怪物

ねだりちゃん

第1話

 私には、私の中には、悍ましい怪物が棲んでいるのです。その怪物は毒で私の精神や体を犯し、今この瞬間も、じわじわと蝕んでいるのです。どうか、この叫びが、苦しみが、哀しみが誰かの役に立つことを祈って、拙いながらも、私は今から精一杯の独白を致します。


 私は、「まきさん」に食い荒らされた家庭で幼少期を過ごしました。父と母、そして私の三人、狭いアパートの一室で、ひっそりと暮らしておりました。家族が笑顔でいた記憶は無いに等しく、毎晩恐れゆえに夜も眠れない、うだつの上がらない日々を、ただじっと耐えて、過ごしておりました。父が機嫌の悪い日には蹴り飛ばされたこともありました。母は怒り心頭、鬼の形相で父に掴みかかるも、抵抗虚しく、痛めつけられておりました。無味乾燥、救いはなく、絶望で満ちた日々を過ごしておりましたが、祖母曰く、以前は幸せに満ち足りた素晴らしい家庭であったらしいのです。

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