第17話

「よし、次のトランプ!!」

「まーくん、ほらほら!!」






 お弁当を食べ終わって、真鍋先輩と木戸先輩が先に行っちゃって、じゃあ僕たちも戻ろうって、教室に戻って来た途端これだよ。






 絶対僕より面白がってるよね?そうだよね?






 とか思いつつ、お弁当タイムも終わったし、ひいちゃおうかなと思ってたのも本当。






 ラッキートランプを出して、シャッフルシャッフル。






 ねぇ、今までずっと真鍋先輩が関わってるよ?



 次もそうなの?



 もしそうなら………それは、何故?






 えいっって気合いを入れて、1枚ひく。






 クローバーの2…ラッキーナンバーは2






 2、2?






 何だろう。






「とりあえず数字があったら2を選べばいいんじゃない?」






 透の言葉にそうだねって言いながら、僕たちは次の授業のため、教室を移動した。











 5時間目が終わって、教室に戻る。






「6時間目は自習だってーー」






 開始のチャイムと同時の言葉に、教室が歓喜の声に溢れた。






「あれ?」

「どうした?」

「ペンケースがない」

「音楽室に置いて来たんじゃない?」

「おかしいなぁ、持ってきたはずなのに………」






 机の中や鞄の中を探してみる。



 ロッカーの中にも入ってない。



 ってことはやっぱり音楽室かな。






「どうせ自習だし、のんびり取りに行ってくるね」

「おお」

「いってらっしゃーい」






 2人に見送られて、僕は静かになった廊下を音楽室に向かって歩いた。











 誰も居ない音楽室の机の中に僕のペンケースが入っていた。






 おかしいなぁ、机の中に入れた覚えなんてないのに。



 まあ、見つかったからいいか。






 ペンケースを持って、また教室へと向かう。



 地味~に足に効いてくる。






 痛い。休みたい。






 廊下で立ち止まり、グラウンドを見る。



 赤い……てかエンジのジャージ姿の人たちが走っている。



 3年生の体育の授業だ。






 真鍋先輩、居ないかな。






 つい、そんなことを考えちゃう自分に笑っちゃう。






 これじゃあまるで真鍋先輩に恋してるみたいじゃん。






 恋……………?恋!?






 いやいやちょっとちょっと、待って。






 自分で考えて自分でびっくりする。






 心臓がばくばくしてる。意味もなくきょろきょろしちゃう。






 ダメだ、教室に戻ろう。



 深く考えると、いけない気がする。






 足はじくじく痛いけれど。



 我慢して、僕は教室に向かった。

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