第22話

 ミルクティーを飲み終えて自転車置き場に着いた頃には、もうずいぶん暗くなっていて、少し空気がつんとして、寒かった。






 ふと見た西の空がキレイだなって。






「先輩、見て」






 思わず自転車を出している真鍋先輩に、空を指で差し示した。



 僕の横に自転車を持ってきた真鍋先輩が、同じように向こうの方の空を見る。






「キレイだな」






 真鍋先輩と見る、夕焼け空。



 胸の奥が痛くて。ドキドキしっぱなしで。






 キレイ、で。






「ほら」

「え?」






 ふわりと首に巻かれたマフラー。






「俺は暑くなるから」

「でも」

「しとけ」






 有無を言わせない強い言葉とは裏腹に、すごくすごく優しい、目。






「…………はい」






 嬉しくて、でも何か、恥ずかしくて。



 マフラーに顔を埋めて俯くと、真鍋先輩がぽんって僕の頭を叩いた。






「行くぞ」

「はい」






 僕は真鍋先輩の腰にしがみついて、その背中におでこをくっつけた。






 真鍋先輩が好きって言ったら、きっとおかしいよね?困るよね?





 だから、言わない。



 言わないけど。






 溢れだした気持ちに、もう、嘘はつけないよ。

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