第54話 新婚旅行 1日目前半

「さあ…出発しますか!」

「うん♪」


俺たちは朝一番の電車で仙台空港へ向かった。

沙優はニコニコしている。

よっぽど楽しみにしてたんだな。

こういう所は少し子供っぽさを感じて可愛い(笑)。


・・・


仙台空港に到着。

飛行機に乗った。


「飛行機は何回も乗っているのに、いつ乗っても興奮するな♪

 あなたは興奮しないの?」


「どちらかというと沙優の笑顔の方がドキッとするかな(笑)」


「も~う…私ばかり子供みたいじゃない!」


少し剥れた沙優の顔も可愛いと感じた。


俺は沙優の頬を指で押し、囁いた。


「そこまで喜んでくれると俺も嬉しいよ(笑)」


・・・


2時間かからずに関西空港に到着した。

電車で1時間半でかけて京都へ向かった。

京都に到着すると既にお昼近くになっていた。


「結構お腹が空いたね?何食べようか?」


「そうだな~…夜に懐石料理を旅館で食べられるから

 牛カツなんてどうだ?」


「うん。この後エネルギー必要になるからがっつり食べれて良いかも♪

 ただ憧れの舞妓さんになるんだからご飯は少なめにしよ♪」


俺たちは牛カツを堪能した。


・・・


そして目的の1つである舞妓さんの恰好して京都の町を散策するために、

舞妓体験専門店に行った。


・・・


沙優視点:


私でも白塗りの舞妓メイク似合うのかな?


そう思っていたが、メイクスタッフさんは経験豊富で

凄く奇麗にお化粧してくれた。


着物についてもアドバイスを貰って、

私は真っ白な白地に濃い紫と淡い青色のグラデーションの地色に、

モダンな薔薇の柄が入った着物を選択した。


半カツラ、帯、かんざしと適切に用意して頂き

1時間半くらいかけてセット完了。


改めて鏡で自分を見直すと…うん!我ながら凄く化けたと思う。

とっても良いと思うけど…愛しの旦那様は…喜んでくれるかな?…


・・・


俺は、お茶を飲みながらのんびりと沙優を待っていた。


「お待たせ♡」


振り向くと、絶世の美女が俺の前に立っていた。

本当に奇麗で…目を離せなくて…何も言えなくて…

時が止まったかような感覚だった。


「あれ?私に見惚れちゃった?♡」


「あ…ごめん…あんまりにも奇麗で…言葉が出てこなかった…」


白塗りの肌が少し赤らみ、はにかみながら沙優は俯いて

「も~う…ふふっ、ありがと♡

 じゃあ祇園に行こ♡」


スマホのカメラで舞妓姿の沙優の写真を沢山撮った。

暫く待ち受け画面はこの写真になると思う…。


舞妓姿の沙優は、本当に美しく、妖艶で、道ですれ違う人の目を奪っていた。

俺は…そんな沙優の手を握りゆっくり歩いた。


沙優の方を向くと、彼女は俺だけを見つめてニコっと微笑んでくれる。


心臓の鼓動がとても煩く、顔が熱い…

この微笑みが俺の為だけにしてくれている…そう思うと…

幸福感、優越感、色々な感情が入り乱れ、祇園の街並みは正直頭に入らなかった。


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