第25話 魔法の詠唱

この世界の魔法と妄想していた魔法が同じであるならば魔法は下位、中位、上位、最上位の4つのランクに分けられる。


言葉の通り下位から最上位に上がる毎にその性能や威力は上がる、ただし使用者の力量や相性によってその強さは異なる。



100年前の魔法書を開きエレナに説明を始める。


魔法大全集~全ての魔法をここに示す~【下位魔法編】

昔の魔法書も題名は変わらないらしい。



「さっきも言ったけど【スタラ】は中位魔法である【オンアイン・スタラ】の1つ下に位置する下位魔法なんだ。内容としては指先に光を灯し暗闇を照らす魔法なんだが、一応周りの弱い魔物を近づけさせない効果もあったりする。まぁこの魔法書にも書いているからエレナも分かるだろうけど」


エレナが真面目な顔でうんうんと頷く


「次は詠唱、これも書いてあるから分かるだろうけど「星よ我が指先にその光を与えたまえ」だね。とにかく魔法はイメージが大切だから、まずは俺が手本を見せる。そのあとにエレナも練習しよう!」


ほとんどは魔法書に書いてあることを読んだだけだが実際に魔法を教えたことなんて1度もないからな、色々試してみるしかない。


「あの…ハクトくんすみません。質問しても良いでしょうか?」


やはり読んだだけじゃ分からないよな。

少しづつ質問に答えて教えていくしかないか。


「はい、エレナさん!何でしょう!?」


「基本的な事だったら申し訳ないのですが…その…詠唱って何なんでしょうか?」


「詠唱って言うのは、魔法を行使するためにイメージをしやすくさせる言葉みたいなものなんだけど…知らないかな?」


もしかしてこの世界では無詠唱が基本で詠唱何てものは必要ない古びた考えなのだろうか。


「それに!ほら!この魔法書にも書いてあるけど知らない?」


「小さい頃から魔法書は読んでいますけど見たことないですよ?」


そんなはずはない詠唱についてはこの魔法書にもしっかりと書かれている…日本語で。そう日本語で…日本語!


「もしかしてエレナはこの文字読めなかったりする?」


日本語を指差しながらエレナに問う


「読めるわけないじゃないですか!だってこれ古代文字ですよね!?魔法学会でも長年研究されてる文字ですよ!…ま…まさかハクトくんは読めるんですか?」


エレナは目を見開き驚いている。意外とリアクション大きいんだよな。


「まぁ…その…小さい頃に先生に教えられてというか…俺が住んでた所では読める人が多かったかなぁ…」


「やっぱりハクトくんのような魔法の使い手には凄い先生がいるんですね!これは学会で発表した方がいいですよ!きっと魔法の研究に大きな1歩を与えると思います!」


興奮するエレナには申し訳ないが魔法の先生がいるわけではない、しいていえば文字を教えてくれたのは学校の先生だ。


しかし詠唱を知らないのに魔法を使えるということは、詠唱は必要ないものなのだろうか?


ふとエレナの言葉を思い出す。


癒しの魔法【ホテーム】を使った時の「私が使うと傷痕が残る」


それと【オンアイン・スタラ】を使った時の「パパの時と少し違う」


これは単純に魔法のイメージの違いだと思っていたが、詠唱の有り無しも関係してるのではないだろうか。


昔、本で読んだことがある。

言葉とは心のなかの概念、イメージの要素を示し表すものであり、心に浮かぶ要素の一つ一つは単語に相当する。

言葉の起源、起源とは存在しなかったものを存在するようにすること。


例えば、ある動物を初めて見た人にその動物を馬だと教えれば、その人のなかではその動物が馬として存在する事になる。


また言葉の単語としての要素


馬と言われた人は、人により様々な馬の状態でイメージするだろう。

歩いている馬であったり、立って動かない馬だったりばらつきが出る。


ただし、走っている馬と言われた人は馬の種類は違えど必ずと言って良いほど、どこかを駆けている馬をイメージするはずだ。


つまり言葉とイメージと言うものは切っても切り離せないものであり、詠唱により魔法の精度が変わるのではないだろうか。


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