この学校は自由な校風だからね」

性悪女である一ノ瀬涼音が僕の方に微笑を浮かべてスピーチを続ける。

僕は心底居心地が悪いまま入学式を終えた。

 

入学式を終えて、僕が教室に戻るとそこには既に大半の生徒が自分の席についた状態だった。僕は謎の居心地を感じながら自分の席に着席する。

間も無くして気だるそうな雰囲気をした眼鏡をかけた男性教師がやってきて名を名乗る。どうやら酒井というらしい。

僕はホームルームを話し半分に聞き流していた。

酒井先生がホームルームの終了を告げると同時に僕のクラスである、一年一組のドアが開かれた。

「良かった。まだ帰る前だったみたいだね」

そこにいたのは生徒会長である一ノ瀬涼音だった。

会長は酒井が止める間も無く、僕の席の前に立つ。

「水輝くん。君には生徒会に入ってもらいたい」

と、言い放った。会長の頼みに対する僕の答えは、拒否する。

これが僕が選ぶ答えだった。本来ならば。

「大丈夫だよ。君の答えは分かっている。だから言わなくてもいい。じゃあ待っているから」

そう、僕はあの女に逆らうことができない。

あの女、一ノ瀬涼音は僕の秘密を知っている。



僕が女装モデルをしているという禁断の秘密を。



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