世界観・人物設定など(本編じゃないよ)
一旦情報の整理とおまけ
リズと不思議な格闘ゲームの世界の物語
物語はこれから少しずつ動いていきます
ここは本編ではありません
ここら辺で設定の確認ができるページがあればなあと思って
区切りのいいところで導入しました
あまりイメージを崩したくない方や
別に確認しなくていいという場合はすぐにこのページは飛ばしてください
本編ではありませんので後で気になったら見てみるのもよいのだと思います
次のページからは設定集なので注意です
ここに1こだけおまけエピソードをいれてみたんですけど
これは本編が始まる前のお話なので
ほんとにおまけです
話の流れ的にもちょっと違うので これも読み飛ばしてもらって大丈夫です
(読まなくても内容的にだいじょうぶ)
*
*
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おまけ
~リズの異世界なんていかないわ編~
私はリズ
とある組織でゲームの試験体をしていた人間だ
試験体っていっても神経をいじったくらいで
脳神経の能力が高い人間って言った方が正確で
普通に一般人として生活していて普通の常識はある方だと思う
非常に治安の悪い
薄汚れた荒れた町の通りを歩いていく16歳の少女リズ
それは仕事の場所に向かうためだ
仕事の内容は例によって賭けゲームだ
リズは組織によって実験を受けた身なので やたら反射神経はいいけど
世間的には一般人よりもだいぶ強い程度のレベルで
ゲーマーとしては下の方のゲーマーであった
「(よく考えたら 実験を受けてその程度って
全然割に合わないわよね・・)」
それでもリズはこの荒れた町で日々を生き抜いていかなければならない
もらえる微々たるお金のためにリズは仕事場のある建物に向かう・・
はずだったのだが
「あーあ・・何か素敵なことでも起こらないかしら」
すると
「ブッブウウウ!!!」
「!」
なんとリズの後方から猛スピードで
ゴミを回収する大きな鉄の塊のような重量車が走ってきていた
ゴミを回収するついでに町の目ぼしい金属も
ゴミと称して剥がして勝手に持っていく、
荒らすだけ荒らしてから散らしていく悪質な業者だ
そう ここは荒れたクソみたいな町
こんなことは日常茶飯事だ
もし他の人がまともな町からやってきて この町をその感覚で歩いていたら
その人は一日も持たずにこのクソみたいな町の餌食になるだろう
ここはそれくらいひどいところであった
「(ス・・!」
リズは鍛え抜かれた反射神経で
その背後の物騒な重量車を感知すると
しゃがみ込みながらサッと物陰に避難する
(ぽいっ)
そして避け切った拍子に地面にあった空き缶を掴むと
それを瞬時に 車の後部タイヤが通る位置に投げ込む
「ベシャン・・!」
「ブオオオ・・!!」
そのすぐ後にゴミをまき散らしながら汚いゴミ収集の重量車は
リズをかすめて路地の向こうに走り去っていく
空き缶は確かに車のタイヤに轢かれたけど
ペッチャンコに潰れただけで
空き缶程度であの車が人みたいに転倒してくれるということはない
あくまでリズのせめてもの仕返しというか 自己満足であった
「ガランガラン・・」
リズの足元に車の積載から落ちたゴミが転がる
ついでにそんなリズへのお返しのように
追加で重量車の大量の排気ガスがリズにあてられる
「ゴホッ・・!ゴホ! もう最低ね 何が、素敵なことよ・・!」
「(あんなのにはねられて死んだら この世に未練が残りそうね
天国には行けそうにないわね)」
とりあえず危機は去ったので リズはまた歩き始める
・・・
リズはしばらく歩く
少し開けた通りの広間の場所に出る
「ギャギャー!」
リズの頭上に 黒いカラスが飛んでいる
「フニャーン・・」
野良の黒い痩せた猫がリズの目の前を通る
・・これは縁起が悪い? 不吉な予兆?
(うーん?)
いや けしてリズの縁起が悪いというわけではない
そう これがこの町の普通
(この町自体がもう縁起が悪いという
どうしようもないことなのかもしれないけど
まあ素敵なことではないわね)
野良と化した動物が町中を歩き回っているのだ
とくにこの広間は水飲み場があるのでそういう動物が多く集まっている
ただ彼らにとっても
この町は厳しい環境なので彼らも生きていくのに必死だ
「ニャオーン・・」
さっきの黒猫がたぶんお腹がすいているのか 私の方にすり寄ってくる
「だめよ この町ではね 自分の力で生きていかないといけないの」
リズは相手にしない
サっとやってきた黒猫を触れることもなく躱す
もっともらしいことを言ったけど
単にこの町の野良の動物は怖い病気を持っていたりして危ないし
リズは手持ちに食料など全く持っていなかった リズ自身も貧乏だ
リズは広間を突っ切って 黒猫を振り払って歩いていく
・・・・
ちょうど路地裏と接する場所に差し掛かって
リズは汚い小男に呼び止められる
というより進路を塞がれたんだけど
(明らかに素敵ではない出会いだ はあ~・・)
「どうだい? この治療薬を買ったら「異世界」にいけるんだぜ
きまるぜえ~~
初回は安くしておくよ・・!」
(異世界ねえ・・)
「興味ないわ」
「なあいいじゃねえか 少しだけだよ・・!」
(はあ・・)
そう これも日常茶飯事
リズはポケットに護身用に入れておいた小石を
密かに手にしのばせる
リズは器用だった
それはゲーマーの気質というかリズの才能だった
「(ピッ!)」
リズはそれを親指にセットして異世界小男の目に当たるように
小石をはじき出した
「うげあ!」
小男がひるんで目を抑えている隙に リズは一気に駆け出して
小男の横をすばやく走って通り抜ける
その時
(あれ 前の黒猫かしら・・黒猫なんてどれも同じだから分からないわね)
リズが通り過ぎていくところを
さっきの黒猫が路端から見ていた気がした
・・・・
(はあはあ・・)
「ああ この町はこんなのばっかりね」
小男はリズを追ってはこなかった
でもけっこううんざりきていた
ろくでもないことは多いんだけど 今日は一層そういうのが多い気がする
さらに連日の長時間の賭けゲームで働き詰めで
あまり睡眠時間もとれずリズは精神に負担がかかっていた
精神をけずったところに さらに車からとっさに避けたり走りこんだりして
体力まで削られて
リズはこの場でフラっときてしまい
まるで別の世界のどこかに飛んでしまうように
意識が遠く・・
「おっと いけないわ 気合が足りていなかったわね
この程度のことで意識なんて失っていられないわ 軟弱よね」
リズは神経実験の影響もあるのか長時間の集中の維持ができる体になっており
さらにいうと「無理でも気合でなんとかしろ」ってイカれた組織から
英才教育を受けていて ここで意識を失うような未熟者ではない
ていうか こんなクソみたいなところで倒れたら身ぐるみ剥がされちゃうわよ
(だけど 補給は必要ね・・)
さすがに体に燃料がないまま動き続けることは効率的ではない
「(施設の固形食ばかりだったから 栄養が偏っていたのかもしれないわ
たまには鮮度のあるものを食べないと)」
リズは町の露店街に寄ることにした
治安は悪いが一応商売は成立している
品質はたいていクソだけどね
リズはそのお店の前にやってくる
あんまり新鮮じゃないけど 肉や魚や野菜なども売っていて
この地域に生育している種の大きい あまり甘くはない果物を売っているお店
ストローのようなものをその実にさせば
そこから柔らかい果肉の中身を吸うこともできる
あんまり甘くはないけど とにかく安くて栄養補給もできる果物だ
その果物を一つだけ買う
「じゃあ ストローをさしてもらえますか」
「ああ?うちはストローは別売りだよ」
「え?」
見るとストローは果物の2倍の値段がついていた
「ええ ストローくらいでこんなのぼったくりよ!」
「人聞きの悪いこといってくれなさんな あっ!いらっしゃい!」
私の他に別のここでは珍しい恰幅が良いおばさんが現れて
「これとこれと この果物と あと魚と調味料を2つね」
「へえ まいどあり」
そのおばさんもその果物を買っていた
だけど
「ではストローもお付けしますね~!
はい 穴をあけておきます」(プシュ!)
機材で果物にストローを差し込める穴を作ってから手渡すおじさん
「あらありがとう 気が利くわね」
おばさんは買い物を終えて 満足げに去っていく
(・・・)
「ん? なんだまだいたのかい ストローを買うかい?」
「でも さっきのおばさんには渡したじゃないですか・・」
不満たらたらのリズ
「ああ うちは抱き合わせなんだよ
安い果物1個だけ買われても利益がでねえんだわ
よく考えてもみな
ストローを付けただけでうまくこいつが飲めるかい?
その場で飲むにはおじさんの穴開け機がいるんだ
技術料みたいなもんだ
なんだ、もう2個くらい買ってくれたらつけてやるよ」
リズは ぽつんと突っ立って財布を開く
(うーん・・あと2個かあ でも今週はあんまり余裕ないなあ・・)
露店のおじさんはリズがたぶん追加で買う気だと思って
しめしめとした顔をして こちらの方に振り向いている
と、その時・・
(あ・・)
さっき見た黒猫だ
(やっぱりついてきてたのかしら)
おじさんがこちらの方に注意を向けている間に
黒猫がそっと音をたてないように 露店の後ろの魚のコーナーに忍び寄って
「ぱく」
すごくお高い大きな魚をひょいっと咥え込んで すごすごと退散している
(ニャオーン)
その時 その黒猫がちらっと私の方を見る
私は黒猫が泥棒しているところを見ていたけど黙っていた
むしろ
「うーん・・!」とか声を出して小銭を集めているような仕草をして
おじさんを引き付けていた ひそかな共犯者である
「(まあ それも自分の力で生きるってことなのかしらね
泥棒だけど人と違って猫だものね)」
だから私はその黒猫のことを黙っていた
(タッタッタ・・)
黒猫が魚をくわえて去っていくのを見届けたら
「ごめんなさい やっぱ足りなかったです
ストローはいいです でももう1個だけ買います」
私がもう一つ果物を受け取って去ろうとすると
「ちっ貧乏人がよ ほらよストローだ 持っていきな」
なんと露店のおじさんは果物に機材で穴を開けてくれて
ストローを2つ普通にくれた
果物を2こしか買えない貧乏な私に憐れんでくれたのかもしれない
それともリピーターとして打算があったのかもしれない
(ならちょっと悪いことをしたかな
でもねえ・・もうちょっと早くそうしてくれたら
多分魚のことはおじさんに教えてあげたと思うんだよね
まあそれは おじさんも迂闊だったということで)
・・・・
栄養を補給しながら とうとう仕事場の建物が近くなってくる
ここに入れば元の私の生活さ
(はあ・・結局素敵なことなんて起こらなかったなあ
まあ当たり前か
むしろろくでもないことが起こるのが普通なのよ よし気合をいれて・・)
「リズ・・!」
人の気配がして 私の後ろから声が聞こえる
またろくでもないことが起こっても私の準備は万全だ
道に落ちてる小石の位置は・・
と思ったら
後ろから
「わっ!」といって私は抱き着かれる
揺れて果物を取り落としそうになる
(あ、これは・・)
「リコ・・」
私と一緒に仕事場で賭けゲームをしている私と同じ16歳の女の子
同じ組織 同じ施設の人間で同期の実験体仲間でもある
「リコ、危ないから」
「ごめんごめん リズそれ飲みながらきたの?」
「そうよ リコの分もあるわ 仕事の合間に飲みましょ」
「わあ ありがとう!リズ」
結局 特に素敵なことは起こらなかったけど
それでもまあ今はいいかなって思う
そうして私は元のゲームの仕事の世界に戻るのだった
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